気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
米沢サモン大会。これは原作アニメでも登場した。裏の世界編と呼ばれる序盤の話と東北編と呼ばれる東北地方の開放を目指したちょうど間に位置する序盤の大イベントだ。この大会に出場した龍也は最後の6龍である“ザ・クリムゾン・ドラゴン”を使用した。これでアース帝国から狙われる存在となって東北編に繋がっていくことになる。
今回はその1つ前に起きた大会となっている。2年前の大会という事もあり原作で主人公と戦ったサモナーの名前も確認できる。
「んで? お前らは誰に賭けたんだ?」
「この夢羅真由美っていう女性ですね。堕天使モンスターをメインとするサモナーですよ。確か2年前にも出場してベスト4にまで行っています」
「俺は紅蓮恭二ってやつだな。こいつは前回の優勝者と戦ったせいでベスト8だが準優勝でもおかしくない実力者だった」
これだけでかい大会だ。当然のごとく賭けが行われている。基本的に人気なのはランカーと呼ばれる公式大会で上位の成績を残している猛者たちだ。以外にも思えるかもしれないがこの世界では統一軍にもレジスタンスにも属していない猛者が数多く存在している。彼らは両陣営にも引けを取らない実力者であり、原作アニメでは度々ランカーが登場していた。
ではなぜ統一軍に属しないのか? 簡単な話だ。デッキを制限されるからだ。統一軍とは基本的に“メカソルジャー”を大量展開しての人海戦術を基本としている。そもそもレジスタンス相手に一人で挑むことがほとんどないため仲間と共に圧倒的パワーと数で押し潰しているわけだ。むろん例外もいる。俺みたいな6龍使いに少数精鋭の特殊部隊、絶対皇帝を護衛する親衛隊などが該当するがそれだけだ。ただの猛者程度は自分のデッキを使う事を許されないのだ。だからランカーと呼ばれる者たちは統一軍の窮屈さにへきえきしている者達ばかりなのだ。
だからと言ってレジスタンスに肩入れするわけではない。そもそもランカーが強いからな。よほどのことがない限りモンスターサモン至上主義の現状に不満を持つことはない。強ければ強い程富を得るのがこの世界だからな。
そんなわけで日本軍管区だけでも50人以上のランカーがいる。当然それより弱いやつも合わせれば数千規模でいるはずだ。
「今年は6人が初出場。半数以上がランカーではない。大波乱が起こりそうですね」
「だが優勝候補に挙がるやつはほとんど出場している。やはりこの中から優勝者が出るんじゃないか?」
うちの隊員達もそれぞれ賭けをしているみたいだな。ちなみにデスサイズから出場する者はいない。出場を拒否されたわけではなく単純に出場条件を満たしていないだけだ。基本俺以外他の軍管区の人間だからな。
「隊長は誰に賭けたんですか? やはりランカーにしましたか?」
「俺はこいつだ」
「蜂谷針治? 今年初出場のインセクトテーマモンスター使いですか」
「確かにインセクトテーマの能力である【羽化】を使って勝ち進んでいますが優勝できるでしょうか?」
「できると判断したから全額突っ込んだだけだ」
「へぇ、全額を……。ぜ、全額!?」
「それ負けた場合破産確定じゃないですか!」
隊員が俺の行為に驚いているが未来を知っている以上全賭けするのは当然だろう。とはいえあくまで貯金を全賭けしただけだ。他の資産を合わせれば例え負けたとしても破産しない程度には抑える事が出来る。その代わり今まで以上に働く必要が出てくるがな。
「というか隊長って賭け事に興味なかったような……」
「禁止はしなかったけど興味がないって感じでしたもんね。何かあったのかな?」
「心境の変化くらいいつでも起こりえる。ただそれだけだ」
おっと、流石に怪しまれたか? だけど俺も一度賭け事はやってみたかったんだよなぁ。いつも使い切れないくらいの給金をもらっているから金目当てというより賭けを純粋に楽しみたいからではあるがな。憑依する前の黒導龍吾もそうだが基本的に金は日常必需品とか食費に最低限使って残りはカード集めに使っていたからな。憑依したときはマジで驚いたよ。部屋の半分がカード置き場になってていろんなカードが保管されていたんだから。軽くカードショップを開けそうな数だったよ。
「まぁ、隊長が言うならそうなんでしょうね。というか隊長。迎えに行ってあげなくていいんですか?」
「ん? ……ああ、そうだな。面倒ではあるが行くとするか」
時計を見ればあいつが乗っている飛行機の着陸時刻に近づいていた。本当なら行く必要はないが行かないと本人の機嫌は目に見えて悪くなる。……憑依前の黒導龍吾は気づいていなかったみたいだがあちらさんは惚れていたんだろう。結局、彼女の登場が黒導龍吾の死後だった為に結ばれる事はなかったがな。
「では行くとしようか。アース帝国が誇るアイドル様をな」
エレナ・フォン・ノルトハイム。ユーロ軍管区を中心に活動するアイドルユニット“
世界編と括られる原作アニメ後編に登場したサモナーで日本軍管区の陥落と黒導龍吾の死を聞きつけて最初に奪還に動いた人物だ。彼女はアイドルとして人気が出ていたがそれらをほっぽって襲来し、レジスタンス相手に猛威を振るっていた。軍管区を陥落させたばかりで一つに纏まり切れていなかったレジスタンスはこの襲撃で半数のグループが壊滅している。最終的に主人公と闘い敗北。黒導龍吾が死んだ統治センター跡地にて6龍を暴走させて自爆するという最後を迎えている。
かなりの人気を博して予定にはなかったテーマソングまで作られる程だ。“大海神龍リヴァイアサン”事態の凶悪さもあってエレナの名はアニメ視聴者の心に深く刻み込まれることとなったのだ。
おそらく、今回の来日は原作にはない出来事だ。つまり黒導龍吾とエレナが一堂に会するという事だ。アニメファンなら待望の瞬間だろう。そしてそんな待望の瞬間に黒導龍吾として参加できる俺はある意味では幸せなのかもしれないな。
「初! 日本軍管区!」
青い髪を腰まで伸ばし、清楚な服装に身を包んだ女性が空港のゲートに姿を現した途端、カメラのフラッシュが一斉に彼女を包み込んだ。その後ろには歓声を上げる男性たちの姿もあり、ゲート付近を覆いつくさんばかりの人の多さから彼女の来日がどれだけ望まれていたのかがわかる。
「エレナ・フォン・ノルトハイムだよ~! 皆お出迎えありがとね!」
ユーロ軍管区の人間とは思えない程流ちょうな日本語で挨拶をする彼女にファンたちは歓喜の雄たけびを上げる。今この瞬間まで彼女が日本語をしゃべれるという話はなかった。それだけにこのサプライズには歓喜の声を上げたのだ。
「落ち着いてください! 押さないで!」
あまりにも多くの人が集まっている為に警備員が規制を出しているがそれがうまくいかない程人があるまっていた。幸いなのは理性を忘れてエレナにとびかかるファンがいないことだろう。彼女が通る通路は確保されその中に腕さえ入れない徹底ぶりだがそのためにほかの人たちが通るスペースが犠牲となっていたのだ。
しかしエレナはそんなことは気にせずに用意された通路を歩きだす。最前列のファンたちは至近距離にいるエレナを見て涙を流しているが彼女がウインクをする度に声にならない雄たけびを上げている。
「(意外とこっちでも人気はあるんだね。これならライブをこっちでしてもいいかもしれないね)」
基本的にユーロ軍管区でしかライブをしたことがない。他の軍管区でどれだけの人気かわからないのと態々ほかでやる理由もなかったためだ。そもそもエレナはアイドルである前に6龍使いのサモナーなのである。統一軍にとっては巨大な戦力である彼女が移動することに難色を示すのは当然と言えた。
それでも、今回初めてエレナが我がままを言った事、来日理由が日本軍管区の公式大会のエキシビションマッチに誘われたという事で納得して来日するに至ったのだ。
「(それにしても最近の黒導君はずっと日本軍管区にいるせいで久しぶりの再会になっちゃったよ。最近あった人に聞いたらなんか別人みたいになっちゃったっていうけど大丈夫だよね? 私の大好きな黒導君だよね?)」
エレナはファンの人たちに手を振り、空港を出て思い人である黒導龍吾が待つ空港入り口のロータリーに向かう。エレナが来るという事で完全封鎖されたこの場所には護衛を除けば誰もいない。
そして、ロータリーにいる一人の青年、黒導龍吾の姿を見てエレナは目を見開いた。
「(嘘、でしょ!?)」
確かに黒導龍吾は変わっていた。それは絶対皇帝ですら何かが変わったとしか感じられない程の違和感程度だったがエレナには分かった。黒導龍吾は確かに変わっていた。姿形は同じなれど雰囲気がまるで違ったのだ。まさに中身だけ入れ替わったというほかになかった。
「(そんな……。これって……)」
そんな変わり果てた思い人の姿にエレナは、
「(すごく、かっこいい!)」
大興奮していた。
それはもう雷に打たれたかの如き衝撃を受け、外でなければ鼻血を噴き出していた程だ。簡潔に言えば同じ人物相手に一目惚れしたのである。
「(前までは絶対零度の剣って感じだったけど今は氷と炎の2つをまとった魔剣みたいな雰囲気をしているわ! 私の心を凍てつかせ、焼き尽くさんと言わんばかりの! もう、最高!)」
もはや心の中でさえ語弊力がなくなり、ただただ興奮するばかりであった。まさに彼女を一目見ようと空港に押し掛けたファンと同じ状態であった。違う点は興奮しながらも理性的に行動できたことである。
「黒導君、久しぶり!」
「ああ、1年ぶりか?」
「んー、もっと前じゃない? 少なくともデスサイズに入った直後が最後なわけだし」
「ならだいぶ前だな」
久しぶりに会う、いや、初めて会った一目惚れの相手と表面上は普通に話しながらもエレナは会話をする度に、彼の声を聴くたびに興奮していた。ここが外でなければだらしない、アイドルとしてはマズい表情をさらしていただろう。
「大会は明日だ。今日はゆっくりと休んでもらって明日に備えてほしい。明日のエキシビションマッチは日本軍管区どころか世界が期待しているからな」
「もちろんだよ。私も、“リヴァイアサン”も明日が待ち遠しいよ」
それでも、モンスターサモンの話になれば思考は一気に切り替わる。勝負となればたとえどんな状況においても気持ちと行動を切り替えられる実力者。それゆえに6龍に認められ、原作アニメにおいては主人公に憎悪を抱きながらもそれに飲まれる事なく主人公を追い詰める事が出来たのだ。
「それじゃぁ、詳しい話は車の中でしようか。今日は何の予定もない。お互いに会えなかった分親交を深めようじゃないか」
「っ! そうね。私もいろいろと聞きたい事が出来たからね」
何時までもここにいるわけにはいかない。黒導龍吾はエレナを車に乗せ、多数のファンで埋め尽くされる空港を後にするのだった。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
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分けた方が良い
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今のままで良い
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登場した話のあとがき欄で十分