淫な実力者です!   作:ただのニンゲン

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「馬鹿な!!勝っていたのはアウロラだった筈だ!!」


「勝った...」


「本当に勝ったわね...」


「シャドウにとっては本気すら出す必要すらない相手だったらしいですね、さて私はこれからどうしたものか。」


「負けた...だと?攻めていたのはアウロラだった筈だ!!
一体何が起きた...アウロラが負けるはずがない!!あの女は...!!」


その次の瞬間、会場の中心で莫大な魔力反応が検出される。
そして魔力が形を為し、数刻の間に扉が出現した。


「凄まじい剣ですね...」


「まさかね...そんな訳ないわよね...」


「...」


甲斐があった...ハハッ...


「待て!!逃がすんじゃあない!!」


________________________________


「これは...?」


「マリーこれどうなってるの?!」


不思議な光景だ、この場にいる全員が誰一人この現象を説明できない。
...一人を除いて


「扉だね、あれを誰が開けたのか分からないけど私達は...多分この場にいる全員が聖域の中のナニかに誘われてる。」


「まさか...聖域が応えたというのか...?」


「聖域が応えたとは?」


「ご存知の通り今日は一年に一度聖域の扉が開かれる日です...」


「聖域の扉は大聖堂の内部に秘されていると聞きましたが?」


「ええ...そうです、しかし扉は一つだけではないですし物体でもありません。
あの様に自在に形を変え、ある場所を変え求める者資格ある者に相応しい姿で映し出されます。
聖域はその扉を叩いた者によって迎える扉を変えるのです、招かざる扉招集の扉そして歓迎の扉...あの扉が何なのかは入ってみるまで分かりません。」


「こうなっては女神の試練を続けることはできません、観客を外へ出しなさい。」


「分かりました、アレクシア様早めに逃げましょう。」


「ちょっと待ちなさい、私はまだ残るわ。」


「今じゃなければ逃げられるかどうか命も守れるかどうか、今しかありません包囲網を敷かれています。」


「それでもよ!!」


「はぁ...仕方ないですね、報告ですねアイリス様に存分に叱られて下さい。」


ネルソンの指示を受け係の者が観客を外へ誘導していく。来賓客も順に席を立つ。


その間も少しずつ扉は開かれていく...


「誰も扉に近付けさせるな!!」


そして一向に動かないローズ達にも声が掛かった、マリー・カゲノーは自分の剣に手をかける。


「皆様も退出をお願いします」


その瞬間ローズは剣を抜いたアレクシアも剣を抜く、二人は黒尽くめの集団に向き構えた。


「なにがっ...?」


辺りを見回すと、いつの間にか周囲は黒ずくめの集団に囲まれていた。
...ローズとアレクシアでさえ直前まで気配すら察知できなかった、気が付いたのはマリー・カゲノーそして夏目カフカだけ。


「悪いけれど扉が閉まるまでの間大人しくしていて頂戴」


「貴様ら...まさかシャドウガーデンかッ?!」


黒いボディースーツとローブの集団の中で一際目立つ金髪蒼眼のエルフ、そして他の者達も表世界の住民とは隔絶した雰囲気を放っている。


この場に居る人間にとって最強はシャドウだ、しかしこの女はシャドウの足元に届いている...そう感じさせた。


「イプシロン後は任せたわ、お嬢様方良い子にしていてね。」


「了解いたしました、アルファ様。」


「待て!!聖域に入るんじゃない!!」


ネルソンの絶叫を無視して、アルファと呼ばれた女は光の扉の奥に姿を消した。


「見ちゃ駄目ですアレクシア様、襲ってきます。」


「野生動物じゃないでしょ?!それで、こんなことをしてどういうつもりかしら。」


「あなた方には扉が消えるまでの間大人しくしていて欲しい、ただそこのハゲには一緒に来てもらうがな。」


「聖域でいったい何をするつもり?」


「何をするかではなくそこに何があるかだ、大人しくしていれば危害は加えない。」


「動くとこの女がどうなっても知らないぞ?」


ローズ、そしてアレクシアの敵意を読み取ったかのようにイプシロンと呼ばれていた女性が言った。


彼女の視線の先には黒ずくめの女に捕らわれたナツメ先生の姿があった、胸をブンブン振って余裕そうなベータ...ではなく夏目先生。


「あぁぁ!!私の事は気にしないでぇ〜!!」


「ナツメ先生!!」


涙をこらえるナツメ先生の姿にローズは胸が締め付けられるような思いだっただろう、反撃の芽は断たれた...かに思えたがその空気を両断する者が一人居た。


「見捨てるのもアリよね?」


「ダメですよ!!」


「次回の新聞紙の表紙は、夏目カフカを見捨てるアレクシア・ミドガル王女の写真になりそうですね。」


「見捨てた方がいいわ、胡散臭いもの...貴女ももし捕まったら胡散臭いから見捨てるわ。」


「まあ私護衛だし、最低限の仕事はしますよアレクシア様。」


三〜四人がそんなやり取りをしている間に聖域の扉は開き切り、今度は逆に閉じていく...ゆっくりと。


黒ずくめの集団は一人一人が強く、そして統率が取れていた。
彼女たちは三人一組のチームで互いをフォローしていた、ほんの僅かな隙を突いても即座にカバーされることが容易に予想できる...極めて洗練された集団行動だった。


「やめて!!乱暴しないで!!」


強引に担がれるナツメ先生が悲痛な声で抵抗する


「ナツメ先生!!」


「あわわぁぁわわわぁ...わ...私は大丈夫です...だから心配しないでください...!!」


ナツメ先生は震える声で健気に叫び、扉の中へ連れ去られた。


「胡散臭」


「メッキ剥がれてますよ」


そして二本の指が、マリー・カゲノーの眼球を襲う。


「あら大変!!手当が必要ね!!」


「アァ...目が!!目がああああぁぁぁぁ!!」


そして最後に残るのは、イプシロンと拘束されたネルソンだ。


イプシロンは万事異常がないことを確認し、ネルソンを連れて扉に入ろうとした。


だがネルソンが抵抗し、イプシロンの気が逸れたその瞬間...事態は動く。


突如舞い降りた黒い影が、イプシロンのナニかを斬り裂いた。


「よくやった処刑人ヴェノムよ!!」


________________________________


「よくやった処刑人ヴェノムよ...あれ?どうしたヴェノム!!」


ネルソンがイプシロンを確認する、斬られたはずのイプシロンは全く無傷でそこに立っていたのだ。


それどころか...


「見たか...?」


「へ...?」


この圧倒的なまでの迫力は何だ、この場に居る全員の膝がカタカタと震える。


「何か...見たか?」


「ひぃ...な何も見てない!!」


「おいハゲ黙って来い!!」


イプシロンはネルソンの首根っこを捕まえて引き摺る


「ひぃ!!何をしている処刑人ヴェノムよ!!早く助けろ!!ヴェノム!!」


「処刑人なら...」


「もう殺した」


処刑人がバラバラになり崩れ落ちる


「あら復活早いわね」


「このド腐れ王女め...」


「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


イプシロンはそのままネルソンを抱え、閉じかけた扉の奥に姿を消す。


...だんだんと扉が閉じていく、閉まりきる直前アレクシア・ミドガルが叫ぶ。


「お断りよ!!」


「待て私が困る、あそこじゃアレクシアお前を守れるか分からない。」


アウロラ、先程の奴が敵として無尽蔵に襲ってきたらいずれ負ける。
更に遭難した場合に食料と水の確保ができるかも不明だ...そしてシャドウガーデンが、私達の面倒を見てくれるとは限らない。


「...少しは我儘に付き合いなさい!!」


「我が儘ばかりじゃねぇか」


「アレクシアさん?!マリーさん!!」


マリー・カゲノーの制止を無視してアレクシアは扉の隙間に入り込む、そして彼女を追う様にマリー・カゲノーも扉に入る。


「ああ...もうっ!!」


ローズも追いかけて転がり込む、そして直後に扉は閉まり切った。


淡い光を残し、何もなかったかの様に全てが消え去った。


自演の彼女達

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「キャーー!!」

 

 

「ギャッ!!」

 

 

「フゼ!!」

 

 

「わっ...」

 

 

「あぁ、ごめんなさい」

 

 

「ローズ先輩一刻も早くどいてくれませんか?」

 

 

「アレクシア様、変なところを触らないで下さい。」

 

 

「ブヨブヨの肉饅頭なんて触りたくないわよ」

 

 

王女とお姫様の騎士ビーフサンドイッチ...うえぇ...

 

 

「私を挟んで力の入れ合いをしないでくれ、御託はいい早く動けアレクシア様。」

 

 

アレクシア、私の腹潰れちゃうよ。

 

 

「皆さん喧嘩は...」

 

 

「みんな仲良しだよ...生憎こんな状況でもね...」

 

 

この場の四人の前にアルファが出る

 

 

「「あ」」

 

 

「躓いて転んでしまって、そしたら扉が目の前にあってどうしようもなかったの。」

 

 

「...好きにしなさい、もしかしたら貴女達は知るべきかもしれない。」

 

 

「流石アレクシアさん!!堂々とする...それが世渡りの秘訣ですね!!」

 

 

「そうよ、真似してもいいわ。」

 

 

「「絶対に止めた方がいいですよ」」

 

 

この場はギャグ漫画か何かなのかな、まあでもいいか別に。

 

 

「...ここが聖域ですか、金属ばかりで何とも言えない場所ですね。」

 

 

「私の想像だと何か骸骨とかがウヨウヨしてたけど違ったわね、でもネズミ一匹の気配すら感じない。」

 

 

アンデッドダンジョンじゃねぇか、聖骸が歩き回ってたまるか。

 

 

「この地は英雄オリヴィエが討ち倒した魔人ディアボロスが、その左腕を封印した地と言われている。」

 

 

「それがどうした!!御伽噺を頼りに腕でも探しにきたか?」

 

 

「それも楽しそうだけど、私...いえ私達が知りたいのはディアボロス教団の事よ。」

 

 

私は別に興味がある訳じゃないよ成り行きでここに居るから、自由にやっちゃって。

 

 

「...何の話だ?」

 

 

「答えられないのは分かってる、だから直接見にきたの。

最初から全てを、歴史の闇に葬られた真実を探しに...英雄オリヴィエの像ね。」

 

 

「英雄オリヴィエ?男性の筈では...」

 

 

「我々は大凡の事は理解している、歴史の真実も教団の目的を...そして何故この英雄が私と同じ顔をしているのか...久しぶりねマリー・カゲノー。」

 

 

「アンタ知り合い?!」

 

 

「あ〜昔誘拐された時に助けようとしてくれてた人...オルバ子爵ボコボコにしてたよ...」

 

 

「...あんたもしやシャドウガーデンの人間じゃないわよね?」

 

 

「違う違う、私をテロ組織集団の内通者として扱うな。」

 

 

何故この場で挨拶したんだ...まあいいや、好きにさせよう。

 

 

「貴様はエルフの悪魔憑き...だが適応できず死んだ筈!!」

 

 

「やはり知っているな」

 

 

「我らは悪魔憑きの真実は知っている、今の秩序を維持したい教団にとってはさぞかし邪魔でしょうね。」

 

 

「一体何の話を...」

 

 

「マリー、説明なさい。」

 

 

「魔人ディアボロス英雄最悪の魔女、悪魔憑きの話でしょ知らんけど?カゲノー家には悪魔憑きあり...その謎もあるかな。」

 

 

「全然何言ってるか分かんないわ」

 

 

「教団の目的は単なる魔人の復活ではない事は知っている、しかしまだ確信はない...だから直接見に行きましょう。」

 

 

アルファと呼ばれる金髪蒼眼のエルフがアーティファクトに触れ、起動し扉が開き新たな場所へと聖域に誘われる。

 

 

「馬鹿な!!何故稼働する!!」

 

 

「かつてこの地で大きな戦いがあって、いくつもの命が散った。

魔人と戦士達の魔力が渦巻き、その魔力の渦に行き場の失われた記憶が封じ込められた。

...ここは古の記憶と魔人の怨念が眠る墓場、さあ御伽噺の世界へ旅立ちましょう。」

 

 

________________________________

 

 

気が付くと僕は石造りの部屋にいた、異世界どこでもドアの中に入った結果いつの間にかここに来ていた。

 

 

殺風景な部屋だ、扉が一つとそして四肢を壁に貼り付けられた女性が一人...ヴァイオレットさんだ。

 

 

「やあ」

 

 

「さっきぶりね」

 

 

「だね、もしかして君が僕を呼んだのかな。」

 

 

「呼んだ...?そんなつもりはないけど、でもさっきの戦いは楽しかったわ。」

 

 

「僕もだよ」

 

 

「私の記憶は不完全だけど覚えている中では、あなたが一番強かった...私の時代にあなたがいてくれればよかったのに。」

 

 

「光栄だね」

 

 

「あなたはどうしてここに?」

 

 

「突然扉が現れて中に入ったらここだったんだ」

 

 

「よくわからないわ」

 

 

僕もだよ

 

 

「ここから出る方法とか分かる?」

 

 

「どうかしら?私も出た記憶がないのよ」

 

 

「さっき戦ったけど...」

 

 

「気づいたらあそこにいたの、あんなことって初めてよ覚えている限りね。」

 

 

「そうなんだ...困ったな...」

 

 

僕はどうしようか頭を捻って考えた結果、扉があることだしまずは先に進んでみようと決めた。

 

 

そして来た道を戻ろうと思った時に、ヴァイオレットさんは唇を尖らせて僕を呼んだ。

 

 

「あなたの目の前に四肢を拘束された美女が居ます」

 

 

「居るね」

 

 

「とりあえず...助けてみませんか?」

 

 

僕は少し首を傾げて、それからどうやら思い違いをしていたことに気づいた。

彼女は修行中ではなかったのだ、自らを戒め魔力を感じる修行...そういう訳ではなかったらしい。

 

 

「ああごめん、修行中かと思った。」

 

 

「なぜ?」

 

 

「昔そうやって修業したんだ」

 

 

「...斬新ね」

 

 

「ん〜...ありがと、ざっと千年ぶりの自由ね。」

 

 

「そうなんだ」

 

 

「適当よ、覚えていないから最低それぐらい。」

 

 

「へぇ〜」

 

 

彼女は魔力で身形を整えて、艶やかな黒髪を右耳に掛けた...それが彼女のスタイルみたいだ。

 

 

「さて、私たちの目的は一致している。」

 

 

「うん?」

 

 

「私は解放、あなたは脱出...そうよね。」

 

 

「ああ、そうだね」

 

 

「協力しましょ?」

 

 

「それはいいけど脱出の方法は分かるの?」

 

 

「分からないわ、でも解放の方法は分かる。

...聖域は記憶の牢獄よ、聖域の中心に魔力の核があるからそれを壊せば私は解放されるわ。」

 

 

「君だけ?」

 

 

「何もかもすべて、あなたも出られるはずよ。」

 

 

「聖域なくならない?」

 

 

「いいじゃない...あなた困るの?」

 

 

「よく考えたら困らないかな、それでいいや。」

 

 

「決まりね、あと気づいていると思うけど必要最低限以上の魔力は使えないわ。

...ここは聖域の中心に近いの、魔力を練るとすぐに聖域の核に吸い取られるわ。

開放の条件は魔力核の破壊、解放それだけ。」

 

 

以前のテロリスト襲撃事件よりもずっと強力なやつだ、魔力を練るとすぐに消えてなくなる色々試しているけどこれは少し時間がかかりそうだ。

 

 

「問題ない、壊すのは得意なんだ。」

 

 

「あら頼もしいわね、ちなみに私は魔力が使えないとか弱い乙女よ...一度ナイト様に守られてみたかったの。」

 

 

彼女はまたいたずらっぽく微笑んだ、その余裕はとてもか弱い乙女には見えない。

 

 

「君は解放されたらどうするんだい?」

 

 

僕の腕を組んでいる彼女に聞く

 

 

「消えてなくなるわ、ただの記憶だもの。」

 

 

________________________________

 

 

「ここは...」

 

 

「聖域に閉じ込められた英雄オリヴィエの記憶よ、かつてここは教団によって身寄りのない子供達が集められた実験施設だった。

...殆どの子供は実験によってディアボロス細胞に適応できずに死んだ、残ったのはほんの僅かな女の子だけ。」

 

 

「これって悪魔憑きよね...」

 

 

「そうだね〜」

 

 

「酷い...」

 

 

「オリヴィエ、ソレに適応した僅かな子供の一人だった。」

 

 

「ディアボロス細胞ってのは何なの?」

 

 

「私達はそう呼んでる、教団は魔人の細胞を子供達に移植する実験をしていた。」

 

 

「仕方なかったのだ...魔人に対抗するには力が必要だったのだ...」

 

 

「それが教団の言い分、真意はどうあれオリヴィエは魔人の左腕を斬り落としている。」

 

 

「御伽噺ではなかったのですか?!」

 

 

「どう思うも貴女の自由よ...ここで見ている光景もどこまで真実か分からない、記憶は時間と共に色褪せ作り変えられる物なのだから。」

 

 

「アレクシア様、私このまま実家に帰って宜しいでしょうか。」

 

 

「駄目よ、貴女は一生私の側付き。」

 

 

解せぬ、随分と気に入られているらしい。

 

 

「ともあれ成長し、ディアボロスの力を得たオリヴィエには一つの任務が与えられた。」

 

 

「魔人の討伐よね...?」

 

 

「御伽噺ではそうなっているわ、だけど彼女に与えられた本当の目的は...新たなディアボロス細胞の採取。」

 

 

「出鱈目を言うかこの山賊風情が!!」

 

 

「彼女は力を得た後も従順だった、きっとその先に人々が平和に暮らせる世界があると信じてたのかもしれない...しかし教団の目的は違った。」

 

 

「戦場?」

 

 

「古代のアーティファクト、この状況をマリーはどう見るかしら。」

 

 

「怪物に特攻させられた雑兵かな?戦車も盾要員も居ないし倒れてるのはただの戦争奴隷とかじゃないかな?」

 

 

「オリヴィエに斬り落とされた魔人の左腕、それは斬り落とされても尚生きていた。

教団は古代の優れたアーティファクトを使い左腕を封じ込んだ、血肉を切り取って研究した...ディアボロス細胞の脅威的な生命力を得る為。」

 

 

「その過程で生まれたのが例の錠剤って訳か、アレクシアくすねた時に使わなくてよかったね。」

 

 

「うっさいわねどこから聞いたのよ」

 

 

「でもこれは副作用が強く、教団が真の意味で求めるモノではなかった。」

 

 

「魔人の腕が...!!」

 

 

「遺跡...?!」

 

 

「馬鹿な...貴様らここを暴こうと言うのか?!よせ実験体の末裔如きが知っていいモノではない!!」

 

 

「赤く輝くそれは、まるでディアボロスの血の様だった...それを舐めれば莫大な力と老いる事のない肉体を得る事ができる。」

 

 

「不老不死...ですか?」

 

 

「それが教団の真の目的?」

 

 

「フフッ...そこに居るネルソン司祭とあそこに居る男、よく似てると思わないかしら。」

 

 

「当事者の貴方には素敵なお話が聞けそうね、この薬の名前は何かしら。」

 

 

「雫だ!!ディアボロスの雫...」

 

 

「でもこの薬は二つの欠点を抱えていた」

 

 

「欠点ですか?」

 

 

「定期的に飲まないといけないとか、生産量が限られるとかでしょ。」

 

 

「それくらいなら見て分かったわ、過去のコイツには髪がある...でも今のコイツには髪がない。」

 

 

「何言ってんの面白過ぎるでしょwアレクシアお前漫才の才能あるよ...フフフッ...フヘッヘ...」

 

 

「違う!!髪が抜けたのはストレスのせいだ!!どうせ死なんのだからと何奴もコイツも厄介事ばかり!!普段は歪みあっている癖にどうしてワシに後始末を押し付ける時は協力し合うのだ!!」

 

 

「アーメン...フフッ...」

 

 

「えっと...ごめんなさい...」

 

 

「欠点の内の一つは定期的に摂取しないと効果を失うという事...一年に一度といったところかしら。」

 

 

「その通りだ...」

 

 

「二つ目は極少量しか生産できない事...一年で?」

 

 

「12滴だ...」

 

 

「そういえば教団の最高幹部、ナイツ・オブ・ラウンズの数も確か12人だったわね...偶然かしら。」

 

 

「ナイツ・オブ・ラウンズ...」

 

 

「ゼノン侯爵...馬鹿か何かなのかな...」

 

 

「教団はディアボロスの雫を未だ完全なモノにできていない、完成の鍵と見ているのは封印された魔人の体と英雄の子孫。

私の様なオリヴィエの血を色濃く受け継いだエルフや王族の血、そうよね第十一席強欲のネルソン。」

 

 

「教団では誰もがその雫から得られる力と永遠の命を求める!!如何にも私は選ばれたナイツ・オブ・ラウンズ強欲のネルソン!!」

 

 

魔人の力を解放したネルソン、だがシャドウガーデンの獣人とマリー・カゲノーに腹を貫かれ投げ捨てられる。

 

 

「弱っ...」

 

 

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「ここは?」

 

 

「記憶の中よ」

 

 

「君の記憶?」

 

 

「見覚えはあるわ」

 

 

そう言って彼女は先に進んでいく、僕は置いて行かれないように後に続いた。

 

 

静かな森の中をしばらく進むと突然視界が開けた、朝日がさんさんと降り注ぐその広場に...小さな女の子が膝を抱えて座っていた。

 

 

黒髪の女の子だった、バイオレットさんとそっくり。

 

 

「泣いているみたいだね」

 

 

「そうね」

 

 

「君にそっくりだ」

 

 

「似ているだけよ」

 

 

「何で泣いているのかな?」

 

 

「オネショでもしたんじゃない?」

 

 

そう言ってヴァイオレットさんは煙に巻く、女の子は声を出さずに泣いていた...ただずっと。

 

 

「それで?どうすればいいんだろう」

 

 

「先に進みたいならこの記憶を終わらせればいいの」

 

 

「つまり?」

 

 

「泣いても何も変わらないわ」

 

 

パンッ、と彼女の頬を叩いた。

 

 

「ひどっ」

 

 

「いいのよ、自分だし。」

 

 

「認めるんだ」

 

 

そして世界が割れた、鏡が割れるみたいに朝の森が粉々に割れていき...深い闇の奥にまた消えていく。

 

 

そして辺りは何もない暗闇になった、その中に薄っすらとヴァイオレットさんの姿が見える。

 

 

「進みましょう」

 

 

________________________________

 

 

景色が変わった、そこはどこまでも続く白い空間だった...空も大地も地平線の先もどこまでも平坦な白が続く。

 

 

アルファとデルタ、そしてネルソンが対峙する...前哨戦だ。

 

 

ネルソンが二つに増える、デルタは身を屈めたまま...そろりそろりと間合いを詰めていく。

 

 

「まず1人」

 

 

いつの間にか背後にいたアルファが、ネルソンの顔に刀を突き刺したのだ...そのままアルファはネルソンの首を刈った。

 

 

音もなく殺気もなく、ただ淡々とネルソンの頭が飛んだ。

 

 

血が噴き出し、白い大地に鮮やかな染みを作る。

 

 

しかし次の瞬間、その死体は鏡が割れるように粉々に砕かれどこかに消えていった。

 

 

「感触は人だった...動きも匂いも、これも聖域の防衛機能かしら」

 

 

「いかにも!!」

 

 

100を超える数にまでネルソンは増える

 

 

その中にデルタが突っ込む、数の不利も包囲されるリスクも関係ない...ただ獲物を目掛け猛進した。

 

 

「所詮獣か...」

 

 

「あ〜馬鹿だあれ...」

 

 

デルタの牙でネルソンの大剣は砕かれ、その際の魔力の余波で吹き飛ばされる。

 

 

「貴様らは自力で覚醒したのか?!その手法は既に失われたはず...」

 

 

デルタはスライムボディスーツの制御に手間取っているのかな、スライムを手づかみで胸と下半身に貼り付けて簡易のビキニアーマーを作っていた...大変そうだなぁ。

 

 

顔と身体を最低限隠せて、デルタは満足そうに頷いている...可愛い。

 

 

「ま...まぁ...この程度は想定の範囲内だ...見せてやろう!!これが全力!!」

 

 

その言葉と同時に、ネルソンの姿が増える。

 

 

その数はこれまでの比ではない、10人を優に超え...100人に迫るほどだ。

 

 

「獲物がいっぱいぃ...」

 

 

デルタはとても嬉しそうに嗤ってその中に突っ込む、案の定ネルソンは鏖殺される。

 

 

「数的不利も理解できんのか獣め!!」

 

 

「アアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!」

 

 

「地力が違うだろ、あ〜すっげぇ暴力。」

 

 

デルタの漆黒の刀が扇風機みたいに回るのをアレクシア達は少し離れた場所から呆然と眺めていた、その太刀筋はシャドウのものとは違うモノ...型が無く技も無くただ純粋な暴力。

 

 

それはシドの考える強さとは別の方を向いていたと思う、それでいいの?とマリーはシドに聞きたくなった。

 

 

だが強いのは事実だ、それも途方もなく...ガンマと同じだな。

 

 

そこにアルファも加わって、ネルソンは瞬く間に駆逐されていく...モグラ叩きだね。

 

 

「なぜだ...なぜこうも簡単に...」

 

 

「あなたはきっと研究者だったのでしょうね、コピーがいくら増えても頭脳は1つ。

...人間は複数の身体を制御できる様な構造の脳を持っていない、それが100体にもなればただの案山子ね。」

 

 

そしてデルタが最後のコピーを倒し、尻尾を振りながら歩いていく...哀れジャック・ネルソン。

 

 

「あと一匹ぃ...」

 

 

「ひっ...!!」

 

 

「無限にコピーを生み出せるというわけでもなさそうね」

 

 

その様子を見てアルファが淡々と述べる、事実ネルソンにコピーを生み出す力はもうなかった。

 

 

新たな場所へ、聖域が彼女達を誘う。

 

 

________________________________

 

 

僕らは何もない暗闇の中を、魔力がより強く吸い取られる方に進んだ...それ以外何も感じなかった。

 

 

歩く足の裏の感触すら曖昧で、上下の感覚を失くしてしまう。

僕は試しに上下逆向きに歩いた...逆立ちするみたいに、足を上に頭を下に。

 

 

歩けた、ヴァイオレットさんが上下逆の僕を半眼で見ていた。

 

 

「スカート覗かないでね」

 

 

「覗かないよ」

 

 

そしてしばらく進むと、僕らは茜色の光に包まれた。

 

 

「いたっ」

 

 

頭から落下した、そこにバイオレットさんが降ってくる。

 

 

「遊んでいるからよ」

 

 

「そうだね〜でここどこ?」

 

 

「みんな死んでいるね」

 

 

倒れた兵たちで大地は埋まり、どす黒い血が染み込んでいる...それが地平線まで続いていた。

 

 

「行きましょう」

 

 

ヴァイオレットさんは、まるで行き先が分かっているかのように進んでいく。

 

 

死屍累々、死体を踏みながら黄昏の戦場を歩く。

 

 

いつか僕もこんな大きな戦場で暴れてみたいものだ、陰の実力者としての一大イベントと呼べるこの状況...バイオレットさんが羨ましいよ。

 

 

しばらく歩くと戦場の中心で血濡れの少女が泣いていた、僕らは少女の前で立ち止まる。

 

 

先程と同じように膝を抱え、血濡れの少女が泣いている。

 

 

「また泣いているね」

 

 

「泣き虫だったのよ、剣を貸して。」

 

 

「どうぞ」

 

 

僕はヴァイオレットさんに剣を差し出す

 

 

そしてバイオレットさんが斬りかかろうとした時、僕は動いた...彼女の腰を抱き後方に飛ぶ。

 

 

「死体が!!」

 

 

彼女も気づいたようだ、兵士の死体が動き出し彼女を斬りつけたのだ...咄嗟に僕が動かなかったら彼女は斬られていただろう。

 

 

「聖域が拒んでいる...厄介ね!!」

 

 

「ウィルスに反応したアンチウィルスソフトみたいな感じ?」

 

 

僕はゾンビを蹴り飛ばしながら話す

 

 

「よくわからない例えね」

 

 

案の定伝わらなかった

 

 

「ごめん僕も詳しくないんだ、因みに君はここで死ぬとどうなるのかな。」

 

 

「始めの部屋で拘束されるでしょうね」

 

 

「それは面倒だ...剣は使える?」

 

 

「使えないこともない」

 

 

「僕が使った方がよさそうだ」

 

 

僕はヴァイオレットさんから剣を返してもらい近場の兵士を斬りつけた、一撃で両断するが次々と兵士が立ち上がり囲まれていく...僕達は殲滅を早々に諦め前方に突破口を開く。

 

 

ヴァイオレットさんは地面のゾンビをヒールで踏みつけていた、酷い。

 

 

「魔力がないと微妙だね」

 

 

「言ったでしょ?か弱い乙女だって、あなたは魔力がなくても動けるのね。」

 

 

「肉体改造には余念が無いんだ、魔力のない環境でも戦えるように鍛錬してる。」

 

 

「圧倒的ね、子供を蹴り飛ばす大人みたい。」

 

 

「もう少しかっこいい例えがいいな?」

 

 

「魔力を使えない人間トーナメントがあったらあなたが優勝よ」

 

 

「マシになってよかった」

 

 

とは言っても長々と戦っていてはいずれ体力の限界が訪れる、地平線まで続くゾンビの群れは魔力なしでは狩りきれないだろう。

 

 

どうせなら魔力を使って派手にやってみたかった、まだ無理かな。

 

 

僕は強引に突っ込んで、そのまま泣き続ける少女を突き刺す。

 

 

「ごめんね」

 

 

少女の口から血が零れ落ちる、そして僕らはゾンビの渦に飲み込まれたが...僕達に触れる前にまた世界が割れる。

 

 

________________________________

 

 

「来い!!来いぃ...!!オリヴィエ!!オリヴィエェェエ!!」

 

 

その情けない声に応えて、空間が裂ける。

 

 

そこから光が零れ出し、それは一人のエルフの姿をした者が現れる。

 

 

「オリヴィエ...」

 

 

それは英雄オリヴィエ、しかしその瞳に力がない...恐らく作り物なのだろう。

 

 

「英雄オリヴィエ...やはりあなたは...」

 

 

その時、アレクシア・ミドガルの護衛であるマリー・カゲノーが動いた。

 

 

膨大な魔力をエンチャントされた剣、それがオリヴィエを襲う。

 

 

オリヴィエと鍔迫り合いをする、そして甚大な魔力はネルソンの左腕ごとオリヴィエを吹き飛ばした。

 

 

「アルファ様、聖域の調査が終わりました。」

 

 

豊満な肉体の黒ずくめの女が現れた、イプシロンと呼ばれる者だ。

 

 

「お疲れ様イプシロン、なら下見は終わりね。」

 

 

アルファは踵を返し引き返す...

 

 

「に...逃げるのか...?!」

 

 

「小物の命に興味はないわ、我らの目的は力の源を断つこと...聖域の防衛がどんなものかもわかった。」

 

 

「無理矢理抉じ開ける気?誰か背負って疲れたから」

 

 

「仕方ないわね...

外の通り、次は無理矢理こじ開けに来るわ」

 

 

「に、逃がすと思うか」

 

 

「あら?追ってくれるの?」

 

 

「ひっ...!!」

 

 

ネルソンは逃げる様に走り去る

 

 

「デルタ!!行くわよ...」

 

 

「はいなのです!!ボスの報告なのです!!デルタ達は裏ボスとハゲを追い返した!!きっと褒めてくれるのです!!」

 

 

「そうね」

 

 

「アルファ様、出口はこちらです。」

 

 

「皆さんもどうぞ」

 

 

「えっと...」

 

 

「アレクシア様も残られたら?こういう薄暗い場所お似合いですし...」

 

 

「何で私がこんなハゲの巣に残らないといけないのよ」

 

 

「ハゲの巣言えて妙だね」

 

 

「待ってください!!」

 

 

そうして彼女達一行は聖域から出る...出た筈だった、何故か私は取り残された。

...私アルファに背負われてたよね勘違いじゃないよね?

 

 

「まっまずは上に報告だ...聖域に誘い出し...罠にはめて...アルファの正体を暴いた手柄にしよう...」

 

 

ハゲにバレない様に気配を消す

 

 

「そして...ん?」

 

 

その時、ネルソンは聖域の違和感に気づいた。

 

 

「まさか...聖域の中心にネズミが入り込んだか...ふん!!憂さ晴らしに嬲ってやろう!!」

 

 

そして、ネルソンとマリー・カゲノーの姿が消えた。

 

 

________________________________

 

 

「無事?」

 

 

「おかげ様で」

 

 

剣を納める僕にヴァイオレットさんが応じる、そのまま暗闇の中を歩きやがて光に包まれた。

 

 

...そして、僕らは聖域の中心にたどり着いた。




大学に推薦を取り消されたので受験をします、その為数ヶ月ぐらい会えないかも?暫くさようなら。

終わりはどうして欲しい?

  • ハッピーエンド(生存)
  • ハッピーエンド(死亡)
  • バッドエンド(生存)
  • バッドエンド(死亡)
  • 只管にオリ主マリーを虐めて欲しい(胸糞)
  • 上記の自殺ルート
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