気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
「私のターン! スタンバイフェイズ! メインフェイズ!」
蜂谷針治対水口霊奈の戦い。その先行を取ったのは霊奈の方であった。彼女は手札を一度確認すると最初の一手を繰り出した。
「私は手札より“精霊の舞”を発動する! このカードの効果によりデッキの一番上を確認し、それがコスト2の精霊テーマモンスターであればコストを支払わずに召喚する!」
そういってデッキの一番上をめくった霊奈。それに合わせて彼女が引いたカードがステージ上に浮かび上がり、その正体を針治や観客たちにも確認させた。
「引いたカードは“ウンディーネ”! よってノーコスト召喚!」
水口霊奈
コスト10→8
ウンディーネ(戦闘モンスター)
コスト2 精霊/アクア パワー5000 ダメージ1
「そして“ウンディーネ”の召喚時効果発動! 手札を1枚セメタリーに置くことでデッキから1枚ドローする! 私は“ノーム”をセメタリーに送り、デッキから1枚ドロー!」
水口霊奈
手札4枚→3枚→4枚
「っ! いいカードが来た。私は“命の代償”を発動する。この効果により私は手札を2枚、セメタリーに置かせてもらう」
水口霊奈
コスト8→6
手札3枚→1枚
「これにより私は次の自分のヒールフェイズで捨てた枚数分コストが回復できる」
“命の代償”。それは汎用カードと呼ばれる様々なデッキで使用できるカードとされているがドローを得意とする精霊テーマモンスターとの相性がいい事で知られていた。その分、入れられる枚数は1枚と大きく制限されていた。
「そして通常マジック“アルケーの提唱”を発動! 自分フィールドのコスト2精霊テーマモンスターを生贄に捧げる事で手札、デッキよりコスト6の精霊テーマモンスターをコストを支払わずに召喚する! 私は“ウンディーネ”を生贄に、“エーテル・クリアー・ドラゴン”を召喚!」
瞬間、水口霊奈の背後より謎の魔法陣が浮かび上がる。そこから未知の光があふれ出てくる。それらは空中に消えながらも一つに固まっていき、一つの龍を形作った。宝石の如き水晶を体中に内包したその龍は甲高い、まるで鳥の如き咆哮を挙げてフィールドに顕現した。
水口霊奈
コスト6→0
エーテル・クリアー・ドラゴン(戦闘モンスター)
コスト6 精霊/ドラゴン パワー23000 ダメージ2
「パワー23000!? コスト8並みの力を持っているのか……!」
「その代わりこのカードはモンスター及びマジックの効果でしか召喚が不可能なカードだ。その分効果は強力になっているがな。“エーテル・クリアー・ドラゴン”の召喚時効果発動! 私はデッキから5枚になるようにカードを引かせてもらおう」
「っ!? “命の代償”で手札を捨てた理由はこのためか!」
水口霊奈
手札0枚→5枚
一気に5枚ドローを可能とした事で観客たちはエキシビションマッチの時のように大盛り上がりを見せる。水口霊奈はこの大会において最大級のデッキの回りを見せていた。
「最初のターン故に攻撃はできない。私はこのままターンエンドとさせてもらう」
「俺のターン。スタンバイフェイズ、ドローフェイズ……っ!」
蜂谷針治
手札5枚→6枚
確かに霊奈の動きは素晴らしかったがそれは蜂谷針治とて負けてはいなかった。針治は今引いたカードを確認すると一気に動き出した。
「俺は今引いた“ソニックヤンマ”の効果発動! ドローフェイズでこのカードを引いたとき、コストを支払わずに召喚する!」
ソニックヤンマ(戦闘モンスター)
コスト1 インセクト パワー1000 ダメージ1
「そしてメインフェイズ。俺は“インセクトマン”を召喚する」
蜂谷針治
コスト10→9
インセクトマン(戦闘モンスター)
コスト1 インセクト パワー1000 ダメージ1
「“インセクトマン”はインセクトテーマモンスターの召喚コストを1つ下げる効果を持っている。俺はコストを1軽減して“ハニカム”を召喚する」
蜂谷針治
コスト9→7
ハニカム(戦闘モンスター)
コスト3 インセクト パワー0 ダメージ0
「更に手札より“弾丸トンボ”を召喚する!」
蜂谷針治
コスト7→5
弾丸トンボ(戦闘モンスター)
コスト3 インセクト パワー6000 ダメージ1
「“弾丸トンボ”の召喚時効果により俺はデッキから1枚ドローする」
蜂谷針治
手札2枚→3枚
「そして俺はバトルフェイズに入り“弾丸トンボ”の効果を発動する! このカードはパワーを半分にする事で相手モンスターにブロックされなくなる! 行け! “弾丸トンボ”!」
「私は手札よりカウンターマジック“元素の障壁”を発動する! この効果により貴様はパワー10000以下のモンスターでアタックすることはできなくなる」
緑や赤、青に茶などの様々な色が混ざった障壁が“弾丸トンボ”の行く手を阻んだ。“弾丸トンボ”は残念ながらその壁を超える事はできず、攻撃を断念して針治の元へと戻っていった。
「俺はターンエンドだ」
水口霊奈
ライフ6 コスト0 手札4枚
フィールド
エーテル・クリアー・ドラゴン
蜂谷針治
ライフ6 コスト5 手札3枚
フィールド
ソニックヤンマ
インセクトマン
弾丸トンボ
ハニカム
お互いの1ターン目が終わったが最初から怒涛の展開を見せていた。霊奈は自身のエースモンスターである“エーテル・クリアー・ドラゴン”を召喚するところまでいった上に手札を全てなくすことで召喚時効果を十分に発揮できるようにしていた。
一方の針治も自身のフィールドを整え、次のターンからも継続して戦闘が行えるように盤面を整えていた。両者のプレイングはまさに実力者と呼ぶにふさわしく、見ている観客たちも自然と熱気を帯び始めていた。
「私のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ! この時に“命の代償”の効果でコストを更に2回復する!」
水口霊奈
手札4枚→5枚
コスト0→4
「私は手札より“水のエレメンタル”を発動する! この効果によりセメタリーから精霊とアクアの二つを持つテーマモンスター1体をコストを支払わずに召喚する! 私はセメタリーより“ウンディーネ”を召喚する!」
水口霊奈
コスト4→2
「更に“ウンディーネ”の効果で手札を1枚セメタリーに置き、デッキから1枚ドローする!」
水口霊奈
手札4枚→3枚→4枚
「そして今セメタリーに送られた“第五元素”の効果発動! このカードがカード効果でセメタリーに送られた時、自分の手札1枚につきコストを1つ回復する。私の手札は4枚。よってコストを4回復する」
「っ!? 嘘だろ!?」
水口霊奈
コスト2→6
カード効果でコストを合計6も回復させた霊奈に針治は驚きで目を見開く。彼にとってはあまりにも予想外の出来事であり、それと同時に霊奈がまだまだ動き続ける事を意味していた。
「私は手札より“精霊の宴”を発動する! 自分フィールドのモンスターの数が相手より少ない場合、手札・セメタリーからコスト2精霊テーマモンスターを相手フィールドのモンスターと同じ数になるようにコストを支払わずに召喚する! 私は手札より“白のシャイニー”を、セメタリーより“サラマンドラ”を召喚する」
水口霊奈
コスト6→3
白のシャイニー(戦闘モンスター)
コスト2 精霊 パワー1000 ダメージ1
サラマンドラ(戦闘モンスター)
コスト2 精霊/フレア パワー7000 ダメージ1
「“白のシャイニー”の召喚時効果発動! セメタリーのカード3枚をデッキに戻し、1枚ドローする! 私は“アルケーの提唱”、“命の代償”、“第五元素”をデッキに戻してシャッフル。そして1枚ドローする」
水口霊奈
手札2枚→3枚
「更に手札より“ネレイース”を召喚する!」
水口霊奈
コスト3→1
ネレイース(戦闘モンスター)
コスト2 精霊/アクア パワー4000 ダメージ1
「このカードの召喚時効果発動! 手札を1枚セメタリーに置き、相手フィールドのコスト4以下のモンスター1体を手札に戻す! 私が戻すのは“弾丸トンボ”だ!」
「っち!」
水口霊奈
手札2枚→1枚
「インセクトテーマモンスターには厄介な能力を持っている物がいるからな。その一体であるそいつにはフィールドにいてほしくないのでな」
「……全く、正解だよ」
霊奈の怒涛の展開を前に針治は後頭部をかきむしる。あまりにも一方的過ぎる展開に彼の脳裏には敗北の二文字が浮かび上がっていた。
「では私はバトルフェイズに入り、“エーテル・クリアー・ドラゴン”でアタックする! そしてこのカードの効果により私はフィールドの“白のシャイニー”を手札に戻すことで回復することが出来る」
“白のシャイニー”は“エーテル・クリアー・ドラゴン”が生み出す未知の光に包まれ姿を消した。そして、残った光は“エーテル・クリアー・ドラゴン”のもとに戻り、彼の龍に力を与えた。
「残念ながらこの効果で回復したらこのモンスターで追撃する事はできないがな。だがこのカードのアタックは続いている。どうする? このカードは2ダメージ持ちだぞ?」
「問題ない。俺はライフで受ける。……っ!」
蜂谷針治
ライフ6→4
“エーテル・クリアー・ドラゴン”がその口より魔法陣を構築するとそこから雷を発生させ、針治に直撃させた。電撃を受けたことで軽くしびれた針治の表情が崩れるがそれに構う事なく反撃を開始する。
「手札の“守護蜂”の効果発動! 自分のライフが相手モンスターのアタックで減った時、コストを支払わずに召喚できる。現れろ!」
守護蜂(戦闘モンスター)
コスト2 インセクト パワー5000 ダメージ0
「更にこのカードの召喚時効果で俺はエンドフェイズまでライフが1以上減る事はない」
「成程、その名の通り守護に特化したモンスターのようだな。だが、貴様のライフ、半分に減らさせてもらおう! 私は“サラマンドラ”でアタック! “サラマンドラ”のアタック時効果で1枚ドローする!」
水口霊奈
手札1枚→2枚
ここまでの動きを見せるのに全く減らない霊奈の手札。まさにドローに特化した精霊テーマモンスターを使うだけの事はあるだろう。
「俺はライフで受ける」
蜂谷針治
ライフ4→3
そして針治のライフはこのターンだけで半分も失う事になった。霊奈の動きと合わせて誰もが針治の敗北で終わるだろうと考える中、霊奈は全く油断する事はなかった。
「私はこれでターンエンドだ」
「俺のターン。スタンバイフェイズ、ドローフェイズ、ヒールフェイズ。ハニカムの効果でコストの回復値を+1」
蜂谷針治
手札3枚→4枚
コスト5→9
「……“エーテル・クリアー・ドラゴン”を見たときは驚いた。そんな効果を持つモンスターが
針治はそういうと一枚のマジックカードを発動した。
「見せてやろう。俺が持つ“エーテル・クリアー・ドラゴン”のように効果でしか召喚出来ないモンスターを! 俺は通常マジック“蟲の誕生”を発動する! これにより、【羽化】の効果を持つモンスターを生贄に捧げる!」
【羽化】。それはゴーストテーマモンスターの【転生】のように、インセクトテーマモンスターだけが持つ固有の能力である。その能力は3ターンという長い経過を得る事で自身の生贄によりコストの高いモンスターを召喚するというものである。そして、当然ながらそれを早めたり、今のように条件を満たさずに強制的に発動させる補助カードも存在していた。
「俺は“守護蜂”を生贄に【羽化】の効果で召喚できるコスト6のモンスター1体を手札より召喚する! 現れろ! “ブラッディ・アント”!」
蜂谷針治
コスト9→6
ブラッディ・アント(戦闘モンスター)
コスト6 インセクト パワー22000 ダメージ1
召喚されたのは真っ赤な血でそまった巨大な蟻であり、その血と大きさから不気味さを醸し出していた。今回、針治が召喚したのはまさに“エーテル・クリアー・ドラゴン”のインセクトバージョンともいうべきカードである。このカードも同様にモンスター・マジックの効果でしか召喚出来ない制約があり、その分能力が強力になっていた。
「“ブラッディ・アント”の召喚時効果発動! 【羽化】の効果で召喚された場合、生贄となったモンスターのコストによって発動する効果が変わる。ちなみに、“蟲の誕生”で召喚されるモンスターは【羽化】で召喚されたとして扱われるため召喚時効果が使えるわけだ」
「成程な。で? 一体何をする気なのかな?」
「簡単だよ。今回は“守護蜂”が生贄となっている為、コスト2以下の効果を適用する。相手フィールドの“ブラッディ・アント”以下のパワーのモンスターを全て疲労させる!」
「ほう?」
“ブラッディ・アント”よりパワーが低いモンスター。それは“エーテル・クリアー・ドラゴン”を除く全てのモンスターであり、これにより霊奈の“ネレイース”と“ウンディーネ”は疲労状態となり、霊奈のライフを守るモンスターは1体だけとなった。
「だが“ブラッディ・アント”では“エーテル・クリアー・ドラゴン”よりもパワーが低いぞ? まさか私がライフを削る事を優先すると予想して特攻するか?」
「まさか。こうするのさ! 俺は手札より
「っ!?」
突如としてフィールドに暴風が発生する。それは巨大な竜巻へと姿を変え、“ブラッディ・アント”を中心に巻き起こる。そして、その遥か上空より一振りの剣が落ちてきた。空を見上げた“ブラッディ・アント”はそれを口で掴むと暴風は止み、剣を口にくわえた“ブラッディ・アント”が姿を見せた。
蜂谷針治
コスト6→3
暴風剣-ストームブレード(ウェポンモンスター)
コスト3 ウィンド パワー+8000 ダメージ1
ウェポンモンスター。それは戦闘モンスターに装備される事でさらなる力を呼び起こすことのできるカードである。だが、その装備する条件や出回っている少なさからランカーでも使っていいる者はごく少数だった。黒導龍吾でさえ持ってはいても使用はしておらず、その使いづらさが分かるだろう。とはいえ蜂谷針治が使ってくるのはある意味では当然と言えた。原作アニメにおいて、ウェポンモンスターが初登場したのが主人公と蜂谷針治の戦いだからだ。
「“暴風剣-ストームブレード”の効果で“ブラッディ・アント”のパワーは8000上昇し、ダメージ数も2となった」
ブラッディ・アント
パワー22000→30000
ダメージ1→2
「パワー、30000だと!?」
「バトルフェイズ! “暴風剣-ストームブレード”を装備した“ブラッディ・アント”でアタック! “暴風剣-ストームブレード”のアタック時効果により俺は“エーテル・クリアー・ドラゴン”を疲労させる」
「くっ! 私のモンスターは全滅か。ライフで受けよう!」
水口霊奈
ライフ6→4
「“ソニックヤンマ”! 続け!」
「それもライフだ」
水口霊奈
ライフ4→3
「俺はターンエンドだ」
水口霊奈
ライフ3 コスト1 手札2枚
フィールド
エーテル・クリアー・ドラゴン
ウンディーネ
ネレイース
サラマンドラ
蜂谷針治
ライフ4 コスト3 手札1枚
フィールド
ソニックヤンマ
インセクトマン
ハニカム
ブラッディ・アント
暴風剣-ストームブレード(ブラッディ・アントに装備中)
怒涛の展開を見せた霊奈に対抗するように今大会初のウェポンモンスターの召喚からのライフの逆転という大立ち回りを見せた針治に観客たちの声援は大きくなった。最初こそ針治の負けと思っていた彼らももしかしたらという期待が生まれつつあった。
だが、霊奈とて前大会優勝者という肩書を持つ強者である。この程度は劣勢でもなんでもなかった。
「私のターン!」
そして、それを証明するように霊奈はお返しをする最初の一手を繰り出すのだった。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
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分けた方が良い
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今のままで良い
-
登場した話のあとがき欄で十分