あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
長い間投稿できずスミマセン。お詫びに今回の文字数は過去最多の2万2千文字書かせていただきました。

そして!アンケートの結果、ジニーのファミリーネームは669票で『どうせなら家族全員バーソロミューだ!』に決まりました!投票してくれた皆さま本当にありがとうございます!
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


38話 人の心 中

 ドフラミンゴの策略に乗りコロシアムに参加した俺は控え室でとある少女と知り合った。

 

「ここが準備室だよ。好きな武器や防具を選んでいいよ。あ、でも重量制限があるから着けすぎには気をつけて」

「ありがとう。武器は手持ちのでいいからカブトと……あ、このマントかっこいい。これ着けよ」

「赤色のマントね。似合ってるわ!」

「フフン、かっこいいだろ!俺が憧れてた人の服と同じ色さ!」

 

 そういいカブトとマントを着ける俺を見て健気に笑うのはドレスローザ編のヒロインキャラであるレベッカさんだ。うん可愛い。

 

 受付け後、控え室に入るとスパルタンという巨漢がレベッカさんに因縁を付けていたので割って入り助けた。それから話している内に仲良くなり助けてくれたお礼で準備室まで付き添ってくれたのだ。

 

 スパルタンはって?医務室に運ばれました。以上。

 

「これでよし」

「わー!似合ってるー!」

「うへへ、テレるなー」

 

 グラサンにつけヒゲだった俺はその上に剣闘士のカブトを被り赤のマントを羽織る。うん、これでパッと見で正体がバレることはないだろう。

 

 準備を終えた俺はふと、大きな銅像が視界に入った。これは……。

 

「……その人に興味がある?」

「え、ああ……うん」

「それは伝説の人よ。コリーダコロシアムの歴史上最強の剣闘士"キュロス"。三千戦全勝無敗の男」

「マジか!スゴいな……」

 

 三千戦全勝無敗の男……キュロスか。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()……。

 

 

 俺は少し俯き考える。

 

 実は言うと俺の原作知識で不可解な部分がある。それはここドレスローザ編の部分だけ記憶が曖昧だと言うこと。

 

 そして何より恐ろしいのが、それを()()()()だと思っている自分がいること……。

 

 明らかに不自然な部分があるのにそれに対してそれが当たり前だと受け入れている気持ちがある。

 

 不信感があるのにやたらと落ち着いているのはそのせいだ。

 

 原作知識でモネさんの妹であるシュガーの能力を知っている。だからそれに関係しているのではないかと予想したが、その考えがないとこの違和感にも気づかなかっただろう。

 

 改めて「ホビホビの実」の恐ろしさを知った。てか、その能力って前世の記憶も対象なのかよ。流石は作中屈指のチート能力……。

 

「どうしたの?」

「いや、別に何でもないよ」

「そっか、それじゃ私は行くところがあるからまた後で。お互い勝ち残れるといいね」

 

 そういいレベッカさんはどこかへと行ってしまう。走り去っていく彼女を見送るとそれと同時に大歓声が聞こえてきた。

 

『ワァァァァアアアアアアアア!!!!』

 

 どうやら最初に行われたAブロックの闘いが終わったらしく参加者達が部屋の窓から闘技場を観に行く。俺も闘技場の見える窓から勝者が誰かを確認しに向かった。

 

『さァ、早くも決着!!!波乱に波乱を呼んだ怒涛の乱戦!!ここAブロックでは一際目立っていた謎の覆面の男!!"Mr.ストア"!!!しかァ~し!その正体はななな何と「四皇」黒ひげ海賊団!!ジーザス・バージェス!!!』

 

 やっぱりアイツか。

 

 原作知識で知っていた俺は内心納得しつつアイツと闘う心構えをして準備室の窓から闘技場を見る。だが、そこには驚きの光景があった。

 

『───を、モノの見事に打ち倒し高らかと勝利のスタンディングを決めるのはこれまた謎の剣闘士!!!体格差など諸ともせずあのバージェスに無傷で完勝した彼の闘いは正しく"闘神"!!!』

「は??」

 

 え?バージェスを倒した?誰が!?原作にこんな展開なかったぞ!!?

 

『Aブロック勝者は───"サディーボ"選手~~!!!』

 

 目を凝らしよく見ると、グラサンにヒゲを着けてはいるが顔に火傷の跡そして手に持つ武器が鉄パイプ……明らかにサボさんだった。

 

 いや、お前かよ!!!

 

「マジか、あの人裏で動くんじゃなくて堂々と参加したのか……いや、変装はしてるけど」

 

 まあ、今回は原作と違ってくまさんが絡んでるから考えてみれば当然か。せっかくだし声をかけに行こっかな。

 

 そう考えた俺は準備室を後にする。

 

 そして、サボさんに会うためにコロシアム裏へ着くがすれ違ってしまったのか見当たらない。キョロキョロ辺りを見渡していると後ろから声をかけられた。

 

「おい、おれの目は節穴じゃねェぞ……」

「あ……」

「久しぶりだなァ、その格好は変装か?だがな、いくら変装しようと……おれの経歴に傷をつけた野郎の顔は忘れねェ」

 

 振り返るとそこには2年前、ジャヤで俺が倒した男、ベラミーがいた。

 

「ベラミーか、久しぶりだな」

「ッ!……おれを覚えていたか」

「まあな」

「……ハハッハ」

 

 俺が名前を呼ぶと一瞬驚いたと思えば少し悲しげな顔をする。だが、すぐいつものすました顔に戻り笑い出す。

 

「お前も参加したからには優勝を狙ってんだろ?おれもそうさ。ここにいる連中と目的は違うが優勝しなきゃならねェ理由がある」

「誰が来ても闘うだけだ」

「今大会の出場者は大物揃いだ。そいつらを前にその啖呵を切れるたァ相変わらずの度胸だな!!だがな、おれだってあの頃とは違う……!」

 

 ベラミーはそう言いズレたサングラスを付け直した。

 

「おれは「空島」へ行ったんだ。そこでおれの中の世界がひっくり返ったぜ」

「空島ね……だからか」

「アン?」

「前見た時よりいい眼をしてる」

「──ッ!!?」

 

 ズレたサングラスからチラッとベラミーの眼が見えた。2年前の夢何てくだらないと蔑む濁った人間の眼だったのが、今では憧れに突き進むいい眼になっていた。

 

 おれの言葉にベラミーは視線を逸らすとそのままコロシアムへ歩き出し俺に背を向ける。

 

「2年前のあの一件……別に恨んじゃいない。だが、お前があの時侮辱したドフラミンゴへの言葉はこの大会で必ず撤回してやるから覚悟しろ」

「ああ、いつでもかかってこい」

「その強気な態度、気に食わねェが嫌いじゃねェ。それでこそお前だ。……やがて来るデカイ波を越える為に、おれはドフラミンゴの船に乗る。───もうお前を笑わない」

 

 そういいベラミーは闘技場に続く階段を上っていく。そんな彼の背に向かって俺は言葉を贈る。

 

「がんばれよ!」

 

 

 

 

 程なくしてBブロックの闘いが始まると控え室に戻った俺はようやくサボさんを見つける。

 

「決勝進出おめでとうサディーボさん」

「ん?誰だ……ってアルガ!久しぶりだな!お前もくまさんを助けに?」

「ちょちょちょい!?シーッ!ここでは正体隠してるんだからその名で呼ばないで!?」

「あ、そうなのか。悪ィな」

 

 そういって爽やかスマイルで謝るサボさん。いつ見ても腹立つぐらいイケメンだな。俺と同じでつけヒゲにグラサンのクセに……。

 

 

 一応、周囲を見渡して今のを聞かれていなかったか確認するが……よし、誰にも聞かれてないな。セーf───

 

「今アルガと言う名が聞こえたが?」

「アウツッ!!?」

 

 突然話しかけてきたのはなんとキャベンディッシュだった。よりによってコイツかよ!!

 

「まさかお前が……!!」

「ちちち違う違う!!『決勝進出できたのは実力も()()()最大の敵になるであろう美しいキャベンディッシュがいたから気合いが入った』って言ってたんだよォ~!なっ!サディーボさん!!!」

「ん?……あ、そうそう!」

 

 何とか誤魔化そうと苦し紛れの言い訳をするとサボさんも合わせてくれた。正直「あるが」の部分以外全て違うから不安だけど……。

 

「フフン!美しいか……!そうだろうそうだろう!『アレ?あそこにいる美しすぎるお方は?』『僕かい?フフフ、僕の名はキャベンディッシュ。僕の美貌に眼がいってしまったのなら申し訳ない。僕のこのあまりにも美しすぎる存在が───」

 

 何か勝手に気分よくなって妄想で一人言を始めている。チョロくて助かったァ~。

 

「なァアル……おじさん、コイツヤバくないか?」

「それな」

「──とと、イケない。いや、僕はイケてるが。ん?そこにいるのはAブロックの勝者じゃないか。さっきの闘いは見事だった。まあ、僕ほど華麗な闘いではなかったがな」

「お、おう。ところでアルガって名前に過剰な反応だったが何かあったのか?」

 

 サボさんの質問にキャベンディッシュはわなわなと肩を震わせ明確な殺意が溢れでる。

 

「彼だけじゃない。僕の人気を奪った「最悪の世代」は皆僕の敵だ!!!必ず全員僕の手で葬り去ってやるゥ!!!」

「嫉妬がスゲェや」

 

 純粋なまでの嫉妬に俺とサボさんは少し引いてしまう。そこで俺は疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

「あの、聞きたいんだけど……何でキャベさんはこの大会に出場したの?別に優勝賞品が欲しいって性格でもないでしょ?」

「キャベンディッシュだ!!略すんじゃない!……そうだな、これだけ大きな大会なら1人ぐらい「最悪の世代」がいるんじゃないかって考えてただけさ。後、優勝すれば僕の認知度もあがるし」

 

 流石キャベさんぶれない。

 

 ここに来てからあらかた参加者を見て回ったけど、とりあえずは原作にいた奴ら大体いたのでよかったよかった。

 

 これも原作の修正力と言うものだろうか。"メラメラの実"がなくても何らかの理由で皆ここへ集まっている。

 

 あと見ていないのは「花ノ国」の首領・チンジャオ達何だが……正直、ガープを恨んでいる時のチンジャオに会うのは恐い。

 

「む、尋ねておいて考え事とは失礼な奴だな。まあいい、もうじきランチの時間だ。シェフが僕を待っているハズだからそろそろお暇するよ」

「あ、ああ。引き留めて悪かった。またね」

 

 俺達はキャベさんが去っていくのを見送ると大きな歓声が上がる。どうやらBブロックの闘いが決まったようだ。

 

『Bブロックの勝者は……畜生っ!!バルトロメオ~~!!!』

「おっ、決着がついたか。にしてもマジか。あのブロック、ハックも参加してたのに」

 

 あ、そっか。確かこの大会ハックさんも参加しててバルトロメオにやられたんだっけ。

 

 この結末は知っていたがやはり少し悲しいな。バルトロメオは嫌いじゃないけどハックさんは俺の体術の先生だったから。

 

 どうせ、もうすぐCブロックの闘いで行かなきゃだしコロシアム裏へ行くとしよう。

 

 こうして俺達は少し早めにコロシアム裏へ行くと、そこには次々とタンカーで運ばれている参加者達がいた。

 

 その中にハックさんを見つけたので駆け寄る。意識はあるようで痛々しい左腕を抱えていた。

 

「残念だったなハック」

「お前わざわざ来てくれたのか。ところで隣にいる者は……?」

「俺だよ」

 

 グラサンを外し顔を見せるとハックさんはハッとした様子で俺を見る。

 

「久しぶりです。ハックさん」

「オヌシであったか!いやはや不甲斐ない。弟子にこんな情けない姿を晒してしまうとは……」 

「弟子っていつの話さ。入門した後すぐ辞めた人間だよ俺」

 

 そう、あれは昔俺が革命軍支部にお世話になった時の話だ。訳あってしばらくそこに滞在していた俺を魚人空手に誘ってくれたのがハックさんだった。

 

 しかし、いつまでやっても上達しなかった俺は結局滞在終了日に辞めて魚人空手はそれっきりやらず我流で今の体術を習得した。

 

 水の真髄という意味不な技術が扱えず悔しがっていた頃が懐かしい。まあ、基本的な動作は魚人空手を使ってるけど。

 

「何を言う。私は今でもオヌシの事を諦めておらぬぞ?あの時にも言ったがオヌシには素質がある!今からでも遅くない!さァ!私と共に武を極めようz──ッ!?アイタタタ!!!」

「暑くなるからだバカ。大人しくしてろ傷が開くぞ」

 

 呆れた様子でサボさんが注意を促す。暑くなり過ぎたせいか傷が開き痛みで悶絶するハックさんだが、そんな状態でもまだ俺に熱い視線を送っている。

 

「グヌゥ……致し方なし……。だが、オヌシがまた学びたいと思う日が来ればいつでも教えるぞ」

「アハハ、ありがと……」

 

 どんだけ俺を誘いたいんだよ。いや、ハックさんにそこまで言われるのは嬉しんだけどさ。

 

 そういや、辞める時もこんな感じに執拗に引き留められたっけ。ハックさん真面目だから責任感じちゃったのかなァ。悪い事をした。

 

「ん、あれは……」

「どうかしたか?」

「ちょっとね。二人ともまた後で」

 

 内心で謝っていると見知った奴がタンカーに運ばれていたのでそちらへ足を運ぶ。

 

「随分ハデにやられちゃったね。ベラミー」

「ハァハァ……おれは何も変わらねェな。みっともねェ姿を見せちまった。情けねェ……」

 

 闘いに敗れボロボロの状態のベラミーは俺にらしくなく弱音を吐く。

 

「何言ってんのさ。昔のお前を見た俺から言えば……お前は変わったよ。間違いなくな」

「いっそ嗤ってくれりゃよかったのに……こんなおれを慰めやがって……。お陰でプライドがズタズタだ……」

 

 どこか寂しげな雰囲気を出していたベラミーに俺は手を差しのべる。それに対しベラミーは一瞬意味が分からなかった様子だが、プルプル震わせながら手を出すと俺がその手を握った。

 

「目標を掲げている男を嗤うワケねェだろ。敗けたって最後まで信念持って戦った奴は立派だ。ホントに成長したよベラミー」

「──ッ!!グゥ……!お前は……そういう奴だったよ……。次の闘い……頑張れよ。アルガ……」

「おう!ありがとな!」

「……ケッ」

 

 そうして運ばれていったベラミーを見送りいよいよ次は俺の番だと張り切る。うし!一丁暴れるとしますか!

 

 こうして俺は闘技場へと足を進めた。

 

 

 

「え……?今、アイツ……"アルガ"って……」

 

 

 

 

 

 アルガ君が他のタンカーに運ばれている負傷者の所へ行くのを見送った後サボが口を開く。

 

「しっかし、お前ホントにアルガの事気に入ってるよな」

「まあな、彼には才能がある。以前"南の海(サウスブルー)"で共に修行をした時からな」

「そういや、お前とアルガって昔からの知り合いだったな」

「ああ……と言ってもジニーの結婚式ではお互い面識がある程度でちゃんと話すようになったのは3,4年前だったがな」

 

 今でも目を瞑れば彼との出会いは鮮明に思い出せる。あれは私が"南の海(サウスブルー)"の革命軍支部に育成係として配属されていた時だった。

 

 彼はウタと言う少女と共にやって来て彼女を革命軍に入れて貰えないかお願いしてきたのが始まりだ。

 

 そういえば、その少女が後に"革命の歌姫"と呼ばれるようになるとは当時思いもよらなかったな。今では革命軍を辞めて帰りたかった居場所へと戻れて仲間として嬉しく思う。

 

 ウタが革命軍に入った後、ちゃんと馴染めるか心配してしばらくの間アルガ君も支部でお世話になっていた。

 

 そして、その時に修行をしていた私に魚人空手を教えて欲しいと頼み込まれたのが彼との出会いのきっかけだった。

 

 魚人用に取り組まれた武術。だから序盤では人間のアルガ君はかなり堪えていた。しかし、厳しい修行を乗り切り彼はみるみる武術を我が物としていった。

 

 それを側で見ていた私は素直に感心した。並大抵の人間ではここまで魚人空手を扱える事は極めて難しい。少なくとも魚人空手を扱える人間はコアラぐらいしか知らない。

 

 コアラ……コアラかァ……。

 

 私はついため息を吐く。何故なら彼女こそ、アルガ君が魚人空手を辞めた原因だから。

 

 以前、彼から「これ以上は上達しないから諦めます。ハック先生、こんな不出来な俺に今までありがとうございました」と悔しそうな顔で去っていったのを思い出す。

 

 しかし、その時の彼に言ってやりたい。

 

 

「お前が上達しなくなったのはコアラが側にいて緊張してただけじゃろうがァアア!!!!」

 

 

 思わず口に出してしまったため周囲から多数の視線が突き刺さる。イカンな、気を落ち着かせねば……。

 

「ウオッ!?どうしたハック急に大声だして……」

「いや、スマン。つい……」

「あ、そうそう。コアラで思い出したんだが、アルガの奴また革命軍に入れて欲しいって人材を紹介してきたんだよ。その人材ってのが魚人でコアラの友達らしい」

「ほう魚人とな。してその者の名は?」

「確かハチって言うタコの魚人だ」

「ハチ……ああ、あやつか」

 

 我が友ジンベエの話でたまに出てきた……アーロンとつるんでいる剣士だったか。

 

「私は実際に会ったことはないが噂はよく耳にする。奴は魚人島でNo.2の剣術使い。戦力には申し分ないだろうな」

「そいつ今は海賊を辞めてたこ焼き屋やってるらしい。それで貧しい人達にたこ焼きを配る慈善事業もやっていきたいとアルガから聞いている。因みに味は保証するってさ。たこ焼きかァ~……旨そうだ」ジュル…

「ヨダレを拭け汚い……。しかし、そうか。フッ……アルガ君が連れてくる者は皆強いだけでなく思いやりがある者ばかりだ」

 

 私は改めて遠くにいるアルガ君を見る。ウタといいハチといい、彼の周りには優しき者がよく集まる。それはつまり……彼もまた同じ正しき心を持つ男だと言う証拠だ。

 

 そんな彼が今、その心に従い窮地にいる友を救いだそうとしている。無論、我ら革命軍もくま奪還のためにコロシアムに参加するだけでなく水面下でも着実に事を進めている。

 

 だが、情けない事に私は敗れてしまい託せるのはサボと君しかない。だから、微力ながらせめて応援させてくれ。

 

「私の分まで頑張ってくれ……アルガ君!」

 

 

 

「ところで、お前のその参加者名……」

「へへ、いいだろ。昔おれだけDがないって話してた時にエースとルフィが考えてくれた名前だぜ♪」

 

 

 

 

 

 いやァ~~、暴れた暴れた。開始早々飛ばしたもんで思いの外早く終わったなァ~。

 

 ……え?Cブロックの闘いは見せないのかだって?まあ、決着はほぼ一緒でCブロックは無事俺が勝ち残りました。

 

 原作通り参加者みんないて安心してたけど、そういやチンジャオの頭の問題をすっかり忘れててかなり焦ったわ。

 

 原作のルフィみたく俺も殴ろうかとも考えたけど……いや、殴って凹ました頭を殴って戻すなんて神業ぶっつけ本番でできるわけないじゃん。

 

 なので代わりにサイに”錐龍錐釘,,を習得させることで問題を解決した。

 

 うんうん、ギリギリまでサイを追い込みワザと目の前でチンジャオの命を奪おうとする小芝居を挟むことで窮地に立たされたサイが覚醒して”錐龍錐釘,,を覚えたシーンは手に汗握りましたわ。

 

 その話が見たいって?クレームは作者に言ってくれ。「ドレスローザ編が長すぎて普通に書いてたら上・中・下に収まりきれん」とか言ってたから。(皆さま誠にスミマセンbyもしロマ)

 

 ”錐龍錐釘,,はルフィの”大猿王銃,,やゾロの”一大・三千・大千世界,,レベルの災害規模の大技だったので俺もつい()()()()()を使ってしまった。

 

 そのせいで技がぶつかった衝撃でドレスローザ上空の雲が消え曇り空が一切見えない真っ青な晴天となってしまったが……。

 

 Cブロックのバトルロイヤルを終えた俺は途中、通路でいつの間にか正体に気づいた俺に襲いかかるキャベさんから逃げ今はレベッカさんから安全な所へ連れてってくれた。

 

 人気もなく静かな場所。不気味な程に……。

 

「それにしても"おじさん"強いんだね!さっきの闘いスゴかったよ!まさかホントに勝ち残るなんて!!」

「おう!鍛えてあるからな!次はレベッカさんの番だ。頑張れよ!」

「う、うん!」

 

 少しぎこちない笑顔で返事をした時だった。後ろの鉄格子の壁から何本もの腕が現れ俺を拘束した。

 

「オラァ!!捕らえた!!」

「レベッカやるならやれ!!その気で連れてきたんだろ!!?」

「…………!!」

 

 レベッカさんはハァハァと呼吸が荒くなりつつも剣を構え俺に斬りかかった。しかし……。

 

「やあ!!!」

「"武装色"硬化」

 

───ガキィンッ!!

 

「えっ!!?」

「気は済んだ?」

「ウソだろっ!?まともに食らってコイツびくともしてねェ!!?──あ!?しまった!」

 

 今の光景を見ていた後ろの奴らはギョッと驚き力が緩んだのでその隙に拘束から抜け出しレベッカさんの前に立つ。

 

 勝てない敵を前に絶望しているからか、それとも……人を騙した罪悪感からか彼女は手を震わせるとカシャンと剣を捨てた。

 

「オイ何をしてる!!逃げろレベッカ!!」

「無理だよ……。ここまで実力が違えば逃げたって無駄なことぐらい私にだってわかるもん……」

 

 実力差を理解したレベッカさんは深々と頭を下げ謝罪する。

 

「いきなり襲ってごめんなさい……。全部私が悪いの、報いは受けるわ。でも、どうかお願い……後ろの人達には手を出さないで……」

「レベッカ!!?」

 

 後ろの鉄格子……いや、牢獄にいる人達はレベッカさんの言葉に焦る。

 

「さっきの攻撃、何がなんでも勝ちたいって気迫を感じたよ。何か理由があったんじゃないか?」

「……ッ!!そ、それは……」

「話してみなよ」

「う、うん……」

 

 頷くとレベッカさんは自身の身の上話しを語り始める。幼い頃に母親を失い片足のオモチャの兵隊さんが彼女を育ててくれた。だが、そんな親同然な兵隊さんが今日、ドフラミンゴと闘おうとしておりこのままでは危ないと言う。

 

 だから彼女は今日、何がなんでも優勝して絶大な戦力となるくまさんを欲していた。

 

「コロシアムに優勝して、アイツと同じ七武海の力を使って……!!ドフラミンゴを討つんだ!!!兵隊さんを守るためにも……ッ!!!」

「なるほどね。だが、俺も優勝を譲る気はない」

「ええ……」

 

 優勝を譲る気はない……事実上、レベッカさんの希望を絶たれた事を意味する俺の言葉に弱々しく返事をする。

 

 気力を失いかけている彼女に俺はハッキリと言った。

 

 

「だからさ、ドフラミンゴをブッ倒すの手伝わせてくれよ」

 

 

 この一言で俯いていた彼女の顔がバッと上がり信じられないと言った様子で眼が見開いていた。

 

「え……」

「実は俺海賊なんだよ。そんで俺の船長多分ドフラミンゴと闘うと思うから一緒に闘わない?」

「え?……え!?いや待って!?相手はドフラミンゴだよ!!?この国の現王様!!つまり敵はこの国なんだよ!!分かってるの!?だいたい何であなたがそこまでして───」

「友達だから」

「え……」

 

 慌てふためく彼女だったが俺の一言で勢いが止まった。一瞬何を言ったのか分からないと言った感じで呆然とし俺の言葉を反復する。

 

「友、達……?」

「ああ、準備室が分からなかった俺に道案内してくれたり一緒に防具を選んでくれたり……一緒に笑い合った仲だしな。俺的にはもう友達のつもりだ」

「やっ!だからってそんな……。そもそも私はさっきあなたを殺そうと……!」

「そういやドレスローザの女性は情熱的で男を刺すって言われてたな。まさか俺が体験するなんてなァ~」

「そういう事じゃない!!」

 

 顔を真っ赤にし声を上げる彼女を見て弄り概があるなァとつい笑ってしまう。

 

「アッハッハッハッ!まあ、生きてんだから気にしてないよ。それに俺は海賊なんでね。やりたい事を自由にやるのさ。だから力になりたい。友達だからね」

「───ッ!!!」

 

 レベッカさんは口元を抑え目に涙が溜まる。そして、一筋の雫が頬を流れると堪えるような声で問いかける。

 

「ホントに、ドフラミンゴと闘うの?兵隊さんを……助けてくれるの?」

「ああ、当然だろ友達なんだから。レベッカさんの大切なものは俺も守りたい」

「う"ん……ありがどゥ……!!」

 

 ボロボロと涙を流し泣き出してしまったレベッカさんを優しく抱き締めあやすように背中をトントンとする。

 

 しばらく泣いた後、Dブロックの予選が始まるとアナウンスが鳴り彼女は闘技場へと向かう。

 

「ありがとう。頑張ってくるよ!」

「おう!しっかり勝てよ。敗ければボロボロになって一緒に闘えなくなるからな」

「うん!」

「それと……どれだけ周りに何を言われようと俺はお前の味方だ。周りの雑音は気にするな──お前は決してひとりじゃない」

「──ッ!分かった!エヘヘ、ありがと!!」

 

 元気いっぱい返事をすると軽快な足取りで走っていった。そんな彼女の背を牢獄の人達と一緒に手を振りながら見送った。

 

 レベッカさん、頑張れよ。

 

 Dブロックの予選が始まると観客からブーイングの嵐を受けるレベッカさん。ムカツクがモニターに映るレベッカさんの顔を見て安心する。

 

 まるで耳に入っていないかの様に一切表情を変えていない。立派な戦士の眼だ。よかった……これでこっちも安心して動ける。

 

 俺はこの場所から離れ"見聞色"でコリーダコロシアム付近に居るであろうゾロ達を探す。そして、ゾロ達の気配を察知した俺は鉄格子の窓から顔を覗かせ声をかけた。

 

「お~いゾロ~!!」

「お!いた!……てかバカ大声出すな!!!」

「あ、ゴメン。それにルフィも居たんだ」

「おう!にしてもそっちは楽しそうだなァ~。やっぱおれも参加すりゃあよかった」

「そうだぞ!こんな大会があんならおれも誘って欲しかったぜ!」

「ルフィ殿!ゾロ殿!今はそんなことよりアルガ殿へお伝えしなければならぬ事が!!」

「貴方が中で闘っている間に外では状況が大きく変わったわ」

 

 ゾロとルフィの無駄話しを中断させ錦えもんさんとモネさんが本題に入り電伝虫を繋げる。

 

 既にドレスローザを出た"ぐるわらの一味チーム"、工場破壊に進む"トンタッタチーム"、そしてここコロシアムに集まっている俺達の3ヵ所でそれぞれ状況を説明し整理する。

 

 "ぐるわらの一味チーム"はドフラミンゴとの交渉が破談となりその後やむをえない理由で一足先にゾウへ向かうとのこと。

 

 "トンタッタチーム"は地下にある工場を破壊するために小人族のトンタッタ族と片足の兵隊さんと共に工場破壊を決行するとのこと。

 

 それを俺に伝えるためにルフィ達はここへ来てくれたようだ。

 

「お前も早いとこ優勝して友達取り戻してこいよ!」

「ああ!分かった!」

「よし、それじゃ……えっ!?」

 

 ルフィが気合いを入れ直そうと上を見ると衝撃的な光景を目の当たりにした。

 

「賭博のおっさんとドフラミンゴが空に!?それとあれは……ッ!!トラ男ォオオ!!!」

 

 ルフィの言葉で皆が一斉に上空を見る。そこにはボロボロで動けなくなったトラ男さんとドフラミンゴ、さっき賭博場で見かけたおじさん……大将藤虎が重力操作で浮かせた岩に乗り王宮へ向かっていた。

 

 オイオイ!少しずつ展開がズレてないか?トラ男さんを倒して王宮へ行くのはここじゃなかったのかよ!!

 

 それと何か違和感が……。ドフラミンゴは狭いハズなのに何で岩に乗って……あ。

 

 そっか、俺が雲消しちゃったから飛べなくなっちゃったのね。あれ?でも何で俺雲を消したんだっけ?んん~?

 

「こうしちゃられねェ!!アルガ!!!おれ達はトラ男を取り戻してくる!!!お前も大会終わったら早く来い!!!」

「分かった!!」

 

 そういってルフィ達は王宮へと走っていった。途中、コロシアムを取り囲んでいた海兵達が襲っていたがアイツらなら問題ないだろう。

 

───ゾクッ

 

「……ッ!」

 

 コロシアムに戻ろうとした時、何やら背後から気配を感じた俺は振り返るがそこには誰もいなかった。一瞬コロシアムを取り囲む海兵達かと思ったがそれにしては少し異質に感じた。

 

 しかし、特に何も見えなかったのでひとまず置いておき足を進めた。

 

 俺も次の闘いに備えようと来た道を戻る途中、近くでガンガンと固い物がぶつかる音が聞こえてきた。

 

 ……ああ、そういやあったな。

 

 音が聞こえる場所へ行くとそこはボロボロのベラミーをバリアで守るバルトロメオとそのバリアを何度も蹴り続ける生意気そうなガキがいた。

 

「このバリア野郎……!!覚えてなさいよあんた達!!ドレスローザから生きては出さないわ!!!」

「ヘハハ!!行け行けクソガk───アアルアルルルッ!!?!?!?!?!?」

 

 ガキの後ろに立っていた俺を見たバルトロメオは声にならない奇声を上げる。その様子を見たガキは後ろにいる俺に気づき振り返った。

 

「どこ行く気だ?生きて出さない?俺の友達傷つけておいて何しれっと帰ろうとしてんだてめェ……」

「ッ!?お前は───」

 

 ガキが声を上げた瞬間、ベラミーを見て額に青筋が浮かぶ俺は金棒を振り上げて無造作に振り抜いた。

 

「”(ワン)力鬼(リキ),,ィ!!!」

「ギッ──!!?」

 

───ボゴォォォオオオン!!!!

 

 ガキの横腹を捉えフルスイング。ガキの声が一瞬聞こえたが次の瞬間にはコロシアムの壁に大きく風穴が空き遠くに見える建物に次々とぶち抜き最後は見えなくなった。

 

 "見聞色"で確認すると海までブッ飛んでいったようで気絶したのか声はそこで消えた。確かアイツ闘魚の魚人だったよな。なら問題ねェな。

 

「覇気使わなかっただけありがたく思え」

「フォォォオォオオオオオ!!!ア、アッアッアアアアルルrrrrrrrrrアルガセンパ~~~イ!!!!たった一撃であの威力!!!オラ感動だッぺ!!!ウグゥ……!!神々しすぎてオラの脳さ焼かれ……」

 

 俺の攻撃を見たバルトロメオは目を輝かせ感動のあまり昇天しかけていた。あ、マズイ……。

 

 なんとか意識を引き戻したバルトロメオに状況を聞くとよろよろと立ち上がったベラミーは歩き始めた。

 

「オイオイ、おめェどこさ行くだ。そんなボロボロの体で」

「──おれは外へ出る。ドフラミンゴに直接会って話したいことがあるんだ」

「んだどもおめェさっき……」

「ダマってろ!!!例えあの人にどう思われようがおれはあの人を尊敬してる……!!おれはドフラミンゴを裏切れねェ……!!!」

 

 ベラミーの心配をするバルトロメオに大声で怒鳴り言葉を遮る。そして、そのままどこかへ行こうとしたので俺も声をかける。

 

「ベラミー、後悔するかも知れないぞ?」

「──ッ!!……かもな。だが、おれにも通すべき筋ってのがあるんだよ……」

 

 そう言い残しベラミーは今度こそこの場を後にした。

 

「……ッ!!?おい待て、ひょっとして今オラとアルガ先輩の二人っきり……!!?アババババ!?!?ダメだ急に緊張して足腰がががががっ!!!」

「そんな緊張しなくても……」

「いえいえそんな滅相もねェ!!アルガ先輩にお気遣いしてもらえるなんて……我が生涯に一片の悔い無しだッぺェ~~!」

「お~~い!」

 

 バルトロメオが号泣していると遠くからサボさんか駆け寄ってきた。どうやらDブロックの予選が終わりいよいよ決勝戦が始まるらしく俺を探しに来たようだ。

 

「そろそろおれ達の出番だぜ。行こう!」

「ヘハハァ~……ハッ!?何だべお前軽々しく言いやがってこの方を誰だと……ん?その顔どこかで…………ひょっ!!?!?ままままままさか貴方様はルフィ先輩の!!!?」

「お、トサカ野郎も一緒にいたか!丁度いい、3人で行こうぜ」

「…………」

「ん?どうした?」

「…………ブクブク」

「泡吹いて気絶したァーー!!?なんで!?」

 

 突然倒れたバルトロメオにサボさんは驚く。まあ、ルフィのお兄さんって分かったらそりゃあね……。

 

 仕方なくバルトロメオを担ぎ闘技場へと向かう。そして、コロシアム裏へ着くとレベッカかんを見つけ声をかけると明るい様子でこっちへ来た。

 

「おじさん!やったよ!私も勝った!これで決勝に行ける!!」

「ああ!よくやったなレベッカさん!スゴいじゃないか!!」

「エヘヘ~!ありがと!」

 

 俺が褒めるとレベッカさんは犬が尻尾をブンブン振るような感じで元気よく喜ぶ。そこへスタッフの人がやって来た。

 

「えー、おじさん選手、サディーボ選手、バルトロメオ選手。……チッ、レベッカ選手お揃いですね。では闘技場へどうぞ」

 

 おい今レベッカさんに舌打ちしたか?どうしてくれよう。処す?処すか?

 

「ヒッ!?」

「おじさんいいよ。……ありがとう」

「レベッカさん……分かったよ」

 

 ついスタッフを睨んでしまった俺をレベッカさんがとめる。仕方ないのでこれ以上はやめた。レベッカさんの優しさに感謝しろよ。

 

 途中、バルトロメオが気がついたと思ったら俺が背負っている現状を把握した瞬間またもや気絶しかける。おい待て待て、もう始まるから起きてくれ。

 

 こうして俺達は闘技場へと足を進めるのだった。

 

 

 

 

 さァ、いよいよ始まった最終決戦。闘技場には、俺、サボさん、バルトロメオ、レベッカさんに敵のディアマンテ。

 

 優勝賞品のくまさんはコロシアムにはおらず、代わりに巨大闘魚の背中の宝箱の中にくまさんの"威権チップ"が入っているらしい。

 

 頭上に巨大なモニターがありその映像にはどこかに収容されているくまさんの姿が映されていた。

 

 この時点で俺とサボさんの怒りのボルテージが跳ね上がる。それだけでもヤバかったがレベッカさんの母スカーレットを撃ち殺したのはおれだとディアマンテが嘲笑う。

 

 母の死の真相を聞き悔しくて涙を流すレベッカさん。剣を落としその場で膝を着き悲しみに包まれる彼女。

 

 …………そんなのを見せられた俺とサボさんは───

 

「ブベラバビュホバァアア!!?!?」

『何と言う事だァア!!見るも無惨!!!コリーダコロシアムの英雄ディアマンテが手も足も出ない……!!?こんな事態前代未聞だァ~~!!!!』

 

 ボッコボコのフルボッコにしてます♪

 

 俺とサボさんの連携になす術もなく痛め続かれるディアマンテ。そもそも原作の()()()と違って今は……あれ?

 

「んー?今誰を思い浮かべた?元々決勝戦は俺達で闘う展開……え?でも原作じゃ俺はいなかったハズ……あれェ~?」

「隙を見せたな!!”闘牛(コリーダ)グレイ───ブッ!!?」

「ねェよ。んなもん」

 

 何か引っ掛かる事があり考えているとボロボロのディアマンテが好機と見てか背後から襲いかかるが……振り返らず後ろ蹴りで相手を蹴り飛ばす。

 

 いいところに入ったのかとうとう悶絶しその場に倒れ込む。

 

「ゲフッ!ハァハァ……こ、コイツらおれ様の"覇気"を込めた鋼鉄の服を難なく破壊してきやがる……どんな強靭な肉体してやがんだ……!!ウゲェ……!」

「オイお前腐っても最高幹部だろ。まさかその程度で終わるわけねェよな?」

「チィ!ガキが調子に乗りやがっ───ッ!!?」

 

 ディアマンテが奮起し立ち上がった瞬間、事件は起きた。

 

『な、何だ何事だァ!!?観客席のオモチャ達が次々と人間や猛獣に変わっていく~!!?』

「何て事に……。トレーボルの奴!!シュガーから目を離したかマヌケめ」

 

 会場が大パニックの中、状況を把握したディアマンテは顔色を変える。冷静だがこの場の誰よりもこの事態を重く感じているのだろう。

 

 そして、オモチャが元の姿に戻った事で俺も───

 

「全部……思い出したァ~!!!」

 

 ドレスローザ編の曖昧な記憶だった部分を思い出した俺は高らかに叫んだ。そーじゃん銅像のキュロスも他のオモチャ達もみんな原作キャラだったじゃん!!

 

 ついでにさっきまで引っ掛かってたのってバージェスだったわ。アイツもオモチャにされてたと考えると笑えるww

 

「ウゥ……!!」

「レベッカさん?」

「全部……思い出したの!!!」

 

 またもレベッカさんは号泣するが今度は悲しみの涙ではなかった。全てを思い出した彼女に俺は笑いかける。

 

「私には……お父様がいたの!!!思い出した……!!!」

「そっか、それじゃ……」

「えっ!?」

 

 俺は先ほどレベッカさんが落とした剣を拾うとリング外の水の中へ放り投げた。

 

「おじさん!何を……?」

「だってもうお前にはアレは要らないだろ。守ってくれる人がいるんだから」

「──ッ!!!……う"ん"!!!」

「今までよく闘ったな。もう二度とレベッカさんは剣を握らなくていい」

 

 泣きじゃくる彼女を優しく抱き締めあやしているとサボさんがニヤリと笑う。

 

「オモチャが戻った……て事はもうドフラミンゴはおしまいだな。よし、試合はここまでだ───優勝するぞ!」

 

 サボさんは待ってましたと言わんばかりに張り切ると闘技場中央へ移動しその場にしゃがみ込む。そして……。

 

「竜爪拳!!”(りゅう)息吹(いぶき),,!!!!」

 

───ドゴォォオオオオン!!!!

 

 闘技場が粉々に砕け完全崩壊した。

 

 崩壊していく闘技場は水の中へ沈んでいきディアマンテは溺れてしまう。バルトロメオは上手く球体のバリアを張りその中へ避難していた。

 

「しっかり掴まってて”飛龍翔(ひりゅうしょう),,!!!」

「え?何を──きゃ!?」

 

 レベッカさんを抱きかかえ空中へ飛び上がる。サボさんは優勝賞品を持っている闘魚に飛び乗り宝箱を開けた。

 

 そして、中に入っていたくまさんの"威権チップ"を手に入れた。

 

「貰ってく!!!」

『ゆ……!!優勝……優勝~~~~!!!こんな時に何ですが!なんとこの混乱に乗じて"暴君くま"の"威権チップ"を手に入れたのは…………サディーボ~~~~!!!!』

 

 無事にくまさんの"威権チップ"をゲットしガッツポーズをする俺だったが突然サボさんが"意見チップ"を観客席に投げた。……ってオイオイ!!?

 

「ちょ!?サボさん!!?急に何を!!!」

()()はおれが持つべきじゃねェ。もっと相応しい奴がいるだろ?」

「相応しいって……アアッ!!!」

 

 投げた先に居たのはひとりの女性。"威権チップ"を受け取った瞬間俺達に向けて彼女はニヤリと笑った。

 

「おうおう2年振りじゃねェかアルガ!!!色々話してェ事あるがお互い忙しいしまた今度な!!」

「ジニーさん!!!」

「お前らのお陰でくまちーを救える!!ありがとよ!!!」

 

 懐かしい人との再会に俺はつい声をあげてしまう。そうだよ、よく考えりゃあ分かることじゃないか。

 

 くまさんがここに居るって分かっててこの人が来ない理由がない。

 

「ねえ、あの人今あなたの事を……」

「ん?ああ、そうだな。もう隠す必要もないか。改めてレベッカさん、俺の名はアルガ。よろしく!!」

「アルガ……」

 

 改めて自己紹介を済ませるとサボさんは任務ひとつ完了!といい喜ぶ。

 

「よし!くまさんの事は彼女に任せるとして……おれ達はこのまま地下へ行こう!!」

「了解サボさん。ならここは俺に任せて!レベッカさん、しっかり掴まっててね」

「う、うん!」

 

 姫様抱っこで両手が塞がっていたがレベッカさんが俺の首に手を回ししっかり掴まったお陰で方手が空く。

 

 空いた手で金棒を掴むと俺は"覇気"を込めて思いっきり振り抜いた。

 

「”鳴鏑(なりかぶら),,!!!」

 

 

───ボコォォォオオン!!!!

 

 

 巨大な飛ぶ打撃が真下にある闘技場に直撃すると巨大な風穴が空き闘技場の瓦礫や水が穴へ落ちていった。

 

「やるなァ~!」

「アッハッハッハッ!!まあね~!それじゃ行っくぞォ!!」

「え!?ちょっ待って何これ深……キャァアアアア!!!?」

 

 こうしてレベッカさんの絶叫と共に俺達は地下へと落ちていくのだった。

 

 

 

 

 

 夢を語る奴なんて現実を直視できねェ腰抜けだと思ってた。弱ェ奴の戯れ言だと……。

 

 だが違った。現実を知った気でいておれは何も分かっちゃいなかった。

 

 そう、ジャヤでアイツに出会うまでは……。

 

 

『幻想に喧嘩売る度胸もねェヒヨッ子が……海賊を語るんじゃねェ』

 

 

 当時、おれはこの言葉を聞いても何も響かなかった。現実を知ろうともしねェ甘ちゃん。そんな奴におれが敗けるなんて微塵も思わなかった。

 

 だが敗けた。おれは夢追いバカに叩きのめされた。それもたった一発の拳に。

 

 何かの間違いだ。おれがあんな奴に敗ける訳がねェ!……そう考えていたおれだったが───

 

 

───カラァーーーーー……ン!!!!

 

 

 鐘の音と共に空に映る"麦わら"の巨大な影を見たあの時、現実(おれ)幻想(アイツら)に敗北を叩きつけられてしまった。

 

 だが、奇しくもその敗北がおれを変えた。

 

 それから2年、あの光景を目の当たりにしたおれは考え方を改めおれなりに努力した結果、見事ドフラミンゴに認められた。

 

 ドフラミンゴはおれが昔から憧れた存在。おれが唯一認め尊敬した男だ。そんな人の元に就ける何て夢にまで見たおれにとっての栄転。

 

 そう……思っていたのに……。

 

『ドフィがね、あなたどうせ暗殺しくじるし……目障りだからトドメ刺しておけって』

 

 デリンジャーの言葉が何度も脳裏を過る。ブンブンと頭を振り思考をクリアにしようとするが……。

 

『がんばれよ!』

 

「──ッ!!クソッ、何でアイツの言葉まで……」

 

 いや、考えるのはよそう。今はそれよりも!

 

「おれは今は……感傷に浸ってたんだ。何をしに来た。"麦わら"の首は取ったのか?」

 

 ここは新地「王宮」の最上階。そこにいたのは最高幹部のトレーボル。そして……ドフラミンゴ。

 

 おれはこの人と直接話をする為に足を運んだ。どうしても確認したい事があったから。

 

「なぜデリンジャーをおれの下へ送った!!ホントにあんたの命令なのか!?もうおれに……望みはねェのか!!?」

「…………フフフ!ハッキリ物を言わせるな……ベラミー。おれとお前は目的が違うんだ。昔からな……!」

 

 おれが聞きたかった質問にドフラミンゴは含みのある返答をする。

 

「お前はずっと"海賊"になりたがってた。───だが、おれは違う……何でもよかった。この「世界」さえブチ壊せればな!!!」

 

 ドフラミンゴのニヤついた笑みを前におれは硬直した。

 

 世界を……壊す……?何を言って……。

 

「ドフラミンゴ……あんた何を──」

 

 そう呟きながら近づこうとしたその時───

 

 

「壊す?嘘でしょ……"若様"」

 

 

 突如どこからか女の声が聞こえて来た。

 

 

 

 

 

 時は少し遡る。俺達がコロシアムを崩壊させ地下に落下した直後のお話。

 

 地下へ落ちた俺はそこにいたロビンとウソップと合流しサボさんに達を紹介した。まあ、ロビンは革命軍メンバーとは顔見知りだけど。

 

 そして、国中のモニターからドフラミンゴが映りひとつのゲームを開始した。ドフラミンゴを倒すか俺達の首を取るかの国取りゲーム。

 

 それによりドフラミンゴを討ち取ろうと躍起になっていた国民やコロシアムの剣闘士達は手のひら返しで俺達を襲い始める。

 

 まあ、名のある猛者達はウソップの恩義に報いようと手のひら返しの剣闘士達を蹴散らしたが。

 

 しかし、途中で一緒にオモチャにされていたバージェスも現れたのでサボさんがこの場に残りバージェスと戦闘を開始する。

 

 サボさんに任せて移動しているとそこへ俺達が落ちてきた穴からモネさんがやってくる。どうやら今までコロシアムの上空で待機していたらしい。

 

 流石モネさん素敵です。

 

 正直、モネさんとコアラという俺の三大推しヒロインが目の前に揃っている現状に昇天しかけるもモネさんとの約束を思い出した俺はなんとか持ちこたえ皆と別行動を始めた。

 

 俺とモネさんでコロシアムの穴から飛んで抜け出すとそのまま地形が変形した「王宮」へと向かった。

 

 このままドフラミンゴの所へ行くのは簡単だが、それでは目的を果たすことができない。ドフラミンゴの本音を聞かせるにはモネさんを認識させないようにする必要がある。

 

 なので一度、王宮内に潜入しシュガーを探した。すると、ウソップに気絶させられた怒りでキレているシュガーを発見する。そして、すぐに近づきワザと触られるように仕向けた。

 

 そこを狙い俺が触れられる直前に着ぐるみを脱いだモネさんがシュガーの手に触れる。

 

「ごめんなさい。でも、必要な事なの」

「──ッ!!?お姉ちゃ……オモチャ?」

 

 シュガーの能力により突如現れた謎の小鳥人形。一瞬戸惑ってしまったが、掌に書かれていた文字を読みすぐにそのオモチャを回収にその場を離れた。

 

「驚いた。貴方は今私の事を覚えていないハズなのに……」

「ああ、掌にメモが書かれていたからね」

「メモ?……ッ!!」

 

 掌にはこう書かれていた。

 

『目の前のオモチャは大事な人!!必ずこの人にドフラミンゴの真意を聞かせろ』

 

 おそらくシュガーのホビホビ対策だろうな。転生前の記憶さえホビホビの実能力で消えてしまうのはさっきの一件で確認できたし。

 

「ヘェ、大事ね……///」

「そんなワケだからサクッと屋上へ行くぞ」

 

 少し走っていると窓を見つけたので突き破りそのまま一気に外から屋上へ向かい飛んでいく。

 

 そして現在、到着するとちょうどドフラミンゴがベラミーに本音を伝える場面に立ち会えた。

 

 すると、抱えていた鳥のオモチャはカタカタと震えドフラミンゴに問いかける。

 

「壊す?嘘でしょ……"若様"」

 

 ドフラミンゴを"若様"なんて呼ぶってことは……え?コイツ元は敵なの?何で連れてきたんだろ俺……。

 

 オモチャの声が聞こえドフラミンゴがこちらを向くと表情が変わる。

 

「んん?──ッ!!ほう、こりゃあ随分と早ェ到着だったなァ……"鬼の戦漢"!!」

「まあ、色々とショートカットしてきたからな。それより今はコイツと話ししてくんね?俺もよくわかってないがお前に聞きたい事があるらしい」

 

 鳥のオモチャは小さく震えドフラミンゴに再度問いかける。

 

「世界を壊すだなんてそんな事……私は知らない。若様……貴方はいずれ"海賊王"になるって……」

 

「アア?どこの誰かは知らねェが……"海賊王"?いつの話をしてやがる、そんな夢物語。おれはもうそんなものに興味はねェ。おれが望むのは気に食わねェこの世の全ての───"破壊"だけだ!!!」

「──ッ!!?そ、んな……」

 

 その言葉を聞いた瞬間、オモチャはピタリと動きが止まり何も喋らなくなった。何を考えているのかオモチャだから分からないが……どこか悲しそうに見えた。

 

 何故こんなに落ち込んでいるんだろう?コイツにとってドフラミンゴはどんな……。

 

 その時だった。鳥のオモチャが突然光に包まれたと思えば人の……いや、人面鳥(ハーピー)の姿へと変貌した。そして───

 

「「モネ(さん)!!?」」

 

 モネさんの事を思い出した俺達は同時に名を叫ぶ。俺と同時に呼んだドフラミンゴはさっきとはうって変わり明らかに表情を曇らせ汗をかいていた。

 

「若様……どうして……!」

「…………」

 

 その場でうずくまり、モネさんの悲痛な声に無言となるドフラミンゴ。全てを思い出した俺は慰めるように声をかける。

 

「交渉のため……だったとは言え、モネさんにはツラい現実を見せてしまった。ゴメン」

 

 元々、パンクハザードで結んだ交渉はドフラミンゴの真意を聞かせるのが目的だった。

 

 あのままでは原作通り最後まで敵対し死亡してしまう可能性があったから。だが、彼女の悲しむ姿を見て他にも方法はあったんじゃないかと今更になって考えてしまう。

 

 ただ、死なないで欲しい。という俺のエゴで今モネさんを悲しませる結果となってしまい俺の心は締め付けられる。

 

 いや、これ以上はよそう。こうなる事は始めから覚悟していたじゃないか。

 

「モネ、おれは……いや……」

 

 ドフラミンゴが手をかざし指をクイッと動かした。

 

───ズパンッ!!ガラガラァ……!!!

 

 すると、俺とモネさん、そしてベラミーの足元の床が切断させる音が聞こえるとそのまま下の階へと落ちてしまった。

 

 咄嗟にモネさんを抱え着地して屋上を見上げるとドフラミンゴがこちらを覗いていた。

 

「お前と話すことはもう何もない。今をもってモネ、お前をファミリーから外す。それとベラミー、お前に関しておれはもう何もしない。どこへでも行くなり好きにしろ」

「「ッ!!?」」

「おい待てよ!そんなんで2人が納得するワケ……」

「アルガァ!!!」

 

 2人の心情を察しドフラミンゴへ怒りをぶつけようとしたところにベラミーが大声で遮った。思わず黙ってしまいベラミーの方を見ると何かを悟ったような顔で乾いた笑みをする。

 

「もう、いいんだ……」

「だけど……!!」

「これはおれ達の問題だ!!!()()()()が口出しすんじゃねェ!!!」

「ッ!!」

 

 ベラミーの叫びに俺は再び口を閉ざしてしまう。ベラミーは屋上を見上げた後、俺を見据える。その顔からは覚悟を感じた。

 

「ドフラミンゴがどう思おうがおれはあの人を尊敬してる。ピエロだと嗤いたきゃ嗤えばいい!!おれみてェなマヌケでもなァ……貫くべき"筋"ってのがあんだよ!!!”スプリング跳人(ホッパー),,!!!!」

 

 ベラミーは足をバネ化させると思いっきり踏み込み、目にも止まらぬ速さでこのフロア全体を縦横無尽に跳び回る。

 

「ドフラミンゴに忠誠を誓ったおれにできることは……あの人の敵を葬り去る事!!!つまりだアルガ!!今ここでおれはてめェを殺す!それが嫌だったら、構えやがれェエエ!!!」

 

「ベラミー……お前……!!」

 

 跳ねる度にスピードがパワーが増していくアイツの攻撃は既に必殺の域にまで上がっている。それだけアイツは本気なんだ。

 

「わかってんだ!憧れる男を間違えた事も……!!己の未熟さも……!!だがな!一度憧れちまったらもう───止まらねェんだよ!!!!」

 

 昂る感情と共にスピードも更に上がる。最早自身ですら止めることのできない勢いにまで達するのを見てアイツの"覚悟"を感じた。

 

 憧れは止まらない……か。

 

 その気持ちわかるなァ。俺もこの人生でどれだけ憧れた人ができただろう。鬼姫様、タイガーさん、父さん、母さん、ルフィ、ゾロ……それに───

 

 

『あなたいつもひとりよね。よかったら私と遊びましょ!』

 

 

「ベラミー……」

 

 俺はベラミーの覚悟を認め跳ね続ける彼に向けて俺の思いを言ってやった。

 

「変わったな。お前」

「ッ!!!」

「見えなくっても分かるよ。泣くほど悔しんだよな。でもな……どんなに惨めでも恥ずかしくても一度持った憧れを簡単に捨てなかったお前は──強い奴だよ。ベラミー」

 

 加速し続けるベラミーの顔は見えないが……不思議とわかった。

 

「そんなお前を俺は素直にスゲー奴だと思ったよ。さっきお前は敵って言ったけど……俺は「友達」だと思ってる!」

「───ッ!!!ウグ……ォォ!!」

「だから、そんなお前を放っておく事はできない。ベラミー!!お前がまだ憧れた存在(ドフラミンゴ)に縛られているのなら───」

 

 

「俺が!!!お前の憧れた存在(ドフラミンゴ)以上の男になってやる!!!!」

「ッ!!!!」

 

───ズドォン!!!

 

 俺の宣言と同時にベラミーは俺に目掛けて跳び込んだ。既にベラミーのスピードは音速を超えており、ベラミーの全ての想いが込められた拳が俺に襲いかかる。

 

 だが、それが俺に届くことはなく……2年前と同じように俺の一発の拳がベラミーの顔面を捉えた。

 

 ピュンピュンと跳ね回る音が消え静かになる。そして、俺の足元にはベラミーが大の字で倒れていた。

 

「少し待ってろよ。起きた頃にはお前を縛るものは何もねェからよ」

 

 気を失い聞こえていないハズのベラミーの顔は涙を流しつつも……どこか嬉しそうな笑みをしていた。そして、俺はモネさんの所へ向かう。彼女は彼女で未だに現実を受けきれていない様子だった。

 

 いや、受け入れたからこそ絶望に打ちひしがれているのだろう。モネさんは虚ろな瞳で俺を見つめる。

 

「フフ……パンクハザードで貴方が言ってた通りだったわね……私は間違っていた。若様の為ならと思えばこそ私は子供達だって……ハハ」

「モネさん……」

「信じていたものはニセモノだった。それを知った今、私にはもう生きる理由がない……もう、死んだ方が──」

 

 目から光が消え乾いた笑いだけが響く。そんなモネさんを見て俺の口は開いた。

 

「今日、みんなで食べたレストランの料理美味しかったんだよ。でも、モネさんはオモチャのフリをしてたからまだ食べてないよね?」

「は?急に何を……」

「だから、この戦いが終わったら一緒に食べに行かないか?」

「え……」

 

 突然の誘いにモネさんは困惑する。こんな状況で誘う意図が理解できず彼女の思考は停止する。

 

 そんなモネさんに気にせず俺は話を続けた。

 

「生きるも死ぬも決めるのはモネさんだ。でも、生きる理由なんてものは案外そこら中にあるものさ」

「そこら中に……?」

「うん、大きな目標が消えてしまったって「明日はアレが食べたい」とか「今度何かを始めたい」とかどんな些細な事でもいい。自分のしたい事をこれから見つけていこうよ」

「私の……したい事……ッ」

 

 そう呟くとモネさんの瞳に光が戻る。

 

「ひとりが不安なら俺も一緒に探すよ。モネさんの生きる理由を。生きる理由がないとか死んだ方がいいとか決めるのは……それを探してからでも遅くない」

「アル、ガ……あっ」

 

 曇っていた瞳が、心が徐々に戻っていくモネさんを見て俺は優しく抱き締めた。

 

「どうして、そこまでするの……」

「友達だから」

「友……達……?」

「うん、俺はモネさんに死んで欲しくない。これからも生きてて欲しい。だから、空いてしまった心の穴を埋めていくのを俺にも手伝わせてくれ」

「…………ウン……ッ。ありがとう……"友達"なんて言われたの……私、生まれて初めてッ」

「そっか!」

 

 泣きながら見せる彼女の笑顔を見た俺は同じように笑い返した。すると、上からズドォン!と大きな音が聞こえてくる。

 

 まあ、モネさんがオモチャから戻った時点でアイツらはすぐ近くまでいたんだ。ルフィ達も……戦いを始めたんだな。

 

 ホントはこれから行かなきゃならない所があるんだけど……。

 

 ベラミーとモネさんを見て予定を変更した。

 

「ゴメンね。ちょっと上に行ってくる。ルフィ達がドフラミンゴと戦ってるみたいだ」

「貴方も行くの……?」

「他にも行きたい場所があるんだけど……たった今ドフラミンゴに用ができた」

「用……?」

「うん、友達を泣かせた奴をぶん殴りに」

 

 モネさんは目を見開き一瞬呆けた顔になる。そして、少し考えた後、納得してくれたのか抱き締めるのを止め俺から離れる。

 

「わかったわ。でも……」

「でも?」

「必ず戻ってきなさい。さっきの言葉……忘れないから」

「おう!」

 

 互いに言葉を交わし俺は”飛龍翔,,で一気に空中を駆け抜ける。そして、屋上へ着くとルフィとトラ男さんがドフラミンゴとトレーボルを相手にしていた。

 

「お!アルガ!!来てくれたのか?だけどコイツはおれがブッ飛ばす!!!」

「それなんだけどさ……少しだけ俺に譲ってくれない?」

 

 戦う気満々のルフィには悪いがひとつお願いする。

 

「俺この島で友達が3人も出来たんだ。だけど、皆ドフラミンゴに泣かされて」

「友達をか」

「うん、だから頼む!3発でいい。3発アイツを殴らせてくれ!!」

 

 俺の頼みを聞いたルフィは拳を俺の胸に突き出した。

 

「わかった!だけど、ミンゴはおれがブッ飛ばすんだからな!!忘れんなよ!!!」

「勿論!しっかりルフィに回すよ」

「オイてめェら何言ってやがる!!!相手はドフラミンゴだぞ!!!お前ひとりを行かせる訳──あ!おいコラ離せ麦わら屋ァ!!!」

「ししし!まあ、心配すんなって。アイツの顔見ただろ?スゲー怒ってた」

 

 後ろから話し声が聞こえてくるが今はそれよりも目の前の男に意識を集中させる。

 

「フフフフ!やはりてめェだけはここに来たか。だがよ?お前ひとりでこのおれを倒すつもりか?そりゃあ舐めすぎだ」

「倒す?ああ、安心しろよ。お前をブッ倒すのは二人がやる。俺はその前に友達を泣かしたお前にケジメを取ってもらうだけだ」

「そうかそうか……随分、このおれを舐めているようだ……!!”弾糸(タマイト),,!!!」

 

 俺の態度にイラついたドフラミンゴは額に血管が浮かび上がり指先から糸の銃弾が飛んでくる。しかし──

 

───ガキィン!!!

 

 弾が当たる直前、何も構えず"武装色"を纏うと金属音が響く。そして、一切キズがつかなかった俺はゆっくりと歩き始める。

 

「なっ!?」

「威力弱……そんなんじゃ俺の"武装色"は通らんぞ」

 

 ドフラミンゴよォ……。お前がどんだけイラついてるか知らねェがこちとら───

 

 

『ドフラミンゴを討つんだ!!!兵隊さんを守るためにも……ッ!!!』

『若様……どうして……!』

『わかってんだ!憧れる男を間違えた事も……!!己の未熟さも……!!だがな!一度憧れちまったらもう───止まらねェんだよ!!!!』

 

 

───こちとら腸煮えくり返ってんだよォ!!!!

 

 

 友達の涙が脳裏を過り俺の怒りは更にヒートアップする。

 

「グッ!!”超過鞭糸(オーバーヒート),,!!!」

「フンッ!!」

 

 スタスタと歩きながら今度は拳に"武装色"を纏わせ真正面から飛んでくる高熱の糸をアッパーカットで打ち上げた。

 

「んじゃまずは───レベッカさんの分な?」

「バ、バカな……!!?──ッ!?”蜘蛛(くも)()がk───」

「”朧突(おぼろづ)き,,ィィ!!!」

「ガハァッ!!?」

 

 ある程度歩いた俺は飛び込み一気に距離を縮める。急に接近してきた俺にドフラミンゴは慌ててクモの巣のような糸の盾を作り出すが……そんなものお構い無くぶち抜きドフラミンゴの腹に1発目を拳を放つ。

 

 その様子を見ていたルフィは驚くこと無く、むしろ当然と言わんばかりに自慢気な顔になる。

 

 

「な?大丈夫だったろ。ああなったアイツはマジで強ェから……心配する必要ねェぞ」

 

 

 そのまま何度か床にバウンドし屋上の端までブッ飛ばされた。よろつきながら立ち上がると口から血を流し苦悶の表情を浮かべる。

 

「ゲフッ……たかが、一発殴られただけで……!!」

 

 たった一発の攻撃で空気が変わりルフィを除いたトラ男さんとトレーボルは予想外の出来事に驚愕した。

 

「──ッ!!?」

「ピギャ~~!!?ドフィ~~~!?!?」

「後2発な」

「グッ……!クソ餓鬼ィイ!!!」

「来いよ、格上に挑む度胸もねェ三下チキン!格の違いを見せてやらァ!!」

「調子に乗ってんじゃねェ!!!」

 

 今まで以上に額に血管が浮き上がる。頭に来ているからか明らかに気が立っている。だからか、その様子を見ていると自然と冷静に戻れた。

 

 そして、冷静さを取り戻した俺は改めてドフラミンゴに忠告した。

 

「さっきも言ったが、お前を倒すのはルフィ達の役目。でも、その前に俺が3発殴っから───倒れんじゃねェぞ?」

 




どうも皆さんもしロマです!
38話をご覧くださりありがとうございます!
【投稿しなかった話のワンシーン2年後編】より『38話後 似た者同士』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
それと、折角ドレスローザ編を書いてるので次回誰かにアルガを刺して貰いましょう。誰にしようかな?ワクワク
ではまた会いましょうでわでわ~( ´ ▽ ` )ノシ
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