あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
主人公のプロット公開に新しく【誕生した回のちょこっと裏話】を追加しました。
そこにはその回で誕生した裏側の経緯を軽く紹介しています。よければ見てください。
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


12話 ロマンを求めて

 アラバスタを出た俺達は新しくロビンを仲間に加え航海を続けていた。

 

 先日、空島の地図を見つけた俺達は空から降ってきたガレオン船を調査をしたり猿が現れたり亀が現れたり巨人の影を見たり大忙しだった。

 

 結局、空島への手がかりを見つけられなかった俺達だったが、うまくロビンが猿のマシラからくすねた"永久指針(エターナルポース)"でジャヤという島に向かう途中だ。

 

 既にジャヤの気候海域には入ったのか天候は晴れており心地良い風が吹く。そんな中メリー号から青い斬撃が放たれた。

 

一刀流(いっとうりゅう)……"三十六煩悩鳳(さんじゅうろくポンドほう)"!!!」

 

 放たれた斬撃は海をかち割り辺りは水飛沫が飛び散った。

 

「うし!ようやくできたぜ!飛ぶ斬撃」

「おお~~!!さっすがゾロ!元々ポテンシャルはあっただろうけどこんなすぐにできるようになるとは」

 

 本日の稽古もほどほどで終わらせた俺はゾロの飛ぶ斬撃の練習に付き合っていた。発端はアラバスタでヒナの包囲網に捕まっていた時に出した俺の飛ぶ斬撃を見たのが要因らしい。

 

 実は言うとあの時俺はかなり興奮していた。今まではあの距離の標的に斬撃を飛ばしてもギリ届くかどうかだったが新しく手に入れた名刀"花州"を試したら余裕でマストをぶった斬ってしまったから。

 

 これマジでスゴい!この刀原作じゃMr.11が持ってたせいで出番がすぐになくなったとか勿体無さすぎる……。これからは俺がお前を大事にするからね。

 

 おっと、話が脱線した。話を戻すがそんな斬撃を飛ばす俺を見たゾロが自分も使えるようになりたいと言われてこうして練習に付き合っている。

 

 最初は多少手こずっていたが短期間で技をものにしたゾロを俺は素直に称賛した。

 

「つってもまだまだ改良の余地はあるがな」

「最初はそんなものだよ。それを差し引いてもゾロはスゴいと思う。俺はこんなすぐには出来なかったもん」

 

 飛ぶ斬撃って"偉大なる航路(グランドライン)"には使える人が多いけどあれ普通に難易度鬼ヤバなんよね……。俺でもできるのに何年もかかったのにゾロときたらたった数日で覚えるとは。

 

 やっぱり、剣術に全てを費やしてきたゾロの成長スピードはハンパないな。気を抜いてたらあっという間に抜かれそう。……俺も頑張らねば!

 

「次の島で敵でも見つけりゃすぐ試し斬りができるな」

「こっわ、発想が辻斬りのそれじゃん」

 

 次のゾロの対戦相手さんご愁傷さま。

 

 俺は今後現れるであろう不運な敵に南無南無と念仏を唱えていると後ろからすっかり一味に馴染んだロビンがやってきた。

 

「ここにいたのね。そろそろ島が見えるそうよ。航海士さんがいってたわ」

「ロビンわざわざありがとー」

「………」

 

 まあ、未だに最低限の警戒を解かないゾロひとり除いてだけど。

 

 船尾側にいた俺達は皆がいる船首側へ向かうと島を見ていたルフィ達はテンションをあげていた。

 

 島の雰囲気はリゾートのような感じで港にいる人達も楽しそうにしていたが、その人達が全員海賊のなりに見えて少し首を傾げるウソップとナミとチョッパー。

 

 停まっている船もみな海賊船だったが見ないフリして現実逃避していたが島から「殺しだァ!!」と叫ぶ声が聞こえとうとう現実に戻されしくしくと泣き始めるウソップとナミとチョッパー。

 

「「「なんなんだようこの町はァ~~~~っ……」」」シクシク

「何だかいろんな奴らがいるなここは」ウキウキ

「楽しそうな町だ。さっそくあの技を試せそうだな」ワクワク

 

 ルフィとゾロは賑やかで楽しそうとでも思ったのか上陸してすぐどこかへ行こうとする。そこへナミはトラブル防止のために二人について行った。

 

 サンジもナミに着いていこうとするがそれを全力で止めるウソップとチョッパー。サンジは渋々といった感じで断念し船番をすることに。

 

「それじゃ、ウソップ俺はメリー号の補填用に木材やら色々買ってくるよ」

「おお、アルガ助かるぜ。おれ様が行ってやってもいいんだが町の連中をビビらせちまうからよ……」

「ビビりまくってんのはオメェだろうが。おいアルガ、行くならおれの代わりに何か食材も適当に買ってきてくれ」

「うんわかったー」

 

 サンジからもおつかいを頼まれていざジャヤに降り立つのだった。

 

 

 

 

「それで、なんでロビンも一緒なの?」

「あら、迷惑かしら?」

 

 ジャヤを練り歩いていたらいつの間にかロビンがついてきた。最初はまったく気配を感じなかったので途中で気づきかなり驚いたわ。

 

「いや、別に迷惑じゃないけど」

「なら問題ないわね。それに買い物の量もそれなりにあったでしょ。人手はあるに越したことはないわ」

「ダメダメ、ロビンに買い出しの荷物を持たせるワケにはイカンよ。サンジに知られたら控えめにいっても半殺しにされる」

 

 比喩ではなく物理的に……。オォウ、想像するだけで悪寒が……。

 

「それに、ロビンは何も買い出しの手伝いでついてきたワケじゃないでしょ?空島への手がかり、又はこの島について……とか」

「流石アルガよくわかったわね、大正解よ」

「まあね」

 

 まあ、原作知識なんですがね。

 

 そうこうして俺達は町中を歩き回り修繕の材料や食料等を買っていった。一通り買い物が終わると昼頃になったので酒場には入り昼食をとった。

 

「美味しいわねここの料理」

「そうだねェ~。うまうま」

「ン、このワインも悪くないわ。アルガはお酒飲まないの?」

 

 酒場料理なのでみんな酒が進みそうな物ばかりだ……。んーー飲みたい。

 

「飲みたいけど船以外じゃ飲んじゃダメってナミとゾロにキツく言われてて……」

 

 ぐぬぬ……。()()()()()お酒に弱いこの体質が憎い。

 

「あら残念ね。なら帰ったら飲みましょ」

「うん!」

 

 そんな会話をしていると隣の席から飲んだくれの男が声をかけてくる。

 

「おーおー綺麗な女じゃねェか。こんなナヨナヨした男なんかよりおれと一緒に飲まねェか?」

 

 どうやらナンパ目的で寄ってきたらしい。まあ、町がこれだけ治安悪けりゃこういったトラブルは付き物か。むしろ今までよくナンパされなかったと言うべきか。

 

「あなたこの島について詳しいのかしら?」

「そりゃおめェこちとらここに住み着いて何年もいるベテランさ。聞きたいことがあれば何でも答えるぜェ?」

 

 すると、男は懐から地図を見せびらかすように取り出した。俺とロビンは一度目を合わせるとお互いに頷いた。

 

「おれぐらいまでいきゃあこの島の地図だって持ってる」

「へえスゴいわね、それじゃあなたより詳しい人はいないの?」

「おれよりもずっと長く住んでる奴か……。そういや……プッ!ガハハハハ!!」

 

 突然男は笑いだし口を抑える。

 

「いや、スマネェな。そういやいたわ。おれよりもずっと住み着いてる奴が……だが、あいつは……ダメだ……プフッ、ガーッハッハッ!」

「おい、それはひょっとしてあのはみ出し者か?ククッ」

「はみ出し者?」

 

 男が笑い始め喋れなくなったからか近くの奴らがそう言いロビンは首を傾げる。

 

「ああ、この島の対岸に住み着いている奴さ。名前はモンブラン・クリケット。この島の笑われ者さ」

「あいつはこの町でいい歳こいて夢だの語っている花畑野郎なのさ!」

「最近じゃこの近海を縄張りにする大猿兄弟と手を組んで今じゃ誰も近づこうとはしねェ。まあ、あいつに近づくとこっちまでバカが移りそうだから関わる気はねェがな!」

 

 男がそう説明するとさらにロビンに近づく。

 

「おれはそんなオッサンなんかよりお前みたいな女に近づきたいねェ~」

「あらそう、いろいろと教えてくれてありがとう。……でも、ごめんなさい。タイプじゃないの」

「へ……?アガッ!?」

 

 男は腑抜けた声を漏らすとロビンの能力で目を塞がれさらに増えた6本の腕で間接技を決めた。

 

 男が泡を吹いて倒れると俺達は席を立った。

 

「それじゃ、地図は貰っていくわねお眠りさん」

「あ、店長。代金はこいつの財布からとっといて。釣りはいらないから」

「いや、釣りも何もお前の金じゃないだろそれ。爽やかな顔でえげつないことするガキだな。まあ、こっちは金が入りゃ文句はないがな」

 

 さすが無法地帯の島で経営してる店だ。目の前で暴行があろうと金が入れば文句ナシってか。

 

 こうして店を出るとロビンはやや不機嫌そうに俺を見てくる。あら珍しい、どしたの?

 

「さっきは助けてくれてもよかったんじゃない?」

「いや、ロビンならあれぐらい簡単にあしらえるでしょ。それに俺あの人と口聞きたくなかったし」

「……?やけに機嫌が悪いわね?」

「そりゃね。男が夢を笑うなんて相手にするだけ無駄だから」

「ああ」

 

 ロビンは察したのかそれ以上は聞かず歩き始めた。

 

 でも、この島にはそういう奴らがほとんどなんだよなァ~。……このままじゃダメだな切り替えていこう!

 

「食後なのに辛気臭くなっちゃったね。気晴らしに買い物続けよっか」

「そうね、私まだ自分用の服を持ってないしここで調達しましょ。服選び手伝ってくれる?」

「もちろん!」

 

 こうして俺とロビンは再び買い物しに町中を進む。

 

「ねえアルガ」

「なに?」

「長鼻くんと取り調べごっこしていた時に思ったのだけれど、あなたから私について話さなかったの?」

「ごっこて……。まあ、からかって遊んでたし否定はしないけど……。うん、話してないよ。人の過去を他人が言いふらすのはよくないでしょ。そういうのはちゃんと本人から言わないとね」

「そう、あなたらしいわね」

 

 その後は服を見て回り買い物を楽しんだ。船に戻るとサンジに鬼の形相で睨まれ目茶苦茶恐かった。

 

 冗談抜きに三枚におろされるかと思ったな……。

 

 

 

 

 同時刻にナミとボロボロの状態のルフィとゾロが帰ってきみんな騒然としたが俺とロビンが持ってきた地図と情報を聞きジャヤにひとりで住んでいると言われるモンブラン・クリケットに会いに行くため船を出した。

 

 途中、ショウジョウと名乗る海賊に通行料をせびられ最初は揉めそうになったが俺が支払うことで穏便に済ませた。

 

 あいつの攻撃で無駄に船が損傷するのは避けたかったししょうがない。ひとりで航海していた時にそれなりに貯金しててよかったわ。

 

 そうしてジャヤの東側に到着すると大きな城が見えルフィとウソップとチョッパーは眼をキラキラと輝かせる。すぐにハリボテと知ると一気に落ち込んでしまったが。

 

 それから家に入ったり例の本を読んだりさらっとサンジの伏線が張られたりあったが、すぐに海から俺達が探していた男、モンブラン・クリケットが現れた。

 

 最初は金を狙う者と勘違いされ襲われたが潜水病で苦しみだし倒れてしまう。仕方なく俺達で看病していたらマシラとショウジョウがやって来て秒で打ち解けた。

 

「だが、おめェらそんなにチビッこいくせにコイツを蹴り飛ばすとは大したモンだぜ」

「そうか?お前にもできるよ」

「え?そうか?」

「あーできる」

「ん?」

 

 いや、お前らどんな会話しとんねん。ほら、マシラ聞き返してんじゃん。自然な流れすぎて理解が追い付いてないって顔だぞあれ。

 

 そして、ルフィの言葉を鵜呑みにしたショウジョウはマシラを蹴り飛ばしてしまった。……お前ら仲間だよな?

 

 ルフィはそんな二人を放って目覚めたクリケットおじさんの元へ行く。そこでは彼の身の上話をし周りは同情するがルフィは一切興味を示さない。

 

「だから……!!おれは"空島"に行きてェんだよおっさん!!!」

 

 ルフィはあくまで聞きたいことは空島への行き方だけ。

 

 しかし、空島の存在を一切疑わないルフィを見てクリケットおじさんは何かを感じたのか眼を見開いた後小さく笑い棚から一冊の航海日誌を取り出した。

 

 そこには空島が存在しているかのような書き方がされており皆は盛り上がり、そこからは空島へ行く方法を教えてもらい夜は家で宴を開いたのだった。

 

 ……あ、俺は宴の途中に誤って酒飲んじゃったからぶっ倒れて途中から意識が消えました。

 

 

 

 

 

「ZZZ~~」

「「酒弱っ!!?」」

「ギャハハハハ!!相変わらず潰れるのが早ェ~~なアルガ!」

 

 長鼻の小僧が角小僧を見て盛大に笑う。どうやらコイツは極度に酒が弱いらしい。他の奴らも同様笑っている。

 

 まだ一口だけしか飲んでねェのに……酒を嗜めねェとは可哀相なガキだな。

 

 まったく起きる気配のない角小僧は黒髪の姉ちゃんに膝枕をしてもらいぐっすりしている。ぐる眉小僧がブチギレたが剣士の小僧に呆れられてしまうとその二人で喧嘩を始めた。

 

 普段からマシラとショウジョウの喧嘩を見てきたおれにはわかる。コイツら普段から喧嘩してんな?

 

 まあ、寝ちまったモンはしょうがねェ。おれは残りの奴らに金塊を見せる。予想通り奴らは眼の色を変えた。

 

 黄金自体に眼を輝かす者、黄金を見て黄金都市の可能性に胸を踊らせる者。

 

 こんなに馬が合う奴に会うのは久しぶりだったから気が高揚しすぎてつい盛り上がってしまったが、おれは肝心なことを忘れていた。

 

 サウスバードの存在だ。コイツがいなけりゃ空島へ行くことができない。

 

 急いで説明し奴らを森に行かせおれ達は小僧の船の補強を始めた。

 

 しかし、そんな時……アイツらはやって来た。

 

「他人が苦労の末手に入れた宝ってのはまた……格別の味がするもんだ。……人がおれを何て呼ぶか教えてやろうか。"ハイエナ"だハハッハハ!!!」

 

 突如現れた海賊がおれ達を襲う。

 

 序盤は何とか抵抗できたが奴は悪魔の実の能力者でありその強さは本物だった。持病で体が思うように動けず徐々に圧されてしまいおれやマシラとショウジョウは既に虫の息だ。

 

「ハァハァ……。これ以上好きにはさせねェ」

「ガフ……ああ、その通りだ。金塊もやらねェしおやっさんにも手出しさせねェぞ……!」

「マシラ!ショウジョウ!もういい十分だ!!さがれっ!!」

 

 呼びかけに応じず守ろうとおれの前に立ち尽くす二人。そんな時、敵の会話が聞こえてきた。

 

「おいベラミー。あの旗みろよ」

「あん?ありゃ……麦わら。まさか昼間のヘタレ海賊が来てんのか?ハハッハハ!!こいつァ傑作だ!夢を語るしかできねェ腰抜け共がこぞっていたのか!!」

 

 すると、ベラミーとかいう若造はおれ達から標的を変えた。マズイ!?アイツら船を狙う気か!!

 

「せっかくだ。金塊ついでに潰しちまおう。"スプリング"……"狙撃(スナイプ)"!!!」

 

 両足をバネに変えその張力で小僧の船めがけて跳んでいく。このままだと小僧の船が壊される!そう思ったその時──。

 

──ガキィイイン!!!

 

「あ?」

「オイコラ、人がせっかく気持ちよく寝てたのに()()()()を大勢で喚き散らしやがって。お陰で最悪の目覚めになっちまっただろうが」

 

 今まで寝ていた角小僧が金棒で若造の拳を止めてしまった。

 

「なんだアイツ!ベラミーの攻撃を止めやがった!?」

「何言ってやがる!マグレに決まってんだろうが!!」

 

 若造の仲間が驚くがすぐにマグレだと気のせいだの言い始める。そんなことはない。おれの眼が正しけりゃ間違いなく受け止めやがった。

 

「おれの攻撃を止めた?こんな小僧に限ってんなわけねーか。運がいいなガキ」

「ギャーギャー喚き散らすなっていってんだろ。その薄汚ねェ口を閉じろお前ら」

「アア?」

 

 角小僧は明らかに機嫌が悪くなっており昼間の時のような優しい雰囲気が感じられない。

 

「小僧!眼ェ覚めたのか!あんなに酔い潰れてたのに」

「うん、寝たらしばらく起きることはないんだけどさ……ダメなんだよね昔から。()()()()が聞こえるとどうしても起きちゃうんだ」

 

 角小僧はその鋭い眼光で敵を睨み付ける。

 

「お前今この船に手ェ出そうとしただろ?」

「なんだ、やっぱテメーもあの腰抜けの仲間だったか。ああ、今からテメーらの船をぶち壊す予定さ。わかったらとっとと退きなガキ」

「これまで……」

「あ?」

「これまで俺は船が傷付かないように頑張ってきた。その結果、熱を出した時以外は無傷でここまでやって来たんだ。だから……」

 

 角小僧は金棒を若造に向けた。

 

「今回も守りきる」

「ハハッハハ!お前も船長と同じで口先だけは達者だな!!」

「ホントに笑わしてくれる!そういった言葉は実力がある者のみ許されるってのによ!!」

 

 サングラスをかけた男が剣を構えて角小僧に飛びかかった。

 

「"大刃撃(ビッグチョップ)"!!!」

「………」

 

 回転しながら斬りかかろうとする男に対し、角小僧は金棒を仕舞うと刀を抜き軽く振り抜いた。

 

「"紅枝垂(べにしだれ)"」

「──っ!?ガッ……ハッ!!?」

「………………は?」

 

 一振。たった刀を一振でしただけで紅色の斬撃が放たれモロにくらった男は吹き飛ばされ気を失う。

 

「なっ!!?嘘だろ!!サーキースがやられた!?」

「……いや、当たりどころが悪かったんだ!じゃなきゃあんなガキにサーキースがやられるハズがねェ!!」

 

 仲間の方は動揺するが若造だけは静かに角小僧を見つめる。

 

「へえ……。存外さっきのはマグレって訳じゃなさそうだな。サーキースをのしちまうとは。お前んとこの船長と剣士は手も足も出せなかったのによ」

「出す拳が見つからなかっただけだろ。あまりに小物すぎて」

「言うじゃねェの。そんなに強ェのに勿体ねェなァ。腰抜けの仲間にしておくには惜しい。なあお前、おれの仲間にならねェか?」

 

 若造は角小僧の実力を認め一味に勧誘を始めた。

 

「"本物の海賊"としてひとつアドバイスしてやる。幻想を求めるのはやめとけ。この先の"新時代"をゆく海賊になりたきゃ……幻想は決して叶わねェと知るべきだ。ハッハハ!!」

 

 アイツ……!!

 

 おれは幻想を笑われてしまい怒りを覚えるが体が動かない。クソッ!!こんな時に……!!

 

「おいバネ男」

「あん?」

「それなら俺からもひとつアドバイスしてやるよ」

 

 小僧は冷めた眼で若造を見下した。

 

 

「幻想に喧嘩売る度胸もねェヒヨッ子が……海賊を語るんじゃねェ」

 

 小僧の言葉で今まで笑っていた若造の表情が初めて消えた。

 

 小僧……お前って奴ァ……。

 

『おっさん!見つけたぞ黄金!!鐘型のインゴットだ!!』

『ほら見ろ!日誌の文と一致するぜ!!"鐘"のことが書いてある!!』

『黄金郷はあるんだ!!ウッキ~~~~!!!』

 

 ……そうだよな。アイツは幻想を笑わずコイツらと対峙している。なのにおれは何故ここで座り込んでんだ。小僧が闘ってんのにおれも闘わねェでどうする!立ちやがれおれの体!!

 

「大丈夫。無理に立たなくていいよ。すぐ終わるから」

 

 小僧は無理に立とうとしたおれに優しくそういい聞かせる。対してその発言に若造は顔をしかめる。

 

「ああ?何がすぐ終わるって?」

「あ~~そうそう、これはアドバイスじゃないんだけどさ……」

 

 小僧は若造の船の旗を見て……嘲笑した。

 

「お前らんとこのボスが一番"新時代"にいけなさそうだなww」

「コイツ……!!今誰の旗を見て笑いやがった!!?」

「自称家族ごっこの友達ゼロ人おじさん」

「~~~~っ!!!」

 

 若造がとうとうキレてしまい両足をバネに変え小僧を標的にし構える。

 

「テメー……七武海のシンボルを貶してタダで済むと思うなよっ!」

七武海(現実)に臆してちゃ幻想()は語れねェだろ。それとお前も覚悟しろよ。半端な度胸で幻想を笑ったことを……」

 

「テメーはこの一撃で殺す。構えろ海賊の恥さらしが。()()()()()()()()()()()。"スプリング狙撃(スナイプ)!!!"」

 

 そして、若造は小僧めがけて跳んでいく。しかし、勢いはこれまでの比ではない。さらに若造の腕がバネに変わった。

 

「このコンボをくらって立ってられた奴はいねェ!!"スプリング死拳(デスノック)"!!!」

 

 恐ろしいバネバネの実の合わせ技に仲間は勝ちを確信しおれは青ざめてしまう。あんな拳をまともに食らっちまったら……!!

 

 しかし、小僧は武器を構えるどころか収めてしまう。何のマネだっ!?そう思った瞬間──。

 

 

──ズドォン!!!

「!!!?」

 

 

 一発。そうたった一発のパンチで若造は地面に叩きつけられ動かなくなった。

 

「…………え?」

「お、おいベラミー……冗談よせよ……なあ!!」

「アァ……やっぱしサーキースがやられたのも……偶然じゃなかったんだ……」

「あのベラミーが……ヒッ!?」

 

 小僧は若造を引きずると仲間の方へぶん投げた。

 

「まだ、暴れたりない奴はいるか?」

「ヒィィイイイ!!?逃げろォオオオ!!!」

「なんであんな化物がいんだよォ!!?」

 

 仲間達は倒れた若造と剣の男を連れてどこかへ逃げ出した。それ程までにあの小僧からの威圧感がすごかったのだろう。

 

「しまった……サーキースは倒さなきゃよかった。せっかく"空"ってくだりやりたかったのに」

「どうかしたか小僧?」

「あ、いやなんでもないよ。こっちの話」

「そうか……ありがとよ。おれ達を守ってくれて」

「当たり前だよ。友達だもん!」

 

 そうして互いに笑った後おれ達3人は治療してもらう。

 

「イチチチ。悪いなおめェ」

「気にしないで。ほら、一先ずはこれでよし!後はチョッパーに診てもらえば大丈夫だよ」

 

 治療を終えるとおれ達は改めて礼をいった。

 

「ありがとよ。お前はおれ達の恩人だ」

「やめてよ。こっちは空島の行き方だけじゃなくてそのサポートまでしてくれるんだよ?これぐらいじゃ恩を返しきれないよ」

 

 海賊とは思えないほど人ができてやがるなコイツ。

 

「だから、恩返し……になるかはわからないけど面白いもの見せてあげる」

「「面白いもの?」」

 

 マシラとショウジョウが首を傾げる。

 

「うん、ロマン好きなら堪らない仮説をね。クリケットおじさんは今まで黄金郷は海底に沈んだって言ってたよね?」

「ああ、僅かにだが黄金の鐘も見つけたしな」

「ひょっとすると違うと思う」

「なんだと?」

 

 小僧の言葉におれは無意識に身をのり出すと、小僧は2枚の地図を取り出した。

 

「さっきの宴でクリケットおじさんが言ってた言葉を思い出してピンと来たんだ。これはジャヤの地図でこっちは先日空から降ってきたガレオン船で見つけた空島の地図。これらをこう合わせると……」

「……っ!!?」

「こいつァ……!」

「ハラハラするぜ……!」

 

 2枚の地図を合わせるとひとつのドクロが完成した。

 

「日誌にはこう書かれている。「髑髏(ドクロ)の右目に黄金を見た」と……。そう、つまりこれが本来のジャヤの姿だったんだよ」

「てことは……黄金郷は海底ではなく……」

「空に……あると……」

「鳥肌がヤベェ……ハラハラするぜ」

「うん、あくまで俺の仮説だけどね。そして、偶然か必然かここでは空島まで行く方法が存在する」

 

 そこまで言われおれ達は気づき目を合わせた。

 

「そうか!!"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"!!!」

「その通り、400年前に島をも打ち上げるほど巨大な"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"が起きジャヤの半分は空島へと飛んでいった。そう考えると色々と辻褄が合う」

 

 今まで闇雲に探し続けていたおれ達はこの仮説を聞き初めて実感した。黄金郷の可能性を。

 

「だから、俺達は明日空島へ行き必ず黄金郷を見つけ出すよ。そして、鐘を鳴らすんだ」

「鐘を……鳴らす」

「ああ、黄金の鐘はきっとどこまでも響くからクリケットおじさんに聞かせて知らせてみせる!空島も黄金郷も……実在するって!!」

「………っ」

 

 小僧にそこまで言われておれは自然と目元に熱を感じた。イカンな、いい歳なのに体が疼きやがる。

 

「おめェって奴は……おれ達の幻想も背負ってくれるのか」

「幻想ってのは無限の可能性なんだ。そのもしもの可能性を信じ海へ出る。そこで出逢うもの全てが俺にはロマンなのさ。だから俺は海賊をやってるんだ。そしておじさんの幻想も探し出す!」

 

 

「それが俺の航海!!もしも=幻想(ロマン)の可能性だからね!!!」

 

 

 そんな楽しげな顔でそこまで熱く語られちゃこっちも火が着いちまうな……。マシラとショウジョウも同じみたいだ。

 

「なら、ここでじっとしてる場合じゃねェな。やるぞお前ら!!!」

「おうとも!ウキキキキ!!」

「最高の船に変えてやるぜウッホホホホ!!」

「うん!ありがとう!!」

 

 小僧から礼を言われるがとんでもない。むしろ礼を言いたいのはこっちの方だぜ。

 

 だからちっと待ってな。いくら言葉にしても言い足りねェこの気持ち、船で恩返しすることとしよう。

 

 

 

 

 

 ここは"偉大なる航路(グランドライン)"のとある海上。そこには一隻の船が進んでいた。

 

 船内からひとりの女性たしぎが出てくる。

 

「…………スモーカーさん……」

「よォ、お嬢さん足はもういいのか?」

「や……やめてくださいそんな言い方」

 

 たしぎはスモーカーの元へ行くとコーヒーを淹れてくれたためお礼をいいカップを受けとる。

 

「ありがとうございます」

 

 そして、落ち着くと3()()の手配書も渡された。

 

「これは……!」

「七武海を落としたんだ。これぐらいは当然だな」

 

 その1枚には麦わらのルフィと書かれた手配書がありその懸賞金は1億ベリー。もう、タダのルーキーとは言えないモノとなった。

 

 次に目を通したのは因縁の宿敵であるあの男"海賊狩りのゾロ"。懸賞金は6千万ベリーと書かれていた。

 

「麦わらの相棒の剣士が何をしたか知ってるか?」

「いいえ」

「アイツはアラバスタにくる前のウィスキー・ピークで賞金稼ぎの100人斬りを果たし、アルバナーナではMr.1と名乗る殺し屋ダズ・ボーネスを討ち取った」

「ダズって……まさか西の海(ウエストブルー)の殺し屋ダズ!?」

「そして、厄介な奴がもうひとり……」

 

 スモーカーは最後の1枚をたしぎに見せる。そこにはアルガの手配書が乗っていた。

 

「こいつはアラバスタに着いてから単独で行動している。裏でMr.7ペアとMr.4ペアの単独撃破を果たしクロコダイルの反乱計画を完全に潰す裏工作までやってのけた。今回の反乱で戦争が起きなかったのはほぼ奴のお陰と言える。悔しいことにな……」

「スモーカーさん……」

「その行動力に加え実力も折り紙付きだ。あのクロコダイルを麦わらがくるまでの間互角にやりあっている」

「クロコダイルを!?」

 

 たしぎは驚きを隠せずにいた。自分の追いかけている存在が徐々に遠い存在に感じてしまうほどに。

 

 しかし、だからといってこのまま俯いてしまうほど心は弱くなかった。

 

「おれ達も成長する必要がある。仕切り直しだ……!」

「はいっ!!」

 

 元気よく返事を返すと強い風が吹き手配書が1枚飛んでいってしまった。

 

「誰がドジまで仕切り直せといった!!」

「あわわ!ごめんなさいィ!!」

 

 飛んでいく手配書にはこう書かれていた。

 

DEAD OR ALIVE

「鬼の戦漢(せんかん)アルガ」

懸賞金 : 8210万ベリー

 

 

 

 

 

「アルガ起きてたのか。珍しいな」

「うん、騒音で目が覚めちゃって」

 

 猿山連合総出でメリー号を改造しているとルフィ達が戻ってきた。

 

 最初はクリケットおじさん達の傷をみて驚いていたが喧嘩といって納得してもらった。

 

 3人はチョッパーに診てもらった後すぐ作業に戻り朝日が上る頃にはゴーイング・メリー号フライングモデルが完成した。

 

「飛べそ~~~~!!!」

「だなァ~~~~!!!」

「栗のオッサン船ありがとう!」

 

 ルフィがお礼を言うとクリケットおじさんは少し俺の方を見るがすぐに視線を戻した。

 

「おれは少し助言しただけだ。礼ならあいつらにいえ」

「ああ!ありがとうおめェら!!ヘラクレスやるよ!!」

「ホントかよいいのかよ!!お前メチャクチャいい奴じゃねェか!!!」

 

 ルフィはサウスバードの他にヘラクレスも捕まえておりそれをマシラとショウジョウにあげた。二人はヘラクレスを貰えメチャクチャ喜んでいた。

 

 その後クリケットおじさんと別れジャヤを出航した俺達は"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"の発生する場所へと向かう。

 

 空が暗くなり巨大な渦潮に流され止んだかと思えば遠くから海賊船がこちらにやってきた。あれは間違いない、黒ひげだ。

 

「ゼハハハハ!!追いついたぜ麦わらァ!おめェの首にゃ1億ベリーの賞金が懸かってんだよ!そして"海賊狩りのゾロ"!!てめェにゃ6千万ベリーだ!!」

 

 黒ひげの言葉にルフィとゾロははしゃぎだす。反対にこれからの航海に頭を悩ますナミとゾロに抜かれたサンジが暗い顔をする。ドンマイ。

 

「そして、そこにいるガキ!!"鬼の戦漢アルガ"!!てめェにも8210万ベリーの賞金が懸かっている!!」

「えっ!俺も!?」

「ほお、8千万越えか。いつか越えてみせる」

 

 予想外の展開に俺が驚く側でゾロはライバル心を向けてくる。やめてくれ、タダでさえ後ろのサンジからの視線も痛いのに……。

 

 そして、いざ黒ひげが攻撃を開始しようとしたその時……始まった。

 

──ズドオオオォォォ……ン!!!!

 

『うわああああああ!!!』

『ギャァアアアアア!!?』

 

 黒ひげの船は木端微塵となり俺達の船はどんどん上へ昇っていく。

 

 そして、ナミはこの海流の仕組みを理解したのかみんなに指示を出し帆を張った。すると船は海面から離れても落ちることなくどこまでも大空高く飛んでいく。

 

「あの上にいったい何があるんだ……!!ヨォ~~ウシ!野郎共!"積帝雲"に突っ込むぞォ~~!!!」

『うおおおおォオ~~~~!!!』

 

 

 こうして俺達はどもまでも昇っていく。空の冒険に胸を膨らませ────幻想(ロマン)を求めて。




どうも皆さんもしロマです!
12話をご覧くださりありがとうございます!

遂に出しましたアルガの手配書!
戦漢は戦艦と文字遊びで決めて、懸賞金額の8210万ベリーは有賀幸作の誕生日である8月21日から持ってきました。
実はマリージョアの会議でくまの話も書こうと思ったのですが、アルガ達の手配書をみてニコニコするだけだったので飛ばしました。
そして、アルガの酒弱設定の補足があります。彼は基本厳しい環境下で暮らしていたため身の危険を人一倍感じやすく、寝ている間は見聞色を無意識に発動しどんな状態でもすぐ目が覚める体になっています。

ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )ノシ
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