その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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十九話

漏瑚たちに連れられ道なき道を走らされる。車がどんどんと汚れていく様を私は心を痛めながら走らせる。

 

 

あるところまで行くともう二人がくつろいでいた。多分こいつらも漏瑚の仲間なんだろうか。

 

一人が気づきこちらに向かってくる。顔面に縫い目の跡がある人が来る。

私も車を止め扉を開ける。

 

「あぁ!漏瑚、遅いよォ〜、ハハっ!」

 

とこちらを見ずに手が近づく、私は何か嫌な予感がし思わず避ける。その男はこちらが避けたことを気にせず漏瑚に駆け寄った。

 

「バカもん!おぬしは何も考えず殺そうとするな真人ォッ!」

「いやァごめんごめん、新しく来る子がどんな子か気になっちゃってつい、ね」

「..すまぬなうちのものが」

「あ...あぁ、構わん」

 

もし奴の手が触れたらどうなったか気になったがどうせ碌なことにならないだろうから聞かないことにした。

 

「しかし漏瑚?おぬしらは普段どこで隠れているのじゃ?まさかここで暮らしてるわけではあるまいし」

「儂らは別に何処かに定住するわけではないからの、陀艮、毎度すまぬが頼む」

 

と漏瑚はタコ人間に何かを頼んでいる。陀艮はなにかをし、一瞬にして世界が変わり、あたり一面は砂浜で海が近いところにいた。

 

何かをした張本人はビーチチェアでくつろいでいた。

 

「領域か?にしてはあれじゃの?言うのもあれじゃがあまり強いわけではないようだが」

「陀艮はまだ幼体じゃからのぉ、まだ弱いんじゃ」

 

あれが幼体?デカすぎないか、感情を表さないが少し危機感を覚えた。

 

「じゃああれはなんじゃ?あの縫い目の」

「あれか?」

 

漏瑚は何処から出したかわからない飲み物を飲んでいる真人を指す。

 

「あやつは真人、儂らの頭じゃ。今はガキみたいじゃがいずれか儂らよりずっと強くなるからの」

「あ、そう言えば漏瑚。その子誰?」

 

ストローで吸いながら真人は質問を投げかける。

 

「ほれ少し前に言った奴じゃ」

「あぁ、この子がねェ.,.こんな小さいのに」

「悪かったの、我はガキみたいで」

 

真人が私の体を不意に触れる。その瞬間、心臓を撫でられるような不快感が全身を襲う。

 

「警戒しすぎじゃない、ガッチガチに呪力で守られてるんだけど」

「やめよ、触れるでない吐き気がする」

「わかったから、そんな怖い顔しないでよ。それにしても君ほんとに人間なの?触れてわかったけど魂が何体も存在してるし、呪霊と言うには恨みつらみとかそんな感じじゃないしなぁ」

 

なんだだろーと呟いている真人を尻目に漏瑚の方を見る。

 

「では話を始めるとするか---」

 

漏瑚は重々しく話し始める。

彼らの目的は人を殲滅し、呪霊たちによる新世界を築くことと言われた。

その上で現代最強の五条悟が障害であり存在を抹消する必要があるが、

正面での戦いは負けることはないがそれでも万が一で負ける可能性があるから私が後ろから悟を妨害させてくれれば確実に勝てる。

そう言われ、

 

「で、どうじゃろうか?お前さんは乗ってくれるか?」

「...」

 

少し面白そう、と感じてしまった。普段私を見下している格下だと思われてるやつに刺されたらどんな表情をするのだろう。

 

だけど、

 

「うーん...やはり無理じゃのう」

「...その訳を聞こうか」

「おぬしは勝てると申したが我からすれば到底勝てるとは思えんのだが」

「ほう...貴様、儂らを弱いと言うか」

「そう言ったが?奴に勝てそうなのは我の経験則上...一人かの」

「誰じゃそいつは!」

「....両面宿儺、奴だけじゃ」

 

漏瑚の頭から煙が出始め苛つきを顕にする。

 

「貴様ァ...儂らを少し侮っておるな?」

「別に、我は事実を言ったまで。そこまで言うなら我とやってみか?」

 

私は海辺に向かい漏瑚に相対する。

漏瑚も笑みを浮かべ、

 

「良いであろう、儂の力を示さねばならんなぁ」

 

漏瑚は何処からかメラメラと燃える虫が飛んで来た。

面白い。天輪兎月を抜き構える。

 

「その刀...妖刀か?」

「我の刀を妖刀などと気安く呼ぶな、呪いなんて物で括るな。名刀と呼べ」

 

誰が打ったか分からないがこれは私の命と呼べる相方なのだ。

赤の他人が勝手に名付けるなど。

 

「死に値する」

 

地面を蹴り砂が大きく舞い、刀身赫く閃く。

 

『赫翼』

 

漏瑚の目の前で刀を振り下ろす。が漏瑚は後ろに飛び退き届かない。

 

「ふんッ!そんなもの当たらなければ意味がないも...の...!」

 

漏瑚の体に亀裂が生まれ、あまりのことで漏瑚は困惑しているみたいだ。

もう一振り、斬り上げ漏瑚の周りにいる虫が粉々になる。

 

「貴様ッその術式は...!」

「この刀だ。我が刀は不可視の斬撃を繰り出すことが出来る。避けるだけでは我には勝つことなど出来ぬものと知れ」

「そうか、ならばこちらは...!」

 

漏瑚が手で印を組み、周囲に熱気が立ち込める。

 

「領域展開『蓋棺鉄囲山』」

 

 

蒸気が私たちを覆われ晴れると辺りは溶岩が溢れ溶けてなくなりそうだ。

汗が滴り雫が地面に触れる。その瞬間、足元から燃えたぎるような熱源を感じ取り、炎が吹き出し私を襲い包み込まれる。

 

「呵呵ッ!幾ら貴様でも防ぎきれぬであろう」

「....やるではないか」

 

炎の中を歩き出る。泥がパラパラと散り絶えず泥を出している。

 

「貴様は泥を扱うのか」

「それだけじゃないぞ」

 

漏瑚に指差し、一点に集中させる。

 

『霞』

 

周囲の熱が指先に集まる。

 

『開』

 

青い炎が発光し矢のように作り出す。

宿儺の技を真似てみたがやはり本物より数段劣る。

 

「ほぉ、少しやりおるのぉ。じゃがその程度で儂をやる事は出来ぬぞ」

 

漏瑚は構え炎を作り出し放たれる。馬鹿にならない火力の火球がこっちに迫る、真似如きでは厳しいだろうなと思いながら私も炎の矢を放つ。

 

私の矢は加速するようにして太陽のような火球にぶつかる。が私の矢は火球に飲み込まれ大爆発を起こす。熱気が私を襲う。

 

 

                       

儂の火球はあの小娘の脆弱な槍に辺り爆発を起こす。爆風がこちらまで感じる。さしもの奴もこの爆発では生きてはおらんだろう。

 

人風情が自然そのものに勝てる道理なぞ無かろうに..。

 

爆発後すぐ煙が晴れ奴のいた場所を見る。そこには奴はおらずあるのは人の形だった土くれだけだった。おかしい幾ら逃げ足が速かろうとあの呪力量、多少の呪力は感じるはず、領域外に逃げようとしても儂が見逃がすはずがない。

と戸惑っていると儂の背後から僅かに呪力を感じ取る。その時にはもう遅く、儂の視界はゆっくりと地面に落ちて行った。

 

 

                       

漏瑚が慢心する奴でよかった。刀で漏瑚の首を刎ねる、奴はこの中じゃ一番厄介だった。真っ先に潰せて良かった。

 

領域が崩れるとともに真人が背後から、白い呪霊が、挟み撃ちの形になり私を襲う。

 

「逃がさないヨ‼︎『自閉円頓裹』」

「そう来ると思うたわ『欠月叢雲』」

 

私と真人、互いの領域がぶつかり合い歪に混ざり絶え間なく侵食し合う。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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