気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
001/唸る黒龍。最強のサモナー・黒導龍吾
「……終わりか?」
その言葉を発した目の前の人物に俺は何も答えられない。いや、俺どころか俺の周りのやつらも何一つ答えられなかった。
100年前に突如として世界は多様性を失った。国際連合に成り代わる形とで一つの国家が地球を支配したからだ。アース帝国と呼ばれるそれは抗う全ての国家を破壊し、全ての人間を支配するようになったのだ。
そして俺たちはそんなアース帝国の兵士だ。と言ってもアース帝国が持つ統一軍ではなく、アース帝国の下部組織である軍管区が独自に保有する軍管区軍の新米だけどな。統一軍はエリートしか入る事が許されない、そんな場所だ。そこにいるだけでそいつの人生は勝ち組と言える程だ。
「っ! 俺は“メカソルジャー”を生贄にする事で“メガソルジャー”を召喚する!」
俺が今何をしているのかって? この世界では一般的なモンスターサモンってカードゲームさ。アース帝国では全ての争いはこれで決着をつけるのが一般的だ。だが、ただのカードゲームと侮ることなかれ。カードゲームで勝敗を決するライフ、それは自身の命に直結しているんだ。ライフを削られれば凄まじい痛みが発生する。体が弱い奴なんかは半分削れるだけで気絶したり死んじまうやつまでいる程だ。
「“メガソルジャー”の効果でフィールドの“メカソルジャー”の数だけパワーを2000アップする! 俺の場には“メカソルジャー”はいないがゲームルールは
「“メカソルジャー”は合計14体。つまりパワーは、28000アップか」
「そうだ! これで“メガソルジャー”のパワーは33000となった!」
だから大半のやつはゲームをするために特別なサモンディスクを使う。これをつける事で痛みを軽減してくれるが命にかかる負荷は変わらない。効果が切れない痛み止めみたいなやつだな。
「いくぞ! 俺は“メガソルジャー”で攻撃!」
「カウンターマジック発動。“龍魂の盾”を発動する。手札からドラゴンモンスターをセメタリーに送りその攻撃を無効とする」
「くっ! ……俺はターンエンドだ」
「俺のターン」
モンスターサモンは互いのライフを削っていくゲームだ。それとは別に最大10まで存在するコストを使ってモンスターやマジックと呼ばれるカードを発動させていく。コストは基本的にターンごとに2つだけ回復していく。とは言えライフが減れば減るほど回復速度も上がっていくけどな。
「ヒールフェイズ、ドローフェイズ。そして、メインフェイズ」
フィールドにはモンスターを出す事が出来る。モンスターを出せる制限はないがコストが低いモンスターが能力もパワーも低い。高いなら強い。それがモンスターだ。中にはウェポンモンスターなんていうモンスターに装備できるモンスターもいるがな。
「俺はコスト
マジックカードってのは便利なカードでカードを引けたりデッキからサーチやライフ回復なんかも出来る。こっちも相手ターンでも発動できるクイックマジックや逆に相手ターンでしか発動できないカウンターマジックなんてのも存在している。最近じゃ新しいマジックの種類が増えるって話だな。
「“黒龍カラミティ・ドラッヘ”を召喚する! このモンスターの召喚時効果によりこのモンスターより元々のパワーが低いモンスター全てを破壊する」
「ぐっ!」
「そして破壊したモンスターの数5体ごとに相手のライフを1つ削る。破壊したのは15体。お前のライフが半分減るな」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
さて、見ればわかる通り俺は劣勢だ。俺以外の同志は皆やられちまった。10人で挑んだのにライフを一つも削る事が出来なかった。
「“黒龍カラミティ・ドラッヘ”は攻撃が通れば3つのライフを削る事が出来る。これで終わりだ。災厄の炎、カラミティ・シュピラーレ!!!」
「ぎ、がぁぁぁぁぁっ!!!!」
龍の炎が俺を包み込むと同時に俺はすさまじい痛みに襲われた。これが
「弱く、そして脆い。最近はレジスタンスの動きが活発になっている。もっと実力をつけろ」
それだけ言って男は、この世界で最強たる御方。黒導龍吾様は訓練場を出ていった。俺はそれに対してお礼すらいえずやがて意識を手放した。
「ザ・シクスドラゴンズ」
深夜アニメでやっていたオリジナルカードゲームのアニメであり、中々に設定が盛り込まれた作品だ。何しろ世界設定が絶対皇帝により統治される統一国家アース帝国なのだ。公式サイトにおけるあらすじは以下の通りとなっている。
モンスターサモンと呼ばれるカードゲームが全てを決定する世界。そこでは国際連合に成り代わる形で全国家を支配下に置いたアース帝国が監視国家を作り上げディストピアへと変貌させていた。ある日、日本軍管区に住む六道龍也は一枚のカードを拾う。それはモンスターサモンの中で最強と言われる6体の龍の一つだった。それを手にした事で平凡な青年はアース帝国とそれに抗うレジスタンスの戦いに巻き込まれていく。
見てわかる通りこの世界はディストピアだ。モンスターサモンが強い奴が上で胡坐をかき、下のやつは永遠に搾取される。だから当然のごとく反発するレジスタンスが存在しており、主人公は彼らに協力してアース帝国打倒を目指していく事になる。
で、先ほどの黒導龍吾はどういった人物か? アニメに出ていたのか? などと思うだろうが出ていたどころか作中ではラスボスである絶対皇帝の次に強いキャラだ。六道龍也と同じように6つのドラゴンの一角を持ち、黒き龍を従えてアース帝国に歯向かうやつらを狩りつくしていた。それにふさわしいようにアース帝国絶対皇帝直下第1実働部隊“デスサイズ”隊長兼アース帝国統治議会議員兼アース帝国統一軍少佐と中々にすごい肩書を持っている。そして実力もさることながら指揮官やからめ手もうまい。作中だと主人公を確実に倒すために両親を人質に取り、身動きを取れないようにしたり当時は帝国側だったヒロインをスパイとして送り込むなどモンスターサモン以外の手で主人公を追い詰めていたが最終的に日本軍管区最後の戦いで主人公に僅かな差で敗北。崩れ去る軍管区統治センターと運命を共にすることとなる。
後半からは絶対皇帝が繰り出す者たちと熾烈なゲームが繰り広げられることになり、最終的に絶対皇帝を倒してアース帝国が崩壊。レジスタンス達は自由を手に入れて終了するって話だけど当時見ていた俺としてはそれでハッピーエンドじゃないだろと思っていた。
なにしろアース帝国は各地に軍管区として各地域を統治している為に絶対皇帝が倒れたからと言ってそいつらも倒れるわけではないのだ。そしてアース帝国は良くも悪くも統一国家だ。その後の世界なんて簡単に想像できてしまう。
とはいえレジスタンスがきちんとその後の処理を出来ればなんの問題もない。だが、悲しいかなレジスタンスにそれを出来る人材は存在しなかったのだ。つまり、レジスタンスは統一国家を壊しただけなのだ。そう考えればアニメがあのタイミングで終わったのはよかったことだがハッピーエンドには程遠い状態となっただろう。
さて、何故俺がこんな話をしているのか? 薄々気付いているだろうが俺はそのアニメの世界、それも黒導龍吾に憑依してしまったのだ。気づいたのは数日前。起きたと思ったら全く知らない部屋にいて体格なんかも全然違くて混乱したがまじりあうように龍吾の記憶が流れ込んできたために日常生活に支障はなかったのが幸いだった。
そんなわけで俺はいずれアニメが始まれば主人公に倒されて死ぬことになるんだがそれは避けたいところだ。ディストピアと言っているとはいえ世界は言う程荒廃していない。大気汚染なんかが気になりつつあるが酸の雨が降るわけでも自然がなくなったわけでもない。皇帝による絶対統治とか反対勢力を弾圧したりするからと言われればそれまでだが普通に生きていく上で不便はないのだ。しかもゲームの腕が良ければ多少リッチな生活も送れるというおまけつきだ。だからこそレジスタンスが反抗する意味が分からない。長い物には巻かれろ的側面を俺が持っているせいかもしれないがな。
「少佐! 札幌にてレジスタンスの攻撃が行われています!」
「わかった。直ぐに行こう」
今は6月10日。アニメが始まるまでぴったり2年。その時までにレジスタンスを壊滅させておかないとな。憑依して帰りが分からない以上ここで生きていかなきゃならないんだから。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
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分けた方が良い
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今のままで良い
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登場した話のあとがき欄で十分