Fate/stay night [Heaven’s Dived Tales]   作:らて丸

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#007

Side:???

 

 

 

窓ガラスが割れることなぞつゆ知らず

 

彼女はこの狭い廊下でブンブン薙刀をぶん回してる

 

「ハァッ!!」

 

「なんのッ!!」

 

薙刀の斬撃をそらしながら懐へと入る

 

しかし、一撃を入れられるというタイミングで距離を取られる

 

ならば…

 

刀身に組み込まれた宝石へと魔術回路を通して魔力を流し込む

 

手首へとナイフを突き刺し、鮮血が流れ落ちそれが刀へと馴染んでいくように

 

Anfang(セット)!! Blut to Flamme.(鮮血は黒焔に) Stahl to Mich(鋼鉄を我が身に)ッ!!」

 

刀身は赫熱し、黒炎が包み込む

 

剣士(セイバー)』、『弓兵(アーチャー)』、『槍兵(ランサー)』の3クラスには高い『対魔力』スキルを持つため魔術の効きは悪い

 

「猪口才なッ!!」

 

炎による斬撃も『対魔力』により無効化されている

 

しかし、相手の一撃一撃が致命傷に成り得る

 

こんなクソッタレな戦況は初めてだ

 

しかもアーチャーの癖して接近しても相手は体術もできるヤベーやつ

 

相手を退かせれればベストなんだがな…

 

やはり…

 

「セイバー、頼んだ!!」

 

「お任せを、マスター!!」

 

俺の声にアーチャーの眉がピクリと上げ動きを止めた

 

なんだ?何故動きを止めた?

 

「…セイバー?貴女はセイバーのサーヴァントなのですか?」

 

「ええ、そうですが…」

 

「知らない間に7騎揃っているとは…」

 

ここでセイバーと呼んだのはミスったか…?

 

今回の参加者と間違えられたか…

 

「ならばここで…葬ってしまいましょう…ッ!!」

 

彼女を取り巻く空気が変わる

 

廊下全体が熱を帯び、ガラスは罅割れる

 

「宝具か!!」

 

「聖観世音菩薩……私に炎をッ!! 」

 

重厚な装飾が成された和弓へと矢を通す

 

鏃は滾り、炎熱が矢全体へと広がる

 

これは…()()()ヤツだ

 

「マスター!!私の後ろへッ!!」

 

俺は後ろへと飛び、セイバーの背後へと回る

 

「旭の輝きを!!『真言(オン)聖観世音菩薩(アロリキヤ・ソワカ)』ッ!!」

 

「主よ、請い願います。私に、大切な人たちを守る力を──『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』ッ!!」

 

亜音速で放たれる紅蓮の矢は天使より与えられた祝福によって弾かれる

 

義仲と共に最期を迎えられなかった嘆きと悲しみが、生来の炎の能力や鬼種の怪力と相まって宝具へと昇華されたモノ

 

すなわちヤツの真名は…

 

「巴御前…」

 

平安後期・鎌倉時代前期の人物、『巴御前』

 

征夷大将軍の位を得るも源頼朝に敗れた名将・木曾義仲の愛妾

 

常に義仲に従い、しばしば戦功を立てた勇婦として知られる女武者

 

木曾義仲の最期には立ち会えておらず、京から粟津へと落ち延びる道中で別れることとなり、決死の覚悟を以って殿を務めて生き残った

 

そう、生き残ってしまったのだ

 

木曾義仲と生きて再会することは叶わず、落ち延びてのちは無き人を弔うべく尼となって静かに暮したとされる

 

そんな英霊だが、そもそも聖杯の発祥は欧州だろ?

 

日本のサーヴァントが何故喚べてしまっているんだ…?

 

「こちらの真名がバレてしまいましたか。しかし、貴女の真名もわかりました、そうでしょう?『オルレアンの奇跡』ジャンヌ・ダルク」

 

再び彼女は薙刀を構える

 

まだ続けるつもりだろう

 

「ジャンヌ、行けるか?」

 

「ええ、もちろんです」

 

ジャンヌは腰の剣を抜く

 

聖カトリーヌの剣

 

生前、この剣を一度も抜くことのなかった彼女がなぜ剣士(セイバー)として喚ばれたのか?

 

今はそんなことはどうだっていい

 

「ハァ!!」

 

「あぁあッ!!」

 

彼女が剣士(セイバー)として喚ばれたためなのか?

 

剣による武勲がない彼女だが、見ての通り剣技を扱うことができる

 

アーチャーの薙刀を逸らしながら斬りかかっている

 

支援をしながら自分で自衛できる優秀なヤツだ

 

もうちょい食費が控えめだったら文句なしなんだがな…

 

「アーチャー、俺たちは今回の聖杯戦争の参加者じゃない。7騎目のサーヴァントはコイツとは別にいる。コイツは完全なイレギュラーだ」

 

「…納得はいきませんね、召喚されるサーヴァントは本来7騎であると決まっています。このあとにもう1騎召喚されると?」

 

たしかにそうだ

 

しかし、俺の肉体が特殊なのが問題だ

 

そこを説明するのは骨が折れる

 

「しかし、理解はできました。サーヴァントが肉体をもつだなんて、それこそ聖杯に受肉などを望まなければ実現しませんからね…ハァ、興が冷めました。今回はこのあたりで退かせて頂きます」

 

ため息をついて去ろうとする

 

これであの生徒は大丈夫だろう

 

「ひとつ、私は貴方の足止めによって彼女を仕留め損ないましたが、他の方が始末しに行ったかもしれませんね」

 

「ッ!!」

 

あの場にいたのはこのアーチャーだけではない

 

ランサーだっていた

 

その他にも別のサーヴァントが偵察に来ていたとも考えられる

 

「…行くぞ、セイバー」

 

「……ええ、わかりました、」

 

校舎の三階、馴染みのある魔力の元へと向かう

 

「チッ…ッ!!」

 

思わずゴミ箱を蹴飛ばす

 

苛立つ気持ちが抑えきれない

 

生徒の犠牲は絶対に出させない…

 

 

 

Side:??? out




7話です

前話の感想にて「聖杯は欧州が発祥の聖遺物であるため、『巴御前』を含めたありとあらゆる日本の英霊を召喚することができない」という原作「Fate/stay night」での設定に触れてくださった方がいるのですが、これに関しては既に設定を組んであります

ただ、巴御前(アーチャー)■■ ■■(セイバー)や■■■■から分化した■■■■■■■(キャスター)を出したいとキャラ構成を考えたあとに追加で考えたほぼ後付みたいな設定なので少し無理矢理感は正直否めないです

それでもいいよって方は今後も読んでくれると幸いです

評価、感想よろしくお願いします!!
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