その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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十五話

あの後灰原に扮した呪霊は結局見つかることはなかった。ただ奴は私にまた会うと言っていた。それがいつになるか分からないが次に会うときは必ず私が祓って見せると心に誓った。

 

別の日、傑はとある任務で小さな集落に行くといい、その時の私は気持ちが少し立ち直ることが出来たので軽い気持ちで一緒に行くことにした。

傑は私が付いてくる事に何故か嫌がっていたが、連れてってくれないと泣くぞと脅したら何故か了承してくれた。しかし私がいなかったら色々不都合が生じるから私の代わりを取り出す。小さな箱を取り出す、古い文献を探って分かった。私自身こんなものに懐かれて末恐ろしいと感じたが、誰かを襲うことがなかったら祓う必要がなかった。

袋から私そっくりな肉体を取り出し口から箱を入れる。すると空の肉体が大きく仰反ると一人でに動き始め起き上がり、光のない眼でこっちを見る。

 

「悠リ、ナニ擦レバィイ?」

「しばらく我の代わりをしてはくれぬか。なに、すぐ戻る」

「ウん、わかッタ!」

 

彼女に任せて傑と共に向かった。

 

車の中は傑がよく話してくれるが何か考えているようでどこか歯切れが悪い。

 

「なぁ傑?おぬし今何考えておる?」

「ん?あぁごめんね悠里、少し疲れてるみたいだ。私は少し寝るから着いたら起こしてくれないかい?」

「嫌じゃ、我も寝る」

 

傑はそのまま眠りついてしまった。絶対何か隠しているみたいだったがそれを聞く前に寝てしまった。どうせ長くなるのだ、私も寝て英気を養うとしよう。私は傑の肩にもたれ掛かるように眠った。

 

                        

 

車に激しい揺れを感じ目が覚める。気づくと辺りは木々が鬱蒼としており、集落が近づいていることを知覚する。私は傑の肩を揺すり起こそうとする。

 

「傑、起きよ。もうすぐ着くぞ」

 

しかし傑が起きる気配がなく、私はさらに強く揺さぶることでやっと起きた。

 

「ん〜...もうすぐ着くのかい?悠里」

「もうすぐ着くから起こしたんじゃ。ほんとに大丈夫か?」

「よく寝たからね、もう大丈夫さ」

 

大丈夫と言うがやはりおかしい、後輩が死んだんだ。私ほどではないにしろ何かしら思う筈だ。

 

「なぁ傑?我はおぬしが心配じゃ、大丈夫と言っても誰から見てもおぬしはかなり無茶をしてあるのではないか。我は知っておるぞ、おぬしは呪霊を不味いと思いながら取り込むのを」

「...」

「我は別にいいんじゃぞ、おぬしの愚痴を聞いても」

「...君に何がわかるんだい...?」

「あぁ別に我は無理やり聞くなんて無粋なことはせぬ、ただどうしようもなくなったときは我に頼れ。なぁにそのときは大船に乗ったつもりでおれよ」

「...わかったよ」

 

そんな会話をしていると着いたらしく止まった。

私たちは車を降り依頼者に会いに行った。その依頼者は年寄りで頑固そうなイメージが浮かんだ。

 

「あぁよく来て下さいました。ささ、頼みたい事はこちらにあります」

 

と連れてってくれる。目的の場所に行く途中、大きい納屋を通りがかる。たまたま戸が開かれてなんとなくでみた。いや、見えてしまった。

そこには二人の少女が檻に閉じ込められていたのだ。

気になりはしたが私個人で首を突っ込むものではないと思い押し黙る。私たち二人は目的地まで来て呪霊の残滓を追い祓う事にした。呪霊の等級自体はせいぜい三級と二級の中間ぐらいの強さだった。私が出る幕はなく傑がその呪霊を取り込み終わった。しかし依頼者はまだやることがあると言われあの納屋まで連れられ中に入るよう促される。

 

「これが最後の依頼です。この小娘らを殺して欲しいのです」

「ハァ?今なんと言いましたか?」

「だからこの小娘らを殺して欲しいのです」

 

言ってることが理解出来なかった。理由もなく殺すのは私とて理解に苦しむ。傑もあまりのことで素が出ていた。

 

「何故やる必要があるのでしょうか?この子達はなんの罪もない筈ですが」

「何を言ってらっしゃいますか?全ての原因がこいつらにあるんです。我々の知り得ぬ力を使い、集落の住民を殺しているのですよ」

「いえ彼女らは何の関係もありません。それに原因はもう祓いました」

「馬鹿な事を言うんじゃありません----」

 

こいつらは何を言っているのか分からない。だが無理もないのかもしれない。少なくとも非術師は呪霊が見える筈ないのだから見える何かのせいにしたがる。私だけなら何とも思わないが、だけど今は非常に間が悪い。

傑は何をするか分からない。傑を見ると何かが切れたように見え、彼の後ろから使役してるだろ呪霊が出てきた。

 

『ダいジョゥぶだヨ』

 

彼が何かを言う前に私は裾を掴む。傑は少し驚いたようにこっちを見た。

 

「ダメだよ...傑...そんなこと、我に...任せて」

 

傑の代わりに前に立つ。私をみるこいつらの目が鋭く恐ろしい。

 

「その...この子達、が殺した...証拠はあるの?」

「証拠って、そりゃあこいつらがよく分からない力を使ったんだからそうに決まってる」

「いや、だから...その証拠を...「しつこいぞお前ェ!そいつらがやったんだから早く殺せぇ!」

 

私の言葉を遮るように男は怒鳴り少しびっくりする。人とはどこまでも愚かなのだろうか、昔と何ら変わらない。こいつらに少しイラッとする。

 

「あの...証拠もなし、殺せと...そう言うんですか?違うかもしれない状態で、我々に...人殺しをしろと」

 

私の言葉の明らかな苛立ちをこいつらから感じ取る。気分が悪い、

 

「貴様らに...そんな事を命令に...従う必要があると、思うか?」

「..あ"あ"ぁウザったいなぁ、お前如きが口答えするな!早く殺」

 

何かを喚く男の真隣を壁に大きな穴が空き轟音が鳴り響く、あまりに気持ちが悪すぎて思わずやってしまったが黙ったのでなんの問題なし。

 

「黙れ、貴様らが口答えするな...いつから神様になったつもりになったんだ。この子らは我が責任を持って引き取る、これで問題ないだろ?」

 

 

その後はスムーズにことが進んだ。何か私を見る目が恐れられているような気がしたがここにくることはないからどうでもいい。でも絶対怒られるだろうな、と思いながらあとのことを思いながら身震いを起こす。車で傑と子供二人が静かに乗っていた。気まずい...。

 

「ねぇ悠里...その、ありがとう」

「いいんじゃ、我も奴らが気分が悪かったからな。スッキリしたか?」

「いや?全然」

 

彼を止めなければきっと...過ぎたこと考えてもしょうがないかと思い考える事をやめる。

私は次に子供たちを見る。彼女らはどこか不安そうな表情を浮かべている。ここは安心させるのが吉か。

 

「のぅおぬしら、これ食べるか?」

 

と飴を袋から取り出して見せる。子供たちは怪しがっているので食べて安全な事を教える。

 

「安心せぃ、毒なんて入っておらん。おいしいぞ」

 

恐る恐る手を伸ばし飴を受け取り食べる。彼女たちは美味しそうな顔をして緊張を和らげてくれた。

 

「おいしい...」

「そうじゃろそうじゃろ!いいとこの飴を買ったからなおいしいに決まってる」

「もっと..欲しい」

「まだまだあるぞ。ほれ、受け取れ」

 

嬉しそうにそれを受け取り幸せそうな表情を浮かべる。良かった、と安堵し緊張が解ける。傑もいつもと同じに戻り何とか持ち堪えたように思い、私は寝ようとする。

 

「大丈夫かい悠里?」

「なに気にするな、どっかの誰かさんが何かしでかすんじゃないかと心配だったのでの、何事もなくてよかった」

「...本当にごめんね。何でもするから許してくれないか」

「別に気にしておらんが...そんな顔するでない、ではこの子らを守ってやってくれないか?我ではどうにも正しいことを教えることが出来そうにないのだ。おぬしならあの中で一番まともじゃ、安心して任せることが出来る。頼まれてくれるか?」

 

すると嬉しそうに傑が頷き。

 

「わかった、私がこの子達を守ろう。あの猿どもから守ってみせるさ」

 

なんか思った答えと違う気がするが、まあ大丈夫そうか。と思い眠る。

 

 

 

                        

 

あの後高専に着くと私の分身と悟がなんか暴れてて色々大変なことになっていた。そして私を見つけるやいなや危機迫る勢いで近づく。

 

「おい、稲羽。こいつは何だ?」

「いやぁ、そのえっとぉ」

「答え次第じゃぁお前をしばかないといけない」

「ほらあれじゃ、いろいろあってな...カモフラージュのために作っただけじゃ。そもこいつには戦わせないよう伝えた筈なのじゃが...」

「あれはそんな雑な事をするなよ」

 

悟が頭を掻いて睨んでくる。蛇に睨まれたみたいに動けない。

 

「ご、ごめんなさい!許して欲しいのじゃ。何でもするから許して欲しいのじゃぁぁ!!」

 

 

この後、一週間私は座敷牢にぶち込まれ反省文を書かされた。




多分あと少しで原作に入れそうです。
おやすみなさいませ。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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