その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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十七話

私は少し驚いていた。あの二人掛でももう一人の私を倒せないなんて、呪力量はそこまで多くないはずなのに何が少し困惑していると、

 

「随分と遅かったじゃないか、もう少し早く終わると思ってたのに...これじゃあまり期待できそうにないね」

「貴様、出会って早々そう云うこと言うのはどうかと思うがの」

 

若干そいつに腹立てながら思考をやめない。奴に一体どんなカラクリが存在するのだろうか?見た感じ武器らしいものは持っていないが、近づかないとわからないと刀を握り直し飛び込む。

 

刀を振り刃が首に当たる時に金属音ような音とともに火花が散る。

硬った...まるで巨大な壁を斬っているかのような感触、手にまで振動が伝わりヒリヒリする。奴はニヘらと不敵な笑みを浮かべ拳を構えていた。不味い、身体がゾワっと悪寒が走る。あれを喰らえばひとたまりもない、そう思い離れようとするが刀がぴくりとも動かない。

奴は先程までなかったはずのもう一方の腕が生え掴んでいた。

 

気づいた時には胸に拳が入ってしまう。私は後ろにぶっ飛ばされ身体が抉れ内臓が露わになる。肺もやられたのか呼吸が思うように出来ない。奴はすん、と感情が消え冷たい視線を向けた。

 

「おいおい、もう終わりかい。私なんだからもっと頑張ってよ。...でもまあいいか、飽きた」

 

持っていた刀を捨てゆっくりと歩んで来る。対抗したいが痛みのせいで体が言うことを聞かない。ダラダラと黒い液体が流れ頭がクラクラする。眠たくなってきた。

 

 

嫌だまだ死にたくない、灰原が私を救ってくれたのにこんなところで終わりたくない。私なんかに負けたくない、その気持ちだけが消えつつある意識を起こし、ゆっくりと立ち上がらせてくれる。だが身体全身に凄まじい激痛が走り、またに前に進めない。

 

「あれ?まだ動けるんだ?でもさァ、君、もうフラフラじゃん?立つことすらままならないんじゃないの?」

「...」

 

私は何も言わず拳を構え集中する。

 

「あれ?黙るんだ?つまんないな...」

 

外野の声に耳を傾けず落ち着ける。だんだんと呼吸が浅くなり次第に呼吸と言う動作を忘れていき、痛みすらも忘れる。今あるのは目の前にいる物体しか映らない。

 

その物体は非常に硬くちょっとやそっとじゃ傷をつけ方すら出来ない。

ならばどうすればいいか、それ以上の硬さを持って打ち砕く。泥が拳に滴り覆われる。

 

泥は皮膚に触れた部分から固まっていきその上から覆うように泥がまた被り層が形成していく、だがこれでは硬度が足りない。しかしこれ以上あれは待ってはくれない。固まった拳を呪力を流し少しでも威力を上げ飛び込む。

 

「おいおい、そんなスピードで私に当たるとでも..「悲しいな俺は範疇にないってか?」..クゥッ!?」

 

この瞬間の私は酷く落ち着いていた。視界では曖昧でぼんやりと映るもう一人の私と白髪の誰か、微かにしか聞こえない話し声、拳は自然ともう一人の私の顔面を捉えていた。その瞬間今まで死んでいた痛覚が戻ってきて電流のようなものが腕に流れ、黒い稲妻が走る。

 

もう一人の私は顔の半分が砕け散り派手にぶっ飛ぶ、私はさっきの出来事で意識が完全に戻り状況を理解する。

 

あれが黒閃、感じたことのない力に余韻に浸ってると、

 

「悠里、撤退するよ」

 

と傑が私の方を掴んでいた。イヤじゃ、と言って引き剥がそうとするが無理が祟ったか全身の力が抜けてしまった。

 

「君はもう充分頑張ったじゃないか、これ以上やったら死んでしまう」

 

と半ば強引に抱き抱え姫様抱っこのような格好になり、改めて自分自身の状態を見てしまう。皮膚が抉れ内臓が露出し肺が潰れており、腕はさっきので完全に壊れだらんと脱力し一切動かない。この光景を直視ししてしまい痛みがぶり返してくる。

 

「----ッ‼︎」

「やっぱり無理をしていたか、すまない悟あと頼めるか?」

「このぐらい余裕だって傑、あとはこの五条さんn「流すわけないよねェ」..復帰はや」

 

派手な音とともにまた現れた。しかし砕けたはずの顔からあらなはずの角が生えていた。また私の体が薄い殻のようなものに見てとれた。

 

「その子を逃すわけないじゃん!その子を食って成り変わらないといけないんだからさァ‼︎」

「鬼か...また面倒な呪霊..呪霊なのかあれは?」

「だからさァ...置いて死ねっ!人間ども!」

 

奴が動き出し、傑が私を掴む力が強くなり動きそうな瞬間。何を思ったのか棒立ちになったかと思うとつまらなさそうな表情になり、

 

「チェッ、つまんないの...」

 

なにかを呟いたのち、何処からか霧が立ち込め姿が完全に消える。悟は霧に入り追いかけに行った。

 

「...取り敢えずこの場から離れて硝子に見てもらおうか」

 

と私は傑に姫様抱っこされたままこの場を去る。

なんとも不完全燃焼に終わったがこれで大丈夫だろうと安心し睡魔が急に遅い、抗うことなく意識を手放し深い眠りに着く。

 

 

 

しかし何か忘れているような。とても大事なことなはずだったんだけど...。

 

この後硝子にドヤされたのは言うまでもない。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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