あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
最近救済されたキャラクターをタグに付けるのは初見の方達にはネタバレになるのではないのか?と悩み始めている今日この頃…...。
どうしよう...?(^_^;)
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


34話 修行の成果 下

 現在、俺達はギョンコルド広場のど真ん中で見渡す限りの敵に囲まれていた。 にもかかわらず、仲間の皆はいつもと変わらない様子。 俺もそのひとりだ。

 

「はェ〜、多いなァ。よっと」

 

 圧倒的な軍勢を前に緊張感のない台詞を呟くとサニー号から飛び降り、しらほし姫の所へ向かう。

 

 そこではルフィがしらほし姫の心の強さを認め、改めて彼女を「よわむし」から 「よわほし」に呼び方を変えてた。

 

「しらほし姫、お疲れ様でした。 残りは俺達に任せてください」

「アルガ君様……」

「慕われているのか敬意を持っているのかわからん呼び方になっちゃってる……」

 

 ……ジンベエ、側にいる間ずっと君呼びしてたせいでしらほし姫に俺の名前を誤解されてしまったじゃないか。

 

 というか、あだ名とかそういった概念がないのかもしれん。 彼女はずっとひとりだったから……。 ヤバい、泣けてきた。

 

 とまあ、そんな事はさておき俺はしらほし姫の傍に行く。

 

「よくぞ今までたったひとりで戦ってきました。 しらほし姫、ご立派です」

「そんな……わたくしなんて……」

「いいえ、何も暴力だけが戦いではありません。 オトヒメ王妃の意志を継ぎ魚人島の未来のため誰にも話さずに今日まで耐え抜く。 これも戦いです」

 

 そう、何も戦いとは強者だけのものではない。 弱者にだって戦い方がある。 いつか訪れる希望が来るまで耐え凌ぐ……これも立派な戦いだ。

 

 一見それは惨めに見えるかもしれない。 だが、夢や希望がいつ来るかもわからないまま、ただひたすら我慢し続ける事がどれだけ難しいことか... 俺はよく知ってる。

 

「10年にも続いた『耐え忍ぶ戦い』はしらほし姫、あなたの勝ちです。 王妃の死の真実を明かしていたら、王妃の願いは叶わなかったかもしれない。 あなたは本当によく頑張りました」

「そんな!!……ウゥ…… ありがとうございますゥ~~!」

「礼には及びません。ですが、ここからは交代です」

 

 泣き出すしらほし姫を宥めると、ルフィの所へ歩きだす。

 

「王妃の意志を継ぐ"役目"を果たしたしらほし姫の決意を無駄にしないためにも……今日、ここから魚人島を変えていきましょう。そのためにはまず、目の前の因縁を断ち切る。ここからは海賊(俺達)の"役目"です」

「アルガ君様……!」

「…………」

 

 途中、ナミが黙って俺を見ていることに気付いた。そういや、ナミの故郷の人達もずっと「耐え忍ぶ戦い」をしてきたんだよな。 それで何か思うことがあるんだろう。

 

 それと、そろそろ俺の名前を直して欲しい。そりゃあ「海の森」にいた時に正さなかった俺も悪いんだけどさ……。

 

 でも、あの時「むう……」と呟きながら作戦名に悩んでいたジンベエのあざと可愛さのせいで頭が回らなかったんスよ。

 

 結論、ジンベエが天然であざと可愛いのが悪い。以上!

 

「向こうはやる気みたいだね。殺気がすごいや」

「よォアルガ。相手の数は10万だってよ。どれだけ倒せるか競わねェか?」

 

 ルフィの所へ着くとゾロが不適な笑みで俺に競争の提案を持ちかける。

 

「うーん、それは別に構わないけど。流石に多すぎて細かい数字は数えるのが面倒そう。それに……」

 

 俺がそう言いかけると、ホーディがおれこそが真の海賊王にふさわしいと豪語しそれにカチンときたルフィが"覇王色の覇気"を使い一瞬にして半数の5万人を気絶させた。

 

『ぎゃああああ!!?何だコリャ~~!!!』

 

 突然の出来事に先程まで勢いづいていた新魚人海賊団の奴らは騒然とする。そして、それはホーディも同じだった。

 

 

「ホーディっつったか。お前は、おれがブッ飛ばさなきゃなァ。お前がどんなとこでどういう"王"になろうと勝手だけどな───"海賊"の王者は、ひとりで充分だ!!!」

 

 

 ルフィがそう宣言すると「何万人でもかかってこい!!!」と叫び”ギア3,,で巨大化した腕で魚人達をブッ飛ばした。

 

「ね、この時点で競争はルフィの勝ちが決まったけどどうする?」

 

 やっぱ"覇王色"いいなァ。あれ使えたらマジで爽快感スゴそう。俺の場合はどうしても時間がかかるからなー。

 

「あの野郎!!おいルフィ!5万はねェだろ。減らしすぎだ!!」

「そっか、わりい。これでも抑えたんだがよ」

 

 そういいルフィがチラッと俺の方を振り返る。ん?どうしたんだ?

 

「まだ足りねェな……」

「ルフィ?」

「何でもねェ……よっしゃ!行っくぞォオオ!!!」

 

 ルフィが勢いよく飛び出すとそれに続いて仲間達も戦闘を開始する。それぞれ2年の修行の成果を遺憾なく発揮し皆の勢いが止まらない。

 

 そこへ魚人島へ行く道中の出会ったクラーケンも加わりしらほし姫の安全も確保されより磐石な布陣へとなっていく。

 

 そこから展開は加速する。終始ホーディに善戦だったが突如上空からワダツミが落ちてきたり、「ノア」がしらほし姫に向かって飛んできたから魚人島を守るためにたったひとりで海へ逃げそれをホーディとルフィが追っていく。

 

 既に仲間達は幹部と戦っているが人数的に俺は周囲の魚人達をなぎ払うだけの無双ゲーとなっていた。

 

「……俺もちゃんとした敵と戦いたい」

「何だコイツ!?完全におれ達の事を舐めてやがる!!」

「一斉にかかってこの角人間を袋叩きじゃあ!!!」

「オイ待て!!そいつァ……」

 

 魚人のひとりが止めようとしたがそれ以上に俺へのヘイトが溜まっている魚人達が一斉に襲いかかる。

 

 仕方ない……新世界に備えて修行の復習でもしますか。

 

 俺は眼を瞑り"見聞色"を発動する。そして、敵の動きを把握すると最低限の動作で攻撃を回避する。

 

「遅ェよ」

 

 これだったらレイリーさんとの修行ステップ1の方がまだキツかったぞ。

 

「あ、当たらねェ!!?」

「どうなってやがる!?なぜ目を閉じてんのにおれ達の攻撃が躱されんだよ!!?」

「あっ!上へ跳ん……と、と飛んだァ!!?」

「”飛龍翔(ひりゅうしょう),,!!!」

 

 俺は上空へ跳び上がると着地地点にも敵が待ち構えていたのでその場で更に空を蹴り上昇する。

 

 そう、これはさっきサンジも使っていたCP9の空中移動技”月歩,,だ。

 

 元々、”嵐脚,,は使えてたんだ。なら足技に関してはいけるかなと思い特訓したら意外とできてしまった。流石に六式全部は時間がなかったので足技だけに絞り今では”剃,,”月歩,,”嵐脚,,の三式を使えるようになったのだ。

 

 

 

「”竜刃(りゅうじん)乱・壊風(らん かいふう)」,,!!!」

「ウギャ!?」

「ヤベェ!斬撃が降ってくるぞォ!?」

「ギャアアア!!?斬られたァ!!」

「何だよアイツ!武器以外も危険じゃねェか!!」

 

 空中から雨のように脚の斬撃を浴びせるとちょうどいい感じに敵のいない足場ができたため着地する。さっきの動きを見てか今度は警戒して様子を伺い襲ってこなくなった。

 

 この程度で勢いが止まるとは情けない。「ルスカイナ」の猛獣達は血走った眼で次々と襲いかかってきてたぞ。

 

 因みに、俺が修行で出された最初の課題だがその内容は初っぱなから鬼畜ゲーだった。基礎体力の向上と言えばまともだがその内容は覇気なしで島の猛獣達と戦いながら不意に現れる本気のレイリーさんに一撃いれること……。

 

 初っ端から本気になる必要あるんすかね?頭おかしいだろって言ったら殴られた。

 

 あれはマジでキツかった。これでステップ1なんだもの。これクリアするのに1年以上かかったわ。

 

 ……っとと、イカン。内心愚痴ってしまった。

 

 こんな感じで少し余裕もできたので皆の様子を確認しようと周りを見渡す。すると、近くでブルックが”魂の喪剣(ソウルソリッド),,を使っているのが見えた。

 

(ソウル)を纏う斬撃は黄泉の冷気をこの世に伝えます!「凍える剣」!!コツとご覧あれ!!!」

「黄泉の冷気か……ちょうどいい。なら俺も!」

 

 俺が新たに覚えた新技を披露するため目を閉じ集中力を高める。すると、内側から熱くなるものを感じた。そして── 

 

「また目を閉じやがった。しかし、今度は油断しねェ!!接近がダメなら遠距離からだ!野郎共射ちまくれェ!!!」

「ハッハ~~!!蜂の巣にしてやる……エエッ!!?」

 

 銃弾が俺に向かって飛んでくるが、俺の周囲に突如現れた蒼い炎が銃弾を焼き尽くした。

 

「こ、今度は何だよォ!?……急に奴の周りから炎が……ヒギャ!!?」

「アチチチチ!!!気を付けろ火の玉が飛んでくるぞォ!!?」

 

 俺が展開した火の玉が近くの魚人達を燃やし回る。

 

「”降霊(こうれい)鬼火(おにび)」,,──これは”呼憑(よびつ)き,,の応用版でね、呼び出す魂経由から黄泉の炎をこの世に伝える事ができる」

 

 ”降霊・呼憑き,,の違いとしては別に炎が出るだけで特別力が増すワケではない事。しかし、魂を降霊するよりも燃費がよく使い勝手がいいためこっちの方が使用回数が多かったりする。

 

 ぶっちゃけ折角ワンピ界に来たんなら炎系統の技使いたいじゃん。と考えたのがきっかけだったりする。

 

「ブルックが"黄泉の冷気"なら俺は"黄泉の業火"だ。焼かれたい奴からかかってきな」

「ぐっ!コイツ……!!」

「うお~!!そういや能力者だったな。おめェが能力で戦うところ初めて見たわ。"黄泉の冷気"と"黄泉の業火"かァ~!どっちもイカしてるぜェ!!!」

「ヨホホホ。どうもですウソップさん!」

 

 ウソップが目を輝かせ俺とブルックの技を褒めてくる。うへへ、もっと褒めて褒めて。

 

「さて、復習はこれぐらいにするかな。そんじゃ、そろそろ本格的に行きますか」

「ヒッ!?コイツ今まで本気じゃ……!!」

 

 俺は金棒を取り出すと再び”降霊「鬼火」,,を使い今度は"武装色"した金棒に蒼い炎を纏わせる。この技は何も火の玉を飛ばすだけじゃない。むしろ武器や拳に纏わせて攻撃する方が正攻法なまである。

 

 そして、俺は蒼い炎に包まれる金棒を敵軍目掛けて思いっきり振り抜いた。

 

「”鬼炎八卦(きえんはっけ),,!!!」

『グギャァアアア!!?』

 

 爆発のような破壊力に魚人達は次々とブッ飛ばされた。周囲には覇気と爆炎が舞い上がり近くにいた敵は誰も立っておらず見事に一掃された。

 

 威力も高く申し分はないのだが……。

 

 俺はルフィがいるであろう上空に顔を上げ修行の頃を思い出す。あの「ルスカイナ」の猛獣達を一撃で倒した”大猿王銃(キングコングガン),,の圧倒的な破壊力を見た後だとやっぱり……。

 

「まだ足りない……」

 

 この先、ルフィはもっともっと強くなる。置いていかれないように俺もまだまだ強くならなければ……!

 

「クソォ……あの人間ヤベェぐらい強ェ……!」

「や、やっぱり……あの話はホントだったのか……?」

 

 俺に警戒しすぎて立往生していると最初に止めようとしていた魚人がポツリと呟く。

 

「なんだよ。あの話って?」

「そ、それなんだが……。あの人間の懸賞金……7億を超えているらしいんだ……」

『ハァ!!?なっ……7億っ!!?』

「ハァ!!?なっ……7億っ!!?」

「何で本人も驚いてんだよ!!?」

 

 いや、だって……7億!!?ルフィよりずっと上じゃん!!何でそうなってんの!?

 

「それに額もおかしいんだが、その内容も変でよ。何でも「DEAD OR ALIVE」じゃなくて「ONLY  DEAD」……死亡限定らしい」

「何だよそれ……。ただでさえ船長より懸賞金が高い船員なんて聞いたことねェってのに……」

 

 ……ハハーン、読めてきたぞ?さては十中八九あの無能星(ゴミカス共)が絡んでんな。頂上戦争で"ゴムゴムの実"について暴露した俺がよほど目障りだったと見える。

 

 いんやァ~~。そん時の奴らの顔を想像すると笑えてくるわ~!くまさんをあんな目に遭わせたんだ。当然の報いだな。

 

 そう考えていた時、島中に放送が聞こえてきた。しらほし姫のお陰で上がっていた「ノア」が再び魚人島目掛けて落下中との事。そして、フカボシ王子がホーディの正体を話す。

 

 ホーディとは魚人島が生み出した怨念そのもの。まずやるべきは外にいる人間との関係ではなく内側と戦うべきだったと……。

 

 それを放っておいた結果が、オトヒメ王妃の死を招いてしまったと悲痛な声で悔やんでいる様子だった。

 

 そして、フカボシ王子はルフィへ泣きながら懇願する。

 

 

『このままじゃあ!!魚人島は"人間を恨む心"で我が身を滅ぼす!!!麦わら……頼む!!!───過去などいらない!!!ゼロにしてくれ!!!!』

 

 

 そのフカボシ王子の思いにルフィは当然のように笑って答える。

 

『広場に降りた時からおれ達はジンベエと一緒に魚人島は誰にも傷つけさせねェって決めてるんだ!!───全部任せろ兄ほし。友達じゃねェか!』

 

 それを最後に放送が途切れる。しかし、その言葉は国中の誰もが聞き島がなくなる恐怖から一変、島から逃げることを止め国民達がこぞってギョンコルド広場に集結し始める。

 

 "見聞色"を常時発動中だからイヤでも聞こえてくる。俺達"人間"をもう一度信じようとこの目で確認するためにここへ集まってきているのを。

 

 でも、流石に100万を超える声が聞こえるのはキツいかも。2年前だったら倒れてるぞこれ。

 

 そして、戦いは終盤へと変わる。再び放送が流れるとルフィがホーディを撃破し現在「ノア」の破壊に奮闘中らしい。

 

 ホーディに続き広場にいる幹部達も次々と仲間達に倒され新魚人海賊団は主力を失い実質の敗北が決定した。

 

 後はルフィが「ノア」を破壊できるかどうかだが、それは海王類によって「ノア」は止まり破壊することなく魚人島の危機は救われたのだった。

 

 しばらくすると、広場にネプチューン王とデッケン、ホーディを連れてきた王子達がやって来た。2人はしっかり鎖で縛られており国民を安心させる。

 

 しかし、安心は束の間しらほし姫が大泣きしながら戻ってきた。皆が何事かと思うとなんと一緒に連れてきたルフィの出血が酷くこのままでは危険らしい。

 

 すぐにチョッパーが止血するが血が足りずこのままでは危ない。一刻も早く輸血しなければならないがこの国の法律で人間への血の提供は禁止されている。

 

 そのせいで、この国のために戦った人間に国民達は血を提供できるものならしてやりたいと思ってはいるがそれをできずにいた。

 

 そこで輸血に名乗りを上げたのはジンベエ。元より海賊の彼には法律など怖くなかった。これでルフィの一命を取り留めることができた。

 

 

 傷つけても……傷つけられても流れる赤い血。

 

 とても道とは言えぬ程……か細く狭い、その管こそ───

 

 恐れ遭う偏見を……

 

 血で血を洗う争いを……

 

 かくも容易くすり抜けて、絵空に描く幻想よりも確かに見える"タイヨウ"へと続く道。

 

 

「ジンベエ……」

「何じゃい。意識あったか……」

 

 うっすらと目覚めたルフィがジンベエに声をかける。

 

「なァ、ジンベエ……おれの仲間になれよ!!」

 

 こうして、"麦わらの一味"VS"新魚人海賊団"の戦いは俺達の勝利によって幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 ルフィの輸血を終えた俺達は広場から逃げるように抜け出した。今はシャボンでできたバルーンで船を浮かせメガロに引いてもらい上空を移動していた。

 

 ふと疑問に思った俺は輸血を終えたルフィに聞いてみた。

 

「ねえルフィ、無事なのはよかったんだけどそもそも何であんなに重傷だったのさ?お前の"見聞色"()()()()()()だろ?」

「それがよォ~海の中だと思うように動けなくって戦いずれェのなんの……いや、まずそれよりも!」

 

 ルフィはジンベエに飛びかかりさっきの返事に対して不満をぶつける。

 

「何で断るんだよォジンベエ~~!!!一緒に冒険しよう!!!」

「そうだ仲間になれ親分!!」

「元七武海がいたら心強ェ~!!あとルフィ絶対安静な」

「じゃから()()ムリだと言うとるだけじゃ!!誘ってくれた事は本当に嬉しく思う」

 

 ルフィに続きウソップとチョッパーも勧誘に加わる。その勢いにやや圧されるジンベエだったが断る理由を改めて伝える。

 

 現在、ジンベエは他のところに所属しており仁義を通すためにもまずはそこを抜けてからでなくては俺達の元に行けないらしい。

 

「今一度、わしはお前さんらに会いに来ると約束しよう。その時にまだ今の気持ちのままでおってくれたのなら、もう一度誘ってくれんか……"麦わらの一味"に!!」

「……!絶対だぞ!!お前!!」

 

 ここでようやくルフィは折れた形で納得した。ジンベエ自身こう言ってはいるが、既にジンベエを一味加入することは皆認めておりここにいる全員が早く仲間にならないかと楽しみにしている。

 

 そこへ後方からネプチューン軍のひとりが追いかけてきて伝電虫を通しネプチューン王からお礼を兼ねて改めて宴を仕切り直したいと申し出がきた。

 

 宴大好きなルフィは喜んで承諾すると早速"海の森"に置いてきたハチとケイミーを連れていき竜宮城へと向かった。

 

 途中、城内に潜伏していたカリブーを"見聞色"で見つけしばらくの間大人しくしてもらうために絞めておいた。コイツがこの後ロビンとネプチューン王の会話を盗み聞きするのを阻止するためである。

 

 コイツは後々で2つの古代兵器の情報を誰かにリークするつもりらしいしそれならさっさと潰すに限る。

 

 原作が大きく変わるかもしれないが、そのせいでここやワノ国を危険に晒す可能性があるのなら俺はそれを潰す。

 

 礼を言う兵士に頼みカリブーを牢屋に閉じ込めた後、シャボンで空気のあるスペースがある長ヒラメに乗り「宴会の間の間」へ行く。中は海水で満ちており辺りが暗い。下を除けば兵士達が俺達を見上げお礼をいいながら手を振っていた。

 

「よく来たんじゃもん!ルフィと仲間達!最高のおもてなしをさせてもらうんじゃもん!!楽しむんじゃもん!!!」

 

 ネプチューン王がそういうと前方のステージにスポットライトが照らされ魚人島が誇る海底一のディーバ、マリア・ナポレの美声と共にコンサートが始まる。

 

 続けてオーケストラ、マーメイドカフェダンサーズも加わり宴は大いに盛り上がった。

 

「食事を運べ~~!!!」

「食え歌え!!飲め踊れ~~!!!」

 

 仲間達も大いに盛り上がりルフィとチョッパーは肉やお菓子を食べ、ナミとゾロとフランキーは酒を飲み、ウソップやブルックは合唱に参加し、サンジはマーメイド達にメロリンしており、ロビンはいつの間にかネプチューン王と一緒にいなくなっていた。

 

「…………」

 

 俺も普段なら真っ先にお酒を嗜むのだが……後の事を考え今回は料理だけを楽しんだ。

 

 一通り皆が満喫した後ジンベエがルフィ達に世界の情勢を伝えていた。まあ、ルフィがそんな細かな事をずっと聞けるわけもなく最初の大将同士の決闘以降は頭にはいらず食事を再開した。

 

 だが、すぐにルフィが城の違和感に気付く。俺も"見聞色"ですぐにわかった。カリブーが逃げ出したのだ。まあ、ここには海楼石なんてないので牢屋に閉じ込めてもすぐ逃げ出せたのだろう。

 

 その事について兵士が報告が今戻ってきたネプチューン王に伝えているとある単語にナミが反応する。

 

「ちょっと待って!右大臣ちゃん!!()()()()って何っ!?」

 

 何でも俺達がホーディと戦っている内にこっそり忍び込み城の財宝を根こそぎ盗んでいったとの事。勿論ナミは何故すぐ取り戻さないのかと聞くが少し前まで国が滅ぶかどうかの問題を抱えていた王としては財宝なんて小さな問題らしい。

 

 そこに目を付けたナミがもし取り返したら?と聞くとネプチューン王は恩人になら全部上げても構わないと言質を取りやる気を滾らせていた。

 

「よォし!!わたしの財宝の為にも……行くのよあんた達!!!」

「「エエェ~~……」」

「はァ~~い!んナミすわん♡♡♡」

 

 ナミがルフィ、ゾロ、サンジに取り返すよう指示するとサンジ以外は乗り気ではなくめんどくさがっていた。

 

 しかし、一味でこの状態のナミに逆らえる者などおらず鬼の形相で睨まれると体を震わせながら走っていった。

 

 よし、それじゃ俺もそろそろ行くか。

 

 食事を終え立ち上がるとナミが俺に反応する。

 

「あら、アルガあんたも行くの?」

「いや、ちょっとこれから行きたいとこがあって」

 

 そういい俺はジンベエのところへ行く。

 

「ねえジンベエ。少しいいかな?」

「アルガ君か。何じゃい、わしに用か?」

「連れてって欲しい場所があるんだけど……」

 

 

 

 

「……まさか、ここにあったとは」

 

 灯台もと暗しとはこの事だな。

 

 俺は今、ジンベエに頼んで再び"海の森"へとやって来た。王妃の大きなお墓……その裏に隠れるようにひっそりと建てられたもうひとつのお墓を見つめる。

 

「ああ、悲しいが嫌う者もいたんで知る者にしか分からぬようここに作られたんじゃ」

 

 俺達の前にある墓にある者の名前が掘られている。『フィッシャー・タイガー』と───

 

「タイガーさん……」

「…………」

 

 俺は色々思うことがあったがそれらをグッと堪えると墓の前に立つ。

 

「久しぶりタイガーさん。最後に会ったあの日から俺も大きくなったよ。実際に見せてやれないのは悔しいな」

 

 俺はその場であぐらをかき座り込むとまるで目の前にいるかの様に話し始める。

 

「アーロンから聞いたよ。俺に会いたかったんだって?…………俺も会いたかった」

 

 涙腺が緩み涙が出そうになるが堪える。タイガーさんはこんな顔の俺に会いたかった訳じゃないないのだから。

 

 だから俺は笑って話し続ける。

 

「実際に会うことはできなかったけど今こうしてタイガーさんの眠る場所に来れてよかった。あなたとしたい事があったから」

 

 そういい俺は立ち上がると用意してきたお酒を取り出し瓶を開ける。

 

「このお酒、アルコールがクッソ弱いんだけど味はスゲェ旨いんだ。俺の師匠がお酒に詳しい人でさ……用意してもらったんだよ」

 

 俺はグラスにお酒を注ぐ。

 

「あの時は俺まだ子供で知らなかったんだけど、実は酒弱いんだよね。2年前なんて一口飲めばぶっ倒れるぐらい」

 

 注ぎ終えるとお酒を墓の上にかざす。

 

「けど、俺はお酒を飲み続けた。味が好きなのもあるけど……もし、こうして会えたら一緒に飲もうと決めていたから……」

 

 タイガーさんは優しいからな。無理して飲もうとすれば止めるだろう。だから、俺はこの2年でお酒の特訓もしていたんだ。せめて1杯ぐらいは飲めるようになろうと。

 

 その修行の成果を今、見せてやる。

 

「こんな形でだけど、乾杯」

 

 墓の上からお酒をかける。そして、俺もグラスのお酒を口に含んだ瞬間全身が蒸発するように熱くなる。

 

 グッ!……フゥ……。ホントに弱ェなこの体……。だけど……意識はまだ残ってるぞ……。

 

「プハァ!……ア"ァ~……ヒック」

「これこれ、フラフラになっておるぞアルガ君。無理は──」

「むりじゃないよォ~。ング……グビッ……」

 

 アァ~。そろそろ本格的に酔いが回ってきた。でも、まだ少し残ってるゥ……。ええい、残り少しなんだ。一気にいったれ!

 

 そして、グラスに入っているお酒を全部飲み干すと全身が真っ赤になり足取りが悪くなる。今にも倒れそうになるがそれを気合いで堪えた。

 

「ハァハァ……今は1杯が限界だけど、いつか……またここに戻ってきた時にはもっと飲めるようにしておくからさ……その時は───また2人でいっぱいお話をしよう!」

 

 俺は気力を振り絞りフラフラの体でタイガーさんのお墓に今日一番の笑顔を見せる。

 

「タイガーさんが人間を愛せなくなったって構わない。それ以上にあの日、助けてくれたタイガーさんの事を……俺はずっとずっと大好きだから!!!」

 

 そして、限界がきたのか意識が遠くなるのを感じる。咄嗟にジンベエに後の事をお願いし意識は途切れた。

 

 その時に俺を抱えたジンベエの顔がすごく嬉しそうに微笑んでいたように見えた。




どうも皆さんもしロマです!
34話をご覧くださりありがとうございます!
いよいよ次回からは『新世界編』です!
実は言うと、当初の予定では最終回を迎えるのは30話半ば辺りと決めていましたが想像以上に長くなってしまいまだまだ続きそうな事に私自身驚いております(;゚∇゚)
早くヤマトの絡みを書きたいのでこれからもっと頑張ります!
ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )シ
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