気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
何時からか、俺はこの世界がアニメの通りに進むと思っていた。というのも俺が憑依し、好き勝手にしているとは原作通りの展開になりつつあったからだ。だから俺は心のどこかで主人公に殺される事を受け入れてしまっていたんだ。
何故大物レジスタンスが今も健在なのか? 何故将来自分を殺す主人公を見つけて殺さないのか? 何故原作を知っていながらそれに対策をしないのか? その答えがそれだったんだ。
だが、今回の事はいいきっかけとなった。2年後の大会では優勝者が違う。言ってしまえばそれだけで大きな転換点とは言えない。だが、確かに原作アニメで登場したものとは違う事が確実に起こったのだ! 主人公のライバルを倒した? まだ2年近くあるんだ。脱獄して再びレジスタンスとして活動してもおかしくはない。レジスタンスをつぶしている? 絶対皇帝がレジスタンスの完全駆逐を望まない以上あいつが裏から手をまわしてまた雨後の筍の如く大量に現れるはずだ。
そう、俺は結局原作アニメと違う展開にならない可能性程度のことしかしていなかったのだ。そして、今回の事で俺はわかったのだ。原作は変えられると。俺の死を回避できると。恐らく、いや確実に生半可な事ではないだろう。それこそ主人公を殺すつもりでやらないと無理だろう。何しろ主人公はモンスターサモンにおいてはかなりの実力者だ。原作開始までは学生で燻っていたが何もしなくとも卒業後はランカーになるべく公式大会を回るつもりだと話していた。加えて、たとえ主人公を倒し、捕まえたとしても脱獄されてしまっては元も子もない。絶対皇帝の事だから6龍を手に入れるべく行動するかもしれないがな。流石にもう一体の6龍とは違い“ザ・クリムゾン・ドラゴン”はまごう事なき6龍最強のモンスターだからな。
そうなると今しかない。主人公を倒し、原作アニメを始まらなくすれば俺は死なずに済む。ならば今すぐにでも行動しないとな。
「……ねぇ、黒導君」
……ああ、だがその前にやるべき事があったな。
「お金、なくなっちゃった……」
「……すまない」
この一文無しとなった
『試合、終了! 今、この瞬間をもって米沢サモン大会の優勝者が決定しました! 前回に引き続き水口霊奈選手が二連続優勝という栄誉を勝ち取ったのです!』
司会が興奮気味に話すのを聞きながら蜂谷針治はスタジアムの外を歩いていた。敗北したことで選手ではなくなった針治は勉強も兼ねて水口霊奈の戦いぶりを見ていたが序盤からコスト6のモンスターを2体並べて見せたことで針治は興味を失った。水口霊奈が勝利すると理解してしまったから。結果、対戦相手は5ターン目で敗北し、水口霊奈の前に膝を屈したのだ。
「(結局、勝つことは出来なかった)」
油断も慢心もしていたわけではない。ウェポンモンスターを入れ、これまでで一番調子が良いと感じていただけに霊奈に負けたことはかなりのショックであった。それこそ、これまでの人生で一番、と言ってもいいかもしれない。それだけ、針治はここまで順調に進み、大きな敗北をしたのだ。
「(あいつ……。悔しいがあいつの方が強かった。切り札の“始祖蝶”も、俺の新たな戦力であるウェポンモンスターも簡単に対処された。そのくせあっちは攻め手も豊富で常に盤面を制圧していた)」
針治は最初から最後まで相手の独壇場だったと改めて思い知らされた。振り返れば振り返る程に霊奈の実力の高さを理解させられ、心がすさんでいく。このままいけば帰宅する頃にはモンスターサモンをする気力さえ失いそうな程だった。
「ちょい待ち」
「あ?」
だが、そんな針治を呼び止める人物がいた。針治がそちらを振り向けたサングラスをかけた長身の女性がいた。顔はモデル並みに良く、スタイルもかなり良い女性はゆっくりと針治の方に近づいていく。
「蜂谷針治やな?」
「……そうですが、何か?」
有名税と言えばいいのか。針治はこういう事については覚悟しているつもりだったがまさか敗北した自分に対して接触してくる人物がいるとは思っていなかった。それだけに針治は若干の警戒を見せつつ対応する。
「まぁ、怪しいのはわかるけどそこまで警戒せんでも」
「で? 何か用ですか?」
大阪弁の女性に警戒心マックスで対応する針治に女性は肩をすくめながら本題を話し出す。
「うちはちょっとした活動をしててな。君の実力を見て是非うちと一緒に活動して欲しいと思うたんや」
「……あんた、レジスタンスの人間か」
活動と言って具体的な話をしないあたり、この時代ではレジスタンスの可能性が高い。針治はそう言った事に興味もなく、自分の回りにそういった人物がいなかっただけに今回は初遭遇となった。
「しかし、確か日本のレジスタンスはほぼほぼ壊滅したと聞いたが?」
「それは中小規模のレジスタンスの話や。うちらみたいな大手は今でも健在やで」
「……ああ、そうか。その大阪弁でレジスタンスと言ったら花ヶ咲花蓮か」
「うちも有名になったもんやな」
関西に存在する大規模レジスタンス組織、
「俺にレジスタンスに入れと?」
「せや。うちらもあの黒導龍吾のせいでかなり厳しい状況に置かれてるんや。戦力補充をしといて損はないやろ」
「……」
正直に言って針治はレジスタンスの活動に興味はなかった。そもそも彼はまだ学生であり、社会に出ていない未成年だ。そういった世界とは程遠く、今の世界に不満があるわけでもなかった。
故に、彼は花蓮との話を適当に打ち切って大会スタッフに通報するつもりでいた。そうなれば統一軍によって周辺が封鎖され、大会は中止されるかもしれないが本戦は終わり、残すは閉会式のみとなっている事から問題はないだろうと判断した。
「うちらに協力してくれるなら二度と負けないように強化してもエエで」
「っ!?」
「うちらは大規模レジスタンスや。資金源も強力なカードもそろえている。ランカー並みの実力者も大勢抱えている。デッキ強化と戦術の開発には事欠かないで?」
「……」
「水口霊奈。彼女に負けたのは悔しかったやろ? 二度とあんなみじめな思いはいややろ?」
「……」
針治の脳裏には霊奈に敗北したときの記憶がよみがえってくる。目の前の女の手を取ればあんな思いはしなくて済む。たとえ嘘だとしても今の針治には魅力的な話だった。そして、そんな針治の背中を押すように花蓮は話を続ける。
「怪しいと思うか? ならまずはお近づきの印としてこれをやるわ」
「これは……!?」
「今の君には魅力的なカードやろ?」
花蓮が渡したカードはインセクトテーマモンスターの強力カードだった。針治でさえ入手できない代物であり、確かに針治にとっては魅力的なカードであった。
「それに別にいきなりレジスタンスに入らなくてもエエで。先ずはうちの仲間たちと交流してからでも遅くはないで。どうせしばらくは活動なんてせぇへんしな」
「……」
その提案とカードで針治の気持ちは固まった。針治は花蓮の後を追い、米沢の町へと消えていった。
……黒導龍吾が原作とは違う動きをし続ける影響は彼の知らない所で少し出始めていた。彼が日本軍管区に入り浸る事でエキシビションマッチは彼が担当することとなり、それを様々なレジスタンスが見に来ることで大会参加者の一部がレジスタンスに協力することとなった。結果的に、レジスタンス達はランカーやそれと同等の実力者たちを抱える事に成功し、戦力の強化を果たすこととなった。そして、それが後々に黒導龍吾の動きを妨げる強力な壁として機能していくことになるのだった。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
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分けた方が良い
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今のままで良い
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登場した話のあとがき欄で十分