Fate/stay night [Heaven’s Dived Tales] 作:らて丸
Side:識
キャスターの攻撃を掻い潜りながらジャンヌとランサーはキャスターへと斬りかかる
彼女たちの様子を見るに対魔術スキルが働いてない…
どちらかと言うと呪術に近いのか…?
うーん、やつがどんな英霊なのかイマイチピンとこない
ゾクッ、
キャスターの真名を想像しているときだった
首元にヒタリと悪寒を感じる
即座にオレは刀を抜き背後へと一閃
闇夜に紛れてギリギリまで気が付けなかった…
コイツがアサシン…
「おぉ、戻ったか。アサシン」
「えぇ、我が主。私の力不足が故、アーチャーを仕留め損ないました…」
「よい、あのアーチャーはお主単騎で仕留められるほど軟ではない。そんなことよりも、そこの小童どもの相手をしてやれ」
「御意…」
瞬時に向けられる刃
黒塗りの刃がオレの頬を撫でる
「あっぶねぇッ!!」
「遠海くんッ!!一度離れなさいッ!!」
「そうしたいところなんだがなぁッ!!」
髑髏面のアサシンはオレに距離を詰め続けなかなか離させてくれない
こうなったら…
左手に持つ鞘をトンファーのように使いアサシンを殴りつける
「ガギッ…」
怯んだところに腹部へと鞘の銃口をそのまま突きつける
「吹き飛べッ!!」
ドンッドンッドンッ
と3発
サーヴァント用に作り上げられた弾丸だ
至近距離で放てばそれなりに火力は出る
とはいえ状況が依然として厳しいのは変わらない
「んもうっ!! 最速と最優のサーヴァントに揃われちゃあ攻めるにも攻められませんねぇ…」
「よい、全て薙ぎ払え。アサシンなら脱しられるだろうよ」
「んふふ、御老公もお人が悪い…、ではではマスターもろとも消し飛んでいただきましょうか」
なんか、あっちで物騒なワードが聞こえたような気がするんだが…
「遠坂、一回離脱するぞッ!!キャスターのやつヤベーことする気だ!!」
そのときだった
街頭は消え一気に周りが静かになる
街の灯りが影へと沈んだように…
「まさか、ありえん…」
間桐臓硯の視線の先
そこには布を覆いかぶせたような黒い影
何故だろう、オレは何故かあの影に強い親しみを感じる
これは、なんだ…
「これはいけない、下がりましょう我が主…」
そういいながら霊体化するアサシンとキャスター
「今だ、ジャンヌッ!!」
「ふ…ッ!!」
臓硯の首を跳ね飛ばすジャンヌ
しかし、臓硯の身体は霧散し蟲へとなって散り散りに成りながらも消えていく
「取り逃がしたか…にしても…この影をどうするか…」
こちらに危害を加えてきそうな様子はないが…
そのとき、
影が一本の線を伸ばした
これがやつの攻撃方法なのか…?
そしてその影は、正確に遠坂の元へと伸びている
「ッ、遠坂…!!」
この距離なら一飛でッ
オレは遠坂のことを押し出し影を踏みつけた
そう、踏んでしまった
頭の中へと流れ込む情報
くろいうさぎ
異教徒
しろいひとみ
罵詈雑言
はいいろのとり
桜ちゃん?
ツギハギうさぎ
赤布の影
ひいろのはえ
桜ちゃん?
つるされうさぎ
桜ちゃん?
桜ちゃん?
桜ちゃん?
嗚咽
胃の中にあるモノが全て絞り出されるようだった
「ちょっと、遠海くん!?大丈夫!?」
一呼吸、
起こそうとしてくれる遠坂を制止し起き上がる
「問題ねぇ、あの影にあてられただけだ…」
魔力がごっそり持っていかれた
アレとやり合うのはとてもじゃないが出来ない
だが1つはっきりした
「街の奴らから魔力を吸い取ってやがるのは、あの影で間違いなさそうだな…」
「え、えぇ、でも遠海くん、とりあえず今は安静にしましょ」
「あぁ、悪い…」
オレは不格好ながらも家へと戻った…
Side:識 out
◇
◆
◇
Side:凛
翌日、
私はある人物からの呼び出しを受け中国料理店『秦山』へと来ていた
「来たか」
もうなんか食べてる…
「呼び立てて悪かったな。早めに着いたので食事をしていた」
食べていたのは激辛麻婆豆腐
そんなに食べて飽きないのかしら…
「…………」
「…………」
「食うか?」
「食べないわよッ!!」
一度頼んだことがあるがこんなものは人が食べるものじゃないわ
こんなの『ラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげく、『オレ外道マーボー今後トモヨロシク』みたいな料理』よ
「で?なによ、話って?まさか妹弟子呼び立てておいて『ただ雑談がしたかった〜』ってわけじゃないんでしょう?」
一口、
赤黒い麻婆豆腐を口に含んだ後、熱くなったのか服のチャックを開ける綺礼
「凛、昨晩なにを見た」
「間桐臓硯と戦闘になったわ。あの老人、アサシンとキャスターを従えているようだったけど。キャスターに関しては仮契約みたいだったけど…」
「ふむ、あの御老人が動いたか…」
「………」
「私は、アーチャーへとアサシンの動向を監視させた」
え?
「アンタなにいってんのよ…」
「私がアーチャーのマスターだ」
「ハァ!?」
「凛、店の中だ。大きな声を出すな」
「ッ」
いっつも腹立つやつだと思ってたけどいつも以上に腹立つわ
そういう大事なこともっと早くいいなさいよ…
「話を続けるが、アーチャーは柳洞寺までアサシンを追い詰めた」
「それで?仕留められたの?」
「いや、アーチャーはアサシンを仕留め損なったと言っていた」
アサシンの気配遮断スキルで逃げられたのかしら…
アーチャーとアサシンで殴り合ったのならアーチャーに分があると思っていたのだけれど…
あのアーチャーは接近戦でも普通に戦えてたし…
「重ねてアーチャーはこう言っていた…」
「?」
綺礼はニヤリと嗤うと口を開く
「『黒い影を見た』とな…」
「ッ!?」
あの黒い影が…柳洞寺に…?
「あの黒い影はサーヴァントのみならず街の人間にまで手を出し始めた」
「じゃあ最初っから街の人間から魔力を吸い上げてたのはあの黒い影ってわけ?」
「いや、はじめのうちはキャスターで間違いない。サーヴァント特有の残穢を確認できているからな」
「そう…」
「キャスターが街の人間の魔力を吸い上げるのを『採血』と例えるとしたら…あの影がやることは『食事』そのものだな」
これ以上あの黒い影が動けば大勢の人が死ぬ
「このまま放っておけばこの街は無人になる」
綺礼は懐から1枚のメモ用紙を取り出しこちらへと渡してくる
開くと、そこに書かれていたのは…
「意識不明者、3000人…!?」
「場所は深山南4区。そこにはなにがある…?」
「柳洞寺…」
私は荷物をまとめ立ち上がる
こうしちゃいられない
「どうした?飯は食わないのか?」
「そんな悠長に食事を取ってる暇なんて無いわ。遠海くんに知らせないと…」
「昨夜倒れた彼を使うのか?」
「遠海くんのことよ、もうきっと起きて情報をまとめてるわ」
「信用しているのだな」
言い方腹立つわねコイツ…
「えぇ、私よりも何枚も上手な魔術師よ?アレくらいでもう動けませんなんてありえないわ」
それだけを綺礼へと吐き捨て、私は店を後にした
第17話です
これにて第二章『開戦、
次回からは第三章『消失、
それを記念して第三章公開に合わせて人気投票を行いたいと思いますよ
全陣営揃った最新版なのでこれをもとに考察していただけたら幸いです
書き貯めがもうほとんどないので更新ペースが落ちます
ですが更新は続けるので今後とも宜しくお願いします