その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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十二話 

直哉に勝ってはや数日、私はなんとか東京に帰って来れたが。しかし直哉はしつこかった。負けたのがそんなに嫌だったのか何かと理由をつけて再戦をつける。流石に疲れはさっぱりと無くなったので苦戦することはなくなったが、帰るその日まで挑んできた。

 

 

私は数日くらいいなかっただけ全部が久しく思えてきた。

 

「稲羽さーん!!」

 

この活発な声はと振り返ると手を振りながらこちらに向かってくる灰原がいた。その後ろくらいに七海が歩きながらきた。

 

「おぉ〜、久しいな灰原と七海よ。何日振りじゃろうか」

「四日振りじゃないかな、今回の呪霊は大丈夫だった?」

「なんともなかったぞ、ただ直哉が何かと理由付けて試合を申し込んできたの。まあ全部我が返り討ちにしたがの」

「禪院...直哉...か」

 

何かを直哉の名前を出すと灰原は嫌な顔をしていた。やはりあそこの家系は皆ヤバい奴らばかりの印象が強いからだろうな。

 

「ほんとになんもなかったぞ?禪院の当主、直毘人にも会ったがあれは割とまともだと思ったが」

「...そうなんだ」

「何をしてるんですか?お二人とも早く行かなければ遅れてしまいますよ」

 

後から来た七海によって話を切られる。変な雰囲気になっていたところで来てくれたので少し助かった。

 

 

それから特に何事もなく月日は進んでいき二年になった夏の月、その年はうんと暑かった。暑かったので私たち、灰原と七海とで海に行く計画を立てていた。何せ去年の今頃はし時間がなかなか合わず諦めていたからである。そういえば海に行くのも初めてな気がする。ウキウキしながら水着や浮き輪など海に行く装備を買っていった。任務をこなしながら海に行く日を楽しみにしてあと一週間前になった。その日は何もなくいつも同じように終わると思っていた矢先、私のところに急な任務がやってきた。それは宮城のある村にいるらしい。なにもそこの村はつい最近まで普通の村だったのだが、ある日を境に忽然と人の姿を消したという。術師を何人か送り込み調査をさせたが、誰一人と帰ってくることはなくそこで私が呼ばれたそうだ。こんな時に来るのはなんとも間が悪いというか、しかしそんなことを言う資格は私にはないので従うしかない。早めに祓おうと色々準備していると灰原と偶然会う。いつもと同じ当たり障りのない会話をした後、灰原も用事があるのか後にした。彼が去った後、何故か胸の辺りがキュッとなり鼓動が早かった。

 

 

補助官の人に速く着くよう急かしながら目的の場所に着いた。着いて目に映るは一面に人の死骸や動物の死骸やらで咽せ返るほど腐乱臭がひどかった。この感覚は厄介な呪霊がいるのだろうなと感じ取ることが出来た。警戒しながら歩いていると黒いモヤのような手が襲ってきた。それもかなりでかい、咄嗟に避けたがその手から酷い臭いが漂う、多分あそこの死骸を作ったのはこの手であっているのだろう。しかしそれだけならせいぜい二級が良いところだろう。何かまだ隠しているはずと思い周囲を見渡す。すると地面から手が生え私の足を掴む。その手が何か恐ろしいものに見え急いで斬るが霧のように散り掴まれたところは内出血が起こり青く変色する。これは早く済ませないと死んでしまうなと直感で理解し、手印を組む。

 

「瞬く間に終わらせてやる」

 

黒い球体が私の足元から急速に広がるこの村を包むように、

 

「領域展開『欠月叢雲』」

 

辺りは夜となり平安の都が作られる。しかし月はあいも変わらず雲に隠れている。それまで黒いモヤの手に過ぎなかったものはモヤが消えその姿が鮮明となる。人の皮が剥け肉が露出しているが空気に触れ続けたせいか腐り見るも無惨な大きな手であった。その手は一人でに動いているわけではなく腕が小屋まで続いていた。そこに行きたいところだがそれをあの手が許すはずなくて、行く手を阻む。その手に気を取られると背後から何かが迫る気配を感じ横に避ける。すると先程いたところからでかい物体が押し潰していた。すぐさま槍を造り出し串刺しにした。今度こそでかい手を斬り裂き先へと進むが、地面からまたでかい手が生えた。次は六つにに増え、一斉に叩きつけてくる。私はそれを前方に避け刀を斬り上げ手首を一本飛ばす。しかし斬り飛ばされた手首から手が新たに生えてくる。相手は呪力を相当持っているようだ。私も負けてられないと思い、多数相手の対策を講じてきた。今まではこの領域内に満遍なくやって祓っていたが、それは相手が弱い場合だからできたこと。こうゆう再生などで戦う相手には少しばかり厳しい。しかし一人では対処ができない、

ならば私を増やすまで。この領域内だからこそできる技。

 

月下日蝕(げっかにっしょく)

 

私の影から黒い私が這い出て来た。本来ならこの技は存在を維持させるだけでかなり呪力を喰うが呪力消費なしの環境だからこそ力を発揮できる技。しかしいくら増えたところで私は一人なので簡単な指示しか出来ない。

 

「数の暴力を知れ、そして消え失せよ」

 

私の影が大きくなりそこから無数の黒い私が飛び出す。私は刀を振り上げ呟くように言う。

 

「『隕影』」

 

振り下げると黒い私たちがでかい手に向かい突撃する。当然そいつらは払おうと薙ぎ払うがそれ以上に物量で襲いかかる。あの手に触れると爆発し破壊していく。奴の再生力も異常だがだんだんと押されて最終的に再生が間に合わなくなりとうとう戻らなくなる。私は攻撃をやめ辺りが私の死体で埋め尽くされた。私はそのままさっきの小屋まで行き小さな箱を目にする。そしてその横には女と思わしき死体が転がっていた。多分だがこれが首謀者なのだろう。死体を弄り何かないか確かめて手記を見つける。中身はほとんど血だらけで読み解くことは出来ないが怨みつらみを書いていそうなのがわかった。しかしこの箱が何か分かればよかったのだが、その箱に触れてみる。

すると頭に直接何かが流れ込む、そこはコンクリだけの部屋で九人の子供が一人ずつ殺していく映像が流れた。それも一人一人爪をじっくり剥がしていき次に指を、次に足を時間を掛けていた。そこはまさに地獄であり、子どもたちの悲鳴や慟哭が響き、血の気が引いた。全員を始末した後に箱に詰め込むために小さく小さく刻み詰め込んでいった。

ここまでで思わず放してしまい吐き出してしまう。辺りに酸っぱい匂いが充満し、少し正気を取り戻した。この箱はこの場で破壊しないといけない。そう思い刀で叩きつけてようとするが傷一つつくことなくそこにあった。そしてそのお返しなのか背中に切られたような痛みが返ってくる。これは私では祓いきることが出来ない、そう直感し、袋に包み込み領域を解除する。すぐ補助官に連絡しこれまでのことを報告する。

 

 

あの後、何人かやって来てあの箱を渡すよう言われたので素直に渡すと、その人たちはそれぞれ色んな封印を施し応急処置を終えたと言った。しかし、呪いを祓うことは不可能なレベルになっていて、どうやら私を魅入られたらしい。もし手放してしまうと未曾有の大災害が起こるとか、そのせいで私はいつでもこの箱を持っていなければいけなくなった。厄介なことになったが悪いことばかりではなかった。どうやらこの箱、何やら意思みたいなのがあるみたいだ。私はあることが気になりただの人形を取り出しその中にその箱を埋め込むと私の意思とは関係なく一人でに動き出した。ただまだ慣れてないのか、日本足で立ち上がることは出来ないみたいだ。これはまた良いものを貰ったと思いニヤニヤしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...その後悟に自慢げに語ったら「うわキモ」とドン引きされた。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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