あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

2 / 76
どうも皆さんもしロマです!
ここでは話の都合上、投稿できなかったお話の一部を書いたものとなります。投稿できず没にされた話ですが同じ時間軸で起きた話なので気にせずお読みください。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


投稿しなかった話のワンシーン

『8話~9話の間 アルガ熱を出す』

 リトルガーデンを出た翌日。私は信じられないものを目の当たりした。

 

 それは、Mr.ブシドーとアルガさんの稽古試合。私はMr.ブシドーの強さをこの身で痛いほど実感している。対してアルガさんがどれほど強いのかは知らない。

 

 いつも優しい顔をしているのもあるが、お酒に弱かったりナミさんによくボコられたりしている彼をとても強者とは思えなかった。

 

 しかし、能ある鷹は爪を隠すとはこのことなのだろう。彼の動きにMr.ブシドーは徐々に追い詰められ……喉元に刀を突き立てられていた。

 

「グッ……!」

「今日の試合も俺の勝ちだね……ハァハァ」

「チッ、やっと足がまともに動けるようになったから試合したってのに……」

「いや、いうてまだ治療から1日しか経ってないからね?それで動けてる時点で十分ヤバイからね?ケホケホッ」

 

 確かに、昨日足を半分ほど斬ったといっていた足が1日やそこらで治るハズがない。我慢しているにせよ先ほどのように動けたこと自体おかしいのだ。

 

「あれ……?」

 

 そんなことを考えていた私だったけど、先ほどから感じた異変に気がつきアルガさんに声をかけた。

 

「ねェ、アルガさん。大丈夫かしら?顔がスゴく赤いわよ?」

「えっ?」

 

 私がそういうとアルガさんは自分の顔を触る。

 

「そういや、今日のお前あまり動きのキレが良くなかったような」

「うん、実は昨日からこうなんだよね。体がやたら重くて。でも、この状態でも動くのは慣れてるから気にしなくても……ゲホゲホッ!……ん?」

 

 アルガさんは話す途中で咳き込むと何か違和感を感じたのかしばらく考えた様子で静になり遠くにいる元気なナミさんを見つめた。

 

 そして、何かを察したのか「あーー」と苦笑いをして一気に顔色が悪くなりバタンとその場に倒れてしまった。

 

「ええっ!?アルガさん起きて!ちょっと皆ァーー!!アルガさんがーー!!」

 

 

 

 

 はいどうも皆さんアルガです。現在俺は男部屋で寝込んでいます。男部屋の寝床は基本ハンモックだが、俺がひとりで航海していた時に使用していた布団を引っ張りだしその布団で安静にしている。

 

 ヌゥ~~~~、誤算だった。まさか俺が感染するとは……。

 

 リトルガーデンでナミがケスチアという虫に噛まれ高熱に苦しむ展開は覚えていた。なので事前にローグタウンで買っていたダニ避けスプレーをナミに渡すことで見事ナミの高熱フラグを回避することに成功し喜んでいた。

 

 だが、どうやら運命はナミの代わりに俺を選んだようだ。原作のナミと同じ様にリトルガーデンを出た辺りから体が熱くなり重く感じ始めた。

 

 でも、正直いって40度ぐらいなら奴隷時代にも熱を出したことがあったので気にせず過ごしてみたが、今回はこれまでの比じゃない。

 

 あーー、なんでリトルガーデンを出た時に気付かなかったんだろ……。でも、しょーがないよね。予想できなかったんだもん。

 

「42度!?とんでもない高熱じゃない!!」

「嘘っ!?そんなに酷いの!?ちょっとアルガしっかりして!」

 

 俺の体温を調べ数値を見て驚くビビとナミの女性陣。

 

「それってそんなに辛ェのか……?」

「「いや、それはかかったことねェし」」

「あんたらは少し黙ってろォ!!」

「ナミさんこの人達って何者なの……?」

 

 その反面、病気にかかったことがない男性陣は高熱の辛さにいまいちピンと来ないのか首を傾げた。

 

 ビビが42度の高熱が如何に危ない状態なのかをルフィ達に伝える。下手をすれば死ぬ可能性もあることを知りルフィ達は急いで医者を探そうと騒ぎ始める。

 

「でも、それだと……」

「……?どうかしたのナミさん」

 

 医者探しで盛り上がる中、ナミだけが曇った表情で悩み始める。ビビはどうしてそんな顔になるのか分からず問うがナミは黙り込んでしまう。

 

「……ゲホゲホッ。ナミ、ひとりで悩まないで」

「アルガ……」

「ビビ、ナミの部屋に新聞がある。それをナミと一緒に持ってきてくれない?」

「ええ、分かったわ」

 

 俺とナミは毎日新聞を読むためあの情報は俺も知っていた。こうなってしまってはナミだけに苦しい思いはしてほしくない。

 

 俺はそう指示すると二人は部屋を出てしばらくすると戻ってくる。そして、皆の前で新聞を読むとビビの顔色が蒼白に変わった。

 

「そんな……!国王軍30万人が反乱軍に寝がえった……!?元々国王軍は60万人、反乱軍は40万人の鎮圧戦だったのに。……これじゃ一気に形勢が!!」

「黙っていてごめんね。あなたに見せても船の速度が変わらないから……。不安になるぐらいならと思ってアルガと隠していたの」

「そういうこと。アラバスタの暴動はこれからどんどん激しくなる。これをビビに見せるのは少し酷と思って……ゴホゴホッ」

「でも、お前医者に診てもらわねェと……」

 

 ウソップが会話に入り俺の身を案ずる。正直、俺のこれがケスチアによる病気だとしたらかなり不味い状態だ。確か、発熱してから5日で死んでしまうとか。だが、もし違ったら……。

 

「みんなにお願いがあるの」

 

 俺がそう悩んでいるとビビは顔を上げ皆を見る。先程とは違う覚悟を決めた眼で。

 

「船にのせてもらっておいて……こんなことを言うのも何だけど。今、私の国は大変な事態に陥っていてとにかく先を急ぎたい。一刻の猶予も許されない。だからこの船の"最高速度"でアラバスタ王国へ進んでほしいの」

「ビビ……」

 

 皆の顔が渋くなるが次の一言で雰囲気が変わった。

 

 

「……だから、今すぐ医者のいる島を探しましょう。一刻も早くアルガさんの病気を治して……そして、アラバスタ王国へ!それがこの船の"最高速度"でしょう?」

 

 

「そおーーーーさっ!それ以上スピードは出ねェ!!」

「いいのか?お前は王女として100万人の国民の心配をするべきだろ」

「そうよっ。だから早くアルガさんの病気を治さなきゃ」

 

 ルフィは笑いウソップがそう聞くがビビの気持ちは変わらずだからこそと主張を強めた。

 

「ビビ……ありがとォ~~!!!」

「キャッ!いいのよナミさん。これは私のためでもあるんだから」

 

 さっきまで一人で悩んでいたナミはビビの言葉に涙を流し強く抱きしめる。それをビビは優しく受け止めお互いに抱きしめ合った。

 

 その後、メリー号はアラバスタを指す指針を無視し医者探しを始めた。原作と違いナミは絶好調のためサイクロンは愚か他の気象にも即座に対応し船はどんどん進んでいった。

 

 やっぱ航海術チートのナミがいると安心感が違う。これならゆっくり休めそうだ。

 

 だが、しばらく時間が経っても俺の心は落ち着くことはなかった。

 

 ………………寝てるだけなんて久々過ぎてちょっと落ち着かない。少しだけ皿洗いでも……。

 

「あらアルガ~。起き上がってどこ行くつもり?」

「……気晴らしがてら皿洗いでも」

「 寝 て ろ 」

「ハァイ……」

 

 ナミ恐い……。

 

 

 

 

「ったくアルガったら」

 

 目を離した隙に働こうとするアルガを()()()接し寝かしつける。ちゃんと言うこと聞いてくれてよかったわ。これでまだ動くようならもう少し優しく言ってあげないといけなかったから。

 

「サンジ君、目を覚ましたらアルガに軽いものでも作ってあげて」

「了解した。しっかしこんな状態でも働こうとするとか社畜根性ありすぎるぜ全くよォ」

 

 それについてはわたしも同意する。正直、アルガがこんなに寝ているところなんて今まで見たことがないもの。

 

 アルガは誰よりも遅くに寝て誰よりも早く起きてその日のタスクをこなす。そのくせ休んでいるところは全くといっていいほど見たことがない。

 

 これを気にしっかりと休息をとってあげないと!

 

 サンジ君はさっそく軽食の支度をするため部屋から出ると眠ったアルガと二人っきりになる。しばらく様子を見ているとアルガがわたしの手を掴んできた。

 

「アルガ……?」

「……ン……母……さん」

 

 どうやら寝惚けているようだ。でも、わたしは彼の手をほどこうとはしなかった。

 

 さっきわたしが一人で悩んでいた時、真っ先にフォローに入ってくれたわね。その後も皆が納得のいく結論についてよかったけど……ひょっとしてアルガはこうなることを見通していたのかしら?

 

 考えすぎかもしれないけどあの時は責任感で苦しんでいたわたしを助けてくれたのは間違いなくあなたよ。

 

「だから、ありがとアルガ……」

 

 わたしはもう一方の手で掴むアルガの手を握った。その後、頭を撫でてあげると少し苦しそうだったアルガの顔は穏になった。

 

 母さん……ね。あんたも親に甘えた時期があったのかしら?仕方ないわね、いつも頑張ってくれるお礼に今日ぐらいは母親の代わりになってあげるわ。だから安心して寝ておきなさい。

 

 それからしばらく経つと変な連中が襲ってきたがすぐにルフィ達が返り討ちにしその後順調に航海は続いた。

 

 そして、ついに雪が降り積もる冬島が見えたのだった。

 

 

 

 

『11話 チョッパーの独白』

「よし、これでもう大丈夫っと」

「イテテテテ!ありがとチョッパー」

 

 B・W(バロック・ワークス)との闘いが終わり反乱も止まった。その事に喜ぶ皆だったがおれの闘いはまだ終わっていない。

 

 医者としての闘いはむしろこれからだ。そう思い重傷な仲間を次々に治療し最後にアルガの治療を行おうとした時だった。

 

『ゴメン、俺の治療はみんながいない所でしてほしい』

 

 珍しいアルガのワガママにおれは素直に答え誰もいない一室でアルガの治療を行う。

 

 その際に背中を見せると以前にも少しだけ見た模様が刻まれていた。

 

 そう、あれは初めてルフィ達と出会ったドラム城でのこと。

 

『イッヒッヒ。特に一番酷いのはこの小僧さね。全くこんな状態でここまで来るなん──っ!!?』

『……?どうかしたのドクトリーヌ。あれ、そいつの背中……』

『……お前はまだ知らなくていいことだよ。それより早く暖かい毛布の一枚でも持ってきな!』

『わ、わかったよォッ』

『……これはまたエライ爆弾を抱えたガキだね』

 

 ドクトリーヌはこのマークの意味を知ってそうな感じだったけど恐い顔になるから聞けなかった。

 

「なあアルガ。このマークって……?」

 

 好奇心が勝ってしまいついそんなことを聞いてしまったおれにアルガは一瞬ビクッと肩を震わせるといつもの様に笑いながら振り返った。

 

「フフン、かっこいいだろ?このマークはな"天駆ける竜の蹄"っていうんだぞ」

「おお~~!なんだかかっこいい響きだな」

「だろ~。……だがなチョッパーこれは特別な人間のみに許された印だからマネしようとするなよ?」

「そっかァー。特別なのかァ……」

 

 おれは落ち込んでしまったがアルガがすぐに励ましてくれた。

 

「チョッパーは印どころか"雪原駆ける馴鹿の蹄"を持ってるんだから羨むことはない。…………むしろ俺はそっちの蹄のマークの方が桜っぽいし好きかな」

「おお~~!そっちもいいな~~!おれの蹄は"雪原駆ける馴鹿の蹄"!……なんてな~~!!」

 

 アルガにそういわれ最初は背中のマークを羨むもすぐに自分の蹄の方を気に入る。アルガも桜が好きと言ってもらいテレてしまう。

 

 ……いや!別にテレてねェぞコノヤロ~~♪

 

 この時は純粋にかっこいいと思ったが後にそれは大きな間違いだと知る事となる。

 

 この時のおれはなんてバカだったのだろう。無知ゆえにドクターを死なせてしまったことを思いだし後悔に駆られる。

 

 そうなる事を当時のおれは知る由もなかった。

 

 

 

 

『14話終了後 ロビンの寝床事情』

 空島を出た俺達は現在タコバルーンによりフワフワと空の航海を続けていた。

 

「アルガーこんな感じでいいかー?」

「うん、ありがとうウソップ。これでバルーンは縮まないと思う」

 

 俺とウソップはマストの上の見張り台で火を焚きつつ空島で手に入れた"風貝"を使いタコバルーンの下から火と風を送り込む。

 

 そうすることによってタコバルーンを縮まないようにしている。

 

「このタコはいわば気球だからね。常に熱を送らないと縮んで船が落下しちゃうから気を付けないと」

「確かにな。途中から浮力が無くなって落ちると想像したら……メリーが壊れちまう可能性も……」

 

 ウソップが最悪の事態を想像し青ざめる。

 

 大破まではいかないけど、実際空島からの落下で竜骨にヒビは入っちゃうだろうね。原作でもヒビ割れの位置的に原因は空島からの落下ダメージっぽいし。

 

 でも、一先ずはこれで大丈夫だろう。俺達はマストから降りて休憩に入ろうとすると船内からナミの悲鳴が聞こえてきた。

 

「イヤァァァアアアアアアアアッ!!!?」

「なんだ?何かあったのか?」

「わからない。とりあえず行ってみよう」

 

 ナミの悲鳴が聞こえた場所へ行くと既に皆も集まっていた。俺達も状況を知るために部屋にはいるとそこには大きな水溜まりと四つん這いで項垂れるナミがいた。

 

「おいナミどうしたんだ?つーか何でそんなに床が濡れてんだ?」

「ウゥ……実はこれ地上で売る予定だった雲のクッションなのよ……」

 

 ナミが泣きながら説明してくれる。ああ、そういえばあそこに着いた時そんなこと言って沢山積んでたね。

 

「でも、もっと早く気付くべきだったわ……。元は雲だもの……あそこにある雲はあの気象、気温等によって奇跡的にできた代物。地上に降りればその形状は保てなくなるのよ……」

「…………へ?てことはまさかっ!?」

「お、おいアルガどこに行くんだよっ!」

 

 俺は部屋を飛び出し男部屋へ入る。そこにはさっきの部屋と同じく水溜まりができていた。

 

 そう、俺が地上でもフワフワした寝具で寝れるように取っておいた雲のクッションだった物だ。

 

「イヤァァァアアアアアアアアッ!!!?」

 

 俺はナミと同じリアクションで発狂した。

 

 NOOOOOOO!!!!せっかく手に入れた俺のクッションがァアアアアア!!波に揺られながらフワフワのクッションで寝ようとした俺の計画がァァアアアア!!!

 

 俺は目の前の現実に絶望し膝から崩れ落ちてしまう。もう俺はあのフワフワを堪能できないというのか……。ジーザス……。

 

「あちゃーー、アルガの雲も溶けちまってんな。まあ、無くなっちまったもんはしょうがねェさ。ドンマイ」

 

 後ろからルフィがやってきて俺を励ましてくれる。だが、その程度では俺のこの行き場の無い感情を和らぐことはできない……。

 

 ハァ~~……。でも、ルフィの言う通り無いものは無い。今残っているこのハンモックとシーツで我慢するとしよう……ハァ~~……。

 

 よし、せめて今夜だけでもチョッパーを抱いて寝よ。

 

 俺は渋々この妥協案で我慢することにした。(チョッパーの了承は考えていない)

 

 気持ちを切り替えてナミの所へ戻るとどうやらナミもあの状態から戻ったようだが違うことで悩んでいた。

 

「ゴメンねロビン。実はあれあんたのベッドにも使おうと思ってたの」

「私の?」

「ええ、あんたいつも部屋のソファーで寝てるじゃない。だから、これを機にロビンにもと思って……」

 

 どうやらナミは売るだけでなくロビンのことも考えていたようだ。確かに、女部屋にはベッドはひとつしかない。それもシングルサイズ。とても2人は入らないだろう。

 

 なるほど、だからあんなに落ち込んでいたのか。なんだかんだでナミは優しいな……自分用のが無くなって凹んでた自分が恥ずかしく思えてしまう。

 

 けど、確かにロビンだけにソファーで寝させるのは気が引けるな。なにかいい方法は……そうだ!

 

「ねえウソップ。まだ木材って残ってる?」

「ん?多分まだ残ってたはずだが」

「それじゃあさ……ゴニョゴニョ」

「……フンフン。いいなそれ!よっしゃ、それならこの器用なおれ様に任せとけ」

「ありがとうウソップ。俺も手伝うよ」

「なんだお前ら何かやんのか?」

 

 ゾロが俺達の話が気になったのかそう聞いてきた。

 

「な~に、少しの間待っておけって。すぐにわかるからよ」

 

 ウソップはどこか自慢気な口ぶりでゾロを焦らす。まあ、驚かせたいし勿体振る気持ちはわかるなァ。

 

 その後俺とウソップはウソップ工場で早速作業を始めた。

 

 そして、数時間後ようやく完成した俺達はある物を女部屋へ持ってきた。

 

 それを見た一同は驚く。

 

「あら、これは──ベッド?」

 

 ロビンが口を開く。そう、俺達が作っていた物はロビン用のベッドだった。

 

 それを見た皆は目を輝かせる。

 

「ウオーー!ウソップすげェ~~!」

「だろうチョッパー。まあ、おれ様の手にかかりゃちょちょいのちょいよ!」

「すごい、よくこんなもの作れたわね。でも、この寝具はどこから?」

「ああ、それは俺が昔使ってた布団だよ。ウソップが骨組みを作ってその上に俺の布団を被せたのさ」

 

 ナミの疑問に俺が答える。そう、説明した通りこれは俺がまだひとりで航海していた時に使用していた布団だ。

 

 最近は使っていなかったのでいい機会だと思いこのベッドの寝具に使わせてもらった。もちろん事前に洗濯はしたぞ。

 

 自分のベッドを見るとどこか嬉しそうな顔で見詰めるとロビンは俺とウソップにお礼をする。

 

「こんな素敵なベッド……ありがとう」

「気にしないで。ソファーで寝るのは体に良くないから」

「いいってことよ。おれ様の設計に不備はない!安心して寝るといいぜ!」

 

 俺達がそう答えるとロビンは嬉しそうに微笑むのだった。

 

 その日の夜。

 

「……アルガの使っていた布団…」

「ん?どうかしたのロビン?」

「いいえ……何でもないわ」

 

 ナミ曰く、その日の夜はどこかソワソワした様子で寝付くのが遅かったという。新しい寝床に喜んでくれたのだろうか?嬉しい限りである。

 

 因みに俺は若干嫌がるチョッパーを半ば強引に抱き締めて寝ていた。

 

 

 

 

『21話の途中 ゾロとの稽古事情』

 ウォーターセブンへ戻ったフランキーは新しい船を造始める完成するまでまだしばらく時間がかかる。

 

 なので、俺とゾロは海岸沿いで恒例の稽古を行っていた。ゾロの刀が一本折れているので今回はいつもと違い木刀を使用している。

 

「ホラどうしたんだゾロ!!動きが鈍いぞっ!?」

「グッ……!うる……せェ!!」

 

 お互いに相手の剣撃を避けるか捌くかしてやり過ごす。しかし、徐々にゾロが圧され始める。

 

「そんなもんじゃないだろ!刀をダメにして自信まで失くしたのか!!」

「……!!」

 

 すると、ゾロの勢いは増し攻守が逆転する。

 

「確かに"雪走"を亡くしたのはおれの驕りだ。だが、そのせいで立ち止まってたら……おれは刀を託してくれたあの親父さんに顔向けできねェ!!!」

 

 ゾロの猛撃は止まらない。そうだ、それでいい。お前なら迷いなんてブッた斬っちまえ!!

 

「ウォォオオオオオオッ!!!!」

「グアッ!?」

 

 そして、ゾロの振るった木刀は俺の木刀を空高くへと飛ばしてしまった。獲物を無くした俺は喉元に木刀を突きつけられる。

 

「ハァハァ……!遂に……もぎ取ったぜ。……一勝!!!」

「ハァハァ……。ああ、おめでとうゾロ……ホントに強くなったよ」

 

 ゾロは"雪走"の過去を乗り越え己の成長を実感すると強く拳を握り締めた。

 

 もちろん手加減なんてしちゃいない。そんなことをすれば間違いなくゾロは俺を軽蔑するだろう。互いに決してて手を抜かない真剣勝負。ゾロはその稽古試合で遂に勝星をあげたのだ。

 

「おれはひとつ決めていた事があるんだ」

「決めていた事?」

 

 ゾロはタオルで汗を拭い俺と向き合う。

 

「ああ、前に言ったよなお前。"覇気"を教えてもらいたきゃ俺に勝ってからにしろって」

「え……まあ、言ってたけど」

 

 空島でのことだろう。ゾロはニヤリと不適な笑みを浮かべる。

 

「言われた通りおれァお前から一勝を取った。なら、教えてくれるよな?」

 

 正直、ここまで強くなっているのならもう勿体ぶる必要もないだろう。それ程までにさっきのゾロは強かった。

 

「いいよ。"覇気"を教えるよ」

「ホントかっ!!この時を待ってたんだ!腕がなるぜ!!」

「ゾロなら多分"武装色の覇気"の方が適正高いと思うからまずはこっちから頑張ってみよう」

「おう!よろしく頼むぜアルガ!!」

 

 こうして、これからは稽古に加えゾロの覇気修得にも付き合うことが決まった。

 

 ゾロは喜ぶがこのままではいけないと気合いを入れ直す。自分の遥か先にいるある男の背中を見据えて。

 

 

 

 

『21話終了後 初めての優しさ』

 ロジャーの処刑から1年が経過した頃、ワノ国にとある海賊が攻めてきた。そんな緊急の知らせを受けた俺は「鈴後」に召集された。

 

 そこはまさに戦場。次々と仲間が倒れていく中、俺は一人別行動を取る。

 

 別に逃げようとしていたわけではない。ただ、近くで見てみたかったのだ。あの二人の戦いを。

 

 しかし、二人の決着は徐々に傾きその襲ってきた海賊はカイドウの手によって破られる。

 

 倒された海賊は最後の力を振り絞り能力を駆使してその場から逃げきる事に成功した。

 

 俺はそいつが逃げた先を知っている。

 

 なので、急いでそこへと向かう。行き着いた場所は墓地。ある剣豪が埋められている墓標の前だった。

 

 海賊はその墓標を堀上げ中からその剣豪の死体と刀を持ち出す。

 

 俺はその海賊の前に立ちこう言った。

 

 

「俺をここから逃がしてくれないか?」

 

 

 

 

「…………アアッ!!ハァハァ……夢?」

 

 俺は不快感と共に目を醒ますと一気に上体が起き上がる。周りを見渡すとまだ暗い。どうやら深夜に起きてしまったようだ。

 

 全身から汗が止まらない。服にベッチョリと汗が染み込み気持ち悪くなったのでシャワーを浴びようと部屋を出る。

 

「…………」

 

 そして、脱衣所に着くとへばり着く服を脱ぎ浴室に入りシャワーを頭から浴びる。出したばかりでまだシャワーは冷水のままだが、むしろ今はこっちの方がいい。

 

 今はそれ程までに己れに対し怒りで頭が沸騰しそうだったから。

 

 原因はさっき見た夢。俺が鬼姫様の従者となり日が浅かった頃だ。

 

 当時、俺は自分が助かるために何が最善かを考えていた。ここから抜け出すのは容易なことではない。だから、打算目的で鬼姫様へと近付いた。

 

 しかし、そんなある日海賊が攻めてきて俺の頭にもうひとつのプランが頭に浮かんだ。

 

 それは、襲ってきた海賊であるゲッコー・モリアについていくことでワノ国から……百獣海賊団から逃げ出そうと言うモノだった。

 

 結果としては失敗に終わったが……あそこで逃げきっていたとすれば今の俺は絶対に過去の自分を許さなかっただろう。

 

 今思えば腸が煮えくり返りそうだ。ただ己れの保身のためだけに他を犠牲にし自分だけ助かろうとするなんて……。

 

 ……まあ、言い訳になるだろうが正直あの頃は確かに自分のことで頭がいっぱいだった。誰かに純粋に気遣う余裕なんてなかった。頼れる人なんていなかった。

 

 当たり前だ。転生する前からずっとひとりだったんだから。……いや、()()()()()()()()()()()ってのが正しいのかもな。

 

 俺はシャワーを止めると脱衣所へと向かう。

 

 モリアがワノ国から退散した後、ワノ国から逃げる機会を逃した俺は戦場で傷付きボロボロの体だった。正直、もうここで死ぬんじゃないかとも思った。

 

 けど、その時だった。戦いが終わり傷付いた俺の元へ鬼姫様が現れビクビクと怯えたような、それでいてどこか心配そうな感じで近付いてき……俺の頬の傷に手を沿えてきた。

 

 

『大丈夫?イタくない?』

 

 

 この時、俺は人生で初めて純粋な優しさに触れた。

 

「そういや、ここからだったな。俺が鬼姫様を慕うようになったのは……」

 

 俺は着替えると眠気もすっかりなくなっていた。それならと思いサンジが起きてくるまでの間、朝食の準備だけでもとキッチンへ向かった。

 

 

『25話後 リューマの火葬』

 宴が終わり新たにブルックが仲間に入ったところで俺はみんなにひとつお願いする。

 

「ハ?あの侍をワノ国まで届けたい!?」

「うん……ダメかな?勿論あのままじゃないよ。火葬して遺骨だけでも故郷の土に眠らせてあげたいんだ」

 

 当然の反応に俺は付け加えて説明する。流石にあのまま連れてったら何らかの病原菌とかかかりそうだし。

 

 返答に渋るみんなだがそにゾロが意外にもフォローに入ってくれた。

 

「おれは構わねェぜ」

「ゾロ!」

「おれ自身、アイツにャ刀をくれた恩がある。これで恩返しができると思えば悪くねェ」

「おれも賛成~!ゾンビじゃなくて本物の侍にも会ってみてェし!」

 

 ルフィはリューマをどうこうと言うよりワノ国に行ってみたいだけっぽいが船長が賛成したことでみんなも納得した。

 

 ナミとチョッパーとウソップは渋っていたが最後に大きなタメ息を吐いて自身を納得させていた。

 

 そういや、3人はリューマに斬り倒されたんだっけ。峰打ちだけど。

 

「スゲェ恐いが……ルフィが決めちまったからなァ……せめて遺骨は男部屋意外で頼む」

「ああ、アイツの骨はおれが預かる。その方がアイツも納得するだろう」

 

 火葬後の遺骨はゾロのトレーニングルームで預かることが決まった。そして、早速フランキーが周りの廃材等を再利用し立派な火葬場を作った。

 

 火葬炉は勿論のことそれに入れる棺桶だけでなく火葬用の立派な設備が出来上がった。いや、短時間でこれはスゴすぎだろ。

 

「ウオッ!?スゲーのが完成してんな」

「ハハッ、見てて爽快だった。みるみる出来上がっちゃうんだもん」

 

 建設中にリューマの遺体を運んできたゾロはフランキーの建てた火葬場を見て驚く。一部始終を見てた俺もただ呆然と見ていることしかできず乾いた笑いが出る。

 

「アウッ!ゾロか丁度完成したところだ!そんじゃ早速始めようぜ!」

 

 こうしてリューマの火葬が始まる。参加するのは俺とゾロだけかと思ったが一味全員が参加した。

 

 まず、リューマの着ていた着物を浴衣に変え棺桶に入れる。そこへ各々手に持っていた花を棺桶に入れ蓋を閉じた。

 

 そして、何百度……いや、ヘタすれば千度を越える熱量を発する火床に棺桶を入れバチバチと燃える音が聞こえてくる。

 

 遺骨になるまでしばらく時間がかかるので各々それまでは自由に行動する。ルフィ、チョッパーは島の探検。ナミとロビンはローラ達の所へ。ブルック、ウソップ、フランキーはブルックの仲間の墓造りに。

 

 だが、俺とゾロは火葬炉の前から離れなかった。すると、隣にいたゾロから声をかけられる。

 

「ありがとよアルガ」

「え?ゾロ?」

「おれだけだったらリューマの遺骨をワノ国に届けようなんて思い付きもしなかった。刀を託してくれたがアイツだってここじゃなくて故郷の土で眠りたい筈なのに……」

「……だからさっき遺骨は自分が預かるって言ったの?」

「ああ、そうしねェと不義理もいいところだろ。だからアイツの事はおれに任せてくれ」

 

 そういってゾロは俺を真っ直ぐな目で見てくる。俺もゾロの意思を汲んで頷いた。

 

「なら、しっかり届けろよ」

「ああ」

 

 そうして俺達は遺骨に燃え尽きるまでの間ずっと火葬炉の前から動かなかった。排気口から沸き出る黒い煙を見つめながら。

 

 

 

『27話後 新生の悪魔の実』

 アルガ君や他の仲間達を別々の場所へ飛ばしたおれは対白ひげ海賊団との戦いに備えベガパンクの研究所にて最後の調整を行っていた。

 

 シャボンディでは色んな人たちに迷惑をかけてしまった。妻と娘を任せたアルガ君に知り合いの戦桃丸君と黄猿さん。

 

 特にあの二人からは麦わら達を逃がした事に対して「説明はあんだろうなァ?(汗)」とか「これは大問題だよォ(汗)」と心配させてしまった。悪い事をしたなァ。

 

「何を想い耽っておるか知らんが改めてプログラムした内容を確認するぞ?お前の最初の任務は"白ひげ海賊団"との戦い。その後、一味の誰かが来るまでの間"麦わら"の船を守る。これでいいんじゃな?」

「ああ、宜しく頼む」

「それにしても余程入れ込んでおるようじゃな。まあ無理もない……まさかあの麦わらがお前の探し求めていたニカじゃったとはな」

 

 ベガパンクは何かのコンピュータを操作しつつそう呟く。

 

 彼がニカについて知っているのは以前おれがスリラーバークを出た際に伝えたからだ。ベガパンクも話を聞くと興味津々で聞き入りその後は独自で色々と調べていたと言う。

 

「古い文献によるとその者は他に"白い戦士"とも呼ばれており身に纏うもの全てが真っ白だったと記されておった。今の"麦わら"はそんな姿ではないがあの記述が"動物系(ゾオンけい)"による変身だとすればいずれ見られる機会はあるじゃろう」

 

 「そもそも……」と言葉を詰まらせ難しい顔になる。

 

「"ゴムゴムの実"なんてものは古い「悪魔の実図鑑」には載っておらんかった。大方、世界政府が不都合と判断しその実の名を消して後から改名したんじゃろうな」

 

 世界政府がわざわざ名を変えようとした実……。世界政府にとってニカは何なのか。おれの家系はニカを信仰していた。きっと無関係ではない筈だ。

 

 おれにもっと自由な時間があれば知る事もあったのかもな。

 

「麦わらもそうじゃが、私が何より気になっておるのはその仲間でありお前の友人であるアルガという男じゃ」

「アルガ君?彼がどうしたって?」

 

 意外な名を呼ばれおれはつい聞き返してしまう。確かにニカについて教えてくれたのは彼だ。その根拠も自身の食べた実の能力を教えて貰い納得している。

 

 彼が何だと言うのだろうか?

 

「この際どこからニカの情報を得たのかは置いておこう。それよりも気になるのはその者が食べた悪魔の実についてじゃ」

「彼の悪魔の実が何なんだ?」

「これまで死後その魂が黄泉の国から再び現世に降り立つ能力は"ヨミヨミの実"以外に発見されておらん。事実、こちらも古い「悪魔の実図鑑」にすら載っておらんかったからな」

「そうなのか?」

 

 ベガパンクはそうじゃと頷く。

 

「なぜ今になってその実が現れたのか……考えられる可能性は二つ。一つは今まで誰にも見付かることがなかった物を偶然発見した。しかし、これは正直いって可能性が低い」

「ニカと同じで政府が情報を消したんじゃないのか?」

「いや、それもないじゃろう。政府に存在を消されたニカの情報でさえこうして調べれば出てくるが……"ツギツギの実"の情報はその名は愚か能力に関する情報が全くない。まるで最初っからそんな実など存在しなかったように」

 

 世界一の頭脳を持つ男がそこまで言うとは……。

 

 それ程までに彼の実はスゴいものだったのか。おれも"ヨミヨミの実"のような甦る能力の実があるのは知っていた。だから彼の能力もただの悪魔の実だと思っていたがどうやら違うようだ。

 

「そこで二つ目じゃがこっちが本命だ。それは"ツギツギの実"が最近になって生まれた新たな悪魔の実という可能性じゃ」

「新しい悪魔の実だって」

「そうじゃ、少し前にお前には私の仮説を聞かせた事があったじゃろう?」

「あ、ああ……」

 

 ベガパンクの言う仮説とは悪魔の実の誕生について。万物は望まれてこの世に生まれる。悪魔の実もそう、誰かが望んだ「人の進化」の"可能性"だと言っていた。

 

 ゆえに、その"能力者"とは誰かが思い描いたいくつもの異次元を生きる者達とも……。

 

「異次元を生きる者とてその世界の時は流れる。"転生"……と呼べばよいか?それを望む者が今の時代になって現れたと考えれば合点が行く。新たに誕生した実……まさに"新生の悪魔の実"と呼べよう」

「異次元の者が望んだ、新生の悪魔の実……か」

 

 もはやスケールの大きさが違い過ぎて漠然とした考えしか浮かばない。それにしても"転生"か……。

 

「生まれ変わりたいと願う気持ちは分からんでもない。おれ自身昔はそんな事ができたらと考えたこともあったからな。……でも、今では十分幸せに生きている。これ以上を願うとバチが当たりそうだ」

「本当にお前は欲がないのー。……私からすればお前にはもっと幸せにしてやりたかったわい」

 

 「スマンな」と申し訳ないように謝るがとんでもない。貴方に会えたからジニーとボニーを救う事ができたんだ。感謝しかないよ。

 

 でも……ほんの少しだけ、欲を言って良いのなら───

 

『諦めないで欲しい。その受け入れた兵器の運命からいつか必ず"解放"してみせる!!』

 

「ふふ」

「何じゃ突然笑い出しおって」

「いや何……もしもの未来を想像しただけさ」

 

 そうしておれは最終調整の為に施術台の上に寝転がった。

 

 

 

「あ……ところで"ヨミヨミの実"と聞いて思い出したんだがアルガ君が新しく迎え入れる仲間がその能力者と言っていたな」

「何とっ!!既に能力は発動しておるなら是非聞かせてくれっ!その者の体はどうなっておった!?生前と同じく生命活動はしっかり維持しておったか?死後の変化によってどこか欠損跡などあったか?」

「欠損と言うか……死後白骨化してから甦ったからかガイコツの状態で生きている。アルガ君もこれは能力の正しい使い方なのか?と聞かれたよ。貴方なら何か知らないか?」

「知らん……何それ……怖……」

 

 

 

 

『30話前 サボの記憶』

 エースの公開処刑から時を遡ること数日前。事前に打ち合わせをしていた俺はくまさんに飛ばされ革命軍の総本山、"バルティゴ"へ来ていた。

 

 革命軍の本拠地に着いた最初こそは警戒されたが当時"南の海"で知り合ったコアラた……さんとハックさんが来てくれたお陰で事なきを得た。

 

 ここへ来た経緯を説明すると中を案内してもらい応接室で待っててほしいと言われ待つこと10分程……俺の会いたかった人がやって来た。

 

「お久しぶりです。ドラゴンさん」

「久しいなアルガよ。つい先日君達がシャボンディで犯した事件は新聞で知っている。故にその君がここにいると聞いた時はおれも驚いたよ」

「色々ありまして」

「ああ、コアラから聞いた。くまの能力なら納得だ。して、話を聞こう……何やら急いでいるらしいじゃないか」

「はい、実は───」

 

 俺はドラゴンさんに説明した。これから起こる頂上戦争にルフィが必ず参加すること。その理由はそこで行われる公開処刑の罪人が幼い頃盃を交わした義兄弟だと言うこと。

 

 そこまで説明して俺は頭を下げた。

 

「お願いします!!どうか俺に力を貸してください!!!」

「ふむ、ルフィが……」

 

 ルフィの名前を呟くと暫く考える素振りをする。まさか今世界中で騒がれている戦いに自分の息子が行くとは思いもよらなかったのだろう。少し悩んでいる顔をしている。

 

 そこへガチャリとドアが開くと一人の男が現れた。

 

「あ、コアラが言った通りここにいた。ドラゴンさん、任務を終えて無事戻りましたよ」

「コラ、勝手に入るんじゃない。おれは今立て込んでいる。後、任務ご苦労。暫くは休んでていいぞ」

「はーい!君、急に入ってきてすまなかったな。おれは──」

 

 彼を見た瞬間、俺は呆然と立ち尽くすしかできなかった。だってその男は──

 

「サボ……さん……」

「ん?何だおれの事知ってたのか。そう、おれはここで参謀総長を務めている。宜しくな」

 

 そう言い残しサボさんは部屋から出ていった。すると俺の様子を見ていたドラゴンさんが尋ねる。

 

「アイツがどうかしたのか?」

「ええ、これはドラゴンさんには話さなければなりません。お願いする上でこれは重要な事だから……」

 

 こうして俺とドラゴンさんとの話しは続いた。計画を実行するために……。

 

 

 

 

 

 任務を終え"バルティゴ"へ帰還した翌朝、おれは皆が集まる会議室へと足を運んだ。

 

「ふあ~、よく寝たァ。ヨオ、おはよーコアラ」

「もう!サボ君遅い!会議始まっちゃうよ!」

「悪ィ悪ィ、久々にゆっくり寝れたもんだからからつい」

「全く……あ!ホラ始まるよ!」

 

 後からドラゴンさんが入ってきた事で他の皆も気を引き締め直す。だが、何故か昨日ドラゴンさんと一緒にいた男もいる為皆は疑問に思い注目した。

 

「今回、君達に聞いてもらいたいことがある」

 

 皆の視線が集まる中、ドラゴンさんは話し始める。数日後に行われる火拳のエースが公開処刑されるマリンフォードにこの男を連れて行って欲しいとの事。

 

 なんでも、その男は最近噂されている海賊"麦わらの一味"でありその船長が戦争に参加するかららしい。正直言うと何でおれ達が?と皆思ったがなんとその船長である"麦わらのルフィ"はドラゴンさんの実の息子だと言う信じがたい事実を教えられた。

 

 全員驚き口が開いている。おれだってそうだ。まさかあのドラゴンさんに息子がいたなんて……。

 

「これは完全におれの私情だ。だから強制ではない。それでもいいと言う者がいれば教えてくれ」

 

 ドラゴンさんが言った通りこれは私情から来る頼み。普通に考えれば敵の本拠地であるマリンフォードには行かないだろう。しかし──

 

「私はいいよ!アルガ君困ってるんでしょ?だったら助けるよ!友達だもん!」

「まあ、そうだな。私も行こう。元とはいえ弟子を一人で行かせはせん」

 

 コアラとハックを皮切りに次々と行く者が続出する。彼と知り合いだからと言うのもあるだろうが、それ以上にドラゴンさんの人徳があってこそだろう。

 

 そして、コアラ達が行くんだったら勿論おれも行くつもりだ。そうして会議にいたほとんどの人達が行くことに決まった。

 

 皆がマリンフォードに向けて準備をし昼の時間になった頃……。

 

 

 おれの運命を大きく変える出来事が起きた。

 

 

 世界中の情報を集める諜報員からひとつの情報が送られてきた。

 

「え……『火拳のエース死亡』。……処刑が早まり、既に処刑された……だと」

 

 それを聞いた全員が驚いていた。それはそうだ。今まさにおれ達が向かおうとしたところへこの凶報……皆のやる気に満ちていた気迫が薄れていく。

 

──ドクン……ドクン……

 

 そんな中、おれは……妙な胸騒ぎが起きていた。何故かは分からない。だが、名前と共に処刑されたと言う言葉におれの心臓は跳ねたように高鳴る。

 

──ドクン!ドクン!

 

 落ち着け、いったいどうしたんだ?奴の名前がどうしたって言うんだ。言っても面識なんて無い男じゃないか。

 

『おれは海賊になって……』

 

 …………本当に?

 

──ドクンッ!ドクンッ!

 

『"大海賊"になって見返してやんのさ!!』 

 

「っ!!……ハァ……ハァ!ハァハァ!」

「サボ君!?どうしたの。様子が変だよ!?」

 

 誰かが声をかけているが耳に入らない。それ程までにおれの心臓の鼓動はうるさく高鳴っていた。

 

 そして、次第におれの脳裏には記憶に無い思い出の様なモノが現れる。そこでおれはもう一度諜報員が用意してきた記事を見た。

 

 そこには火拳のエース死亡と共に載せられている彼の写真。それを見た瞬間───

 

「あっ……ああっ……!!」

 

『お前ら知ってるか?盃を交わすと"兄弟"になれるんだ』

『これで今日からおれ達は"兄弟"だ!!!』

 

───全部……思い出してしまった。

 

「うあああああああああ~~~~!!!!」

 

 死んだのはどっかの……知らねェ海賊なんかじゃない……。

 

 奴は……エースは……おれの大切な兄弟だった。

 

「サボく……!?大丈……!アル……どう……!」

「ごめ……安心し……荒治療……これ……」

 

 薄れ行く意識の中、ぼんやりと周りの声が聞こえ……おれの前は真っ暗になった。

 

 

 

 ………………………………。

 ……………………。

 …………。

 

 ここは……っ!?おれは今まで……っ!!

 

 意識が覚醒したおれはガバッと勢いよく起き上がると近くにいたコアラが号泣する。

 

「よがっだよォ~!サボ君が起ぎだよォ~!」

「コアラ……おれは今まで何を?」

 

 おれの質問にコアラは泣きながら説明してくれた。まず、マリンフォードに着く前におれの失っていた記憶を呼び起こす為に荒療治を行ったらしい。

 

 その荒療治と言うのが、エースが死んだと嘘の情報を与えるショック療法だったらしく物の見事におれは思い出せたようだ。

 

 なるほど……アイツがおれの記憶を……。

 

「でも、戦争が始まってもサボ君が目覚めないから私心配で……!」

「そうか、それで今の戦況は?」

「火拳のエースは無事救出されたよ。でも、今海軍大将が……ってサボ君どこへ?」

 

 戦況を聞きおれはすぐに立ち上がって帽子を被る。そして、歩き出したおれをコアラは心配な様子で聞いてくる。

 

 だからおれは笑って答えた。

 

「ああ、ちょっと……大切な"兄弟"を助けにな」

 

 

 

 

『31話後 誓いの手紙』

 シャボテンディで仲間達と離ればなれになってしまった私は飛ばされた先で革命軍と接触し革命軍の本拠地"バルティゴ"へ向かっていた。

 

 その道中でルフィの記事が載った新聞を読み約束の集合は2年後とメッセージを受け取る。2年もあれば色々できる。いずれ会える仲間のためにも私はここで成長すると決心した。

 

 数日後、"バルティゴ"へ着くと丁重にもてなされた。悪い気はしないが何か落ち着かない。そう思っていた時、客室のドアが開く。

 

「あなたがルフィ君のお仲間さん?」

「ええ、そうよ。私はロビン、貴女は?」

 

 入ってきたのはひとりの少女と魚人だった。

 

「私はコアラ!革命軍で魚人空手の師範代をしてるの!こっちの恐い顔はハック。同じ魚人空手の使い手でスゴく強いの!」

「恐い顔て……」

 

 自分の紹介に少し不服そうだが彼女はそんなこと一切気にせず話を続ける。

 

「実は私達、同じ仲間のアルガ君と小さい頃からの友達なんだ!だからロビンさんとも仲良くなろうかなって思って!」

「アルガの……?」

「ああ、コアラの言う通り昔からの仲でな。かつては彼にも魚人空手を教えたものだ。途中で辞めてしまったがな」

 

 ここに来て彼の名を聞くとは思わなかった私は驚く。そういえば、ウォーターセブンで革命軍と繋がりがあるって言ってたわね。

 

 それじゃ、この子達が……。

 

 その後はアルガの話をしたりして盛り上がってしまった。

 

「それでなんですが、ハックや他のメンバーには普通に話すのに何故か私だけずーっと目を反らしちゃうんですよ」

「ん……?」

 

 ……だが途中、始めて会った時のこと等を話していると何故かアルガはコアラに対してだけやたらと緊張していたと聞きその事に対してかなり気になってしまった。

 

「えー、ロビンさんの時も普通だったんですね。何で私だけあんな感じだったんだろ?」

「フフ、まあ彼にも事情があるんじゃないかしら」

 

 しかし、だからと言って動じたりはしない。何故なら私は知っているから。

 

 アルガは仲間のようないつも一緒にいる近しい人には呼び捨てするが、一定の距離を保っている相手には決まってさん付けしている事を!

 

 彼女のように会えるどころかたまに連絡するかどうかの距離の相手は間違いなくさん付けの筈!ならば何も気にすることなど……。

 

「お陰で呼び捨てして貰えたのもここ最近の事なんですよ?それでも未だに顔をロクに見てこないしコミュニケーションとるのも一苦労で!」

「…………ピクッ」

 

 何……ですって……。

 

「まあ、お願い事とかあればスゴい勢いで聞いてくれるんですけどね。この間なんて……」

 

 そういい彼女は1枚の手紙を取り出した。それを見て私は固まる。

 

「それは……ひょっとしてアルガから受け取ったの?」

「うん!そーなんだー!以前、彼が"東の海(イーストブルー)"に行く前に私が(アーロンさんへの)手紙を渡してて」

「貴女から手紙を!?」

「うん!それで、この前アルガ君が(ハチさんの)手紙を持ってきてくれて……!中身を読んでたら嬉しくて涙が……」

「まさか、貴女も私と同じ……!?」

 

 手紙を読んで泣くなんてあの時の私と同じじゃない。いったいどんな内容だったのかしら……?

 

「え、ロビンさんも同じって?」

「まあ、こういう事かしら」

 

 そういい私も懐から1枚の手紙を取り出した。

 

「随分年期が入ってそうな手紙ですね。これをアルガ君から?」

「ええ、かなり昔にね。色々あって今ではボロボロになってしまった。でもこれは私にとって大切な物だから」

 

 この手紙は一度ウォーターセブンで仲間と決別した際に彼へ返した物だ。しかし、エニエス・ロビーの一件を終え全てを取り戻した後に皆で楽しんだ宴の時に……。

 

『ああ、そうだ。これ返すよ』

『これって……』

『全く、酷いじゃないか。これを返して仲間だけじゃなく友達の関係も消そうとしたんでしょ』

『それは……』

『けど、生憎と俺はロビンとの繋がりを絶つ気は一切ない!!よってこれは返す!ボロボロになってもずっと持ってたって事はそれだけ大事にしてたんでしょ?ならこれからも大事に持っててよ。その方が俺も嬉しいしさ』

『アルガ……』

『確かに返したからな。そんじゃやけ酒開始だァー!!もう今日は色々忘れたい事が多過ぎるんだよコンチキショウめェ!!!ングッ……ZZZ』

 

 あの時の会話を思い出しクスッと笑ってしまう。その様子を見ていたコアラも何だか嬉しそうに笑う。

 

「誰かから受け取った手紙ってなんだか大事にしたくなっちゃいますよね!その気持ち分かります!」

「フフ、そうね」

 

 この子……いい子だわ。

 

 お互いの意見が一致し一緒に笑い合う。そして私は改めてこの手紙に誓った。

 

 今後はもう逃げたりはしない。これから先何が起ころうとも仲間のために闘い抜く。その為にも私はここで強くなってみせる。

 

 それに……。

 

 

『今の俺のレベルではこの先の海には通用しないだろう。そう遠くない未来で俺は……いや俺達は"新世界"の壁にぶつかる。だが、数年後の俺達は今とは比べ物にならないぐらい強くなってみせる。くまさんを救うのは……その時だ』

 

 

 スリラーバークで言っていた彼の言葉を思い出す。

 

 貴方が言っていたのはきっとこの事なのよね。なら、一味の中で唯一この約束を知っている私は彼が約束を果たすのを見届ける義務がある。

 

 だから、再会したらまた貴方の淹れたコーヒーを飲みたいわ。ねえ、アルガ。

 

 

 

 …………それはそうと2年後再会したら貴方にはコアラの件について色々お話ししないといけないわね。ねえ、アルガ?




捕捉 : コアラとロビンの初対面はこんな感じですがアルガの昔話などで盛り上がり原作みたく仲良くなります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。