その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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十五.五話

「悠リ、ナニ擦レバィイ?」

 

私の私の主人(悠里)によって起こされる。身体が急に生えていて驚いたが、これにはきっと理由があると思い聞いてみた。

 

「しばらく我の代わりをしてはくれぬか。なに、すぐ戻る」

「ウん、わかッタ!」

 

代わりって何だろう。よく分からないけどきっと大事な用事があって頼んでいるんだろう。そう思うことにした。

 

主人とヘンテコな髪型の男が車に乗ってどっか行った。だけど主人は普段何をしてるんだろう、そういえば聞いてなかった。そんな事を考えていると怖い顔をした男がやって来た。

 

「おい稲羽、一体ここで何をしている。またサボりか?」

「サぼり...?チガぅヨ!」

「ん?お前なんかおかし...またやりやがったなあいつ...」

 

何か分からないけど怒ってそうだ。誤解しているのかもしれない、だったら説いてあげないと。

 

「勘チがイシナい出、ワタシハ「いや何となく状況はわかった。あいつには仕置きがいるようだな」

 

誤解は解けたみたい。そのあと怖い男、ヤガは私にお仕事を渡しに来たみたいで話を聞いてみたが、言ってることの半分以上が頭に入らなかった。でも悪い子を倒すことだけはわかったからやってみることにした。

 

 

寡黙そうなおじさんの車でその場所に向かう。そこは大きいお屋敷みたいなところで車は止まる。私は車を降りてお屋敷の前まで行く。とても悪い空気が漂っていて、私まで嫌な気持ちになる。早く終わらそう、そう思い扉を開ける。その瞬間、私の体が糸で引っ張られるように引きずり込まれた。乱暴に叩きつけられて痛かったけど、動けない程じゃなかった。起き上がり周りを見た。どうやら中は思ったより広く暗かった。だけどそれ以上にいい匂い、人の腐った匂いにカビの匂いが心地よく感じた。

 

「ワるいコハ奴こカナァ...!」

 

気分が良くなってしまうけど全開でやっちゃダメとヤガに言われたからそれは守らなきゃ。私は人の反応を探すために『目』をこの屋敷全体に張り巡らせる。生の気配を探し、

 

「見ツ気たァ..アひゃッ...!」

 

嬉しさのあまりうっかり笑みを浮かべてしまった。だって生きた人間を食べることが出来るから楽しくてしょうがない。場所は...上の方、まずは人を手前に引きずり下ろす。私は目を瞑る。

 

「手疾く去ね」

 

『手』で上の部屋を破壊して悪い子が姿を現す。いきなり床がなくなっていることに気づいて驚いている。

 

「な、何だこいつ!?いきなり腕が生えたと思ったら床を壊しやがって。舐められたものだなァ?」

「ナにを怒ルの?同セモうシ布に」

「何を...!」

 

至る所に『手』が生え始める、でも悪い子が逃げ出したらまた探さなきゃいけないから口が床に生え呪いを吐き出しこの場所に強力な結界を作る。

 

「何でこんな奴がここにいるんだよ...!けどお前をやらなきゃ少なくともここから出れないんだろう?やってやるよ!」

 

あいつは何か細い糸のようなものを無数に張り巡らせ死骸を突き刺し何かを唱える。

 

『糸血操術・這壊死遊(はいかいしゆう)

 

そのようなことを唱えると死骸が一人でに動き出し私を襲ってきた。そいつは手が腐り切っていて骨が見え、その骨て攻撃してきた。避けることができない私に当たる。当然痛かったが、私は怒ってしまった。ただの人間が反抗してきたことに苛立ちを覚えついムキになってしまう。

 

「...殺ス...!『餐坐羅斬砕』」

 

無数の手が死骸を大雑把に叩き潰し、あいつがまた再利用されないよう処構わず掴めるものを片っ端から地中に沈める。この体を傷つけたあいつだけは許さない。四肢を剥いで地獄の底に落としてやる。

生きている反応が動いた。これは...私に向かっている!何だ、こっちにくる勇気はあるんだ、と思いあまりの愚かさに笑みが溢れる。私は床から手を奴の後ろに生やし足を掴もうとする。その瞬間掴む手が急に止まる、動かすことすら出来なくなってしまった。手間取っていると何かが腹に重いものが入り押し倒され、私の術式が解除される。目を開くと男が私にまたがり馬乗りの状態になっていた。

 

「はぁ...はぁ...さっきの手と口が消えた...全く冷や汗をかかせやがって、どうやらお前はあの不気味な術式を使ってる間は一切動くことが出来ないみたいだな。だがこんなガキにビビるなんて俺も舐められたッ!...ものだな。」

 

男を触れようとしたが杭を隠し持ってたのか手が刺され身動きが取れなくなった。

 

「あぶね、何をしようとしたのか分からんがあんまり長くやるのも良くないな。早めに終わらすか」

 

彼の杭が私の頭に突き刺さる。勝ち誇った顔をしているけど、私は頭を刺された程度では死なない。主人がくれたこの体、無意識のうちに埋め込まれいたのか主人の術式が扱うことが出来ることを知った。

ただ私の術式と並行して使うことが出来ず、同時に使うと片方が不安定になり自壊してしまう。私の術式を解除し、男が後ろを向きドアの方に歩んだ瞬間、私の体から長槍を生成しお腹から裂き飛び出す。

うぅっ...!やっぱり物を作るのは呪力消費が激しい、槍は飛び出したスピードで奴が反応する前に腹に刺すことが出来た。

 

「あハハハッ!かカった!カカッた」

 

刺さった杭を無理矢理抜きギチギチと嫌な音がなり手に穴が空き、顔の上半分が砕け散る。砕けたところから黒い液体が滴る。目の前が見えないがどうせ奴は逃げることは出来ないんだから

 

 

 

 

 

 

                        

 

「これで大丈夫か?」

「....ウん」

 

あの後中々戻らない私に迎えに来た補助官に見つかり偽物であることがバレた。ヤガには元々バレてたけど、他の人に見られたのがまずかったらしい。たまたまその時の補助官の人が黙っててくれたが流石に見てくれが悪いのでヤガに頼んで代わりの部位を用意してくれた。

 

外に出ると周りが暗かった。家の場所がわからないからそこらへんを歩くことにした。

 

「ちょっとそこの君」

 

ふと男の声がし、振り向く。そこには白い髪をした男がいた。

 

「?ワタしハゆウ里、ダよ?」

「そんなわけないでしょ。あんた、ガワはあいつだが中身が歪すぎんだわ。それに呪力量があいつと比べにならないほど低いんだけど、ほんとは何者?」

「...」

 

ヤバイヤバイ、早速バレてる。ヤガに頼んで精巧に作ってもらったのに、まさか中身まで見える奴がいるなんて。かくはずのない汗がダラダラと溢れる感じがする。

 

「ねえ答えて、て、おい!」

 

逃げる勝ち、ここで戦うのは分が悪い。建物内に逃げなきゃ戦えない、とすぐ近くにある壁に突進して入ろうとしたが体動かない。

 

「ちょっと何で逃げようなんてするのさ。そんなに隠す必要があるのかな?」

 

こいつ、目が笑ってない。黒い眼鏡で見えはしないけど、絶対そうだ。悪寒が走り体全身が直感する。何があってもこいつには逆らってはいけない。最強とはこいつのための言葉なのか。

 

「ヒェ.,ゴ、ゴメンなさ」

 

謝る前に腹を殴られ大きく吹っ飛ぶ。とても痛くてうずくまってしまう。呪力の籠った拳が響き動かない。そうこうしているうちにさっきの男がゆっくり歩き、純粋な殺意がこっち向いている。

 

「こっチニ、くるな!」

 

恐怖のあまり手を作り殴る。

 

「そんな怯えなくていいのに」

 

奴に触れるまえに何かに阻まれるように動きが止まったと思ったら何かに引っ張られるように引き剥がされ潰されてしまった。

 

「ッ!『餐坐羅斬砕』」

 

逃げるために結界を張り無数の手を生成させ奴の進路を阻害する。身体を動かさなきゃ殺されてしまう。結界の外に向け逃げ...

 

「何で逃げるの?そんな俺嫌い?」

 

足が地面に付いてない。その時私は死を悟った。

その後の記憶はない。ただたまたま主人が帰ってきて命拾いしたことは憶えている。二度とあの化け物に会いたくないとトラウマに刻まれた。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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