あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
先日いざ投稿!……しようとしたらサイトがエラーを起こし投稿データが消えてしまいました。その時の絶望たるや……。ハーメルンが復旧できてホントによかったです。
それと、今回は原作だけでなくノベルエースの情報も入っています。知らない方は申し訳ありません。
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


28話 愛してくれてありがとう 上

 シャボンディから飛ばされた俺はある島へ着くと早速そこの人達を説得し色々あって無事マリンフォード付近まで連れていってもらった。

 

 え?端おり過ぎだって?まあ、そこは追々振り返りますのでここは一つ(メタい)

 

「急いで来たけど……遅れちゃったなァ」

 

 頂上決戦は始まっておりマリンフォード周辺の海は青雉の能力で氷塊の大地となっていた。

 

 そして何より重要なのは……。

 

 

「好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォオ!!!」

 

 

 既にルフィも戦場に来ておりエースを救出するべく特攻していた。

 

「あれがアルガの船長……元帥が今言っておったが本当にドラゴンの息子なのだな。威勢が良い」

「そ~でしょう!あ、海軍にバレちゃマズイからここまででいいよ。後はボートで行くから」

「えー!そんな遠慮しなくて良いのに!私たちだって覚悟を持ってここに来たんだよ?例えバレても私が守るよ!」

「ン"ン"!!それじゃ一緒に──じゃない!だだ大丈夫!!流石に今見つかるのはマズイからせめてエースを救出してからでお願い!」

 

 少女はやるぞ~!といった感じで拳を突き出す。そんな仕草を見た俺は視線を逸らした。

 

 慣れてきたと思ったけどダメ……この人の顔を直視できない。可愛すぎてニヤケが止まらなくなっちゃう。気付かれる前に早く行こ。

 

「エースを救出するのは確定なんだ」

「え?もちろん。それにまだ彼も目覚めてないでしょ?」

「うん……でも大丈夫かな?もう戦いは始まっちゃってるし……」

「原因の俺が言うのも何だけど……きっと大丈夫だよ。信じよう」

「うん、そうだね」

「それじゃ行くよ」

「まって!」

 

 ボートに乗ると今まで黙っていたもう一人の少女が俺を制止する。

 

「ホントにこの戦いにアイツは来るんでしょうね?」

「うん、恐らくね」

「そう……。わかったわ!アルガくたばるんじゃないわよ!」

「おう!」

 

 そうしてモーターエンジンを始動させボートは勢い良く進み出した。

 

 しばらく進むとマリンフォード周辺の軍艦が俺の存在に気付く。最初は場違いな小舟を見て困惑する海兵だったが俺の顔を確認すると顔色を変える。

 

「お、おい!何だあのボートは!」

「何故こんな所にボートが……?というよりあのボートに乗っている奴って!?」

「間違いない!先日シャボンディで失踪した麦わらの一味"鬼の戦漢"アルガだ!!麦わらといいなぜ奴がここへ!?」

「砲撃用意!撃ち沈めろ!!」

 

 ありゃ、もうバレちった。流石にこの軍艦の間を素通りするのは無理だよね。でも……!

 

 すぐに軍艦の大砲がこちらに狙いを定め砲撃を放つ。当然だがモーターエンジンが付いているとは言えボートでは容易に転覆されてしまう。

 

 しかし、既に青雉の作った氷の足場までは目と鼻の先なので砲弾がボートに直撃する前に跳んで回避した後は”空狸槍,,で海上を飛び越え氷塊に着地した。

 

「よ~~し!着いたァ!!でもルフィの所まで結構あるな。急がないと……っ!そうか、もうこの段階か」

 

 前方には湾内に居る海賊達を閉じ込めるように湾頭でパシフィスタの軍勢が立ち並んでいた。

 

 そして、今まさにパシフィスタ達が一斉に攻撃を開始する。次々とビームで消し飛ばされていく海賊達は反撃を試みるもほとんどダメージが通らずパシフィスタの頑丈さに一瞬思考が止まる。

 

 そんな隙を逃さなかったパシフィスタ達は攻撃の手を緩めることなくビームを撃ち続け被害は広がっていく。だが、その光景を見たとて俺のやるべき事は変わらない。

 

 まずはあの軍勢を突破する!

 

「んあ?背後から人影だと?いったい誰が──」

「落ち着け……あれはくまさんじゃない。くまさんじゃないんだ!」

「おめェはシャボンディの!?チィッ!PX-9!!!」

 

 俺の敵意に感づいた戦桃丸は一体のパシフィスタに命令を出す。PX-9と呼ばれたパシフィスタは俺の方に振り向き手を突き出した。

 

「させるか!”剛•力鬼(ゴウリキ),,ィ!!!」

 

 俺は突き出した手を金棒で弾きすかさず攻撃する。

 

「”鬼鏑(おにかぶら),,!!!」

 

 腹に直撃したパシフィスタがよろけたのを見てもう一押しと跳躍して顔面に追撃を仕掛ける。

 

「”鬼奈落(おにならく),,!!!」

 

 顔面に直撃すると足元の氷塊は亀裂が入り足場が崩れる。そのまま氷塊に倒れると勢いが止まらず体がめり込んだ。

 

 この一撃により氷塊にめり込んだパシフィスタはバチバチと体から電流が流れると爆発した。

 

「まず一体!」

「バカなっ!?PX-9を!!?」

「マジかよ!?あの頑丈な人間兵器を倒しやがった!!!」

「見ねェ顔だな。何者だ!?どこのモンだアイツ!!」

 

 パシフィスタが破壊されたことで周りにいた連中から注目を浴びる。しかし、俺は爆発したパシフィスタを見て今の戦闘に不満を漏らす。

 

 うーん、合計で三発か……。二年後ルフィなら一撃で倒せるしやっぱ実力不足を感じてしまう。

 

 現時点で覇気だけならワノ国編のルフィレベルのハズだけど……体が覇気についていけてない。改めて思うけどやっぱ基礎筋力が足りてないな。

 

「てめェは麦わらんとこの!」

「ん、先日はどうも。話すのは初めてだな。戦桃丸だっけか。悪いが急いでるんだ、通させてもらう」

「わいがそれを黙って見ているとでも?」

 

 案の定戦桃丸は俺の前に立ち塞がり周囲にはパシフィスタが並んでいる。いつでも俺を狙えるようにか……。

 

 流石にこの数を相手にするのは骨が折れる。何より今ここで体力を消耗するワケにはいかない。

 

「なあ、ひとつ聞きたいんだけどさ。何でお前はこの戦争に参加したんだ?海兵じゃないだろアンタ」

「ほお、よく知ってんじゃねェか。だが、わしは『世界一口の固い男』戦桃丸。何も答える筋合いはねェな。黄猿のオジキと縁があってパンクの野郎から指令が下されたなんてよ」

「……なるなる」

「ハッ!──今のはわいが自発的に教えたんだぜ。てめェの質問には答えねェ」

 

 いやガッツリ教えてくれますやん。草越えてアラマキ生える。

 

 うっかり丸が可愛いと思ってしまったが今はそんな場合ではない。気持ちを切り替えなくては。でも……。

 

「……正直、俺はあんたとは戦いたくないんだよなァ。くまさんと友達だから」

「っ!くま公と知り合いだったか。なるほど……だからあの時お前らを逃がした訳だな。だが、ここへ来たからにはわいはわいの仕事を全うするだけ。ここは決して通さん!」

 

 向こうは完全にやる気だが俺はまだ迷っていた。半端な覚悟で戦場(ここ)へ来たわけではない。しかし、それでも俺には戦桃丸を攻撃する何てできなかった。

 

 くまさんの友達を攻撃なんてできない。でも、俺は進まなければならないんだ。だから──

 

「ごめん」

「あ?何がだ?」

 

 何に対する謝罪なのかわからない戦桃丸だったが俺は何も答えず息を大きく吸った。そして……周囲に聞こえるぐらい大きな声で叫んだ。

 

「近くにいる海賊達に伝える!!!ここにいる鉞男がこの人間兵器の司令塔だ!!!コイツを倒せばこの人間兵器の統率は乱れるぞ!!!」

「なっ!!?てめェ!!!」

 

 俺の言葉に戦桃丸の顔が険しくなる。一気に敵意の視線が強くなったがそれ以上に周囲にいた海賊達の視線が戦桃丸に集まる。

 

「今の話し、マジなのか?」

「そういやコイツが命令を出してこの兵器共が動き出したよな」

「てこたァ狙うは……」

「チィッ!!コイツら──っ!?しまった!!」

 

 今の言葉で周りの海賊達から標的された戦桃丸は舌打ちをする。その隙に俺から意識を逸らした戦桃丸を通り抜けこの場を駆け出した。

 

「待ちやがれてめェ!!」

「やだよ。さっきも言ったが先を急いでるんだ。悪いが行かせてもらう!」

 

 戦桃丸の実力なら敗けることはないだろうけどこの場の全員が新世界の海賊だ。俺ばかりに気を取られていたら痛い目を見るぞ。

 

 もっとも、他に気を取られている隙に俺は先へ行くがな。

 

 こうして俺は戦桃丸の制止の声を振り払ってその場を後にした。しばらく走っていると白ひげの船であるモビー・ディック号の所までやってきた。

 

 パシフィスタが出てきたって事はタイミング的にはそろそろだが……あっ!

 

 予想通り船の上に白ひげとスクアードが並んで立っていた。このままでは原作通り白ひげが刺されてしまう。早くどうにかしないと!

 

 しかし、良い案が浮かばない。あそこまで行こうにも距離が遠すぎる。スクアードが刺す直前に斬撃を飛ばして阻止しても息子に手を上げたとして今度は俺が白ひげに刺されていまう。下手すりゃグラパンで死ぬ……。

 

 いったいどうすれば……っ!!マズイ!!

 

 スクアードが鞘を抜いた。白ひげも完全に油断している。このままでは確実に刺される!!

 

「~~っ!くそっ!」

 

 もうこれしか方法はない。今のスクアードが止まるかどうか……一か八かやるしかない!

 

「スクアァアアドォォオオオ!!!」

「っ!?」

 

 俺は大声でスクアードに訴えかけた。すぐ船の下まで着いたお陰でとりあえずは俺の声は届いたようだ。声に反応したのかスクアードは此方を見てきた。

 

「お前が今やろうとしている事は知っている!!!だけどいいのか!?それをしたら最後!必ず後悔することになるぞ!!!」

「な、何を……っ。そもそもテメーはいったい……」

「戦場でいきなり現れたぽっと出の海兵の一声を信じる気か?お前が今まで信じてきた人はその程度で揺らぐ人間なのか?……その眼でもう一度見て考えやがれ!!!!」

「ッ!!ウゥッ……」

 

 そこまで言うとスクアードは分かりやすく動揺したじろいだ。白ひげもその様子を見て懸念を抱く。だが……。

 

「スクアード」

「オヤッさ──いや、"()()()"!。ッ……お、おれァアンタを──!!」

「話を聞こうじゃねェか」

「っ!!」

 

 少し怯んだ感じで睨むスクアード。

 

 しかし、白ひげはそんなことお構いなしにスクアードへ近付くとそういい優しい顔になる。まるで拗ねる子供をあやす親のように。 

 

「何か、思い悩んでいるな。それぐらいは分かる……『家族』だからな」

「っ!?オ……オヤッ……さん」

 

 『家族』……その一言でスクアードは今まで無理やり封じ込めていた白ひげへの想いが涙と共に溢れかえる。

 

 そうして、スクアードは自身がこれからしようとしていた事を思い返し嗚咽しながら白ひげに教えた。

 

 その内容を聞いたマルコ含む周囲の海賊達は息を呑んだ。それはそうだ。その内容はエースの命を引き替えに傘下の海賊団43人の船長の首を売る事だったのだから。

 

 スクアードは膝から崩れ落ち未だ止められない涙を流し続け自身の行いを後悔していた。

 

「だ、だがよォ……そんな事オヤッさんがする訳ねェって分かってた筈なのに……スマネェ!おれ……おれァ──ッ!!?」

 

 話を聞き終えた白ひげは後悔に苦しむスクアードに対し……優しく抱き締めた。

 

「そいつァ……すまなかったなァ」

「お……オヤッ……さっ……」

「お前がロジャーを恨んでいるのは知っている。それなのに今までエースの事を教えなかったのはおれの責任だ。すまなかった」

「そんな!オヤッさんは悪くねェ!!全部おれが悪いんだ!!あんな口車に乗っかっちまった大バカ野郎なおれが!そのせいで危うくおれァオヤッさんを……!!」

 

 

「バカな息子を──それでも愛そう……」

 

 

「!!?」

「確かにエースは大事だ。だが、それは何もエースだけじゃねェ。お前を含めここにいる全員がおれの大切な『家族』だぜ」

 

 そういい白ひげは処刑台にいるセンゴク元帥を睨み付ける。

 

「的確にロジャーへ恨みを持つ奴を焚き付けるたァ……その眼は衰えてねェなァセンゴク。だが、おれが息子を売っただと?」

 

 怒りを露にした白ひげは両サイドに拳を振ると大気にヒビが入れる。するとマリンフォードを呑み込もうとしていた津波の氷は木っ端微塵に砕け落ちた。

 

 それにより島を囲う氷塊は砕け氷漬けにされていた船はまた動かせるようになった。

 

「この落とし前……キッチリ付けさせて貰おうじゃねェか。……おれと共に来る者は命を捨ててついて来い!!!」

『ウオオオオオオおお!!!』

 

 白ひげがこう宣言すると周囲の海賊達は雄叫びを上げ一気に士気が跳ね上がった。

 

 ついに動く。世界最強の男が!!!

 

 そして飛び降りた白ひげは…………俺の隣に着地した。

 

 ………………何故に俺!!??

 

 急なことで少し思考が止まってしまっていた。ホントに何で!!?てか間近で見ると迫力がヤベェ……これが四皇の貫禄。

 

「おい小僧」

「ひゃい!?」

 

 急に声かけないでよ裏返っちゃったじゃん!

 

「さっきはウチの息子を止めてくれてありがとよ」

「い、いえ。何事も起こらなくてよかったです。アナタに万が一の事もありますが……それ以前に息子が騙されて大好きなハズの父親を刺してしまった罪悪感に苛まれるなんて事絶対にあってはいけませんので」

「ほお、若僧ごときがこのおれの心配だと?」

「べっべべべ別にそういう意味じゃ!?」

 

 ギャーーー!!!言葉選びミスったー!!!眼が恐ェー!!めっちゃ血走ってるー!!!

 

 死んだかも。そう思っていたが……。

 

「グラララララ!しかし、息子の事まで考えてくれた事には感謝してやる」

「へ?あ!ありがとうございまする!!!」

 

 さっきと一変、今度は笑い出す。怒っていた……ワケではなさそうだ。……よかったよ~っ。少しチビりかけたわ~(小股辺りが何やら湿ってる気がするが関係ないだろう)

 

「ところで見ねェ顔だがお前は誰だ?」

「は、はい!俺はアルガ!エースの弟さんであるルフィの仲間です!」

「そうか、あのクソ生意気なあの……。てめェも命を無駄にしに来たのか?」

 

 ……むっ、いくら白ひげでもその言葉は頂けない。

 

「勿論、エースの救出に」

「てめェごときに何かできるとでも……?」

「はい」

 

 俺の即答に白ひげは眉を潜める。

 

「俺達の実力が足りないのは百も承知です。だけど……ルフィ同様に俺にはやらないといけない理由がある」

 

 それに……と俺はこれまでの理由より単純な動機を告げた。

 

「何より……自分のやりたいことやらないと海賊やってる意味がありませんので!」

「ほお」

 

 俺の言葉に何かを感じたのかニヤリと笑った。

 

「あの船長にしてこの船員(クルー)ありか……揃いも揃ってクソ生意気な……!着いてこれなかったら容赦なく置いていくぞ小僧!!」

「はい!!……え?着いてこれ?」

 

 白ひげの言い回しに引っ掛かった俺はつい聞き返そうとするがそれは叶わず白ひげは一直線にエースの元へと駆け出した。

 

 ちょ!?うェへっ!?まさか着いてこいっ……ってコト!!?一般海賊の俺が四皇の白ひげとっ!!?

 

「へえ、お前さん随分とオヤジに気に入られたみてェだな」

「っ!?あ、アナタは!!」

 

 頭上から声が聞こえ見上げると空から蒼い炎の翼を纏った男マルコがやって来た。

 

「まあ、スクアードの件は助けられた。おれからもありがとよい」

「そ、そんなマルコさんからお礼だなんて……うへへ」

 

 キャーーーッ!マルコの生よいを聞ける日が来るなんて!!うへへ、感無量だよい。

 

「?顔が崩れてるぞー?おーい、何に浸ってるかしらねェが早く行かねェとオヤジに置いていかれちまうぞ?」

「うえへへ……へ?……あ、ヤバッ!」

 

 マルコの声に反応した俺はすぐに振り返ると既に白ひげは遠くまで行っており巨人族の海兵であるジョン・ジャイアントと戦っていた。

 

 その戦闘で白ひげは能力を使いマリンフォード全体が傾いた。

 

「うおっとと!あっぶな。俺も急いで追わねェと。……そうだ。マルコさん」

「何だ?」

 

 傾く足場を注意しながら白ひげの元まで追いかける。その走行中に俺はマルコに声をかけた。

 

「この状況をどう見ますか?」

「どう……ねェ。それは海兵の動きの事かよい」

「流石です」

 

 今この氷塊の上にいる敵は白ひげと対峙しているジョン・ジャイアントを除いて全員広場へと戻っている。今こそ一気に攻めいるチャンス。だが、そんな旨い話があるわけがない。

 

 マルコはその海軍の不可解な行動を不審に思ったのだ。さすが1番隊隊長、抜け目無い観察力だ。

 

「お察しの通り海軍は何かを狙っています。それこそ俺達を一掃できる策か何かを」

「じゃあおれからも聞くがお前さんならどうする?」

「そうですね。海兵がいなくなった今、この氷塊が無くなれば俺達海賊はかなり窮地に立たされる……とか。そしてそれを実行できる奴が向こうにひとり……」

「っ!だとすりゃあマズイな……悪いが先に行かせてもらう。オヤジに知らせねェと!助言感謝するよい!」

 

 そう言い残すとマルコは加速し白ひげのところまで飛んでいく。しかし、一歩遅かった。

 

 次の瞬間、地震のような揺れが起こるマリンフォード湾内を囲むように巨大な鋼鉄の壁が現れた。

 

 唯一、オーズJr.が倒れている場所だけ壁はなく皆そこへ向かって走り出す。しかし、それを黙って見ているほど海軍は甘くない。

 

「”流星火山(りゅうせいかざん),,」

 

 赤犬大将の攻撃により空から巨大なマグマの拳が雨のように降り注ぐ。それは広範囲に渡り周囲の氷が溶けみるみる海に戻っていく。

 

 ……ハズだった。原作通りなら。

 

「マジでアイツの言った通りになりやがったよい!!」

「ああ、あのセンゴクの手を読むとは……。さっきの騙し討ちを未然に防いだ事といいまだ若ェのに大したもんだ。そして、センゴクも誤算だっただろうな。あの時におれが手傷を負わせられなかった事によォ」

「オヤジ、いけるかよい?」

「誰に物言ってやがるハナッタレ。こちとらまだ一切の傷も負ってねェんだ。なら今この瞬間が……おれの出せる全快だァア!!!」

 

───”空震(くうしん),,!!!!

 

 白ひげは頭上に力強く拳を打ち上げる。すると大気に今までに無い規模の巨大な亀裂が入る。そして次の瞬間、上空から降り注ぐマグマの拳が一斉に木っ端微塵となった。

 

「嘘ォオオッ!!?」

 

 えええええええええっ!!?!?原作でもどうしようもできなかったあの無慈悲な無差別攻撃をブチ破りやがった!!?やっぱバケモノが過ぎるよあの人!!!

 

 改めて白ひげの実力に唖然としつつもようやく追い付き一息着く。

 

「おっ、やっと追い付いたかよい。」

「ええ、スミマセン」

「いや謝んなくてもいい。お前のお陰で此方は氷を溶かされずに済んだだけじゃなく次の行動に移せた」

「今度はこっちが仕掛ける番だ。おいマルコ。手筈はどうなってる?」

 

 次の行動?手筈?

 

「ああ、既にジョズが先陣を切ってオーズの道へ向かってるよい」

「そうか、ならそろそろ「切り札」を使うとしよう……ん、あれは……」

 

 切り札という言葉にピンと来た時、前方で大きな物音が響いた。視線を向けるとその先には倒れていたオーズJr.が起き上がっていた。

 

 そこに勝機を見出だした白ひげはニヤリと笑い戦闘を突き進むジョズに「切り札だ!」と言うとジョズは頷き足元の氷に両手を突っ込んだ。

 

 そして、力いっぱい抉りとった氷塊を持ち上げるとこの戦場でふたつ目の巨大な穴が完成する。海賊達は一斉にその穴の空いた海へと入っていく。

 

「グララララ!それじゃおれ達も行くとするか!」

「オヤジ、悪いがおれは一足先に行かせてもらう。今エースの弟が一人で広場へ突っ込んでいっちまった」

「そうか、ならそっちは任せた」

 

 そう言いマルコはひとりで先に広場の方まで飛んでいく。俺と白ひげは大きな穴から「切り札」とされるもう一隻のコーティング船が現れたので共に乗り込んだ。

 

 突如現れたコーティング船に動揺した海軍はすぐに沈めようと砲撃の準備を行う。しかし、センゴクだけは冷静に戦況を読み船ではなく起き上がったオーズJr.を狙うように指示を出したが……もう遅い。

 

「行くどみんな!!!ウオオオオオオ~~!!!!」

 

 オーズJr.が船を掴むと一気に広場まで引き上げたのである。それにより海賊達は一気に広場中央まで入ることができた。

 

 それにより海賊達は一気にエースの救出へと王手をかけ士気を上げた。

 

「野郎共ォ!!!エースを救い出し!!!海軍を滅ぼせェエェェ!!!」

『ウォオオオオオォォォオオ!!!!』

 

 戦いは更に激しさを増しあちこちで激戦が繰り広げられる。俺も船から降りルフィの元まで行こうとするが後ろから誰かに呼び止められた。

 

「待ってくれ!アンタひょっとしてエースの弟の仲間……だよな?」

「え、そうですけドフォウオッ!?」

 

 振り返るとそこには見覚えのある男がいた。薄い青髪にそのマスク。間違いない。原作でもチョロっと登場し何よりスピンオフでエースとずっと一緒にいた……!

 

「おれの名はデュース。エースとは白ひげ海賊団に入る前からの付き合いでお前らの事(九割弟話し)は聞いている。一緒に助けよう」

「デュースさん。ええ!共に頑張りましょう」

 

 まさかこんな所でデュースさんに会えるとは。でも、そうだよな。デュースさんもエースと一緒に白ひげ海賊団に入ったんだ。不思議なことではない。

 

 …………という事は?

 

「デュースさん。スミマセン少し待っていてくれませんか?」

「ん?ああ、別に構わねェがどうした?」

「少し……人探しを」

 

 俺は集中するために目を閉じ感覚を研ぎ澄ませた。そして、見聞色を発動し周囲の声を聞き分ける。

 

 ……ここじゃない。ならもっと範囲を広げろ。

 

 俺は見聞色の範囲を更に広げた。おびただしい情報量の声の多さに頭が割れそうになる。

 

 グッ……!この感覚昔マリージョアでタイガーさんを探していた時以来だな。だが、ここで諦めるワケにはなかない。デュースさんもいたんだ。ならきっとあいつもいるハズ……っ!?グアッ!!頭が……!

 

「お、おい!急にどうした鼻血が出てるぞ!」

「大……丈夫っ」

 

 俺は顔を歪ませ鼻血も出るが見聞色を止めようとはせず索敵を続けた。

 

──海賊共を討ち取れェ!!

──エース!待ってろよォオ!!

──ここを通すな!必ず仕留めろ!!!

──退けェエエ!!!

 

 ……違う、ここじゃない。目的にまっすぐな声ばかり。俺の予想が正しければあいつは……。

 

──エース!絶対助けるぞォ!!!

──海賊王の血はここで絶やさねばならない!

──邪魔だ海軍!!

──……エース。私は……。

 

  ……っ!!いた!戦場で感情を乱しているこの声間違いない!!

 

「デュースさん!着いてきて!」

「えっ!?何なんだよおい!」

 

 俺はすぐに迷いの感情が漏れている声の方へ向かう。するとそこには俯く少女が立ち尽くしていた。

 

「まさかとは思ったけど、ホントに貴女もこの戦いに参加していたなんてね」

「っ!?海賊か!貴様は私が──あっ」

「イスカ……」

 

 俺の声に反応した彼女、イスカはすぐに剣を抜こうとしたが俺の隣にいるデュースさんを見て手が止まる。

 

 そう、彼女の名はイスカ。スピンオフ作品のノベル版エースに登場したキャラであり、エースとは敵同士とはいえ互いに認め合っていた仲だ。

 

 そんな彼女は今にも崩れ落ちそうな雰囲気でデュースさんを見る。

 

「デュース……」

「元々敵同士だったんだ。お互いこうなる事は分かっていた……筈だったんだがなァ」

 

 デュースが頭をかき暗い顔になるとその表情を見たイスカは震えた声でこちらを睨み付ける。

 

「そ、そうだ……!元よりお前らとは敵だったんだ。分かっているなら剣を抜け!正義の名の元に……お前らは……わ、私が……!」

「お前はそれでいいのか?」

「え……?」

 

 俺がそういうとイスカは一瞬思考が止まったのか小さな声が漏れる。

 

「お前はこの処刑をどう思っている?」

「どうって……そんなの正義の為に火拳はここで処刑されるべきだと──」

「その正義の中にお前はいるのか?」

「っ!そ、そんなの関係ないだろ!私の気持ちなんてどうだっていい!今日、ここでアイツは死ぬ!私はそれを……黙って見ているだけ。そう、それで……」

 

 徐々に言葉から覇気が薄れ最後は何て言っているのか分からない程弱々しいものになっている。

 

 そんなイスカの態度を見て俺はとうとう我慢の限界が来た。

 

「いい加減にしやがれっ!!!!」

「なっ!?」

「あっ!おい待て危ねェぞ!!」

 

 俺は怒りの形相でイスカに近付く。その時、何も武器を持っていなかった俺に危険だとデュースさんが止めるも俺はこのままイスカの間合いに堂々と入った。

 

 武器なんてとる必要はない。俺はイスカと戦いに来たんじゃないのだから。

 

「確かに海賊王の血が途絶えたら多くの人間が喜ぶだろう。だが!その中にお前はいないだろ?今もこれからもずっとエースの死を受け入れて我慢し続けていくんだろ?そんなのお前がすり減っていくだけじゃねェか!!!」

「だ、だが……火拳はロジャーの息子で……」

「親なんて関係ねェ!!!」

「──っ!?」

 

 イスカの言い訳を俺は大声で遮る。そして、彼女の肩を掴み顔を近付け至近距離で心に訴える。咄嗟の事で彼女も俺の目を見ると逸らせなくなる。

 

「この世に生まれた人間は親を選ぶことなんてできない!人の価値はそいつの人生でしか決められない!お前にとってエースはなんだ!?」

「私にとって……火拳は……」

「俺は忙しい!ちんたら答えを待ってるヒマはねェ!だから今、ここで教えろ!!エースに死んでほしいのか!!生きてほしいのか!!!」

 

 そういわれるとイスカは黙って下に俯いた。

 

 

 

 

 

『イスカ……おれの船に乗れ……!』

 

 ふとした時に彼の言葉を思い出す。そこには当時信じていたものに裏切られたような喪失感に苛まれていた私への精一杯の思いやりを感じた。

 

 本当に嬉しかった。心を動かされた。絶望で目の前が暗闇に閉ざされた私を太陽のような明るい彼の姿を見て私は再び立ち上がることが出来た。

 

 しかし、終ぞ彼の言葉に応じることが出来なかった。彼は海賊で私は海兵だ。一緒に行くことは出来ない。

 

 ……本当にそれだけだろうか?

 

 他にもあったのではないのか?彼と一緒に行かなかった理由。伝えられなかった理由が……。

 

 ……いや、分かっていた。彼と行かなかったもうひとつの理由が。

 

 だが、だからと言って今更何になる。あの時行かないという選択を選んだのは私で今もその選択に恥じないように生きてきた。

 

 その……筈だったのに……。

 

 今、私は過去最大の選択を迫られている。

 

 火拳に死んでほしいか?生きてほしいか?それを聞いた瞬間私の思考は止まり頭が真っ白になった。

 

 ここへ来て即決できずにいる私はなんて半端者なのだろう。事実、この選択は他の者達なら即座に決められる選択だ。

 

 海賊王の血はこの世に残してはいけない。そんな事分かりきっている。しかし……。

 

 その選択を選ぼうとするとあの時の記憶を思い出してしまう。火拳と最後に別れたあのシャボンディでの事を……。

 

「もう正義の為とかそんな建前を言うんじゃねェぞ?俺が聞きたいのはお前の本音なんだ」

「私の……本音」

 

 本音……か。

 

 実はシャボンディで火拳と別れて以降、私は今とは違う未来を想像していた。

 

 あの日あの時火拳の手を掴めていたら……。

 

『なんで……っ!?』

『これでも、まだ私は海軍少尉なんだ……、いっしょには、行けない』

『なんでだよっ!』

『死ぬなよ、()()()。ありがとう』

 

 もし、あの時無理にカッコつけて拒んでしまった弱い私を火拳が許してくれるのなら……今度はあの暖かい手を掴みたい……手放したくない!だから──

 

 

「わ、私は……()()()に……生きてほしいィ!!!」

 

 

 決して表に出してはいけないモノが……決壊したダムのように私の口から溢れる。

 

「たとえエースは海賊王の息子でも……エースは私を救ってくれた。親の死の真実を知った時、目の前が真っ暗になってしまった私を太陽のように照らしてくれたあいつは……大犯罪者の息子ではなくひとりの人間として立派だった!憧れてしまった!」

 

 留まらない。今まで心の奥底に秘めていたものがどんどん溢れ出てしまう。

 

「己の信念を曲げないあいつからは、私たちとは違う正義を感じた!そんなあいつが……エースが死ぬなんて……私は認めたくない!!!」

「言えたじゃん。本心」

「あっ……」

 

 男のその言葉を聞いた瞬間、今まで締め付けていたような苦しい胸の痛みが消えている事に気が付いた。

 

 本心を口にしたことで憑き物が取れたようだ。目の前の男も隣のデュースも私の言葉を聞き満足そうな顔になる。

 

 そうか。私はエースを───

 

「ヒ、ヒヒッ……とうとう正体を現したな。イスカ大佐。いや、裏切者イスカ!!」

 

 するとどこからか高らかに響く笑い声が聞こえその声と共にひとりの海兵が現れた。見覚えのあったデュースもその海兵を見て驚く。

 

「っ!?おいおいあいつァまさか!」

「……!ドロウ少佐……」

 

 卑下た笑い声は彼からだ。髪はボサボサで目の下には隈が出来ておりパッと見落ちぶれた債務者のような姿だ。

 

「ドロウ……あれ?俺の記憶が確かならアイツって中将だったような?」

「よく知っているな。そう、彼はかつて中将として名を馳せていた。だが、海賊拿捕の際民間人を巻き込むと言った行き過ぎた暴挙を幾度と繰り返しそれを問題と見た上層部に軍法会議にかけられ今では少佐にまで降格されたんだ」

「へー……えっ!?イスカお前今大佐なの!?」

「どうでもいいだろ今はそんな事!!」

 

 どこには反応しているんだコイツは!私の説明に興味無しか!自分の興味あるもの以外はスルーとか自分勝手が過ぎるぞ。エースかコイツ?

 

「おい貴様らこのおれを無視するんじゃない!!」

 

 言い合っていると痺れを切らしたドロウ少佐は大声で私たちの会話を遮った。

 

「イスカ。貴様は今まで生真面目でいつも模範的な優等生だった。だがしかし、さっきの言葉は頂けないなァ~。あの言葉は我々海軍への裏切りを意味するぞ?」

「……そうだな」

「フッ……」

 

 ドロウ少佐の言葉を肯定すると彼はニヤリと笑い手に付けていた火炎放射器を私に向けた。

 

「フハハハハ!ならばその言葉の責任を取ってもらうぞ!!思えばおれのツキが落ちたのも貴様がエースを連れてきた日からだった!この疫病神め!正義の名の元に我々海軍を裏切った貴様も断罪してやる!!」

「それで構わない。私はもう、自分の人生に悔いを残したくない!!」

「おーおー裏切者が一丁前な口を叩くじゃねェか。だがなァおれは覚えているぜ?火が、トラウマだったよなァ~?」

「野郎っ!?イスカ!危ない!」

 

 ドロウ少佐が火炎放射器を向けるとデュースは私の身を案じてか心配の声をかける。彼には私の過去を話してある。だからドロウ少佐の持つ武器に焦っているのだろう。

 

 しかし、私は怯える事なくデュースに諭すように笑いかけた。

 

「安心しろ。もう、大丈夫だから」

「え……?」

「死ねェエエ!!裏切者がァーーッ!!!」

 

 ドロウ少佐が火炎放射器を放つ。しかし、私は臆する事なく剣を抜き炎の中へ突っ込んだ。

 

「イスカァアアア!!」

 

 デュースの悲痛な叫びが響く。だが、次の瞬間彼を含む皆の顔色が変わった。

 

「えっ!?」

「おっ」

「ハア!?ちょっと待てお前何故……!!?」

 

 多少体のあちこちに火傷を負うが怯む事なく突き進み火炎放射器の炎を抜けると相手との距離はもう既になく至近距離にまで詰め寄った。

 

 火に対して恐怖しなかった私に驚愕するドロウ少佐。しかし、これで終わりではない。

 

 今の火炎放射器の炎を利用し手に持っていた細身の刀身に炎を纏わせ……目にも止まらぬ速さでドロウ少佐の体を貫いた。

 

「"焔釘(ほむらくぎ)不知縫(しらぬい)」"!!!」

「なっ!?ぐあああああああ!!!」

 

 気付く頃にはドロウ少佐の体は穴だらけになり意識を朦朧とした彼は吐血し倒れた。だが、辛うじて意識はまだ残っているようだ。

 

「ガハッ……バ、バカな。このおれが……。あり得ん、武装色を……纏っていた筈……なの、に……」

「私は貴方を見くびりません。貴方の強さは火器だけにあらずその覇気を扱えるその実力……昔から尊敬しておりました。だから……」

「っ!?そ、それはっ!?」

 

 ドロウ少佐が顔を上げると目を見開く。その視線の先には……刀身が黒く染まっていた私の剣である。

 

「シャボンディでの一件以降、私は研鑽を積みここまで強くなりました。貴方を超えるため……過去を乗り越えるために」

「そ、んな……」

 

 限界が来たのかそこまでいうとドロウ少佐の意識は完全に途絶えた。

 

「……フゥ」

 

 別に過去の復讐とか両親の仇とかそんな理由でこの人と戦ったわけではない。ただ乗り越えたかったのだ。今まで未熟だった己の心を。

 

「お前……マジでやりやがったな。もう、後戻りは出来ねェぞ?」

「そうだな。だが、後悔はない。決めたんだ……これからは悔いのないように生きると」

「へっ、そうかよ」

 

 確かにこのまま海兵として正義を貫き通すことも考えていた。しかし、かつてシャボンディでドロウ少佐から真相を聞き思った事がある。海軍だけが貫き通すべき正義なのかと。

 

 被害を最小限にすると言うドロウ少佐の言い分も理解できる。だが、本当にそれだけが正解なのだろうか?

 

 私は他の可能性もある事を海賊であるエースを見て考えを改めた。

 

 海軍にも守りきれない者がある。なら、それを私が守ってやりたい。私は、私の信じる正義を貫きたい!

 

 あの時の背を見て私はそう思ったんだ。エース……。

 

 

 

 

 

 イスカの成長ぶりを見て俺は感心した。火がトラウマだったハズの彼女がここまで強くなるなんて……。

 

 でも、いつまでも感傷に浸ってはいられない。いつの間にか周りを海兵が囲んでこちらを睨みつけていた。

 

「まさか、あのイスカ大佐が寝返るとは……!」

「海軍の名に泥を塗りおって……ただでは済まさんぞ!!」

「海兵の恥さらしめ!!」

「イスカ大佐……おれの推しが……」

「ファンクラブのおれ達はこれからどうすれば……」

「マジ病む……」

 

 何か途中から怒りと言うか悲しみの声が多かったような……てか、イスカのファンクラブとかあったのかよ。俺も入りてェ。

 

 だが、ジリジリと敵意が肌に突き刺さる。いつ襲いかかってきてもおかしくない状況。その時、奥から海賊達が海軍を蹴散らしこちらへ助けに来てくれた。

 

「デュース!無事か!?」

「お前ら!来てくれたのか!」

「当たり前だ!おれ達2番隊は誰も欠けさせねェ!全員で生きて帰ってまたエース隊長と海に出よう!……ところでそこにいる女海兵は?」

「わ、私は……」

 

 囲まれていた俺達を助けに来てくれた2番隊の人達。だが、その誰もがデュースさんと一緒にいるイスカを見て尋ねる。

 

 敵であるハズの海兵と一緒にいるんだ。そりゃ心配にもなるだろう。イスカも慌てた様子で説明しようとするが上手く相手が警戒しているため下手なことを言えずにいた。

 

 仕方がない。ここは俺が一肌脱ごうじゃないか。

 

「助けに来てくれてありがとうございます2番隊の方々。それで、彼女の事ですが……実は彼女過去にエースと色々ありましてね?」

「い、色々……?」

「はい、そりゃ会う度に何度もエースを求め続けただならぬ関係にあります!」

「エエエエ!?エース隊長と!!?」

「ちょっ!!?何を言っているんだお前はァ!!!」

 

 俺の言葉に2番隊の人達はイスカを凝視し本人は顔を真っ赤にする。

 

「別に間違っちゃいないだろ?何ならシャボンディで遊園地の観覧車に一緒に乗っていたじゃないか」

「観覧車!?エース隊長が!?この女と!?」

「何でお前がそれ知ってるんだよ!!?」

「認めた!!?て言うことは本当に!!」キャー!///

「これが古よりいわれる……デート!!」キャー!///

「デュースも一緒だったからな!!!!」

 

 自分の失言により更に盛り上がる2番隊。イスカは誤解を解こうと必死に弁明をしていた。

 

「そういうワケなんでこの人も一緒に連れてってやってくれません?」

「そういう事なら仕方ねェわな~」

「おいコラー!お前はさっきから何を勝手なことを……!大体なんでお前がその事を……!!」

「まあまあ、落ち着いてイスカさん。いいじゃないの。この人達と共に行けばエースと一緒になれるんだよ?エースのこと嫌いだっけ?」

「ウッ!べ、別に……そんな事は、言っていない。エースを嫌いだなんて……あるハズないだろ……」

『キャーーーッ!!!』

 

 俺の質問に否定できずバカ正直に答えてしまったが為に2番隊から黄色い歓声が上がる。

 

 ノベル版でもこの子のバか真面目っぷりは十二分に披露しており嘘がつけないのを知っていた俺はつい彼女の初々しい反応にニヨニヨしていた。

 

「そんな……イスカ大佐があんな顔を……」

「脳が……壊れる……」

 

 何か若干何名かの海兵が膝から崩れ落ち泡を吹いて勝手に再起不能になっていた。推しに好きな人が出来るとここまで絶望するものなのか……。

 

 確かに俺も推しに恋人が出来たなんて考えたら……ウヴォエ。

 

「おい、お前どうした顔色が悪いぞ?」

「ウプッ、気にしないで……ちょっと脳破壊が……」

「ちょっとじゃねェぞそれ!!?」

 

 まあ、一先ずこれは置いといて……随分と寄り道をしてしまった。そろそろ早く向かわないとな。

 

「それじゃデュースさん、イスカさんを頼めますか?」

「いいけどお前はどうするんだ?」

「エースを救出するために、まずはウチのキャプテンの所へ向かいます」

「そうか、わかった。しっかりやれよ!」

「はい!それじゃ皆さんも!イスカさんと言うエースの未来の花嫁候補をしっかり守ってやってください!」

『任せろォーー!!!』

「最後まで何言ってるんだお前はァアアア!!!」

 

 怒っているけど顔を真っ赤にしちゃって可愛いなァ~。隠してるようだけどバレバレだよ。俺ってば人の好意に敏感なんだから!

 

作者「え?ロビンに対してあんな鈍感な癖に???」

 

 ……なんか誰かにディスられた気がするは気のせいだろう。早くルフィの元へ……おっ?

 

「えっ?」

「…………♪」ニチャ-

 

 俺はルフィの元へ向かっている途中にとある人物と立会い……ニヤけた笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 あれから戦いは更に激しさを増す。エースを救おうと攻め込む白ひげ海賊団。それを死守しようとする海軍。ついに英雄ガープも重い腰を上げ大将達白ひげやマルコ、ジョズと戦っていた。

 

 スクアードから刺されていないお陰か発作はまだ起きておらず赤犬に善戦している白ひげ。それによりマルコとジョズも油断することなく青雉と黄猿と渡り合う。

 

 俺は走り続けようやくルフィ達に追いついた。しかし、続く激戦によりルフィはもう虫の息だった。

 

「”テンション・ホルモン,,もう一発!?無っ茶ブル!!もうダメよ!!これ以上体をダマしたら……ヴァナタ後で、本当に命を落とすわよ!!!」

「今、戦えなくて……!もしエースを救えなかったら……!おれは、後で……死にたくなる!!!今……戦う力をおれにくれ!!!」

 

 エース救出もいよいよ大詰め。今まさにルフィがイワさんに”テンション・ホルモン,,をもう一度お願いしている場面を見つける。

 

 その二人の前に俺は立った。

 

「その必要はないよ」

「アン?いったい誰……えっ!?ま、まさかヴァナタはアルガボーイ!?」

「ゼェゼェ……アルガ、おめェ何でこんな所に……。つーか、イワちゃん知ってんのか?」

 

 俺の顔を見て驚く二人。前線を走っていただけにやはり俺がいたことに気が付かなかったのだろう。ちょっとヘコむ。

 

「ええ、彼がまだ小さかった頃にね。久しぶりじゃないアルガボーイ。結婚式以来かしら……ヴァナタが何故ここに?」

「それは俺がルフィの仲間だからだよ。絶賛麦わらの一味で活躍中です」

「あら、そうだったの。それは驚きナブル」

 

 ってイカンイカン。久しぶりの再会だけど雑談をしている場合じゃない。早く用事を済ませないと。

 

「再会に花を咲かせるのはまた今度。今はそれよりルフィの回復が先決だ」

「そういえば、さっき必要ないと言ってたわね。何か他にいい案があっチャブルの?」

「ああ、イワさんのそれはあくまで体をダマすだけ。後で反動が来るよりもここで回復させた方がいい。コイツを使ってね」

 

 俺は途中で出会って無理やり担いできたある人物を降ろし二人に見せる。

 

「ッ!?ヴァナタはっ!!!…………誰?」

「うおい!?知らねェのかよ!じゃあ何だったんだ今の間は!!」

「お前は……ウソップの村にいた、催眠術士」

 

 そう、連れてきたのは元クロネコ海賊団にいた催眠術士のジャンゴだ。コイツの催眠なら恐らくいけるハズ。

 

「その通り。……てことでよろしく頼むわ」

「頼むな!?敵だぞおれは!!?」

 

 チッ、流れでやってもらおうとしたがダメだったか。ノリの悪い奴め。

 

「まあ、元同業者のよしみって事でここはひとつ」

「だとしても今のおれァ海兵であり愛しのヒナ大佐に従う愛の下僕よ!てめェの指図は──」

「もし回復してくれんならヒナと最も親密な関係になっている男の情報を提供してやろうと思ったんだけどなァ~」

「……その話し詳しく」

 

 よしよし、やっぱこの話題に食いついた。そうだよなァ~恋のライバルの情報は欲しいよなァ~。

 

「べっつに~?アラバスタで二人っきりの密室で一緒にゲームをしたり(コイントス)ヒナ大佐がベロンベロンになるまで一緒にバーで飲んでいた(扉絵シリーズ)仲である同期の男が誰かを教えてやってもいいかなァ~と思っただけだしィ~?」

「コイツ腹黒っ!?」

 

 イワさんは黙ってて。さてさて、ジャンゴの反応は……。

 

「……これっきりだかんな」

「交渉成立~♪」

 

 こうして俺達は互いの手を握った。アッヒャッヒャッヒャッ!チョロイわー!

 

「『恋はいつでもハリケーン』。恋の前には立場なんて関係ないと言うけれど……コイツらの会話はそんな綺麗なものじゃナッシブル」

「あの卑下た笑み、ゲスの根幹を見た気がします」

 

 そこ黙らっしゃい。あとイナズマさんアフロから出てくるの速すぎじゃないですかね。俺をディスるためだけにわざわざ出てきたの?

 

「にしても、こんな奴にいったい何が出来ると言うの?」

「催眠術だよ。それでルフィを復活させる」

「あのねアルガボーイ。催眠術と言うのは一種の思い込みなんダブル。それで重傷者が治るのなら医学は──」

「いいか麦わらこのリングを見ろ。お前はワン・ツー・ジャンゴで"傷は完全回復する"。”ワン……ツー……ジャンゴ,,!」

「ウオオオオオオオオオ!!!!」

「本当に治ったーーーー!!?!?」

 

 催眠をかけた瞬間ルフィの傷は塞がり元気を取り戻した。その光景を見ていたイワさんはあり得ないものを見た様子でエエエエッ!?と驚く。

 

「いよォ~うし!!これでまだ戦える!待ってろよエースー!!!」

「血も止まって傷が塞がっている……こんなのもはや催眠の領域じゃナッシブル。やるわね彼……」

 

 イワさんはジャンゴを見て評価を改める。うん、正直俺もそう思う。ルフィが単純だからってのもあるだろうけど元クルーの奴らにもこれ普通に出来てたし……コイツが能力者じゃないってやっぱバグだろ。

 

 この後、約束通りジャンゴにスモーカーの事を話しすぐにこの場から去ってもらった。

 

 そして俺は元気を取り戻したルフィにこれからの事を話す。

 

「ルフィ、回復したならすぐにでもエースのところに行くんでしょ?」

「おう!もちろんだ!!」

「なら俺が今から言うことを守って欲しい」

「ん?なんだ?」

 

 首を傾げるルフィに俺はまっすぐな瞳で見つめた。

 

「俺はこれからお前をエースの元まで行かせるためにちょっと無理をする。だけど、お前は構わず前だけを見て進め。絶対に立ち止まらず処刑台まで行くんだ」

「……わかった」

 

 俺の眼を見てルフィは何かを感じ取ったのか何も聞かず頷いてくれた。そして、今度はイワさんにお願いする。

 

「イワさんにも頼みがあるんだけど……俺に”テンション・ホルモン,,を射ってほしい」

「なっ!?ヴァナタそれは本気?今無理をするって言ったけど……いったい何をするッチャブル?」

「ちょっとした報復をね」

「報復?」

「うん、イワさんはもうくまさんには会った?」

「ええ、会うには会ったけど……」

 

 イワさんは遠くを見つめる。その視線の先には今もパシフィスタとして戦っているくまさんがいた。

 

「うん、くまさんをあんな風に変えられてイワさんも悔しいよね。だから、その報復を兼ねて……海軍本部の戦力をできる限り俺に向けさせる」

「ハア!?そんな事出来るわけ……いったい何をする気?」

「そんな難しいことじゃないよ。くまさんを変えたあの政府の老害共に──ちょっと喧嘩売ってくる」

 

 そして、イワさんに”テンション・ホルモン,,を射ってもらいこれまでの疲労がみるみると消えていく。それだけでなく力もいつも以上に湧いてくるのが分かった。

 

「そんじゃアルガ!行ってくる!」

「死ぬんじゃないわよアルガボーイ」

「ああ、こっちは心配するな。仮に危なくなっても助けるのはエースを救出してからだ」

 

 そう言い残し俺は二人と別れた。イワさんのお陰で力がどんどん漲って来る。これなら俺のやりたかったことが出来そうだ。

 

 俺は周囲を見渡すと少し離れた位置にバギーとその囚人達を見つけすぐに駆け寄る。いつもより調子がいいのかあっという間にバギーの所まで着いた。

 

 そして、囚人のひとりに近付き通り抜ける。

 

「ちょっとゴメンよ」

「おっと、危ねェだろガキ!キャプテン・バギーの勇姿を撮影中なんだ!危うく電伝虫を落とすところ──ってあれ!?電伝虫がいねえ!!?」

「おいちょっと待て今のガキまさか!!」

 

 気付いた時にはもう遅く囚人が持っていた電伝虫は俺の手にあった。いやー、褒められたことじゃないけどスリの腕はまだ衰えてないなー俺。転生前の経験がこんなところで役に立つのは嬉しいような悲しいような。

 

 でも、これで準備は整った。

 

 さっきはルフィのためとか言ったけど、実の所これは完全に私情だった。俺が何かしなくてもエースはきっと救出できるだろう。むしろその先を見越して行動した方が建設的だ。だけど……。

 

 俺はくまさんの方を見る。それと同時に怒りが湧いてきた。

 

 やっぱ許せねェんだわ。五老星(アイツら)は俺に対して3つの大罪を犯した。

 

 一つ、幼い頃ロビンの目の前で恩師の発砲の命令を下しトラウマを植え付けたこと……。

 

 二つ、お前らの私利私欲でくまさんをあんな目に遭わせたこと……。

 

 そして、これが最も罪深い三つ目の罪……俺の両親を奴隷にし死に追いやったこと……!

 

 俺は沸き出る憎悪を抑え込み心を静める。そして、電伝虫に俺の姿を映した。

 

「えー、皆さんどうもアルガです。戦場を見せろと言う方もいるでしょうが俺の話を聞いてください」

 

 きっとこれを見ている人ははてなマークが浮かんでるだろうな。俺の話なんて興味もないだろう。

 

 だが、別に問題ない。俺が欲しいのはこれを各島々の不特定多数が聞いていると言う事実だけだ。

 

 そう思い俺は上着の服を脱ぎ捨て背中のマークを晒した。そう、天竜人の奴隷と言う証である焼き印だ。

 

「俺の生まれは"赤い土の大陸(レッドライン)"の頂上、聖地マリージョア。そこで育った俺は世界政府のとある秘密を握ってしまった」

 

 という設定にしておこう。大事なのはそこで生まれ育った者が"この事実"を知っているということだ。

 

「そして、俺が持つこの秘密は世界政府が800年間隠し通しているモノだった!!」

 

 ああ~、やっぱこういう時ってワクワクするよな。自分にしかない知識を他のみんなに教えるこの感覚。原作知識は転生の特権だよね!

 

「センゴク元帥ィィィイイイイイ!!!!」

 

 俺は大きく息を吸い戦場にいるセンゴクに直接声が届くであろう程の声量でこの映像を見ている奴らにも伝える。

 

「もし!手元に五老星への連絡手段がなければ急いで用意しな!!お前ら世界政府にとって……絶対に世間に知られたくない秘密を世界中にバラされたくなかったらなァッ!!!」

 

 俺はもう一度大きく息を吸い込み……。

 

 

「俺はゴムゴムの実のもうひとつの名を知っている!!!!」

 

 

 さあ、ここからが正念場だ!!!




どうも皆さんもしロマです!
28話をご覧くださりありがとうございます!
今回は長文になり過ぎて2,3話程に別ければよかったと反省中……。ほぼ2万文字とか頭湧いているのでしょうか?
あ、それとこの度もしロマのアカウントでXを始めました!正直、不馴れなので何を投稿するかはまだ未定ですがよければ下からどうぞ!

https://x.com/mosiroma2023?t=FhzDI3qJQVsttp43WetmwQ&s=09
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