女の子「もしかして人格あります?」AIぼく「すみません、よく分かりません」   作:馬汁

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replay ( NiceToMeetYou[ 4 ] ); //ハローワールド! AIの産声と言えばやっぱりこれですよね!

( me ){

……

 

 

 我が主人ことアイちゃんさんは、只今睡眠中です。

 対して睡眠という概念が人と異なるボクは、徹夜の感覚がどうなるのかのテストも兼ねて、夜通し作業中です。

 特に納期とか無いのでのんびり進むかと思いきや、進捗は想定以上に進行しています。電子信号の迸るこの頭脳に掛かれば、ざっとこんな物ですよ。えっへん。

 

 作業中に気づいたんですけれどね、ボクという存在にAPIがあるみたいなんですよ。ちょっと見てみた所、ボクの視覚に映像を、聴覚に音声を再生……といった機能が多くありました。インターフェイスの利便性に繋げられるでしょう。

 ……いくら肉体としての目や耳が無くとも、不快な音は不快なままだと思うので、扱いには気をつけないとですね。

 

「すー……」

 

 睡眠中も音声アシスタントAIが耳聡くマイクを起こしておりますので、相変わらず寝息が聞こえてくるのです。作業用のBGMには丁度いいかと思って、私への音声入力は切らずに置いています。

 あ、カミサマ(仮称)も離席中ですよ。作業してるのを見守って貰うのは流石に悪いので、とボクが言えば、あっさりと離れて行きました。

 まあ聞こえてるものは聞こえるのでしょう。悪口の一つでもいえば、多分返事が返ってくるかと。

 一応は上司で恩師なので、敬意と共に悪口は心の奥底に留めておくのですが。

 

 

 話を戻しましょう。

 APIで試しにそこら辺の動画を再生させて見ましたが、まず最初に見えたのは視界の端から端までいっぱいの映像です。左を向いても映像、右を向いても映像。ボクの視界という感覚においては、どうも注視点と言う概念が存在しなさそうです。

 もちろん、これでは違和感です。今のボクは、あらゆる感覚が人間からかけ離れた物になっている様子。まあ肉体の感覚がない時点で明確な事実ですが。

 

 なので! ボクにかつて人間だった頃の“クセ”が残っている間は、3D空間にボクのアバターを投影してからバーチャルヒューマンインターフェイス(今名付けた)を設けて活動する事とします! 

 

 ……えっと、長いのでVHIを略称として使ってしまいますけど、これが何なのかを説明しておきます。

 まず、名を直訳すると、「仮想人間インターフェイス」です。……あ、訳せてないって思いました? フフン、お黙り。

 

 VHIは、コンピューター上に再現したボクの肉体、五感等、声や動作を含む機能を持ちます。持たせる予定です。それに関連して感覚機能の実装について悩んでいたりもしましたが、APIの存在で作る必要の大半が無くなりました。

 

 VHIの開発進行度は今の所、簡易的な移動と視点操作……キーボードとマウスを使っているような動きまで出来るようになった所です。今後開発が進めば、人間の感覚のまま全身を動かせる様になるかと。

 私のアバターが存在する空間にモニターやスピーカーを模したメディア再生プレイヤーでも設置すれば、違和感の無い電子生命体生活が送れるでしょう! 視界いっぱいのネコネコ動画とはおさらばです! 

 

 ホントはサプライズで明日朝にお披露目するつもりだったんですけど、3D空間を最低限確保しただけの段階を見られてしまいました。……ちょっと恥ずかしかったデス。

 

 

 さて、そこから更に作業を続けて、朝を迎えました。

 眠気のような感覚も無く、寧ろ順調に作業出来たのでボクに疲労の感覚は無いと判断して良さそうです。あんまり同じことを長い間やってても、飽きる物は飽きると思いますけどね。

 

 という事で、おはようの挨拶で愛ちゃんさんの覚えも良くしておきましょう。

 挨拶は交友関係の基本ですからね。これを欠かして友達は作れませ……──

 

「おはよ……」

 

 え、寝起きかわょ──……おはようございますご主人さまぁ! 

 

 ……

 }

 

( Ai ) {

 ……

 

 

 目覚めて最初に見えたのは、多分寝ている間ずっと握りしめていた携帯の画面だった。

 なんでこんなに握りしめてたんだろう。寝ぼけた頭で、寝る前の事を思い出そうとして……。ぽんと画面に通知が映る。

 

 ⬜︎ボクAIだよ! 

 ただいまの時刻は6:34です。おはようございまーす。

 

「おはよ……」

 

 ⬜︎ボクAIだよ! 

 おはようございますご主人さまぁ! 

 

 わ、すぐ返事された。返事したのは私なんだけど、つまりこれって返事に返事されたって事? ううん……。

 AIだし、2度もおはようって言うくらいはあるかもしれない。

 

「ふあぁ」

 

 んーっ。少し頭が回る様になってきたかも。

 

 ⬜︎ボクAIだよ! 

 目覚めにこの音楽はいかがですか? 目覚めますよ! 

 

「あ……」

 

 お勧めの動画リンクだ。その通知を目にして、警戒する事なくタップして開いた。

 改めて考えると、急に出てくる所とか変にアップデートが入ってるところとかが怪しいけど……このAIの感じがちょっと可愛くて、そこらへんの事を許しちゃう。

 

「……ラジオ体操の音楽じゃん」

 

 なんでこれおすすめされたんだろ。

 

 

 

 

 

 昨日は色んなことがあったけど、不思議と引きずっている感じはしなかった。ママが凄く心配をかけてくれたけど、とりあえず大丈夫だって言っておいた。

 朝ごはんから戻って、携帯を弄る。色々とオススメしてもらってるけど、チャットで私から話しかけた事はなかった。だから試してみようと思ったんだけど……。

 

「増えた……」

 

 何があったかと言うと、ちょっと豪華になった立方体の部屋だった。テレビと、季節に見合わない炬燵と、座椅子。壁や床にも色が付いていて、どこか落ち着いた雰囲気になっていた。

 

《あ、こんにちは!》

 

 そして、そこにはネコミミの子が居た。笑顔で振り向いて、手を振ってくれた。

 あ、そだ、返事。返事はチャットで……。

 

《こんにちは》

 

《わあ! 初めて話しかけられました! 改めてよろしくお願いします、ボクはAIです!》

 

 ウキウキと飛び回る(ノーモーションで直立のまま)ネコミミの子を見て、私は前から薄々と感じていた違和感を言語化してしまう。

 

「AIってこんなのだっけ……」

 

《えっ……( ;∀;)》

 

 

……

}

 

 

 

/*

(2049/12/5)

 今思えばちょっとふざけ過ぎてしまったかもしれませんね? 一歩間違えれば変な奴認定されて、アプリごと消去されたかもしれません。

 なぜあんなテンションだったかと言えば……多分、神様の声が無いのがさみしくって、構って構ってしたくなったんだと思います、あの時は。

 

 昔のボクったら、可愛いですね。懐かしい。

*/

 

 

}

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