気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した   作:名無しのカードバトラー

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022/戦い終わって

「うー! 流石は先輩ですね。まさか6龍も出されずに負けるなんて思いませんでしたよ」

 

 所謂女の子座りの状態でニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら言うメアリーにこんな状況でもそんなことが言えるのか、と呆れつつ彼女に手を差し伸べる。

 

「運が良かっただけだ。それに、6龍に頼らない戦術も開発しているところだからな。ちょうど良かった」

 

 実際、俺は6龍使いとしてはあり得ない6龍を使用しないデッキも作成中だ。確かに6龍は強力だ。唯一のコスト10モンスターにしてパワー30000を超えるモンスターばかりなのにその効果も強力。普通ならばこれを使うだろう。しかし、強力であって無敵ではない。事実、このサモンで俺は“ホーリーライト・ドラゴン”の効果を封じて勝利した。相棒である“カラミティ・ドラッへ”だって破壊を無効にされればそれまでだしカウンターで破壊されてもそれを防ぐことは出来ない。

 つまり、所詮は強いカードに過ぎないのだ。なればこそそれに頼らないデッキ構築を想定するのも可笑しくはないだろう。

 

「6龍に頼らないデッキ? 先輩は6龍の中でもトップクラスの“黒龍カラミティ・ドラッへ”の使い手なんですよ? 何で態々そんなことを……」

「負けないためだ。6龍は強いが無敵ではない。それに頼らない戦術もまた必要になってくる」

 

 今回のようにほしい時に来てくれるとも限らないからな。今回は何とかなったが“パワーメタル・ドラゴン”以上のパワーを持ったモンスターも入れないとな。相棒以外の最高火力が24000っていうのは明らかに低すぎるからね。

 

「それで? お前は何故俺に勝負を挑んできた?」

「え? それは、その……。せ、先輩の実力を知りたくて……」

「誰に言われた?」

「じ、自分で考えたんですよ?」

 

 しどろもどろになっている時点で嘘をついている事はまるわかりだ。雌ガキのくせしてこういう想定していないことにはうまく対処が出来ていない。原作アニメでみたとおりだな。

 

「そもそも6龍使いであるお前は極東方面で力をふるっているはずだ。日本軍管区の統治センターにいること自体がおかしいだろ」

「それは、その……」

「大方、うちの隊員の誰かだろう」

 

 びくり、とメアリーが震えたことから図星であるようだ。ふむ、デスサイズは少数精鋭で数は多くはない。となるとメアリーが話しやすいと思われる異性よりも同性である可能性が高いな。そして、俺にこいつをけしかけるような事が出来そうな人物となると……。あいつしかいないか。

 

「鈴森カナデ、だな?」

「っ! ち、違います!」

「反応が答えだ。しかし、あいつか……」

 

 デスサイズではたった二人しかいない女性隊員の片割れ。とはいえそれは原作の話でもう一人はデスサイズに入れる程の頭角を見せていない為現状では紅一点だ。ではこの鈴森カナデとはどういう人物かと言われれば快楽主義者、だ。それもサイコパス寄りのな。

 他者を甚振り、人を振り回すことが大好きというどうしようもないやつでたまにレジスタンス相手に罠を作って遊んでいたりする。もちろんの事だがサモンの腕もかなりのものでカウンターマジックを多用する罠デッキともいえるデッキ構築をしている。

 

「どうせあいつにいい感じにそそのかされて今回の事に及んだんだろう? 恐らくだが、俺が変わった事に関して。違うか?」

「あうぅ、その通りです……」

 

 降参と言わんばかりに手を上げるメアリーにため息をつく。マウンテン・ジョー以上に厄介な相手だ。あいつは隊長の座に戻りたいだけであってこちらの害になるような事はしてこないからいいがカナデは違う。平気で敵対行動ともとれることを行ってくる。原作アニメにおいて主人公が生き延びていた原因の一人だが結局最後まで視聴者以外にわかる事はなかった。そして、そんな性格故か彼女は最終的に追い詰められ、外から逃げようとして窓を飛び降りるが命綱を固定していた根本が爆発で吹き飛び、彼女は悲鳴を上げながら落下死するという壮絶な最期を遂げている。

 

「まぁ、いい。今回のサモンは俺にとっても有意義であった。お前がいない事がバレないうちに戻れ」

「っ! 分かり、ました……」

 

 俺も用事が出来た。一体何の目的で、メアリーをけしかけたのかを本人から聞く必要があるからな。メアリーについては自分の足で戻ってもらう事にしよう。

 どちらにしろ、後のヒロイン(未来の裏切り者)となんて仲良くする必要はないんだからな。

 

 

 

 

 

 

 

「……行っちゃった」

 

 先輩、黒導龍吾が訓練場から出ていったのを確認してから私は大きく息をついた。勝てると思っていたわけじゃない。先輩の“カラミティ・ドラッヘ”はそれだけ強力だ。だからそれが出てくれば負けは確定だと思っていたけどまさか出さないで負けるとは思わなかった。

 

「それに私がなんでここにいるのかもわかったみたいだし……」

 

 今回、無断でこうして先輩の元まで訪れたのはデスサイズの隊員の一人にお願いされたからだ。その人の事は良く知らないけど「隊長が最近変わったみたいなの。ちょっとサモンを挑んで様子を見てほしいのよ」と真髄に言われたら断れるものも断れないわよ。

 

「でも、確かに先輩は変わってた」

 

 前までの先輩ならこんな事でサモンに応じてくれなかったと思う。私もそれほど会ったことがあるわけじゃないけど前の先輩は研ぎ澄まされたひと振りの刃みたいな人だった。持ち主以外には全てを切り裂く愚直な刃。だけど、今の先輩はそこに柔軟性がついた。自分で考え利益になることを見定める。それでいて鷹揚さも兼ね備えていてまさに人を統べる人間という感じに見える。もちろん、私がサモンを通じて感じた感覚でしかないけど。

 

「でも、6龍に頼らないデッキかぁ……」

 

 私の切り札にして()()()である“聖天龍ホーリーライト・ドラゴン”。このカードに選ばれてから私の真の切り札になっていたけどもし、このカード無しで戦うなら……、無理かもしれない。

 

「それをやろうとしているってことよね、先輩は」

 

 そう考えるとすごい事のように思うけど理解は出来ない。態々強い、それも6龍を使わないデッキを作る意味って何? 先輩はいろいろと考えているようだけど私には理解できない。強いカードを使って何が悪いのか。態々使わない理由は何なのか。

 

「ねぇ、あなたはもし私が先輩のようにあなたを使わないデッキを作ったら……」

 

 あなたはそれを許してくれる?

 最後まで言えなかったけど思いは通じたのか、デッキから取り出してみたお友達の姿は何処か悲し気に見えた。

 先輩、あなたのお友達はそのデッキを許してくれているんですか? そうでないのなら、覚悟をしていた方が良いかもしれないですね。

 私は、誰もいなくなった訓練場で座り込みながら先輩の心配をするのだった。

 

カード紹介は別作品として分けた方が良い?

  • 分けた方が良い
  • 今のままで良い
  • 登場した話のあとがき欄で十分
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