「お前の思っている通りだ。俺の作ったNPCに会いに行く」
宿儺は第六階層に行く目的をモモンガに話した。
「ご一緒しましょうか?」
「いや、一人で行く」
「そうですか」
「クク、お前も会いに行ったらどうだ?名前は…パンドラズ・アクターだったか?」
「ゔっ!」
自分の
「ケヒッ、
「やめてくれぇぇ!!」
「ゲラゲラゲラゲラ!」
自分の黒歴史の決め台詞を聞き、肋骨を掻きむしり精神効果無効が効果を成さないほどの感情の波が襲い絶叫を上げるモモンガ。そしてその様子を心底面白そうにゲラゲラと笑う宿儺の声。それらは暫く第九階層に木霊した。
「さて、からかうのはこれぐらいにし、第六階層に行ってくる」
「ほ、本当に勘弁してください…」
たくさん笑い機嫌がいい宿儺に、モモンガは憔悴仕切った声を出した。
「だがまあ、時には己の負の面にも向き合うのは大事だぞ?」
「…まあ、会いに行くのは考えておきます」
「そうか」
モモンガの答えを聞いた宿儺は、指輪の力を発動させ移動した。
所変わり第六階層の大森林エリア。そこは木々が生い茂る広大なフィールドで、様々な植物系モンスターや魔獣が警備をしている。そんなエリアの一角に、毛色が変わったエリアがある。竹藪が生い茂り、整備された道の両端には朱色の灯籠が並んでいる。そしてその道を辿っていくと、立派な木製の屋敷が佇んでいる。庭には池があり錦鯉が泳いでおり、季節を無視したかのように様々な四季の花が狂い咲いていた。その光景はさながら伝承にでてくる迷家のようだ。そしてその庭で、落ち葉を掃いている人影があった。黒い着物、赤い丸が入った白髪、男か女かわからないおかっぱの人物は、掃き掃除を一段落つくとため息を付いた。
(今日も、あの御方は来ない…)
そう思い、頭に浮かべるのは自らを造った己が創造主。最後に会ったときから早数年。今ナザリックに残っている至高の御方は一人であり、自分は創造主に捨てられたと考えるが、頭を振りその考えを追い出す。そんな筈はないと、必ず戻ってこられると。そう考え掃除を再開しようとすると、誰かがこの屋敷に来たことを感じる。
(アウラか?先程モモンガ様に呼ばれたようだが、その件で来たのか?)
そう思い、目線を屋敷の入口に向けると、自身の身に雷が落ちたかのような衝撃を覚えた。そこに立っていたのは、腕が4本に目が4つ、更に口が2つの異形。忘れようもない自らの創造主を見て、衝撃のあまり動けないままで居ると、宿儺は近づいてきた。主が近づいてきた事に我に返り、膝をつく。そして宿儺は優しく声を掛ける。
「久しいな、裏梅」
自らの名を呼ばれたことに、裏梅と呼ばれた者は涙を流し号泣し号泣しそうになるがそれをグッとこらえ呼びかけに応じる。
「お久しゅう御座います、宿儺様」
「再び宿儺様にお会いでき、大変嬉しゅう御座います」
「よいよい。俺も長らく顔を出さずにすまなかったな。また会えて俺は嬉しいぞ」
「ッ、勿体なき御言葉!」
数年振りの再開を果たした2人は、縁側に雑談をしていた。と言っても、ほぼ宿儺が喋り、裏梅はそれに受け答えするだけだが。
「…裏梅。お前も話したいことがあったら、遠慮無く喋っても良いのだぞ?」
「いえ。宿儺様のお言葉を聞けるのは至上の喜び。これ以上は望みませぬ」
「…」
"そういうことではないのだが…"。心の中でそう思いながら、話題を変える。
「そういえば、"奴"はいつ来るのだ?」
"奴"という言葉を聞き、裏梅は若干顔を引き攣らせるが、答える。
「この時間だと食事ですので、暫くは来ないかと…」
「…いや、もう来たようだ」
「は?」
宿儺は空に視線を向ける。裏梅も宿儺につられ空を見ると、驚愕する。黒い人影が、自分たちに向かって猛スピードで飛行してきたのだ。裏梅が宿儺の前に出るよりも早く、その人影は庭に着地した。それは女だった。しかしただの女ではなく、黒く長い髪に麻呂眉、白い着物を着ており、極めつけは背中に付いている虫のような羽だった。その女は羽を背中に収納し、宿儺を見つけるとズンズンと大股で近づいてきた。
「久しいな、よr「お久しぶりです!!宿儺様!!」
宿儺の言葉を遮り、女は大声で宿儺に会えたことの嬉しさを叫ぶ。そしてその後も、目にハートを浮かべクルクル回りながら女は叫んだ。
「本当に久し振りですね!!今日はどんな御用で!あっ!まさか遂に結婚のお話ですか!?おおお、そしたら!結婚の余興では最低でも村を3つ滅ぼしましょう!そして村一番の美男を干し首にしてその代わりゆく様を句にしましょう!料理は裏梅に仕切らせて、猿脳のポタージュはマストですから!テンション上がって…」
女の言葉は最後まで続かなかった。
「いい加減にしろ、万!宿儺様の前で、不敬だぞ!」
裏梅が怒り、怒号を上げたからだった。それに対し、万と呼ばれた女は反論する。
「酷いじゃないの、裏梅。愛しい御方に久しぶりに会えたのよ?これに喜ばずしてどうしろと言うの?」
「お前のは度が過ぎている!そもそも結婚などと、分を弁えないか!」
「あぁん?恋愛は自由なのよ、じ・ゆ・う!!そんなことも分からないの?」
「何だと、この虫女!」
「んだと、この男女ぁ!」
2人は互いの主張が対立し、喧嘩を始めてしまった。そんな2人を見ながら、宿儺は遠い目をしていた。
(こんな性格にするつもりではなかったのだがな…)
なぜ万があの様な性格になったかというと、それはペロロンチーノのせいである。ユグドラシル時代、裏梅を造った後、もう一人のNPCも造ろうとしていたのだが、設定の面で裏梅でアイデアを出し尽くしており行き詰まっていたのだ。そんな中現れたのがペロロンチーノである。最初ペロロンチーノが設定を書くといった時は、不安しかなかったが、ペロロンチーノには借りがあるので任せたのだった。そしてできた設定はエロゲー好きなペロロンチーノらしく、やれヤンデレだの、やれショタ好きだのととんでもないものだった。これを知った姉であるぶくぶく茶釜は、「人のNPCに自分の趣味詰め込むんじゃねえ」とガチギレしていたが、ペロロンチーノに全て任せた自分にも非があるとし、今の設定になったのだ。あの時はゲームの中だと深く考えなかったが、こうして動いているのを見ると、中々感じるものがある。そして、喧嘩からバトルに入りそうな2人を見て、声を掛ける。
「お前達、そこまでにしろ」
宿儺の言葉を聞いた2人は、慌てて膝をつく。
「お、お見苦しい物を見せてしまい申し訳御座いません!なんなりと罰を!」
「よいよい。見苦しいなどと思っておらん。気にすることはない」
「有難き御言葉…!」
2人は宿儺の慈悲深い言葉を聞き、更に忠誠を深める。
「だが裏梅、お前はもう少し感情を操作できるようにしろ。感情を操作出来れば、様々な面で役に立つ」
「了解しました」
「そして万。お前の想いはとても嬉しく思う」
「でっでは!」
「だが結婚はなしだ。お前は事あるごとに恋愛に結びつけるのはやめろ」
「りょ、了解しました」
しょんぼりした万を背に、宿儺は考える。これからどうするかを。そんな時、モモンガから伝言が来た。
『なんだモモンガ?』
『宿儺さん、外に出ようと思うんですが、一緒に来ませんか?』
その言葉を聞き、宿儺はケヒッと小さく笑った。
ウラウメチャ、ヨロズチャ
万のセリフ考えるのすごく難しかった。てか万が敬語だとすごい違和感あるな…。
後宿儺もなんか丸くなった感じがする。
キャラ再現するのって難しいですね。