あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
長い間投稿できず申し訳ありませんでした。
そして、気付けば総合評価10,000tp突破!!!
皆さんのお陰ですありがとうございます!!
長期休載のお詫びと総合評価10,000tp突破を記念して本日は2話投稿+ワンシーン追加の3本立てでお送り致します。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


26話 友達を傷つける奴は許さない 上

 スリラーバークでの一件が過ぎ新たにブルックを仲間に迎え入れた俺達は愉快に"偉大なる航路(グランドライン)"を航海していた。

 

 そして、とうとう"偉大なる航路(グランドライン)"の折り返し地点である"赤い大陸(レッドライン)"に到着したのだが肝心の魚人島への行き方がわからず立ち往生していたところ、襲いかかってきた海兎の口から食べられていた人魚のケイミーと出会う。

 

 助けてもらったお礼にたこ焼きをご馳走すると言いそこへ丁度所持していた電伝虫から連絡が入ったので受話器を取るがケイミーの思っていた者と違う声が聞こえ驚く。

 

 声の主は人攫いを生業としているマクロ一味のマクロであり、店主をトビウオライダーズが連れ去ったとマクロが笑いながら連絡してきた。

 

 近くに店主もいたようでこれは罠だ!来ちゃダメだ!と騒ぐも殴られた音と共に連絡はそこで途絶えた。

 

「はっちん……!」

「たこ焼きは?」

「「そんな事態かい!!!」」

 

 あまりに空気の読めないルフィの一言にサンジとフランキーがツッコミで蹴り殴りする。

 

 うん、流石に今のはないと思うぞ。サイコパスかよお前……。

 

 まあ、それは置いといて……。

 

「マクロ一味か……」

「どうかしたの?知ってる奴らとか?」

「えっ……いや、別に何でもないよ」

「あらそう?」

 

 俺の呟きが聞こえたのかナミがそう尋ねてくるが俺はついそっけない態度をとってしまい場を離れる。

 

 ダメだな。この展開は知ってたけどいざ直前になるとどうしても込み上げてくるものがある。少しだけ席を外そう。

 

 そう考え俺はスタスタと甲板の方へ行く。その様子を見ていたナミは首を傾げる。

 

「……?ああは言ってたけど……何だか恐い顔してたわねアイツ……」

 

 

 

 

 そんなこんなで船の進路をトビウオライダーズのアジトへ変更し船を進めた。途中、空からトビウオライダーズの連中が襲ってきたがすぐに撤退しアジトへ戻っていった。

 

 俺達もすぐ後を追いかけアジトへ到着すると海上のど真ん中に檻が吊るされており中に真っ黒な魚人がいた。

 

 その姿を見てルフィを除く東の海(イーストブルー)組はほぼその正体を確信していた。一応念のためにサンジがカマをかけるとタコの魚人ことハチはうっかり引っ掛かり自ら正体をバラしてしまう。

 

 ハチだとわかると事情が変わる。約束した手前申し訳ないけどと言った感じでみんなはハチ救出にノリ気になれなかった。

 

 そんな俺達に痺れを切らしたケイミーとパッパグは二人だけで海に潜りハチ救出へと向かう。

 

「はっちん!見捨てないよっ!」

「待ってろハチィ!!」

「捕まえたぞケイミ~!!」

「きゃ~~!」

「うわーー!」

「口程にもねェとはおめェらの事だァ!!!」

 

 でも、3秒と経たずに二人とも捕まる。あまりのスピード確保についウソップもツッコミが入る。いや、知ってたけどはえーな捕まんの。

 

 そこへ流石にケイミーが捕まってしまうのは看過できなかったサンジは助けようと動いたその時、ナミがみんなに告げる。

 

「待ってサンジ君。いいわ、ハチも解放しましょ」

「え!?」

「ハチは大丈夫!実は無害な奴だから。……だってこれじゃケイミーとの約束が違うもんね!」

「んナミさァん♡」

 

 ナミの言葉に最初は驚いたサンジだったがすぐにナミの優しさに改めて惚れ直しメロリン状態になるサンジ。

 

「ルフィ!」

「おめーがいいんなら仕方ねェ!タコッパチも助けよう」

「目がタコ焼きなんですけど!?」

 

 ルフィはむしろ待っていましたと言わんばかりのハチの救出にノリ気を出していた。まあ、ウソップの言う通り理由は完全にタコ焼き目当てなんだけどね……。

 

「野郎共!!戦闘だァ~~!!!」

『うおお~~~~!!!』

 

 こうして、俺達"麦わらの一味"VS"トビウオライダーズ"との戦いが始まった。

 

 ルフィがケイミーとパッパグを奪い返しアジトへ着地するが物珍しい巨大トビウオに目を輝かせ捕まえようとし海に潜りそのまま溺れてしまう。オイこらルフィ……。

 

 ルフィがいなくなってしまった事でケイミーとパッパグが無防備となってしまいマクロ一味がケイミーに再び襲いかかる。

 

 しかし、ゾロが檻を斬りハチが自由の身になるとマクロ一味は焦り始める。致し方なしに三人係でハチを倒そうとした時──。

 

──ザッパァァアアアン!!!

 

「「「ウワァアアアッ!!?」」」

 

 マクロ一味の目の前に突如強い衝撃が放たれそれにより大きな水飛沫と共にアジトの居住区に打ち上げられてしまう。

 

「くっ、くそっ!いったい何が起きやがった!?」

「俺だよ」

「アアン?」

「てめェらの相手は俺だって言ってんだよ」

 

 マクロ一味の前には既に居住区に乗り込んでいた俺がいた。因みにさっき打ち上げたのは俺の仕業だ。

 

「ニュッ!お、おめェ……ウッ」

 

 俺がハチの方を向くと少し怯えたように目を逸らす。まあ、ハチは俺とアーロンとの一件を見てたからバツが悪いんだろうな。

 

 実際今も俺はハチに対して穏やかな感情を持っていない。だが、今はそんな状況じゃないよな。

 

「……ハア。アイツらは俺が相手しとくからお前はケイミーを守ってろ」

「ニュ、ニュー!スマネェ!恩に着る!!」

「オイ角。ケイミーも大事だがおれも忘れずに頼む」

 

 あ、ごめんパッパグ。

 

「モハモハハ!ハチの野郎がいねェのなら好都合!まずはテメーから片付けてやる!!」

「アウアウ!人魚も売れるがお前みたいな若い男も売れっからn──ぶっ!!?」

「御託はいい。ここじゃ何だから場所を変えるぞ」

 

 アイツらの言動に耳が腐りそうだったので遮るように口元を押さえ込みそのままぶん投げる。途中、アジトの建物を幾つかぶち抜いてアジトの裏側まで吹き飛んでいった。

 

「なっ!?こんな下等種族にまさか──っ!!?」

 

 仲間のひとりがぶっ飛んでいったところを見て動揺している隙に金棒ですかさず残りの二人も同じ方向へぶっ飛ばす。

 

 もちろん手加減はしている。だってこんなんで終わってしまったら……。

 

「制裁ができないからなァ」

「グッ!見誤った。まさかこんなに強ェ奴がいたとはな」

 

 吹き飛んだ方向へ行くと既に三人は立ち上がっており俺を見て警戒を高める。俺は辺りをキョロキョロと見渡し確認する。

 

「ヨシ、ここなら邪魔も入らなそうだな。トビウオライダーズはルフィ達に任せて……お前ら、覚悟しろよ」

「アアン!?随分とデケェ口叩くじゃねェか人間の分際でよォ!!」

「上等だ!おれの魚人空手の餌食にしてやる!!」

「いいや、まずはおれの新開発した"金魚剣術"で海を血で染めてやるぜ──ムン!!」

 

 そういい一斉に襲いかかる。まず剣を持ったデメキンの魚人……えと、確かギョロだっけ?が正面から斬りかかってくる。

 

 剣には剣を……と思ったが別に素手でいいかこんな奴。

 

 俺は迫ってくる剣に掌を添えた。

 

「”竜鱗掌底(りゅうりんしょうてい),,!!」

「ぬっ!?弾かれ──」

「”朧突(おぼろづ)き,,!!!」

「グヘェッ!!?」

「ギャロ!!?」

 

 あっという間に仲間のひとりが膝から崩れ落ち倒れるとそれを見ていた二人は驚く。

 

 あ、そうやギャロだったなコイツ。ギョロ目だったから間違えた。

 

「気を付けろ!やっぱコイツただ者じゃねェ!!」

「ああ、それにコイツが今使った受け技……「魚人空手」の”鮫肌掌底(さめはだしょうてい),,に似ていた。偶然か?」

「おっ、よくわかったな。実は昔、「魚人空手」を習う機会があってな。似てんのはその名残だ」

 

 あんま適性がなかったのか「魚人空手」の真髄までは極めることが出来なかったんで技術は基礎の構えだけでそこからは独学の武術になったんだけどね。

 

 教えてくれたハックさんには申し訳ないけど覇気纏ってぶん殴る。これぐらいのシンプルさが俺には合ってた。力こそパワー!

 

「だったら武術家同士どっちが強ェかハッキリしてやるぜ!!オラッ──硬っ!!?」

 

 今度はアロワナの魚人が正拳突きをするが俺の武装色で覆った額を殴り逆に殴ったハズの拳の方がダメージを負う。

 

「おい、ホントに今のが「魚人空手」か?アーロンの拳の方が重かったぞ?」

「ア、アーロンだとォ?んがっ!!?」

「タンスイ!?」

 

 アーロンの名が出て眉を寄せ動揺したのか少し怯みそこを逃さず俺は相手の鳩尾に一撃入れる。するとタンスイと呼ばれた魚人は両手で鳩尾を押さえ前のめりに倒れた。

 

 残るは自分ひとりになってしまったマクロは冷や汗を流し少しづつ後退する。

 

「グッ、くそォ……」

「安心しろよ。手加減はしてある。二人とも辛うじて意識は飛んでいない」

「な、なんだと……?」

 

 マクロは二人を見ると確かに倒れているが痛みで悶えている様子を見て気絶していないことに気付く。

 

「何で……俺がわざわざこんな事をしたのかわかるか?」

「ハア?知るかよそんなもん!!」

「それはな──タイガーさんの想いを踏みにじったお前らに制裁と説教をするためだよっ」

「なっ!?何故テメーがタイガーのお頭の事を……!?」

 

 マクロは思いもよらなかった者の名を聞き驚くが俺は気にせず歩み寄る。正直、そろそろ限界だった。

 

「奴隷解放で英雄だったタイガーさんの下にいたお前らが今では立派な人攫いとか……フザケてんのか?」

「ぐっ!うるせェ!!」

 

 マクロは逆上したのか無作為に俺に向かってきて拳を振るう。だが、そんな隙だらけな攻撃なんて食らうハズもなく簡単にカウンターを決めた。

 

「ふぎっ!!グォォォ……」

「痛いか?だがな、もし今のお前らをタイガーさんが見たらもっと辛くなるし心も痛めるんだぞ?」

「テ、テメーなんかに……!!」

「もちろん、タイガーさんだけじゃねェ。お前らを大切に思っていたコアラも裏切った事になるんだぞ?わかってんのか!!」

「っ!?コアラの事まで知ってんのかよ……」

 

 俺は膝を着いたマクロを胸ぐらを掴み睨み付ける。

 

「当たり前だ。だからイラつくんだよ!その二人と一緒にいたお前らが……何でこんな事やってんだよっ!!!」

「ぐえ……だ、黙れェ!!テメーにそんな事言われる筋合いはねェ!!この部外者がよォ!!」

 

 当時、その場に居合わせなかった俺はお前らにとって確かに部外者だろうよ。だけどなァ……!!

 

「アーロンにも言った事だがな!お前らがそんな事をすればする程タイガーさんとコアラの想いを踏みにじる結果になんのがわからねェのかよ!!!」

「っ!!う、うるせェ!!んなこたァわかってんだよ!!だけどなァ!先に裏切ったのはお前ら人間の方だぜ!!」

「なんだと!」

 

 マクロは俺の手を振りほどき涙を滲ませ反論してくる。

 

「おれ達だってコアラは好きだったさ!別れの時もおれ達ァ三人で涙を流すぐらいな!!だが!その後すぐに人間共に裏切られタイガーのお頭は死んじまった!!他でもねェお前ら人間のせいでな!!!」

 

 己の反論は止まることなく畳み掛ける。

 

「確かにお頭の過去は聞かされたさ!だが、だからこそおれ達ァその報復として人間共に味わわせてやるのさ!!お頭と同じ苦しみをなァ!!それがワリィってのかよ!?」

 

 マクロの主張はわかる。アーロンも似たような感じだったからな。だが……アーロンと本音をぶつけ合った俺だからこそマクロのある違和感に気付いた。

 

「確かにお前らが人間への憎しみの感情があるのはわかった」

「だろう!」

「だけど……」

「ン?」

「憎しみとか関係なく今のお前らは人攫いをやってるだろ」

「ハ、ハアッ!?」

 

 お前らからはアーロンの時に感じた純粋なまでの人間への憎悪が感じられないんだよ。少なくとも人攫いは憎しみ云々関係なく嬉々として行ってやがる。

 

「そ、そんな事ァねェよ!!おれ達ァ人間への報復として……!!」

「じゃあ聞くが……何でケイミーやハチのような同種も拐って売り捌こうとしてんだ?」

「ウッ!そ、そりゃ……」

「憎しみからってんなら普通同族のケイミーやハチを売ろうとなんてしねェよなァ!確かお前ら言ってたな?「人魚は高く売れる」とか「タコの魚人は珍しいから高く売れる」とかよォ……!!」

 

 言葉がつまりマクロの勢いが止まる。つまりそういう事なんだろ。

 

「大方、最初こそ恨みから始めたんだろうが続けていく内に憎しみから金への欲望に変わったんだろ?」

「べ、別にそんなんじゃ……」

「アアッ!?何が違う!?タイガーさんを免罪符にして自分を正当化しようとしやがって!!!」

「ヒィ!?」

 

 とうとう俺の勢いに呑まれたマクロは俺を見て畏怖を覚える。全身を震わせているが……俺は止まるつもりはねェぞ。

 

「お前らを裏切った奴らは当然悪い!だけどそれで人攫いをやっていい理由にはならねェんだよ!!そういった負の連鎖で犠牲になった奴がどんな人生を歩むか知ってんのか!?」

 

『無駄だよ。あんた達が何をしようとアーロンの統制は動かない』

『ノジコ!ナミ!大好き♡』

『…………はやく自由になりたいよ。ベルメールさん……!』

 

 俺の脳裏にその負の連鎖によって生まれた犠牲者達が過る。

 

 

「俺の仲間にもその連鎖によって悲しんだ奴がいる!!今でこそ心から笑えるようになったが当時まだ幼かったその少女が大切な人を失いどんだけ悲しんだか……!!!お前らそんな悲しみをホントに理解してンのかよ!!!!」

 

 

 言いたいことを言い終えると俺は拳を振り上げる。何をされるのかを察したマクロはやめてくれと懇願するが躊躇なく拳を振り下ろした。

 

 その後、残りの二人にもトドメを刺し全員白目を向いて横たわる。完全に気絶しておりしばらくは目を醒まさないだろう。

 

 倒れた三人を冷めた目で見下ろす。

 

 仮にさっきコイツらが言ってた通り人間への報復で人攫いを続けていたとしても……ケイミーを何度も拐おうとしたコイツらは許せない。

 

 どんな理由があっても俺は友達を傷つける奴は許さない。

 

「しばらく反省してやがれ。っと、そろそろ向こうも終わりかな?」

 

 途中で”ガオン砲,,の衝撃音が聞こえてきて今はさっきまでの激しい戦闘音が聞こえない。どうやら決着がついたようだな。

 

「おーーいアルガ~?どっこだァ~~?」

 

 それどころか戦闘を終えて遠くから俺を探す声が聞こえる。いっけね、早く戻らないと。

 

 こうして、俺とマクロ一味の戦いは終わりサニー号へと帰るのだった。

 

 

 その時、マクロ達の怒りや戦闘が終了したことで"見聞色"を解除していた俺は近くにいたひとりの影に気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 アーロンの支配から解放された翌日、海軍がアーロン一味を連行した。

 

 海賊であるわたし達は島に海軍がいる間はなるべく離れた場所に身を潜め(嫌がり食事を続けるルフィはボコッて強制連行し)軍艦が去っていってからゲンさんに聞くと無事引き渡されたと言われ安心した。

 

 でも、妙な違和感があったとゲンさんは疑問を浮かべていた。

 

 あまりに大人しかったのだ。あれだけ暴れていた魚人達が全員揃って口も開かず黙って海軍の船に乗った事に。

 

 別に戦いで気を失っていたわけではない。むしろ全員目を醒ましていた。なのに誰も騒ぎ立てず大人しく連行されたのだ。

 

 長年一味に入っていたわたしからしてもそれが異常な事だとわかった。しかし、原因がわからない。いったい何故……?

 

 ゾロから聞いた話だが昨晩アルガがアーロン一味が目覚めてないか確認に行ったと聞いたけどその時に何かあったのだろうか?

 

 試しにアルガに聞いてみたが──

 

『大丈夫。特に問題はなかったよ』

 

 そういい優しく笑っていた。しかし、わたしのその笑みに裏を感じたがアルガの事だし別に心配するような事でもないかと思い追求はしなかった。

 

 なぜ今になってそんな事を思い出したのかと言うとある声が聞こえたからだ。

 

 それは、トビウオライダースとの決着がついてみんなでアルガの捜索を始めた時、遠くからアルガの怒声が聞こえた。

 

 あの優しいアルガがこんなに怒っているところをわたしは見たことがなかった。なので理由を知りたいと思いつい隠れて遠くから聞いてみることにした。

 

 距離が離れているため全ては聞こえなかったがそこでは負の連鎖だの人間への怒りだの果てにアーロンの名が聞こえてきた。

 

 あの魚人達はアーロンと何か関係があるのかしら?と考えたけどまだ答えは出ない。

 

 だが、途中まで断片的にしか聞こえてこなかったがアルガの最後の言葉だけはハッキリと聞こえた。

 

「俺の仲間にもその連鎖によって悲しんだ奴がいる!!今でこそ心から笑えるようになったが当時まだ幼かったその少女が大切な人を失いどんだけ悲しんだか……!!!お前らそんな悲しみをホントに理解してンのかよ!!!!」

 

 その少女とは間違いなくわたしの事を言っているのだろう。

 

 何故こんな事を言っていたのかはわからなかったけどこれだけはわかった。

 

 

 アルガはわたしの為に怒ってくれているんだ……と。

 

 

 となるとやはりアーロン一味との戦い後の夜にも何かあったのだろうと改めて思い返す。そうでないとあのアーロン達が大人しくなるなんて有り得るハズがないんだ。

 

 だが、アルガは何も話さなかった。アイツが意味もなく隠すとは思えない。きっと何か事情があったんだわ。

 

 なら、不用意に聞くのはやめておきましょう。聞くにしてもそれはアルガが話そうと決めた時だけ。

 

 わたしはそう思いその場を離れるアルガを隠れながら見続けていた。

 

 

 

 

 

「うんんん~~~~めェ~~~~!!!」

「ねっ!はっちんのタコ焼きは世界一でしょ!?」

「ニュ~~!どんだけ食っても今日はタダだぞっ!おめェらがおれ達を助けてくれたお礼だからな!!」

 

 トビウオライダーズとの戦いを終え無事ハチを救出した俺達はお礼としてハチ特製のタコ焼きをご馳走になっていた。

 

 みんながそのタコ焼きの旨さに手が止まらなくなっている。

 

 ハフハフッ、確かにこれは旨い!以前、空島へ行く前にサンジが作ってくれたあのタコ焼きより旨い……なんだこの噛めば噛む程深味を増すソースの味わいは!?

 

「──で……どうだ?……あの……ナミは……?その……味は……?」

『──っ!』ピタリ…

 

 ハチの一言でみんなの手が止まる。あのルフィでさえ手が止まりそれがどれだけ重大な事なのかがよくわかる。

 

 とてもさっきまでハチが殴られた直後に「タコ焼きは?」と無神経に聞ける人と同一人物とは思えない。やっぱり仲間が関わるとルフィも空気は読むんだな。

 

 恐る恐るといった感じで聞くハチに対してナミは明らかに冷めた様子でハチの方を向く。

 

「…………これで、何かが許されるってわけじゃないわよねェ……」

「いやっ!!勿論そんな!!そういう意味で言ったんじゃねェよ!!?味はどんなかなーって!!ホントに!!」

 

 ナミの言葉にハチが必死で弁明するとナミは一口タコ焼きを食べて──

 

「……すっごくおいしい!」

 

 クスッと笑いそれを見てハチは泣いて喜ぶ。

 

「ニュ~~~~!そうか?そうか?」

 

 その様子を見ていたみんなもホッとし改めてタコ焼きを食べ始めた。だが、ハッと何か思い出したかのように俺を見てくる。

 

 なんとなく言いたいことがわかった俺は思っていたことをハチに伝える。

 

「当事者のナミはああ言ってるし俺からは特にないよ。俺自身、言いたい事は言ったしね」

「ニュ~~。そうか……そうかっ」

 

 ハチは下を向き何度か頷くと明るい顔に戻る。少し涙を滲ませながらだけど。

 

「よ~~し!おめェら!どんどんいけどんどん食ってくれ!!」

「おう!どんどん焼け!!食い尽くしてやる!!」

 

 再び賑やかな雰囲気に戻りおいしくタコ焼きを食べる。そこへナミが俺の元へやって来た。

 

「ハフハフッ、ンン?ファミホホヒファオ?(ん

ん?ナミどうしたの?)」

「飲み込んでから喋りなさいよアンタ」

「ファイ(はい)」

 

 呆れ気味にナミが注意してきたので俺はすぐに口の中のタコ焼きを飲み込む。

 

「んぐ。それで、どしたのナミ?」

「ハチがわたしに特別タコ焼きを焼いてくれたのよ。アンタもどお?」

「えっ!いいの?」

「ええ、気にしないで一緒に食べましょ」

「ありがとっ!」

 

 せっかくなのでナミのご好意に甘え特別タコ焼きをひとつ貰う。口に入れた瞬間ジュワっと香ばしい味が広がったと思えば一瞬でトロリと溶け中から今までよりも大きいめなタコが現れた。

 

 ウマッ!?デカッ!?ヤバッ!!?

 

「やっば!?超ウメェ!!?」

「それはよかった」

 

 俺のリアクションにナミは満足そうに微笑む。

 

 

「……ありがと」

 

 

「ん?今なんか言った?」

「いいえ。ハムッ……ん~!おいしい♪」

 

 タコ焼きに夢中で何か呟いたような気がしたが気のせいだったらしく俺は再びタコ焼きを頬張った。

 

 ……あ、途中からサンジに整形されたデュバル率いるトビウオライダーズがやって来たが特段興味ないので無視しそのままタコ焼きを楽しんだ。

 

 

 

 

 トビウオライダースと別れた後、タコ焼きも食べ終え魚人島へ行く方法を聞きながら俺達は"シャボンディ諸島"へと到着した。

 

 島中から浮かび上がるシャボンを見て目を輝かせるルフィ達。さっそく上陸し魚人島へ行くためのコーティング職人を探しに行こうとする。

 

 しかし、俺はあることを思い出しウソップに尋ねる。

 

「あ、そいやさウソップ。前に頼んでた品は出来てる?」

「ん?おお、そういや渡すの忘れてたぜ。これだろ。ホラよ」

 

 そういってウソップは鞄から俺の頼んでいた物を渡してくる。受けとった物はカジュアルグローブとウエストポーチ。これは少し前にスリラーバークを出てから頼んでいたヤツだ。

 

 勿論これはただのカジュアルグローブではない。ウソップに頼み開発された特注品だ。

 

「頼んでた機能は付けてくれた?」

「おうバッチリよ。まずそこに窪みがあるだろ?そこに──」

 

 ウソップの説明を聞いているとハチがこの島で絶対に守ってほしい事をみんなに伝える。

 

「町へ入ると"世界貴族"が歩いてる事がある。たとえ、町でどんな事が起きようとも"世界貴族"にゃたてつかねェと約束しろ」

「っ!……"世界貴族"」

 

 "世界貴族"という言葉を聞いた瞬間みんなの様子が変わりチラリと俺を見てきた。ルフィも遅れて思い出すように反応する。

 

「あ、"世界貴族"って確かクチジッパーが言ってた……」

「ニュ?流石に知ってたか。別名を天竜人といっていつも偉そうにしていて一般人と同じ空気を吸わねェ様にマスクをしている」

「要するに自分は特別と思い込んでるゴミクズって事だね」

「口悪っ!?」

「ニュオイッ!!?何て事言いやがる!!滅多なこと口にするんじゃねェ!聞かれてたら死罪だぞ今の発言!!」

「でもホントの事だしなー」

「アルガがここまであからさまな態度になるなんて……」

 

 俺の言葉に慌てふためくハチは周りをキョロキョロ確認してから注意する。

 

 天竜人(ゴミクズ)かー。そういやいたなこの島に。

 

 ハチを含め周りから心配したような様子で俺を見てくる。そういや、俺が天竜人の元奴隷だってことみんな知ってたな。

 

「アルガ……」

「俺は平気だよ。過去に色々あったけど今はみんな一緒にいるんだ。心配しないで」

 

 確かに当時こそトラウマではあったけど、あのフザケた政策を作った元凶野郎はもれなく首輪の爆弾をぶん投げてやった事でスッキリしてアイツらへのトラウマは乗り越えたもんなー。

 

「そんなワケで俺ちょっと行きたい所があるから先行くね」

「おう、迷子になるなよ」

「おめェがそれを言うか迷子マリモ」

「ア"ア"?」

 

 後ろで喧嘩声が聞こえるがいつもの事なので気にせず俺はいよいよ諸島の奥へと歩みだした。

 

 

 

 

 しばらく歩いていると色んな店などが建てられている場所を見つける。観光人が多くおり景気盛んな雰囲気に俺はワクワクしたが目的を思い出しさっそく人探し始めた。

 

 確か24番グローブのレストランだったハズ。まずはそこから……だったんだが──

 

「アッパッパッパッパ!!面白ェな~♪んじゃあよ、ここのフレーズにゃこのリズムで……」

「あっ!いいなそれ!それじゃ次はこの歌詞なんだけど……」

 

 何故か俺はアプーと仲良くなっていた。

 

 ホントに何故?と思うだろうが俺にもよくわからない。成り行き……としか言いようがなかった。

 

 順を追って説明すると、レストランに行ったが目的の人物は既に食事を終えた後らしく宛が外れ俺は振り出しに戻ってしまった。なので再び探し始めるとそこでバッタリとアプーに出会ってしまった。

 

 アプーはついさっきまで同じ超新星と喧嘩をしていたが途中で止められてしまい消化不良だったらしく機嫌が悪かった。

 

 なので最初はお互いに警戒し一触即発の雰囲気だったが俺が「なら、今の不満をラップにしてみたら?」と提案すると意外にその提案を気に入り二人して最近の愚痴をラップで歌い合った。

 

 すると、不思議なことにあっという間に打ち解けてしまいいつの間にか今ではこうして一緒に作詞作曲で盛り上がっていた。

 

 ……うん、ホントに何で?まあ、喧嘩せずに済んだし楽しいから良いけどさ。

 

「フィ~~。良い曲が出来たわ。ありがとな」

「気にすんじゃねェよ兄弟(ブラザー)~♪にしてもおめェそれマジに本人の前で唄う気かよ?」

「機会があればね。せっかく良い出来になったのに披露しないのは勿体ないじゃん?」

 

「アッパッパッパ!兄弟(ブラザー)サイコーッ!!」

「アッハッハッハ!あ、そういや聞きたいことがあんだけどさー。ボニー海賊団を探してんだけど知らない?」

 

 俺は目的を思い出しアプーに聞いてみることにしたが残念ながら答えはノーだった。

 

「ボニーといやァあの"大喰い"か。ン~おれァ見てねェなー。何だ?兄弟の好みかァ~?」

「そんなんじゃないって~。まあ、知らないなら仕方ないな。俺は行くよ。今度は一緒に酒でも飲もうや」

「おう!アバヨ~~♪」

 

 せっかく意気投合したがここで道草食ってる場合じゃない。(既に数十分ぐらい食ってる)早いとこ見つけたいんだけど……。

 

 しかし、どうやら俺の人探しはここで終了のようだ。空から大きなトビウオに乗った奴がやって来た。

 

「ようやく見つけやした!一大事です!お連れの人魚さんが拐われやした!皆は既に1番グローブに向かってやす!急いでお乗りを!!」

 

 ……まだ見つけていないが流石にケイミーを放っておく事はできない。せっかくこの島にボニーちゃんがいるから挨拶ぐらいは済ませたかったんだが仕方がない。くまさんには悪いがまたの機会にしよう。

 

 俺はトビウオに乗り1番グローブの人間オークション会場へと向かった。

 

 しばらくしてオークション会場が見えてくると既に騒ぎは起きたらしく出入り口から次々と人が出てきている。

 

 俺もさっそく会場内へ突入しようとしたが──

 

「──っ!?わ、悪い!俺を屋根に降ろしてくれ!」

「えっ!?へ、へい了解しやした!」

 

 屋根の上にいた人物を見て目を見開く。突入はやめて屋根の上に着地すると、すぐに駆け寄って声をかけた。

 

「くまさん!?何でここに!」

「アルガ君か。また会えるとは思わなかった」

「俺もまさかここで会うとは思いませんでした」

 

 決戦も近いしてっきりマリンフォードから黄猿と一緒に来るもんかと思ってたが、ひょっとして……。

 

「ボニーちゃんに会いに?」

「いや、会うまではしていない。おれは政府から母娘への接触は禁止されている」

「そうだったんですか」

「ああ、だがその代わりに手紙は毎日のように送っている。家族には寂しい思いをさせたくないからな」

 

 まあ、海賊になってからは頻繁に送れなくなったがなと少し寂しげに苦笑するくまさん。

 

 ホントに家族が大好きなんだな。

 

「ただ、一目様子を見てきた。おそらくこれで見納めだろうからね」

「そう……ですか……」

「立派に育っていたようで安心したよ」

 

 くまさんの言葉に俺は返事が詰まった。俺の様子を察してかくまさんは話題を変える。

 

「それよりも……あれを見てくれ。君の船長はとんでもない事をしてしまったよ」

 

 くまさんが屋根の窓から会場内を覗いていたので俺も中を見てみると既にルフィが天竜人を殴り飛ばしパニックを起こしていた。

 

「これはおそらく何百年もの間誰一人やれなかった大逆……世界のタブーだ。海軍が黙っちゃいないぞ?」

 

 くまさんは未だに信じられないと言った様子でルフィに釘付けである。

 

 …………だからか、立て続けに起きているロズワード聖尻敷き事件の方は視界に入っておらず気付いていなかった。

 

 あのー、くまさんくまさん。お隣である意味もっと不敬なことをしている方がいるのですが……。正直、天竜人を殴るより尻に敷く方がヤバい気がする……流石ゴッドならぬ"ゴッ・D・ウソップ"っすわ。

 

「仕方がないよルフィだもん。大方誰かのために怒ったとかじゃない?」

「ああ、近くに撃たれた魚人族がいる。まさか彼の為に……」

「ハチだね。ルフィは友達をキズ付ける奴は絶対に許さないから。どう?ウチの船長は?」

 

 状況を把握したくまさんは唖然とする。迫害を受けている魚人ひとりのためだけに天竜人を……牽いては海軍大将を敵に回したことに。

 

 そんなくまさんに俺は自分の船長について聞いてみた。

 

「ああ、君が彼の仲間になった理由を改めて実感したよ。そして確信した。──彼はいつか世界を救う男になる」

「オォウ、予想以上の高評価……ウヘヘ」

 

 くまさんにここまでルフィの事を高評価してもらえてつい嬉しくてニヤけてしまう。

 

 おっとイカン。気持ちを切り替えるんだ今は非常事態。ここでウカウカしている暇はない。それに、この後すぐに大将黄猿もやって来るだろうから早く用事を済ませよう。

 

 ここでくまさんに会えたのも何らかの運命を感じた俺は気持ちを切り替えくまさんにある相談を持ちかけた。

 

「そこで、くまさんに折り入って相談なんだけど──」

 




どうも皆さんもしロマです!
26話をご覧くださりありがとうございます!
本日は3本立てなのでまだ続きます(*´艸`)
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