だらだら書いています。
時系列はシラクザーノの少し後といった感じです。
カフェを出る頃にはぽつぽつと雨が降り出し、地面を濡らし始めていた。良く外れる天気予報はどうやら今回も外れたらしい。念のため持ってきていた傘を開こうとして、くい、と裾を掴まれた。
「どうした?」
「いや、すまないが、傘に入れてくれないか」
「……持って来ていないのか」
「いざという時に扱いに困るからな」
「お前なら傘でマフィアくらい薙ぎ倒しそうなもんだが」
「会社の傘でそれをする気はない」
「できないとは言わないんだな」
「自分の実力はよく分かっているつもりだからな」
傘を開く。当たり前だが、一人用の安い傘では二人で入るには手狭だ。多少は雨に濡れてしまう。
「助かる」
「いい。同族のよしみだ」
そう言いながら茶色の尻尾をわざとらしく振ってみせる。手入れなんてしていないせいで毛は堅くなっているが、それは確かにループスのものだ。
「濡れてないか」
「気にはならない」
「そういえばそういう奴だったな」
「そっちこそ、シラクーザでは傘なんてさしていなかった」
「身体に気
こちらが大袈裟に首を竦めると、テキサスは目を伏せた。思うところがあるのかもしれない。それは俺が抱えている問題とは無関係ではないだろうが、直接関係している訳でもない。俺がどうにかするのではなく、彼女自身がどうにかする問題だろう。
「ロドスはどうだ」
「本当に聞きたいのはそんなことなのか?」
「……症状はどうだ」
「体感的にはあんまり変わってない。融合率も安定してる。……多少は増えてたけどな」
「……そうか」
この世界では珍しくない、致死率がとても高い病。罹った奴は必ず死に至り、
「まあ、オペレーターやってたら嫌でも上がる。それに、融合率がとても高い、という訳でもない。もう暫くはくたばらないさ」
「暫くしたらくたばるつもりなのか?」
「まさか」
ペンギン急便のアジト。そのうちの一つの前で足を止める。何も言わずにここまで来たが、彼女の目的地はやはりここだったらしい。
雨で冷えた空気で、吐く息が白くなる。
「俺は治せると思ってるよ」
「……なら、私がシラクーザに行っている間に死ぬことはなさそうだな」
「また行くのか?」
「やらなければならないことが多いんだ。と言っても、今回はそう長くならないはずだ」
「行ったり来たり、とんだブラック企業だな」
「ロドスよりはマシだろう?」
「
軽い冗談が飛び交う。そうだ。俺達はこれくらいがいい。悲観的な空気なんていらない。
「次、戻ってくる時は、俺にもお土産くれよ。シラクーザのコーヒー、自分で淹れてみたい」
「……いや、それは出来ないな。店主に持っていく分で手一杯だ」
「そいつは残念だ」
龍門にいない時でも飲みたかったのに、と思わないでもない。だが、そこまで無理して買わせるつもりもなかった。土産物は、あくまでついでに貰うに限る。嫌がるならわざわざ買わせる必要もない。
彼女は玄関ドアを開こうとして、思い出したかのようにこちらへ振り返る。
「次私が帰ってきたら、あの店に一緒に行こう。そうしたら飲めるだろう」
「一緒にか。難しいな。休みが合うか分からないし」
そう返すと、彼女は少しだけ笑う。
「その時は休暇をとってくれ。同族のよしみ、じゃなかったのか?」
そんな微笑みを見せられたら、拒否なんて出来る訳がなかった。
「……分かったよ。んじゃ、またな、テキサス」
「ああ、またな、トゥオーノ」
最後にそれだけを交わして、別れた。
プロファイル
【コードネーム】トゥオーノ
【性別】男
【戦闘経験】五年
【出身地】シラクーザ
【誕生日】3月1日
【種族】ループス
【身長】187cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、感染者に認定。