気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した 作:名無しのカードバトラー
暴徒迫る病院の屋上、そこでは一機のヘリが黒い触手に拘束されていた。それは普通ではありえないバトル外でのモンスターサモンの効果で発生したものであった。
このような事になった理由としては暴徒を食い止めんとした龍吾達の防衛線を突破した男が引き起こしたものだった。男はエレナを病院送りにした張本人であり、拘束を解かんとするセシルとバトルを行う事になったのである。
「ヒヒ。先行は、お、俺だな。スタンバイフェイズ、め、メインフェイズ」
男は何処かドモリながらも狂った笑みを浮かべながらバトルを開始した。
「お、俺は“半魔ピビモ”を召喚する」
男
コスト10→7
半魔ピビモ(戦闘モンスター)
コスト3 悪魔 パワー7000 ダメージ1
男が最初に召喚したのは半身がぐずぐずの悪魔だった。そいつは半分だけの顔で不気味な笑みを浮かべてセシルを見ていた。
「さ、更に“半魔ピビモ”の効果でい、1ターンに1度、こ、コストを2軽減できる。そ、それを使って、こ、“小悪魔キッビ”をコストを支払わずに召喚する」
男
コスト7→7
小悪魔キッビ(戦闘モンスター)
コスト2 悪魔 パワー1000 ダメージ0
フィッシャー中佐も使っていたデフォルメされた可愛らしい悪魔がポン、と姿を見せた。
「そしてこ、“小悪魔キッビ”の効果でコストを、い、1軽減して“
男
コスト7→6
コスト2 悪魔 パワー0 ダメージ0
次に召喚されたのは1組の黒い翼をもったひょろ長い悪魔だった。
「こ、これで召喚コストは、に、2軽減できるようになった。俺は“
男
コスト6→3
コスト6 悪魔 パワー12000 ダメージ1
“小悪魔キッビ”、“アビール”の効果を受けて地面を割いて3組の黒い翼をもった悪魔が姿を見せた。その悪魔は大剣を持った騎士風の悪魔であり、普通ではない圧力を放っていた。
「お、俺はこれでターンエンドだ」
「ふん! 1ターンで4体も出すなんてやるじゃない。だけど私だって負けてないわよ! 私のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! メインフェイズ!」
セシル・パヴィア
手札5枚→6枚
「……私は手札の“リカバリー・ワーム”をセメタリーに送る事で手札の“サモン・ワーム”をコストを支払わずに召喚するわ!」
セシル・パヴィア
コスト10→10
サモン・ワーム(戦闘モンスター)
コスト4 インセクト パワー11000 ダメージ1
「そして私は“サモン・ワーム”をセメタリーに送り、“巨大蟲-キング・ワーム”を召喚するわ!」
セシル・パヴィア
コスト10→2
巨大蟲-キング・ワーム(
コスト8 インセクト パワー22000 ダメージ2
セシルはいきなり高コストモンスターを召喚したがこれには訳があった。相手は1ターンで4体ものモンスターを出した以上後手に回ってはこちらが不利になると考えたからであった。
「(とはいえさすがに“キング・ワーム”の召喚は厳しいわね。これ以上は動けないわ……)私はターンエンドよ」
男
ライフ6 コスト3 手札1枚
フィールド
半魔ピビモ
小悪魔キッビ
セシル・パヴィア
ライフ6 コスト2 手札3枚
フィールド
巨大蟲-キング・ワーム
1ターン目はお互いに盤面を整える事に終始した。男はコスト軽減モンスターにコスト6のモンスターを出して盤面を整え、セシルは高コストモンスターを出して相手に圧力を加えた。しかし、セシルのこの動きは結果的に無意味な行動に終わってしまう。
「お、俺のターン。す、スタンバイフェイズ、ドローフェイズ、ヒールフェイズ、メインフェイズ」
男
コスト3→5
手札1枚→2枚
「……ひ、ヒヒ。き、来た!」
男はドローしたカードを見ると笑みを深めた。
「お、俺は手札よりマジックカード“魔槍召喚”を発動する!」
「!? 魔槍召喚? それは一体……」
初めて見るカードにセシルは警戒を強める。長年サモンを続け、上位ランカー並みの実力を持ち、カードに詳しいセシルが知らないカードという時点で警戒しない方がおかしかった。
「俺はライフ1つを対価とし、デッキトップ5枚をセメタリーに置く。その後、セメタリーよりウェポンモンスター1体をコストを支払わずに召喚する!」
「ウェポンモンスターを呼び出すカード!? そんなカードが実在していたなんて……!」
「見よ! これが俺の新しい切り札! “魔槍-エビル・ビィデント”!」
大地に闇の波紋が広がり、魔界へと通じるゲートが開いた。そのゲートより一振りの槍が勢いよく飛び出してきてフィールドに突き刺さった。二又の槍は禍々しい邪気を放ちながらセシルに対して凶悪な圧力を加え始めた。
男
コスト5→1
ライフ6→5
魔槍-エビル・ビィデント(ウェポンモンスター)
コスト6 悪魔 パワー+8000 ダメージ0
「な、なんなのよ。そのカードは……!」
「貴様らには理解できない。全てを混沌へと導く槍だ」
気づけば男のドモリは無くなり、エレナを襲撃したような覇気を身にまとっていた。
「更に“アルカロル”の効果でウェポンモンスターを召喚するたびに1枚ドローする。そして“エビル・ビィデント”の効果で2枚ドローだ!」
男
手札1枚→2枚→4枚
男の手札は一気に4枚まで増えた。これは男のターンがまだまだ続く事を意味していた。
「更に俺は“半魔ピビモ”、“
男
コスト1→1
バラル・ラング(戦闘モンスター)
コスト4 悪魔 パワー4000 ダメージ1
召喚コストを全て軽減されて召喚されたのは偉業と呼ぶしかない、辛うじて人型とわかる悪魔だった。
「“バラル・ラング”の召喚時効果発動! コストを1つ支払い、自分の手札からコスト5以下のウェポンモンスター1体をコストを支払わずに召喚する! 出でよ! “ダーク・プリッツァー”!」
男
コスト1→0
ダーク・プリッツァー(ウェポンモンスター)
コスト5 悪魔 パワー+4000 ダメージ0
“エビル・ビィデント”に比べれば邪気が一切ない黒き短剣はそのまま地面へと突き刺さった。しかし、それによって地面に巨大な穴が出現した。
「“ダーク・プリッツァー”の召喚時効果発動! 俺はセメタリーよりコスト3以下の悪魔テーマモンスター1体をコストを支払わずに召喚出来る!」
「っ!? そんなモンスターいないはずよ!」
「残念。“アビール”は強力な効果と引き換えに毎ターンのエンドフェイズにデッキから1枚をセメタリーに送らないといけない。だが、そのおかげでこの効果を発動できるわけだ! 俺は“デーモン・バトラー”を召喚する!」
デーモン・バトラー(戦闘モンスター)
コスト3 悪魔 パワー6000 ダメージ1
現れたのは名前の通り、執事服を着込んだ悪魔だった。
「“デーモン・バトラー”は悪魔及びカイザーテーマモンスターの召喚コストを1軽減する上にコスト6以上の悪魔かカイザーテーマモンスターが破壊される時に身代わりに出来る効果を持っている」
それはつまり、ただでさえ厄介な悪魔たちが破壊しづらくなったことを意味していた。それが理解できたが為にセシルの顔は険しいものとなる。
「行くぞ! 俺は“エビル・ビィデント”を“アルカロル”に装備する!」
男のその言葉に反応し、二又の槍は自然と浮き上がり、“アルカロル”の下に向かっていく。“アルカロル”はそれを難なくキャッチし、切っ先をセシルに向けた。
パワー12000→20000
ダメージ1→2
「俺はバトルフェイズに入る。その瞬間、“アルカロル”の効果を発動する。“アルカロル”の効果で自分フィールドのウェポンモンスター1体に付き俺のフィールドの悪魔テーマモンスターのパワーを+4000する。俺のフィールドには2体のウェポンモンスターがいる。よって、パワーは8000アップする!」
「8000……!」
半魔ピビモ
パワー7000→15000
小悪魔キッビ
パワー1000→9000
パワー4000→12000
パワー20000→28000
バラル・ラング
パワー4000→12000
デーモン・バトラー
パワー6000→14000
「行くぞ! 俺は“アルカロル”でアタックだ! そして“エビル・ビィデント”の効果発動! 相手のコストを0まで減らし、減った数値分コストを回復する」
「なっ!? 嘘でしょ!?」
セシル・パヴィア
コスト2→0
男
コスト0→2
コスト強奪。そんな効果を持つカードは驚くほど少ないがそれもそのはずである。一部のテーマやモンスターを覗けばコストというのは召喚するのに欠かせないものだ。それを奪い取るというからには厳しい制約や条件が必須となる。しかし、この“エビル・ビィデント”はたかだがアタック時に発動できるというあり得ない条件の緩さだったのだ。
「で? アタック自体はどうするつもりだ?」
「くっ! ……ライフで受けるわ!」
自らのフィールドには“キング・ワーム”しかいない。しかも“キング・ワーム”のパワーは22000であり、“アルカロル”を破壊するには至らない。故にセシルはライフで受ける事を決めた。
「っ!? ぎっ!」
セシル・パヴィア
ライフ6→4
魔槍による一撃を諸に受けたセシルだが想定外の痛みに呼吸が一瞬止まる。それは統一軍兵士が治安維持の際に使用するサモンディスクの出力を軽く超えており、セシルは槍が当たったところの骨が軋むのを感じながら軽く後方に吹き飛ばされた。
「セシルちゃん!」
「セシル!」
全身に激痛が走り、意識が一瞬跳びかけるが仲間の声にセシルは意識を無理やり叩き起こした。ここで倒れるわけにはいかない。
「ほんと、一体何なのよ……!」
「ああ、言い忘れていたがこのゲームにおいてライフは文字通りの意味と思え。ダメージを受ければ命を削られるような激痛を受ける事になる。で? お前は最後まで立っている事が出来るかな?」
「っ!」
男のその言葉を聞きセシルはにらみつける。この程度、屁でもないと言わんばかりに。そんなセシルに男は冷酷に攻撃を続けた。
「ならば更に追撃をしてやろう! 俺は“バラル・ラング”でアタックだ!」
「それは“キング・ワーム”でブロックするわ!」
さすがに連続でダメージを受ける事は出来ない。そう考えたセシルはモンスターによるブロックを決めた。そして、それは滞りなく行われ、迫ってきた悪魔を“キング・ワーム”は丸呑みして破壊して見せた。
しかし、それが最適解というわけでもなかった。
「クイックマジック“死の連鎖”発動! 悪魔テーマモンスターが相手とのバトルで破壊された時、破壊したモンスターを道づれにする」
「なっ!?」
丸呑みにした“キング・ワーム”だがその体表に紫の斑点が現れ始める。それは急速に増殖していき、“キング・ワーム”を苦しめる。唐突に起こったそれに“キング・ワーム”は何もできず、のたうち回りながらあっけなく死を迎えた。
「そんな……」
「これでお前のフィールドはがら空きとなったな。だが、これ以上は必要ないだろう。俺はターンエンドだ」
切り札をあっけなく破壊され呆然とするセシルを無視して男はターン終了の宣言をした。
コストは0でフィールドにモンスターはいない。それに加えて切り札すら失うという状況。セシルはまさに僅か4ターン目を迎える前にがけっぷちに立たされるのであった。
カード紹介は別作品として分けた方が良い?
-
分けた方が良い
-
今のままで良い
-
登場した話のあとがき欄で十分