「来たぞモモンガ…なんだお前?」
モモンガからの
「ああ、宿儺さん。俺ですよ、モモンガです」
「何だお前か…。何故鎧など着ている」
「
「ほう。確かに重要なことだな」
と、ナーベラルがいる手前支配者らしくそんな事を話しているが、実際は
『こんな事言ってますけど、実際は外に出るとき元の姿だと目立つので、鎧着てるだけなんですよ』
『成る程な。つまり俺も変装をしろ、ということか』
『察しが良くて助かります…』
と頭の中で会話を終えた2人は早速外に出る準備をする。
「ナーベラル、私はこれから宿儺さんと少し出てくる」
「近衛の準備はすでに終わっております」
「いや…私は宿儺さんと見回りたくてな…」
「そ、それはお待ち下さい。モモンガ様と宿儺様に何かあった時に私たちが盾となり死ぬことができません」
これだ。これが嫌なのだとモモンガは思う。
ナザリックのNPCは自分達の役に立つことを至上の喜びとしている。そのため自分達が戦えと命じれば戦い、死ねと命じれば迷いなく自害するだろう。モモンガはこの重すぎる忠誠心に疲れを感じていた。そして、仲間である宿儺と外でリフレッシュをしたいと考えていた矢先にこれだ。さてどう言い訳をするか考えていたら、宿儺が助け舟を出してきた。
「心配するな、ナーベラル。近衛なら俺がやる」
「し、しかし!両面宿儺様にその様な…」
「案ずるな。俺の力は知っておるだろう?それに、極秘に行いたいことなのでな。供は許さん」
「か、かしこまりました」
宿儺はナーベラルの顎をクイッと上げ、顔を近づけ囁く。それに対しナーベラルは赤面し、了承の言葉を出した。
「よし。ではモモンガ、行くぞ」
「は、はい」
2人は指輪の力を使い、地表部中央霊廟に移動した。そこでモモンガは、先程の事について宿儺に尋ねる。
「何ですかさっきの。宿儺さんって相当な女誑し何ですか?」
「そんなものではない。長く生きれば色々と学び覚えるのだ」
「そうですか…」
宿儺の言葉を聞き、達観した物言いだと思った。
「ところで、俺も変装をしなければならんのだろう?」
「はい、お願いします」
「ふむ。ならばこれで良かろう」
そう言うと宿儺の容姿がみるみると変わっていく。まず腕は4本から2本になり、腹の口も消えた。そして顔の右半分の膨らみも消え、髪も刈り上げになり髪色は珊瑚色になった。最後に2m近くあった身長も高校生程の身長に縮まり、白色の女物の着物を纏った。
「まあこんなとこだろう」
「いつ見ても凄いですね…。まるで別人ですよ」
「そうか?まあ良い。早く行くぞ」
「あ、待ってください!」
宿儺はモモンガの感想を聞くと、足早に歩いていき、それに対しモモンガは慌ててついて行った。
そして暫く歩き、出口が見えようとしたとき、想定外の事態が起こった。何と扉の前に3体のモンスターが居たのだ。
「あれは…
「奴らは第八階層の赤熱神殿に配置されていた筈だが」
モモンガと宿儺の声に気づいたのか、全員の視線が一斉にモモンガと宿儺に集まる。そして彼らの後方――陰になっていて見えなかったが、1人の悪魔が姿を表した。
「デミウルゴス…」
名を呼ばれたデミウルゴスは怪訝そうな顔で2人を見るが、何かに気づいた素振りを見せると、片膝をつき頭を下げ、周りの悪魔もそれにならった。
「これはモモンガ様。両面宿儺様。近衛もつけずここにいらっしゃるとは、一体何事でしょうか?」
『一瞬でバレたんですけど⁉』
『うるさい。あまり騒ぐな。過ぎたものは仕方がないだろう』
一瞬で正体が見破られたことにモモンガが
「色々と事情があってな。今はこの様な身なりをし、外に行こうと思ったのだ」
「なるほど…そういうことですか。しかし、供を連れずに、となりますと、私も見過ごすわけにはまいりません。ご迷惑とは重々承知しておりますが、この哀れな者に寛大な御慈悲を」
「……まあ、よかろう。なぁ?」
「……仕方ない。ではデミウルゴス。お前が来ると良い」
その言葉に対し、デミウルゴスは優雅に笑いを浮かべる。
「私の我が儘を受け入れていただき、感謝いたします。モモンガ様、両面宿儺様」
「よい。では行くぞ」
そして、ナザリックから出たモモンガ達は空高く飛行し、そこには心を鷲掴みにする光景が広がっていた。そこに広がっていたのは、美しい満月に満点の星空。大気汚染が進んだ元の世界では絶対に見られなかった絶景。
「凄いですね…。仮想世界でもここまではなかったですよ…。ブルー・プラネットさんが自然を愛したのもわかる気がしますよ」
「ああ…。素晴ら…いや、こんな言葉では到底表現できんな…この景色は」
モモンガと宿儺は、生まれて初めて見る月と星空に見惚れていた。そしてかつてのギルドメンバーを思い出し、彼が見たらどれほど興奮しただろうかと思う。いや、きっと興奮のあまり狂喜乱舞し駆け出し、暫く帰ってこないだろう。
「星と月の明かりだけでこんなに綺麗なんて…。まるで宝石箱みたいだ」
「そうなのかもしれません。この世界が美しいのは、モモンガ様と両面宿儺様の身を飾るための宝石を宿しているからに違いないかと」
デミウルゴスが世辞らしきものを言ってくる。突然の横槍に、かつての仲間との思い出にケチをつけられた気がしたが、それもこの景色を見ると気にしなくなる。それほどまでにこの景色は美しかった。
「そうだな。俺とモモンガ…いや、他の友やナザリック地下大墳墓を飾るためのものかもしれん」
「……それは非常に魅力的なお言葉です。お望みであり、ご許可さえいただけるのであれば、ナザリック全軍をもってこの宝石箱を手に入れてまいります」
デミウルゴスの言葉に、宿儺は小さく笑う。
「そうだなぁ。世界征服など興が乗るな。そう思わんか、モモンガ?」
「ええ、世界征服なんて面白いかもしれないですね」
このとき、2人は冗談で言ったつもりだった――宿儺は冗談かわからないが。そして、2人は気づかなかった。後ろにいるデミウルゴスが、どんな表情をしていたかを――
宿儺の顎クイは原作でもハニトラやってたから違和感ないハズ…。