その兎、触れるべからず   作:猫を乗っけた青髪の女

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少し修正


五話

任務を終え高専に帰投する。初めて呪霊を祓ってもやはりこんなものかと不完全燃焼のままだった。この行き場の無い気持ちは何処にぶつければ良いのだろう。そのまま高専へと帰ってきて車を降りる。その頃には夜になっていて周りは真っ暗だった。いつもの私だったら既に寝ている時間帯、視界がボヤけ、目に擦りながら寮へと帰る。ふらつく足取りで私の部屋へと戻る。何とか扉の前までたどり着くことが出来、開けようとする。

キィッと開けるときに光が差し込む、そこにはクラッカー持ち待ち構えている灰原と無理やり連れてこられたであろう七海がいた。瞬間クラッカーが引かれ、パンッと軽い音が鳴った。

 

「初の呪霊狩ッ!」

「「おめでとう!(ございます)」」

 

と祝われあまりのことで眠気が覚めた。戸惑っている私を灰原と七海には引っ張られ部屋に入る。机の上にはご馳走が置かれていた。灰原は眩しいほどの笑顔を浮かべこっちの方を見て、

 

「勝手に入っちゃってごめんね、でも稲羽さんが呪霊を祓ったって聞いたら居ても立っても居られなくなっちゃってさ。七海も誘って三人で楽しもう!って思ってやっちゃった」

 

と言って座るよう促されて、私が座り三人だけの宴会が始まる。

 

「じゃあ改めて僕の名前は灰原雄。非術師の家系の生まれで高専にはスカウトされてきました。僕は二人と出会えたことを感謝してます」

 

と言い次に七海に指を差し、「じゃあ次七海!よろしく!」と言って、七海は少しため息をつき、

 

「では私からも、私の名前は七海建人です。私の生まれも非術師の家系で高専はスカウトできました。これからよろしくお願いします」

 

と七海の自己紹介も終わる。二人は私を見る。この流れは私もやるのだろう、と思い、

 

「じ、じゃあ...我は稲羽悠里、」

 

この辺りで考える。今頭の中では自己紹介を考えないといけなくなってしまったからだ。こうなるとは一切思わなかったので慌てて考えている。私のことを正直に言って信用されるのだろうか。だが人を騙すことが出来ない私は正直に答えるしかなかった。

 

「我の生まれは少し特殊なのだが、前世といえば良いのか前は呪術とは無縁の家で生まれたのだが、気づいたら武士になっていて流れに流れ、今はこの身体になっていた」

「ちょっと待ってください。話が一切入ってこないんですが、」

 

と私の自己紹介に待ったと掛ける七海、一体何処がおかしいのだろうか。確かに言っていることは突拍子もないことかもしれないが何一つ嘘は言っていない。

 

「いったい何をどうしたら武士になれたんですか。話が飛躍しすぎて何一つ頭に入ってきません。もう少し詳しく言ってください」

「僕もその話気になるから聞かせてよ」

「そうか?少しばかり話は長くなるが良いか?」

 

と自己紹介そっち退けで私の話になる。色々話した。私は元々呪力がなかったこと。その村での逸話、主人との出会い、そして宿儺と邂逅して一騎討ちを申し込み敗北したこと。そんな話をしていたら陽が昇っていて今日はお開きとなった。

 

「まだ話を聞きたいけど時間が来ちゃったからこの辺で終わろう。また話聞かせてよ」

「私も早めに終わらせるつもりがこんな時間まで話し込んでしまいました。また時間があるとき話してください」

 

二人がそれぞれまた聞きたいと言い自分部屋へと戻っていった。時計を見ると針は4時を指していた。私もつい話してしまったがこんなにも聞いてもらえて少し嬉しかったのでまた話したいな、と思いながらベッドに身体を預け眠りにつく。

 

一時間後、起きてしまった。眠れないとかじゃなく身体の習慣が身につき必ず五時には目が覚めてしまうようになった。眠たいが、というか気絶しそうだが、今寝たら絶対起きれないと確信したので朝の鍛錬で体を無理やり起こす。いつも通りのことをして教室に向かい中に入る。いつも同じ二人と今日は夜蛾がいた。

 

「やっと来たか。それじゃあ今日は三人に任務を伝えるために来た」

 

そう夜蛾は言い任務が達せられる。その内容は那覇空港の警戒だそう。私たちの敵である呪詛師、または呪霊が来ないための警戒でありもし発見したら報告し応戦する。要は敵を空港に入れされるなということか。なぜ急にそんな任務を出したかは知らないがまああの二人組の任務に関係してそうなのはわかった。私たちは任務を請け負い那覇空港へと出発する。道中は流石に寝てないせいか全員爆睡していた。このとき初めて空を飛ぶ乗り物に乗り興奮していたのはまた別の話。

 

那覇空港に着き警戒を始めたが特段変わったこともなく最終日までなにごともなく終える。やはりというべきかあの二人も関わっていたようだ、あの二人と黒髪のついんてーる?の女の人と使用人だろうか、背の高い女もいた。じっと見てるとこちらに気づいたのか悟がこっちに見返してきた。背筋が凍るほどの威圧感が悟から感じ、いつ見ても恐ろしいほどの圧を感じるがあの目はだいぶ疲れているであろう目だ。かなり無理をしているだろうな。私が気にすることでもないが若干心配になり声を掛ける。

 

「悟ぅ?大丈夫か、目が死んでるぞ」

「...大丈夫、兎ちゃんが気にすることじゃないでしょ。ていうかあんた、俺の目見えるんだ。見えないようにサングラスしてるけど」

「そんなの見える、どんなに隠そうとしても見えるからな、それよりほんとに大丈夫か?いつ寝てるの少しやs「あぁ!でっかい耳だぁ!ねぇ、悟この子名前なんて言うの?」「ヒァヤッ‼︎」

 

聞こうとしたら突然耳を触られビクッと全身が震えて変な声が出てしまった。

 

「ダメですよお嬢様、許可もなしに耳を触るなんて。その子も驚いてしまったでしょう」

「そうだったの?それはごm...ごほん...それは申し訳ないのう。そんな大きい耳をしているからつい魔が指してしまった」

「いやかにすることないよ、こいつが来たんだから気にすることもないし、それもわかってるはずだ」

「うん...気にしなくて良いよ、我の名前は稲羽悠里...どっちで呼んでも良いよ」

 

そう言うと耳を触った女はにこやかな笑顔で抱きしめ、

 

「悠里ちゃん...可愛い名前!こんな子がいるなんて!妾は天内理子じゃ。悟、この子妾が貰っても良いか?」

「天内、稲羽はペットじゃないし俺のものでもない。聞くなら稲羽自身に聞け。」

 

と悟はそう答えるが絶対内心、邪な考えを持ってそうで顔を抑えている。あいつ絶対殺す。と心の中で決意する私がいた。

 

「なあ悠里、妾の妹にならぬか?なぁに悪くはせぬ。ただ愛でるだけじゃ」

「や、や...!」

 

と抱きしめられなされるがままの私を悟はとうとう吹き出し笑いかけていた。天内の暴走は黒井の静止も虚しく聞こえていないようだ。どうしようもなくなったときやっと助け舟がやってきた。その男は、

 

「理子ちゃん、これぐらいにしてあげませんか?悠里も恐怖で固まっちゃってるし、これ以上はストレスで死んでしまうかも知らないから解放してあげてもらえないかな」

 

と傑が来て助けてもらったが、まるで私がペットみたいに扱われているみたいで複雑な気持ちなった。やっとの思いで天内から解放されたが離れることは出来ず、飛行機は天内の隣で座らせられた。愛でる天内に黒井も諦めたようにそっちも私を愛で、完全に逃げ場を無くした私であった。ちなみに悟と傑は私の状態を見て笑いこけてたそう。

 

高専に着く頃には私はだいぶやつれていた。大丈夫と元凶に心配されるがあんたのせいとはいえないため大丈夫と返すしかない。灰原と七海は任務が終わりあとはあの二人組に任せて先に戻っていった。しかし天内も可哀想なものだ。話を聞くに天元という不死の術者を成長させない為の贄となる運命にあるからだ。代わりの人材などいくらでもいるはずなのに何故天内が選ばれたのだろうか、しかしそれは他も言えることか。それを年が近い二人に任せるなど、何とも胸につっかえるような任務だろうか。それも運命かと私を納得させ、なるべく離れないようにした。そろそろの天元とか言うやつのところに着くそう。やっと任務が終わりそうになり悟も少し安堵してそうな顔つきだった。それもそのはずだ、この任務中きっとあいつは一切警戒を怠ることもなくずっと気を張っていたからであろう。仕方ないはずだ。しかし気になることもある。沖縄に行っている間、一回も襲撃に遭っていないことが気掛かりだ、絶対一回はあるであろうと思ったのに何もなかったのである。最強の二人組で諦めたのかもしれないがそこだけが気になるのだ。まあここで考えても仕方ないもうすぐ終わる、ここで押さられる心配もない。そう思ったとき、

悟は背後から何者かが刃物で背中を刺していたのである。私たちは油断していた。ここで襲撃されるはずがないと、そんな甘い考えを裏切るように黒髪の男がいた。

 

「なッ⁉︎」

「ッ!」

 

行動は速かった。傑はすぐさま呪霊を呼びその男にぶつけた。悟も胸を押さえているがまだ大丈夫そうだ。そして今私が取るべき行動は、天内を少しでもこの場から遠ざけるために一刻も早く天元のところに向かわねばならないと思い天内の手を取り逃げるよう促す。天内は悟を心配しているようだが悟は親指を立て、

 

「大丈夫だこんなのかすり傷、だから傑も天内の方を守ってくれ」

「だが悟「大丈夫だ。俺に任せとけ」

 

命辛々薨星宮のところまで逃げ切れた。だが任務とは別について来た私は流石にこれ以上中に入ることは許されず黒井と共に残ることに、謎の男は今上で悟が相手しているが状況が掴めない。そんなことを考えていると何か何者かがやって来る足音が聞こえて来た。しかし気配がしないが、味方ではないであろうと思った。その後の正体は謎の男であった、あいつ悟を倒したのかと底知れぬ男に悪寒が走る。

 

「星漿体のガキがいない...こりゃ手間がかかるな。女二人...いやあれは呪霊か?まあどちらでもあんま変わらねえか。」

「...悟はどうした?」

「悟...?あぁ、あの六眼のガキか、あいつなら俺が殺した。」

 

あいつ...!人殺し慣れてやがる。何躊躇いもなく冷徹に言い放った。

 

「お前らはそういう仲なのか?なら安心しろよ今すぐあっちに送ってやるからよ。」

 

瞬間、奴は一瞬姿が見えなくなったと思ったら黒井が頭を刎ねられていた。マズイ、次も目で追えないスピードでこちらを殺す気だ。だが幸いそいつは生きている。まだ勝機はまだ残っている。目に頼っていたら死ぬ、五感全てを駆使しないと勝ち目はないとそう直感が告げている。

集中しろ、宿儺と戦った時に比べれば全然マシだ。そう私に言い聞かせ鼓舞する。

 

「そっちから来ないのか?いい判断だな、激情にかられて突っ込むことと思ったが案外冷静なんだな。だったらこれはどうだ?」

 

無数の蝿頭を放ち私の周りを囲うように旋回している。あいつの姿は見えないがこの中に紛れて行くことは私が見逃さない。どう攻撃するかは察したがどうしようか、こっちから行っても返り討ちに遭いそうだ。対策が出来ないが拮抗している。

 

「まだ冷静さを保っているのか?困ったな、出来れば楽に殺そうと思ったんだがな仕方ないか」

 

と言った瞬間奴はとうとう突っ込んで来た。速くて見えないが私を本気で殺る殺気を感じる。すると突然頭痛が命の危機を感じ、身体を逸らすと奴が晒した方向に斬っていた。あと少し反応が遅れていたらあれに斬られていたでいたと思い冷や汗をかく。また頭痛がする。その通りに避けると勘の通りそこを斬る。どうやら私には危機察知能力が鋭いようで素早い攻撃も事前にわかってしまうようだ。

 

「へぇこれにも対応するか、見たところ勘が鋭い...いや少し先がわかるのか?すごいことだがやりようはある。お前ら殺れ」

 

と言って蝿頭たちは一斉に襲って来た。数の暴力、頭がズキズキと痛み、頭がパンクしそうなほどの殺気がこっちに来る。全部を避けるのは無理と判断し、致命傷以外を避け、斬る。私はなんとか蝿頭を全て祓った。が流石に数が多くタダでは済まなかった。幾ら致命傷を避けたとはいえ身体はボロボロになっている。だが奴はまだピンピンしている。これでは奴の一撃を避けることができない。奴が動き出す。負けを確信した時、

 

「待たせたね、天内はもう大丈夫だ。あの子はもうここにはいない。悠里、よく頑張ってくれたね」

 

そこには奥に行った傑の姿がいた。ダメだこのままだと君まで殺されてしまう。

 

「...だ..め、すぐるまでしんじゃう、」

「チッ、俺としたことが遊びすぎた。だがまだ見つけられる範囲だ。すぐお前らを殺せばいい話だ」

 

そのとき私は背後にものすごいさっきを感じ取った。しかもこの感覚はただの殺気ではない、執念を感じ、振り返る。そこには白髪の男が立っていた。奴が殺したと言っていた奴がいた。

 

悟がぼろぼろになりながらそこにいた。

 

「よぉ,..さっきぶりだな...!」

 

顔がキマりすぎているが生きていた...良かったの安堵と同時に今まで支えていた体の線が切れるようにへたり込む。この二人組ならやってくれる、そんな安心感で意識を失う。

夏油は闇堕ちした方が良いですか?

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