あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
最近投稿できず申し訳ありません!頂上決戦という山場を終えて一息着こうとしたらいつの間にか3週間も……(;゚ω゚)
あ、それと最近上映されたヒロアカ最高でした。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
『推し』という言葉を知っているだろうか?
推し、それはアイドルや俳優、はたまたゲームやアニメのキャラと様々なジャンルはあれどその者に対しただの好きでは語ることのできない至高の存在。
恋愛とはまた違う感情を彷彿とさせるその対象にある者は崇拝し、ある者は敬愛し、ある者は尊ぶ。存在してくれるだけで心が満たされてしまう……そんな存在だ。
俺が何故急にそんな説明をしているかと言うと……。
「君がルフィの言ってた仲間だね!私はマーガレット。よろしく!」
目の前に
俺、今日で死ぬかもしれん……尊すぎるゥ♡
時は遡り俺とルフィはエースとイスカを乗せた軍艦を遠くなるまで手を振り続けた。
「じゃあなルフィ。おれ達はここで別れる……またどこかで会おう!」
「ああ!またなァ~!エースゥ~!!!」
戦場から逃れローの潜水艦で治療を終えた俺達は海上へ浮上するとハンコックを乗せた軍艦と出会う。軍艦の海兵は全て石にされており、イワさん含むニューカマーの人達が乗船していた。
後から海面から現れたジンベエを含めこれからについて一通り話し合いをし、俺達は"女ヶ島"に匿って貰うことにした。その際にエースとイスカはイワさん達を乗せた軍艦の方に乗移りそこで別れた。
別れを寂しがるルフィだったがまたいつか会えると説得し最後は大手を振って見送った。その後に九蛇の海賊船に先導して貰い"女ヶ島"アマゾン・リリーへと辿り着いた。
「ここが、"女ヶ島"……」
「ん?アルガどうかしたか?」
「いや、何でもにゃ……いよ」
「噛んでんぞ」
ルフィシャラップ。仕方ないだろ緊張してんだから。ここには
でも、知っての通り"女ヶ島"の規則上ルフィはともかく俺やロー達男は入国が許されない。島に着いたのはいいがしばらくの間は上陸すら許されなかった。
ハンコックの助力により特例として湾岸に停泊を許可して貰える事となった。そこで休息を取っていると海からひとりの人物が上がってきて一同が驚く。
「レイリーのおっさん!?何でこんな所に!?」
「やあ、ルフィ君にアルガ君。やはりここにいたか。実はここにいるんじゃないかと推測して来たんだ」
そして、レイリーさんが此方へやってくるとルフィと話し始める。初めて出会う冥王を前にルフィを背負っていたジンベエは圧倒され呆然としていた。
分かる、レジェンド級の超大物が気さくに近付いてくると緊張しちゃうよね。俺もそうだった。
ジンベエにシンパシーを感じていると何やらロー達が荷造りの準備をしていた。
「あれ?もう行っちゃうの?」
「ああ、してやれる事は全てやった。後は暫く安静にしてりゃあ治る。ここにはもう用は無ェからおれ達は行く」
「そっか、今までありがとう。ローさんが来てくれて助かったよ。礼は次会った時にでも」
「別に礼なんて……いや、そうだな。これは"貸し"にしといてやるよ」
「ああ!」
最初は断ろうとしたが一度考え込み不敵に笑ってそういうローに対し俺は快く頷いた。だって、ローさんってどんなに悪い顔してもそうじゃないって謎の信頼があるし。
「でも、最後に……ベポ~!ガルチュ~!」
「オー!寂しくなるなー!またいつか一緒に日向ぼっこしような~!ガルチュ~!」
「おいベポ馴れ合うんじゃねェ。それより、いつの間にそんな仲良くなったんだテメーら……」
最後にベポのモフモフボディーを堪能しているとそれを呆れた様子でローさんが見ていた。
実は"女ヶ島"へ行く途中、ベポと一緒に日向ぼっこして談笑していたら意気投合しガルチューし合うぐらいに仲が深まっていたのだ。
そして、最後のガルチューを終えるとローさん達は船を出して海中へと潜っていった。
「あー!何だよアイツもう行っちまったのか!おれも言いたいことあったのによォ~!」
「わしも一言礼を言おうと思ったんじゃが」
おんぶされたルフィが此方へとやって来た。ジンベエと一緒に不満そうな感じだったのでそれを宥める。
「まあ、その内会えると思うよ。次会った時に礼をするって言ったし」
「そっかァ~……あ、そうだレイリーのおっさんがお前を呼んできてくれって言ってたんだ」
「俺を?」
何だろ?と考えつつルフィと一緒にレイリーさんの元へと行く。着くとそこには今到着したであろうハンコック達が大量の食料を運んできていた。
ルフィはそっちの方に目が行くとさっきまでおんぶ状態で動けなかったハズの体でその山盛りの食料へと飛びついた。
「メシィ~~~~ッ!!!」
「ハァン!ルフィが妾の用意した食事を……これが"新婚"!」
「違うニョ蛇姫」
ブレねェなコイツら……と少し呆れた様子で見ているとレイリーさんの視線に気付きすぐに向き合うと俺達を待っていたレイリーさんは本題へと入った。
「やあ、アルガ君久しぶりだな。元気そうでよかった。二人揃った所で本題へ入ろう。ルフィ君……」
「ん?」
むしゃむしゃ食べていたルフィはレイリーさんに呼ばれ反応する。
「キミはこれからシャボンディに向かうと言っていたな」
「うん、仲間達に会いてェんだ!」
ルフィはごくんと食べていたものを飲み込みレイリーさんに答える。しかし、その答えに対し目が鋭くなった。
「本当にそれでいいのか?あの島でキミ達の身に何が起きた?」
「っ!?」
「うむ、しっかり理解しているようだな。最も、キミの方は既に分かっていたようだな」
レイリーさんの言葉でルフィはシャボンディで起きた事を思い出し声をつまらせる。そして、何かを見透かすようにレイリーさんが俺に視線を向けた。
レイリーさんはただ笑いかけているように見えるがそうじゃない。その真意を汲み取り俺は代わりにルフィへ告げた。
「ルフィ、お前はシャボンディで……いや、それ以降もぶつかったんじゃないか?自分より強い敵という壁に」
「それは……」
「ハッキリ言おう。今の俺達は弱い。何かを守る事も何かを得る事も……何ひとつ叶わない。ただ強者に蹂躙されるだけだ」
「っ!!!」
俺に言われルフィは拳を震わせ顔を俯いてしまう。シャボンディで黄猿達に何もできなかった事だけじゃない。その後のインペルダウンや海軍本部で味わった敗北の悔しさに苛まれているのだろう。
「どうやら身に染みているらしいね。世界のレベルを……。そう、俺達全員今のままじゃこの先の海のレベルには通用しない。だからこそ、一度踏みとどまるべきなんじゃないか?」
「踏みとどまる……?」
「ああ、そしてそれについて……レイリーさんは俺達に教えてきたんじゃないか?」
そこまで言い俺はレイリーさんに視線を向ける。今度はレイリーさんが意図を汲んで話し始めた。
「その通りだよ。そんなキミ達に提案がある。のるかそるかは勿論、キミ達が決めろ」
そうして語り始めたレイリーさんの提案。聞いている内にルフィは何か考えている様子だったが話終える頃には既に答えは出たのか覚悟を決めた顔をしていた。
「──という訳だが、どうする?」
「……アルガ」
「何?」
レイリーさんの問いにルフィはまず俺に顔向けた。
「これからちょっと長くなるけどよ……おれのワガママを聞いてくれるか?」
「ハア……ルフィ」
ルフィからの問いに俺はとっくの昔から答えは出ていた。
「お前のワガママは今に始まったことじゃない。それに───
「アルガァ~!!!」
「わぷっ!」
急に抱き締めてきて目の前が真っ暗になる。苦しいよルフィ。というか見えてないハズなのに後ろからすんごい嫉妬のオーラが突き刺さってんだけど。
「妾と同じくルフィから抱擁を……!!」
そんなこんなでこれからの方針について話し合い作戦のためにさっそく海軍本部へ再び向かおうとしたのだが……。
「ああ、待ちなさい。悪いがキミはここに残って貰う」
「へ?」
まさかの俺だけストップがかかってしまった。何故に?
「アルガ君、キミがマリンフォードに行くのは少々……いや、かなり危険だ。あの中継を世界中に晒して政府が黙っているとは思えん。幾ら今のマリンフォードが手薄になっているとはいえキミまで現れたら海兵だけでなく政府の役人も出てくるだろう」
言われてみれば確かに政府にとってトップシークレットな情報をカミングアウトしておいて無事で済むわけないもんね。
「……私がここへ来たのにはもうひとつ理由がある。アルガ君、キミに聞きたい。この世界についてどこまで知っている?」
一歩、俺に歩み寄る。だがその一歩がとてつもないプレッシャーを放つレイリーさんを大きく見えるような錯覚に陥る。
どこまで……か。
「確かに俺は普通じゃ知りえない世界の情報を持っています。ですが、レイリーさんのように全てを知っている訳じゃないんです」
ここで隠していても意味はないと思いレイリーさんに話すことにした。そもそも肝心な部分は未だに何も知らないのだ。別に話すだけならどうという訳ではない。
「ですが知っているのは断片的なモノで世界が隠している"重要な何か"は何ひとつ知りません」
"
マジで最終回まで見たかったぞ尾◯先生コノヤロウ!(八つ当たり)
「だからこそ、俺はそれを知るためにルフィと一緒にいるんです。世界の秘密を知る大きな冒険を皆でやりたいから」
「フッ、そうか」
「はい、だからレイリーさんからは何も聞きません。だってそれじゃ何も面白くないですもん」
俺の答えに納得したのかレイリーさんは小さく笑う。
「キミの気持ちを聞けてよかった。……よし、では今から行動に移るとしよう。ルフィ君、ジンベエ君付いてきたまえ」
「おう!」
「了解した!」
こうしてレイリーさん、ルフィ、ジンベエの三人で"女ヶ島"を後にした。その間、俺は湾岸でボーッと時間を潰そうと思ったが意外な人物に話をかけられた。
「そなた、少しよいか?」
「っ!?……ルフィはもう行きましたよ?」
「分かっておる」
俺の前に現れたのはさっきまでルフィの姿が見えなくなるまで手を振り続けていたハンコックだ。
てか、改めて思うけどマジで美人過ぎねこの人?そりゃあコミックスの時も普通に綺麗とは思ってたけど……この世界だとワンピフィルターみたいな補正が入ってんのかな?
「妾はそなたに用がある」
「俺に?」
「うむ」
ハンコックが直々に俺に用って……いったい何だ?
そう考えているとハンコックは少し思い悩んだのか震える体を落ち着かせるために一度間を置き俺に向き合った。
「そなたが中継で話していた内容を遠くで聞いておった。"天竜人の奴隷"……じゃとな」
「はい」
「そこでひとつ問いたい───それを世界中の者に告げた時、恐怖は無かったのか?」
「ない」
「なっ!!?」
……なるほど。それでさっきから挙動がおかしかったのか。
ハンコックは"天竜人の奴隷"という事を隠して生きている。それを知る者はごく僅か。そんなハンコックにとって俺の行動は信じられないものだったのだろう。
「な、何故じゃ……何故そう平然でいられる?」
「俺は別に世界からどう思われていようが知ったこっちゃないってのもありますが……」
色々思い返し「やっぱり……」と俺は続けて一番の理由を教えた。
「ルフィが……仲間が奴隷の俺を受け入れてくれたから。アイツらさえ居てくれるのなら他の評価なんて要りません」
俺がニッと笑うとハンコックは暫く下を向き口元が緩んだ。
「そうか……そうじゃな。妾もルフィに……」
「えーと、ハンコックさん?」
「もう十分じゃ。妾は城へ戻るとしよう」
満足の答えだったのか先程のようにどこか恐れていた様子は感じられなくなっていた。そのままスタスタ島の奥へ行こうとする彼女に対し俺は少し引き留める。
「あ、あの!ひとつ俺のお願いを聞いては貰えないでしょうか?」
「何?少々図に乗り過ぎではないか?幾らそなたがルフィの仲間と言えど妾を誰だと──」
「聞いてくれたらルフィのブロマイド何枚か差し上げますけど?」
「何をしておる早う申せ。如何なる願いも聞き入れよう」
うん、思った通りチョロいわコイツw
暫くして、ルフィ達が海軍本部から無事戻ってきた。
「お~~いアルガ~!戻ったぞォ~!」
「お帰りルフィ~!待ってたよ~!」
いやホントに!
俺はルンルンで湾岸で出迎える。ルフィが戻ってきた事はすぐにハンコックの耳に入り"女ヶ島"の人達を引き連れてきた。
その中には九蛇海賊団だけでなく当時ルフィが知り合った島の戦士もいる。つまりそれは……。
「また会えたねルフィ!」
「元気そうで何よりの巻き!」
「ねー!」
「あー!お前ら~!」
「…………」
この島で知り合った友達三人との再会にルフィは喜ぶ。その光景を前に俺は無言で立ち尽くす。
いや、光景というより……ひとりの人物を前に。
「スゥー……」
キャァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
マァ~~~~ガレットすわあああああああああああああああああああん!!!!!
カワイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!
ああなんて可愛いんだろうマーガレットさんは。それでいて気品に溢れて凛とした姿も綺麗で美しい。しかもボーイッシュな雰囲気でいながら気を許す相手に対してだけ見せる笑顔が乙女らしさを引き立てて魅力がウン百ウン千……いやウン京倍にも跳ね上がる。もうダメこれ以上は直視できない眩しすぎるよマーガレットさん。初めてその魅力に気付いたのは悔しながら漫画ではなくアニメであり、ルフィが九蛇姉妹を倒したその夜に二人で宴を抜け出した際に見せた「ありがとう!ルフィ」のシーンでありその時に見た笑顔があまりに魅力的すぎてハートを撃ち抜かれたんだよな~~。それ以降私の中で貴女様が出てくる回はみな神回です。マーガレットさん可愛いよマーガレットさん。
「おいどうした?顔が死んでるぞ」
「ここが俺のラフテル」
「頭壊れたか?」
ルフィが何か言ってるようだがマーガレットさんを拝むことに集中している俺には何も聞こえない。
俺は推しの三大ワンピヒロインのひとり、マーガレットさんを前に尊い気持ちで胸がいっぱいになる。
アア~、ハンコック
ハンコック様に心の中で尊敬の意を強めているとまさかのマーガレットさんの方からこちらへやって来……えっ!?待って来てる!!?わっ!ちょっ!!待っ!!?!?
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドドドドドドドド!!!!
おおおおおおおお落ち着け俺ェ!!!静まるのです我が心臓よ!!!下手に取り乱してマーガレットさんに嫌われようものなら死ねるぞ!!冷静に!心臓と思考を止め───
「君がルフィの言ってた仲間だね!私はマーガレット。よろしく!」
「────」
お"っ"♡♡♡♡
この瞬間、俺の心臓と思考が止まった。
「ん?ねえルフィ。お仲間さん固まって動かなくなっちゃったんだけど」
「おれにも分かんねェ。……けど、どことなくアホな時のサンジに似てんな」
それから正気に戻るまで数分かかった俺は改めてマーガレットさんと挨拶を交わす。
「はっはははは初めまして……アルガ……ですゥ」
「フフ、そんな畏まらないでいいよ。アルガ、改めてよろしく!」
ギュッ♡
「~~っ!!?」
手ェェエエエエエエエ!!!!てて手をギュッって!!今俺の手をギュッって!!!!手がスベスベするし!しかも握手してるからち、近い!!それに仄かにいい香りが……!!!
俺、この手を一生大事にする。よくアイドルの握手会とかで「俺、もう一生この手を洗わん」とかほざく奴いるけど俺はそんな事は考えない。むしろピッカピカに洗います。だって、もし次握手する機会があった場合、洗わない汚い手で相手に不快な思いをさせちゃうでしょ?そんな自分勝手な考えで推しに迷惑をかけるなんて笑止千万。なので今後はより一層この手を清潔にいたします。
「うへへ……♡」
「また動かなくなっちゃった」
「フム、これでは話が進まんな。悪いが先に彼を船に乗せておいてくれ」
俺がまたフリーズしている内にレイリーさんが指示を出し気付いたのは頃には既に九蛇の船が出ておりマーガレットさんの姿はいなかった。
「うへへ……あれ?ここは……船内?マーガレットさんは?」
「お、やっとアルガが戻った。アイツらなら海岸で見送ってたぞ」
「……そっかァ」
この時点ではまだ船員に選別されていないのでマーガレットさんはここにはいない。そう思い俺はひとつ後悔をした。
クソ!コアラとも初めて話す時はこんな感じだったっけか……何故俺は推しの前だとこうも上手く話せないのか……推しだからですねハイ。
恋ならぬ推しはいつでもハリケーンだ。それにしても……。
「サイン欲しかったなァ……」
"女ヶ島"を出てから暫くすると無人島「ルスカイナ」に到着した。俺、ルフィ、レイリーさんの三人で上陸するとハンコック達は船を出し島を離れていった。
ルフィと会えなくなるからめちゃくちゃ渋っていたがルフィのためとレイリーさんに説得され承諾した。
島の中を進むと遺跡のような場所へ着きレイリーさんが振り返る。
「まずルフィ君。キミにはこれから"覇気"の力を身に付けて貰う。どんな力かは既に知っていると聞いた」
「うん、前に空島でアルガに聞いた。確か……"ごぼう食"と"ケーキ半分食"だろ?」
何そのラインナップ絶対に合わないだろ……。
「"武装色"と"見聞色"だ。全然覚えてないじゃねェか」
「まあ、呼び方はさておき……キミにはもうひとつの覇気も覚えて貰う」
「もうひとつ?」
「ああ、それは──」
「プォオオオオオ!!」
レイリーさんが教えようとした時、森の奥から巨象が現れた。だいぶ気象が荒く俺達を見てまっすぐに向かい襲ってきた。
「おっさん危ねェ!!でっけェ象が!!?」
「まあ、見てなよルフィ」
「だけど……っ!!?」
「っ!!!……プ……オォ……」
慌ててレイリーさんに警告するルフィを宥める。それでも焦るルフィだったがすぐに声が止まる。目の前でレイリーさんが一睨みするとさっきまで大荒れだった巨象が泡を吹いて倒れたからだ。
その光景を前に唖然とするルフィにレイリーさんは何事もなかったかのように説明を続けた。
「──これがもうひとつの覇気。相手を威圧する力……"覇王色の覇気"!これから2年間、キミはこの3つの覇気を習得してもらう。本来では短すぎるがキミの素質ならば基礎までなら習得可能だろう。気を引き締めるんだな」
「おれが……これを……」
次にレイリーさんは俺の方を見る。
「さて、次はアルガ君だが……生憎ここでキミに教えることは何もない」
「え!?」
ここへきてレイリーさんから修行のお断りを受け驚く。ハッ!?なんで!!?
「というのも、既にキミは覇気を習得しているし技術面で私がキミに言えることは何もない」
「で、ですがっ!!」
「まあ、落ち着きたまえ。何も修行をしないとは言っていない。ただ、私が手解きをする前にやらなくてはならない事がある」
「やらなくてはならない事……?」
最初は俺だけ何もしないのかと焦ってしまったがそうじゃないらしい。よかったよかった。しかし、俺がやらなくちゃならない事っていったい……。
「キミの戦いは中継で拝見させてもらった。それで気付いたのだが……キミは"覇気"を扱いきれていない……言い変えると引き出せないんじゃないのかい?」
「っ!!そ、そうです。小さい頃から覇気を鍛え続けたせいで覇気が強すぎて体がついていかないんです。よく分かりましたね」
「ああ、そういった輩はたくさん見てきた。覇気は強力だがそれだけでは意味がない。しっかりそれに釣り合う強い肉体がなくてはな!」
そこまで言われようやくレイリーさんの意図に気付く。
「つまり、俺がやるべき事って……」
「ウム、基礎体力の向上だ。まずは半年、それまでにキミは覇気を全開まで引き出せるレベルまでに肉体を鍛えるんだ」
「はい!」
これまでもゾロと一緒に基礎トレーニングはやってきたけどおそらくこれまでとは比べモノにならないぐらい過酷な修行になりそうだ。
「……と言いたいところだが、私自身キミの現在の強さがどれ程のモノか確かめたい。なので悪いが今日のメニューは基礎トレーニングではなく、私との立ち合いだ」
「……………………ゑゑ?」
…………この人は何を言っているのでしょうか?立ち合う?俺が?レイリーさんと?元海賊王の副船長相手に???
「……マジすか?」
「大マジだ。着いてきなさい」
そういってレイリーさんはスタスタと歩き移動を始める。そこでようやく理解が追い付いた俺は一言。
「…………いや死ぬて!!!」
しかし、俺の叫びとは裏腹に状況は変えられず開けた場所に着くとレイリーさんは俺と向き合う。
「今回の戦いによってメニューを決める。心するように。ルフィ君もよく見ておきなさい。これから行う覇気使いの闘いを」
「おう!」
「話が淡々と進んでしまっている……」
ここまで来ると諦めの境地になってきた。もうこの際開き直ろうかな?
それに、これは言い機会かもしれない……。
『ウォロロロロロ!!!』
その時、俺の脳裏にかつて対峙した巨大な鬼……最強生物の姿が過る。
そうだよ……ここで臆してたらその後はどうする。今みたいにビビリ散らすのか?いや……ダメだろそんなんじゃ!!
「……ひとつ聞きたいことがあります」
「何だね?」
チラリとルフィの方を見て俺達との距離を確認する。ルフィはこれから戦うので遠くで俺達を見ていた。
ここからなら聞こえないと思いレイリーさんに尋ねた。
「レイリーさんは……"覇王色の覇気"を纏えますか?」
「っ!……ホウ、その技法を知っているとは。今も昔も扱える者は限られておりその存在自体知る者は少ない。感心するよ……それで、できるかどうかだったかな?」
「はい。もし、できるのなら───それ込みの全力でお願いします」
するとレイリーさんはピクッと眉を揺らしニヤリと笑う。
「できるかどうかは……キミの眼で確かめるといい」
「っ!!?」
───ゾワッ
瞬間、とてつもない威圧感が俺を襲う。一瞬覇王色と誤認してしまう程の圧倒的な強者の存在感。それが俺に向けられている。
これが……海賊王の右腕、"冥王"のプレッシャー。空気がいつも以上に重く感じる。
だが、これでいい。こうじゃなければ戦う意味がない。
「私の全力と言ったが……発言には気を付けなさい。理解しているのか?キミは今───誰を前にしているのか」
「は、い……。勿論理解はしています。ですがっ……」
プレッシャーに押され言葉を詰まらせながらも俺は一歩前に出た。
「俺がいずれ戦う敵はその頂にいる。これを前に立ち止まっているようじゃ……俺は前へは進めない!!!」
「フム、そうか……ならば来なさい!!!」
「はい!!!」
今の俺では決して敵わない相手なのは分かっている。けど、俺はいつかアイツと戦うためにも、奴と渡り合える強さの可能性を見出だしたいんだ!!
「”
俺は淡い光を纏い全力でレイリーさんに向かって金棒を振るった。
私はマリンフォードに着くまで事態を甘く見ていた。
現在のアルガ君の身の危険さは理解していたつもりだ。だからこそ彼は連れていかなかった。しかし、私は見積もりを誤っていたのかもしれない。
そう思ったのは、予定通りルフィ君を広場へ行かせ「16点鐘」を見守っていた時だった。
ルフィ君の身に何か起こらないか周囲を警戒していると遠くで一部の海兵が2枚の手配書を見ていた。
よく見るとそれはルフィ君とアルガ君の手配書でありその海兵は明らかにルフィ君よりアルガ君の手配書を凝視していた。
周囲を見渡しまるで誰かを探しているようにしているとその後周囲にいた半数以上の海兵達が広場を出て行った。
それが、人探し……アルガ君の捜索だと気付くのにそう時間はかからなかった。
それと同時に私は驚いた。未だ確認されていないアルガ君を探すためだけにマリンフォードにいる海兵の半数以上が広場を後にしたのだから。
お陰でマリンフォードを出る際も余計な手間がかからず想定以上にスムーズに逃げることができた。それと同時に考えた。もし、ここにアルガ君も連れてきていたらどうなっていた事かと……。
どうやら、政府には私達よりアルガ君がそれだけ消し去りたい対象になっているわけだ。ならば私も認識を改めなければなるまい。
断片的な事しか知らないといっていたが、それは反って彼にとって毒になるやもしれん。少なからず情報を持っているアルガ君を政府は決して逃がさないだろう。
小さな癌ほど素早く対処される。なら私にできることはひとつ……。
私は"女ヶ島"へ戻る間、基礎トレーニングのメニューよりも先に彼がどれ程の実力があるか確認しようと決めた。
ここは海軍本部「議事の間」。ここに集う将校達はこれからの議題に対し耳を傾けていた。
そこでは、先日このマリンフォードに海賊"麦わらのルフィ"と"海峡のジンベエ"……更にあの海賊王の船の副船長である"冥王"シルバーズ・レイリーの三名が姿を現した件について会議が行われていた。
何故"麦わらのルフィ"が再び敵地に現れたのか?それは広場で行った「16点鐘」による我々への挑戦状と受け取った。
「続いてはあの戦争後、世界中で起きている騒動よりも一線を越えて上層部を騒がしているこの男!!!」
続けてブランニュー少佐は次の議題を持ち出した。これまで書き連ねたホワイトボードの上にバンッと音を鳴らし1枚の手配書を張り付ける。
それは"鬼の戦漢アルガ"の手配書だった。
その手配書を見た将校達はどよめきの声をあげる。懸賞金の上がりようもそうだが、他の賞金首とは少し違う
「皆さんお静かに……お気持ちは分かります。こんな事は今までにない前代未聞の事態です。何せこれは"五老星"自らの指示ですから」
「なんと!あの"五老星"が……!?」
再び周囲が騒がしくなりそれを静止させたブランニュー少佐は話し続ける。
「報告によりますとこの男の持つ情報は"世界を揺るがす危険なもの"との事です。そんな危ない情報を海賊が持っていい筈がない!これは政府の命令抜きにしても市民を守る我々海軍も到底見過ごせる事ではありません!!」
ブランニュー少佐の熱いスピーチに他の将校達も感化され「その通りだ」と頷いた。
「それに加え奴の実力も侮れない。先日の戦場でもPXを容易に破壊し、モモンガ中将を始めバスティーユ中将や他にも名高い海兵達を次々と薙ぎ倒し、果てには一時的にとはいえ大将2人を相手に渡り合っていたと……。実際に見た兵からは『その姿は正に戦場に降り立つ鬼』だったと聞いております」
アルガのあまりに非現実的な実績を聞いた一同は息を飲んだ。とても一海賊の船員がやった実績とは思えないものだったからだ。
実際に立ち合わなかった者はこの話を聞きその恐ろしさに冷や汗をかく。だが、それ以上にこの場にいる何人かのアルガと立ち合った将校は誰もがこう思っていた。
戦場を駆け抜け闘い続けるあの姿は正しく鬼だったと。
「そして、問題なのはそれだけではありません。この男が戦場で歌ったあのフザけた曲……あのせいで非加盟国だけに留まらず一部の加盟国の者達が影響され各地で反旗を翻しております」
「あれがですか……」
歌と聞きその場にいた将校達は顔を押さえる。それは赤犬大将を含めた周囲の海兵達が聞いた曲。
その内容は我々海軍を愚弄するような内容だが、後半の歌詞は的を得ているためこの場にいる者達は反論を言おうにも強く出られなかった。
「一部の間では彼を『市民の代弁者』や『救済の申し子』、『第二の革命家』等と囁かれている始末……!これは我々海軍として見過ごす訳にはいきません!!」
「まさか、あの歌でその様な事態が……。余計な問題を起こしてくれたものだ……!」
流石にこの状況はマズイ。このままでは下手をすると政府への反逆者が増えてしまう。なんとか対処しなくてはと将校達は事態を重く受け取った。
「"五老星"からの指示はこうです。『見つけ次第速やかに奴を抹殺せよ』との事!これ以上奴を調子に乗らせない為にも、我々海軍は正義の名の元にこの男を亡き者にしなくてはなりません!!やりましょう!世界の危機から守る為に!!!」
『オオッ!!!』
再びホワイトボードに貼られた手配書をバンッと叩く。そして、手を退けるとそこにはこう記載されていた。
ONLY DEAD
「鬼の戦漢アルガ」
懸賞金 : 7億6000万ベリー
俺はどこかで調子に乗っていたのかもしれない。
船の中でも唯一覇気を扱え全力を出せば誰にも敗けない自信があった。事実、先日の戦争でも中将相手に一撃で打ち負かし大将とも渡り合った。
敵に立ち向かう時の高揚感。
闘いの中で感じた臨場感。
敵を倒す度に感じた爽快感。
その全てが自身を成長したと実感させられ言い様のない全能感を感じていた。これはきっと現代人が異世界で力を得た者なら誰もが通る道なのではないだろうか?
現代ではありえない程強くなった自分に酔ってしまう。そんな時期が。
しかし、そんなものは結局どこまでも理想であり妄想だ。現実はもっと非情であり、厳しいものだ。
そう思い俺は今──ボロボロの状態で大の字に倒れ空を仰いでいた。
周囲の木々は折れ地面には幾つものクレーターが出来ており近くにいた森の猛獣達は覇気に当てられ泡を吹き倒れている。この惨状からどれだけ激しい戦闘が繰り広げていたのか想像するのは難しくないだろう。
そんな惨状の真ん中で辛うじて意識が残っていた俺はポツリと呟く。
「敗けた……」
「ああ、筋は悪くないが……まだまだ未熟だ。しかし、衰えたものだな。昔ならば今のキミを一撃で倒せたものなんだが」
レイリーさん、これ以上追い打ちをしないでください。にしても、分かってたつもりだったけど想像の5倍ぐらい強かったわ。全然攻撃が当たらんかったよ……。
てか、よく思い返せば俺大将と全然渡り合えてなかったわ。だって攻撃一度も当てられなかったし。なんならボコられてたわ。
自惚れてた。今の俺ならたとえレイリーさん相手でもいい闘いができるんじゃないかって。だが結果はどうだ?攻撃は当たらず一方的に打ちのめされてしまった。
これが……かつてロジャーと共に戦ってきた男の実力。格が違う……。
そう思い、同時に
「悔しい気持ちがあればキミはまだまだ強くなる。これからしっかり修行を積めば……」
「それも、あります……。けど、それだけじゃないんです……」
「何?」
俺は涙を流しながら今まで考えないようにしていたある事実をレイリーさんに言う。
「確かに身体能力が上がれば覇気も引き出せて強くなれる。でも、それだけ……それ以上は強くなれない……!」
「…………」
「俺は"覇王色"を持っていない。真の強者は皆扱えるその力を……俺は扱えない。限界が見えてるんです……!!」
別に自分が弱いとは思っていない。武装色は最上位の内部破壊までできるし、見聞色だって未来視ができるほどだ。
しかし……俺は心のどこかで己の限界がどこまでなのかを考えないようにしていた。すぐ側に際限なく強くなり続ける者がいたから。
ルフィは勿論のことゾロだってそうだ。"覇王色"を使える者は決まって全員デタラメな力を発揮する。
ルフィのように一発で島を粉々にできるような破壊力のあるパンチは打てないし、ゾロのように一撃で山よりもデカイ怪物を真っ二つにするような剣の力はない。
俺は心のどこかで焦っていたのかもしれない。どこまでも成長するアイツらに抜かれ、置いていかれてしまうんじゃないかと。
だから、俺は優位性を保とうとゾロとの稽古に付き合っていたのかもしれない。勝って自尊心を守るために。
ハハ……ここへ来てから変わったつもりだったんだが……そんな事なかった。性根がクズなところは何も変わっちゃいない。
そう自分を卑下していると今まで黙って聞いていたレイリーさんの口が開く。
「キミは自身の成長に悩んでいるようだがひとつキミは大きな思い違いをしている」
「……思い違い?」
「ああ、それは"覇王色"を持つ者のみが真の強者と言っている事さ」
「え……で、ですが」
「いいかいアルガ君。よく聞きなさい」
レイリーさんの言葉に反応し無理やり上体を起こそうとする俺の肩をレイリーさんはポンと優しく添えた。
「確かに"覇王色"の纏いは強力だ。しかし、事戦闘において"武装色"の右に出るものはない!」
「っ!!」
「他の皆が"覇王色"で強くなるのならキミはそれに負けないぐらい"武装色"を極めればいい。何かを極めるという事はそれだけ自身を成長させた証なのだよ」
「"武装色"を……極める……」
「そうだ、人の力には確かに限界はある。しかし、人は工夫次第で無限に強くなる可能性を秘めているのだよ。何せ、強さという概念に限界なんてものは存在しないのだから……!!!」
強さに限界はない。……そんなこと考えもしなかった。既に内部破壊までできているからそれ以上上はないと……勝手に決めつけていた。
けど、違った。それは俺が勝手に決めつけていただけでもっと視野を広げれば俺にもまだ可能性はあったんだ。
……とんだ思い上がりだったな。
俺は内心苦笑するとレイリーさんも察したのか穏やかに笑った。
「どうやら見つけたようだな。可能性を」
「はい、お陰様でこれからの方針が決まりました。ありがとうございます」
「ウム、いい顔つきになったな。これから厳しく行くぞ?」
「はい!」
レイリーさんの差し伸べてくる手を掴み互いに笑い合う。ボロボロで動けなかった俺を引き上げて立ち上がらせるとルフィが駆け寄ってきた。
「スゲェ~闘いだったな!!お陰でこっちまで熱くなってきたぜ!!!」
「敗けちゃったけどね」
「これから強くなりゃいいんだから気にすんな!おれもお前に敗けねェぐらい強くなっから待ってろよ!」
ルフィの笑顔を見て心が軽くなるのを感じた。一回敗けてノイローゼになってたのかもな。俺は俺のペースで強くなればいい。
今以上に強くなって鬼姫様と共にカイドウと闘うんだ!!!
「よし、アルガ君のメニューは決めた。すぐに修行を始めるとしよう。ルフィ君、アルガ君着いてきたまえ」
「おう!」
「はい!」
そして、一度猛獣が寄り付かない安全な場所へ戻りその夜はそこで過ごす。そして、翌朝になるとルフィは麦わら帽子を猛獣が寄り付かない植物の側に置く。
「──海賊"麦わらのルフィ"は……ちょっと休業だ」
「それじゃ……行こう!ルフィ!」
「おう!」
「では始めるとしよう。呼び方はそうだな……レイリー先生……師匠?」
そこは拘りたいタイプなんですねレイリーさん。
「よろしくお願いします!!!レイリー!!!」
「……まあ、何でもいい……」
「諦めましたね」
ルフィの元気のいい呼び掛けにレイリーさんは結局呼び方は各自で決めるようにした。そうこう言いながら俺達は森の中へと入って行く。
こうして俺達の修行が始まった。俺達の野望に向かって。
どうも皆さんもしロマです!
31話をご覧くださりありがとうございます!
ワンピースでは賞金首を殺めるとその懸賞金の70%を受け取る設定になっておりますが、アルガのこれって実質5億3200万ベリーって事になるんでしょうかね?
自分で設定しておいて何ですがどうなんでしょ……(;゚∇゚)
詳しい方がいれば教えてください(他力本願)
それと、【投稿しなかった話のワンシーン】より『31話後 誓いの手紙』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )シ
アルガの懸賞金額問題
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7億6000万ベリーのままで!
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高い!5億ベリーで!
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高い!それ以下で!