あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
前回の感想でナミとの絡みが見たいとの声が多かったので主人公のプロット公開の最後に【投稿しなかった話のワンシーン】として書き足しました。よければご覧ください。
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


10話 アラバスタの奇跡 中

「いったい……どういうことなのっ……!!?」

 

 仲間達がB・W(バロック・ワークス)オフィサーエージェントの囮になってもらっている間に私は反乱軍を止めるためアルバーナの南門前で待ち構えていた。ここなら反乱軍のリーダーであるコーザと話し合えると考えたから。

 

 しかし、事態は急変し話し合える状態じゃなくなってしまう。

 

 反乱軍の影が見えてきた時、突如発生した砂塵により前が見えなくなってしまう。これではコーザが私に気づいてくれない!

 

 だが、本当にマズイのはここからだった。

 

 砂塵が現れしばらく前が見えなくなったが徐々に消えてなくなり前方が見えるようになった。そして、そこで見たものはあまりに非現実的なものだった。

 

「うわあああああ!!?なんだこれ流砂?なんでこんなところに!?」

「おい、ここだけじゃねェぞ……なんだこれは……!」

「アルバーナ周辺を囲む様に巨大な流砂が……」

「流砂に呑み込まれちまう!!助けてくれえええ!!!」

 

 反乱軍は自分達に起きた出来事に頭が追い付かず悲鳴を上げている。

 

 突然の流砂に驚く者、あまりに非現実的な光景を見て唖然とする者、助けを求める者……混乱が混乱を呼ぶ阿鼻叫喚の地獄画図を前に私は立ち尽くすことしかできなかった。

 

 しかし、私はある人物を見つけ体が動いた。

 

 先頭を走っていたからか最も流砂の中心付近まで流されている男……コーザだった。

 

「……っ!!?コーザッ!!!」

 

 私はいてもたってもいられずコーザの元へ向かう。

 

「カルーお願い!!」

「クエエエ!!」

 

 砂漠で育った超カルガモの脚力なら流砂の中でも走ることができる。なので私はカルーに乗りコーザのいる流砂の中を駆け抜ける。

 

「コーザ!手を!!」

「っ!ビビ!?」

 

 私の姿を見て一瞬驚いた様子だったがすぐに冷静になり私の手を掴む。そして、流砂から抜け出しコーザを降ろした。

 

「ビビ!お前今までどこにいたんだ!?お前が居なくなってからこの国はますますおかしくなっちまったんだぞ!!」

「ええ、それを説明するために私はここへ来たのよ。もう、こんな無意味な闘いを止めるために……!!」

「無意味な闘いだと?どういうことだ」

「それは……キャッ!?」

 

 この場で全てを話そうとした時、コーザがいきなり私を突き倒す。急なことで反応できなかった私は倒れた体を起き上げると……そこには味方のハズの反乱軍がコーザを斬る瞬間だった。

 

「チッ!せっかく王女を討ち取れるチャンスだったのに邪魔しやがって」

「ガフッ!」

「コーザッ!!?」

 

 違う!!こいつは反乱軍じゃない!!

 

 コーザを斬った者の腕にB・W(バロック・ワークス)のマークが見えた。アルガさんが言ってた通りやはり反乱軍にもB・W(バロック・ワークス)が潜んでいたんだ。

 

 私は咄嗟に膝から崩れるコーザを倒れる前に抱き抱え安否を確認する。

 

「コーザ!!ねえ、しっかりしてコーザ!!」

「グフッ!ビビ……いったい、何がどうなってやがる……」

「……私達は闘うべき相手を見誤っていたのよ」

「……見誤るだと。じゃあ……おれ達から雨を……国を奪ったのは……誰なんだ?」

 

 コーザは口から血を吐きながらも真実を知ろうと私に問いかける。私は唇から血が出るほど噛み締めながら苦渋の顔で答えた。

 

「私達の雨も、国も、笑顔も……何もかも奪ったのは全て……!!!」

「おいおい、おれ達を前に何をくっちゃべってんだコイツら?」

「まさかターゲットが自らやって来るなんてなァ」

「テメーを討ち取りゃ昇格間違いなしだ!!」

 

 コーザを斬った者の周りにどんどんB・W(バロック・ワークス)の奴らが集まってき私を見て高らかに笑う。逃げようにも数が多すぎる。それに、コーザをこのままにしておくワケには……。

 

「まさか……コイツらが……?」

「コーザ!今は安静にしてて!こんな奴らすぐに倒すから」

「いくら元オフィサーエージェントのあんたでもこの数を相手にするのはキツいんじゃねェか?王女様よォ~」

「アヒャヒャ!王女を討ち取りこの国はおれ達が頂くぜ!!」

「砂塵で辺りは見えにくいがいつここの奴らにバレるか分からねェ。早い者勝ちだ!野郎共いくぞォ!!」

 

 そういうとB・W(バロック・ワークス)が一斉に襲いかかってきた。

 

 イヤだ。こんなところで終わらない……。終わってたまるもんですか!!

 

 そう覚悟した私は襲いかかってくる奴らを睨み付けた次の瞬間──。

 

「必殺"火薬星(かやくぼし)"!!!」

 

──ボカァアンッ!!!

 

 目の前にいたひとりが突如爆発し吹き飛んでいった。奴らは何が起こったのか分からず動きが止まり辺りを見渡した。

 

 そして、ひとりが誰かを見つけたようで巨大な流砂の向こう側を指差す。そこには、パチンコを構えたウソップさんがいた。

 

「無事かビビ!!」

「ええ!でもなんでウソップさんがここに?」

「どうも敵の数が少なかったのかおれのペアは誰にも追われなかったんだ!お陰でここに戻ってこれた!それよりもまずはそこの奴らを片付けるぞ……やれチョッパー!!」

「おう!ランブル!"飛力強化(ジャンピングポイント)"!!」

 

 ウソップさんがそう叫ぶと隣にいたトニー君の姿は大きくなりこの巨大な流砂を飛び越えてきた。

 

「"腕力強化(アームポイント)"!!"刻蹄(こくてい)(ロゼオ)』"!!!」

「グハッ!!?」

 

 今度は腕が膨らんだトニー君が蹄の掌底を彼らに叩きつけた。

 

「ヨォ~ゥシ!おれ様の指示通~~り!!」

「ビビ大丈夫か?」

「私は平気。でも、コーザが……」

 

 ウソップさんが遠くで何かを叫んでいるようだが気にせずトニー君にコーザを診てもらう。

 

「酷い傷だ。急いで手当てしないと!でも、モタモタしてたらランブルボールの効果が……ン?ウソップ!?そっちに敵がいったぞ!!」

「ナニィ!?」

 

 トニー君の鼻が何かを嗅ぎとったのかそう注意するとウソップさんの近くにいたB・W(バロック・ワークス)のひとりが襲いかかる。

 

 しかし、ウソップさんはとんでもないものを取り出し相手を殴り倒した。

 

「"ウソ~~ップパウンド"!!!」

「ぐあっ!?…………ウゥ、しまった流砂に!ウアアアアア!!」

 

 相手は体勢が崩れると流砂の中に呑み込まれていきウソップさんの持つハンマーを見て驚愕する。

 

「おいあれ見ろよ!5tのハンマーだと!!?」

「バカな……。あんな細腕のどこにそんな力が……!?」

「沈めた船は数知れず……人は……おれをこう呼ぶよ。──"破壊の王"ってな。おれの名は……"キャプテン・ウソップ"!!!」

「ウオオオ~!!スゲェぞウソップ~!!!」

 

 ウソップさんがそう高らかに宣言するとトニー君は眼を輝かせ興奮する。周りの奴らも一瞬動揺するがあることに気がつく。

 

「いや、待てよおかしくねェか?さっきの殴られた奴すぐに意識を取り戻してたぞ?」

「確かに変だな……」

「ギクッ!マズイ……。んん、しまった砂が鼻に入って……ハ、ハックション!!……あ」

 

 クシャミをするとその際に5tのハンマーを落とした。するとハンマーは地面に着くとペシャンと折り畳まった。

 

『ハリボテじゃねェか!!!!』

「畜生!!舐めたマネしやがって!!」

「ギャアアアア!!バレたーーー!!?チョッパー助けてくれ~~!!!」

「うん分かった!!」

 

 こうしてB・W(バロック・ワークス)との闘いが始まった。トニー君が周りの敵を蹴散らしつつ遠くからウソップさんの掩護射撃をしものの数分で決着がついた。

 

「よし、これで近くのB・W(バロック・ワークス)は片付けたな。急いで応急手当を」

「トニー君お願い」

「ゲフッ!ビビ……彼らは?」

 

 トニー君がコーザの傷を手当てしている時に聞いてきた。

 

「彼らはこの闘いを一緒に止めに来てくれた……私の仲間よ」

「よし、これで手当ては終わったぞ」

「ありがとうトニー君」

「オォーーーイ!!大変だァ!!!」

 

 遠くにいたウソップさんが慌てた様子で此方へやって来る。

 

「おいあれ見ろあれ!!」

「ウソップさんいったいどうし──っ!!?」

 

 皆でウソップさんの指差す方を見るとそこにはアルバーナ内に発生した巨大な砂嵐が王宮の宮殿を呑み込んでいた。

 

「エェェエエエッ!?何だあれ!!?」

「嘘っ!?宮殿がっ!!?」

「……ビビ」

 

 目の前の出来事に驚いていると後ろからコーザが声をかけてきた。

 

「これが自然現象じゃないのは分かってる。……それに、こんなことができる奴はひとりしかない。…………奴が全ての元凶なんだな?」

 

 コーザは真実を知るためにまっすぐな瞳で問いかける。私は眼を逸らさず真実を告げた。

 

「ええ、全てはあいつ……クロコダイルの仕業よ」

「そうか……おかしいと思ったんだ。コブラ王がナノハナを襲撃していた時、アルバーナから出ていないと情報があった。違う場所に同じ人間が2人いた謎がこれで分かった」

 

 コーザは悔しさのあまり砂漠の地面を力強く殴る。

 

「クソッ!そうと知らずにおれ達は……すまねェ国王、すまねェ親父……!!」

「……悔やむのは後にして。まだ、終わってない」

 

 私は後悔の念を抱いているコーザを諭すように語りかける。

 

「私の目的は反乱を止めること。そして、この国を救うこと。反乱は止まってもクロコダイルがいる限りこの国は救われない。だからお願い……私と一緒に闘って"リーダー"」

「ビビ……お前……」

 

 私はコーザの手を引っ張り上げ立ち上がらせる。立ち上がったコーザの顔にはもう後悔はなくなっていた。

 

「お前が誰かを頼るなんてな」

「少し前までは私の命を賭けてでもと思っていたけれど……私ひとりの命だけじゃ賭け足りないって分かったから。だから私は仲間に頼り共に闘うの」

 

 私は強がる感じで笑うとコーザもつられて不適な笑みを浮かべた。

 

「見ない間に成長したなお前」

「まあねっ」

「コーザ!やっと見つけた。この状況だ、闘う前にひとまず流砂に呑まれている仲間の救護を……ってビビ!?」

 

 そう話していると反乱軍のひとりがやって来た。彼の顔は覚えてる。昔、スナスナ団にいた人だ。

 

「ちょうど良いところに。詳しい話は後でする。ひとまずこの流砂の被害にあった仲間を助けるんだ」

「分かった。コーザは何を?」

「この仕組まれた戦争を止めにいく」

「仕組まれた……ってどういう」

「おれ達は嵌められちまったんだよ…あの英雄気取りの黒幕にな…!」

 

 そこまでいうと察したのか困惑した顔からすぐ冷静さを取り戻す。この国の人なら誰だってあいつの能力は知っている。その上英雄なんて呼ばれている人はひとりしかない。

 

「本当……なんだな」

「ああ」

「……分かった。ここの連中はおれが何とかしておく。お前は急いで王宮へいけ」

「すまない」

 

 コーザはそういうと私の方へ来る。私はカルーに乗って手を差しのべた。

 

「行きましょうコーザ。カルーに乗って」

「ああ」

「よし、ならおれ達もいくぞチョッパー」

「うん、ウソップ乗って」

 

 "脚力強化(ウォークポイント)"に変形したトニー君はウソップさんを乗せて私達と共に流砂を駆け抜け王宮へ向かった。全ての闘いに決着をつけるために。

 

 

 

 

 

「あんなことしたら反乱軍はアルバーナに入れない。つまり自分で起こした反乱を自分で止めたことになるがそのこと分かってる?」

「別にいいさ。爆弾で死ぬかおれに殺されるかの違いだ。それと、奴らは入れないんじゃねェ。出られねェのさ。おれの流砂からな」

 

 宮殿では俺とクロコダイルが向かい合い一触即発の状態だった。

 

「なるほど。そして、この砂嵐は国王軍が宮殿に入れないようにするためってワケか」

「それもあるが、もうひとつはここまでおれをコケにしやがったてめェを逃さないためでもある」

 

 おっと、俺ひとりにここまで大掛かりなことするとは予想以上にご立腹なようで。

 

 覇王色ではないが、強者特有の威圧感をビリビリと感じる。俺は身構えるがクロコダイルは依然として動かない。

 

「だが、てめェの始末は後でつける。今は大人しくしてな」

「っ!?グッ!なんだこれ!!」

 

 俺の足元から砂が現れ瞬く間に下半身が砂に埋もれ動けなくなる。

 

「用があるのはそこの王だ」

「私にいったい何の用だ」

「おれの目的は最初からこれさ。……"プルトン"はどこにある?」

「貴様……!!なぜその名を……!!!」

 

 クロコダイルのその名を口にした瞬間、コブラ王の顔は青ざめる。

 

「この国のどこかに眠っているハズだ。そいつがあればおれはこの地に最高の軍事国家を築くことができる」

「いったいどこでその名を聞いたのかは知らんがそのありかは私にもわからんし、そんな物が実在するのかどうかも定かではない。仮に知っていたとしても貴様に教えなどしないがな」

 

 "プルトン"という名を聞き一瞬動揺したがすぐに冷静に戻りクロコダイル相手に眉ひとつ変えず言い切った。何者を前にしても態度を変えないその度胸はさすが一国の王なだけはある。

 

「……成程。その可能性もあるとは思っていた。だが……あまりおれを怒らせないほうがいい。今は少々気がたってんだ。その気になりゃ流砂に呑まれている反乱軍を生埋めにしたっていいんだぜ?」

「クッ!貴様っ!!」

 

 しかし、民を重んじるこの人にはこの脅しが何よりも効いてしまう。多くの民を人質に取られてしまったコブラ王は苦悶の顔を浮かべクロコダイルへ歩み寄る。しかし……。

 

「"六輪咲き(セイスフルール)"」

「ヌオッ!?」

 

 突如コブラ王の体から6本の腕が生え両手両足を拘束されてしまった。

 

「余計な気を回すんじゃねェ。Ms.オールサンデー」

「あら、ボスに楯突こうとした憐れな王様を止めただけじゃない」

 

 そういい宮殿の中からひとりの女性が現れた。忘れるハズもない、あれから10年以上経つが見間違えるワケがなかった。

 

「まあいい。コブラ、おれはその可能性も考慮してこの女と手を組んだのさ。では、質問を変えよう……"歴史の本文(ポーネグリフ)"はどこにある?」

「その場所を教えれば……いや、案内しよう」

「クハハハハ!それでいい。連れていけ、Ms.オールサンデー」

「了解」

 

 ロビンさんはそういうとコブラ王の元まで歩いていく。その時、俺はつい声をかけてしまった。

 

「元気そうだね。また会えて嬉しいよロビンさん」

「っ!?」

「……知り合いか?」

 

 俺が声をかけるとロビンさんは明らかに動揺する。その様子を見てクロコダイルは首を傾げた。

 

「友達だ。昔、一緒に航海したことがあってね」

「そうか、ならMs.オールサンデーには悪いことをする。今からテメーを殺すんだからな」

 

 そして、天井から体を砂に変えて消えると背後から現れ不適な笑みを浮かべてフックを振り上げる。

 

 それを待ってた!!!

 

 俺は金棒で足に纏わりつく砂を払い消しクロコダイルのフックが振り下ろされるよりも速く奴に渾身の一撃をぶつけた。

 

「"鬼鏑(おにかぶら)"っ!!!」

「──っ!?ゴハッ!!?」

 

 完全に虚を突かれたクロコダイルは武装色を纏わせた金棒をモロにくらい宮殿の壁に激突し崩れる。周りの壁にも亀裂が入りガラガラと崩れ瓦礫が落ちクロコダイルを下敷きにした。

 

「なっ!?あのクロコダイルを……!?」

「…………」

 

 自然系のクロコダイルが殴り飛ばされるというありえない光景を眼にしたコブラ王を驚きを隠せずにいる。ロビンさんは無言だったが同じ心境だったのか冷や汗を流していた。

 

 よし。最初で最後のチャンスを活かせた。俺はB・W(バロック・ワークス)と闘ったことないから覇気が使えるって情報はないハズだ。

 

 だから、完全に油断したクロコダイルが無防備に近づくのを待っていたがここまで上手くいくとはな。

 

「自分を無敵と勘違いしてきた"自然系(ロギア)"の寿命は短い」

 

 せっかくなので一度は言ってみたいセリフをいってみた。ん~~!気持ちいい~~!

 

──ガラガラ……ガッシャアアアン!!

 

「ハァハァ……油断した。まさか覇気使いがいるとはな……」

「ゲッ、意外と元気そう。かなり強めにやったんだけどな」

「ああ。久々だぜ。おれが痛ェと感じたのはな。それと、どうにも腑に落ちねェな……。なぜてめェ程の奴があんな覇気もロクに使えねェ小僧の元にいやがる?」

 

 額から血を流すクロコダイルは俺にそう問いかける。

 

「ルフィはいずれ海賊王になる男だから」

 

 俺は迷わずそう答えるとクロコダイルは肩を震わせ盛大に笑う。

 

「クハハハハ!海賊王?そんな幻想を見てやがるからお前らは小者なんだよ」

「…………」

「そんな幻想を抱いたばっかりにお前の船長は死んじまった。不相応な夢は自身を破滅させる。このおれに眼をつけられた時点でそれは決まっていたのさ」

 

 俺が無言でいる間、奴はベラベラと能書きを垂らす。そんな奴に俺は口を開いた。

 

「じゃあ夢を諦めたお前はなんなんだよ?」

「あ?」

「それに海賊王が幻想?()()()()()()()からこの時代があるんだろ。それは幻想じゃねェ……現実だ」

 

 言い返されたクロコダイルは機嫌が悪くなったのか額から血管が浮かび上がる。

 

「てめェらじゃ土台無理だって話だ」

「俺達の限界をお前が決めんな小物落ちリアリスト」

 

 そう吐き捨てるとクロコダイルはとうとうキレたようでその睨みだけで人が殺せそうな程殺意が滲み出る。

 

 どうやら小物と言われたことが相当キたようだ。そういえば、レインベースでルフィにも同じこと言われてたんだっけこいつ。

 

「さっさと行け、"ニコ・ロビン"。てめェも干上がりたくなきゃあな……」

「ええ……従います」

 

 コードネームではなく本名で呼ぶあたりだいぶ余裕がないのだろう。それ程までに今のクロコダイルの顔は怒りに満ちていた。

 

「"砂嵐(サーブルス)"!!!」

「うわっ!!」

 

 クロコダイルの掌から砂嵐を起こし辺り一帯が砂ぼこりを撒き散らす。そして、視界が悪くなると奴は体を砂に変わり姿を眩ます。

 

 わかりにくいが……ここだ!!

 

 俺は見聞色で次にどこから攻撃がくるかを予測し攻撃を合わせる。

 

「ウラァ!!」

「チッ、見聞色も習得済みか。手を煩わせやがる」

「そりゃどうも!フッ!!」

 

 このまま追撃で金棒を振るうが形状を砂に変え俺の攻撃を躱す。やっぱ、さっきみたいに油断してないと当たらないな。

 

「とかいってお前も使えんじゃねェか」

「当たり前だ。おれを誰だと思っていやがる」

 

 覇気で殴ったのに躱される……当然、見聞色持ちか。それに、今のって"自然系"特有の流動回避じゃん。あれって見聞色が相当強くないとできないんじゃなかったっけ?

 

 七武海のひとりなだけはある。分かっていたけど……やっぱり強い。

 

 俺は心のどこかで所詮は七武海になってからロクに前線で闘わなくなって衰えまくってると思っていた。だが……それを補えるほどの能力と覇気の研鑽は積んでいたのだろう。

 

 そう考えると原作でルフィがやってた水かけ戦術はホントに効果的だったんだな。濡れたら砂になって躱すことができなくなるから。

 

 クロコダイルは一度距離をとり右手で地面に触れる。マズイ!あの技は……!!

 

「"干割(グラウンド・セッコ)"!!!」

 

──ガラガラガラッ!!

 

 一瞬の内に奴の周りからこの芝生の庭が干からび地割れが発生する。俺は咄嗟に跳んで地割から逃れるが奴の乾きはとどまることを知らない。そして、ここの庭は──。

 

「"浸食輪廻(グラウンド・デス)"!!!」

 

 地面も木も草も枯れ死に全てが砂へと変わった。

 

「ダァアアアア!!あっぶねェ!!」

 

 なんとか回避できたが……庭だった場所が一面砂まみれに……能力が他所にも影響を与えてるし実質"覚醒"だろこれ。まあ、クロコダイルは"超人系(パラミシア)"じゃなくて"自然系(ロギア)"なんだけどさ。

 

「あいつどこ行きやがった?」

 

 またも体を砂に変化させ消えたクロコダイルを探すも庭にはいない。キョロキョロ今度はどこかと見渡すと奴は宮殿の屋上にいた。

 

「潰れちまいな。"砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)"!!」

 

──ズパン!!ズズズッ──ガラガラ!!!

 

 屋上から跳ぶと砂の斬撃で宮殿の一部の塔が切り落とされ俺の真上に落下してきた。

 

 ヤッバ!?逃げたいけど砂で足が取られて……足場を砂に変えたのはこのためか!クソ、やるしかない!!"(ワン)力鬼(リキ)"……いや、もう一段階ギアを上げる!!

 

 俺は金棒に武装色の覇気を纏わせた。

 

「ハアアアアア!!"(ゴウ)力鬼(リキ)"ィ!!!」

 

──ゴッ!!ビキビキガッシャァアアン!!!

 

 金棒を振り上げ巨大な塔の屋根をぶん殴る。すると、瞬く間に亀裂が入り見事粉々に砕けちり難を逃れた。

 

「なら消し飛びやがれ!"砂嵐(サーブルス)"!!!」

「二度もくらうか!桜木二刀流!!」

 俺は武器を金棒から刀に切り替え砂嵐に構える。そっちが砂嵐ならこっちは斬撃の嵐だ!!

 

「"桜華繚嵐(おうかりょうらん)"!!!」

 

 桜色の斬撃が竜巻となり砂嵐と衝突する。砂嵐とは逆回転で起こした斬撃の嵐は砂嵐と相殺した。

 

「なにっ?」

「桜木二刀流!!"紅枝垂(べにしだれ)双輪(そうりん)」"!!!」

 

 嵐が晴れクロコダイルを捉えた俺はすかさず紅色の斬撃を飛ばす。もちろん覇気を込めて。

 

 それは、相手もわかっており斬撃が当たる前に全身を砂に変え姿が消える。あークソ、ちょこまかと砂になって逃げやがって!!

 

「キリがないな」

「そりゃお互い様だ。"砂嵐(サーブルス)"……!」

 

 真上から声が聞こえ顔を上げると奴の掌から小さな砂嵐が見えた。またか、打ち消してやる!

 

 そう思った時、今度は俺が油断してしまう。俺は忘れていた、奴にはあの技があったことを。

 

「"「(ペザード)」"!!!!」

「しまっ──ガハッ!!」

 

 突如感じたとてつもない重力に俺は押し潰された。一瞬意識を失いかけ咄嗟に刀を手放してしまう。

 

 これって、こんなに効く技だったのかよ……。ルフィは普通に耐えきったから大した威力じゃないと思ってたのに。

 

 でもよくよく考えてみりゃ周りの柱や壁は吹き飛んでたし単にルフィが頑丈だっただけか。

 

 俺は真上から爆風のような衝撃を受け視界が眩むが、奴がこの気を逃すハズもなく腕を砂に変え追撃する。

 

「"砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)"!!!」

「グッ!?このォ!!」

 

 砂の斬撃が襲うも金棒でなんとか受けきり致命傷は逃れる。しかし、追撃はこれで終わりではなかった。

 

「"三日月形砂丘(バルハン)"!!!」

「グゥ!オォォオオォ……ッ!?」

 

 三日月形の砂の刃が俺の右腕を捉えた。切断こそされなかったが刃が通った後の右腕はミイラのように干からびてしまいまともに動かせなくなってしまう。

 

 痛くねェけど、力が全く入らない……。片腕でイケるか?いや……。

 

「フ……勝負ありだ!」

 

 右腕を封じ勝った気でいたクロコダイルは背後から現れ俺の首を狙う。金棒という重量級の武器では片腕でガードは間に合わない。そう思い勝ちを確信し笑みを浮かべる。

 

 そう、またもクロコダイルが油断したのだ。

 

 俺が使えるのは腕だけじゃねェぞ!!

 

「"竜追尾(たつおび)"!!!」

「ゴハッ!?」

 

 俺は見聞色で後ろにいることを察知しすかさず脚に武装色を纏わせ後ろ蹴りを繰り出した。思わぬ反撃にクロコダイルは反応が遅れてしまい蹴りをくらって後方へ吹き飛んだ。

 

「グッ……まだ抗うか」

「当たり前だろ。俺を倒したきゃ全身ミイラにでもするんだな」

 

 そう言葉を交わし互い警戒すると思わぬ人物が現れる。ビビとコーザだ。

 

「クロコダイル!!!」

「ん?これはこれは、王女に反乱軍のリーダーじゃないか。どうやってここへ?」

「小さい頃に使った"抜け道"でここまで来れたが……ビビの言う通りはやりお前だったか!!よくもおれ達の国を!!!」

「ああ、わざわざここまでご足労どうも。わが社のためにこの2年間面白いように踊っていて滑稽だったぜ」

「貴様ァ!!!」

「待って!コーザ!!」

 

 クロコダイルが煽りコーザはたまらず斬りかかろうとするがビビがそれを止める。とても太刀打ちできる相手じゃない。そう思ったのだろう。

 

 しかし、身を呈して止めるビビは奴に背を向ける形となりそこを狙い襲われてしまう。

 

 あの野郎!俺から標的を変えやがった!!!

 

「ビビッ!!危ない!!!」

「えっ」

 

──ドスッ

 

 ビビが振り返ると生暖かい鮮血が頬にかかる。そして、眼にした光景は……俺の体がフックに貫かれた瞬間だった。

 

「……お人好しが過ぎる奴ほど倒しやすい敵はいねェな小僧」

「アルガさん!!?」

「ガ……ハッ……」

 

 ズプリとフックが抜けるとおびただしい量の血が流れ俺は立ってられなくなりその場に跪く。刺された……いや、貫かれた箇所が熱い……。マズイ、これじゃもう長くは闘えない。

 

「アルガさん!私のせいで……その腕っ!!?」

 

 遅れて俺の腕の状態に気付いたビビは顔を青ざめる。

 

「ハァハァ……気にするな。受けきれなかった俺の修行不足だ……ゲフッ」

 

 金棒でガードは間に合わなかったので俺は武装色で身を固めたがそれでもダメだった。魚人族であるアーロンの殴打でさえノーダメだった俺の覇気を貫きやがった。

 

 クソ、見通しが甘かった。こいつ武装色も相当鍛えてやがる。だてにルーキー時代からバレットや白ひげやらと闘ってきた猛者だ。

 

 ………………ん?ルーキー時代?

 

 俺がそんなことを考えているとクロコダイルは今度こそ自身の勝ちを確信した。

 

「クハハハハ!終わりだな小僧。てめェみたいなバカはこの海じゃ生きていけねェのさ!!てめェの船長と同じくなァ……!」

「……ルフィさんが何ですって?」

「てめェらのような甘っちょろいバカは全員殺されるって話さ……死んだんだよ、お前らの船長は」

「……っ!?嘘よ!!ルフィさんがお前なんかに殺されるハズない!!!」

「信じる信じないも勝手だが、今の現実から眼を背けるんじゃねェぞ?てめェのせいで仲間は死にこの国も終わる。全ては理想を語るだけの能無しのせいでな」

「……っ!私は──!!」

「プッ……アッハッハッハ!」

 

 ビビが涙を流しクロコダイルを睨み付けたその時、場違いな笑い声が響いた。

 

「おい、何がおかしい?とうとう頭がイカれたか?」

「アルガさん?」

 

 笑い声の主は俺でありみんな俺に視線を向ける。俺は自分でもわかるぐらいゲスい笑みを浮かべた。

 

「いや~なに、ちょっと思い出しただけさ。実は俺革命軍と繋がりがあってね~。その時知り合った顔面がデカイ大男。イワさんなんだけど……知ってるよね?」

「…………ッ」

 

 クロコダイルの眉が少し動く。反応からして当たりだ、そりゃ知ってるよね~。

 

「そのイワさんがお前について何か話してたっけなァ~~」

「それで、お前がいったい……おれの何を知ってるって?」

 

 少しずつ余裕がなくなってきたのか奴の顔が歪み始める。そこで、俺はハッキリと言い放つ。

 

「実は………な~~んも知らねェんだなこれが~~」

「……は?」

 

 予想外の言葉に身構えていたクロコダイルは開いた口が塞がらず、間抜けな声が漏れた。

 

「いんやァ~~、お前がイワさんに弱みを握られてんのは知ってんだけど~。その内容がなんなのかは全く知らねェ」

 

 クロコダイルわなわなと震わせているが俺の言葉は止まらない。

 

「何でこんなことをいったかって言うと……ここまで煮え湯を飲まされ続けたビビにお前のそのクソ程焦った顔を見せりゃちったァ溜飲が下がると思ったまでよ」

「てめェ……」

「オイオイ、クロちゃんよ。お前何十年と海賊をやってる大ベテランなのに忘れちゃったのかい?……ナメられちゃおしまいの時代だぜ?この海は」

 

 先ほど言われた甘っちょろい奴はこの海では生き残れないという言葉に意趣返しする。俺はニチャアアとゲスな笑みをしておりクロコダイルは完全にキレてしまった。

 

 このままだと二人にも被害が出そうだ。その前に……。

 

「ビビ、コーザ……ここは危ない。早くここから逃げろ」

「でも、それじゃアルガさんが!」

「あいつが俺を逃がすハズないでしょ?それに、頼みたいことがある」

「頼みたいこと……?」

 

 ビビがそう聞き返し俺は頷く。

 

「ああ、実はさっきコブラ王がロビンさんと一緒に宮殿から出ていった。時間もそんなに経ってない。そっちの方を頼む」

「パパが!?わかったわ。アルガさん……」

 

 ビビは了承すると最後に言葉を残した。

 

「絶対に死なないで」

 

 俺はニッと笑った。

 

「当たり前だ。俺はここに"死なない覚悟"で来てんだからな!」

 

 そう答えるとビビは安心した顔になりコーザを連れて宮殿を出る。俺は改めて金棒を構えた。

 

「キレてる割には親切に待ってくれんだな」

「ああ、あんな小物はいつでも消せる。だが、てめェだけはおれがこの手で殺さなきゃ気が済まねェからな……」

「更年期で怒りやすいのかな?44歳でそれは早いんじゃない?」

「殺す……」

 

 そう呟くとフックが外れ中から毒針が出てきた。

 

「ここまでおれを怒らせたことに敬意を評そう。お前はこれを使う者と値した」

「お前なんかに評されても嬉しくねェよ。お前を倒して初めて嬉し涙でも流すさ」

 

 まだ勝つ気でいる俺に対し目元をピクピクと痙攣させる。

 

「最近名を上げた程度のお前らとおれとじゃ、潜ってきた死線の数が違う……。海賊王なんて淡い夢を追う世間知らず……世界のレベルも知らねェルーキーが"七武海"のおれに敵うとでも?」

「うわァ~~。いるよなァ、自分が少し天才だからっていざ自分が解けない問題が出た時、他の人じゃ絶対無理って言っちゃうような痛い奴」

「アア?」

「確かに俺はあんたの過去も潜ってきた死線も知らない。けど、お前だって俺が潜ってきた死線を知らねェだろうが」

 

 俺はこれまでの人生を振り返る。ホントに色々あった。圧倒的強者と対峙した時も、抗えない理不尽に打ちのめされた時も……それを乗り越えたからこそ今の俺がいるんだ!

 

「死線の数?そんなの知るか。それを潜った結果が夢を諦めて現実に生きるってか?笑わせんな。ただ夢に敗れて敗北者宣言してるだけじゃねェか」

「てめェ……!!」

 

 核心を突かれたのか額の血管がみるみる浮かび上がる。

 

「大物ってのはな、死ぬ直前どころか死んだ後も夢を追い求め掴み取る奴のことだ。夢だって叶えりゃ現実。その夢を半ばで諦めたお前は……やっぱ小物だな」

 

 こう言い切ると殺気を感じた。この殺気……前にも感じたことがある。カイドウに倒された直前に感じた決して活かすことを許さないと決めたあの殺気だ……。

 

「……口先だけは一丁前じゃねェか。だがな、その言葉は勝者にのみ許される」

「じゃあ言えるな。俺達が勝つんだから」

 

 そうして、俺達は同時に地面を蹴った。

 

 敵を確実に仕留めようと己の武器を振り上げて──。

 




どうも皆さんもしロマです!
10話をご覧くださりありがとうございます!

ホントはアラバスタ編を上・下の2話で完結する予定でしたが、思いのほか話が長くなってしまい3話に区切って投稿することにしました。
いや、長すぎるってぇ……(-""-;)
次回でアラバスタ編は完結しますのでどうか気を長くしてお待ちくださいm(_ _)m

では次回お会いしましょうでわでわ~( ´ ▽ ` )ノシ
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