Fate/stay night [Heaven’s Dived Tales] 作:らて丸
#001
Side:識
午前4時
オレは重い瞼を開き身体を持ち上げる
「寒っ…」
全身を突き刺すような寒さに襲われたオレは近くにあった上着を羽織る
真っ直ぐ洗面所へと向かい冷水と洗顔料を用いて顔を洗う
その数秒後俺はその行動を後悔することになる
ただでさえ寒いのだ、顔は凍ったように冷たくなる
せめてぬるま湯にすればよかった…
後悔しながらもキッチンへと歩を進めた
カウンターキッチンからはオレの先生が寝っ転がっているのが見える
「ハァ…」
寒いのに毛布も被らないで…
風邪でも引いたらどうするんだ
看病するこっちの気持ちにもなってくれ
せっかく先生のために寝室を用意しているというのになんで使わないんだ…
弁当箱を3つ取り出し、作り置きしてあったおかずを一度温めてから詰めていく
人使いの荒い部長にも困ったものだ
「よし…」
「おはようございます、今日も早いですね」
気がつけばもう5時
同居人が目をこすりながら自室から出てきた
「あぁ、おはよう。朝食の準備をしてくれないか?今日は先生もいるから4人分で」
「はい、任せてください」
さっきまで眠そうだった顔から一転
ブロンドヘアをたなびかせながらテキパキとトーストの準備をしていく
「ほんと頼りになるなぁ…」
同居している彼女はオレが学校に行っている間に家事をこなしてくれる
あっという間に朝食の用意も終わりそうだし先生をそろそろ起こさねば…
「ほら、先生。朝ですよ」
「う、うぅん…もう少しだけぇ…」
「だらしないですよ、今日はオレの刀を橙子さんのことにまでちゃんと取りに行ってくださいよ?ほら朝ごはんもできてますから顔洗って、ちゃっちゃと来てください」
「わかってるわよ…」
先生はモゾモゾとゆっくり起き上がる
「やっと起きてくれた…」
「シキも今日はいつもと比べてゆっくりですよね」
「ゆっくり…?」
時計の針は既に5時半を超え、40分を刺そうとしている
「まずい!!」
オレは少し急ぎ気味でパンとスープ、目玉焼きとベーコンを平らげる
急ぎつつも丁寧に歯を磨き、制服へと着替える
この制服を着始めてからもうすぐ2年が経つ
早いようで短かったな
「じゃあ、オレは行くけどそろそろ6時だから桜ちゃんのこと起こしてあげて」
「はい、わかりました」
もう外に出ようかと思ったが、想像よりも風が強くコートを上から羽織る
「よし、急ごう!!」
本日は弓道部の朝練
練習時間には間に合うが早めに行って部員たちが快適に活動できるようにしなければならない
それに早く行かなければ部長にドヤされるからな…
我が家は冬木市の深山町にある洋館
オレの父さんが魔術師の家系の分家ということもあってだろうか、大災害のときに家が燃えたときに本家から支援してもらえた
父さんがその家を出てってから半絶縁状態だったのによく支援しようと思ったよな…
金持ちの考えることはわからん
長い長い坂をこえたら我らが母校の穂群原学園へと到着だ
「よっす、遠海」
「おっす、美綴」
我らが弓道部の部長、美綴 綾子の登場である
「今日も弁当持ってきてくれた?」
「バッチリ、作り置きのやつだけどな」
「いやー、毎日毎日ありがたいなぁ〜」
「そろそろ金取るぞお前」
「まぁ、いいじゃないの!!」
よくねぇから言ってるんだけどな?
「ハァ、そろそろ準備するぞ」
「わかってるわよ」
オレは、文句を言いながら弓道場の準備へと取り掛かった
Side:識 out