あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
いつも感想評価、誤字脱字報告、ここすき、お気に入りありがとうございます。
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


16話 俺の名は 上

 ルフィと青雉の"一騎討ち"をした日から1週間後、俺達は次の島へ辿り着いた。そこは水の都と呼ばれる水上都市の島"ウォーターセブン"。

 

 ここへ来る道中にも少し色々なことがあった。

 

 海に浮かぶ線路を走る蒸気機関車にそれと力比べをするクロール泳ぎの大きなカエル。そして、そこのステーションでココロのばーさんと出会った。

 

 最初は海賊だからと海軍に連絡しようとしていたが酔っておりに結局連絡はとれずサンジの作ったパイユをあげて仲良くなった。

 

 話している内に船の修理について聞くとこの先にある島の船大工に見て貰うといいと紹介状を頂きウォーターセブンについて教えてくれた。

 

 この島には世界一の技術を誇る船大工達が居るという。みんなはそこで船大工を探そうとワクワクしていた。

 

 俺達は島の裏町にある離れの岬に船を停める。その時、帆を直す際にゾロがロープを引くが特に変わった様子はなく俺は内心喜んだ。

 

 なんだかんだ大きな修復箇所もないままここまで着いたのはいいけど……。

 

 俺は嬉しい反面、この船ではこの先の海は渡れないことを知っており複雑な気持ちになる。

 

 メリー号は仲間だ。だからここまで大事に守ってきた。けど、ここで船を乗り換えなければこの先へは進めない。頭では理解しているけど……結局、俺はどうしたいのだろうか?

 

 俺はここ数日、島に近付くに連れこの疑問を抱いては答えを見出だせず頭を悩ませていた。そして、結局今日まで何も答えが出ぬままこの島まで到着してしまった。

 

「なーにしかめた顔になってんのよ。こんなに綺麗な景色なのに勿体無いわ。あんたも一緒についてきなさい。そうすれば少しは気が晴れるわよきっと」

 

 俺が複雑そうな顔をしていたのを見て察したのかナミが気晴らしに一緒に水の都へ行こうと誘ってくれた。

 

 こういう時のナミって優しいよな。素直にありがたい。

 

「うん、ありがとうナミ」

「いいわよ別に。正直言ってわたしとウソップだけじゃあのアホの行動を止めきれる気がしないから……」

「あっ、なるほど……」

 

 違った。どうやらルフィのストッパーを兼ねているっぽい。まあ、それでもこの誘いはありがたいので素直にナミの言葉に甘えることにした。

 

 俺達4人は黄金を紙幣にするために換金所へ向かった。その道中で出店に寄ったり先に造船所を見たりなど色々寄り道をした。

 

 ワンピファンなら誰もが憧れたあの"水水肉"。食べた瞬間、ちゃぷちゃぷと肉の旨味が口の中で広がり頬っぺがとろけ落ちそうになった。

 

 転生前でもA5ランクの肉は飲めるほど柔らかいと言うが、この肉は比喩じゃなくてマジもんで飲めるわ。でも、噛み締めると甘い肉汁が溢れて飲み込むのが勿体ない!このままずっと口の中で食べていたい……!!

 

 そんな感じで楽しみつつ換金所へ行き黄金を査定してもらった。最初の額でも億を超えておりルフィとウソップが喜ぶもナミは納得しておらず半ば脅しで再度査定してもらった。すると、結果とんでもない額となった。

 

「よ……4億ベリ~~~~ッ!!?夢じゃねェのか……!!」

「ウヒョ~~~~!!スゲ~~な~~!!」

「空島の冒険が遂に実を結んだわ!!大金持ちよわたしっ♡」

「「わたし達だろ!!?」」

 

 あれ?3億じゃなくて4億?何でこんなに多いんだと思ったけど、よくよく考えてみれば俺も手伝って大量に集めてたような気がする。無心で。

 

 あの時は何も考えずひたすら集めてたからなァ~~。気が付かなかったけどそんなに集めていたのか……。

 

 1億の入った鞄を4つに分け俺が2つウソップとルフィで1つずつ持ち換金所を後にする。あまりの大金に緊張するウソップとは反対に鞄をブンブン振り回すルフィ。

 

 うっかり手を放してしまい危うく水路に落ちそうになってしまったルフィは2人にボコボコにされてしまう。鞄も取り上げられ結局、俺とウソップで2つずつ持つこととなった。

 

 そうして、造船所へ着いた俺達はさっそくアイスバーグさんに会おうと造船所へは入ろうとする。しかし、突如現れた男により止められてしまった。

 

 ウソップの四角版の男。カクと名乗るとナミはその男に紹介状を渡しアイスバーグさんに会わせてほしいと伝える。

 

 しかし、アイスバーグさんはこの島の市長で多忙の身。カクが俺達の用事を聞くと「どれ、わしが見よう。10分待ってほしい」といいものすごい速さで造船所を後にした。

 

 すると、そこに秘書を連れた男がやってきた。その男こそウォーターセブンの市長でありこの"ガレーラカンパニー"の社長アイスバーグさん本人だった。

 

 隣にいる秘書であるカリファーが淡々と俺達の情報を事細かく市長に報告し、麦わらの一味と伝える。それを聞いた後俺達に自己紹介をする。

 

「そうか、よく来た。おれはこの都市のボス!アイスバーグ。そして、このネズミはさっき拾った。名前は……そうだな。"ティラノサウルス"」

「チューチュー」

 

 ……ネズミにその名前は重くないっすか?

 

 内心そう思っていると、秘書が既に飼育に必要なエサとカゴを手配済みといい手際のよさに流石だなと賞賛するアイスバーグ。

 

 そして、秘書が今日の予定されているハードスケジュールを伝えると「いやだ!」の一言で全てキャンセルしウソップに突っ込まれた。

 

 市長としてそれでいいのかと思うが、一部の界隈ではこの判断はロビンを連れた海賊の俺達がこの島に来たから急遽予定をキャンセルしたって説もあるので一概にワガママなだけとは言い切れない。

 

 この人マジで優秀だからな~。ぶっちゃけ、俺もその説を推してるひとりです。(作者の声)

 

  その後、フランキー一家が2億ベリーを盗んだがそこに鉢合わせたガレーラカンパニーの職長パウリーに一掃された。

 

 そのパウリーも大金を見てそのまま持ち逃げしようとしたが同じ職長ルッチに捕まり無事2億ベリーは取り戻せた。

 

 ルッチはハトを使い腹話術で話しみんなは盛り上がっていた。そんな中、俺は初対面するルッチに笑いを堪えていた。

 

 ル ッ チ の 腹 話 術wwwwww

 

 この時点ではスパイ活動中だからそんなキャラ作りしてるんだろうけど……キャラ崩壊がwww

 

 正体を知っているだけにこのルッチは違和感しかないwwダメ……死ぬ……www

 

 必死に笑いを堪えていると造船所を案内するといいアイスバーグさん達と一緒に1番ドックの巨大な門を潜った。

 

 そこでは巨大ガレオン船の造船作業が行われておりその大規模なスケールに俺達は圧倒された。

 

 ここにいる全員が職人であり活気よく働いておりこちらを見ると必ずアイスバーグさんに挨拶をしておりどれだけ人望があるかが伺えた。

 

 一通り案内してもらうと途中でフランキー一家が近付いていることに見聞色で気付きウソップと一緒にパウリーと行動する。こうすれば向こうも迂闊に手を出せないからね。

 

 すると、カクが戻ってきて査定の結果を話し始めた。

 

「所々修繕箇所はあったが特段酷い傷はなかった。あれなら2、3日もあれば問題なく修繕して航海もできるじゃろう」

「おおー!ホントか!よかったな~ウソップ。メリー号の傷は直せそうでよ!」

「ああ!傷が増える度におれァ胸を痛めたもんよ。よかったなァメリー」

「それと、ひとつお前さんらには聞かにゃならん事がある」

「……?何かしら?」

 

 みんなで喜んでいたのも束の間、カクは改まって真剣な顔で俺達を見てきた。

 

「なに、そう身構えんでもよい。お前さんらみたいな船に乗る()()()()()()()には事前に問う事じゃからな」

「ある一定の海賊って……?」

「うむ、聞くがお前さんらはあの船でどこまでの航海を想定しておる?」

「どこまでって……そりゃどこまでも行くさ。おれ達はメリー号で世界中を冒険するんだ!」

 

 

「そうか。──無理じゃな」

 

 

 ルフィが答えるとカクはハッキリと俺達にそう告げられる。楽しそうにしていたルフィの顔はみるみる困惑した表情へと変わっていく。

 

 そして、それはルフィだけではなかった。

 

「え、は?な、何で!?メリー号は完璧に直るってオメー今……!」

「そうじゃな。修繕は可能じゃ。じゃが……今の船ではこの先の海は越えられぬ」

「なんでよ!?」

「おめェらすげェ船大工じゃなかったのかよ!?金ならほら!!いくらでもあるのに!!」

 

 ルフィはそういい手元のケースをバンバンと叩くがカクは一切動じず首を横に振った。

 

「金は関係ないわい。いくら出されようとも、問題はそこではなく……この先の海に通用する程、あの船そのものが強くないからじゃ」

『っ!!?』

 

 修繕以前に船自体に問題があると答えるとみんなは黙ってしまう。

 

「本来キャラベルは遊覧船。むしろ尊敬しておる。今時あんな古い型の船でここまで来れたとは。よほど腕のたつ航海士がいたんじゃろう」

「………」

「しかし、ここは"偉大なる航路(グランドライン)"。前半とはいえこの島を抜ければじきに後半の海じゃ。そうなればあの船じゃ一日と持たずに転覆する。確実にな」

「そ、そんな……。もしかしてさっき言ってたある一定の海賊って……」

「ああ、あれは船ならどんなものでも海を渡れると勘違いしている海賊達に聞く質問じゃ。悪いがこちらも命を預ける仕事をしておる。従って、渡れない船の修理を頼む輩にはこうして事前に聞いておるのじゃ」

 

 ナミの疑問にカクが説明した後ルフィに視線を戻した。

 

「ただ冒険がしたいだけならあの船を修理してもかまわん。しかし、それはこの先の"後半の海"ではなくこの"前半の海"に限っての話じゃ。じゃから、この島の先へ進むと言うのならこの依頼は引き受けん」

「~~っ!さっきから黙って聞いてりゃベラベラ喋りやがって!!メリーはそんな柔な奴じゃねェ!!!」

「そうだ!!信じられるか!!お前ら、あの船がどれだけ頑丈なのか知らねェからそう言うんだっ!!!」

「……沈むまで乗りゃあ満足か?」

「──っ!!」

 

 ウソップとルフィは船の話を聞きとても受け入れられない現実を叩き付けられ怒鳴り散らす。しかし、そこに今まで黙っていたアイスバーグさんが口を開くとルフィの勢いは止まった。

 

「呆れたもんだ……。てめェ、それでも一船の船長か」

 

 一喝。アイスバーグさんのその重い一言はルフィを黙らせるのに十分だった。

 

「そういう事じゃ。言わせてもらうがわしらは職人じゃ。客を送り届ける船を作るのが仕事。沈むとわかっておる船の依頼は断らせてもらう」

「ンマー、てワケだ。お前達は仕事に戻ってくれ。カリファーは在庫の整理に。後はおれがこいつらに話をつけよう」

 

 そういわれ職長達は作業に戻っていった。

 

 そして、ここからはアイスバーグさんが話を進める。もし、この先の海へ進むのなら新しい船を買うこと。その為のカタログを渡すので買う気になったならまたここへ来いと。

 

 ルフィ達はこれ以上何も言えなくなってしまいカタログを貰いドックを出ようとしたがまだ用があるのか呼び止められる。

 

「ああ、待って欲しい。実はこっちもおめェさんらに用があるんだ」

「用……?何だよ用って」

「ンマー、そう身構えるな。聞きたいことがあるのはお前だ」

「え、俺……?」

 

 呼び止められた理由は意外にも俺に用があるらしく首を傾げた。なんだ?原作では現時点で尋ねられる用なんてなかったハズだが……。しかも俺に関すること?

 

 俺は頭にはてなが浮かんでいたが、次のアイスバーグさんの質問に言葉を失なった。

 

 

「一つ聞きたい。おめェさんの父親の名は……リベルじゃないか?」

 

 

 ……………………えっ。

 

 瞬間、俺の頭は真っ白になり一瞬何も考えられなくなった。すぐに、我に返るが周りを気にする余裕はなくすぐにアイスバーグさんに近付き問い質した。

 

「と、父さんのことを知ってるんですか!?」

「やはりそうだったか。先日、お前の手配書を持ってきた奴がこの顔の人がやって来たら聞いてみて欲しいと頼まれてな」

「それって……」

「そいつはここの職員でもあるリベルの父親……つまりお前のおじいさんだ。おれも最初は驚いた。手配書を見りゃあそのじいさんとお前の顔がそっくりだったからな」

 

 予想外の事実に俺は呆然と立ち尽くす。

 

「なあアルガ?じいちゃんがいるってことはお前もここに住んでたのか?」

「いや、違うよ。俺の生まれはここじゃない。そもそも親戚に会ったことないから俺も驚いてる。まさか父さんの家族がここにいたなんて……」

「あいつもおめェさんに会いたがっている。そっちさえよけりゃあ時間をとってやるがどうする?」

 

 ここに……俺のじいちゃんが……。

 

 アイスバーグさんにそういわれ俺は少し考えた後にルフィに頼み込む。

 

「ルフィ、会ってきてもいいかな?」

「ま、いいんじゃね。メリー号の方はおれ達で考えるからよ」

「家族に会えるんだもの。いった方がいいわ」

「ありがとう」

 

 仲間の後押しもあり俺は会うことにした。

 

 そして、アイスバーグさんはついてこいといい歩き出し俺も後ろをついていく。

 

 本社へ入り待合室のような一室で少し待っていて欲しいと言われたので俺はソファーに座り少し気持ちを落ち着かせる。

 

 するとドアからガチャと音がなりゆっくりと開く。俺はそっちに視線を向けるとそこにはアイスバーグさんと……ひとりの老人がいた。

 

「待たせたな。この人がここの職員でありお前のおじいさんのレーニスだ」

「…………」

 

 身長はやや低い、160ぐらいだろうか。それでいてここの職人だからかガッチリとした肉体だ。作業服越しでもわかるほど。そして何より驚いたのは老人の顔だった。

 

 似ている。父さんひいては俺の顔に。俺が歳をとり老けて髪や髭が白くなったこうなるだろうなと思えるぐらいその老人は俺と似ていた。

 

 老人は俺の顔を見るや否や体を震わせ一歩一歩近付きお前の前で止まると涙を流した。

 

「お……おお……っ、その顔……間違いない……お前は……っ!」

「……じ、じい……ちゃん?」

「……!!!」

 

 俺がそういうと老人は更に大粒の涙を流し俺を強く抱き締めてきた。不思議と抵抗感はなくむしろどこか心地よく感じ俺も一緒に抱き締め合った。

 

 

 

 

 ここはウォーターセブンの町中にある水上公園。俺とじいちゃんはベンチに座り一緒に水水飴を食べていた。

 

「ここの水水飴は絶品でなァ。いつか食わせてやりたいと思うとったんじゃ」

「ん、確かに美味しい。飴なのに柔らかくて舌の上で踊るようだ」

 

 俺は今じいちゃんにウォーターセブンの町中を案内して貰っていた。

 

 なぜこんな状況になっているかというと、アイスバーグさんの提案だ。お互いに積もる話しもあるだろうから今日の仕事はあがって2人でこの町でも一緒に歩いてきたらどうだと。

 

 俺とじいちゃんは特に問題はなかったのでお言葉に甘え2人で町中を歩きつつ案内までしてもらった。

 

 初めはお互い気まずかったがすぐに会話は弾み今ではこのように一緒に飴を食べるほどだ。

 

 初めて会うハズなのに不思議と居心地がよく自然と話せて自分でも驚く。しかし、これが家族というものなのかなと思い飴を舐める。

 

 こんな感じに観光感覚で楽しみいろんな場所へ回っていると時間を忘れてしまい既に結構な時間が過ぎていた。

 

 流石に戻らないとマズイかな?でも……。

 

 俺はじいちゃんを見る。すると、じいちゃんは何かを察したのか俺に優しい笑みをした。

 

「気にせんでええよ」

「え?」

「アルガ、お前今後の事でワシを気にかけておるんやろ?」

「ウッ……」

 

 図星だった。父さんが天竜人の奴隷にされていたんだ。じいちゃんは自分の子供が拐われて心配していたハズ。だからこそ、俺に会えてあんなにも喜んでいたんだろう。

 

 けど、俺は海賊だ。ずっと側にはいてやれない。俺はその事を気にしていたがどうやら見抜かれてしまっていた。

 

「確かにアルガを見るまでワシは落ち込んでおった。婆さんもな……。じゃが、今はこうして目の前におって話しもしよる。ワシはそれだけで十分じゃ」

「じいちゃん……」

「じゃが……どうしても一つ聞きたいことがある」

「なに?」

 

 じいちゃんは水水飴を食べ終えるとまっすぐな瞳で俺を見てきた。

 

「リベルは……どうなった?」

「……っ!!」

 

 その質問に対し俺は咄嗟に答えられず固まってしまうがじいちゃんは聞かずとも察してしまったのか空を見上げた。

 

「そうか。逝ったか……親より早く先立つとは……全く親不孝者じゃな」

 

 じいちゃんは何かを堪えるように微笑すると目を手で被った。それを見ていた俺はどこかいたたまれない気持ちになる。

 

 そして、そんなじいちゃんを見て俺の心の中に黒いモヤのようなものが渦巻く。

 

 気にしなくていいと言ったがそんなの強がりだ。今日会ったばかりの俺でもわかる。それに、家族がいなくなる喪失感は……痛いほどわかる。

 

 事故で死んでしまった父さんや腕の中で亡くなっていった母さんの時もそうだったから。

 

 俺が頭を俯かせていたのを見てじいちゃんは気持ちを切り替えたのか明るく振る舞う。

 

「何辛気臭い顔をしとるんじゃ。そろそろ帰る時間やからワシはもう行くとする。帰り道はわかるか?」

「え……う、うん」

「そうかそうか。明日は有給をとろうと思っとる。せっかくやから婆さんにも会って欲しいがどうかのう?」

「もちろん、俺も会ってみたいし」

「それならよかった。今日は本当に楽しかった、ありがとうな」

「うん……あ、その前にトイレ行ってくるね。流石に食べすぎた」

「ああ、荷物はワシが見ておく。ここで待っとるけん行ってきい」

 

 そういい俺はトイレに向かう。しかし、この時気が緩んでいた俺はこの少しの間側にいてやれなかったことを後悔することになる。

 

「フゥ~~すっきり……あれ?」

 

 少ししてトイレから戻ってくると待っているハズのじいちゃんの姿が見当たらなかった。俺は少し不審に思い近くの人に声をかける。

 

 返ってきた言葉に俺は息を呑んだ。

 

「実はさっきあそこにいた爺さんがフランキー一家に連れ去られちまったんだ」

 

 聞いた瞬間に俺は見聞色を発動しできるだけ広範囲に張り巡らせる。すると、少し離れたところで弱まっている声が聞こえた。

 

 すぐにそこまで駆けつけるとそこには……頭から血を流し傷付いたじいちゃんが倒れていた。

 

「じいちゃん!!!」

 

 俺はすぐに駆け寄り倒れているじいちゃんの上体をあげる。気が付いたのかじいちゃんはか細い声で俺に謝った。

 

「グヌゥ、スマン……大切なカバンを奪われてしまった……ウッ。抵抗したが……この様……情けない……!ハァハァ……」

「いいよ!!無理にしゃべらないで!傷が開く!!」

「ワシの事はよい……。それよりも、アルガ……カバンを守りきれなくて……すまな……かった……」

 

 そういいじいちゃんは糸が切れたように気を失い目を閉じてしまう。

 

「スミマセン……。この人を病院にお願いします」

「え?あ、ああいいが君は……ヒッ!?」

 

 俺は近くの通行人にじいちゃんを頼み立ち上がる。通行人は俺に尋ねるとなぜか震え上がっていた。

 

 何をそんな恐そうに?まあ、今はそんなこと気にしてる場合じゃない……。そんな余裕なんて今の俺には無い。

 

「ちょっとケジメを付けに」

 

 

 

 

 スタスタと俺は海岸沿いを歩いていた。すると、目の前にはヘンテコな家が建てられており中から下品な笑い声が聞こえてくる。

 

 入り口まで着くとちょうどドアから変な格好の男が現れ目障りだったのでぶっ飛ばした。

 

 男は派手にぶっ飛ばされるとその騒動で中にいた奴らが一斉に俺を見る。

 

 中では宴をやっているってことはフランキーはもうでかけた後か……まあ、関係無いが。

 

「お、お前はあのジジィと一緒にいた海賊小僧!!?何しに来やがった!!」

「金か?ギャハハハハ!!ひとりでノコノコ来るたァマヌケな野郎め!この数が見えねェのか!!」

「おい!まずはおれからやらせろ!」

 

 そしてそこそこ体格のでかい奴が鎧を着込み俺に近付く。鎧の男は斧を振り上げ俺に振り下ろした。

 

 凄まじい轟音と共に土煙が舞い上がる。連中は決着がついたと思い込みさらに笑い声が響き渡る。

 

 しかし、その声はすぐに止んだ。何事もなかったかのように立っている俺と男が持っている斧が粉々に砕けているのを見て。

 

「ハッ……ハァアアアア!!??何で斧が壊れちまってんだ!?」

「ていうか……あのガキなんか全身が黒くなってねェか?」

「クソッ!次は確実に──っ!?」

 

 砕けた斧を捨て棍棒で攻撃しようとした瞬間、男の目の前には既に俺の金棒が迫っていた。

 

「”鬼鏑(おにかぶら),,」

「ブッバハッ!!?」

 

 鎧は軽々と砕けあまりの衝撃に男は天井を突き抜け家の外までぶっ飛んでいった。あまりに規格外な光景を前に騒がしかった連中は黙り静かになった。

 

「……え?あいつ今何を……?」

「鋼鉄アーマーどころか……あの巨体を外まで……」

「に、人間業じゃねェ……ヒッ!」

「ま、待ってくれ!金ェ!金だろ!?要件は!残念ながらお前の金はもうここにはねェんだ!!フランキーの兄貴が買い物で持っていっちまってよ!場所はおれ達にも知らn──」

「……お前ら」

 

 俺は連中を睨み付けると一斉に怯む。

 

 別に、2億を奪われたのは想定内だったからいい。元々、あの2億はわざとお前らに盗らせる予定だったし。けどな……。

 

 俺はさっきまで倒れていたじいちゃんの姿が脳裏をよぎった。

 

「骨すら残らねェと思え」

 

 それだけ言い残し俺は金棒を振り上げ地面を蹴った。連中も話し合いは無駄だと察しすぐに応戦するが全く歯が立たず次々となぎ倒されていく。

 

 銃弾も弾かれ砲撃も効かない。剣で斬りかかるも俺の武装色で硬化された体には傷ひとつ付かなかった。

 

「バ、バケモノ……!?グギャア!!」

「ヒッ!ま、待ってくれ助け……グヘッ!!」

「コエェ……恐ェよォ……」

「鬼だ……目の前に鬼がいる……!」

 

 もはやこれは闘いとは呼べるものではない。一方的な蹂躙だ。既に連中の戦意は失っておりただ泣き叫び逃げ惑うだけ。

 

 しかし、俺はそれを許さなかった。ひとりひとり確実に叩き潰し──最後にはこの家の原型すらとどめずそこにある物ひとつ残らず全壊させた。

 

 

 

 

「みんなホントにごめん!!!」

 

 あれからメリー号に戻った俺はこれまでの経緯を説明し頭から煙が出るんじゃないかってぐらい床に擦り付け謝る。

 

「もういいから頭を上げろって!奪われちまったもんは仕方がねェよ。アジトに行っても見つからなかったんだろ?」

「それよりそのじいさんの容態はどうなんだ?無事なのか?」

「心配してくれてありがとうチョッパー。時間も遅いから追い返されたけど医者がいうには命に別状はないって」

「そっか、ならよかった」

 

 ウソップは俺の土下座止めさせようとし、チョッパーはじいちゃんの心配をしてくれた。みんな思うところがあるのか怒ったりなどはしなかった。……ひとりを除いて。

 

「この際アルガは許す。けれど……そのフランキーって奴は見つけ次第必ず海のはてまでぶっ飛ばして盗られた2億ベリーを取り返さなきゃ気が済まないわ!!!」

「ナミが燃えてる……!」

 

 ナミは怒りの炎があがる。それを見たチョッパーはゾロにしがみつきブルブルと震えていた。

 

「しかし、そのフランキーってクソ野郎はでかけていないんだろ?だったら向こうが動くまで待つしかないな」

「だな、ぐる眉の言う通り今優先しなきゃいけねェ問題は……」

「無駄に仕切んじゃねェマリモヘッド」

 

 ゾロとサンジは互いに蔑称で呼び合うと睨み合いになりこちらも怒りの炎があがった。

 

「「アア!!やんのかゴルァ!!!」」

「止めろアホ供!?こんな状況で!!とにかく今はメリーをどうするかって話だが……」

 

 ウソップが仲裁に入り話を進める。

 

「おれァやっぱりメリーをこのまま見捨ててこの先の海へ進みたくねェ……」

「ウソップ……。でも……」

「ああ、わかってる。船大工の奴らから聞いた後も冷静に考えたさ。けどよ……それでもやっぱりメリーを置いていくなんておれには……」

 

 そういいウソップは涙を流す。メリー号は俺達の仲間だ。しかし、メリー号ではどうやってもこの先の海をわたることはできない。

 

 ウソップもそれを理解こそしているがまだ気持ちの整理がつかずただ悲しみに打ちひがれるだけだった。

 

「メリー号の件もそうだがおれは何よりまずはロビンちゃんの捜索だァアア!!!」

 

 ウソップを宥めつつサンジはもうひとつの問題を切り出す。

 

「一応、ロビンちゃんが戻ってくるかもしれんから今晩はおれが船から見張っておく。明日の早朝まで帰ってこなかったらチョッパーと一緒に島中を探してみる」

「うん、わかった。おれ頑張るよ」

 

 とりあえず、ロビンの件はサンジとチョッパーに任せることが決まり今夜はもうお開きとなった。そして、見張りのサンジ以外はみんな就寝した。

 

 俺も明日は激動の一日になると確信し体力の温存のためにも寝ようと目を閉じる。しかし、心の中で黒いモヤみたいなものが未だに消えず渦巻いていた。

 

 じいちゃんは20年以上も前に息子である父さんを拐われ今まで気が気でなかったハズだ。そして、息子が死んだことを知ったあの時の顔……。

 

 あんな悲しみに満ちたじいちゃんの顔を見て俺はこう思ってしまった。

 

 

 俺はあのままじいちゃんを置いてこの先の海へ進んでしまっていいのかと……。

 




どうも皆さんもしロマです!
16話をご覧くださりありがとうございます!

今回は少し短めですが区切りが良いのでここで締めようと思います。
そして、今回から少し変更点があります。
今後の技名が出る際は「"技名"」から「”技名,,」に変わります。

ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )ノシ
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