あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
前回の感想欄ではイスカの告白やサボの登場を押し退けてアプーとのラップが感想のほとんどを占めました。その事に対してアプーさん一言。
アプー「アッパッパッ!お前らサイコー!!」
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ


30話 愛してくれてありがとう 下

 力が尽きた俺はルフィに担がれるも赤犬の攻撃から逃れることが出来ず焼き殺されるところだったがその窮地にひとりの男が現れた。

 

「悪い、待たせた」

「いや、完璧なタイミングだったよ」

 

 あのマガジンの名シーンの再現だなんて鳥肌もんだよホントありがとうございます。この記憶一生家宝にします。

 

「アルガ。コイツ知ってんのか?」

「知ってるけど……それを言うならルフィとエースの方が知ってるんじゃないかな」

「ハァ~?おれァこんな奴なんて……知ら……」

 

 男は振り返りルフィとエースに顔を見せる。最初は誰なのか分からなかった二人だったが次第に表情が真顔になっていくと……。

 

「「───っ!!!?!??」」

 

 まさか二人同時にエネル顔を見る日が来るとは思わんかった。

 

「う、嘘だっ!!!だって……あいつはァ……」

「ああ、おれもまだ信じられねェ……」

「昔ダダンの酒を盗んで……盃を──」

「「サボォ~~~~~~~~!!!!」」

「うぶ」

 

 顔を見てもまだ信じきれずにいた二人に三人しか知らないあの兄弟となった日の事を話すとルフィとエースは泣きながらサボを抱き締める。あまりの勢いにサボが少し苦しそうだ。

 

「エース?彼はいったい……」

「何じゃいワレェ……。横からしゃしゃり出おって……革命軍が何の用じゃ」

「革命軍とか関係ねェよ。おれは兄弟を助けにきただけだ」

「何じゃとォ?」

「えっ!?エースの兄弟!!?」

「ああ、おれ達は3兄弟だからな!」

 

 サボの言葉に一同驚愕する。ただでさえエースとルフィが義兄弟と言う事実に驚いていたのにそこへ更にもうひとり加わるのだから。それも相手は革命軍のNo.2。

 

 しかし、そればかりに驚いてはいられなかった。遠くからやってくる一隻の船に視線が集まっていく。

 

「おいアレを見ろ!あの船はまさか!?」

「嘘だろ!?何でここに革命軍が!!?」

 

 サボの登場に続き革命軍の船も現れたことにより海軍の表情が険しくなる。

 

 ヨシ!このまま革命軍を味方にこの窮地を……そう思っていたその時、ルフィが急に倒れ担がれていた俺も地面に横たわる。

 

「ぐえっ!ルフィどうした?」

「うぐ……ん?ん~!……あり?変だなァ……ハァハァ。急に体が……動かねェ……!」

「なにっ!?」

 

 まさかこのタイミングで”テンション・ホルモン,,の効果が!?クソッ!ジャンゴの催眠回復に期待を寄せすぎた。

 

 あくま回復したのは戦場でのダメージでインペルダウンでのダメージは”テンション・ホルモン,,で騙していたから回復してなかったのかも。油断した……このままじゃ!!

 

 そう考えていると悪い予想は的中し赤犬が倒れている俺とルフィ狙いを定めた。

 

「とんだ邪魔が入ったがまずは貴様らからじゃ!!」

「”撃水(うちみず),,!!!」

「っ!?」

 

 腕がボコボコ蒸気が沸く溶岩へと変わり俺達を襲おうとしたが、横から高圧の水の弾丸により弾かれた。赤犬とルフィが飛んできた方を見るとそこにはジンベエ、そしてイワさんがいた。

 

「ジンベエ!!」

「ルフィ君すまん!ちィっとばかし遅れた。じゃが間に合ったようでよかった」

「全くヴァナタはいつも無茶をするナブル……ってサボォ!!?」

「よっ、久しぶり」

 

 イワさんがサボを見ると大口を開けて驚く。そんなイワさんに対しサボは軽いノリで挨拶を交わす。

 

「おんどれェ……邪魔しくさりおってェ!」

「わしはルフィ君を命に代えても守ると決めとる。たとえアンタが相手だとしてものう!!」

「そうかい。まあ、元より"裏切り者"への制裁は必要じゃのう!!」

「伏せろジンベエ!!!」

 

 俺とルフィの壁になるように赤犬の前に立ち塞がるジンベエに赤犬は青筋を立て再び攻撃を仕掛けようとする。すると今度は別の二人が赤犬に攻撃を仕掛けた。

 

「させねェよい!!」

「ジンベエ!お前は倒れた二人を抱えて逃げろ!!」

「っ!わかったここは任せる!!」

 

 現れたのはマルコとビスタ。手錠が外れたことで再び力が戻り赤犬の前に立つ。しかし、先程のダメージを思い出しエースが心配する。

 

「お前ら!!無茶すんな!!」

「悪ィな。おれらの目的はエース、お前の救出だ。ここでコイツを止めねェと……倒れていった奴らやオヤジに顔向けできねェよい!!!」

「エース!!お前は一足先に船に乗れ!!!()()()()()はよく知ってる!!だが!それでもおれ達を信じてくれ!!!必ず戻る!!!」

「お前ら……ぐっ!分かった……待ってるからな!!!」

 

 エースは俺の方を見て何かを思い出したのか少しの時間葛藤し、今自身がすべき事を再認識したのかそう言い残しイスカと共に走り出した。

 

 それに続きサボ、そして俺とルフィを抱えてジンベエとイワさんも走り出した。二人の事は心配だが正直、今は白ひげの方が心配だ。同時に大将二人を相手にするのは危険過ぎる。

 

 さっきまで同じ状況だった俺はその危険度をよく理解しており白ひげの方を見る。だが、状況が変わったのか俺は疑問を浮かべる。

 

 なんと今は白ひげと黄猿のタイマンになっており青雉の姿がなかったのだ。なぜ姿がないのか?もう倒されてしまったのか?答えは分からなかったが一対一となっているからか黄猿の方がやや押されていた。

 

 ひょっとしてこのまま……そう思ったその時誰かが指を差し叫んだ。

 

「本部要塞の上に何かいるぞォ!!!」

「それだけじゃない!処刑台の上にいるのは誰だ……!!」

 

 ついに、来たか……。

 

 次々と要塞の上にいる集団に目が行くと、ソイツは高々に笑った。

 

「ゼハハハハハハ!!!久しいな!!……死に目に会えそうでよかったぜオヤジィ!!!」

「ティーチ……!!!」

 

 要塞の上から現れたのは"黒ひげ海賊"。周囲にはインペルダウン「Level6」からの死刑囚達もおり海軍達の顔が青ざめる。

 

 凶悪犯罪者達を仲間にする計画のために七武海に入ったと黒ひげがいい称号はもう要らねェとセンゴクに吐き捨てた。

 

 センゴクは苦悶の表情を浮かべるが白ひげはそんなこと知ったことかと言わんばかりにグラグラの能力で大気にヒビを入れ巨大な衝撃波が黒ひげを襲う。

 

「ティーチィ~~~~!!!!」

 

 それにより要塞は更に破壊され足場が崩れた"黒ひげ海賊団"は地上へと落とされた。

 

 そこからは白ひげと黒ひげの一騎討ちが始まる。だが、この先の結末を知っている俺は心臓がうるさい程高鳴り動悸が激しくなる。

 

 ホントは助けに行きたい。白ひげも救ってエースと一緒にまた旅を続けてほしい。だけど、それはできない。だって……。

 

 

 男が一度決めた覚悟を外野が邪魔していいワケないじゃねェか……!!!

 

 

 俺は歯を食いしばり少しずつ回復してきた僅かな力で拳を握りしめた。

 

 それにツラいのは俺だけではない……。ずっと一緒にいたエースや他の皆の方がずっとずっとツラいハズなんだ。

 

 あのエースでさえ今は白ひげの想いを汲んでこの先の時代を生きるために走っているんだ。俺が我慢しないでどうすんだよ……!

 

 そして、白ひげの戦いは続く。黒ひげのヤミヤミの能力で苦戦を強いられるもすぐ薙刀で攻撃をし形勢逆転。そのまま押しきろうとしたが黒ひげの銃弾が白ひげに命中し勢いが止まる。

 

 そこへ黒ひげは後ろにいた仲間達にも命令し一斉攻撃を仕掛けた。白ひげは既に蓄積されていたダメージが大きく避ける事もできなかった。そして───

 

───ドゥン!ドドドゥン!ザシュ!ズバッ!ドゥン!!

 

 白ひげは無抵抗なまま銃、剣、槍などの攻撃を浴び続ける。その光景を見ていた海賊達はオヤジィ!と泣き叫び涙を流す事しかできなかった。

 

 そして、攻撃が止むと……。

 

「お前じゃねェんだ……ハァハァ」

「っ!!まだ生きてんのかよ!!?」

「ロジャーが待ってる男は……少なくともティーチ、お前じゃねェ……」

「あ!?」

 

 黒ひげ海賊団の総攻撃を受けてもなお死ななかった白ひげは語り始める。その姿を見て黒ひげはビビり散らす。

 

「センゴク……お前達「世界政府」は……。いつか来る……その世界中を巻き込む程の"巨大な戦い"を恐れている!!!」

 

 そんな黒ひげを尻目にセンゴクへ語った。その後の言葉を想像したのかセンゴクの顔がみるみる険しくなっていく。

 

「興味はねェが……()()()を誰かが見つけた時……世界はひっくり返るのさ……!!誰かが見つけ出す。その日は必ず来る……」

 

 そして、白ひげは最後の気力を振り絞り世界中の人達に告げた。

 

 

「"ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)"は実在する!!!」

 

 

 この瞬間、世界中の人達がざわめいた。センゴクもその言葉の重みを理解してか激昂する。

 

「貴様……!!!」

 

 しかし、その怒りを向ける相手はもう──

 

「……ん?……あ!……し、死んでやがる……。……立ったまま……!!」

 

 この瞬間、大海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートは……その命を終えた。

 

『オヤジィィイイイ!!!!』

「っ!!……っ!オ、オヤジィ……!!」

「エース……」

 

 白ひげの死を目の当たりにした海賊達はその場に踞るものが出る程に悲しむ。そして、それはエースも例外ではなかった。

 

 決して振り返ることはなかったが白ひげの死に感情が高まりイスカの握る手が今まで以上に力が籠る。

 

 ここで逆上したエースが黒ひげに向かうかヒヤヒヤしたがさっきの説得が効いたお陰か順調に船へと向かっている。

 

 しかし、まだ安心はできない。むしろ黒ひげの目的はこれからが本番なのだから……。

 

「ハァハァ……ゼハハハハ!!さァ始めるぞ!!」

 

 白ひげの死亡を確認すると黒ひげは大きな黒い布を取り出し自身と白ひげを被せ中を見えなくした。

 

「ティーチの奴……死んだオヤジに何を!!」

 

 周囲はそれがどういった意図なのか分からず困惑する。だが、そうこうしている間に俺達は海岸へと着く。さっそく近くにある船に乗り込もうとしたが……。

 

「しまった!?海を凍らされた!!」

「これじゃ出航できねェ!!!」

 

 っ!?しまった!!だからさっき黄猿はひとりで戦っていたのか!

 

 俺はさっきまでの疑問を深く考えていなかったことを失念する。そうだ、原作でもあった事じゃないか!

 

 凍りついた海の上を歩き俺達の元へ青雉が現れた。

 

「悪ィな、アンタらだけは逃がす訳にはいかんのよ。なあ……"火拳"。それと悪いんだがジンベエ……その肩に担いでる二人も置いていって貰おうか?」

「悪いがそれはできん相談じゃのう……青雉!!」

 

 互いに身構えるが後ろからイワさんが跳んできて青雉の前に立った。

 

「おどきィジンベエ!!麦わらボーイ達には手を出させナ~~ブル!!”地獄のWINK(へ~~ルウィンク),,!!!」

 

 顔面を巨大化させたイワさんは瞬きで巨大な衝撃波をぶつける。しかし、青雉は全身が粉々に砕け散っただけですぐに元の姿に戻った。

 

「ここはヴァタシに任せて先を行くナブル!!火拳ボーイなら船の氷も溶かせナブルよね!早くお行きィ!!!」

「イワちゃん!!ありがとう!!!」

 

 ルフィがお礼をいい俺達は再び走りそうとした時……広場の方から大気の震えを感じ咄嗟に振り返ってしまった。

 

「っ!マズイ!?エース!見ちゃダメだ!!!」

「───っ!!!?」

 

 この先の未来を想像できてしまった俺はすぐエースを止めようとしたが……遅かった。そしてエースは……本来ではあり得ない光景を目撃した。

 

 黒い布から出てきた黒ひげが死んだハズの白ひげの能力を使用していたのだ。それにより海軍本部が更に崩れるがそんなものエースの視界には入っていない。

 

 ただ視線の先に写るのは尊敬していた者の力を我が物顔で笑っている黒ひげの姿だけ。

 

「手に入れたぞ!これで、もうおれに敵はねェ!!…………おれこそが"最強"だ!!!」

 

 この戦場にいるもの……いや、今この瞬間を中継で見ている世界中もの人々が戦慄する。そして、黒ひげは全世界に対し宣言した。

 

 

「ゼハハハハ!!そう……ここから先は!!───おれの時代だァ!!!!」

 

 

 

 この戦場でただひとり、高らかに笑う。己が頂点だと言わんばかりに。大切な人(白ひげ)の力を振りかざして……。

 

「ティィィチィ~~~~!!!!」

 

 エースは見るからに怒った様子で黒ひげを睨み付ける。そこ目には殺気が籠っていた。その視線でホントに人を殺してしまいそうな程に……。

 

「うわっ!?何だァ!!?」

「アルガ!!?」

 

 そんなエースの鬼のような形相を見ていると、突如謎の浮遊感が俺を襲った。ルフィが叫ぶも何もできず、担がれていたジンベエの肩から離れ引き寄せられるように広場の方へ戻されてしまった。そして……。

 

「よお、ジャヤ以来だなァ……"鬼の戦漢"!!」

「ングッ!く、黒ひげ……!まさかここから俺を引き寄せたのか……!」

 

 首を掴まれ持ち上げられた俺は無抵抗のまま黒ひげを見下ろす。

 

「闇は無限の引力……狙った獲物は逃がさねェ。そう、お前は獲物さ。今おれァおめェに興味が湧いてんだ」

「俺……に?」

「ああ、中継観てたぜェ?そん時おめェが言ってた「世界政府が隠し続けている秘密」について……そそる事言ってくれるじゃねェかよオイ!!」

 

 首を掴む力が強まり苦しさが一層強まった。

 

「ま、それ以前……海の上で初めて会ったあの時からおれはおめェに対して思うことがあった」

「何……だと……?」

「何故かって?そりゃあん時、おめェがおれ達を知っていたからさ!!」

「っ!!?」

 

 俺は黒ひげの言葉に驚きを隠せなかった。何で分かったんだ!?

 

「あの場でおれを見た瞬間、他の連中も多少の警戒はあれど……おめェだけが異常に警戒してやがった。それはつまり、知ってたんだろォ?おれの()()()をよォ!!どこでそれを知ったのか……おめェを気にし始めたのはそん時からよ」

 

 迂闊だった。黒ひげを見て無意識に警戒し過ぎてしまっていたのか。こういった洞察眼は流石としか言えない。

 

「さっき中継で言っていたヤツ以外にも他にまだ情報を持ってんだろ?おれの勘は当たるんだ。だからよォ……聞かせてくれねェか?───お前は()()()()()()()()()()()()()?」

「ガッ!?アァッ……!」

 

 嬉々として純粋な笑みで首を掴む握力が強まる。ダメだ……下手に嘘を言える雰囲気じゃない。間違いない、コイツは確信してやがる。

 

 俺が世界を揺るがす何らかの情報を握っていると……。

 

「そ、それは……」

 

 酸欠になりかけてきた俺は口を開く。か細くなった声でしっかりと聞こえるように。

 

「てめェで調べてみろや……歴史研究が趣味のインテリ野郎……!」

 

 せめてもの抵抗として皮肉を込めて。

 

「………………」

 

 俺の言葉に黒ひげは一時的に真顔になる。そして……。

 

「おれの成りだけ見てる奴からは絶対ェ出ない台詞だな。それに、否定も無しか。情報は持ってねェとよ……」

 

 黒ひげは身の毛もよだつ笑みをし今のは失言だったと後悔した俺はゾッとした。

 

「ゼハハハハ!!ますます気に入った!目的のもんは手に入ったが……ついでにおめェも連れていこう!!コイツの持つ情報はおれの野望に間違いなく役に立つ!!!」

 

 あークソ……何で俺はいつもヤバい奴らばかりに目を付けられんだよ。だが、いつまでも笑っていられると思うなよ。

 

「誰がてめェとなんか行くかよ……。それにチンタラしてていいのか?」

「アア?」

「行き当たりばったりな行動をするお前に忠告してやる。……こんな厄ネタを抱えた俺と一緒にいて無事で済むと思うなよ?」

「──っあ!?」

 

 何を言いたいのか理解したようだがもう遅い。見聞色によりこの後起こる未来を見た俺は受け入れるように目を瞑る。

 

───ズッ!!ゴォォオオオン!!!

 

「っ!!?ぐ、ぐわァああ!!!」

 

 突如巨大な衝撃波が俺達を包み込んだ。そう、センゴク元帥の攻撃だ。そして、黒ひげは堪らず手を離し俺を解放する。

 

 だが、同様に爆発のような衝撃に巻き込まれた俺もなす術なく吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。

 

「ガフッ!?」

 

 ヤバい……意識が、飛びそうだ……。

 

 幸いなことに倒れる俺を余所に黒ひげ達はセンゴク元帥と戦闘を始めた。よかった、原作の修正力に救われた。今の内に……!

 

 逃げるチャンスと思った俺は痙攣する腕を無理やり動かし這いつくばって皆の元へ向かう。

 

 しかし、そこへボコボコと死への足音が聞こえてきた。

 

「アイツ!標的を変えやがった!?オイ逃げろ!!赤犬が行ったぞォ!!!」

「え」

「戦場でそんな隙だらけにしちょってわしが逃がすと思ったか!!先程の蛮行……今度こそ貴様を処刑する!!!」

 

 遠くから聞こえるマルコの声と同時に掠れる視界に現れたのは赤犬。ボコボコと溶岩の腕を振り上げ俺を殺ろうと飛びかかる。咄嗟の事で反応できなかった俺はその溶岩を……。

 

「ヌアアアアア!!!」

 

 ……受けるかと思いきや、ジンベエが身を挺して赤犬の攻撃を受け止めた。そして、受け止めた手からはジュワーと皮膚が焼ける音が聞こえる。

 

「グヌゥウウッ……!」

「そこどかんかいジンベエ。さもないとお前さんを先に始末するけえのう」

「上等じゃ!!この命取れるものなら取ってみィ!!!焼かれた程度で引き下がる程柔じゃないわい!!!」

「よく言った!!そうだ!これ以上アルガに手出しはさせねェ!!!」

 

 ジンベエが赤犬の攻撃を受け止めている隙にサボが武装色を纏わせた鉄パイプで殴りかかる。だが、赤犬は体をマグマに変え流動回避した。

 

「鬱陶しいのう……"覇気使い"が!!」

 

 そうして、サボと赤犬の攻防戦が始まった。二人の戦いを見ていると再び誰かに担がれたので誰なのか確認すると俺は驚いた。

 

「えっ!?ルフィ!!?お前は動けなかったんじゃ……」

「ししし!イワちゃんに頼んでよ、また動けるようにしてもらった」

 

 ハア!?してもらったって!せっかく俺がジャンゴで回復させたってのに……!

 

「おまっ!今自分がどれだけ危ない状態か知ってんのか!?次倒れたらマジで……」

「ああ分かってる。だが、今はこれでいい。動けなくなった大事な仲間を守れないようじゃ船長失格だからな!」

「ルフィ……」

 

 そんなこと言われたら何も言えなくなるだろアホ……。

 

「つってももう長い時間は戦えねェみたいだ。イワちゃんに言われた」

「そうか、ならさっさとここから逃げるか!」

「おう!!」

 

 と意気込んだのはいいものの……正直、状況はあまりよくない。ジンベエとサボがいるとはいえ相手は赤犬。一瞬でも隙を見せればすかさず俺達の命を狙ってくるだろう。

 

 それに注意するのは大将だけじゃない。

 

「あの二人をこの戦場から逃がすな!!必ず仕留めろ!!!」

「ドラゴンの息子!並びに元帥の命により、正義の名の元に貴様らを断罪してくれる!!!」

「かかれェエエ!!!」

 

 四方八方から海兵が押し寄せてきた。そう、ここにいる海兵も決して弱くはない。それはさっきの袋叩きで痛い程思い知らされた。

 

 てか、最後にくらったドール中将の攻撃はマジでヤバかった。戦闘シーン見たことなかったから油断したけどアレひょっとしてマトモにくらえば巨人族も倒せんじゃね?

 

「ルフィ、目を閉じてろ」

「こうか?」

「オッケー。さァこれでもくらえ!!」

 

 俺は"光貝(フラッシュダイアル)"を調整し"貝手袋(ダイアル・グローブ)"を構えた。そして、手から閃光弾みたく尋常ではないレベルの光を放ち襲いかかる海兵達の視力を奪った。

 

「ぐァあああ!?目がァ!!!」

「クソ!何も見えん!?」

「アッハッハッ!元々"光貝(フラッシュダイアル)"は目眩ましが主な使い方なんだよ」

 

 そもそもレーザーが撃てるとか改めて黄猿のヤバさが伝わるわ。どんな光の密度だよ。

 

「今だルフィ!!」

「おう!」

 

 俺の合図にルフィは目を開き光に怯んだ海兵達をブッ飛ばしつつ走り出した。

 

「そういやエースは?見当たらないけど」

「ああ、エースの奴めちゃくちゃ怒って黒ひげの所に行こうとしたんだがよ、さっき居た場所で赤い奴が止めてんだ」

「イスカが……」

 

 だとすればアイツには感謝しねェとな。イスカがいなかったら間違いなく黒ひげの所まで行って事態はもっとややこしくなっていただろう。

 

 そう考えていると、目の前が突然光だした。

 

「ぐあ!?眩し──」

「ん~~、どこに行く気だァ~いお前らァ~。わっしから逃れられるとでも思ったのかァ~い」

「ガハッ!!?」

 

 光ったと同時に黄猿の光速の蹴りがルフィの腹部に直撃しさっき居た場所まで戻された。それにより飛ばされた俺達を見てサボが心配の声をかける。

 

「ルフィ!アルガ!無事か!?」

「何とかな……。だけど……イテェ。何でだおれゴムなのに」

「当然覇気を使ったんだろ。ゴム人間に打撃は無効だからな。サボ、心配してくれてありがとう。こっちは大丈夫、だけど……」

 

 目の前の光景はちっとも大丈夫ではなかった。何せ黄猿に赤犬と大将が二人もいるのだから。

 

「ハァハァ……流石に大将が二人も並ぶと威圧感が半端ねェな……グッ!?」

「ムダ口は厳禁だよォ~。革命軍!!」

「サボッ!!」

 

 光速移動により一瞬で間合いに入った黄猿は光の剣を作り出しサボへ斬りかかる。サボも辛うじて反応でき鉄パイプでガードした。

 

 そして、今度は赤犬が動く。標的はもちろん俺達でありジンベエが間に入り赤犬の攻撃を受け止めようとしたが……。

 

「今は貴様に用はない!!”火山爆発(かざんばくはつ),,!!!」

「なっ!?下からじゃと!!?グアアアア!!?」

「ジンベエ!!!」

 

 赤犬が地面に拳を叩き込むとジンベエの足元から溶岩の拳が噴火のごとく地面から飛び出しジンベエは全身が焼き焦げ打ち上げられてしまった。

 

「いい加減腹ァ括らんかい!!”大噴火(だいふんか),,!!!」

「うわあっ!?危ねェ!!」

 

 赤犬の腕のマグマが肥大化し巨大な溶岩の腕となり俺達に襲いかかるがこれを何とかルフィは回避する。しかし、避けることを想定したいたのか避けた先に追撃をかけた。

 

「遅い!!”犬噛紅蓮(いぬがみぐれん),,!!!」

「しまった!?アルガ───悪ィ」

「えっ?ル──」

 

 タイミングを合わせてきたこの攻撃を避けきれないと察したのかルフィは担いでいた俺を……放り投げた。そして……。

 

───ジュウワァアアア!!!

 

「グァァアアァァァア"ア"ア"ア"!!!?」

「ルフィィイイイイイッ!!!!」

 

 俺を守るために自身を盾に赤犬の攻撃を受けてしまった。くらう際、ルフィは後ろへ飛び辛うじて致命傷は避けられたようだが今の攻撃で胸が焼け爛れている。

 

 一刻も早くルフィを治療しなくては!それに今のダメージはマズイ!これまでダメージを蓄積されていた状態に今のをくらえば……いつ倒れたっておかしくない!

 

 しかし、放り投げられた俺は受け身すらロクにとれず無力にも膝を着くルフィを見ることしかできなかった。

 

「ルフィ!!!」

「アルガ……すまねェ。ゲフッ!ハァハァ……逃げろォ……!」

「安心せい。二人まとめて今、息の根を止めちゃるけいのう!!」

 

 動けなくなった俺達にトドメを差そうとマグマの腕が降りかかった。もうダメか……そう思ったその時!

 

「”火拳(ひけん),,!!!」

「ヌウッ!!?」

 

 赤犬に炎の拳が襲う。咄嗟に反応した赤犬は攻撃を中断しそれを回避する。それを見ていたサボは驚く。

 

「この炎……それに今の技って!!!」

「悪いな……来ちまった」

「エース!?」

 

 なんとエースが戻ってきた。それに驚いた皆は大丈夫なのかと心配する。

 

「ああ、さっきは取り乱しちまって迷惑かけた。けど、イスカのお陰でなんとか冷静になれたぜ」

「おいエース、相手の目的はお前だぞ!なぜ戻ってきた?」

「そうつれねェ事言うなよサボ。何も戦いに戻ってきた訳じゃねェ。お前らと逃げるために戻ってきたんだ」

 

 そういいエースは優しい顔でサボや俺達に笑いかけた。

 

「それによ。大事な弟がこんな目にあってんのにおれひとりで置いて逃げるようなマネできると思うか?」

「ったくお前は……そういう奴だったよ。あの頃からな」

「後イスカにも兄弟を助けるためだって言って納得してもらった」

「ああ、だから居ないのか」

 

 そういいサボは呆れつつもどこか嬉しそうな顔でエースを見る。

 

「戻ってきたのはこの際いいが……何かいい案でもあるか?」

「ルフィは……もう戦える状態じゃねェな。だったら───一撃ぶちかましてその隙に逃げる!!!」

「力業か……お前らしいな!」

 

 お互いにニッと笑うとエースの周囲に高温の炎が燃え上がる。

 

「ハアアアアア!!!”大炎戒(だいえんかい),,!!!」

「無駄じゃあ!!!貴様が"火"だろうがわしは火をも燃やし尽くす"マグマ"じゃあ!!!」

 

 お互いに最大化力をぶつけるために力を蓄える。そして……同時に溜めた力を解放した。

 

「”炎帝(えんてい),,!!!!」

「”冥狗(めいごう),,!!!!」

 

 エースは太陽を……赤犬は肥大化した巨大なマグマの手を……二人の攻撃が激しくぶつかり合う。

 

 互いの攻撃が拮抗しているかに思われたが……エースの太陽が赤犬の手に握り潰されかけてきた。

 

「グッ!チクショウ……後、もう一押しだってのにィ!!!」

「貴様は所詮ただの火!!!わしに勝てる通りはありゃあせん!!!」

 

 このままではエースが押し負けてしまう。そう思ったその時、俺の側で倒れていたハズの……。

 

「……ルフィ?」

「ハァハァ……ゴフッ!」

 

 ルフィが立ち上がった。

 

「っ!?何やってんだ!!お前はもう動けるからだじゃねェ!!!ホントに死んじまうぞ!?」

「だから……どうしたァ?」

「なっ!?」

「エースがピンチだってんのに……おれが……!兄弟のおれが行かないでどうすんだァ!!!」

 

 そしてルフィは限界でガクガク震える体に動かし拳を地面に着けた。

 

「ギ、”ギア……2(セカンド),,!!!」

 

 瞬間、ルフィの体から蒸気が発生する。そして、2の強化に堪えられないのか赤犬にやられた胸から血が流れ出し口からも吐血した。

 

「無茶だ!!!」

「大丈夫……一撃……一撃ぶつけるだけだ!!!」

 

 そういい覚悟を決めたルフィは地面が抉れる程勢いよく跳び上がりエースと赤犬の上に移動した。

 

「”ギアッ3(サード),,!!!」

「アイツ!!?更に無茶を!!!」

 

 2で強化した肉体に3で足を巨大化させた。もうルフィ自身、これが最後の攻撃と分かっているのだろう。だから、今出せる最大威力で赤犬を……。

 

「ルフィ……!」

「ああ?まだ動けたかドラゴンの息子!!」

「ウォォオォオォオ"オ"オ"オ"!!!”ゴムゴムの,,ォ~~……!!!」

 

 ルフィは血反吐を吐きながら振り上げた巨大な足を一気に赤犬のマグマの手に振り下ろした。

 

「”巨人のJET斧(ギガントジェットアックス),,!!!!」

 

 その時、不思議な現象が起きた。

 

 押されていたエースの太陽はルフィの足を燃やすことなく纏うようにひとつの技へと変わったのだ。

 

「ウォォオォオォオオオオ!!!」

「グゥ!これぐらいじゃまだ足り──グオッ!?おんどれェ!死に損ないがァ!!!」

 

 まだ堪えていた赤犬に俺は"貝手袋(ダイアル・グローブ)"を突き出し最後の黄猿のレーザーを撃ち込んだ。咄嗟に流動回避をしダメージこそなかったものの、一瞬の気の揺れを二人は見逃さなかった。

 

「「オオォォォオオオ!!!」」

「グッヌッ!猪口才なァァ!!!」

 

 そして、押していた赤犬は徐々に勢いは止まり逆に押され始める。そんな中、俺はルフィを見て違和感を感じた。

 

 熱風で姿がボンヤリとしか見えないがルフィの体に羽衣のような……?それにルフィの声がいつもと……。

 

「なっ!?こんな若僧共ごときにィ!!!わし……がァああ!!!」

「「ハァァアアアアアアア!!!!」」

 

 そして、遂に赤犬の攻撃を撃ち破り太陽を纏った巨人の足が赤犬を踏み潰した。

 

───ズドォォオオオン!!!ビキビキッ!ガシャァアアン!!!

 

 踏み潰した所から亀裂が入り地面が大きく割れた。

 

 勝った!そう思ったその時、限界が来たのかルフィは口から空気が漏れ海岸の方へ飛んでいった。

 

「ルフィ!?マズイ!あのままだと海へ……!」

「エース!!おれの事はいいから先に行け!!おれはもう少しかかりそうだ!」

 

「サボッ、すまねェ……!掴まれ!行くぞ!!」

 

 サボの後押しもあってエースは俺を抱えると足から炎を出した。

 

「”火脚(ひきゃく),,!!!」

 

 炎の勢いで加速させルフィを追うように飛んだ。さながら人間ジェット機みたく勢いを増し飛んでいくルフィの距離を縮める。

 

 しかし……。

 

「マズイこのままじゃ先に海へ落ちちまう!どうすりゃ──ん?」

 

 ルフィの落下地点の海面から突如潜水艦が浮上した。そして、その甲板運良く落ちたルフィは溺れずに済んだ。

 

「おい、麦わら屋をこっちh……何でもういんだ?」

「キャプテンそんな事言ってる場合じゃないよコイツ気を失ってる!胸も酷いケガ……早く治療しなきゃ!」

 

 すでに船の上にいたルフィを見て困惑しているのは以前シャボンディで会った海賊ローだった。甲板に俺達も着地するとエースはローを見て怪しむ。

 

「おめェソイツに何をするつもりだ?」

「治療する。安心しろおれは医者だ」

「エース、この人とは知り合いだから大丈夫だよ」

「そうか?お前が言うんなら信じるか」

 

 俺の言葉で納得したのかエースはローに対し警戒を解く。

 

 

「分かったらとっとと中に入れ。海軍が襲ってくるぞ」

「そうだな。ではお言葉に甘えよう」

「ああ……ってちょっと待て!何かさらっと海兵が交じってるぞ!!」

 

 いつの間にか現れたイスカが自然流れで船内へ入ろうとするとローに止められてしまう。

 

「おっ!イスカじゃねェか。何でここに?」

「お前らが突然空を飛んでいたのを見て追いかけてきたんだ。”月歩,,は使えるしな」

 

 イスカはえっへんと自慢気に笑う。うーん可愛い。それに大佐で"月歩"ってスゴ……才能の塊じゃん。

 

「ああクソッ!もう時間がない!とっとと海へ潜るぞ!!」

 

 ローの言葉で俺達はすぐ船内へ入り海中へと潜った。そして、中では俺とルフィのオペを開始した。

 

 その時、ものすごい揺れに襲われたがすぐに安定する。あれ?原作だと青雉と黄猿の追撃が結構激し目だった気がしたが……。

 

「オイ何があった?」

「はいキャプテン。後方から氷やレーザーが押し寄せてきたんだけど船のすぐ後ろにいる誰かが防いだっぽい。多分魚人だと思うけど……何で魚人が?」

 

 ベポの説明で謎が解けた俺はさっき打ち込まれた麻酔で徐々に意識が遠退いていった。

 

 ありがとう、ジンベエ……。

 

 

 

「仁義、通させて貰いやした!」

 

 

 

 

 

 

 現在、マリンフォードでは戦いの音が鳴り止んでいた。その理由とは……。

 

「この戦争を、終わらせに来た!!!」

 

 白ひげと並ぶと"四皇"のひとり、"赤髪のシャンクス"が現れたからである。

 

「なんでここに……!!"四皇"がいるんだよ!!?」

「赤髪海賊団だァァ!!!」

 

 シャンクスの登場によりどよめく両陣営。そんな中、構わずシャンクスは語り始める。

 

「船長の白ひげは死に、此度の処刑される筈だった"火拳"は逃亡しもう居ない。戦う理由のなくなったこの戦争にもはや何の意味もない」

「な、何をォ……!!──ヒッ!?」

 

 意味のない戦いと言われ海兵のひとりがシャンクスに反論をぶつけようとしたが……目を合わせただけでその者は恐怖で黙り込んだ。

「───これ以上を欲しても、両軍被害は無益に拡大する一方だ……!それでも、まだ暴れ足りねェ奴がいるのなら……」

 

 そこまで言うと赤髪海賊団の初期メンバーが勢揃いし周囲は更に萎縮された。

 

「来い……!!!おれ達が相手をしてやる!!!」

 

 シャンクスの放つ威圧感に皆唾を飲み込んだ。その後、黒ひげにも問いかけたがすでに欲しい物は手に入ったといいあっさりと手を引いた。その時、誰かを探している様子だったがそれが誰かなのかはシャンクスは知らない。

 

 そして、シャンクスは誰も反論がないことを確認した後にこう言い渡す。

 

「全員───この場は、おれの顔を立てて貰おう」

 

 それは事実上、終戦の合図となりこの場の全員が武器をおろした。

 

「"白ひげ"の弔いはおれ達に任せて貰う。戦いの映像は世に発信されていたんだ……。これ以上、死を晒すようなマネはさせない!」

「何を!?白ひげの首を晒してこそ!我々正義の──」

「構わん!!」

「っ!?元帥殿……!?」

 

 今の言葉には流石の海軍も黙ってられずシャンクスに突っかかるもセンゴク元帥がそれを許可をし周りの海兵はどよめいた。

 

「お前なら……いい。赤髪……責任は私が取る」

「すまん」

 

 シャンクスとセンゴク元帥の間で交わした条件を決めるとセンゴク元帥が宣言した。

 

 

「負傷者の手当てを急げ……!戦争は……!!!終わりだァ!!!」

 

 

 かくして、"大海賊時代"開幕以来最大の戦い、"マリフォード頂上戦争"はここに幕を閉じ───

 

 歴史に深く刻まれる───

 

 …………そして、そこにもう一つの真実が刻まれる。

 

「やっと会えた」

「…………ん?」

 

 シャンクスの前に現れたひとりの少女。武器も持たず見るからに非力そうなか弱い少女。そんな少女を見たシャンクスは───

 

「シャンクズゥゥウウウウ!!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 出会い頭に一発ぶん殴られた。

 

 

 

 

 

 "マリフォード頂上戦争"から数日、場所は"偉大なる航路(グランドライン)"後半の海「新世界」。そのとある島には今数十隻もの海賊船が停泊されている。

 

 その海賊船に乗る者全員がオヤジに愛されていた家族だ。そんな皆が今、この島で行われているオヤジの葬式に来ている。

 

 当初、おれは潜水艦で別行動をしていただけにこの式に参加できるか不安だったがマルコに渡していたおれのビブルカードのお陰で無事合流することができた。

 

 そして、目の前にはオヤジにも負けないぐらい大きく立派な墓が建てられており、その墓の前で皆泣いている。

 

 そこへ赤髪もやって来る。若い女と一緒に。誰かと思ったが聞けば赤髪の娘らしく最初はかなり驚いた。以前、会った時には居なかったからてっきり独り身なのかと思ったが……コイツにも大事な家族がいるんだなと思った。

 

 少しの間マルコと話すと用が済んだのか来た道を引き返して行った。

 

「ウタ、お前までわざわざ着いてこなくてよかったんだぞ?ベック達と船で留守番してても……」

「へえ、シャンクスは私と一緒にいたくないんだ?ひとり島に置いていった私には何とも思ってないんだァー?」

「んぐ……いや、それについては前にも言ったがなァ……」

「うん、聞いたよ全部私のためだって。でもね?たとえどんな理由があっても大切な娘を泣かすのは違うんじゃない?どんなに重い罪を犯しても一緒にいるのが家族なんじゃないの?シャンクスがいなかった10年はホントに寂しかったんだよ?ゴードンさんがいなかったらどうなってたかなァー?」

「ウチの娘が変に逞しく育ってる……」

「何か言った?まあ、いいや。今はこうして赤髪海賊団の音楽家に戻ってこれたわけだし♪

───これまで会えなかった10年分、ず~~っと一緒にいようね♪

 

 …………何やらあの赤髪が怯えている感じに見えたが……気のせいだよな。うん。

 

 赤髪が遠ざかっていくのを見届けた後、おれはオヤジの墓と向き合った。

 

「オヤジ……」

 

 初めて出会ったあの日からこれまでの思い出を思い返すと自然と涙が込み上げてきた。そこへおれにもひとりの少女が隣に現れた。

 

「ほらエース。ハンカチだ」

「ああ、すまねェ……ズビビッ」

「オイそれ止めろシャボンディの期間限定品何だぞそれ」

 

 そうやっておれを慰めて来たのはイスカ。あの戦争からおれ達はずっと一緒にいる。イスカ自身そうしたいって言ったのもあるが……。

 

 不思議とコイツといると何かが満たされる気持ちになる。そして、おれはこの気持ちが何なのかを知っていた。

 

 昔のおれじゃ一生分からなかっただろうモノ……。これはおれが海へ出た本当の理由そのものだった。

 

 それに気付かせてくれたのはオヤジ……アンタからだった。

 

『おれは……生まれてきてもよかったのかな……』

『そりゃおめェ……生きてみりゃわかる』

 

 ああ、今なら分かるさジジィ。答えはずっとここにあったんだ……。

 

 だからこそ、この気持ちを真っ先に伝えたいんだ。力や名声何かじゃない。もっとずっと身近でかけがえのない……おれの生きた意味。

 

 最初に伝えるこの言葉はオヤジ……アンタに伝えたい。

 

 鬼の血を引くこのおれを……。

 

 

 

「愛してくれて ありがとう」

 

 

 




どうも皆さんもしロマです!
30話をご覧くださりありがとうございます。
スランプで一時、書けずにいましたが何とか回復しました!
さて、今回はまとめきれなかった部分の補足が2つありますのでここで教えちゃいます。

【補足】
中継でんでん虫
上で囚人から奪ったでんでん虫ですが、中まではしっかり持っていましたがルフィのテンションホルモンが切れ一緒に転けた拍子に落としてしまいました。なので、下の白ひげ死亡も黒ひげが能力を奪った場面も戦争が終わった場面もしっかり中継されております。

ウタ
数年前、エレジアでアルガと出会い幼少時代の元気を取り戻す。
その後、革命軍へと入ったウタは直接的な革命活動こそしなかったものの元気をなくした国民達に正体を明かさずその歌声だけで人々の活気を取り戻す配信活動を行う。後に彼女は"革命の歌姫"として名を広げる。
そして、元々シャンクスの元へ戻るまでの間とドラゴンと契約を交わしており頂上戦争後晴れて革命軍から抜け赤髪海賊団へと戻った。
なお、戦争終了後ウタがシャンクスの娘とカミングアウトをしたせいで海軍内の隠れファンは脳を破壊された。イスカに続き推しが2人も消えこれもまた歴史に刻まれる事件だったのかもしれない。

主人公のプロット公開にて【投稿しなかった話のワンシーン】より『30話前 サボの記憶』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
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