あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
今回でアラバスタ編は完結となります。
3週間かけてアラバスタ編を書くとは当初思いもよりませんでしたw
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


11話 アラバスタの奇跡 下

 啖呵を切りクロコダイルとの死闘を続けていた俺だったが徐々に形勢は傾きかけ始める。俺が圧されているという形で。

 

「ハァハァ……ゲホッ」

「随分と息があがってきたな。さっきまでの威勢はどうした?」

「うるせェ。余裕ぶっこいてると足元すくうぞ」

 

 お互い譲らない攻防戦が続くが、やはり腹の傷と干からびて動かない右腕がハンデとなり動きが単調になってきた。

 

 そうなると、必然クロコダイルは避けるのが容易となりあっという間に俺の懐に潜り込まれる。

 

 咄嗟に金棒でガードをとるがそれは悪手だった。

 

「無駄だ」

「ガッ!クソ……オエッ」

 

 金棒を避け俺の肩に毒針がかすってしまう。刺さる直前に身を引いたためかする程度で済んだが肩からはシューと紫色の煙があがる。

 

 そして、すぐに毒の効果が現れたのか視界がグラつき吐き気に襲われた。

 

 前世()から思ってたけど、ワンピの世界って毒強すぎね?即効性が過ぎるわ。

 

「そろそろ終わりにしよう」

「ブッ!?」

 

 視界がグラつき隙ができた瞬間、俺は後方に吹き飛ばされた。

 

「ゲホゲホッ!クソ……ん?」

 

 吹き飛ばされた俺は状態を起きあげると近くに俺が落とした刀を見つける。よし、金棒より小回りのきく刀ならまだ対応できる。まずは一本!

 

 刀を手にすると、クロコダイルは次の一手を繰り出す。

 

「"砂漠の向日葵(デザート・ジラソーレ)"!!!」

「しまった足場が!?」

 

 先ほど、庭一面を砂に変えたせいかクロコダイルは流砂を発生させる。抜け出そうとする俺だったが相手はすかさず畳み掛けた。

 

「"砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)"!!!」

 

 身動きがままならない俺に砂の斬撃が飛んでくる。避けられない俺は意を決し金棒を構えた。

 

 そっちが飛ぶ斬撃なら、こっちは飛ぶ打撃だ!!

 

「"鳴鏑(なりかぶら)"!!!」

 

──ズガァァアアン!!!

 

「何ッ!?」

 

 互いの攻撃が衝突すると相殺され大きな衝撃波が発生する。クロコダイルは思わず怯んでしまうが俺は既に刀を構え次の攻撃に移行していた。

 

桜木一刀流(さくらぎいっとうりゅう)!!"桜華一閃(おうかいっせん)"!!!」

「──っ!?」

 

 俺が持っている最速の技で流砂から抜け出しその勢いを落とすどころか更に加速させクロコダイルの首を跳ねた。

 

 しかし、このままで終わる相手ではない。首は跳んだが眼は死んでおらず俺を睨みつける。

 

 俺が首を斬るよりも先に流動回避しやがった!だが……今がチャンスだ!!

 

 この戦闘で流動回避を観察しひとつ気づいたことがあった。

 

 動かないのだ。俺の攻撃を受け流すように体をすり抜ける僅かな時間。そこで俺は仮説が出てきた。

 

 動かないのではなく、()()()()()()()

 

 原作でもこの回避法を使っていたカタクリや、頂上決戦でマルコとビスタの攻撃を受け流していた赤犬も皆、覇気の攻撃に対しては動かずその場で立ち尽くしていた。

 

 考えてみれば当然だ。この方法は未来視レベルの見聞色を使いつつ能力で自分の体を精密にコントロールする必要がある。そんな繊細な作業を動きながらできるとは思えない。

 

 だから俺はあえて確実に流動回避をしなければならなくなる箇所、首を狙った。そして、仮説を立証するようにクロコダイルは動けず無防備な状態で俺に背後をとられた。

 

 ここを逃せば次はない!!ありったけをぶつけろ!!!

 

 俺は金棒に武装色を纏わせる。この一撃に全てを賭け残り僅かな気力を振り絞りぶちかました。

 

「"鬼龍八卦(きりゅうはっけ)"!!!」

「グハァッ!!?」

 

 あまりの衝撃に毒針は砕けクロコダイルは吹き飛び城壁に激突した。

 

 俺はクロコダイルがぶっとばされた方を見る。土煙が立ち込めた状況で姿は見えないが……声は消えてない。

 

 俺が最大火力だったんだが……しぶといな。でも、流石に効いただろ。毒針も壊せたしこれで──。

 

「ガフッ」

 

 無理に体を動かしたのと覇気を使用したせいで毒の回りが早くなったのか身体中に激痛が走り吐血した。

 

 痛みが全身を突き抜けるような感覚に襲われ俺は金棒を手放してしまう。

 

 やっばい……。もうこれ以上闘えない。だが向こうも確実にダメージは与えた。すぐにこっちには──。

 

──ズパァアン!!!

 

「アガッ!!?」

 

 土煙の中から砂の斬撃が飛んできた。咄嗟に刀を構えるも武装色が間に合わず刀ごと俺の体は斬られてしまう。

 

「ブフッ!!」

 

 頭を押さえつけられてしまったのか気付けば視界には地面しか写らない。グリグリと踏まれ口の中に砂の味が広がる。

 

「ハァ!ハァ!……今のは効いたぜ。流石のおれもダメかと思った。ゲホッ……ゼェゼェ。毒針を破壊しおれをここまで追い込むとは……だが、惜しかったな。あと一歩……おれに届かなかった」

「フグッ……ウゥ……」

 

 足が頭から離れると首を掴まれ頭上高く持ち上げられてしまう。

 

 体が動かない……。このままじゃ殺されてしまう。どうにかしないと……!

 

 俺は眼を開くと空から小さな影が見えた。

 

「ハ……ハハッ……」

「何が可笑しい?これからテメェは死ぬんだぜ?」

「ま、まだ……だ……」

「アア?」

 

 俺は血反吐を吐きながらもクロコダイルを見てほくそ笑む。

 

「確かに、俺ひとりじゃお前を倒せなかった……。でもよ、俺は何も最初(ハナ)ッからひとりでお前に勝とうなんて思いあがっちゃいない」

「なに?」

「思い返してみな。俺は一度でもルフィが死んだことに怒っていたか?一度でも……ルフィが死んだことを肯定していたか?」

「──っ!?」

 

 クロコダイルの顔から余裕が消え空を見上げる。俺も朧気に写る影を見上げ笑みを浮かべた。

 

「まさか……っ!?」

「言ったハズだ。()()が勝つんだからってな」

 

 

「クロコダイル~~~~!!!!!」

 

 

 薄れ行く意識の中でもハッキリ聞こえるその頼もしい声を聞き俺は安心して眼を閉じた。

 

 俺達の勝利を確信して。

 

 

 

 

 

 私はカルーに乗りアルバーナ内を駆け巡っていた。パパとMs.オールサンデーを探すために。

 

「ハァハァ……どこ?いったいどこに……」

 

 宮殿を出た後、オフィサーエージェントを倒した皆が集まっておりそこに合流した私は状況を説明した。

 

 手分けしてパパの捜索をするが中々見つからない。そう焦っていた時コーザが何かを見つけたようで声をあげた。

 

「っ!!おいビビ!あれじゃねェか?」

「えっ!……あれは!パパ!!」

 

 コーザが指を差した先に二人の影が見えた。見間違えるハズない。そこにいたのはパパだった。

 

 私は急ぎパパの元へ向かった。そして、二人の進む道を阻むように立ち塞がる。

 

「ようやく見つけたわ」

「私は急いでいるの。そこを退いてくれないかしら?」

「ビビ!?」

 

 私を見て動じた様子のないMs.オールサンデーは淡々とそういってくる。しかし、私もそんな一言で怯むほど生半可な覚悟でここにいる訳じゃない。

 

「いいえ退かないわ。アルガさんに任されたんだから。必ずパパを助ける」

「………っ」

 

 アルガさんの名を言うと彼女は少し表情が歪む。そういえば、アルガさんは昔彼女と面識があるんだった。

 

「……Ms.オールサンデー。貴女は昔アルガさんと友達だったそうじゃない。そんな貴女がなぜクロコダイルなんかと」

「うるさいわね!それを知って何だと言うの?あまり私を怒らせないで!」

「あぐっ!?」

「ビビッ!?」

 

 彼女は表情は急変し怒りへと変わる。そして、私の体から腕が咲き首を絞められた。

 

「ビビを放せ!!」

「あなたも大人しくしてなさい。"六輪咲き(セイスフルール)"」

「グッ!?」

 

 すぐにコーザは助けようと近づくが体から6本の腕が咲き手足を拘束されてしまう。

 

「これで邪魔者はいなくなった。失礼するわ」

「ま、待ちな……さいっ!」

 

 首を絞められ苦しかったがそんなのお構い無しに無理矢理声を出す。国のためにアルガさんのためにそして……パパを助けるために。

 

「無理しないほうがいいわ。余計に苦しむだけよ?」

「それでもかまわない……グゥ!ここで諦めたらこれまで頑張ってきたものが全て無駄になってしまう……ケホッ。そんなこと絶対させない!私はこの国を──」

 

 私がこの国への想いを叫んだその時、ある者が現れた。

 

「"イガラッパッパ"!!!」

「っ!?」

 

 突如飛んできた砲撃にMs.オールサンデーは怯んでしまい私達を拘束していた腕は花が舞散るように消えた。

 

 そして、自由になったパパは現れたもうひとりの者により救出され私の元へきた。

 

「ようやく会えましたな。無事アラバスタへ帰国なされたようで安心しました」

「ビビ様お待たせしました。国王は無事です」

「イガラム!チャカ!」

 

 なんと現れたのは生死が不明だったイガラムと砂嵐でどこかへ吹き飛ばされたチャカだった。

 

「アルバーナまで帰ってくるや突然砂嵐に襲われ一時はどうなることかと思いましたが砂嵐に飛ばされてきたチャカと会えたのは幸運でした」

「その後は私のイヌイヌの実の力で国王様の匂いを辿りここまでこれました。砂嵐で多少手こずりましたが……間に合ってよかった」

 

 二人がこれまでの経緯を説明してくれた。とにかく二人とも無事でホントによかったと私は内心ホッとした。

 

『イガラムさんは生きてるよ』

 

 アルガさんの言葉を思い出す。ええ、彼の言う通りだった。

 

「皆の者。すまない、私が不甲斐ないばっかりに」

「何を仰いますか。国王をこんな目に合わせてしまった我々のせいです。国王はお下がりください。ここは我々が……」

 

 パパは取り戻し味方も増えた。しかし、それでもMs.オールサンデーから焦りの様子は感じられなかった。ただ、何かただならぬ視線を感じた。それはまるで嫉妬のような……。

 

「恵まれているわね。あなたを想う味方がそんなにいるなんて。……羨ましいわ」

「えっ」

 

 何か聞こえた気がしたがMs.オールサンデーはまた能力を使おうと構えをとる。

 

「いくら集まろうと無駄よ。パワーもスピードも数でさえ私の前では無意味」

 

 そういいMs.オールサンデーが私達を標的として捉える。皆も警戒体制に入ったその時、今度は頭上からもうひとり飛んできた。

 

「させません!」

「あれはっ!?ペル!!」

 

 翼をはためかせ土煙を巻き起こす。視界が悪くなり目で捉えられなくなったMs.オールサンデーは能力で私達を捕まえられなくなった。

 

 レインベースから戻ってきたペルは私達とMs.オールサンデーの間に着地すると私達の元へやってくる。

 

「ペル怪我はもう大丈夫なの?」

「ビビ様お気遣い感謝します。私の方は大丈夫なのですが……彼が……」

「彼って……っ!!?」

 

 ペルの背中に誰か乗せておりソッと抱きかかえる。その人物は全身傷だらけのアルガさんだった。

 

「アルガさん!!」

「クロコダイルと闘っていた彼はルフィ君と交代し私が安全な場所へ運んでいたのです。そこに空から皆様を見つけここへ参りました」

「そんなことより酷い状態だ。腕もそうだがお腹の傷も酷い……。一刻も早く医者に診てもらわねば」

 

 医者と言われ頭にトニー君が浮かぶ。彼に診てもらえばきっと……!

 

 そう考えていたがふと肩の傷跡に目がいく。

 

「ねえ……その肩の傷って……」

「スンスン……ッ!?この匂い毒か!?」

「そんな!?それじゃこのままだとアルガさんがっ!!」

 

 チャカが肩の傷から漂う匂いで毒だとわかると血の気が引いてしまった。どうしよう!早くなんとかしないと……!!

 

「いくら土煙で姿を眩ましても晴れれば無意味よ。さあ、早くその男をこちらへ……っ!!?」

 

 アルガさんの容態に気がいっていた私達はMs.オールサンデーに気付きすぐに振り返る。しかし、彼女の顔には今までにない程に動揺していた。

 

 彼女はしばらく何かを考えると口を開いた。

 

「Mr.コブラ。貴方に確認したいことがあるわ」

「なにかね」

「"歴史の本文(ポーネグリフ)"の内容はご存知?」

「……ああ。それを把握し守ることが我々歴代の王の役目でもある」

 

 パパは少し考えた後にそう答える。

 

「そう。なら話しは早いわ。私の質問にひとつだけ答えなさい」

「貴様!この状況でまだそんな態度を!」

「止めろチャカ!今は私と彼女で話しているのだ」

「ですが国王……いえ、畏まりました」

 

 チャカは一度は待ったをかけるもパパの威圧感に圧され身を引いた。

 

「それで聞きたい事とはなんだね」

「それに記されている内容は何かしら?」

「………それをお前に教えるとでも?」

「………」

 

 敵の副官にこの国の重要な情報を教えるハズがないといった感じで断る。この程度で今まで動揺なんてしなかった彼女だったが明らかに余裕を感じられない。

 

 いったい何故そんなに落ち着きが消えたのだろう。そう考えていたら、以前ルフィさんの船に乗せてもらったあの日の会話を思い出した。

 

『ロビンさんはね。一見落ち着いた感じで何を考えてるのかわからない雰囲気を出すけど、普通の人なんだ』

『普通の人?』

『うん、優しさを見せるのが苦手で人と接するのが不器用でただ純粋に歴史が好きなだけの……普通の女の子』

『それがアルガさんから見たMs.オールサンデーの印象?』

『うん。だから、もし機会があればビビとも話してみてほしいな』

 

 あの日のアルガさんの言葉を信じ私はパパにお願いする。

 

「パパ、彼女に教えてあげて」

「っ!?しかし、それだと奴等に!」

「大丈夫。私を信じて」

 

 私の眼を見てパパは徐々に勢いがなくなりしばらく悩む。そして、重々しく口が開いた。

 

「お前らが知りたがっている兵器。そのありかだ」

「………嘘はいってないようね」

 

 そう呟くと彼女は何かを取り出し私達に投げ渡した。

 

「これは……小さな瓶?」

「クロコダイルの毒を消す解毒剤よ。それで彼を治すといいわ」

「なにっ!?」

 

 それだけ教えると彼女は背を向けた。

 

「待て、どこへ行くというのかね?」

「ここにいる意味がたった今無くなった。だからこのままどこかへ消えるとするわ」

「なんだと?」

「クロコダイルならその情報を欲しがるでしょうけど……生憎、私はそんなものに興味はない。私は───ただ歴史を知りたかっただけ」

 

 そういい彼女は歩き始める。

 

「そうね。それと王女様」

「私……?」

「ええ、最後に一言だけ。貴女のお父さんを説得してくれて……ありがとう」

 

 最後にそれだけ言葉を残すとどこかへ消えてしまった。

 

 ……アルガさんの言う通りだったわ。

 

 彼女の人生を知っているワケではないけれど、それでも最後に彼女がどんな人だったのかなんとなくわかった気がした。

 

 

 

 

 それからは時間との闘いだった。

 

 すぐに解毒剤を飲ませると顔色が少しだけ戻り安心したが血を流し過ぎている。すぐにトニー君に診てもらわないと!

 

 止血はしているが既に流血の量が多い。私はペルにルフィさんの仲間を探すように伝える。チャカとコーザと共に散々となった兵士を集めアルバーナ周辺の流砂に呑まれている者達の救助へ向かわせる。

 

 イガラムはナノハナで起きた事件の真実を知っている子供を連れて一足先に反乱軍のところへ向かった。

 

 まだ敵同士だが後でコーザが行くので心配はないだろう。そう安心し二人と別れるとペルが皆を見つけたというので着いていきしばらく走ると皆を見つけた。

 

「ビビ!よかったお父さんに会えたのね!」

「じゃああなたがビビちゃんのお父たま!?」

「うん、ナミさんありがとう。それよりもトニー君!アルガさんが酷い状態なの!助けて!!」

「わかった!……っ!!?ウワ、これは酷い。早く輸血しないと!」

 

 そして、トニー君にアルガさんを預けると、突如大きな衝撃音が響き渡る。宮殿の方向だ。

 

 皆して宮殿の方を見ると宮殿の一部が瓦解し天高く何かが飛んでいく。あれは……いや、あいつは!?

 

『クロコダイル!!?』

 

 皆の声が合わさった。それだけ衝撃的な光景だった。

 

「なんであいつがあんな所から大空高く舞っているかは知らねェが……」

「ああ!こんなことハナッからわかっていたが……!そうさとにかく!!」

 

 

『アイツが勝ったんだ!!!!』

 

 

 またもや皆の声がハモる。私は飛んでいく彼の姿を見て口を抑える。

 

『とにかくおめェ、クロコダイルをよ!ブッ飛ばしたらいいんだろ?』

 

 軽い感じでいっていたあの言葉。だが、今こうして現実に起きている。私は眼から溢れる涙を止められなかった。

 

 そして、飛んでいく彼はアルバーナから飛び出し周辺の砂漠へ落ちていった。

 

 私の様子を見ていたMr.ブシドーが声をかけてくる。

 

「それよりビビ早く行けよ」

「え?」

「闘いは終わった。だが、お前にはまだやるべき事が残ってるだろ」

「あっ」

 

 そこまで言われ私は当初の目的を思い出す。

 

 そうだ。私には最後にしなきゃいけないことがあるんだ。

 

 皆も連れていこうとしたが先に宮殿へ戻っていると断られここで一旦別れる。私とパパはペルの背に乗り流砂の被害に合っている反乱軍のところへ飛んでいく。

 

 その時、思いもよらぬ奇跡が起きた。

 

──ポツリ

 

 最初はそんな気づくかどうかの音だったが、勢いは強くなりザアアアアと天から恵みが落ちてきた。

 

 雨。そう、数年降ることのなかった雨が今この国に降り注いでいるのだ。

 

 アルバーナを出ると雨で砂が固まったのか流砂は止まっており反乱軍の皆が次々に救助された。

 

 既にイガラムやコーザ達も来ており真実を伝えている様子だった。皆困惑している。

 

 所々で信じていない者もいたようだが倒れているクロコダイルが海軍に連行されているところを見て何も言えなくなる。

 

 そして、そこに私達が皆の元へ降りると全員が一斉に視線を向ける。あまりの視線の数に一瞬臆してしまうがパパは堂々とした姿で歩み始めた。

 

「この地から雨が消え数年。国中の者が苦しみ亡くなった者もいる。それから国は争いが始まり少なくない血が流れた。しかし!!」

 

 パパは握っていた拳を広げ空に掲げた。

 

 

「もう、そんな血を流れることは決してない!この雨は"王の奇跡"等というまやかしではない。国民一人一人が願い望み生んだ国の奇跡の雨……"アラバスタの奇跡"だ!!!!」

 

 

 皆が雨を見て先ほどまで感じていた怒りの感情がみるみる薄れていく。

 

「そして、たった今争いは終わったのだ!!過去を無きものになど誰にもできはしない!!この争いの上に立ち!!生きてみせよ!!!」

 

 そして、国王の言葉に国民の皆が涙を流した。

 

 

「アラバスタ王国よ!!!!」

 

 

 こうして、後に歴史に刻まれる戦いと、決して語られる事の無い闘いが──終結した。

 

 

 

 

 

 雨が降り国の争いが終わった翌日の深夜、俺はひとり王宮を出る準備をしていた。

 

「ホントにもう出ていくのね」

「うん、宴会には参加したいけどいつルフィが目覚めるかわからないしその間に海軍にメリー号を発見されるとマズイからね」

 

 表向きはこの理由を使っている。ホントの理由は流石に言えないからね。

 

「でも、パパはちゃんとしたお礼をしたいって」

「何言ってんの、十分貰ったさ。こいつとかね」

 

 そういい俺は腰にかけている刀に触れる。

 

 これは元々ナノハナの海岸付近で見つけ徴収したB・W(バロック・ワークス)の刀。どこかで見たことあると思ったらこれはMr.11が持っていた名刀である良業物"花州"だった。

 

 なぜこれがあの船にと思ったが、Mr.11は海軍に捕まってしまい誰もいない隙を突かれビリオンズに殺されてしまった。その時、一緒にこいつも持ち出したのだろう。だから、沈められた船からこの刀が見つかった。

 

 俺の刀は元々どちらも銘のないナマクラだから思い入れとかはないけど、一本折れてしまい少し困っていた。早いとこ刀を用意しときたいと相談するとチャカさんが護衛のお礼としてこの刀を頂いた。

 

 ひゃっほい!初めての名刀マジで嬉しい!!

 

「せめてこの国の誇る大浴場でも」

「あーー……それなんだが」

 

 俺は少し渋った感じで答える。

 

 原作でも裸の付き合いで王自ら頭を下げ感謝される場面がある。だが、俺はそういった場所には行けなかった。

 

「ビビはさ、わざわざ俺の治療はチョッパーだけにしてほしいって言った理由を教えてなかったね」

「……?ええ」

 

 そう、俺は治療はされている時はなるべく周りに人がいない状況でチョッパーにだけ上半身をさらけ出し治療してもらっていた。

 

 その際に腹の傷はしっかり治療してもらったが、右腕に関しては水を飲んで戻すとチョッパーに驚かれた。

 

 あれ?これってワンピキャラなら普通なんじゃないの?ルフィも戻ってたし、Mr.3に至っては全身干からびた状態で長時間生きてたし。

 

 まあ、とりあえず話を戻そう。仲間はまだあのマークの意味を知らないし、仮に知ったとしても態度は変わらないと思っているから気にしないが……他は別だ。

 

 だが……ビビだけにならいいかな。

 

「ビビは仲間だ。だから俺の秘密を教えるよ」

「アルガさんの秘密って……ええ!?なんでいきなり服を!!?」

 

 俺が上着を脱ぎ始めると急なことでビビは顔を赤らめる。あらやだ可愛い。

 

 だが、気にせず上着を脱ぎ背中を見せるとビビは驚きを隠せず口を押さえた。

 

「…………アルガさん……それって……」

「加盟国の王族なら流石にわかるよね。そう、俺は元奴隷だったんだ。天竜人の」

 

 俺の秘密に動揺し顔を俯かせる。するとビビは俺に近づいてきた。そして──。

 

「え?」

「………」

 

 俺を抱き締めるやいなや頭を撫でられた。

 

 …………え?なに急に?ハ?…………ハ?

 

「えと……ビビ?これは……」

「アルガさん秘密を教えてくれてありがとう」

 

 そして、ギュッと抱く力が強まる。

 

「まだ私の知らないあなたの一面を知れて嬉しかった。そう、嬉しかったの」

「ビビ……」

「だからあなたの秘密を知っても私はこれまでと変わらない。私の国をパパを助けてくれた恩人のひとり……仲間よ」

「…………」

 

 あーー、ちょっと待ってほしい。これ以上されるとマズイ。ホントにマズイ。だって──。

 

「ゴメン、しばらくこのまま……顔は見ないで……」

「うん」

 

 涙が溢れて隠せなくなるじゃんか……。

 

 

 

 

 その後、俺は王宮を出てメリー号に戻る。そして、海軍にバレないよう別の海岸に隠しつつ1日が経った。

 

 闘いから3日後にルフィは目覚めると思ったが毒針を受けていなかったからか2日で目が覚めたようでその日の夜には皆がやってきた。

 

 因みにメリー号を隠す際にMr.2のボンちゃんと出会いそっから一緒に行動していたためルフィ達は友情の再会を喜んでいた。いや、ついこの前まで敵同士だっただろお前ら……。

 

 そして、翌朝は怒涛の展開が続いた。

 

 ヒナ大佐の包囲網を抜けるためボンちゃんが囮となり涙の別れをし、海岸付近ではビビとの別れを交わした。

 

 原作では包囲網の鉄槍砲撃によりでメリー号が大ダメージをくらうことを知っていたので砲撃される前に飛ぶ斬撃とウソップの砲撃で応戦しメリー号に傷は一切負わせなかった。

 

 近くに海軍がいたため言葉では言えなかったが全員が左腕のバツ印を掲げる。それによりビビは俺達の仲間だと伝えアラバスタを出航したのだった。

 

 そして、現在。ひとりを除いて皆は泣いていた。

 

『さみしーーーー…………』

「めそめそすんな!そんなに別れたくなきゃ力づくで連れてくりゃよかったんだ」

 

 ビビがいなくなったことで皆が泣いているとゾロひとりだけそんな無神経なことを言いやがった。

 

 なので皆でゾロの悪口を言う。

 

「野蛮人……」

「最低……」

「マリモ……」

「三刀流……」

「待てルフィ。三刀流は悪口じゃねェぞ」

「マリモダイル……」

「うるせェぞお前ら!!後アルガお前今なんつった!?」

 

 ゾロのツッコミで場が少し和み始めると船内からひとりの女性が現れた。

 

「海軍はうまく撒いたようね」

「ああ、まあな──っ!?なっ!!」

 

 船内から現れたのはロビン。それに気づいた皆は焦りだし(一部のメロリンを除く)警戒する。

 

 しかし、ロビンは敵対する様子は一切なく優雅にくつろいでいる。ナミが何のつもりだと聞くとロビンはこう答えた。

 

「アルガ。あなた私に何をしたのか忘れてないわよね?」

「………………は!?俺!?」

 

 なんで俺!?ここはルフィじゃねェの!?

 

「クルァァアア!!アルガてめェこのお姉さまに何をしやがったんだアァン!!」

「待って待って落ち着いて!おいロビン!デマカセ言わないでよ!俺は何もしてない!」

「いいえ、耐え難い仕打ちを受けました。責任……とってね」

 

 だからそれルフィに対するセリフーー!!!

 

「ん?アルガお前何かしたのか?じゃあ謝んねェとな。おい、モビンつったか?」

「ロビンよ」

「そかそか。じゃあロビンはよ、どうしてほしんだ?」

 

 ルフィはそう聞くとロビンは手を頬に添えてこう答えた。

 

「私を仲間に入れて」

『…………!!は!!?』

 

 皆が驚く中、唯一驚かなかった俺からもルフィに頼み込んでみる。

 

「ねえ、ルフィ俺からもお願い。ロビンはどこにも行く宛も無いんだ。それに、毒で死にかけた俺を助けてくれたし」

「そうか、そらしょうがねェな。いいぞ」

『ルフィ!!?』

「心配すんなって。こいつはそんなに悪い奴じゃねェから」

 

 そういってルフィがニシシシと笑うとあまり納得がいってなかったが渋々といった感じで皆は何も言えなくなった。(一部のメロリンを除く)

 

 

 

 

 時は遡ること1日前のメリー号到着時。俺は送ってくれたカルガモにお礼を伝え別れると船に乗り込んだ。

 

 そして、見聞色を発動すると…………いる。

 

「隠れてないで出ておいでよ。別になにもしないから……ロビンさん」

「やっぱり気づかれちゃったわね」

 

 声が聞こえる方を見ると船内からロビンさんが現れる。予想通り既にメリー号に密航していたようだ。

 

「それにしても思ったより早かったわね」

「船の見張りのために俺だけ先に帰ってきたんだよ。それに、B・W(バロック・ワークス)がなくなればここに来るかもと思ってたし」

「大正解。さすがアルガね。よくわかったわ」

「わかるよ。昔一緒に旅した仲じゃないか」

 

 ロビンさんは「そうね」といい夜空を見上げる。

 

「それでどうだった?」

「どう……って?」

「俺達強かったでしょ」

「ええ、まさかB・W(バロック・ワークス)が敗けるなんて思いもしなかったわ。それに、あなたがクロコダイルを吹き飛ばした時はホントに驚いたわ」

「へへ~~ン!鍛えてますからっ」

 

 そういい俺は力こぶを見せるように腕を巻くってにかっと笑う。

 

 するとロビンさんは一瞬眼を見開くがすぐに顔が戻り微笑んだ。

 

「フフ……あの時から変わってないわね」

「いや明らかに変わってるでしょ!主に身長とか!」

「~~っ!?」

 

 流石に今の言葉は看過できなかった俺はロビンさんの顔を近づけ成長アピールをする。昔は見上げることしかできなかった俺だが今は違う。俺の身長は180cmと少し自信があった。

 

 しかし、ロビンさんの身長が188cmと公式で出ていることを忘れていた俺は顔を見下ろすことができず普通に身長で敗けて落ち込んだ。

 

 畜生……そもそもワンピ世界は身長バグりすぎんだよ。なんだよ数メートルとかある奴らとか。おのれ許さんぞ41歳め。(逆ギレ&八つ当たり)

 

 なんかロビンさんが固まっているが気にせず気持ちを切り替えた。

 

「ンン!……話を戻すけど、今の力があれば昔のような別れ方はしなくて済んだかもね」

「…………!昔……そうね。でも、あなたが悪いワケじゃない」

 

 少し間上の空のような感じだったがすぐに調子を取り戻すとそう答え少し顔が暗くなる。

 

「ありがとう。まあ、昔を悔やんでも仕方がないよな。それに、今はあの時とは違う」

「えっ?」

「あれから俺は強くなった。更に言えば今の俺には頼もしい仲間もいる。だからさ──」

 

 俺はロビンさんに想いを伝えた。

 

 

「また、一緒に冒険しない?」

 

 

 ロビンさんは眼を見開き俺から眼を離さなかった。

 

「昔俺が言ったこと覚えてる?」

「ええ勿論」

「そっか、なら話は早いね。あの時の言葉通り俺は海賊になった。B・W(バロック・ワークス)がなくなってフリーになったことだし、よかったらロビンさんもウチのクルーになるのはどう?」

 

 俺が勧誘するとロビンさんは少し複雑な顔をした。

 

「少し前まで敵同士だった私を迎え入れてくれるかしら?」

「俺が説得するよ。確かに最初は戸惑うかもしれないけどなんだかんだ皆気のいい人達だから大丈夫。すぐ馴染めるよ」

「そう……でも、どうしてそんなに私を誘いたがるの?」

 

 ロビンさんは不思議そうに聞いてくる。俺はそれに笑顔で答えた。

 

「俺にとって初めての友達がロビンさんなのは知ってるでしょ?」

「ええ」

「だからそんな大切な人と一緒に冒険できると思うと……最っ高にワクワクするんだ」

 

 俺がそういうとロビンさんはしばらく無言だったが肩を振るわせ笑い出した。

 

「アハハハハ。やっぱり今も昔も変わらないわね。あなたと一緒ならどこでも楽しそう」

「じゃあ!」

「でも、まだダメ。そうね……」

 

 ロビンさんはまたもや何かを考え始める。そして結論が出たのか、俺に尋ねてくる。

 

「それじゃ、私からひとつお願いを聞いてくれるかしら?」

「ロビンさんから?いいけどなんだろ?」

 

 俺が首を傾げるとロビンさんは少し期待のような眼差しで俺を見てきた。

 

「これから私のことはさん呼びしないこと」

「……へ?」

「他の仲間にはそんな呼び方していないでしょ?私も仲間になるのなら他人行儀はやめて頂戴」

 

 予想外の事をいわれ俺は少しフリーズしたがすぐに戻った。

 

「えと……そんなことでいいの?」

「ええ、私からは以上よ」

「うん、わかった。それじゃ、これから宜しくね──ロビン!」

「……フフ、こちらこそ」

 

 その時、昔の航海の時ですら見たことなかった心底嬉しそうなロビンの笑顔を見たのだった。

 

 

 

「大切な人……ね。ならその言葉の責任はしっかりとってもらおうかしら……フフ」

 




どうも皆さんもしロマです!
11話をご覧くださりありがとうございます!

アラバスタ編も終わりこれからペースを上げていこうかと思ったのですが、仕事の都合上投稿頻度が落ちるかもしれません。
申し訳ありません!m(_ _)m

ですが、なるべく書いていこうと思うのでこれからも楽しんで読んで頂けると嬉しいです!

ではまた会いましょうでわでわ~( ´ ▽ ` )ノ

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