Fate/stay night [Heaven’s Dived Tales] 作:らて丸
Side:識
「さて、今日は街の見回りをしてくる」
「先輩、一人でですか?」
「いや、衛宮さんとセイバー、あとジャンヌに来てもらう」
「そうですか、あまり遅くならないでくださいね」
「おっけ」
刀をコートで隠し、ナイフも複数本忍ばせる
サーヴァント相手には通じないことはわかるが魔術師相手にはある程度効果があるから持っておいて損はない
「よし、それじゃあ行ってくる」
「はい、気をつけてくださいね?」
「あぁ!!」
オレは寒空の下、外へと飛び出した
◇
◆
◇
街を見回っているが異常は特に見られない
「ジャンヌ、どうだ?」
『マスターから約8km先に魔術が使用された気配があります』
「わかった、今から向かう。お前はそこで待機だ」
『わかりました』
pi♪
電話を切り衛宮さんにヘルメットを被せバイクの後ろに乗せる
「なにがあったんですか?」
「この先に魔術の痕跡を見つけたらしい、マスターの場合は周辺住民に被害を出す前にその術を解かせる」
「わかりました」
「一応、セイバーをこっちに向かわせてくれ」
「了解です!!」
「よし、行くぞ」
バイクに跨りアクセルを吹き、加速する
爆発的な加速を得たオレの身体はその身に暴風を受けるが気にしない
バイクを路肩に止めそのままジャンヌが立っていた路地裏へ
「さて、どこのどいつだ…?」
人影に対して刀を抜き警戒を強める
サーヴァントか?それともマスターか?
暗闇で目を凝らすと、そこにいたのは見知った顔
「美綴…?」
そこにいたのは我らが弓道部の部長、美綴
しかしその目はどこか虚ろで自分の意思で動けているとは思えない
そして、唐突にクチュ…と皮膚を破られたような音ともに彼女は宙へと浮かび上がった
「何者だ、テメェ…」
自らの仕事が終わったのか、霊体化を解きオレ達の目の前へと姿を表す女性
「美綴さん!!」
「待ちな、マスター。来るぞ」
カン、カン、と一定のリズムを刻みながら階段を下る影
「驚いちゃったじゃないですかぁ?ねぇ、先輩?」
この声は聞き覚えがある
ただ、何故だ?
何故、そこにいるんだ?
「女の癖してこの僕に手を上げたんです、美綴先輩はこうなって当然ですよ。そう思いますよねぇ、遠海先輩?」
「なぁんか最近機嫌いいと思ったら、そういうことね。若狭くんよォ…!!」
自分でも腹の奥底から怒りが込み上げてきているのがわかる
「いやぁ、誰から殺るか思い悩んでたんで、殺すついでに我らが弓道部部長にいろいろ協力してもらったんですよ。家の位置とか喋ってもらいましたよ?ライダーに命令すれば、嫌いなやつは殺せるし魔力も吸えるので、僕もライダーもたっくさん気持ちよくなれるんですから。聖杯戦争ってのも悪くないですねぇ!!」
「なんて、酷いことを…」
暗がりでよく見えなかったが、美綴の顔には複数の痣がある
制服の汚れ方からも色んなところを殴られたり蹴られたりしてるだろう
「そうそう、僕はですね。ずぅぅぅぅっっっっっっっと貴方のことが嫌いだったんですよ、弓道でも中学の時は僕の右に出るものなんていなかったのに、始めて一年ちょっとで貴方に抜かされるし…間桐さんのことだって、絶対絶対!!僕のほうが先に好きだったのに!!」
「なにいってんだ?お前…」
「間桐さんはずっと暗い顔をしてたから、僕が笑顔にさせてあげるんだって誓ったのに!!ある日を堺に徐々にあんなに暗かった表情が朗らかになって!!間桐さんを見守っていた時も、貴方と一緒にいるときだけずっと笑顔で!!貴方は!!僕の全てを奪ったんだぁ!!」
「だから?」
「は…?」
「それだけの理由で美綴のことを傷つけたのか?」
刀を抜く
こいつの令呪を確実に切り落とす、こいつにサーヴァントという大きな力を持たせておくわけには行かない
「だからなんだって言うんですか?どうせ魔術では僕に勝てないんだ!!ど、どうせそのサーヴァントもどこの誰かもわからないしょぼいサーヴァントなんだ。そ、そうだ!!ぼ、僕がこの街で一番の魔術師なんだ!!」
「全力でやっていいぞ、セイバー」
両者、英霊が構える
鎖は蛇のように靭かに
剣は焔のように輝かに
一瞬にて
いつでもこちらを穿てると言わんばかりに鎖は光を反射し、どこか艶かしい
そして瞬く間にジャンヌの腕を絡め取る
「殺せ!!ライダー!!」
勝ちを確信したのか、ライダーは一気にジャンヌへと飛び込む
しかしそれはあまりにも判断が早すぎた
「なんのッ!!」
ジャンヌは鎖が巻かれた腕を思い切り振りかざす
ライダーは勢いをもったまま地面へと叩きつけられる
「私をあまり舐めないで…」
巻かれた鎖を利用しこちらへと手繰り寄せ…
「くだッさいッ!!」
自らの聖剣をライダーの腹部に叩き込んだ
ライダーはなすすべなく壁へと叩きつけられ動けなくなる
「そ、そんな!!僕のサーヴァントがま、負けるわけがないんだ!!」
「さて、若狭くん。オレは今結構、頭にキテるんだけどさ」
「………ッ」
「右腕一本で勘弁してやる、じっとしてな」
彼の顔は冷や汗を滝のように流し、目も泳いでいる
「ぼ、僕を舐めるなァ!!」
若狭が着込んでいたコートの内側から放たれる数本のナイフ
とっさだったが、居合の要領で弾き飛ばす
「この僕が!!魔術でお前みたいなやつに負けるわけがないんだ!!」
「ちっ…!!」
あまりにも数が多い、心臓や肩、腹部、足など怪我を負うと活動が大きく阻害される部位のみに守りを集中させる
チリッと頬にじんわりと冷たい感覚が走る
浅いが、斬られた
だがこの程度の傷、なんてこと無い
全身を魔力で強化
恐らく獲物はナイフのみ、
一気に近づいて殴り飛ばす!!
しかし、その時だった
ズキズキ、と痛みが強くなる
「あ?」
全身に痛みが走りまともに立つのも難しい
「やっと当たりましたねぇ、どうです僕の特製ナイフの味は?」
「こいつは…ッ、毒か!!」
「えぇ、そうですよ!!少しでも掠れば魔力を帯びた毒は血液中に周り相手の魔力に適応させてから干渉することで、肉体の分解や抑制を行うんですよ!!」
「ずいぶんとまぁ、べちゃくちゃと…」
勝ち誇ったように口を三日月の形に歪めて嗤う
「今なら貴方のことを確実に殺せる」
そういうと、もう一本のナイフをオレの顔へと突きつける
あれ、オレ死ぬ?
「ですが、貴方のことを殺すのは最高のステージで、間桐さんの目の前でです」
「待て、桜ちゃんのことを巻き込むつもりか…?」
「えぇ、では楽しみにしててくださいね、先輩」
そう言いながらライダーに抱えられ逃げ出していく若狭
「と、遠海くん。大丈夫ですか!?ごめんなさい、守られてばかりで…」
「問題ない…さて、橙子さんまだ起きてるかな…」
痺れる身体を起き上がらせオレは若狭が逃げた空を睨む
すでに彼らの姿はそこにはない
夜の帳がただ静かにオレの未熟さを嘲るように見下ろしているだけだった
第14話です
オリ主がバイクに乗ってる描写がありましたがオリ主が乗っているのは『ホンダ・CBR600RR』です2003年発売のバイクで調べたんですがデザインがドストライクだったのでこれにしました。
まぁ、あんまり登場しないのであまり気にしなくてもいいです()
描いてて思うんですけど、衛宮 穂風ちゃんの影薄いんですよね…
今後どんどん存在感がませるように頑張ります
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