あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
いつも感想評価、誤字脱字報告、ここすき、お気に入りありがとうございます。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


27話 友達を傷つける奴は許さない 下

 くまさんとの話し合いを終えた俺は屋根の窓を突き破って会場内へと入った。会場内は既に制圧済みとなっておりケイミーの手錠と首輪はレイリーに外されていた。

 

「おせーぞアルガ」

「ゴメン少し立て込んでた。それで状況は──」

「ほう、その滲み出る覇気……これまた面白い若者が来たものだ」

「レッッッ!?ェ……リィ……さん

「どうしたアルガ!!?」

 

 呆れた感じで悪態をつくゾロに軽く謝っているといつの間にか後ろからかの有名なキングオブ副船長が現れた。

 

 ふひょっ!?本物のレイリーさんだ!存在感ヤベェ……。

 

 咄嗟に反応できず声が詰まる。

 

 お、おおっおおォお落ち着け俺っ!動揺するんじゃじゃじゃない。なな生レイリーさんが目の前にいるだけだだだ。……うんムリ緊張するますわ。

 

「わははは!どうやら君は私の事を知ってるようだな。だが、そう固くなる事はない。気を楽にするといい」

「ひゃいっ」

「アルガがガッチガチになっとる!!?」

 

 しょうがないじゃんウソップ!目の前にレジェンド級の大物キャラがいるんだぞ!!一ワンピファンとしてはどうすることも出来ないんだよ!存在が眩しすぎてただ立ち尽くすしか出来ないんだよ!!後でサイン欲しいんだよ!!(欲望)

 

 ファンが推しのアイドルを目の前にしたらこんな反応になるんだろうなと思い改めてバルトロメオの心境に共感する。

 

 うん、読んでた時は笑ったけど実際に同じ状況になったら人のこと言えないわ。緊張で口が上手く開かないもの。サイン欲しいもの(欲望だだ漏れ)

 

 俺がガッチガチになっていると急に俺の刀や金棒がカタカタ震え途端に動き出した。

 

「うおっ!?何だ刀が急にっ!」

「っとと!危ねっ……キッドか」

 

 俺とゾロの武器がどこかへ飛んでいこうとしたので押さえ込んで止める。てことは今ごろは3船長無双が始まっている頃か。俺達も早いところここを離れ…………ん?

 

 足元に倒れていた人が意識を取り戻したのかよろけつつ上体を起きあげる。重要なのはその起き上がってきた奴なんだがコイツどこかで…………あ。

 

「イタタタ。頭を打ったえ……何故ワチキがこんな下界の小汚ない場所で……だえ?お前誰だえ?何処かで……ンブッ!?」

 

 俺は起き上がった天竜人(ゴミクズ)の口元を手で押さえ喋れなくする。マスク何ぞお構い無しに突き破ったせいで独特のマスクはパアンッと割れた。

 

 そして、困惑している天竜人を見て俺は───

 

「~~♪」

「ン"ン"~~っ!?!??」

「あ、アルガが悪い顔……というよりゲス顔になってる」

 

 

 

 

 あれから場所が変わりオークション会場出入口前。外へ出ると既に海兵の包囲陣は半壊しておりほとんど片付いていた。

 

 だが、それでもかなりの数がおりまだ逃げ切るには難しい状況。なので、俺も逃走のためにルフィ達の前へ出た。

 

 3人の前に出たが特に何も言ってくる様子はない。

 

 ローはともかくキッドの性格上、自分より目立ったりでしゃばったマネをすればぶちギレる程に短気なハズだが何も言ってこない。むしろ冷や汗をかき唖然としている。ローやルフィも同様だ。

 

 何故こんな反応をしているかと言うと───

 

 

「アーッヒャヒャヒャ!オラオラさっさと道開けろや政府の犬共ォ!!さもねェとここにいる世界のゴミクズがどうなるかわかってんよなァ~~?」

「ヒ、ヒエ~~!早く助けるえ~~!!」

 

 

 天竜人を人質……いやゴミ質中だからです。

 

 少し小物感が漂う登場な気もするがまあいっか。元から海軍の奴らは俺達のこと天竜人を人質にして立て籠っているとか勘違いしてたし。そんなつもりなかったのに。

 

 でも、どうせ勘違いされるなら利用してやろう。せっかく久々にコイツをまた仕返しできるチャンスが来たワケだし楽しむとしよ♪

 

「ホウツクール聖ーー!!?最悪だ!アイツらやはり天竜人を人質にして逃げる気だ!!」

「他の天竜人であるロズワード聖一家は無事救出できましたが……ホウツクール聖が囚われてしまうとは……!!」

 

 俺からしたら価値のない人間だけど向こうからすれば絶対にキズをつけてはならない神的な存在だもんなー。緊迫感がひしひしと伝わって来ますわー。

 

「おのれ海賊ー!!」

「聞いていなかったんですか~?早く道を開けろって言ってんだろうが!今から誰か喋る度にコイツの顔面をぶん殴んぞ~?」

「貴様ァ!そんな事をしてタダで済むと……!!」

「はい喋ったので一発」

「ヒッ!?や、やめ──ぶぎゃ!?」

「ホウツクール聖ーーっ!!?」

 

 決して手を上げてはならない相手の顔面を躊躇なく殴り周りの海兵達の顔が蒼白になる。普段の俺なら無抵抗の人相手にここまでしないが……。

 

『お前知ってるえ。元養人場にいた奴隷だえ。なぜ反抗の意思があるえ!意思を持たないようワチキが政策したハズなのにィ!!』

 

 コイツに関しては遠慮する気は毛頭ない。

 

「なんて事を!?そのお方が誰かわかって──」

「はいまた喋ったのでもう一発」

「ブヘァ!?」

「ギャアアアア!!?ヤ、ヤメロォオオオオ!!!」

 

 殴るって言ってんのに何で口を開くんだろこの人達。案外天竜人がボコられているところを見て内心喜んでたり。

 

 海兵を長く続ければ天竜人の腐敗具合は嫌と言うほどに知るだろうし、可能性は充分ありそう。

 

「喋るなって言ってんのに何で喋るですかねェ~?ひょっとしてわかっててやってるゥ?合法的にゴミクズが殴られるところを見られるからってワザとやってますゥ~?」

「ブッパァ!?」

「わわわかった!道を開ける!!だからそれ以上はやめてくれ!!おい早く道を開けるんだ!!!武器も下ろせ!!」

「はっはいィ!」

 

 そして、ようやく理解した海兵達は武器を下げ道を開けた。これでよし!と思っていたが後ろから引き気味な視線が俺の背中に突き刺さる。

 

「あれが"鬼の戦漢"……麦わらといいさっきの長鼻といい、テメェん所は全員イカれてやがんのか?」

「麦わら屋……鬼屋はいつもああなのか?」

「アルガ……流石にやり過ぎじゃねェか?」

 

 ルフィまでっ!!?いやまあ、俺もちょっとやり過ぎた感は否めないが……でも天竜人(ゴミクズ)だぞ?(天竜人への不快感カンスト)

 

「まあ、道はできたわけだしさっさと行こう!じゃないと大将が来ちゃう!」

「そういやそーだった!よし野郎共!!ケイミーも取り戻したしとっとと逃げるぞォー!!!」

『オオーーッ!!!』

 

 開いた道から包囲陣から脱出する俺達。遠くでトビウオライダースの姿を発見したので用がなくなったコイツは解放することにした。

 

 無視できないように空高くぶん投げて。

 

「そ~~れ!!取ってこォーーい!!!」

「だえェェエエエエえええ!!?」

「ア"ア"アアア"ア!!?アイツ天竜人をぶん投げやがったァ!!」

「まずは天竜人の安否が最優先だ!!全員で受け止めろォオ!もし地面に落とすような事があれば全員の首が飛ぶと思え!!!」

「わ、わかりましたァ!!!」

 

 みんなして天竜人の方に目が行っている。お役目ご苦労様です。

 

「ウソップ。今の内に煙幕を」

「お、おう……必殺”超煙星(ちょうけむりぼし),,!!!」

「しまった!?奴ら目眩ましを!!」

 

 天竜人に意識が向いている内にウソップが煙幕を張り俺達の姿を完全に見失ってしまった海兵達。その隙の俺達はトビウオライダースの元へ走るのだった。

 

「空島でも思ったがよ。アルガ敵に対してはマジで容赦ねェよな……」

「何言ってんのさウソップ。俺は自分ほど優しい人間はそうそういないと自負している」

「自惚れんな」

 

 非常に遺憾である。

 

 

 

 

 トビウオライダースに送ってもらいシャッキーの店の前まで到着した。全員トビウオから降りて礼を言う。

 

 そのままトビウオライダースを見送ろうとした時だった。遠くから俺を呼ぶ声が聞こえたので振り返ると思わぬ再会に驚いた。

 

「よォ~アルガー!探したぜコノヤロー。この島に来て早々やらかしたみてェだな。もう噂が回ってるぞ?」

「ジニーさん!?」

 

 さっきまであんなに探したのに(途中アプーと盛り上がったのは置いといて)見付からなくて諦めかけてたけど会えてよかった!

 

 でも、まさかこんな所で出会うとは。

 

「ドキンッ!何て綺麗な方なんだァ~!麗しきレディー宜しければ今夜ご一緒にどうです?」メーロリン♡

「ドキンッ!何て綺麗な方なんだぬらべっちゃ!?一目見て惚れたぬら!よかったら一緒にお茶でも?」バチーン!!

 

 やっぱお前ら似てんの手配書だけじゃないだろ。セリフ前半ほぼ一緒じゃねェか。

 

 つい二度見してしまうようなジニーさんの美貌にメロメロとなった二人だったが、反対にジニーさんは呆れた様子で吐き捨てる。

 

「は?誰だテメーらてかウインク下手くそだなキショいわ。そこの変な眉毛のガキも同様に」

「口悪っ!?」

「そんな所も素敵だァ~♡」

「これが巷で有名な「ツンデレ」ぬらね」

「コイツらこっち方面だとマジで無敵メンタルだな」

 

 出てきた言葉の悪さにウソップが驚く。まあ、当人である二人はお構い無しに熱い視線を送り続けるが……流石鋼メンタル。

 

 あのジニーさんの豪速球火の玉ストレート悪口に真正面から受け止めてノーダメージとは。俺なら余裕で傷つくわ……。

 

 話が一向に進まないことに痺れを切らしたゾロが俺に聞いてくる。

 

「アルガこの女はいったい誰なんだ?」

「そうだね紹介するよ。こちらジニーさん。くまさんの奥さんだよ」

「エヘヘ~どもっ」

『くまの奥さん!!?』

「あのくま野郎にこんな美人な奥様がっ!!?オーノーレー!!」

 

 一瞬にしてサンジの心は玉砕されくまさんに嫉妬の炎が沸き上がる。いやサンジお前は二年後になったらプリンを筆頭にお染やコゼットとか色んな女性キャラにモテるんだからいいだろ妬ましい非モテの敵め(私怨)

 

「それで、ジニーさんがなんでここに?」

「おっと、そーだった。なあ麦わらの男、アンタが船長だろ。ちょっとコイツ借りてもいいか?話したいことがあるんだよ」

「おう、別にかまわねェぞ」

「ありがとよ。んじゃ行くぞアルガ」

「えっ!あ、ちょ!?そんな急に!?」

 

 ちょっと強引過ぎじゃありませんかね?ルフィかな?

 

 ジニーさんがルフィに許可を貰うとさっそく俺の手を取り移動を開始する。俺は急な事に動揺し成すがまま連れていかれる。

 

 強引に連れていかれる俺はせめてもと思い後でまた合流すると言い残し場を後にした。

 

 その後、しばらく歩き続けるとジニーさんから口が開く。

 

「さっきは悪かったね。ちょっと強引にやり過ぎた。でも、コッチにも事情があってね……」

「それは構いませんがどうしたんですか?」

 

 さっきまで明るい感じだったが何やら重い雰囲気を漂わせている。ジニーさんがこんな顔をするなんて。ひょっとして……。

 

「くまさんの事ですか?」

 

 ジニーさんはコクりと頷く。そして、これまでの経緯を説明してもらった。

 

 結婚式を終え俺と別れた後、何年か経ちジニーさんに続き娘のボニーちゃんまでも"青玉鱗"になってしまいくまさんは急いで治す方法を模索していた。

 

 そこへドラゴンさん経由でDr.ベガパンクと出会い二人の治療を引き受けてくれた。

 

「しばらくの間くまちーも病気が見付かったとかで三人でベガパンクの研究所にお世話になったんだ。ここまではよかったんだけど……」

 

 ジニーさんは言葉が詰まり暗い様子で俯く。

 

「それから半年ぐらい経って治る兆しが見えてきたから故郷のソルベ王国に戻ってウチとボニーはそこで療養。くまちーは海賊だからそこで別れて……それ以降全く音沙汰がなくなったんだ」

「そうだったんですか……。くまさんと……ん?」

 

 説明を聞き終えて落ち込むジニーさんに同情をするが遅れて最後の言葉に違和感を覚えた。

 

 ちょっと待て……今の何かおかしくなかったか?だって……。

 

『手紙は毎日のように送っている。二人には寂しい思いをさせたくないからな』

 

 どうも二人の言葉が噛み合わず疑念を抱いた俺はジニーさんに聞いてみた。

 

「え?ジニーさんくまさんからの手紙は来なかったんですか?」

「手紙?いや、残念ながら来なかったよ。一度もね……」

「ハア!?」

 

 流石にこれはオカシイと思った俺はつい声が出てしまった。だってそうだろう。二人の主張が合わないんだから。

 

 あのくまさんが嘘を言っているとも思えない。間違いなく頻繁に手紙を書いては母娘に送っていたハズだ。それが届いていない?一通も……?いや、まさか……。

 

 その時……俺はひとつの疑念が浮かんだ。

 

「あの……ひとつ聞きたいんですが───二人が療養してる間、政府から何かしらの接触はありましたか?」

「え?ああ、後から気付いたが介護と称してCPが病気完治するまで付きっきりだったよ」

 

 ……………………。

 

「そうか……そうかァ……ッ!」

「アルガ……?」

 

 疑念が確信に変わった。

 

 くまさんが手紙を書いて送っていた事も、ジニーさんの今聞いた説明も……どっちも嘘じゃない……。

 

 二人の主張が噛み合わない原因は……!!

 

 

「世界政府ゥゥゥ!!!!」

 

 

 どこまでも……!!どこまでもどこまでもくまさんをバカにしやがってェ……!!!

 

 全てを理解した俺は沸々と煮えたぎったものがとうとう爆発した。

 

 フッザケんなァ!!!只でさえくまさんの改造兵器化も腸が煮え繰り返る思いだったってのに一緒にいてやれなかった二人のために送り続けていた手紙も渡さずに破棄しやがったな!!?

 

 くまさんの想いを踏みにじりやがってあの腐敗政府がァ!!!!

 

「ど、どうしたのさ!?そんな恐い顔しちゃって!」

「ジニーさん……実は──」

 

 ここでジニーさんに全てを話そうとした時、遠くから大きな爆発音が響いた。

 

───ピュン……ボカアァ……ン!!!

 

「何だ!?今の音は!!」

「おーーい!!ジニーーッ!!!」

「んあ?ギョギョ!!どうした!何かあったのか!?」

 

 爆発した方向からボニーちゃんの船員(クルー)でありジニーさんの古き仲のギョギョが慌てた様子で走ってきた。

 

「た、大変なんだ!く、くまちーが!!」

「っ!?くまちーが見付かったのか!!」

「いや……ありゃくまちーじゃない!本物のくまちーなら…………おれ達に向かって攻撃する筈がないんだ!!」

「ハッ!?くまちーがウチらを!?んな事ある筈ねェだろ!!もういい直接この目で確かめる!!」

 

 ギョギョの言葉に嘘だと決めつけいてもたってもいられずさっき爆発した場所へと走っていった。

 

「あっ!お、おいジニー行くな危ねェぞ!!」

「なあ、俺もそこへ連れてってくれないか?」

「あん?お前は誰だ……ってお前アルガか!?大きくなったなァ~。結婚式以来か?」

「よく覚えてたな。それよりジニーさんをひとりで行かせるのはマズイ。俺達も急ごう」

「おう!」

 

 懐かしい顔馴染みに花を咲かせたかったがそんな余裕はなく俺達も急いでジニーさんを追いかけた。

 

 その間にも何度か爆発が起き到着した頃には至る所にクレーターが出来上がっており回りには人が倒れていた。ギョギョの焦った様子からしてみんなボニーちゃんのクルーのようだ。

 

 そして、その犯人を見たジニーさんは絶句し立ち尽くしていた。

 

「くま……ちー……?」

 

 ジニーさんの声は虚しく届かずくまさんの姿をした……複製兵PXはジニーさんに狙いを定めた。ダメだ!マズイ!!

 

───ピピピ……ピュン!

 

「ジニーさん!しゃがんで!!!」

「あぐっ」

 

 PXの手からレーザーが放たれジニーさん直撃しそうになったが間一髪でジニーさんの体を押さえ込んでレーザーの軌道から外れた。

 

 何とか避けられたが未だにジニーさんの様子は戻らない。そして、よく見れば足元から血を流しており深いキズがあった。

 

 さっき何度か爆発が起きたがまさかその時に!?

 

 だが、激痛を感じるハズのジニーさんは痛覚さえ忘れる程にショックを受けているのかブツブツと俯き呟いている。

 

「あれはくまちー?でも何で……?それに今ウチを……」

「ジニーさん!!!」

「っ!?」

 

 流石に見てられなかったので大声で強引に意識を引き戻した。

 

「よく聞いて。あれはくまさんじゃない。政府が開発したくまさんの複製(クローン)兵"パシフィスタ"です」

「"パシフィスタ"……?」

「そう、実はこの島に来る前にくまさんと会ったんですがその時に話してくれました」

「くまちーとっ!?」

「はい、何でもくまさんは二人の"青玉鱗"を治療するにあたってその対価として自身の複製兵器の許可を出したらしいです」

「そんな……くまちーはウチらの為に……ウウッ!」

 

 ジニーさんは今になって自身の病気の治療費の詳細を知り涙を流す。受け止めがたい気持ちはわかるが……今はそれどころじゃないな。

 

「ターゲット捕捉。懸賞金2億ベリー"鬼の戦漢アルガ"。排除する」

 

 パシフィスタが俺に狙いを定める。応戦するためにこっちも身構えるがひとりの少女がこちらへやって来た。あれは……。

 

「お母さん!!」

「ボニー!!」

 

 少しケガを負っているようだが大したことはないようだ。それよりもお母さんが心配なのか駆け寄って二人で抱き締め合う。

 

「急にいなくなってゴメン。無事でよかった……!」

「うえ~~ん!お母さ~~ん!」

 

 見た目は既に成人した女性だが中身はまだ10歳の子供。こんな状況で泣いてしまうのは当然だろう。

 

 ……何より大好きな父親の姿をした奴が襲ってきたんだ。悲しむのも無理もない。

 

 ボニーちゃんの様子を伺っているとパシフィスタが手を突き出しレーザーを放とうとしていた。このままでは二人にも被害が及ぶので相手の懐まで疾走し金棒で手を弾く。

 

「その顔で……二人をキズつけようとすんじゃねェよ!ニセモノ野郎が!!」

 

 するとレーザーはあらぬ方向へ飛んでいきすかさず顔面に一撃ぶちかました。しかし───

 

『アルガ君。二人を頼む』

 

「──っ!?チィ!”鬼鏑(おにかぶら),,!!!」

 

 手応えはあったが数歩後退りするだけで勢いは止まった。顔も口から少し血を出した程度であまりダメージは入っていない。

 

 クソッ……殴る瞬間どうしてもくまさんの顔が過って武装色が上手くできない。別人だってわかってンのに……!

 

「オイ、お前はいったい……?」

「ん、会うのは初めてだねボニーちゃん。俺の名はアルガ。くまさんとジニーさんの友達だよ」

「お前がお母さんの言っていた……って危ない!!」

 

 ボニーちゃんが焦って声をあげた。俺も振り返るとパシフィスタが口を開きレーザーを放とうとしていた。

 

 先程と違い今度は距離がある。また懐まで走ろうにも間に合わない。こうなったら()()を!……と思ったが次の瞬間ドゥンッ!と一発の銃声が響く。

 

 どうやらその放たれた銃弾はパシフィスタの口内に命中したらしくレーザーは放たれる前に暴発してしまった。

 

 一瞬いったい誰が!?と思ったがそんな芸当ができるのはここにはひとりしかいなかった。

 

「……フン!くまちーじゃねェんなら遠慮はしねェぞ……政府のヤロウ胸糞悪ィマネしやがって!」

「ジニーさん!!」

「お母さん!!」

「元革命軍"東軍"軍隊長を舐めんじゃねェ!!!」

 

 続けて銃を乱発するジニーさん。だが、最初の暴発以外はダメージが無いのかそのまま俺達に向かってきた。

 

 それでもジニーさんはお構い無しに射ち続ける。このままではマズイ。

 

「ジニーさん!一旦下がって!」

「アルガ……ありがとな」

「えっ」

「さっきの事といい昔の事といい……お前にはずっと助けられてばっかり。だけどもう大丈夫!」

 

 ケガの痛みで震えている足を無理やり抑え込み射ち続けるジニーさんの瞳からは覚悟を感じた。

 

「たとえ相手がくまちーと瓜二つの敵だとしてももう迷わねェ。アイツはくまであってもくまちーじゃねェからな!!!」

「ジニーさん……っ!?危ない!!」

 

 弾が切れると今度はパシフィスタへ駆け出した。俺の制止の声を振りきったジニーさんは煙玉を投げつけ煙幕で視界を奪う。その隙に走行しながら弾の装填をするとパシフィスタの目の前まで近付いた。

 

 パシフィスタも目の前に現れたジニーさんに狙いを定め手をかざす。またレーザーを撃つ気だ。

 

 しかし、ジニーさんはそれを見越していたのか軽い身のこなしで腕に飛び乗り、肩まで伝って走るとパシフィスタの頭上へと飛び上がる。

 

「ウチが惚れた相手はな……普段気は小さいが困っている奴がいりゃどんな時でも手を差し伸べてくれる──誰よりも優しくて強い男なんだよ!!!」

 

 頭上へ飛び上がったジニーさんを狙い顔を上にあげたパシフィスタは口を開きレーザーを撃とうとする。

 

 だが、それがジニーさんの狙いだった。

 

 待ってたと言わんばかりにパシフィスタの口へ銃口を既に向けていた。

 

 

「てめェは所詮くまちーと姿が一緒なだけの赤の他人!!ウチらの前に現れんじゃねェよこの模造品がァアア!!!!」

 

 

 ドゥンッ!と一発の銃声が響く。そして先程と同じようにまたも口内に溜めていたレーザーのエネルギーが暴発し口から煙が上がる。

 

「ヘッ!ザマァみやがれニセくまが!!」

「口悪……でも、それでこそジニーさんだ」

 

 着地するとショートしたのか動かなくなったパシフィスタを見て悪態をつくジニーさんに俺は苦笑した。

 

 流石に二度も口内で爆発すればかなりのダメージだろう。だが、まだ気は抜けない……来る!

 

「ジニーさん!ボニーちゃん!離れて!!」

「え?」

「どうし──っ!?」

 

 頭がショートしたせいかパシフィスタが暴走を始めた。狙いなんて定めずあちこちにレーザーを乱発しだし危険と判断した俺は二人を抱えて距離をとった。

 

「チッ!だてにくまちーのクローン。頑丈だな……。二回も口ん中を暴発させたってのにまだ動くのかよ」

「しかも変に暴走したせいでピュンピュンとビーム撃ちまくりやがって……これじゃ近付けねェ」

「だが、ヤケになったら終わりだ」

 

 二人は状況が悪化したと苦悶な顔になるが俺は逆だった。

 

「お?何かいい方法でも?」

「向こうはもう敵の位置とか関係なく撃ちまくっている。つまり周りが見えていないんだ」

「なるほど……それでどうするつもり?」

「見る限りだと周囲に撃ちまくっている反面上がガラ空き。俺が頭上から攻撃するからサポートお願い。必ず一撃で決める!」

 

 さっきはくまさんの顔がチラついて武装色が上手く出せなかった。でも、それは俺に覚悟が足りなかったからだ。

 

 だけど……俺なんかよりずっと悲しいハズのジニーさんがあれだけの覚悟でここまで追い込んだんだ。それなのに俺がいつまでもウジウジしていいわけねェだろうが!

 

 ジニーさんの言う通り、あれはくまであって──くまさんじゃない。

 

 俺も覚悟を決めろ。ジニーさんのためにも。

 

「わかった。アレがどこまで周りが見えていないかわからないけど……アンタが狙われないようにウチが気を引かせる。その代わり絶対に決めろよ?」

「もちろん!」

「ボニー、あんたはギョギョと一緒に隠れてな。ニセモノとはいえアレを相手にするのはツラいだろ」

「……イヤだ」

「ボニーちゃん?」

 

 予想に反してボニーちゃんは顔を横に振り表情が強張る。

 

「あたしもやる!このまま助けて貰うばっかじゃ船長の名折れだ!!」

 

 ボニーちゃんもやる気十分らしく相手を見据える。原作ではクローンのくまさん相手にさえ涙を流し戦うことすらできなかった彼女がここまで強くなるなんて……。

 

 やっぱり子供の成長には母親が大事なんだな。

 

 つい口許が緩んでしまったがすぐに気持ちを切り替える。そして、作戦はすぐに開始され三手に別れた。

 

 能力で体型が大きくなったボニーちゃんはその怪力で周囲の瓦礫を持ち上げパシフィスタに投げつける。

 

 ジニーさんも距離をとり狙撃する。狙撃自体にダメージは無いが気を引かせるには十分だ。

 

 だが、未だにレーザーの乱発が止まずとてもじゃないが真正面からは近付けない。なので俺は地面から浮き上がるシャボンを足場にし上空へと駆け上がる。

 

 そして、シャボンが割れる気候空域まで到達すると刀を構え真上に向けて振り抜いた。

 

二刀流(にとうりゅう)!!”空狸槍(クリアランス),,!!!」

 

 上に向けて波状斬撃を出すとその反動で下へと急降下する。予想以上に勢いが強く空気抵抗の風圧で顔が歪む。

 

「ふぎぎ……!だがこの速度なら!!」

 

 ”空狸槍,,による反動+高所からの落下速度。そこに俺の武装色を加えれば……!!

 

 だが、その時異変が起きた。

 

「お母さん!?」

「なっ!?」

 

 なんとジニーさんがその場に踞り足を押さえていた。押さえているのはさっき見た足にできたキズの部分……やっぱり大分無理をしてたんだ!

 

 そりゃそうだ。片足に深いキズがあるのにあれだけ動けたのは奇跡だ。でも、このままじゃマズイ!!

 

 俺の予想は的中しさっきまで暴走していたパシフィスタは倒れているジニーさんに狙いを定め手を突き出した。

 

 グッ!勢いは増してきたが間に合うか!?

 

 俺は金棒を握り締めパシフィスタの脳天めがけて急降下する。俺に気付く様子はなくこのままいけば倒せるが……それより先にジニーさんが!!

 

 そして、パシフィスタの手が光った瞬間───

 

 

「やめて……お母さんをキズつけないで!!!!」

 

 

 ボニーちゃんが悲痛な声で叫んだ。本来そんな事をしても状況は変わるハズがない。しかし───

 

──ピピピ……シュウン……

 

 は?止まった?

 

 あり得ない状況が起きた。パシフィスタが放とうとしたレーザーを中断したのだ。なぜ止まったのかはわからない。だが、このチャンス絶対無駄にはしない!

 

「地獄墜とし……」

 

 奈落の底まで撃ち落とす!!!

 

 

「”鬼奈落(おにならく),,!!!!」

 

 

 高所から勢いを加速させ続けた俺の一撃はパシフィスタの脳天を捉え周囲には激しい余波と俺の覇気が迸った。

 

 土煙が立ち込め徐々に晴れると足元には大きなクレーターができておりその中心には人型の穴が空いていた。

 

 見聞色で確認するが穴の中から声は聞こえない。決着がついた事に安堵し大きく息を吐く。

 

「フゥー……勝てた。でも、最初に心が乱れなければもっと早く勝負は付けられたハズだ……ジニーさんにもあんなに無理させる事はなかった。……もっと強くならないと」

 

 改めて自分の未熟さを痛感した後ジニーさんの所へ向かった。

 

 そこには既にボニーちゃんと今まで隠れていたギョギョがおり応急措置を施していた。

 

「お母さんは!?」

「そう焦るな!キズは深いが命に別状はねェ。安心しろ」

「そっか……よかったァ~」

「イテテ……ボニー心配してくれてありがと。おいギョギョもっと丁寧にしろよ痛ェだろ下手クソ」

「おれだけ口悪っ!?」

 

 みんなの様子を見て俺も安心した。とりあえず大事にはならなくてよかった。

 

「アルガだっけか。ありがとな、お陰でニセ父さんを倒せた」

「どうって事ないよ。それより──っ!!?」

 

───ゾクゥッ!!!

 

 ボニーちゃんにお礼を言われ返事しようとするが次の瞬間俺の見聞色からとてつもなく強い気配を感じ全身に寒気が走る。

 

 このヤバいほど寒気を感じる強い声……間違いない。とうとうシャボンディに来やがったか。

 

「ゴメン。どうも仲間の元へ急がなくきゃいけないっぽい」

「見聞色か?お前がそこまで言う相手ってまさか……」

「ああ、大将がシャボンディに着いたようだ」

「た、大将っ!!?」

 

 俺の言葉にギョギョは焦り出す。

 

「まだ話したいことがあってけど俺行かなきゃ……みんなは早く船に乗ってこの島から離れるんだ」

「わかった。おいアルガ……」

 

 仲間の元へ向かおうとした俺をジニーさんが引き留める。そして一言……。

 

「死ぬなよ」

「うん」

 

 短く……だかそれでいて重いその言葉に俺も一言返しその場を後にした。

 

 

 

 

 俺は急いで仲間の元へ向かうため走り続けていた。

 

「ハァハァ!急げ!気配が近い……もうすぐ……いた!!」

 

 あれからずっと走り続けていた俺は息を切らしつつもようやく仲間達の姿を捉えた。しかし、状況は良くない。むしろ最悪と言えた。

 

 三手に別れた仲間達はそれぞれに黄猿、戦桃丸、パシフィスタが追いかけみんなを追い詰めていた。

 

「ん~~まだまだ未熟だねェ"海賊狩りのゾロ。"自然系(ロギア)"のわっしに覇気で対抗しようとしたまでは正解だが……低確率でしか発動しないのに実戦で使うものじゃない。その結果がこれだよォ~~」

「ゼェゼェ……ゲフッ!くそ……!」

 

 特にマズイのはゾロの方。大将黄猿が満身創痍なゾロを踏みつけビームを撃とうとしていた。それを見た瞬間俺は助けるために刀を構えた。

 

 させるか!

 

桜木一刀流(さくらぎいっとうりゅう)!!”桜華一閃(おうかいっせん),,!!!」

 

 離れていた距離を一瞬にして詰めより黄猿を斬り伏せた……つもりだったが体を光に変え避けられてしまった。

 

「ウォットットォ~~イ。いきなり危ないねェ~。誰だァ~い?邪魔をする奴ァ~」

「そいつは俺の仲間だ。手出し無用で頼む」

「アルガ!!!」

 

 俺がゾロを助けたことでルフィはホッとし俺の名を呼ぶ。みんなもゾロが助かったことに安堵した。

 

「確かお前さん"鬼の戦漢"……アルガだっけか。今の攻撃を見るにそこの剣士と違ってちゃんとした覇気使い……これは強敵だねェ~」

「ウソつけ」

 

 ただ覇気を使えるだけじゃ相手にもならないクセに。

 

「それじゃまずはお前さんから消すとしよう。”天叢雲剣(あまのむらくも),,!!」

 

 黄猿の手から光の剣を造り出し俺に斬りかかる。俺も身構えたが……。

 

「若い芽を摘むんじゃない……。これから始まるのだよ。彼らの時代は」

「っ!……あんたの出る幕かい?"冥王"レイリー」

「おっさーーーん!!!」

 

 黄猿との戦闘が始まるかに思えたがそこへレイリーさんが登場し傾いていた形勢が戻りつつあった。

 

 そして、そこへもうひとりの男が現れた。

 

『く、くま!!?』

「また出たァ~~!?何人いるんだよ一体コイツら!!!」

 

 一味総出でようやく倒せたパシフィスタが次々に現れ絶望するみんな。だが違う。これは……この人はパシフィスタじゃない。本人(くまさん)だ。

 

「あっ!おいアルガ待て!おれ達もさっきくまに似た敵に襲われたんだ!!ソイツがお前の知るくまじゃねェ可能性がある!!危ねェぞ!!!」

「本人だよ大丈夫。間違いない」

 

 ウソップが叫んで俺を止めようとするが立止まらずくまさんの元へと歩み寄る。そして、対面すると周りに聞こえない程度に小声で話し合う。

 

「君の予想は的中したな」

「うん、それじゃくまさん……打ち合わせ通りにお願い」

「ああ、任せろ。……君の無事を祈っている」

 くまさんは手袋を外すと腕を振り上げて──

 

 ぱっ!! 

 

 次の瞬間、俺はシャボンディ諸島から姿を消した。みんなからは俺が突然消えたと焦っているかもしれない。何も言わずこんなことをしてゴメンみんな。

 

 でも、俺にはやらなきゃいけない事があるんだ。俺にとっても大事な大勝負。

 

「ここからが本番だ。待ってろよ……エース」

 




どうも皆さんもしロマです!
27話をご覧くださりありがとうございます!
【投稿しなかった話のワンシーン】より『27話後 新生の悪魔の実』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )シ
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