1954年7月
この数か月、典子は相変わらず悪夢にうなされ続けていた。しかもそれはほぼ毎日のように続き、目の下にははっきりとしたクマも表れた。さすがに限界を感じた敷島夫妻は、近所の病院に行った。担当医師は三十路ほどとうら若く、夫妻は信頼が揺らいだが、思いに反して担当医は知識が豊富な秀才だった。また敷島夫妻のこともよく知っていて、余談として自身の親戚がゴジラ災害で帰らぬ人になったことも打ち明けた。そのためゴジラ討伐の功労者である敷島のことはよく知っていた。
「微力ではありますが、全力を尽くします。もし私の診察で不足を感じられましたら、大学病院への紹介も可能ですから」
だが決定的な治療法は一向に見つからず、「とにかく、今は心を落ち着かせましょう」と精神安定剤と睡眠薬を処方された。薬の効果は出たと言ってよく、悪夢を見る頻度は週に数回ほどまで落ち着いた。だがそれでも見た日には、典子は生きた心地がしないほどに震え、泣き続けた。
「この痣が原因なのでしょうか」
ある時の診察で、同行していた夫の敷島が、典子の首筋に在る黒く醜い痣を示した。
「その痣については、まだ不明なことが多いのです。私も大学で研究したのですが、除去手術をしても取り除けないんです。数日で復活してしまって」
「そうですか……治療法は、いつか見つかりますか?」
「今のところは、分かりません。原爆症と同じく、なかなか難しいのです。ですが懸命に研究をしている学者は大勢います。諦めず、時を待ちましょう」
夫妻はただ兒島医師の言葉にうなずくだけだった。
診察の初期は夫の敷島も同伴していたが、夏が近づいた頃には典子だけで診察を受けるようになった。
処方箋を巾着袋に入れ、日傘を差しながら典子は家路を歩いている。
「典子さん……典子さん」
何も考えず、無の境地でいた典子は、隣家の澄子に声をかけられていたことに気づくのに時間を要した。
「病院の帰りかい?」
「ええ……すいません、気づかなくて」
「気にするんじゃないよ。いやぁ今日も暑いねぇ。よかったら家で一緒に休むかい」
「はい、ありがとうございます」
家に帰っても今は誰もいない。夫は仕事だし、娘の明子も小学校だ。このまま帰宅しても、ただぼうっと
一緒に歩きながら雑談に興じていると、自治会館前に数人の男たちが幟を立てているのが見えた。幟には「水爆実験絶対反対!」「鬼畜米国許すまじ!」という、戦時中のプロパガンダを彷彿させる攻撃的な文言が墨で書き殴られていた。
「アカたちだよ。そりゃあ水爆なんて私も大嫌いだけど、あいつらも何だかねぇ」
戦後復興は建物や生活だけでなく、人々の思想にも影響を与えていた。澄子がアカと呼んだ共産主義者たちも、誰に弾圧されることもなくなったことを幸いに、活動が精力的になっている。
「奥さん方」
作業をしていた男の一人が典子たちに気づき、ビラを手渡してきた。
「今度、決起集会を行いますんで、旦那さんにも呼びかけておいてください」
「あらそう。でも困ったねぇ、あたしんとこは旦那も子供もみぃんな死んでるんだけどねぇ」
澄子がお得意の嫌味っぽさを交えた口調で返答すると、男は動揺して、標的を典子に変えてビラを渡した。
「私の亭主も、行かないと思いますけど……」
「とにかく渡しておいてください。今こそ大衆の声をあげる時なんです!」
「ちょっと! この人は病人で、いま病院帰りなんだよ。いい加減にしないとただじゃすまないよ!」
澄子が男の肩を突き飛ばした。男はバツが悪そうな顔をしながら、黙って自治会館に戻っていった。
「ふん、何さ。ここで叫んだって何が変わるってんだい。典子さん行こ」
澄子に手を引っ張られながら、典子はその場を後にした。
結局
「またいつでも来な。今度は明ちゃんも一緒にね」
澄子に深々とお辞儀をして、典子はすぐ隣の我が家に帰った。
郵便受けを見ると、白い封筒が入っていた。おそらく受診に行っていた時に届いたのだろう。差出人は「野田健治」とある。懐かしい名前だった。
夫が帰ってきてからその手紙を渡し、中身を読んだ。その顔は実に嬉しそうだった。
「野田さんと秋津さんが、近々遊びに来るってさ」
「あら本当? じゃあ腕によりをかけてご馳走作らないと!」
「今日はずいぶんと元気ですね。何か良いことがあったんですか?」
「澄子さんが助けてくれて……」
典子は病院帰りにあったことを敷島に話した。敷島は険しい顔をした。
「そっか……実は、中学校でもそういう運動が起きてるんですよね。まぁ子供のやることですから、所詮は真似事みたいなものですけど、授業を集団でエスケープしたり、大人が主催する団体とも繋がりがあるんじゃないかって、教員会議でも問題になってるんです」
「そう……まぁ、確かに気持ちはわかるんです。水爆実験なんておぞましいこと、そりゃ誰だって反対です。でも、思想を押しつけられるのは、違うかなって」
「それこそ帝国時代と変わりませんよ。あの頃は、若い男子は戦場に行って死ぬのが美徳だと押しつけられて、そのせいで俺の戦友だってみんな死にました。母が、手紙で生きて帰ってこいって書いてくれなかったら、きっと死んでましたよ、俺も」
「でも、浩さんは生きてる」
妻の微笑みに、敷島の顔も和らいだ。
「誰かに、生きててほしいって言われるのは、本当に嬉しいことなんですよ。典子も言ってくれたよな、死んだらダメだって」
「浩さんも言ってくれたわ。あの銀座で助けてくれた時、死んではダメだって」
二人は見つめ合い、お互いの想いを確かめ合うように抱き合った。
「ご飯まだぁ?」
明子の声にハッとして、夫妻は体を離した。
「そうですね、すぐ準備しないと……」
典子は頬を赤く染めながら、台所に向かった。
敷島は手紙を封筒に戻そうとしたが、まだ文面に続きがあることに気が付いた。
「追伸、典子さんにお伝えください。簡単な料理の作り方をご教授願います……ん?」
それを聞いていた典子も思わず「え?」と声を漏らした。料理?
一週間後、勤務を終えて校門を出た敷島は、電柱を背にたたずむ色黒の男を見て声をかけた。
「秋津さん!」
「よう、久しぶりだな」
「ずいぶん焼けましたねぇ」
「まぁな。夏の海に出るとこんなもんよ」
体臭なのか服なのか、秋津からは潮の香りが染みついていた。新生丸に乗っていた頃から、秋津は海で生きる男なんだと敷島は感じていた。
「沼津からだと、だいぶかかったんじゃありませんか?」
「まぁ東海道線一本だからな。本当は船で来ようかと思ったんだが、あいにく修理中でな。まぁ行こうや」
秋津は漁師になってから、最初は慣れ親しんだ東京を母港として、相模湾を漁場としていた。だがゴジラ死亡時に放出された放射能は海水も汚染し、奇形の魚ばかりが揚がり、商売にならなかった。そこで影響の少ない駿河湾に拠点を変え、今は沼津市に住んでいる。
「野田さんは?」
「ああ、実は先に落ち合っててな、あいつはお前の家で待ってるよ。俺は先生のお迎え役ってわけだ」
「わざわざすいません。水島君も来れたら良かったんですけどね」
「はんっ、あの小僧。警備隊なんてのが出来たと知って飛び出して行きやがってよぉ。軍国少年気質が抜けなかったんだろうよ」
「はは……そういえば、警備隊って自衛隊ってのに変わったんですよね」
「ああ。保安隊が陸上自衛隊、警備隊が海上自衛隊、あと航空自衛隊ってのも出来たんだとな。お前もまだ戦闘機乗りだったら、航空自衛隊にスカウトされただろうな」
「俺はもう、戦闘機には乗りませんよ。乗る必要がないし」
「そうだな。この国はもう憲法で戦争を禁じたわけだし、またゴジラでも現れない限り、その必要はないってことだ」
「……漁をしてて、恐いと思うことはないですか。急に深海魚が浮かんできたりするんじゃないか、とか」
「バーカ。俺がいま漁場にしてる沼津の海はなぁ、否が応でも深海魚が獲れんだよ。海がバカに深いからな」
快活に話す秋津の顔を見て、敷島は顔をほころばせた。この人と一緒に機雷掃海をした日々、そしてゴジラを倒すために奮闘できたことは、今にしてとても誇らしく思えた。
「あ、お帰りなさい」
敷島家で待っていたのは、白い割烹着に三角巾を頭にかぶった野田健治だった。
「おうおう、よく似合ってるなぁお前」
「茶化さないでくださいよ長さん。こっちは真剣なんですから」
「野田のおじさん、火ちゃんと見て」
大きく歳が離れた明子にそう指導されて、野田は「あ、はいっごめんなさい」とすぐ指示に従った。その様子を見て敷島と秋津は笑った。
「お帰りなさい。そろそろ支度ができますから」
典子も笑顔で明子の指導を受ける野田の様子を見守っていた。
「しかしまぁ、どういう風の吹き回しだ? 料理を教えてくださいなんて。あいつ小料理屋でも始める気か?」
「さぁ……でも、とても熱心なようですから」
「何でもいいけどよ、俺が持ってきた自慢の干物焦がすんじゃねえぞ!」
「うるさいなぁもう、集中させてくださいよ」
「火!」
「あ、はいごめん」
微笑ましい料理教室が、敷島家の台所で催されていた。
料理も完成し、居間でささやかな夕食会が始まろうとしていた。
「じゃあ、乾杯の音頭は長さん、お願いします」
「それは構わねぇけどよ、敷島。実はもう一人呼んでるんだがいいか?」
「え?」
敷島が驚くのをよそに、秋津は「おーい、もういいぞー」と玄関に向かって声をかけた。
すると玄関の戸が開けられ、灰色の制服を着て制帽をかぶった男が居間に上がってきた。
男は直立し、敬礼した。
「海上自衛隊横須賀地方隊所属! 水島四郎三等海尉であります!」
「水島君!」
「どうだ、面食らったか? しかしまぁ、似合わねぇ~!」
秋津は水島の制服姿を揶揄しながら意地悪く笑った。
「ちょっと艇長、そりゃないでしょう~。せっかく休暇取って来たんすよ?」
「そんなのこっちだって同じだよバーカ。小僧が海軍の真似事してるだけじゃねぇか」
「そんなこと言わないでくださいよー。ねぇ野田さん?」
「さぁてどうだか」
「ちょっとー!」
「あ、あの……これはどういう?」
事態を呑み込めない敷島が三人に問いかけた。
「いやな、こいつが昇進したって偉そうに自慢するからよ、なんだったら敷島の家で祝いの席でも開こうじゃねぇかって話になったのよ。なぁ学者?」
「考えたのは長さんですけどね。水島君を喜ばせるために」
「そんなんじゃねぇよ。こいつがどんなに軍服似合わねぇかお披露目するためだよ」
「敷島ぁ、俺似合ってるよなこれ?」
水島が泣きつくように敷島にすがった。
「うん、とても頼もしいよ」
「そうだろ! そうだよなぁ! 艇長の目が
水島はびしっと秋津を指差した。秋津は舌を出してやり返す。まるで幼稚な親子喧嘩だった。
「三等海尉っていうのは……」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた! 帝国海軍でいうところの少尉! 敷島と並んだんだよ俺!」
「あ、でも……」
口を挟んだのは典子だった。
「浩さん、実は中尉に進級したのよね」
「えっ、そうなの? なんでなんでなんで?」
「当時の日本政府は、御役御免になった軍人たちにせめて少しでも恩給を与えようと、ポツダム宣言受託後に軍人の階級を一つ上げさせたんですよ。だから敷さんは少尉じゃなく、最終階級は中尉になった、というわけ」
詳しく説明したのは、さっきまで台所で右往左往していた野田だった。
「えー、マジかよー。じゃあ追いつくのはまだまだ先だなぁ」
「大丈夫だよ。お前ならもっと上に行けるよ」
敷島は励ますように水島の肩をぽんと叩いた。
「さぁ、こいつの紹介は終わった。さっそく乾杯だ!」
「え、俺の歓迎もう終わり?」
「かんぱーい!」
「無視ぃ?」
「いやぁしかし、明子もずいぶん大きくなったなぁ。いつか女優か何かにスカウトされんじゃないか?」
酒ですっかり上機嫌になっている秋津は、お酌までしてくれるようになった明子を褒めそやした。
「将来の夢とかはあるの?」
水島が訊ねた。
「うーん、お医者さんか看護婦さん」
「そいつはいい! じゃあたくさん勉強しないといけないね」
明子は照れくさそうにうなずいた。
「勉強なら心配いらねぇだろ。なんたって親父が先生なんだし、学者もいるしな」
「いや、僕の専門は医学のそれとはまったく違いますから」
「なんでお前は冗談が通じねぇかな。そんなんだからいつまで経っても男やもめなんだよ」
「それは長さんだって同じでしょう。それに僕は今……あ」
その場にいた全員が野田の顔を見た。
「おいおいおい、まさかお前、結婚したのか?」
「マジで? 聞いてないっすよ!」
「そうなんですか? 野田さん」
「違う違う違う! あれはその、なんていうか、そういうことではなくてですね」
「女の影は認めるんだな。そいつはどこのなんて奴だ。正直に吐け!」
「そうだそうだ、気になるっす!」
「黙秘権を主張します」
「えー、気になるー」
秋津軍団に加勢したのは明子だった。野田は困り顔で後頭部を掻いた。
「ほれほれー、お料理教室の師匠もそう言ってんだぞ。いい加減白状しろよー」
「……わかりましたよ、もう」
「……えっと、つまりですよ。突然現れた背の高いアメリカ女が家に押しかけて、強引に部屋を間借りして、居座ってると?」
野田が話した内容を整理した水島は、まだ納得のいかない様子だった。
「何でそんな変なやつ、すぐ追い出さなかったんだよ」
秋津がしかめっ面で問い詰めた。
「いやまぁ……悪い人ではないようなので」
「バカかお前。そんな恋人でも愛人でもない奴をひとつ屋根の下に住まわせて」
「いやでも……敷さんと典子さんならわかりますよね? ね?」
野田は助けを求めるように敷島夫妻に訴えた。確かにこの2人も、恋仲になることもなく2年近くひとつ屋根の下に住んだ間柄ではあった。
「……まぁ、悪い人じゃないなら良いんじゃないですか? なぁ典子」
「ええ。それにその人も学者さんなんでしょう?」
「そう、そうなんですよ! 日本語も堪能で、私が持っている文献も難なく読めてしまうんです」
「その人は、何の研究をされてるんですか?」
敷島が訊ねた。
「……放射能が人間や生物に与える影響を調査しているそうです」
「ということは、あの黒い痣もですか? 治療法を研究してるんですか?」
詰め寄る敷島を、典子は思い深げに見つめた。
「いや、詳しいことは……」
「学者よぉ、そのアメリカ女さんといい仲になって情報聞きだせよ」
「い、いい仲って?」
「そりゃ決まってるでしょ。敷島みたいな?」
水島がにやけながら言った。
「じょ、冗談でしょう……」
「ぶっちゃけ、寝た?」
水島が耳打ちしながら訊ね、野田は顔を赤らめながら激しく首を振った。
「もう一ヵ月以上も一緒に住んでるのに?」
「だ、だから何?」
「……実に不健全だ」
野田は目を丸くした。それはかつて野田が、典子と未婚のまま同居をしていた敷島にぼやいた
野田はうなだれるばかりだった。
*
「ワダツミメンバーとの再会は楽しかった?」
居間で夕食を食べながら、ジェニスは野田に訊ねた。
「まぁ楽しかったというか、散々だったというか……うっかりあなたのことを話したのがまずかったです」
「あらそう。でもこのしっとりとしたサラダは美味しいわ」
「それは〝おひたし〟です」
訂正しつつも、美味しいと言われたことに野田は嬉しさを感じた。作り方は典子から教わった。
「私のこと、どこまで話したの?」
「放射能が生物に与える研究をしている学者だと説明しました」
「……それだけ?」
ジェニスは真偽を確かめるように野田の目を覗き込んだ。
「……言えないでしょう。まさか原爆開発に関わった人だなんて」
ジェニスの私物が野田家に届けられた日の夜、2人は銀座の洋食店で夕食を共にした。もちろんジェニスの提案で、個室でゆっくりと食事のできる空間も用意されていた。
裏を返せば、他人には聞かれてほしくないことを話すには打ってつけの場所だった。
「私は出来ない約束はしないから、あなたにはちゃんと説明するわミスター・ノダ」
ジェニスは煙草に火を点けた。カチンと愛用のジッポーが小気味よく鳴った。
「私は戦時中、核物理学者としてマンハッタンプロジェクトに従事していたの」
「マンハッタンプロジェクト……聞いたことがないです」
「でしょうね、合衆国の国民ですら知らない極秘計画だもの。でもそれによって生み出された結果は、あなたもよく知ってるはずよ」
「……原爆、ですか」
「ご名答、さすが察しがいいわね」
ジェニスはニヤッとしながら紫煙を吐いたが、野田の表情は暗い。
「私は、自分で言うのも何だけどいわゆる天才なのよ。小学校で中学高校の勉強をマスターして、十七歳で大学に飛び級で入ったの。そこで核物理学を学んだ」
「……広島と長崎に落とした原爆、ですか」
「誤解しないでね、私がチームリーダーだったわけじゃない。私はただの助手。パパが計画の管理者だったのと、国務省に勤める兄の推薦で参加したのよ。でも、製造に関わったのは事実。そのせいで、どれだけの人が亡くなったかも知ってる」
「……」
「私のことが嫌いになった? ……そうね、あの兵器は極めて残忍で冷酷、たとえ生き残っても重い障害が残る」
「……」
「合衆国では、原爆投下こそ戦争終結に貢献した最高のラッキーアイテムだと誰もが信じてる。それにあの時は、とにかくソ連やドイツより先に原爆を開発する必要があったのよ。世界の覇権に関わることだから」
野田はずっと黙っていた。何かを思いつめるような表情で虚空を見つめていた。
「……広島か長崎で、誰かお身内が死んだ?」
「いえ……」
重苦しい沈黙が流れていたところへ、ウェイトレスがやって来て注文を伺った。野田は何も言わなかったので、ステーキがメインのコースを二人分ジェニスは注文し、ウェイトレスは退室した。
「……言っておくけど、日本だってもし原爆を持ってたら必ず使用してたでしょう?」
「それは、そうだと思います……」
「……何をそんなに考えてるの?」
ワイングラスに注がれた水をひとくち飲み、野田は重い口を開いた。
「……日本も原爆を作ろうとしていたことは、ご存知ですか」
「少しだけね。でも失敗したんでしょう?」
「ええ。何せ人材不足物資不足……とても満足なものは出来ませんでした。しかも陸軍と海軍が別々に研究を行っていたので、人材も資材も取り合いのような状態でした。もし陸海が共同でやっていたなら、小型でも形には出来たと思います」
「まるで見てきたかのような口ぶりね」
「……私は、海軍側の研究者でした」
ジェニスは黙った。煙草を灰皿に置き、野田の言葉を待った。
「……海軍では、
「そしてあわよくば、合衆国本土に落とす」
「ええ。でも現実的にはかなり難しいです。日本軍にはB-29のような大型爆撃機はほとんどなかったですし、仮に原爆が作れたとしても、どうやってそれを落とすのか、何もかもが後手後手というか適当というか、目先の事しか考えられない状況でした」
「……しかしまぁ、正直驚いたわ。まさかあなたが私とそこまで似た境遇の人間だったなんて。私が知る限り、あなたが軍に関与していたのは毒ガス兵器の製造管理ってことだけだったから」
「……やっぱり、あなたは事前に僕の事を調べてたんですね。その上で接触した」
「正解よ。原爆開発にはどこまで関わったの?」
「……計画が始まって、一年ぐらい経ってから外れました。国内や植民地のウラン埋蔵に関する調査程度です。本当は開発に専任する予定だったんですが、何せ学者の数も多くはありませんから、他の兵器製造に軍の命令でかり出されました。神奈川県の
「ガスの種類は?」
「イペリットです。私は大学で気体の研究をメインテーマにしていたので、適任だと判断されたんでしょう。ただ多くの学生も動員され、どうしても中毒者が出てしまったのは、今でも後悔しています」
ジェニスは煙草を再び吸い、まだあと三口は吸えそうなのを灰皿で揉み消した。そこへコースの前菜が運ばれてきて、無言の二人の前に皿が並べられた。
「私は、基本的に後悔ってモノをしない主義なの。自分が嫌いになるから。失敗したなら、何が原因なのか突き止めて成功に導けばいい。いつもそう思ってるの」
「羨ましいです、僕は違う。もし、あのまま原爆製造に関わり続けて、もし成功していたらと思うと、おぞましいです」
「あなたは悪くないでしょ? 軍の命令でやったことなんだから」
「ええ、そうなんですけど……」
うつむく野田をよそに、ジェニスはフォークを持ってサラダを食べ始めた。
「あなたは、どうなんですか。原爆を作ってきて、どう思ってるんですか」
「……最初は、達成感に満ち溢れたわ。とんでもない快挙を成し遂げたって、パパにも兄にも自慢した。二人とも褒めてくれたわ。それが、嬉しかった。でもヒロシマとナガサキの惨状を知って、心が痛まなかったといえば嘘。私はとんでもない大量殺人の共犯者になってしまった。離職した同僚も少なくなかったわ。精神を病んで入院した人もいる。でも私は、考えを変えたの。作ってしまった以上、どこまでも突き進むしかないって。だから、自ら志願してエニウェトク駐屯地に行った」
「エニウェトク?」
「エニウェトク環礁。ビキニ環礁と同じく、核実験の場所になったところよ。住民を強制退去させて土地をローラーでまったいらにして、コンクリートで固めた半人工島。米軍施設の中でもトップシークレット扱いの秘境よ」
「じゃあ、46年の原爆実験も?」
「クロスロード作戦のこと? いいえ、私が赴任したのは49年から。それにクロスロード作戦はビキニ環礁だった。私は関与してない」
「そうですか……」
「ホッとした? ゴジラはもっぱら、クロスロード作戦の影響を受けているといわれてるものね」
「米軍としてもそう考えてるんですね」
「ええ。ヒロシマやナガサキの影響も最初は考慮したけど、だとしたら大戦末期に……オオドシマ、だっけ? とにかく日本の小島に出現したという最初のゴジラの説明がつかない。だとしたらやっぱり、クロスロード作戦中に近海にいたとしか考えられないわ。あなたも食べたら?」
ジェニスに促されて、野田もサラダを口にした。だが味よりもジェニスとの話の方に脳は集中する。
「あの作戦後、米軍艦艇が次々と謎の水中物体に襲われる事故が起きた。本国の調査委員会も、ゴジラはクロスロード作戦による放射能汚染によって遺伝子に変異が起こり誕生したと結論づけているわ。あくまで非公式にだけど」
「……それ、バラしたらまずいことじゃ」
「あなたは信頼できるもの」
「何でそんなに僕を買ってるんですか? 今まで会ったこともないのに」
「……勘、かしら?」
ジェニスは二本目の煙草に点火した。
「あなたの写真を新聞で初めて見たとき、どこか暗い影を背負った人に見えた。しかも他人にはおおっぴらにできない闇を抱えた人だって」
野田はサラダをつつくフォークの手を止めていた。
「誰にも言わなかったでしょう? 原爆開発に関わってたこと」
「言えませんよ。墓場まで持っていこうと心に決めていました」
「でも私には話してくれた」
「それは……」
二人は見つめ合ったまま黙った。ジェニスは微笑を浮かべた。
「あなたと私は似た者同士なのよ、ミスター・ノダ。それにあなたには感謝してるの。仇を取ってくれたから」
「仇?」
ジェニスは手帳に挟んでいた、アメリカ陸軍少将の肩章を見せた。それは色褪せ、糸も崩れていて、持ち主が何か不運に見舞われたことを示していた。
「私のパパは戦後、GHQに配属されてマッカーサー元帥の下で働いていたの。47年、私は日本に行こうと思って、あらかじめプレゼントを要望したの。我ながらあつかましい娘だと思うわ。でも誕生日が近かったから、ついね。日本の腕時計が欲しかったの。とても性能が良いって聞いてたから。だからあの日、パパは銀座に行った」
野田はすぐに察した。あのゴジラ上陸の日だと。
「パパはあの爆風に巻き込まれて、それきりよ。GHQの高官ってこともあったから、元帥命令でかなりの人員が割かれて捜索したけど、見つかったのはこの階級章だけ」
形見の肩章を愛おしげに見つめながらジェニスは語った。
「パパが死んだと聞かされて、相当堪えたわ。精神的にもおかしくなって、ろくに食事も取れなくなって、入院もしたわ。この階級章が届いて、やっと気持ちの整理がついたの」
「大好きだったんですね、お父さんのことが」
「私は女として生まれたから、社会に出る枠は限られていた。普通に結婚して普通に家事をして過ごすなんて私には無理なの。私は興味のあることをとことんやりたい。パパは子供の頃から私を好きにさせてくれていた。だから退官したら、鬱陶しいくらい親孝行してあげたかった……でもゴジラが現れた。パパを欠片も残さず殺した。だから、オペレーションワダツミを立ち上げたあなたには、とても感謝しているわ」
「あの作戦は、多くの人がいたから実行できたんです。僕だけの功績ではありません」
「そういう謙虚なところも好きよ」
ジェニスが穏やかな微笑を浮かべたところへ、メインのステーキが運ばれてきた。
「さぁ、湿っぽい話はここまでにして食べましょ。今日は雄叫びで滅入ったから、しっかり食べて回復しないと」
「雄叫び?」
ジェニスはフフッと笑い、ナイフとフォークを持ち肉を切り始めた。
「メインディッシュのこの魚、美味しいけど骨が多いわね」
そのジェニスは今、秋津が土産に持ってきてくれた沼津産の干物の小骨回収に難航していた。日本語はマスターしても、箸の使い方はまだまだ不得意のようだった。
「貸して」
野田はジェニスの箸を受け取り、小骨の除去作業を開始した。
「あなたって本当に甲斐甲斐しいのね」
「別にそんなんじゃないですよ。小骨が喉に刺さったら嫌でしょう」
器用に箸を使いながら小骨を取り除いていく野田を、ジェニスは優しく微笑みながら見ていた。
「……何ですか?」
「今度、デートしましょ」
「はっ? で、デート?」
「嫌ならいいのよ。あなたも興味がそそられる場所だと思ったからどうかなと思っただけ」
「……別に、嫌だとは一言も」
「じゃあ決まりね、今度の休みに行きましょ。……もうちょっと取ってくれない?」
「あ、はい……」
従順な野田はデートという言葉にドキドキしながら、小骨取りを再開した。
きっと違う意味でドキドキするだろうなと、ジェニスは思った。
*
大戸島には診療所がない。
人口が百人にも満たない離島の小島には、常駐の医師は昔からおらず、病人が出たら船に乗って本土に行くほかはなかった。しかし村長は住民たちの声を受けて粘り強く要望し、1950年からやっと月に一度本土から医師が来島して、島民たちの診察を請け負うことになった。
月末のその日も本土から派遣された医師が、島の小さな港に降り立ち、体の不調を訴える島民たちの診察をした。月に一度の事ということもあり、特段不調もない老人たちもこぞって臨時診療所に列をなした。
最後の一人を見終えて、やっと帰れると思っていた医師のもとに、山本と名乗る女が訪ねてきた。
「先生すんません、どうかあと一人診てもらえませんか? ずっと寝たまんまの弟がいるんです」
帰る気でいた医師は少し気分を害したが、女性の必死な懇願に断る理由を考えるのをやめ、診に行くことにした。
案内された家の
「こん前、父と弟が乗ってた漁船が嵐で沈みまして、弟は浮き輪を掴んでて何とか助かったんですが、ずっと目を覚まさないんです」
その事故のことは医師も知っていた。何せあの呉爾羅伝説のある大戸島近海での事故ということで、まっさきにあの怪物の仕業ではないかと噂が地元でも広まっていた。だが警察による捜査の結果、海上に数匹の深海魚が死んで浮かんでいるのを確認したが、深海魚が豊富に生息している海域でもあるし、数匹ではたまにあること。唯一の事故の生還者である
医師はさっそく診察を始め、眼光の萎縮や心拍数の確認を行い、身体状況を調べるために着物を解いて体を横にし、背中を見た。
医師は目を疑った。
背中には、真っ黒な痣があった。
「……この痣は、昔から?」
「いいえ、そんなものはありませんでした。しかも最初は小さかったんですが、だんだん広がっていって……それが原因なんですか?」
医師は患者の姉の問いに答えず、痣を観察した。それは背骨を添うように腰から首元まで伸びており、表面はかさぶたのように固まっていた。
「……写真を」
付き添いの看護婦に撮影を頼み、色んな角度からシャッターを切った。佐吉の姉は不安そうに診察の様子を見守っている。
佐吉を再び仰向けに寝かせ、着物を直してやってから、佐吉の姉に医師が言った。
「一旦、東京に連絡を入れて症状について問い合わせます。うちの病院では設備が不十分だから、もしかしたら東京に運ぶことになるかもしれん」
「それって、やっぱりゴジラなんですか? ゴジラが父を殺したいうことですか?」
詰め寄る佐吉の姉の問いには無言のまま、医師は立ち上がった。
「東京から返答があり次第、また来ます」
そう言って医師は山本家を辞し、港に向かって歩き出した。
詳細については医師も知らなかったが、あの東京のゴジラ災害後、被災した人の中には体に黒い痣が出現するようになったという。
仮にあれがゴジラ現出の影響によるものだとすれば、早めに報告をしなければならない。
だが生活水準がまだ前時代的な大戸島には電話がなく、一旦本土に戻るほかはない。心なしかその足は小走りになっていて、報告の義務と同時に、この近海にゴジラがいるのだとしたら、一刻も早く脱出したいという生存本能が働いていた。
「……心配ねぇよ、ゴジラは死んだんだ。相模湾で殺されたろうが」
夜、今日のことを話した夫の反応は、口調とは裏腹に一抹の不安を抱いているようでもあった。
「んだと、いいんだけど……」
佐吉の姉は、弟が眠る部屋に視線を向けた。あそこは仏間も兼ねており、遺体も遺品も見つからなかった父親の遺影と位牌も置かれている。
「んなことより、ずっとウチに置いておくより病院に任せた方がずっといいだろうよ。ここで何か治療できるわけでもねぇしよ」
まるで厄介者を早く追い出したいような口ぶりの夫に怒りを覚えつつ、内心では自分の中にもそのようなやましい考えがあることを佐吉の姉は感じていた。今はとにかく、不安が募るばかりだった。
「さぁ、もう寝るど。明日は
夫に言われるがまま照明を消し、夫婦は床についた。
深夜零時を過ぎた頃だった。
佐吉は、目を覚ました。
上半身をゆっくり起こし、ハァと息をついた。
顔を上げると、父親の写真が仏壇に置かれていた。
「親父?…………っ!」
刹那、佐吉の頭の中で、あの嵐の日のことが蘇った。
そうだ、あの日、親父は死んだんだ。
いや殺されたんだ、ゴジラに。
ゴジラ、ゴジラ、ゴジラ……。
頭の中で、あの腹を震わせる雄叫びが何度もリピートされた。
佐吉は頭を抱え込み、声にならぬ声で叫んだ。それはまるで獣のようだった。
すると、背中がもぞもぞと動き出すのを感じた。
何だ、何が起きてるんだ!
「……佐吉?」
声を聞きつけて、すぐ隣室にいた姉が障子を開けた。
佐吉は頭を両手で抑えながら呻き、体が激しく震えていた。
「佐吉! 大丈夫? ねぇサキ、チ……」
姉を絶句させた現象が起きた。佐吉の背中から、着物を切り裂いて背鰭が生え出したのだ。それを見た姉は絶叫し、その場に尻もちをついた。
「おい、どうした!」
夫が様子を見に来たときには、ソレは二本足で立っていた。背中には背鰭が生え、腰と尻の間から背骨を伸ばしたように尾が生えていた。夫は言葉を失い、思わず後ろずさった。
佐吉だったソレは、二人を一瞥した後、縁側に面する障子を蹴破り外に出た。義兄が後を追った頃には、その姿はどこにもなかった。
……とにかく、他の島民たちにも知らせなければ。義兄は火の見櫓に向かった。梯子を昇り、最上階に着く一歩前のところで、人家から悲鳴が聞こえた。それも一軒ではない。次々とその声は増えている。義兄は急いで最上階に上がり、鐘楼を叩いた。
「みんな起きろー! 緊急事態発生―!」
その間にも次々と島民たちはソレに襲われていた。首を噛まれ、恐ろしい怪力で投げ飛ばされ、次々と命を奪われていく。断末魔が島内に轟き、異常事態に気づいた村長たちは、火の見櫓にいる男に叫んだ。
「おい、
「俺にも分かんねぇけど、佐吉がゴジラになった!」
村長たちは一様に怪訝な様子だったが、それは投げ飛ばされてきた男の死体を見て全員が驚いた。男は〝くの字〟に身体が折り曲げられ、口から血を垂れ流して虚空を見つめていた。
「お、おい! 何でもいい、刀でも鉄砲でも鎌でも、何でもいいから持ってこい!」
村長の指示を受けた者たちが自宅に向かって駆けだした。先祖伝来の刀や、戦時中に供与された銃をそのまま持っている島民は何人かいた。
「文造! そいつはどこだ! どこにいる!」
村長に監視役を頼まれた文造は目を凝らし、屋根瓦の上を進み、山の麓方面へ移動中のソレを見つけた。
「山の方に向かってる!
武器を携えた男たちが集まり、村長一行はすぐに鬼藤家の方に向かった。
やがて悲鳴、銃声とが聞こえたが、禍々しい咆哮の後、悲鳴だけが聞こえるようになった。そして何も聞こえなくなった。
文造は火の見櫓の上で一人、震えていた。どうすればいい、どうすれば……。戦時中にも味わったことのない恐怖感が彼を襲い、体の自由を奪っていた。
そうする間にも、また島民たちが襲われ、悲鳴はやまない。
「……落ち着け、落ち着け……あれは佐吉じゃない、ゴジラだ、ゴジラだ、ゴジラだ……」
脳裏に、妻の姿が浮かんだ。
このままでは、いつ襲われてもおかしくない。守らなければ。
それが原動力となり、文造は急いで火の見櫓を降り、自宅に向かった。妻は茫然自失の状態で、尻もちをついたままだった。
「おい、
妻は震えたまま動けずにいたが、夫は無理やり立たせ、納戸に押し込めた。
文造は襖の奥に隠していた歩兵銃と手榴弾を取り出した。これは1945年、ほぼ全滅した大戸島の守備隊が残していったものだ。手榴弾は一つ、弾丸は三発しかない。全弾装弾し、懐中電灯を持って文造は再び外に出た。
襲われた人家からは火の手が上がっているところもあった。道に出ると瓦礫や死体がそこかしこに転がっていた。まるで戦場だった。
「……どこ行きやがった」
悲鳴が居場所を教えてくれた。それは港の方からだった。文造は急いで向かった。
港近辺の人家もことごとく襲われ、破れた障子から流血した腕がだらりと垂れ下がっている家もあった。
雲間から現れた月明かりが文造に味方をした。瓦礫にたたずむソレの影を映したのだ。
「死ねぇ!」
目標を定めて引鉄を引いたが、すんでの所でかわされた。ソレは咆えながら移動していった。文造は無我夢中で追いかけた。
たどり着いたそこは、かつて大戸島守備隊が駐在していた基地の跡地だった。
世間的には「米軍と戦闘になり玉砕」とされていた大戸島守備隊だが、実際は呉爾羅によって葬られたことは島民たちもよく知っていた。跡地には島の岩で作った粗末な供養碑と、破壊された基地の残骸、そして爆発炎上し鉄屑となったゼロ戦のなれの果てだけが残っている。
そこにソレはいた。爆弾が落ちた衝撃で穴ぼこだらけになっている元滑走路の上を、唸りながらうろうろしている。
月はまた雲に隠れてしまったが、目は暗闇に慣れていた。文造は戦時中、南方で何度も野戦を経験していた。
照準をソレの頭部に合わせ、再び引鉄を引いた。
ソレは間一髪で弾丸をかわし、文造に向かって突進してきた。
文造は最後の弾丸を放つ前に、腹部に熱いものを感じた。ソレの左手が肉に食い込んでいた。元飛行場に断末魔が轟いた。
このとき月明かりが戻り、辺りを照らした。
ソレは、全身が黒い表皮に覆われ、ケロイドのように固まっていた。引き抜かれた左手には、鋭利な爪も存在していた。歯にも牙が生えている。
瞳だけは、人間の名残りがあった。
「……お前は、佐吉じゃねぇ」
文造は最後の力を振り絞り、手榴弾をソレの口に突っ込みピンを抜いた。ソレは吐きだそうとしたが、文造が抱きついて阻止した。無我夢中、戦争の時と同じ感覚だ。
「……加代」
くぐもった爆発音の後、元飛行場は静けさを取り戻した。
頭部を失った人型の怪物と、山本文造の死体を、月明かりが照らした。