あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
いつもより遅れてしまい申し訳ありません!
今回は話が長かったので少し遅れました!!
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


14話 約束の鐘の音 下

 キャンプファイアーをした翌朝、皆が寝静まっている森の中、霧が立ち込め辺りが見えにくい道を俺とウソップが進んでいた。

 

「ふあ~~、小便ぐらいひとりで行ってよ」

「バカ野郎ここは敵地だぞ?いつ誰がこのキャプテン・ウソップ様の首を狙うかわかったもんじゃない!……なので着いて来てくださいお願いします!」

 

 要するにひとりじゃ恐いから一緒に来てってことね。まあ、別にいいけど。

 

 そして進み続けていると何処からか物音が聞こえてきた。

 

 コーン……。コーン……。コーン……。コーン……。

 

 音がなる方へ向かうとそこにはメリー号があった。その船から木槌で叩く音が聞こえる。霧が深くてよく見えなかったが……そこには確かに誰かがいた。

 

 レインコートに身を包む子供が木槌で船底を叩き……こちらを見てニコッと笑った。

 

「ああああああァァあァァァァ…………!!?」ガクッ

 

 それを見たウソップは絶叫し気を失う。俺は立ち尽くし目を離せずにいた。あれが何なのかを俺は知っていたから。

 

「お前は……クラバ……いや、メリーか……」

『──大丈夫。まだ走れるよ。だから、冒険を続けよう』

 

 そんな言葉を残すと少年の影は消え木槌の音もなくなった。

 

 霧が晴れみんなが起きると船はフライングモデルではない元のメリー号の姿に戻されており、船底には誰かが修繕した跡があった。

 

 みんなは誰がやったのか考えるが答えは出ずこの件は後回しにし昨日の内に決めた「脱出チーム」と「黄金探索チーム」に別れ行動を開始する。

 

「おーーし!!そんじゃ行くかァ!!!」

 

 こうして黄金奪取の計画は始まった。

 

 

 

 

 チーム配分はパワーバランスを考え俺は「脱出チーム」に選ばれた。なので、メリー号に乗り島の脱出を試みる。

 

 しかし、この"雲の川(ミルキーロード)"は起伏が激しくダイアル船の動力しか頼りにならない。なので、後方からカラス丸でメリー号を押して進んでいる。

 

 速度はあまり出ず進みが遅いのでその間にガン・フォールがこの国の歴史を教えてくれた。

 

 この"神の島(アッパーヤード)"は約400年前に突如として現れたこと。その"神の島"の"大地"を巡りその地に住んでいた"シャンディア"と空島の者達との闘いにより犬猿の仲ということ。

 

 そして、今から約6年前に現れた(ゴッド)・エネルがこの国を乗っ取り空島の神として君臨したこと。

 

 この国について一通り話をすると今度は"空の戦い"について教えてくれた。

 

 実際に"衝撃貝(インパクトダイアル)"の性能を実践させてみたり、神官が持つ"心綱(マントラ)"の力についても説明してくれた。

 

「そして、エネルはこの国全域までこの力が及ぶ。あの力ばかりは得体が知れぬ……」

「あ、それなら昨日アルガから聞いたわよ」

「ほう、そういえばお主もあの力を使えていたな」

「まあね。……でも、さすがに国全域を把握できるほどの力はないかな。範囲だけで言えばエネルは俺よりも上だね」

 

 ただ、隙がないワケではない。俺の"見聞色"の範囲外から攻撃されたらまず勝てないが、先読みに関しては未来予知ができる俺の方に分があるハズ。

 

 だから、俺の攻撃範囲内に入ることができればあるいは……。

 

 そういえば、もうすぐエネルがメリー号にくるんだっけ?なら一応備えはしておこう。

 

「ん?どこ行くんだアルガ?」

「掃除用ロッカー」

「おいおい、この非常時に掃除でもする気かよ……」

「流石にこんな時までそんなことしないよ。ちょっと用があってね」

 

 そして、船内のロッカーからある物を懐に入れたその時、俺の"見聞色"に反応が出た。

 

──キィーー…………ン…………ゾクゥッ!!

 

『テメー!いったい何処から──ッ!!?……ゲホッ』

『サンジ君!!!……うそっ』

『サンジーー!!!う、うお……おい!しっかりしろ!!』

 

──っ!?マズイ!!!

 

 俺は急いで船内から飛び出すと甲板まで跳躍する。既に甲板には座り込む男の姿がありサンジが近付こうとしていた。

 

「テメー!いったい何処から……」

「待ったサンジ!!!」

 

 突然現れた男に対しサンジが先制攻撃を仕掛けようとしたが俺が抑え込み事なきを得る。

 

「おいアルガいきなり何を!?」

「いいから落ち着いて!全員この男に手を出そうとするなよ?──殺されるぞ」

「えっ」

「ほう、私を感知するとは中々の"心綱(マントラ)"だな青海人」

 

 俺の忠告にみんなは息を呑んだ。俺の発言で目の前の男がどれだけ危険なのかを察し周りに重苦しい空気が流れる。

 

「ヤハハハハ!流石シュラを倒しただけはある。そう身構えるな、別に私は何も危害を加えに来たわけではないのだから」

「ならば何をしに来た!!!」

「ヤハハ、冷たい言い種じゃあないか……。実に6年ぶりだぞ……!先代"神"ガン・フォール」

 

 エネルはそういい俺達を見定めるように見渡す。俺は皆の安全のために口を開く。

 

「皆よく聞いてほしい。相手も言ってるように危害を加えてきたわけじゃない。だから騒がず静にしててくれ」

 

 原作ではウソップが大声で騒ぎ一瞬の内に電撃で黒焦げにされてしまった。今ここで下手に動けば皆の身が危ない。

 

 しかし、俺がそういうとエネルは興味深そうに俺を見てきた。

 

「ほう、理解が早いじゃないか。面白い、先ほどは随分と焦っていたが……何か見えたか?」

「俺の"見聞色"……あんたらが呼ぶ"心綱(マントラ)"で少し先の未来を見た。それは、サンジが黒焦げになる姿だ」

「なっ!?おれが……」

「それで何が恐ろしいかって……そんなことができる力を俺はひとつしか知らない。数ある中でも"無敵"と謳われる能力のひとつ、"雷"の力──ゴロゴロの実の能力」

「正解だ。よくわかったじゃないか」

 

 俺がエネルの能力を答えると周りは騒然とする。ナミにいたっては絶望的な力を持つ敵を前に膝から崩れ落ちる。

 

「雷……!?そんなの……人間が敵うわけないじゃない……!」

「む、無理だ……勝てるわけねェよ……」

 

 ナミとウソップは相手の力を理解すると戦意を失った。サンジも迂闊に手が出せないとわかるとナミの前に立ち警戒する。

 

 そんな中ガン・フォールがエネルに尋ねる。

 

「貴様一体何を企んでおるのだ!!」

「この6年で捕らえたお前の部下共はいい働きをしてくれた。お陰で私の計画は終わりに近付いている」

 

 ガン・フォールの部下。さっきの歴史の説明に出てきたエネルに捕まっている人達のことだろう。

 

「同時に私もこの島に用事がなくなると言うわけで……。お前に別れの挨拶でもと……ここへ来た。それだけの事」

 

 そして、ガン・フォールに用事を済ませるとエネルは自分が考案したサバイバルゲームを説明をする。このサバイバル戦を制した者が莫大な黄金を手にすることができるとのこと。

 

「聞こえるか?この賑やかな祭りの騒ぎ。何を隠そう私も参加者でね……ゆかねば」

「待て!神隊は解放するのか!?」

「……それは神のみぞ知る事だ」

 

 ガン・フォールの質問に不適の笑みを浮かべ目の前から消えた。

 

 そして、今度は別の方向から変な笑い声が聞こえてきた。

 

「ほほーーーーう!」

「ほっほほーーう!」

「ゲッ!?この笑い声は……!」

 

 ウソップが嫌な顔をしみんなが一斉に振り返る。そこには瓜二つの神兵がいた。

 

「ん?似てるけど違う……知らねェ奴だな。誰だ?」

「知らないじゃなーーい!おれの名はホトリ~~!」

「おれの名はコトr──ブヘェッ!!?」

「コトリーーッ!!?」

 

 あまりに隙だらけなもんでつい金棒でやっちまった。……まあ、敵だしいっか。

 

「おのれー!よくもサトリの兄貴ならず弟のコトリまでも……!!許さーーん!!!」

「チンタラお前らの名乗りを聞く義理はないね。聖者でも相手にしているつもりか?お前の目の前にいるのは海賊だぜ」

 

 いい機会なので一度は言ってみたいセリフ第二段をいってみた。ああ~~!気持ちいい~~!!

 

「それはそうとお前の"心綱(マントラ)"鈍ってんじゃねェか?サトリなら後ろに居んじゃん」

「えっ!?ホンt──ブハッ!!?」

 

 サトリと聞いて気が逸れたのか俺の攻撃に反応できず金棒の一撃が入り気絶した。

 

「よし終了」

「いや鬼かお前っ!!?」

「息をするように騙すとは……青海人とは恐ろしい生き物である」

「ピエェ……」

 

 せっかく勝ったのにウソップにツッコミを入れられ騎士と鳥さん恐がられた。他の仲間も若干引き気味だ。非常に遺憾である。

 

「なんだよ。敵なんだから別にいいじゃん」

「いやまあ、その通りではあるんだが……」

「アルガお前、人の心ってわかるか?」

「ウソップ、少なくとも悲しむ心なら今持ってるよ?」

 

 ナミも向こうに味方するように頷く……。ちょっと不意打ちと騙し打ちしただけじゃん。そこまで言われると流石に泣くぞ俺?

 

 内心シクシクと泣きながらも俺は倒れた二人の元へ行き手を漁る。

 

「おっ、あったあった"(ダイアル)"!どっちも両手に仕込んでんな。せっかくだし貰っとこっと」

 

 "(ダイアル)"って色々便利だし何かに使えそうだな。

 

「追い剥ぎまでやるとは容赦ないのである……」

「ピエェ……」

「アルガ、人の心ってのはな……?」

「ワア……アァ……」

 

 泣いちゃった。仕方ないよね、だって味方がいないんだもん。

 

 内心どころか普通に泣き始めた俺をよそにガン・フォールはピエールに乗り船を出ようとする。

 

「ちょっと。どこ行くの変な騎士?」

「すまぬが我輩エネルを追う!!我輩の部下達の命の危機なのだ!いや、ともすれば……この国の危機やもしれぬ!!飛べるかピエール!」

「ピエ~~!!!」

 

 先ほどのエネルの話を聞き、いてもたってもいられなくなったガン・フォールはそういい残すと颯爽と空へ飛んでいってしまった。

 

──パラリラパラリラ♪パラリラリラ♪パラパパ~~♪

 

 飛んでいく姿を見上げていると突如新しく雲の川が現れその川から爆音を鳴らした一隻の船がやってきた。マジでうるさい。

 

「あ!へそ!皆さーーん!!」パーラパリラパリラ♪

「ああ~~!!コニスちゅあ~~ん!よかった~~無事だったんだね~~♡」パーラリラリラ♪

「おじさん!?なんでここに……てかうるせェなおい!!敵地だぞここ!!」パリラパラリラ♪

 

 やってきたのは空島で知り合ったコニスとそのお父さん。そして、小さな子供がひとり。名前はアイサと呼びシャンディアの子供だった。

 

 ここへ来る道中にサメに襲われそうになったところを助けて一緒に来たらしい。

 

 オジサンは新しく作ったこの"雲の川"から直接白々海まで行けるらしく敵に見つかる前に移動しようという。じゃあ何故その船をチョイスした……。

 

 それと、ナミに渡したいものがあるらしくある物をナミにあげた。それは俺達が持ってきたウェイバーだった。

 

 ナミが試運転で少し乗ると問題なく走れた。

 

 気分よく戻ってくるとアイサはやっぱり仲間が心配なのか無理矢理にでも探そうと船から降りようとする。

 

 その時だった。"見聞色"で何か近くに大きな声が聞こえたのは。俺は誰よりも先に気づき息を潜める。みんなにも小声で伝える。

 

「おい、おい!(小声)」

「何だアルガ?」

「お前らの騒がずに正面を見ろ。絶対に声をあげるなよ?」

「正面にいったい何があるっていうん──ヒッ~~っ!!?」

 

 ウソップが仕方なくといった感じでそういいみんなが前を見ると……あまりにも巨大すぎる大蛇が川の水を飲んでいた。

 

 みんなの顔が青ざめ何とかやり過ごそうと音を消すが……。

 

『……あ』

「…………ジュラララララララ!!!!」

『ギャァァアアァアアアア!!!?』

 

 顔を上げた大蛇と目が合い俺達に気づいた瞬間奇声をあげ俺達も叫んだ。

 

 そこからは状況が混乱してしまいパニックが起きた。咄嗟にナミがアイサと一緒にウェイバーを発進させそれに反応した大蛇がナミを追おうとする。

 

 俺はナミを追うために大蛇の顔にしがみついた。

 

「ナミさん!?クソ蛇が……!!」

「待ってサンジ!!ナミは俺に任せてくれ!そっちはコニスを頼む!!」

「確かにコニスちゃんをこんな所に置いておくわけにもいかねェし仕方がない。アルガ!ナミさんを任せた!少しでも怪我させたらオロすからな!!!」

「了解ィ~~!!!」

 

 そう答えるとみるみるとメリー号から離れ縦横無尽に島を駆け巡る大蛇。なんとか必死にしがみつくがいつまで持つか……。

 

 途中飛行中のゾロと会うがすぐにいなくなり今度は"巨大豆蔓(ジャイアントジャック)"をあがって行く。そして、あがった先の雲を抜けると──。

 

「ぶはっ!抜けたァ!!」

「ゲッ!?あの大蛇また来やがった!!」

「あ!おお~~いゾロ!!さっき振り!」

「さっき振りじゃねェ!!何でお前はさっきからその大蛇の上にいんだよ!?」

 

 大蛇から降りゾロの元まで行くと怒鳴られてしまった。

 

「いやー、ナミがこの蛇に襲われたから追いかけるためにしがみついてたんだけど……」

「は?ナミも島に入ってきたのか?……ったくしょうがねェな奴らだな。それでナミは?」

「途中で標的をゾロに変えちゃったからはぐれた」

「うおい!!」

 

 大丈夫大丈夫。どうせナミ達も後からここに来るよ。……多分。

 

 俺は原作と同じ流れになることを願いつつ現状を把握する。

 

「それで、こっちは何かバトロワみたいな感じになってるけど……っ!?」

「ああ、ちと面倒な状況になってるな。お前があの大蛇と来たせいで余計に……アルガ?」

「ゾロ……あれはヤバイ……」

 

 なにやら隣で皮肉めいたことを言っているようだがそんな言葉なんて耳に入らない。それほどまでに視線の先にあるモノに目を離せずにいた。

 

 それは、神官……が乗っている大きな犬だった。

 

 あのモフモフ……間違い無い……!

 

「ここから見てもわかる程フワフワな毛並み……なんてクソ可愛い犬なんだっ!!?」

「んなこたァどうでもいいだろうがっ!!!」

「どうでもいいワケ無いだろ!!普段からあんなに手入れが行き届いているなんて並みの腕じゃないぞ!」

 

 ハッハッと愛くるしい息遣いに胸が締め付けられる。クソッ!可愛さの前には強さなんて無力。全人類の共通の認識だ。

 

「ほう少年。ホーリーの素晴らしさがわかるとは……なかなかやるな」

「あんたがその犬のブリーダーか。そんな魅力的な犬を育て上げるなんて……違う形で出会いたかったよ。……それはそうとモフらせて貰ってもいいですか?」

「んー、あまり知らぬ者に触れさせるのはよくないが……よかろう。ホーリーも貴様に興味を示しているようだしな」

「わふっ!」

「ありがとうございます!」

「ありがとうございます!じゃねェ!!馴れ合うな敵とっ!!!」

 

 本人の許可も降りたのでウキウキと犬に近付くと──。

 

───ズバンッ!!

 

「ウギャアッ!!?」

「あ、ここら一帯は"鉄雲"の針糸が飛んでくるから気を付けろ」

「アホーーーーッ!!!」

 

 "鉄雲"でできた有刺鉄線が壁から飛んできて俺は体を斬られた。

 

「グッ……巧妙な罠だった……」

「違う。お前がアホなだけだ」

 

 なんか後ろから聞こえるが気にしないでおこう。だが、確かにこのままではモフることはできない。……悔しいが今回は諦めよう。

 

 敵同士じゃなければいい友達になれていただろうに。ホントに残念だ。

 

 しかし、相手は神官。倒さねばならない敵だ。気持ちを切り替えていこう。もちろん犬には傷を付けないように!!

 

「やるぞゾロ!!」

「ようやくその気になったか……おう!!」

 

 こうして俺達2人を含め、神官のオームと犬のホーリー、ワイパー、ガン・フォールとピエール、大蛇のバトルロワイヤルが始まった。

 

 この上層遺跡内の至る所で闘いが勃発した。まさに三つ巴の闘いと呼べるだろう。途中でゾロが倒れているチョッパーを見つけ標的を神官に絞る。

 

 俺は"見聞色"で下から聞こえる多数の声が近付いてくるのが聞こえ安堵した。何故ならその中にナミの声もあったから。

 

 よかった~、ちゃんと来てくれて。じゃないと俺サンジに蹴られるところだった。

 

 そして、上層遺跡の雲の下から次々とやってくるシャンディアと神兵達。それとナミとアイサ。

 

 現れた神兵達はゾロ、ワイパー、ガン・フォールを襲うが見事に瞬殺。そして、アイサを見たワイパーはアイサごとナミを狙いバズーカを放つ。間一髪のところでガン・フォールが助け空へ飛ぶ。

 

 しかし、そこに待ち構えていた大蛇がナミ達を丸呑みしてしまった。呆気にとられた2人はその隙を狙われてしまいオームとホーリーがゾロとワイパーを襲った。

 

 仲間がやられたことに怒りオームに襲いかかるシャンディアの人達。しかし、レベルの差があり瞬く間に返り討ちにされてしまった。

 

 そして、オームがホーリーに「ダッシュ」と命じると遺跡の周りをグルッと二足歩行で走り回る。可愛い。

 

 すると走った後から"鉄雲"の有刺鉄線が無数に現れドームのよう遺跡を囲んでしまった。

 

「メ~~!これぞまさに"鉄の試練"の真骨頂!!──"白荊デスマッチ"!!!」

 

 このドームの恐ろしさを説明しようとした神兵が起き上がったワイパーに蹴られドームの荊に突き刺さる。その様子を見てあのドームの荊がいかに危険なものなのかを思い知った。

 

「全部片付いたらどこから出りゃいいんだ?」

「そんな事は片付けてから考えな。──あと9人と2匹!!」

 

 そして、闘いは更に激しさを増そうとしたその時、もうひとり上層遺跡からシャンディアの女性が現れた。

 

「ワイパー!!ハァ……ハァ……よかった見つけた!」

「ラキ……!お前何故ここに……っ!?」

「ワイパー!話を聞いて!エネルは森にいるんだ!カマキリがやられて!あんたに伝言を……!!」

「おいラキ!!来るな!!ここを離れろ!!」

「え?ワイパー何言って……」

「おい!!!やめろ!!!」

 

 ラキの言葉を遮るようにワイパーが叫ぶ。ラキは意味がわからず首を傾げるがワイパーの静止の叫びを向ける相手はラキのすぐ後ろにいた。

 

「私を、呼んだか?」

 

 声が聞こえラキはすぐに振り返るとそこにはエネルがおり己の絶望的状況を理解した。

 

「エネル……」

「よせ!!エネルやめてくれ!!そいつは戦いを放棄したんだ!!おい!!!」

 

 ラキはドームの外。叫ぶことしかできないワイパーだったが向こうは聞き耳を持たない。ラキはエネルに銃を向けようと手に取る。

 

「ラキ!!手ェ出すな!!逃げろォ!!!」

 

 気が動転しているラキはワイパーの声が聞こえず慌てて銃を構えようとしたその時──。

 

 

「勝気がないなら戦おうとするな。(ピストル)を抜いたら命を賭けなきゃならない。そいつは脅しの道具じゃないんだ」

 

 

 銃口をエネルに向ける前に俺が静止した。

 

 

「っ!!?誰っ!?」

「落ち着いて。あんた達にとって俺は敵かもしれないけど、俺はあんた達を敵とは思っていないから」

「あんた……」

 

 そして、銃を取り上げるとグシャと握り潰した。

 

「戦意も失い戦いから降りた。武器も持たない者をまだ襲うつもりかい?神様」

「フッ、一度でも私に銃口を向ければ容赦しないつもりだったが……運がよかったな小娘」

 

 ラキに一度視線を向けると彼女は恐怖で座り込んでしまった。

 

「少々貴様と話したいところだが、なにやら下に興味深い者がいる。そちらに赴くとしよう」

 

 エネルはそういうと放電し姿を消した。

 

「おいアルガ!お前どうやって外に!」

「荊を斬った」

「ああ、なるほど」

「メ~~!?斬れてたまるか!!"鉄雲"だぞっ!?」

 

 遠くにいるゾロが俺に聞いてきたので答えるとゾロはあっさり納得した。まあ、ゾロよりの解決策だしね。

 

「あんた……さっきはありがとう」

「いいよ。あのままだと間違いなくやられてただろうし」

 

 俺は後ろの荊ドームを見る。ゾロとワイパーがいない。どうやら無事とわかってまた戦いに行ったんだろう。

 

「そうだ、ワイパーを止めないと!」

「お姉さん無理しないで。武器も持たないでここにいるのは危険すぎる。それに今さら言ったところで彼は止まらないよ」

「それでもっ!私はカマキリと約束したんだ!」

「じゃあこうしよう」

 

 止めてもワイパーの元へ行こうとする彼女に俺はひとつの提案をする。

 

「お姉さんは彼に死んでほしくないんだよね」

「ええそうよ」

「わかった。じゃあ俺が彼を死なせないように守るよ」

「なんですって?」

「さすがに戦わせないようにするのは無理だけど命の危機には必ず俺が守る。それでどう?こう見えて神官ひとり倒してるんだ俺」

「……なんであんたはそこまでするの?私達は敵同士なのよ?」

「それはそっちの都合でしょ。俺はそう思ってない。それに……俺にも約束があるから」

「約束……?」

 

 おっとイカン。話が脱線しそうになった。

 

「まあ、それは置いといて。彼を守る代わりにお願いがある」

「何かしら?」

「この戦いから外れたとしても島全体の危機からは逃れられない。だから、お姉さんはこの島を出て自分の住処へ向かってほしい」

「なぜ?それに島全体の危機って……」

 

 ラキは意図が掴めず首を傾げる。なので俺はこれから起こるであろう事態を簡潔に伝える。

 

「もうすぐスカイピア……いや、この空島の全てが消えてなくなる」

「なっ!?空島が消えるって……!一体どういう……」

「エネルはこれから空を飛ぶ方舟に乗りこの島を出る。その時にあいつはこの島を消し滅ぼす気なんだ」

「なんですって!!?」

 

 ラキは事態の深刻さに驚愕する。

 

「すでに、コニスさんという女性がスカイピアに避難警告をしに行ってる。だから、お姉さんも住処にいるシャンディアの人達を避難させてほしい」

「……嘘を言ってるワケじゃ無いようね。わかったわ、すぐ行く。……ワイパーを頼んだよ」

「もちろん」

 

 そういいラキは上層遺跡から飛び降りると手に持っていた貝から雲の川を出現させる。"雲貝(ミルキーダイアル)"を使い一直線に島を出るみたいだ。

 

 俺は彼女の無事を祈ると荊ドーム内から大きな飛ぶ斬撃が見えた。どうやらゾロの方も決着が付いたようだな。

 

───ビカァッ!!バリッバリバリィ!!!!

 

 俺もすぐに向かおうとした時だった。下から巨大な雷撃が上層遺跡を襲った。上層遺跡はあまりの電撃に耐えきれず崩れ俺達は遺跡ごと下へ落とされてしまった。

 

 下へ落ちた先にはロビンがおり、これで俺、ゾロ、ナミ、ロビンが揃った。ルフィは未だに蛇の中らしい。

 

 一緒に落ちてきたワイパーは辺りを見渡すとここが故郷だとわかり呆然としていた。同じ理由で大蛇が泣きながら喜んでいる。

 

 しかし、その頭上から巨大な落雷をくらい大蛇は黒焦げとなって倒れてしまう。一斉に同じ方向を見るとそこにはエネルがいた。

 

「このサバイバルゲーム。生き残るのは5人……。しかし、この場に7人か。神が予言を外すわけにもイカン。さあ、誰が消える?」

 

 みんなはそれぞれ自分は嫌だと断り最後にナミの方を向く。ナミは全力で拒否するように抱えていたチョッパーを突き出す。おいこらナミ。

 

 まあ、茶番はそのぐらいとしまず消えるべきひとりとして俺を含めたみんなは真っ先にエネルに武器を向けた。

 

『お前が消えろ』

「……不届き」

 

 しかし、気にも止めぬように不敵に笑うエネル。こんなゲームを始めた神経を疑いガン・フォールは何が目的なのかを問う。

 

 エネルの狙い。それは、この島の大地なんてちっぽけなものではなくもッと壮大な神に相応しき大地、"限りない大地(フェアリーヴァース)"に到達すること。

 

 そこへ行くに当たって今回の余興で生き残った強い者のみ共にそこまで連れていこうという。残りの者はこの島ごと消し去るつもりらしい。

 

「貴様悪魔かァッ!!!!」

 

 それを聞いたガン・フォールは激昂しエネルに襲いかかる。しかし、エネルの放電により一瞬で黒焦げとなり倒れてしまった。

 

「ガン・フォール。この世に"神"はいる。──私だ。さて……あと1人──っ!」

 

 エネルがこっちを向いた瞬間金の棒を構え俺の金棒と衝突した。チッ、防がれたか。

 

「やっぱ動きが読まれると当てにくいな……。だが!」

「私に歯向かうなど身の程を……っ!?」

 

 最初は拮抗していたエネルだったが徐々に押され始める。あまりの不条理に疑問を抱かずにはいられなかった。

 

「そういえば、シュラの時もそうであったな。なぜ同じ力でこうも差が出るのか……!」

「確かに、あんたらの力は鍛練を積んで広範囲にまで声が聞こえる。俺にはできないから素直に尊敬するよ。けどな……」

 

 俺はエネルの先読みを更に上回る速さで次の攻撃を繰り出す。エネルは辛うじて攻撃を受け止めた。

 

「お前らは自分より強い奴とあまり戦ったことがないだろ?窮地にこそこの力は開花するのに、それがないんじゃ、鍛えて範囲を広げてることはできても先読みの練度は上がらない」

「ぐっ!」

 

 金の棒を振るも俺には当たらず簡単に避ける。

 

「青海の猿め!だが、いくら攻撃を避けようと私に攻撃を当てることはできん!私は無敵なのだかr──ガハッ!!?」

 

 ようやく一撃入りエネルは苦悶の表情で地に膝を付ける。

 

「野郎!エネルを圧倒してやがる……!」

「ヘェ、確か"武装色"っつったか……。やっぱあの力もいずれ使えるようになりてェな」

 

 後ろで俺の戦闘を見てそれぞれが思っていることを口に溢す。ワイパーはああ言っているが実は言うほど優勢ではない。俺の今取っている戦法にはかなり大きめの穴がある。

 

 今は相手が動揺しているから気づいていないがそれによっては形勢は一気に変わる。

 

 なので俺はできる限り弱みを見せず強者を演じ虚勢を張った。

 

「ここじゃ、"聞く力"はあっても"触る力"は無いようだな。覚えとけ、下には"自然系(ロギア)"でも攻撃を当てる技術があるんだよ」

「ゲホッ……ハァハァ……。馬鹿な、有り得ぬ……!いや、仮に触れたとしても私に触れれば感電するはず……」

 

 俺はニヤッと笑い誰もが知っているあの名言を言い放つ。

 

 

「効かないねえ……ゴムだから」

 

 

 ゴムが何なのかわかっていないが雷が効かないことを理解したのかエネルは驚きあの有名なエネル顔になった。うっは、顔ヤベェwww

 

「いや、アルガお前それただゴム手袋着けてるだけじゃねェか……」

「でも、盲点だったわ。ゴムで無力化できるならルフィさえ来れば……」

 

 そこ!ゾロうるさいよ!武器から伝導する雷は感電しない。その事実があるだけでもいいじゃない!これわざわざ掃除用ロッカーから引っ張り出してきたんだぞ。

 

「ごむ……?それが何なのかはわからぬが……なるほど、その不思議な籠手により雷を通さぬのか。そうとわかれば闘い様は幾らでもある」

 

 ゲッ、もうバレた。もう少し引き延ばしたかったのに。

 

 カラクリを理解したエネルは勢いを取り戻しあっという間に攻守逆転した。

 

 エネルの攻撃を避け近付こうとすれば体を放電させ近付けさせないようにする。流石に腕以外に当たれば普通に効くので迂闊に飛び込めなくなった。

 

 チクショウ。ゾロが余計なことを言うから!

 

「チッ!"鳴鏑(なりかぶら)"!!!」

「"電光(カリ)"!!!ヤハハ!効かぬなあ、"神"ゆえ!」

「うるせえよ!無駄に張り合おうとすんな!!」

 

 さっきの言葉を根に持ってんのかね?そりゃ今まで雷が効かない存在なんてなかっただろうし。

 

 そんなことを考えていると後ろからワイパーがバズーカを構える。

 

「エネルの野郎が圧されてたから大人しくしていたがもう見ちゃいられねェ。とっととくたばりやがれ!!!」

「フム……決めた!」

「──っ!?しまった!!」

 

 エネルは何かを思い付いたのか俺から姿を消し一瞬の内にワイパーの背後に立つ。そして、俺が今"見聞色"で見た未来はワイパーが黒ずみで倒れる瞬間……させるか!!

 

「危ない!!!」

「なっ!!?青海人、てめェ何を──」

「"3000万V放電(ボルトヴァーリー)"!!!」

 

 エネルが消えたことで狙えなくなり困惑したワイパーを突き飛ばした。とにかく早くワイパーを助けるために動いていたので完全に無防備になってしまった俺はエネルの掌が顔に触れた。

 

 瞬間、俺の視界は白一色に染まり全身が焼けるような痛みに襲われた。数秒なのか数分なのかあまりの痛みで永遠とも思えるような苦痛の時間が過ぎ放電が止むと肉が焦げるような匂いがする。

 

 それが自身から出ているものだとわかった時には俺の体は倒れていた。

 

「狙いは外したが……これで予言通り5人だ」

「アルガーーーーッ!!!!」

「青海人……!チッ、余計なことしやがって!誰も助けなんざ頼んでねェぞ!!」

「ウゥ……ァ……」

 

 ダメだ、体が動かない。というより頭が回らない。意識が飛びそうだ……。

 

 そこから状況は悪化し結局ワイパーは電撃をくらい黒焦げに。続けてロビンにゾロまでやられてしまい残りはナミひとり。

 

 しかし、先ほど電撃をくらい倒れていたはずのワイパーが立ち上がるとエネルに睨み付ける。

 

 武器はもうなく体もボロボロで限界のハズ。それでも彼は立ち上がった。全ては仲間の為、故郷の為。そして──。

 

「先祖の為!!!!」

「…………少しはマシな答えを期待した。もはや意識も定かではあるまい」

 

 そういうとエネルは腕を雷に変えワイパーの頭上に雷のエネルギーを溜める。

 

『ワイパーを頼んだよ』

 

 俺は先ほどラキと交わした言葉を思い出し痛みで悲鳴を上げる肉体を無理矢理動かし立ち上がる。そして、ワイパーにエネルの攻撃が当たる直前にまた彼を突き飛ばした。

 

 ワイパーも立っているのがやっとだったらしく俺に突飛ばされるとそのまま倒れ込んだ。

 

 

「"神の裁き(エル・トール)"!!!」

 

 そして、俺の視界はまたも真っ白に染まり今度は意識さえ遠退いてしまった。

 

 

 

 

 ………………………………。

 ……………………。

 …………。

 ……ん? 

 

 ここは?俺は確かワイパーを突飛ばして……。

 

「アルガ!?よかった目が醒めたのね」

「あっ、角のにーちゃん!」

 

 起き上がるとロビンとアイサが安堵した顔でこっちに来る。状況を知るために辺りを見渡すとそこは地獄絵図だった。

 

 雨のように降り注ぐ巨大な落雷。"巨大豆蔓(ジャイアントジャック)"には大きな切り口ができており近くにはゾロが倒れている。ウソップはあまり効いていないであろう"火薬星"を連発していた。

 

 なるほど、倒れている間に終盤まで来たわけか。

 

 蔓は既に半分斬れている。なら、後もう一撃大きな攻撃をぶちこめば……。

 

「アルガ!!あなた一体何を!?」

「状況はわかった。とにかくあのデカイ蔓を倒せばいいんだろ?西だよな」

「ダメよ!既にあなたの体は限界なのよ!それにこの落雷の雨を潜り抜けるなんて……」

「ロビン!!」

「っ!?」

 

 俺は大きな声でロビンの忠告をかき消す。そして、優しい笑みをした。

 

「大丈夫だ。いってくる」

「……!!」

 

 俺は眼を瞑り集中する。必要なのは落雷を掻い潜るスピードに蔓を破壊するほどのパワー。

 

 "桜華一閃"……ダメだ。パワーが足りない。"鬼龍八卦"……ダメだ。スピードが足りない。なら、アレをやるしかないな。

 

 しかし、あの技は今まで成功したことはない。覇気は十分だが肉体が技に追いつかない。更に今の俺の状態じゃ更に厳しいだろう。

 

 だが……それでもやるしかないんだ。この際、体の心配なんかするな。今はこの技を出すこと意外何も考えるな!!

 

「フウゥー…………ッ!!!」

 

 俺は金棒を頭上に持ち上げ開眼した。

 

 

「"神速(しんそく)"──」

 

 

 持ち上げた金棒を腰に添え刀を引き抜くような動作で地面を蹴った。

 

 あまりの速さにビキビキと体が悲鳴を上げる。しかし、勢いは止まることなく落雷を次々避け"巨大豆蔓(ジャイアントジャック)"へ近付く。

 

 そして、俺の体は気迫により現れた黒い蛇に覆われさながら黒い大蛇が"ジャイアントジャック"に突撃する様に見えた。

 

 

「──"黒蛇駆(こくじゃく)"!!!!」

 

 

───ズドォォオオオオン!!!!

 

「ウオオオオオ!!でかしたアルガーー!!」

「見て!"巨大豆蔓(ジャイアントジャック)"が……倒れる!!」

 

 あまりにも重い一撃に"巨大豆蔓(ジャイアントジャック)"の一部は消し飛ばされ、ビキビキと蔓が傾き始める。俺は内心やったと喜ぶかその時"見聞色"でひとつの落雷がワイパーに直撃する未来が見えた。

 

 はっ!?なんでこんな時に!!クソッ!!!

 

 俺はまたも駆け出し急いでみんなの元へ走る。そして──。

 

「イギッ!!?アガァアアアアアア!!!!」

「アルガ!!?」

「青海人!!?」

「…………ゲホッ……」

 

 俺はワイパーの身代わりとなり雷を受け倒れる。みんなは驚き俺の元へ駆けつけた。ワイパーも何度も助ける俺に対し怒鳴り付ける。

 

「テメェ!!何故またおれを庇った!同情か!?おれ達は敵同士だろうが!!?」

「……別に同情で助けたワケじゃねェ。ラキお姉さんとの約束もあるが……それだけじゃない。お前はここで倒れちゃいけねェんだ……!」

「何だと?」

 

 ワイパーは俺の言葉の意図が掴めずいいた。よかった……今度は気は失ってないようだ。

 

 俺は気合いで立ち上がろうと拳を地面につけワイパーを見る。

 

「お前には義務がある。これまで先祖のために戦ってきたお前はこの上にある黄金の鐘を……シャンドラの灯をともす瞬間を見届ける義務がある!!」

「てめェ、何を言って……」

 

 俺の言いたいことを察したのかここからはロビンが説明し始めた。

 

 400年前ある探検家が「黄金郷」を見たと嘘をつき周りから嗤われ処刑されたこと。その子孫だけはその言葉を信じ今もなおその「黄金郷」を探していること。俺達がその「黄金郷」の鐘を鳴らしその子孫に聞かせようとしていること。

 

 そして、その子孫の名はモンブラン・クリケットだということ。

 

「ならば……400年前の先祖の名は──ノーランドか」

「え……」

 

 ロビンはワイパーから出てきた名前を聞き驚く。まさかここの住民が彼の名を知っているとは思わなかったのだろう。

 

 俺はググと立ち上がり空を見上げた。

 

「そうだ。だからルフィは必ず鐘を鳴らす。そして聞かせるんだ。お前らシャンディアの連中、かつて再会を誓い合った戦士カルガラ、その親友ノーランドのためにも!!」

 

 俺は体を踏ん張って歯を食い縛り天高く聞こえるよう想いを叫んだ。

 

「そして、空想と嗤われてもなお諦めず先祖を信じてきたノーランドの子孫───クリケットおじさんのためにも!!!鐘を鳴らすんだァッ!!!!」

 

 その時、俺を見ていたワイパーは何を感じたのかはわからないが様々な感情が要り混ざった顔で涙を流す。

 

「約束の鐘の音を…………鳴らしやがれェェエエエ!!!ルフィイイ!!!」

 

 俺の咆哮に釣られるようにワイパーも己の悲願をルフィに託す様に想いを叫んだ。

 

「鳴らせ麦わらァ!!!」

 

 俺達は叫ぶ。空高くに存在する黄金の鐘の音を聞くために。ルフィに全てを託して。

 

 

「「"シャンドラの灯"をォ!!!!」」

 

 

───カラァーーーーー……ン!!!!

 

 

 その存在を脳に直接刻み込むような見事な島の歌声。俺達は多々呆然と立ち尽くしその圧倒的な存在感を秘めた鐘の音は鳴り響いた。

 

 落雷も止み方舟も落ちていく。その様子を見て俺はクリケットおじさんに鐘の音が聞こえた気がして笑った。

 

 聞こえるよな、クリケットおじさん。あの伝説は空想なんかじゃない。400年間……黄金郷は───空にあったぞ。

 

 

 

 

 

 あいつらがこの島から出向した翌日、ジャヤでおれ達猿山連合は突如鳴り響いた鐘の音にニヤケた顔を止められずにいた。

 

「これァ……間違いねェ……。ロマンじゃねェか」

「空から……」

「ハラハラするぜ……」

 

 おれは積帝雲にあるひとつの仮説を野郎共に伝える。それは、積帝雲に現れる巨大な影の正体は雲の上にいる人間のものだという話だ。

 

 そして、それを黄金の鐘と共に教えるかのように空の雲には大きな麦わらを被った小僧の影があった。

 

「──なあ小僧……"黄金郷"はそこにあったのか?ありがとよ……!!!」

 

 その時、おれ達は空に映る小僧の姿を見て気が付かなかった。

 

 すぐ近くにもうひとり、同じ光景を見て言葉を失っていた男がいたことに。

 

 

 

 

 

 目が醒めるとそこはシャンドラの遺跡の中だった。起き上がると酋長とガン・フォールの他にもおれみたいな負傷者が安静にしていた。

 

 おれは黄金の鐘楼について聞くが酋長が宥め成り行きを待てと言う。おれは言葉の意図がわからず疑問を覚える。

 

「聞けワイパー。少なくとも"大地(ヴァース)"は何者も拒んではいない」

「そうだとも……。少なくとも人々は今誰一人──」

「っ!!!」

 

 遺跡を出るとそこには巨大な炎を囲み大勢の人々が歌って踊り心から楽しんでいた。

 

──ドンドットット♪ドンドットット♪♪

 

 

「戦いなど望んではいない」

 

 

 シャンディアの者がスカイピアの者と手を取り合い笑顔で盛り上がっていた。本来ではありえない、そんな光景を見ておれは呆然と立ち尽くしてしまった。

 

 そして、その中には麦わらを被った小僧もおり……。

 

「宴だ~~~~!!!」

 

 皆と共にこの大宴会を楽しんでいた。

 

「あー!やっと起きた!」

「てめェは!」

 

 おれの元へやってきたのは角を生やした青海人。おれを見て明るい表情でスカイウルフに乗ってきた。

 

「ワイパーさんが起きるのを待ってたんだ」

「誰がワイパーさんだ。気安く名前を呼ぶんじゃねェ」

「でも、ラキ姐さんから既に許可とったよ?」

「ラキの奴ッ……!」

 

 おれの知らない所でんな許可出すんじゃねェよ!後で問いただしてやる!!

 

「実はワイパーさんに渡したい物があって」

「なんだと?」

 

 角の青海人が懐から取り出したのは小さな黄金の鐘と1枚の写真だった。

 

「これは……」

「この島の片割れ、つまり地上に残ったシャンディアの島にあった黄金の鐘と、そこに住んでたノーランドの子孫クリケットおじさんの写真だよ」

「なにっ!?これが……」

 

 おれは写真をよく見る。そこには猿のような大男二人に挟まれて写る栗を乗せた男性……。コイツが……。

 

「もし会えたらこれを住民に渡してくれって頼まれてね。誰よりもこの島のために戦ったあなたにこれを渡したくてさ」

「こんな物受け取ったって……おれは……コイツに何もくれてやれねェんだぞ……クソッ」

 

 おれは受け取ったものを見詰め行き場のない気持ちをさらけ出す。しかし、角の青海人は優しい笑みで口を開いた。

 

「何言ってんのさ。十分過ぎるものを貰ったハズだよ。400年もの間待ち望んでいた黄金の鐘の音をさ」

「……っ!!」

「あの鐘の音を聞いたクリケットおじさんがどれだけ喜んだかはわからない。でも、間違いなく先祖の無念を晴らせて報われたと思っているハズだよ。だから、そんなおじさんに代わっておれから言わせて──先祖のために戦い続けてくれてありがとう」

「……青海人」

 

 角の青海人は言いたいことを伝え終わったのか、おれに手を振り宴に戻っていった。

 

「それじゃ、確かに渡したからね!ヨッシャ!これで酒が飲める!おーーいナミ~!飲み比べで勝負だー!!」

「いや、勝負するまでもないでしょ……」

 

 遠ざかる角の青海人の影を見た後、手にある小さな鐘を改めて見ると文字が掘られている。

 

 よく見るとそこにはこう書かれていた。

 

『400年経ちどれだけ離れていようとおれ達の繋がりは決して消えない

 

~モンブラン・クリケット~』

 

 

 

 

 

「んあ?ここは……?辺り一面真っ白だ……」

「おじさーん!!」ダキッ

「へっ……エエエエ!!?鬼姫様がどうしてここに!?それよりなんで獣型……可愛い……」

「でしょ~~!撫でて撫でて~~!」

「え?は、はい。分かりました……ウオッ、ふわふわ」ナデナデ 

「エヘヘ~~♪もっとして~~♪」ニカッ

「……はい!幾らでも致しましょう!」ワシャワシャ

「キャ~~!」キャッキャキャッキャ

 

 

 

 

「……ンガッ。ふあ~~……あれ?俺は今鬼姫様と……ん?スカイウルフ?」

 

 目が醒めると目の前には宴で一緒にいたスカイウルフがおり俺はそのウルフを抱き締めていた。

 

 意識がハッキリし始め先ほどまでの夢を思い返した瞬間、俺は自分の頭を地面に何度もガンガンと叩きつけた。

 

 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!

 

「ヌゥオォオオッ!!俺は!鬼姫様相手に!なんて夢を!見てんだ!この!戯け者がァ!!」

 

 しばらくして額から血が流れるほど何度も叩きつけるとようやく気持ちを落ち着かせる。

 

「二度とこんな狼藉を働かないようにしなくては……でも、獣型の鬼姫様は可愛──フンヌッ!!!」

 

 まだ消えぬ邪心を祓うため今までよりも強めに地面に頭突きをし頭がめり込んだ。どうしよ、また意識飛びそう……。

 

 そんなことをやっているとルフィ達がやってきてこれから仲間みんなで黄金を盗み島を出るつもりらしい。

 

 気晴らしに俺も参加し黄金をかき集める。無心に。ただ無心に。

 

「アルガ、なんかちょっとコエーぞ?」

「気にするなチョッパー。俺はいたって正常だ。そう正常なんだ」

 

 日が昇り明るくなり始めた頃には財宝を沢山手に入れた俺達はゾロとウソップと合流し早速船へ向かおうとした時、遠くからロビンと島の人達がやってきた。

 

 仲間は黄金泥棒と勘違いをし急いでこの場を逃げ出した。ロビンも状況を察したのか島の人達に別れを伝えてすぐにこちらへやってきた。

 

 こうして逃げ出すように船に着いた俺達は出航し島を出た。そして、今はスカイピア下層の"白海"。ここから地上に降りるため"雲の果て(クラウド・エンド)"に来ていた。

 

「では皆さん!私たちはここまでですので!お元気で皆さん!」

「おお!送ってくれてありがとう!」

 

 ここまでコニスさんとおじさんが案内してくれたがいよいよこれでお別れの時だ。降りるに当たってすぐに帆をたたんで船体にしがみつけとのこと。

 

 いよいよ空島ともおさらばと思いルフィが気を入れ直して次の冒険への気持ちを昂らせた。

 

「ここを降りたらまた新しい冒険が始まるんだ!!野郎共!そんじゃ……!!青海に帰るぞォ~~!!!」

『オオ~~!!!』

「皆さん落下中には気を付けて!」

『落下中??』

 

 そう皆が呟いた瞬間、船はスポーンと島から飛び出た。そう、門を潜ると川が途切れていたのである。

 

「へそ」

 

 コニスさん達は笑顔でそういうが俺達はそんな場合ではない。想定外過ぎる展開に一同目が飛び出る。メリー号も同じく。

 

 そして、絶叫と共に落下すると途中から巨大なタコが現れ船にしがみつく。すると、タコはバルーンのようにフワフワと浮き落下していた船は減速した。

 

 皆は死を覚悟したように涙を流していた。わかる、展開知ってる俺でもこれは恐いわ。

 

 すると、どこからかカラーン!と綺麗な鐘の音が聞こえる。この綺麗な音は間違いない、あの黄金の鐘だ。

 

 まるでここを去る俺達に向けて祝福するかのように鐘は鳴り響く。俺達はしばらくこの綺麗な鐘の音と共に空の航海を楽しむのだった。

 

 

 

 

 

 その日の朝、新世界ワノ国「鬼ヶ島」にて──。

 

 

「…………なんだか物凄く恥ずかしい夢を見た気がする…///」




どうも皆さんもしロマです!
14話をご覧くださりありがとうございます!

主人公のプロット公開にて【投稿しなかった話のワンシーン】より『14話終了後 ロビンの寝床事情』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。

ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )ノシ
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