気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した   作:名無しのカードバトラー

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032/お見舞い

「誰だ! 現在ここは封鎖……っ!? し、失礼しました!」

「構わない。通っても?」

「勿論です! 黒導少佐殿!」

 

 俺は敬礼する若い兵士に「ご苦労」とだけ言って中に入る。……現在、俺はベルリン地区にある大病院に来ている。周辺はユーロ軍管区の統一軍兵士が百人単位で取り囲んでいる。とは言っても病院を包囲しているのではなく、病院を取り囲む万単位の民衆を近づけさせないようにしている。

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉっ!! エレナちゃあああああん!!!』

『『『『『愛してるうううううう!!!』』』』』

『早く良くなってくれええええええっ!!!!』

『『『『『うおおおぉぉぉぉぉぉっ!!』』』』』

 

 彼らは皆エレナのファンたちであり、エレナが重傷を負ったという事で病院に雪崩れ込もうとしていたのだ。しかし、統一軍の展開の方が早かった為にこうして周囲で声を上げていたのだ。万単位で存在するため、統一軍の兵士たちの表情にも余裕はなく、いつ突撃されてもいいように警戒を続けていた。

 そんな中で無関係で今回に限っては部外者と言える俺がいきなり来たから大分警戒させてしまったな。後で何か差し入れでももっていった方が良いだろう。彼らだっていつファンが暴徒と化すのか分からずに緊張しているだろうからな。

 

「エレナの病室は何処だ?」

「え!? は、はい! 〇〇〇号室になります!」

「分かった」

 

 うーん。やはり黒導龍吾は知名度がかなり高いようだな。一般人はともかく統一軍やその関係が深い人物は当然のようにこちらを知っているからな。知られすぎてちょっと辟易するくらいだから俺以上にメディアへの露出が激しいエレナは改めてすごいんだなと感じさせる。

 

「ここか」

 

 そして、教えられた病室の前まで到着し、中に入る。病室の前には護衛の兵士が二人立っており、俺を確認すると敬礼して通してくれた。驚かないあたり既に情報共有がされていると考えていいだろうな。

 部屋は普通の病室と変わらないシンプルなつくりだ。ただ、エレナの回復を願ってか花が飾られている。造花らしいエレナをモチーフにした青い花やバラやカーネーションなどのよくある花が添えられている。

 そして、ベットの上には点滴を刺され、眠っているエレナとそれに寄り添う二人の女性の姿があった。あまり詳しくは知らないが確かエレナと同じグループの二人だったはずだ。

 

「っ!? 黒導龍吾!?」

「え!? 嘘でしょ!?」

 

 二人は病室の扉が開く音が聞こえたらしくこちらに視線を向けて驚きの声を上げた。流石にエレナと同じグループの女性たちだ。こちらの顔は知っているか。

 

「邪魔をする。……エレナはまだ目を覚まさないか」

「は、はい! エレナはまだ、一回も……」

「エレナ……」

 

 俺の登場に驚いていた二人だがエレナの話を振ればその顔が曇る。それだけでもエレナの容体が悪い事が察せられてしまう。医者の話によれば手術は成功し、何時意識を取り戻してもおかしくはないが、逆に何時意識を取り戻すかもわからないと言っていた。二人にしてみれば仲間がこんな目に遭ったのは相当に辛いはずだ。

 

「エレナ……」

 

 俺は二人の反対側に回り、エレナの顔に手を添える。確かな体温が手を通して伝わってくるが触れていなければ今にも死んでしまいそうな印象を受けた。そんなことはないとはわかっているはずなのにな。

 

「……エレナちゃん、黒導君の事とても楽しそうに話していたですよ」

「そうそう。どう見ても大好きって伝わるくらいに!」

「……そうか」

 

 場を明るくしようとしてくれているのか、確か……セシルだったか? がエレナの話題を話し、カルメン? が同意した。それ自体はありがたいが本人が聞いたら真っ赤になりそうな話題を出してきて苦笑するしかない。これは話を忘れてやった方がいいのか? それとも真剣に受け止めた方が良いのか……。

 

「日本軍管区に行ってからモンスターサモンの特訓を行っていているんですよ。よほど龍吾さんに負けたのが悔しかったみたいですよ」

「それで前よりもとっても強くなっているんですよ~」

「ほう、それは楽しみだな」

 

 前よりも強くなったのか。それは本当に再戦が楽しみだ。前もかなり強かったがあれよりも、となると一体どれほどになっているのか。そんな俺に気づいたのかセシルがこんな提案をしてきた。

 

「そうだ! もしよかったら私とゲームしませんか?」

「ん?」

「一度龍吾さんと勝負してみたかったしエレナだって私たちの戦いを見て目を覚ますかもしれませんよ?」

「……」

 

 さすがはモンスターサモンで全てが決定する世界だけの事はある。こんな時でもモンスターサモンかよ。まぁ、確かにエレナは覚醒していないだけで峠は越えている。いつ目が覚めてもおかしくはないと言われている以上心配する事はないし、実際エレナなら俺の試合を知れば跳び起きそうな気がしてしまう。……まさか本当に目を覚ましたりしないよな? それはそれでホラーだぞ。

 

「良いだろう。ならどこか出来るスペースがあればいいんだが……」

「それなら1階に多目的スペースがありますよ。そこでやりましょう!」

 

 病院といえどモンスターサモンが出来るスペースは確保されているわけか。確かにロビーでそれらしい大きなスペースがあったな。それがそうなのか。

 俺はセシルとカルメンを連れて病室を出ていく。扉の外にいた兵士に試合をする事を伝えると明らかに見てみたいという思いが伝わってきたが残念だが君たちは職務を全うしてくれたまえ。

 そして多目的スペースに到着した俺たちは備え付けのサモンディスクを装着し、準備を整える。周りには軽く人だかりが出会始めており、俺とセシルの戦いを今か今かと待っているようだ。明らかにさっきの兵士たちが報告したのだろう。結果、休憩中の奴らがわんさか集まってきたというわけか。

 

「さすがはアイドルだな。人だかりが出来ても堂々としている」

「えへへ。私、こう見えてもサモン大会でも上位に入れる実力者なんですよ。だから大会とかでもよく注目されてたのでこのくらいへっちゃらですよ」

 

 そうだったのか。残念ながら原作では戦う描写なんてなかったからわからなかったな。一体どんなデッキを使うのかも不明だし、これは予想以上に楽しめるかもしれないな。

 

「ならこちらも本気でやらせてもらおう。準備はいいか?」

「勿論です!」

「「ゲーム、スタート!」」

 

 こうして、俺とセシルの試合は幕を開けた。

 

 

 

 

 一方そのころ。エレナを襲撃した犯人の男は統一軍の兵士に護送されて収容所に向かていた。レジスタンスに属しているだけでも罪だが今回は爆破テロまで起こした為に他の犯罪者たちより罪は重く、本来は取り上げられないデッキは没収され、細工が施されたサモンディスクは処分されていた。

 本人自身も両腕を肩から固定され、暴れる事が出来ないように筋弛緩薬が打たれていた。足には逃走防止用に肩幅以上に開くことが出来ない足枷がつけられていた。顔面にも自殺防止の為に口枷が嵌められ、喋る事すらままならないという徹底ぶりだった。

 そんな中にあって男は力の入らない体で必死に力みながら憎悪を募らせていた。

 

「(くそが! なんでだ! なんで!)」

 

 おのれが敗北し、負け惜しみに使用した爆弾でエレナを殺す事さえ失敗したことを兵士たちから聞いた男はエレナに対して怒りを爆発させていた。

 

「(許さない! 俺の計画をぶち壊しやがって……! 絶対に収容所を抜け出して奴をコロシテヤル!)」

 

 男は身勝手とさえ思える憎悪で肉体を精神を支配させていく。男の全てが黒く染まりそうなとき、それは起こった。

 

-力が欲しいか?

 

「(っ!? 誰だ!)」

 

 突如として頭に響いた声。周囲を見回しても声を出した人物らしき者はいない。困惑していると再び声が響いてくる。

 

-もう一度聞こう。力が欲しいか?

 

「(……あ、ああ! 欲しい! あのくそ女を殺せる力が!)」

 

-そのために貴様は何を差し出す?

 

「(全てだ! 俺の全てを差し出す! 奴を殺せるのなら!)」

 

-良いだろう。お前に力を授けよう。そしてその力を使い6龍を降し、殺せ。

 

 

 

 その数分後、男を護送していた車両は爆破炎上し、乗っていた兵士は全員死亡。男のみ行方不明になる事件が発生したが男を見つける事は出来なかった。

 

カード紹介は別作品として分けた方が良い?

  • 分けた方が良い
  • 今のままで良い
  • 登場した話のあとがき欄で十分
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