その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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少し修正


四話

呪力を習得しはや数日、身体に纏わせることは出来たが物に纏わせることは出来なかった。だがいろいろ試して分かったこともあった。どうやら私は大小問わず布で出来た袋があれば想像した物はなんでも取り出せるみたいだ。それは制限ありかではあるが、まず扱う袋より大きいものは取り出せないこと。取り出せるものは全て模造品であること、生物は生きた状態で出せないこと。当然だが呪力から生み出した物なのでもれなく不味いこと。

確認して出来ることをメモに書き出してみた。こうして書くと存外悪くないと感じた。袋さえあれば生地の良し悪し問わず許容範囲を超えない範囲であれば呪力でなんでも取り出せる便利な道具として扱える。

出来ることを探すうちに一週間が経っていた。朝早く起き制服に着替える。改めて思うが生前は学ぶことなんて戦くらいだと決めつけていたが、今になって戦い以外で習うなんて思わなんだ。着替え終わり鏡で身なりを整える。鏡には黒い制服に身を包まれかなりぶかぶかで、服に着られているような感じになってしまった。部屋を出て夜蛾から貰ったがらけぇなるものを取り出して夜蛾の連絡先に電話する。

 

「夜蛾ぁ、着替え終わったぞ。どこへ行けばいい?」

「そこで待っていてくれ、俺が案内するから勝手に動いて変なとこに行かないでくれ。あと呪力を練るのはいいがそれで遊んだりするなよ」

「分かっている。貴様は我の母上か、そこまで言わんでも理解できる。待てば良いのだろう?」

 

ここ一週間で来ない来ないと言っていた夜蛾は夕方ぐらいに私を気にかけてか見に来てくれる。よく話してくれて私は何とか普通の会話程度なら出来るようになった。

 

「じゃあそこで待っとけよ」

 

と切られた。私はがらけぇをしまい本棚にある本を取り出しベッドに座り読む。....暇だ。飽き性もあるのだろうが、こうジッとしているのがダメなのだろう。本を閉じ起き上がり身体を解すためストレッチをする。テレビで習ったが確かに身体が柔らかくなった気がする。いい感じに解れ軽く走ろうかとするときに、

 

「おい、話を聞いてなかったのか?」

 

と夜蛾が戸を開け私を見た。

 

「違うのだ、ちょっと身体を解すだけだったのだ。別に外に出て運動しようだなんて思ってないからな」

「どこにストレッチだけで何もしないでやつがいる?まあいい、じゃあ着いてこい、あんたのクラスメイトを紹介してやる」

 

私は夜蛾に着いていきある教室に連れてこられる。

夜蛾は引き戸を開け私の手を引っ張り中に入れられる。中には二人の男がいて私は二人の前まで引っ張られる。

 

「二人に転校生を紹介する。さあ自己紹介をしてくれ」

「あの...えっとぉ...稲羽...悠里。色々あってここに転校することになった...よろしく」

「前も言いましたが私の名前は七海建人。好きな方で読んでください。これからは同じ学年なのでよろしくお願いします」

「僕は灰原雄って言います。稲羽さん、これからよろしく!」

 

互いの自己紹介が終わり、授業が始まった。全てが真新しく新鮮な情報が流れていく。私はそれに着いていくのがやっとだが面白かった。

 

その後も二人と話す時間が増え、他のことも知った。悟と傑は今護衛の任務を任されているみたいで今はここにいないようで、あの二人組は誰にも負けない最強のコンビだとも聞いた。ではあの時あの二人に感じた恐怖は正しかったようだ。ただあの時はどちらかというと恐怖よりも羞恥が勝っていたためあまり感じることはなかったような。それでも言えることは一つ、あの時攻撃していたら死んでた。それだけは直感で理解した。

 

 

 

                        

次の日。今日は七海は任務で出かけているようだ。ので私は灰原に組み手を頼んだ。組み手をするために外でやってもらうことになった。私は剣を振って鍛錬をしたことはあるが素手での鍛錬はしたことがなかった。灰原は見た目と同じ素手で戦う男のようで、素手での戦い方を教えてもらえることになった。私はこれから任務を付けられるようになる。剣を用いてやることになるが、剣一本では些か心許ない。だから一つの芸に拘らずあらゆる場面を想定して戦えた方がいいと思い灰原に頼んだ。

灰原との鍛錬は有意義なものとなった。彼に感謝せねばと感謝の気持ちを伝えた。彼は少し照れくさそうに

 

「そんなことないよ、僕こそ稲羽さんに感謝を伝えたいよ。君のおかげで気づかせてもらったことがあるよ。次は君に教えてもらおうかな」

「うん、いいよ。でもあれだよ、剣を扱えると言っても流派とかはない、独学みたいなものだ」

「いいんだよ。独学でも、教えることで得れるものもあるんだからさ」

 

なるほどその考えもあるか。つくづく思うが灰原といい七海といい二人はあって間もない私と仲良く出来るのだろうか。私は嬉しいのだが、気になりはするが聞くほどではないかと思い、胸の内にしまう。

 

「今度七海と灰原が二人いるときにでも教える。難しくて根を上げないでね」

「そっちこそ、その言葉忘れるんじゃないぞ。約束しような」

 

                        

 

そう約束した次の日私は任務に駆り出されることになった。私はまだ転校して来たばかりで階級は四級で今回は腕前を確かめるために行われるもので、私が祓う呪霊は三級相当だそう。私は補助監督の車に乗せてもらい現地へ向かう。険しい山道を進み激しく揺れ、その振動がこっちに響く。ウェッ、揺れが強く気分が悪いかくなってきた。頭がクラクラとし口を抑える。

 

「大丈夫?車酔いしちゃったの?これ飲んで窓の外の風景でも見たら少し気分がましになるよ」

 

と補助官の人が箱をこちらに差し出す。受け取り箱を開ける。中には小さな器を取り飲み込み、外を見る。

 

「君の名前は何かな?わたしは海原美優」

「...稲羽..悠里」

「悠里ちゃんか、これからよろしくね」

「よろしく...」

 

移動中、海原は酔いを紛らわせるために話しかけて、着く頃にはだいぶマシになっていた。

 

 

二時間くらい経ち私たちは新潟県のある神社に着いた。私は車を降り事前に頼んでいた刀を海原から受け取る。あの時使っていたものより質は低いが扱う分には何の支障もない。腰に掛けて行く。

 

「じゃあ帳を張るから...死なないようにね」

 

海原は詠唱し帳が張られる。結界が作られて周囲が暗くなる。私はそのまま進み呪霊がいるであろう場所に進む。ある程度進むと雰囲気が変わる。今回祓う相手は少なくとも一般人が五人行方不明になっているそうな。私の前にいる奴は五人...いやそれ以上の死の匂いがする。

 

「ゥッア"ア"ー....」

 

酷く低い呻き声が響く。ブヨブヨと液体のような身体から手のようなものが生える。それも一つではなく見える範囲だけでも七つくらいある、観察してると手がこっち向かって触ろうとする。その手に触れられそうになったので避け、様子を伺う。その手が触れた木に触れたその時、木が急速に枯れ始め灰に変わり崩れ去った。あの呪霊は手に触れたものの正気を吸い取り自分のものにする能力なのだろう。

私は刀を抜き構える。そういえば拳に呪力を込めたことはあるが物に呪力を込めたことがない。盲点だった。また呪霊は私にまた触れようとする。それを避け触れてくる手を切り落とそうとするが、ぬるっと通り抜けあまり手応えを感じない。やはり呪力を込めないと切れないのか、素手で戦えばいいのだが奴は触れる発動するものだ。どこから発動するか分からないからなるべく触れたくない。ならばやることは一つ今ここで習得するしかない。再び刀を構え集中する。刀に呪力を流し込むように調節する。だがまだ力がどこかに逃げられている。もう一度込めようとするが目の前に奴の手が来ることに気づき咄嗟に避ける。肩を掠め、一瞬だが意識を取られそうになる。あまり強さを感じなかったが、これは少しでも油断したら死んでしまうな。より一層気を張り避けることを優先し、呪力を刀に練ることにも集中する。思い出せ、宿儺のあの斬撃を腕に感じた感触、一切無駄のない斬撃、あれも呪力なのだろう。あれを参考にするしかない。感覚を研ぎ澄まされる。その時だけゆっくりと時間が進んでいるように感じた。

見えた気がした。私の中に流れる呪力がわかった気がした。この呪力を刀に流し込む。すると刀はオーラを纏っていた。これならとこっち向かってくる手を斬り上げた。斬られた手は勢いよく空を舞う。この時初めて私自身の意識で扱うことが出来た。呪霊は痛々しい声を上げていた。

まずは一本、さっきので激昂した奴は全ての手が一斉に襲って来た。私はその手を避け冷静に一本一本斬り落とす。残り一本となった呪霊は逃亡を図ろうとする。その瞬間、私は小さな袋から針を取り出して投げつける。その針は頭に突き刺さり一瞬止まってしまう。

この瞬間を待っていた。私は奴との距離を詰め頭を狙い刃が当たる。頭を綺麗な弧を描くように首が刎ねた。

倒した呪霊は粉々になり消え帳が消えていく。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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