死の支配者と呪いの王   作:国盗りしたいお

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青天の霹靂

「……何?」

 

2人は目を開ける。しかしそこは見慣れた自分の部屋ではなく、ナザリックの玉座の間だ。

 

「どういうことだ?」

 

モモンガは右手を持ち上げ、時間を確認する。

 

0:00:38

 

0時は確実に過ぎている。今頃サーバーダウンによって強制排出されているはずなのに。

 

「サーバーダウンが延期になったのではないか?」

 

同じく時間を確認した宿儺がモモンガに問い掛ける。

 

「そうかも知れないですね…。でも可能性が高いのは、何らかの不具合が起きたのかもしれないです」

 

「ふむ。ならばGMが何か発表してるかもしれんな。どれ……何だと?」

 

モモンガの言葉を聞きコンソールを開こうとした宿儺が困惑の声を上げた。

 

「どうしたんですか?」

 

「どうしたも何も、コンソールが繋がらんのだ。それ以外の機能もな」

 

「何ですって!」

 

宿儺の言葉を聞き、モモンガはコンソールを開こうとするが、出ない。他の機能も呼び出そうとするが、一切感触がない。まるでシステムから完全に除外されたかのように。

 

「最終日にこのような痴態を晒すとは……我々を虚仮にしているのか?」

 

そう呟く宿儺の言葉には、強い怒りが込められていた。そして、モモンガも同じ事を考えていた。全ての締めとなる日にこんな事態とは。ユーザーをバカにしているのか、と。今モモンガと宿儺には、栄光の終わりを綺麗に迎えられなかったことに対する怒りが湧いていた。そしてモモンガも怒りが爆発しそうになったとき、あり得ない事態が起きた。

 

「何か問題がございましたが、モモンガ様、両面宿儺様?」

 

聞こえるはずのない、女の声。2人は呆気に取られ、声の主を探す。そして誰の発したものか理解したとき、驚愕した。

 

その声を発したのはNPC――アルベドだった。

 

 

 

 

 

 

 

「何か問題がございましたが、モモンガ様、両面宿儺様?」

 

アルベドが問いを繰り返す。

 

それに対し、モモンガと宿儺は答えられなかった。突然おきた異常事態に、頭の処理が追いつかなかったのだ。

 

「……いかがされましたか?」

 

2人がなかなか答えないのを見て、アルベドは吐息が重なり合うほどの距離までモモンガに近寄り、問いかけてきた。

 

「……GMコールが効かないようだ」

 

顔を近づけられたことにより、思考回路が回復したモモンガが、問いかけに答えた。

 

「……お許しを。無知な私では、そのGMコールというものに関してお答えできません。この失態を払拭する機会をいただけるのであれば、それに勝る喜びはございません。なんなりとご命令を」

 

モモンガの言葉を聞いたアルベドは、悲痛な面持ちになると、頭を下げモモンガに謝罪をした。それに対しモモンガは、NPCが言葉を発し、会話をするという異常事態に驚愕した。そして驚愕のあまり硬直しているモモンガの横で、宿儺は「ふむ」と呟きセバスたちに指示を出した。

 

「セバス。そしてメイドたちよ」

 

『はっ!』

 

全員の声が重なり、執事とメイド全員の顔が上がる。

 

「セバスよ。プレアデスを一人連れ、大墳墓の周辺地理を確認しろ。もし知的生物がいた場合は交渉し、危害を加えず連れてこい。行動範囲は周辺1キロに限定し、戦闘行為は極力避けろ」

 

「了解しました、両面宿儺様。直ちに行動を開始します」

 

そして宿儺は続けざまに指示を出す。

 

「プレアデスよ。直ちに九階層に上がり、八階層からの侵入者が来ないか警戒に当たれ」

 

「承知いたしました、我らが主よ!」

 

声が響き、セバスとメイドたちはモモンガと宿儺に一礼すると、一斉に立ち上がり玉座の間から去った。

 

「まあ、こんなとこだろう」

 

(宿儺さん、こんな状況なのに冷静に指示を出せて凄いなー…あっ!そうだ!)

 

冷静に指示を出す宿儺にモモンガは感嘆としていたら、あることを思いついた。

 

『宿儺さん!聞こえますか?』

 

『む、この声はモモンガか?』

 

『はい。伝言メッセージを使ってみたんですが、繫がるみたいですね』

 

『NPCが喋るだけでなく、魔法まで使えるとはな……モモンガ。今すぐ第六階層の闘技場まで行くぞ』

 

『え、何でですか?』

 

『なに。魔法が使えるとわかったら、色々と実験せねばならんだろう。わかったら早くするのだ』

 

『はっはい!わかりました』

 

宿儺とやり取りをしたモモンガは、宿儺の言葉を聞き第六階層に行こうとする。

 

「さて、アルベドよ。私と宿儺さんはこれから第六階層の闘技場に行く。そしてお前に命じたいことがある」

 

「なんなりと」

 

「各階層の守護者に連絡を取り、今から1時間後に第六階層の闘技場まで来るよう伝えろ。それとアウラとマーレには私が伝えるので問題はない。」

 

「畏まりました」

 

「そしてもう一つ。宿儺さんが帰還したことについては口外を禁ずる。後から私が説明するので、いい知らせがある、とだけ言っておけ。わかったな?」

 

「了解しました」

 

「よし。行け」

 

「はっ」

 

モモンガの命令を承ったアルベドは玉座の間から去り、玉座の間にはモモンガと宿儺の2人が残った。

 

「はあー……。疲れたぁ。何なんですか、サーバーはダウンしないは、NPCは喋るはで。何がどうなってるんですか」

 

「まぁまぁ。混乱してる割にはよく対応出来てたではないか。見事なものだ」

 

「いやいや、宿儺さんの方が凄かったですよ。あんなにテキパキ指示を出せて」

 

「まあお互い様というところだ。それよりも、早く六階層に行くぞ」

 

「あ、はい」

 

「…それと念の為、ギルド武器も持っていけ。あの反応を見るに無いとは思うが、もし攻撃してきたら事だ」

 

「わ、わかりました」

 

"攻撃"という言葉を聞いたモモンガは、気を引き締めた。その様子を見た宿儺は、一つの指輪を取り出した。

 

「では、この指輪を使い第六階層にいくとするか」

 

それはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。アインズ・ウール・ゴウンのメンバーすべてが保有しているものである。この指輪の力はナザリック地下大墳墓の名前がついている部屋であれば、一部を除き回数無制限で転移できるという便利アイテムである。

 

「そうですね。転移が使えるかの実験も兼ねて使いましょう」

 

その言葉を合図に、宿儺とモモンガは指輪の力を開放し、視界が黒く染まる。そして先程までの光景は一変し、周囲は薄暗い廊下になっていた。

 

「成功しましたね…」

 

「ああ」

 

転移が成功したことに、2人は安堵していた。

 

「じゃあ、俺は先に行ってるので、伝言メッセージで合図したら来てください」

 

「わかった。クク、それはもう盛大に来てやろう」

 

(凄い悪そうな顔してるなー…)

 

とんでもない顔でニヤついている宿儺を見て、モモンガはそう感じるが、すぐに気持ちを整える。

 

「では宿儺さん。また後で」

 

「ああ。気張れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。至高なる御身よ。我らの忠義を捧げます」

 

アルベドの言葉が終わると同時に、階層守護者であるシャルティア、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴス、アルベドが頭を下げる。その光景に一瞬気圧されたが、自分に喝をいれ言葉を発する。

 

「うむ。お前たちの忠義、大変嬉しく思う。……そして、今日はお前たちに良い知らせがある。闘技場の入口に顔を向けよ」

 

モモンガの言葉を聞き、守護者たちは入口に顔を向ける。それを見たモモンガは、宿儺に合図を出した。

 

『さあ、宿儺さん。来てください』

 

『ああ』

 

 

 

 

 

主の命を受け、守護者たちは闘技場の入口に顔を向けた。そして、最初に感じたのは何者かがこちらに向かってくる足音。そして次に感じたのは――禍々しいオーラ。4つの目を持つ黒い影が、地獄の底から響くような声を発し、自身に向かってくる。先程モモンガが発していた重圧に匹敵するものが自身に降り掛かり、守護者達は冷や汗を流し体を震わす。そしてそれは現れた。4つの目に4本の腕。顔の右半分は木の板状に膨れ上がり、腹に口を持ち全身に紋様が刻まれている異形。守護者たちはその姿を見て、絶句すると同時にそれを上回る歓喜を覚えた。

 

「我らアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人である両面宿儺さんが、ナザリックに帰還した!」

 

「久しいな、お前たち」

 

その言葉を聞き、守護者たちは先程の歓喜を上回る歓喜を感じた。"至高の41人の帰還"。ナザリックに属するものであれば必ずは願い、渇望したことが今、叶ったのだ。

 

「さて、宿儺さんも来たことだ。お前たちに問う。まずはシャルティア――お前にとって私と宿儺さんとは一体どのような人物だ」

 

「モモンガ様は美の結晶。この世界で最も美しいお方であります。そして両面宿儺様は全てを呑み込む闇。この世の如何なる光でも、貴方様を前にはその闇に飲まれるでしょう」

 

「――コキュートス」

 

「モモンガ様ハ守護者各員ヨリモ強者デアリ、ナザリック地下大墳墓の支配者ニ相応シキ方カト。両面宿儺様ハ、数多ノ呪ヲ扱イ戦場ニ君臨スル、正ニ鬼神ノ如キ御方カト」

 

「――アウラ」

 

「モモンガ様は慈悲深く、深い配慮に優れた御方です。両面宿儺様は如何なる時も冷静沈着で、武勇に秀でた御方です」

 

「――マーレ」

 

「モモンガ様はす、凄く優しい方だと思います。両面宿儺様は、と、とても強い御方だと思います」

 

「――デミウルゴス」

 

「モモンガ様は懸命な判断力と、瞬時に実行される行動力も有された方。端倪すべからざる、を体現する御方です。両面宿儺様は呪いへの理解や武を兼ね備えた、文武両道という言葉が相応しい御方です」

 

「最後になったが、アルベド」

 

「モモンガ様は至高の方々の最高責任者であり、私どもの最高の主人であります。そして私の愛しい御方です。両面宿儺様は至高の方々随一の武力を誇り、ナザリックの威を示すに貢献した御方です」

 

「……なるほど。各員の考えは理解した。それでは私と宿儺さんはこれより第九階層にいく。そして、私の仲間達が担当していた執務の一部まで、お前達を信頼し委ねる。今後とも忠義に励め」

 

『はっ!』

 

再び大きく頭を下げた守護者を背に、モモンガと宿儺は転移し第九階層に移動した。周りに誰もいないことを確認すると、モモンガは大きく息を吐いた。

 

「疲れた…。ていうかあいつら……何あの高評価」

 

「まああの様な忠義を見せられれば、そうもなるか」

 

「逆に宿儺さんは何で普通なんですか…」

 

余裕そうな宿儺に対し、モモンガは疑問の声を上げた。

 

「まあ、そんなことはどうでもよい。それとモモンガ。戻ってきたばかりだが、俺は第六階層のジャングルへ行く」

 

「ジャングル…?何でそんなとこに……あっ!」

 

宿儺の行き先を聞き疑問を感じたモモンガだったが、あることを思い出し声を上げた。

 

「お前の思っている通りだ。俺の作ったNPCに会いに行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




めっちゃ疲れた……。
因みに宿儺のオーラは、アニメ一期の伏魔御厨子の最初の演出をイメージしました。
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