あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
当日投稿したかったのですが流石に間に合いませんでした……(-∀-`; )
そんな訳で!急遽、本編投稿の予定を変更し番外編を書きました!
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
私は"海賊"が嫌いだ。
暴力を振るい大切なものを平気で奪っていく野蛮人。将来の事なんてまるで考えていない能無し共の集団。それが海賊。
そんな海賊達に聞きたい。将来どうするのか考えていないのかと……。
若い内に夢だの冒険だの好き勝手に生き続けるだけで人生を終えられると本気で考えているのか?そんな事できるわけがない。豪語できるのは余程の自信家か考える脳がない馬鹿だけ。
私は違う。学校で良い成績を残し将来は学者になる。学者は安泰して給料も貰えるし老後の心配はない。
それが一番正しい選択。正しい人生。
世界最強の海賊と言われていたあの"白ひげ"でさえ、頂上決戦で死んだのだ。なら他の海賊だって将来ロクな人生を送れないだろう。
私は毎日のように増え続ける手配書の海賊を見てそう思うのだった。
シャボンディ諸島にある学校"シャボンスクール"。そこでは今期のテストの成績発表が行われていた。
と言っても生徒全員ではなく、成績上位者50名だけだ。そして、その中に私の名も入っており横には1位と載っていた。
「あいつスゲーよな。また1位取りやがったよ」
「なー、おまけに可愛いし!……でも、目が恐くて近づき難いんだよなァ」
「それな、アイツが誰かと話してるところ見たことねーよ」
「友達がいねーんだろ」
「違いねェw」
近くで私を賞賛する声や蔑む声が聞こえて来た。いつもの事なので私は何食わぬ顔でその場を後にする。
あんな場所で人の悪口を言うなんて神経を疑う。これだから男は嫌いだ。気に食わない事や笑いのネタの為に他者を平気で傷つけ笑い者にする。
あんなのと一緒にいるぐらいなら友達なんてこっちから願い下げよ。そもそも、この学校には私以上に頭の良い人がいない。自分にとって利益になりえないのなら友達なんて作る必要がないのよ。
「なァ聞いたか!今シャボンディに"麦わらの一味"がいるって噂!」
「聞いた聞いた!何でもこの島で仲間を増やしてるんだろ?」
「ああ、2年前あんだけ話題だった海賊が急にいなくなったから死んだかと思ったのにヤベーよなァ!!」
「お前あの一味で誰が好き?おれはやっぱ"麦わら"だな!」
「船長はありきり過ぎだろ~。おれは……」
「何言ってんの?一番最高なのはナミさん一択でしょ!」
「オワッ!?何だよ急に入ってきて」
男子達の中にオレンジ髪の少女が話って入る。その少女は目を輝かせて語りだした。
「い~いィ?そもそも"海賊"って言う野蛮な奴らしかいない中、女性であるにも関わらずナミさんはその頭脳で機転を利かし相手を出し抜くあの他にはない魅力!!ただ強いだけの奴らとは違うのよ!!!」
「分かった!分かったから一旦離れろ!!圧が強ェよ!?」
少女の勢いに少しずつ下がる男子達。その中の一人がポツリと呟く。
「ボ、ボクは"鬼の戦漢"かなァ。2年前の戦争の時も強くてかっこよかったし」
「…………」
私はその名を聞くと冷めた気持ちになりそそくさと学校を出た。
"鬼の戦漢"は知っている。よく話題に出ていたから。ソイツは文字通り鬼のような強さで笑いながら敵を蹴散らし戦いを好む戦闘狂と聞いた事がある。
暴力しか取り柄のない人間。私がもっとも嫌う人種だ。
「ハア、早く帰って勉強しよ」
私は気持ちを切り替えて肩にかかった黒髪を後ろに払いズレたメガネをかけ直す。
学校では基礎しか勉強を学べない。私はいずれ夢である学者になる事を志して家でも勉強に励んでいる。他の遊んだりしてばっかの人達とは見据える未来が違う。
結論、なので私は友達がいないんじゃない。友達を作らないのよ。
「早く帰ろう……そう思ってたのに……」
「きゃんきゃん」
帰宅の途中、白い子犬が私の前に現れた。そして、何故か懐かれた……。何故……。
「この子首輪が着いてるって事は誰かのペットなのかな?えーと名前は……フェンリル……」
この子にこの名は重すぎない?
「ほー、イカス名してんなァ」
子犬の名を見て呆れていると横から長鼻の男が現れた。男だが、初対面の人相手に怪訝な態度を取るわけにもいかないので素っ気ない態度で対応する。
「あの、何でしょう?」
「よう嬢ちゃん。飲み屋知らねーか?なるべくオシャレな所。連れを探しててよ」
「知るわけないじゃない。私はまだ15歳ですよ」
「それもそっかァ。ところでこのチラシについて何か知ってるか?」
長鼻の男は1枚のポスターを見せてきた。そこには麦わらの一味のドクロマークに"仲間募集"と書かれていた。
「どうもウソ臭くてよ~。アイツらがこんなマネする訳がねェんだよ」
「アイツらって……まるで知り合いみたいな言い方ね」
「ウッ……!」
長鼻の男はギクッとした反応を見せ慌てる。え?ウソッ、ひょっとしてこの人本当に──
「クッ!バレちゃあ仕方ねェ……そう!このおれこそが"麦わらの一味"の主力にして一味の要!!人はおれをこう呼ぶ……副船長キャプテ~ン・ウソップ!!!」
あ、ウソっぽい。
少しヒヤッとしたけど明らかな過剰宣言に一周回って冷静に戻った。だって聞いた事ないもの。主力なら手配書だって出てる筈だけどウソップなんて名前聞いたことないし。
そもそも何で副船長なのに名乗りがキャプテンなのよ。
「そんなに言うならその仲間達に聞いてみればいいじゃないウソのお兄さん」
「さらっとウソつき認定するんじゃありません!!……でも嬢ちゃんの言う通りだよな。さっきアルガっぽいの見たしどこかで会ったら聞いてみるか……にしては太ってたけど」
アルガと言う名を聞き私は顔をしかめる。ウソのお兄さんもそれに気づいてか心配してきた。
「おいおいどうしたそんな顔して」
「別に、ただ海賊が嫌いなだけ。特に今言った人みたいな野蛮人なんて……」
「アルガは野蛮人じゃねェぞ?」
私の言葉にウソのお兄さんはキョトンとした顔で否定してくる。
「アイツは優しい奴さ。強ェのは認めるがな」
「その人の何を知ってるのよ」
「色んな事を知ってるさ。仲間だからな!」
ウソのお兄さんは子犬と戯れながら楽しげに語り始める。
「まず、2年前のあの戦争の大立ち回り。何を隠そうアルガの強さはおれ様の助力あってのものと言っても過言ではない!それだけじゃねェぞ?アイツにとっておれ様は命の恩人でもあるのさ!いや~思い出すねェ~、かつてアイツがボロボロとなり窮地に立たされた時にこのおれ様が颯爽と現れて助けた事を!!」
「へースゴイデスネー。サスガー」
「気持ちが込もってねェぞオイ!!!」
だって明らかにウソじゃん。
「ったく。それじゃそろそろ行くとするか。時間取らせて悪かったな。犬との散歩楽しんで~」
「あ、いや別にこの犬は私のじゃ……」
弁解しようとするがウソのお兄さんは聞き終える前に颯爽とどこかへ行ってしまった。これでは結局振り出しに戻っただけじゃない。
「ハア、どうしよこの子……」
このままにして置くのも可愛そうなのでどうするか考えていると……。
「あのー、少しいいかな?」
「え、あ、はい。何でしょ───」
声をかけられ振り返ると…………女物のフリフリなマントにフードを被った武装の男が立っていた。
「変質者だァァアアアア!!!?」
普段なら決して出さないような大きな声で叫ぶと変質者は慌てて弁明に入る。
「誰が変質者だ!?この格好には理由があるんだよ!!」
「好きで着ている訳じゃないんですか?」
「好きで着ている」
「やっぱり変質者じゃない!!」
その後も「変質者!」「違う!」と押し問答が続いたが、変質者が探している犬の特徴がこの子と合致しているので納得した。
「まあ、私も飼い主を探してたところだったしちょうどよかったわ。今度は主人から離れるんじゃないわよ?」
「わふ!」
「あー、俺の犬でもないぞこの子」
「えっ」
「俺は船に戻る途中に飼い主から一緒に探してほしいって頼まれたから手伝ってるだけだ」
まさかの事実に一瞬だけ固まってしまう。それにこの人今船って……。
「変質者のお兄さん……」
「変質者はやめてくれ……それでどうした?」
「船って言ってたけど貴方って商船の……人?」
「いや海賊だよ」
「───ッ!!」
海賊。そう言われ私は驚いた。
海賊なんて身勝手な人しかいないと思っていた。それが何故……。
海賊が何故見ず知らずの他人の為に犬探しなんて手伝っているのか?ここは諸島なのよ?そんなとてつもなく広いこの島でこんな小さな子犬を探そうとしてただなんて……。
「ウ、ウソでしょ?」
「ホントだよ。なぜそう思った?」
「だって、海賊が人助けなんて……」
「あー……」
私が何を言いたいのか察したのかお兄さんは乾いた声を出す。
「確かに珍しいかもしれんが……別に関係なくないか?」
「そんな訳ないでしょ。だって海賊だよ?」
「肩書きは関係ないよ。頼ってきた人を助けたいと思うことがそんなに変か?」
「そ、それは……!」
お兄さんの言葉に何も言い返せなくなる。この人は本当に海賊なのだろうか。私の知る海賊……じゃない。
未だに納得できなかった私は普段から悪かった目つきがさらに鋭くなりお兄さんを睨む。
「で、でも!自分に得がないことをするなんて理解できないわ。そんなの時間の無駄じゃない!」
「…………!」
「な、何よ……?」
私の言葉にお兄さんは一瞬だけピクッと反応するとそのまま固まってしまう。空気に耐えきれずつい聞いてしまうとお兄さんはニヤリと悪そうな顔になる。
「……ハハーン、さてはお前友達いないだろ?」
「ハア?何よいきなり。失礼じゃない!」
「悪い悪い、なんか昔の俺がしてた目にそっくりだったからな」
「えっ」
「いやな、実は昔俺も友達がいなくてさー。今のお前みたいな目してたよ。何なら自分以外の存在は信じていなかった」
お兄さんは自身の昔話しを教えてくれた。その内容は、どれも身に覚えのあるものだった。
「俺は別に便りがいなくたってひとりで生きていける。そう思ってた時期があったよ。でも、それは無理なんだ。何故だか分かるか?」
「……わからない」
お兄さんの問いに私は素直に答えた。昔のお兄さんが今の私みたいな考え方なのだとすればいったい、どうやってそんなに変われたのか。
わからないと首を振った私にお兄さんは優しく微笑み答えた。
「それはな───この世に生まれて、たったひとりで生きていける奴なんているワケないからだよ」
「───ッ!!!」
お兄さんの言葉に私の胸はチクリと痛んだ。
「どんな些細なことにだって俺を支えてきたものがあった。それを知ると自分がどれだけ助けられてきたのか、自分がどれだけ小さい人間なのか知ったよ」
「…………」
お兄さんの言葉は何故か私の心に響いている。頭では納得していないのに……心のモヤモヤが薄れていく。
私はたまらず他の質問をする。
「ねえ……何で、貴方はそんなに優しいのに……海賊なんてしてるの?」
「やりたいことだから」
「海賊が……?」
その答えを聞くと意地汚く笑おうとする自分がいた。ホラね、所詮海賊は海賊よ。どんなに優しくったって海賊になったら将来ロクな人生を遅れな───
「だって、未来はひとりで下向きに進むより、みんなで笑いながら進んでいった方が楽しいだろっ。夢は笑って進める奴が一番強いんだ」
「……!!~~ッ!!!」
お兄さんが笑いながらそう言うと再び私は何も言えなくなってしまった。
……私はいつもどんな顔をしていただろう。学校でも家でも常に気を張り続けて勉強に明け暮れていた。全ては夢である学者になるため。
その為ならどんな苦だって我慢してきた。
だけど、この人は違う。夢に向かって苦ではなく、笑いながら進めるなんて……!
「お兄さんは……」
「ん?」
「お兄さんは、どうしてそんなに変われたのですか?」
「そうだな……」
お兄さんは少し思い出すかのような顔をして俯いた後、顔を上げて私を見つめた。
「俺は昔ロクでもない奴だった。だけど俺は変われた。それは、俺の知らない世界を知ったからだ」
「知らない世界?」
「ああ、そうだ。でも、それは簡単なことじゃない」
お兄さんは肯定するように頷く。
「ひとりだけじゃ決して大きく変わる事はできない。だから、ひとりで頑張ろうとしなくていい。きっかけとなる一歩、踏み出せなかった一歩を前に出すんだ」
「きっかけの……一歩」
「何が言いたいかって言うとな……ほんの少し、自分が変わるだけでいい。そうすれば、いつか自分の見る世界ごと変えてしまうような人が手を差しのべてくれるかもしれないぞ」
そういいお兄さんは私の頭を撫でてくれた。その手はとても暖かく……どこかで感じた事のある心地良さだった。
それが、パパにしてもらう時と同じ気持ちだと気づく。
私のパパは学者だ。そんなパパの背中を見て育った私も同じ学者になることを夢に見た。でも、私と違いパパの回りには色んな人がいる。そう、私と違って……。
本当は心のどこかでわかっていた。今のままじゃいけないことは。でも、何かと理由を着けて人を避けてきた私は不安になってしまう。
そんな弱音を、お兄さんに溢してしまった。
「私も……変われるかなァ?」
「勿論だ。お前はさっきまで得があるかないかで決める考え方だったが……覚えとけ。友達は損得勘定じゃない。友達ってのは互いに色んなものを与えたり貰ったりする仲だ。そして、多くの人と仲良くなれればそれだけ未来も明るくなるハズだ。人の繋がりは財産なんだから」
「はいっ」
私は何だか心がスッと軽くなった気がした。
「……っていけね!そろそろあの子も犬を心配してるハズだしそろそろ行くとするよ」
「あ、私も帰って勉強しないと」
私は本来の目的を思い出し急いで走り出す。だが、途中で最後に聞きたいことを思い出し振り返った。
「そういえば、お兄さんの名前は?」
「俺?俺は……そうだな。お前が変わった時にでも教えてやるよ」
「むー、絶対だよ!」
最後にはぐらかされてしまった私は渋々諦めて再び走り出したのだった。今までにない程軽い足取りで……。
「友達は互いに色んなものを与えたり貰ったりする仲……か」
ひとりになり子犬以外、誰もいなくなった場所で男は寂しげな目で呟いた。
「俺も与えて貰うだけじゃなくて……あの人に何か返せたら、友達になれたかな───紬さん」
翌日の朝、教室内でクラスメイト達がガヤガヤと賑やかに談笑している中……私は過去最高に緊張していた。
いつになく胸の鼓動がうるさく聞こえる。人に話をかけるってこんなに勇気がいるものだったの?
……べ、別に今日じゃなくてもまた今度に───
『ほんの少し、自分が変わるだけでいい。そうすれば、いつか自分の見る世界ごと変えてしまうような人が手を差しのべてくれるかもしれないぞ』
昨日のお兄さんの言葉を思い出し勇気を出してグループに話しかけようとした時……。
「今朝の新聞見たか!?"麦わらの一味"完全復活だってよ!」
「見た見た!昨日海軍があちこちで動き回ってたのに逃げ切ったんだろ!スゲーよなァ」
「フフフ……実は私はナミさんにファンレター送ろうと出航する瞬間見ちゃったのよねェ~」
『マジで!!?』
「あ……」
グループが見ていた新聞の一面を見てポツリと声が漏れてしまった。何故ならその記事の写真に昨日のお兄さんが写っていたから。
海賊って言ってたけど……あのお兄さんが。
「んー?どうしたの?アナタって確かテスト1位の……」
「うえ!?あ、えーと……」
あああああああ!何で口ごもっちゃうの私!?このままじゃ折角の話しかけるチャンスが……!
「あ、ひょっとしてアナタもナミさんが好きなの?そうよねェ~、他の野蛮人何かと比べてナミさんは……」
「……!」
オレンジ髪の少女にそう言われ私はついカッとなってしまい……。
「あ!」
「あ?」
「ア、アル……ガさん……も、いいと……思う」
『…………』
周囲が急に静かになる。空気が変わり途端に不安になる私。え?ひょっとして私何か変なこと言っちゃっ───
「なんだァ~~!やっぱお前も好きなんだ~!」
「へ……?」
一気に場が明るくなりコロコロ変わる雰囲気に着いていけなくなる私は呆けた声が漏れる。
「いつも勉強ばっかりでこういった話し全く興味ないのかと思ったわ~。なんか安心した」
「ナミさんじゃなかったけど他と良さを語り合うのもまた醍醐味ね。そうだ!実は私いつかまたファンレターを送るために文章考えてるのよ。よかったら一緒に書きましょ!」
「ええ!?私が!?」
想像した途端、急に顔が熱くなる。私がお兄さんに……ファンレター?
「2人えならきっと以前よりもいいファンレターを書けそうな気がするわ!一緒に頑張りましょう!」
「え、ああ……はい」
勢いに負けてしまった……。
「とと、そういえば私アナタの名前知らないわ」
「お前……昨日の成績発表見てなかったのか?」
「つーかクラスメイトだろ……」
「1位だってことは知ってるわ!」
「いや、情報量少ねェな!?ナミ以外興味ゼロか!!」
「うっさいわねー。ねえ、それでアナタ名前は何て言うの?私は───」
オレンジ髪の少女がそう聞いてくると手を差しのべてきた。差しのべる手を見て昨日の言葉を思い出した私は目に涙を浮かばせ笑いながら───その手を掴んだ。
「ええ、私の名前は───」
この日、私は初めて友達ができた。この時の気持ちは一生忘れないだろう。そして、この気持ちを教えてくれたきっかけをくれたお兄さん。いつか貴方に伝えたいです。
ありがとう。と言う気持ちをファンレターに乗せて……。
どうも皆さんもしロマです!
番外編をご覧んくださりありがとうございます!
ホントは日曜日に本編の最新話を投稿しようとしたのですが……ONE PIECE FAN LETTERがあまりにもよすぎて見きり発車でこちらを書いてしまいました。
次回からは本編に戻りますのでご安心ください。
そして最後に……次回からのアニワンリメイク楽しみにしています!!!!
ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )ノシ