気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
エキシビションマッチも終わりいよいよ米沢サモン大会が始まった。全国から勝ち抜いてきた32人のサモナー達が優勝を目指して最後の戦いに入っていた。俺とエレナによるエキシビションマッチの影響もあって観客も参加者も熱気であふれている。
「へぇ、皆意外とやるんだね」
そんな彼らをエレナと共に特別に用意された観客席から眺める。場所は一般観客席の上部、強化ガラスで仕切られたVIP席だ。この席はぐるりとスタジアムを覆うように存在しており、それぞれの個室に各地から集まったお偉いさんが入っている。俺とエレナはその一つを使っているわけだ。
「そんなに以外か?」
「うん。だって日本軍管区は弱小って聞いていたからね」
「それはあくまで統一軍の話だ。ランカー達は世界でも通用する猛者が多い」
そもそもの話、統一軍は使えるカードが限られているせいでメタを張られやすいのだ。それさえなければかなり厄介な相手だと言えるのにな。
「へぇ。あ、でも確かに世界ランカーに日本軍管区の人間もいたね!」
世界ランカー。スイス軍管区が主催する世界大会で活躍する者達の事で事実上この世界で上位に位置するサモナー達だ。あいにく世界大会に関してはアニメでは描写される事はなかったが最終決戦においてスイス軍管区の協力を取り付けた主人公たちがアース帝国の目が世界大会に向けられている時を狙って絶対皇帝を奇襲していたがどんな大会かは結局描かれなかった。
「あ、さっそく一人勝利したみたいだね」
「前回の優勝者だ。対戦相手は今回が初参加の者だったみたいだし相手が悪すぎたな」
水口霊奈。女性では最高ランクのランカーであり、アクアと精霊の混合デッキを使う人物だ。簡単に言えばエレナの亜種的存在だ。エレナは6龍である“大海神龍リヴァイアサン”を切り札とするためにアクアテーマモンスターにカードが寄りがちだがそんなことはない彼女は均等に精霊とアクアを使っている。
「次は初参加の蜂谷針治だな」
「知ってるよ。黒導君が全賭けした人なんでしょ? それ聞いたから私も手持ちのお金を全額賭けてきたよ」
「……ちなみに聞くがいくら賭けてきたんだ?」
「え? 確か……、100万アースドルだったかな?」
「……」
その大金に思わず黙りこんでしまう。100万アースドルとは簡単に言えば100万円だ。この辺は日本のアニメであるためか貨幣が変わっても価値は特に変わっていなかった。ちなみに、アースドルはアース帝国の貨幣で世界中全てがこれで統一されている。かつての貨幣は今では記念硬貨と同じ扱いで金としての価値は全く存在していない。何なら現存している物はかなり少ないだろう。
「そもそも何故それだけの金額を?」
「え? だっていろいろお土産とか買いたかったからだけど? でもこれで勝利してくれれば20倍以上で帰ってくるんだもんぼろ儲けだね!」
それは俺が勝つと信じたからか? いくら何でもそれで100万を気軽に出すのはおかしいぞ。俺でさえ原作アニメで勝利すると知っていたから出来たことなのに……。
そんな風に軽く衝撃を受けていると全員の決着がついたようだ。これで半数が脱落し、残り16人で争う事になる。次の試合は1時間後であり、それまでは休憩時間という事になっている。観客たちはその間に軽食やトイレを済ませておこうとしているようで結構な人数が立ち上がって外に向かおうとしているのがわかる。中には並ばないために試合が始まってから行く者もいるようだが大半が今のうちにトイレを済ませている。
「何か俺たちも注文するか」
「賛成! 私、お寿司が食べたい!」
「寿司か……。多分あるとは思うがどうだろうな」
VIP席にはタブレットが設置されており、そこから様々な注文をすることが出来る。それは料理の注文だけではなく毛布などの手配や簡易マッサージ等の様々な注文が行えるようになっている。本来はそれらに対して料金が発生するが俺とエレナはエキシビションマッチに出たこととサモナーの実力者という事でただで利用が出来る。まぁ、それほど利用するとは思えないがな。
そんなわけで俺はワインとつまみになりそうな軽食を、エレナは寿司のセットを注文した。あるかどうかは不安だったが普通にあったし何なら職人が目の前で握ってくれるという贅沢仕様だ。
「おいし~!」
「良かったな」
この時代においても寿司=日本軍管区というイメージは離れていないのだろう。というかほかの軍管区で生魚が食べられるところはほぼない。食品に対して厳しい検査が行われているのは前世と変わっていないようだ。
ふむ、ワインを頼んでみたがなかなか美味いな。前世では苦いものが苦手でアルコールをそもそも飲まなかったが黒導龍吾になったことで耐性も変化したのかワインがおいしく感じるようになったな。とはいえさすがにこれは何処何処の名産品でと言われてもわからないがな。
そうして最高級のおもてなしを堪能しているとようやく試合開始の時間となった。この大会では珍しい事にトーナメントや総当たり戦ではなく、トーナメントの亜種を採用している。要するにトーナメントと同じように対戦し、勝った者がコンピューターによってランダムに選ばれた他の勝者と戦う事になるのだ。なので決勝でもない限り次の対戦相手がわからない為対策が難しくなっている。
「あ、見てみて! 黒導君が全賭けした人!」
「いや、エレナも全賭けしてたじゃん……、ってあれは……!」
どうやらコンピューターは気まぐれのようだ。試合の様子が表示されたタブレットには対戦相手同士の組み合わせが乗っており、その中にそれはあった。
蜂谷針治 対 水口霊奈
奇しくも今大会の優勝者と前大会の優勝者同士の戦いが行われようとしていた。だが、誰もが蜂谷針治の敗北を予想していたはずだ。それだけ水口霊奈の実力は抜きんでているし、何より蜂谷針治自身が初参加である為に未知数なのが大きい。
「……勝てるの?」
「知らん。だが、勝ってもらわないと困る」
原作においてこの大会の詳細は全く放送されていなかった。だから今辿っているのが原作通りの展開なのか、それともイレギュラーが起こっているのかそれを知る事はできない。だが、原作通りの展開でなくとも蜂谷針治の実力なら勝てる。そう思っているのも事実だ。
ステージには蜂谷針治と水口霊奈が登場し、互いに向き合っている。何か話をしているようだがここからでは聞き取れないが様子を察するに水口霊奈が優勝者としての威厳を見せながら良いゲームにしようと言っているのだろう。そしてそれに蜂谷針治が無表情で返事をしたと。
『それでは! 試合を始めてください!』
『『『『『『『『ゲーム! スタート!』』』』』』』』
今大会の優勝者を決める重要な第2試合、それがたった今開始されるのだった。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
-
分けた方が良い
-
今のままで良い
-
登場した話のあとがき欄で十分