あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
以前からアルガの目ってワンピースっぽくないなと考えており、この度少しキャラデザを編集しました!前と雰囲気が変わりましたのでお好みの方で連想していただいて構いません。
【挿絵表示】
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
ドレスローザでは現在、ルフィとローがドフラミンゴと対峙していた。その一方、人知れずドレスローザ地下の交易港で俺はロブ・ルッチと戦闘を繰り拡げていた。
「ウラァア!!”
「グッ!!”
俺が金棒を振り下ろすと人獣型に変わったルッチが腕でガードを取りつつ反撃する。奴の銃弾の速度で繰り出す指をギリギリで躱し後ろへ飛んだ。
「あっぶね!」
「どうした?こんなもんじゃないだろ!!」
同時に飛び出し両者の拳が激しくぶつかる。その光景を錦えもん達は遠くで眺めていた。
「なんと言う攻防……!?あの豹の妖男やりおる──うわっと!?」
「あ、やべ」
殴った後すぐルッチの”嵐脚,,が飛んできたがそれを弾く。だが、弾いた先には俺達の闘いに魅入っていた錦えもん達がおり二人は慌てて避けていた。
んー、このままじゃ二人が危ないな。何より……。
「錦えもんさん!悪いが地上に戻っててくれないか!」
「なぬっ!?しかしあの者かなりの強者でござるぞ!それに、先ほど深いキズを!!」
「あ、それはもう治った」
「……ハア?」
錦えもんの抜けた声が聞こえる。論より証拠と思い服をめくり刺された肩の部分を見せる。そこには既に塞がったキズ跡があった。
「指先程度の穴なら力込めりゃ筋肉で塞げる」
「力業が過ぎるでござる!?」
俺の説明に異を唱えてくる錦えもん。そんなこと言ってもこれぐらいならゾロのだってできるぞ多分。力こそパワーだ!
「しかし、貴殿を置いて行くなど……」
それでも錦えもんは納得できず参戦しようと刀を抜く。ルッチも同じ意見なようで反論した。
「アルガ、悪いがおれの任務は貴様らの抹殺。お前と楽しんだ後でアイツらを探すのは面倒だ。せっかくの余韻が冷めちまう」
「もう勝つ気でいるのは結構だが、ホントにいいのか?これから更に楽しいことが起きるのにそれを棒に振っちまって~」
「何……?」
ルッチはピクッと反応する。
いいぞいいぞ食いつきやがったな。お前がどうしようもないバトルジャンキーなのはもうわかってんだ。もっと焚き付けてやる。
「俺達が全力で闘えば間違いなく周囲一帯はただじゃ済まなくなる。だが、アイツらがいると俺は心置きなく闘えないんだよ。それじゃお前も不完全燃焼だろ」
「……まあな」
「俺はこの2年で更に強くなった。だが、強くなったのは何も俺だけじゃない……わかってんだよ。お前───"覚醒"してるだろ」
「ッ!!?……フフ!フハハ!!やはり貴様にはお見通しだったか!」
「ああ、だからお互いに全力で闘うためにもアイツらを遠ざけたいんだが……」
覚醒について言うとルッチは一瞬目を見開いたが次第に口角が上がり笑い出す。
「ああ!ああそうだ!その目だ!!あの頃と変わらない、どんな状況でもその先を見透かすようなその目ェ……!!昂ってくる!!!」
「……な、納得してもらった様でよかった。それじゃ、錦えもんさん。そういうワケだから先行ってて」
「ウ、ウム……。拙者とて邪魔はしたくない……ではアルガ殿!!ご武運を!!!」
ルッチのテンションについていけず若干引いてしまう。錦えもんも了承するとカン十郎を連れてこの場を離れて行った。
よし、これでこの場には俺とルッチの二人だけ。これなら遠慮無くコイツと闘える!
俺は目を瞑り意識を集中させ───カッと見開いた。
「”
「オ……オォッ!!この肌をヒリつかせる闘気!!いいぞ面白い!そうでなければ───ブハッ!!?」
全身に淡い光を纏うとルッチは嬉しそうに何か言っていたが……その時には既に俺の金棒が相手の腹に一撃ぶちかましていた。
避けるなんて愚か反応することすらできず、ルッチはなす術もなく後ろへブッ飛ばされた。
「いつまでベラベラ喋ってんだ?悪いが長引かせるつもりはない。すぐ終わらせてやる」
壁に衝突し土煙が立ち込む中、ユラリ……と立ち上がりルッチの姿が変貌していく。さっきのがっしりした人獣型からみるみるスマートになり黒い羽衣を身に纏う。
このゾクッと来る殺気……とうとう覚醒のお披露目か!
「今のはいい一撃だった。2年前なら倒されていただろう。……だが!!」
土煙を掻き消しその姿を現した。
「アルガァ、強くなったのは!!何もお前だけじゃない……!!!」
その目には自信と狂喜に満ち溢れていた。
明らかに雰囲気が変わったことに警戒心を上げつつ金棒を握り直す。
「おーおー、盛大にブッ飛ばされておいて余裕だねェ~。まあ、どの道長くは持たねェんだ。とっととブッ倒させてもらう!!”
先ほど同様に一瞬でルッチと距離を縮め再び攻撃を仕掛ける。その時念を入れ"見聞色"で未来を見る。ウシ、俺の攻撃に合わせて右拳のカウンターだな!
それなら、奴の右拳に合わせt───
「ブッ!!?」
未来の動きを先読みして攻撃したハズ……だったにも拘らず───ルッチの
何、で……俺がブッ飛ばされてん……だ……?
「これでイーブンだ」
「ガ……ハッ……!?」
今度は俺がブッ飛ばされ後方の廃材に衝突した。あまりの激痛に顔を押さえ何が起きたのか冷静に分析を始める。
今、何が起きた?なぜ俺が倒されている?確かに俺は"見聞色"でアイツの攻撃を読んでいたハズ。なのに実際に繰り出したのは違う攻撃だった。どういう事だ……?
いや、待て……この感じ前にも……!!
「不思議かァ?覇気でおれの動きを読めていたのにも関わらず違う攻撃を食らってしまって。だが、理屈は至ってシンプルだ。おれが速かった……ただそれだけ」
「ま、まさか……!?」
これは、パンクハザードでゾロと闘った時と同じ……!!?
コイツ……"未来視"で先読みした俺の動きを見てから瞬間的に未来でしていた攻撃を中断し切り替えてやがる!!
おいおい冗談じゃねェぞ!?ゾロでさえ俺の動きに慣れるのにそこそこ時間がかかったってのに、コイツ……初見で見きりやがった!
「……"覚醒"は伊達じゃないってワケね」
「さァ、楽しもうじゃないか!!!」
ルッチは四足歩行で俺の周囲を縦横無尽に駆け回る。その超速に目が追えず"見聞色"で相手の動きを捉える。
「そこだァ!!」
来る場所に狙いを定め金棒を振る。しかし……。
「残念!後ろだァ!!」
「グハッ!!?」
俺の動きを上回りルッチが背後を取る。咄嗟に振り向くと頬に強烈な殴打を食らう。そして、すかさず距離を詰め───
「”
「──ッ!!!」
ルッチの鋭利な五指が俺の腹部を捉えた。
「指先程度の穴がダメなら腕丸ごと貫通させりゃ──ッ!!?」
「へへッ」
ルッチの攻撃はガードを取らせない完璧なタイミングだった。だが、俺の腹は腕どころか指先すら突き刺さらなかった。
何故なら……事前に刺さる箇所に"武装色"を纏っていたから。
ルッチは俺の腹の黒く覆われた"武装色"を見て一度距離を取った。そして、俺を見て不敵に笑う。
「"見聞色"もそうだが、貴様の"武装色"は一段と硬いな。よく鍛えられている。フン、やはり一筋縄ではいかんか」
「当たり前だ。特に"武装色"は極めるつもりで鍛えたからな。だけど───ダメだ」
俺はルッチと向かい合い”降霊・呼憑ぎ,,と解いた。突然の行動にルッチは驚く。
「何ッ!?なぜ強化をやめる……!」
「俺はこんなんじゃ、ダメだ……」
「……?」
何を言いたいのかわからずルッチは首を傾げる。だが、構わず話を続ける。
「俺がこれから先闘う敵は、こんなもんじゃない。なのに、こんなところで躓いてるようじゃ……アイツには勝てない」
カイドウは文字通り伝説の竜の力を持つ鬼人のようなバケモノ。そんなのと相手するってのにただの豹一匹に敗けてらんねェのよ。
「もっと、強い力が要る」
「ならば、どうする……?」
「さっきの俺の覇気、どうだった?」
「何だと?」
俺の質問にルッチは答える。
「……あの練度の覇気は中々いない。覇気だけならおれを凌ぐだろう」
「賞賛どうも。だがな、さっきまでの"覇気"……実はまだ半分ぐらいなんだ」
「──なッ!!?」
驚愕的な言葉にルッチは動揺した。とても信じられないと言った様子で俺を見つめる。しかし、俺の目がウソを言っていないとわかり無意識に一歩後退った。
そう、2年前の俺の覇気は”降霊・呼憑ぎ,,を使えば100%引き出すことができたが……今は違う。まあ、それでも今の方が断然に強いのは間違いないが……。
恥ずかしいが、それに気がついたのは俺じゃなくレイリーさんだった。
『アルガ君。この1年間半よく頑張った。今日で私はシャボンディに戻るが、ひとつ君に朗報がある』
『朗報ですか?それはいったい……』
『どうやら君は他の者より"覇気の才能"があるらしい』
『えっ……ホントですか!?』
『ああ、最初は君が覇気を先に鍛えたからあんな歪な感じなのだと思ったが……違った。現に、これまでの修行を経て君の覇気は──更に飛躍している』
『確かに……言われてみれば最近”降霊・呼憑ぎ,,を使ってもまだ何か有り余ってる感覚が……』
『ウム、だから残りの期間はその覇気を完璧に使いこなせるようにするのが君の最後の課題だ。強い覇気は君にとって最大の武器になる。しかし、それができなければ宝の持ち腐れだ』
『わかりました!頑張ります!!』
『ウム、期待しているよ』
『はい!!』
「お前、俺がコロシアムの予選で闘った姿を見たか?」
「いいや、あの時は突然消えた雲の原因を調べるためにコロシアムへ向かっただけだ。まあ、貴様を見つけてすぐお前の仕業だとわかったがな」
「なるほど」
あー、あの時感じた視線はやっぱりお前だったか。それに、今の話を聞く限り……コイツはまだ見ていないワケだな。
俺のあの姿を……。
「ホントは1日に2回もする技じゃないんだからな?だけど、いいぜ……特別に見せてやるよ。なにせこれは、お前の技がきっかけだからな」
「何?おれの……?」
「ああ!しっかり見ておけよ!!これが俺の───
俺は全身に力を込める。すると、体が肥大化していきみるみる大きくなる。それと平行し再び”降霊・呼憑ぎ,,を行う。
「ハアアアアアッ!!!」
「ッ!?奴の体に何が起こって……!!?」
その光景を見ているルッチはどこか見覚えのある行動を見続けある事に気がついた。
「まさか、それは……”
「正解……グッ!オォッ!!」
2年前より更に飛躍した覇気を100%引き出すにはどうすればいいか?そう、答えは”生命帰還,,による肉体の改造だ。
残りの期間でこれ習得すんのマジで大変だったんだからな。まあ、その話は置いておこう。
”生命帰還,, + ”降霊・呼憑ぎ,,による合わせ技によって俺の体はより大きく、より強靭な肉体へと変貌した。
そして、その肉体に"武装色"を纏わせることにより───これはひとつの技へと進化する!
"覇気"最大出力フルMAX!!これが俺の最強形態!!!その名も──
「”「
全身に強い光を身に纏い、溢れ出る過剰な覇気がバチバチッ!っと周囲に迸る。
(2年で2cm伸びた)182cmだった俺の身長は覚醒人獣型のルッチを超え5mとなり相手を見下ろす。変わり果てた俺の姿にルッチは呆然と立ち尽くす。
───10
だが、その顔もすぐに消えてしまい今まで以上にゾクゾクと武者震いしながら恍惚な笑みを浮かべた。
「いい……いい!いいぞアルガ!!!全身からほとばしるその強い覇気!!全身の震えが止まらない……!!やはり貴様は最高だァアア!!!」
「上機嫌になるのはいいが、気を引き締めろよ?じゃないと───」
「───ッ!!!?」
「1発でオチるぞ?」
豪拳一発。その一振の拳は大気を震わせ巨大な衝撃波となりルッチに襲いかかった。
俺の気迫に圧されてしまい一瞬ルッチは硬直してしまう。その一瞬が命取りとなり回避が遅れてしまった。
───ズドォォオォオオオオオン!!!!
「グォォオァァアアアアッ!!?」
衝撃波は止まらず地下の壁に衝突し大きな亀裂が入る。攻撃が止むとルッチは血反吐を吐きながらも立ち上がった。
───9
「ハァハァ……まさか……これ程とは……!ゲフッ!!だが……」
「チッ、覚醒"
「その姿……後何秒保てる?」
流石にバレたか。そりゃそうだ。こんな隠し球があるんだったらもっと早く使えばいい話だ。なのに、出し惜しむのなら答えは見えてくる。
確かにアイツの言う通り、これにはデメリットも多い。クソ短い制限時間付きだしまだ力の制御ができないから武器も扱えない。だがな、それを差し引いても余るぐらい……今の俺は強ェぞ?
───8
「時間いっぱいまで逃げる事もできるが……それじゃ面白くないよなァ!!!”
「わざわざ来てくれてありがとよ。正直こっちはもう限界なんだ!!次で終わらせてやる!!!」
俺は再び拳に力を込める。その隙にルッチは目にも止まらぬ速さで駆け抜け俺に迫る。そして、俺が拳を振り上げた時には既にルッチが構えていた。
───7
「六式奥義……最大輪!!」
両手を突き出すこの構え、それは2年前にも見たルッチの最強技であった。
「”
「───ゴプッ!!?」
ルッチの一点集中の衝撃波が内部を貫通した。その衝撃波はどこまでも続き数100m先の地下の壁すら突き抜けていった。
───6
内部に振動が伝わりたまらず血反吐を吐いてしまう。
俺の様子を見て手応えを感じたルッチは嬉しそうな顔になる。
「アァ……貴様との闘いは忘れない。最高のものだった。最期だ、今トドメを───ッ!!?」
トドメを刺そうとしたルッチは驚愕する。自身の技を受けてもなお膝すら突かず仁王立ちのままルッチの腕を掴んだから。
勝敗は決したと確信していたルッチは未だに目を疑う。
───5
「勝手に、終わらせてんじゃねェ……!!」
「グッ!?何だ……このパワーはっ!!?」
まだ光を宿すその瞳にルッチは圧されてしまう。咄嗟に離れようとするが俺の掴む握力になす術もなく動きを封じられる。
誰が逃がすかよ。ここを逃せば逆に俺が敗けちまうんだから。
そう、この形態の俺を見て瞬時に弱点を見抜いたルッチにも勝ち筋はあった。この姿はパワー重視なため高速で動き回るルッチにはむしろ相性が悪い。
だけど、俺はお前をよく知ってんだよ。
───4
「強い奴と闘いたい、血を見たい。お前はそういう奴だ。未知の強者を前に決して引かない傲慢さが仇になったな」
「ググッ……!!」
確かに、お前の攻撃は強かった。だがな、こちとら竜と鬼のハイブリットみたいなバケモノと闘うつもりでこの力を得たんだ。
これぐらいの攻撃じゃ……倒れねェよ。
───3
「それじゃ、今度はこっちの番な。歯ァ食いしばれ!!!」
「グッ!?”
さっきの攻撃規模を思い出したルッチは、もはや逃げるのは不可能と考え六式で身を固めた上で"武装色"を全身に纏う。
果たして、それでどれだけ耐えるかな?
───2
振り上げた拳は更に強く輝きだし、足元の地面がめり込む程強く踏み込んだ。そして、バチッバチバチィ!っと迸る覇気の拳を振り抜いた。
「”
───ズガァァァアアァァアン!!!!
俺の巨大な一撃がルッチを包み込む。そして、地下の壁を突き抜けオーズサイズの巨大な穴が空いた。いったいどこまで穴ができたのか、それは奥が見えない程続いていた。
───1
そして、最後に確認で"見聞色"で相手の気配を探るが……穴の奥から聞こえたルッチの僅かな声が……消えた。
勝負ありだ。
「俺の……勝ちだァアアアアア!!!」
───0
「ウ"ッ!オ"ォオアァァァ……」
勝利の雄叫びと共に制限時間が切れた俺は元の姿に戻る。それと同時にとてつもない脱力感に襲われ指一本すらまともに動かせずその場に倒れ込む。
「へぶっ!」
痛い……顔打った……。
にしても10秒とかマジでギリギリだったな。アレは最大1分までなら使えたけど、サイ戦で一回、”降霊・呼憑ぎ,,を2回も使ってしまった後だしなァ。
流石にもう動けん、少し回復するまで寝よう。そう、思っていた時───
「んお?地震……?」
───ゴゴゴゴ!!ザッパァァアアアン!!!
少しの間、地鳴らしが起きた後……俺が開けた地下の壁の大きな穴から津波のような海流が押し寄せてきた。
「………………あ」
やっちまったァァアアア!!!?
原因はおそらく……と言うか間違いなく俺が最後に放った技のせい。あまりに強すぎて地下の壁、と言うか地盤を海まで貫通させてしまったようだ。
その結果、ご覧の通り大規模な流れるプールの出来上がり♪……じゃない!!!早くここから逃げないと!!?
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!逃げたいのに体が全く動かねェエ!!!ヤバい!死ぬゥウウ!!!」
ジタバタする力もなくただ迫り来る波を眺めることしかできない俺。そして、波が目前に迫って来てもうダメだと思った時……ひとりの救世主が現れた。
「ちょっとこんな所で何してるのアルガ君!?波が来てるよ掴まって!」
「ゴォ~~ア"ァ~~ラ"ァ~~ッ!!!」
訂正、女神でした。
颯爽と現れたコアラが俺を担ぎすぐにこの場を離れる。魚人空手師範代なだけあって俺を軽々と持ち上げお姫様抱っこする彼女の腕の中は安心感を覚える。
「間に合ってよかった。もう安心してね!」
「は、はい……///」トゥンク…
やだカッコイイ……。何その王子様ムーヴ、乙女になりそう。
高い位置まで避難し一先ずは助かった。すでに地下の交易港は海流に沈み始めあのままコアラが来なかったらと思うとゾッとする。
「ところで、アルガ君は何であんな所に?」
「あー、CP0にしつこいストーカーがいてさっきまで闘ってました」
「CP0!?しかもストーカーって……相変わらず色んな人をタラシ込んでるなー」
「タラシって……人聞きの悪い事言わないで」
「だって事実だもん」
誠に遺憾である。
いくらコアラでもそれについては異を唱えるぞ。こちとら人生三度歩んで恋人0人の非モテぞ?……うん、泣きそう。
「グスッ……それで、コアラは何でここに?」
「何で泣いてるのよ……。私は他の革命軍のメンバーでここの密輸リストとそれに記載されている武器や兵器の回収をしていたの。元々それが任務でこの国へ来たからね」
「なるほど」
「この混乱に乗じて予定より早く回収できたのはいいけど、大きな地鳴りが起きたからここへ来たの。まさかアルガ君が倒れているなんて思わなかったよ」
「色々あってねー」
───ズガァァアアァアアン!!!!
「キャ!?」
「うおっ!?今度は何だ!?」
お互いに事情を話し合っていると地上で大きな衝撃音が響き渡る。すると、コアラの持つ伝電虫が鳴った。
「はい、こちらコアラ。ああ、ハック?どうし───ええっ!?それホント!!うん、解ったわすぐ合流する」
「どうした、ハックが何だって?」
ガチャリと通信を切ると気になって聞いてみた。コアラは目を輝かせて俺に教える。
「聞いて!今ね、ルフィ君とロー君がドフラミンゴを倒したって!!スゴいよ!!!」
「マジで!!?」
今の衝撃音はルフィ達の攻撃だったようだ。てか、トラ男さんリタイアせず一緒に闘いきったのか。それはスゴい。
「これから私はハックと合流するけど、その途中でアナタの仲間に引き渡すからまた失礼するよ」
「うん、お願い」
そういいコアラは再び俺を抱きかかえ移動を始めた。地上へ上がると鳥カゴは消えておりホントに決着がついたのだと改めて実感する。
こうして、ドレスローザの長い闘いは幕を閉じたのだった。
…………途中、ロビンと合流すると何故か不機嫌そうな顔で出迎え、コアラと別れた後しばらくの間俺を抱きかかえるのだった。
…………どこだ、ここは……?おれは、奴の攻撃を食らって……ッ!!
うっすらと意識が戻るとおれは勢いよく上体を起き上げる。ゆらゆらと波の揺れでここが船内だと気づくと周囲を見渡した。
「ようやく目覚めたか」
「ゲルニカ……」
すぐ近くには同じCP0のゲルニカがおれのベッドに座っていた。
「お前が溺れているのを見た時はヒヤッとしたぞ。余り心配をかけるんじゃない」
「溺れていた?おれが……?」
「何だ覚えていないのか?」
気を失っていた間に拭かれたのか濡れてはいなかったものの確かに体から塩の匂いがした。しかし、いったい何故……ッ!
「まさか、奴の攻撃か……?」
「奴……?」
「"鬼の戦漢"だ」
「なッ!?闘っていたのか!……なるほど、だからそれ程の重傷を負っていた訳か。お前を倒せる相手なんて限られている。奴ならば納得だ」
「フン、奴を解った気でいるんじゃない。奴の強さをよく知っているのはおれだ」
「……お前は奴が絡むとホントにメンドくさくなるな」
そういいゲルニカは呆れた様子でため息を吐く。ム、別に何も変わっちゃいないだろ。ただ、奴は特別なだけだ。
「それで、用件は何だ?まさか、おれの心配だけでここにいた訳ではあるまい」
「そうだな、では手短に話そう。"麦わら"と"死の外科医"がドフラミンゴを倒しドンキホーテファミリーが壊滅した」
「そうか」
「そうかって、お前な……。理解しているのか?ドフラミンゴがいなくなった事でこれから先この海は荒れるぞ。間違いなくな」
「だろうな」
奴らの強さならこれぐらいやってのけて当然だ。何も驚くことではない。
おれの態度に慣れたのかゲルニカは話を進める。
「それに加えもうじきレヴェリーも始まる。今回のレヴェリーは例年より遥かに忙しくなるだろうな。そんな中、人員をここで失う訳にはいかないんだ」
それでわざわざ助けたのか。奴からも塩の匂いがする。……素直に感謝ぐらいはしてやろう。
「これから我々も本格的に動き始める。心しておくんだな」
「ああ、了解した」
その言い残しゲルニカは部屋を出ていった。一人になったおれは目を閉じあの時の闘いを思い返す。
やはりアイツはこの2年で強くなっていた。それもおれの想像を遥かに凌駕する程に……。最後に受けたあの一撃……あれは効いた。
思わず意識が飛びそうに……いや、意識は完全に飛んでいたな。
「フハハ、やはりアイツはおれをどこまでも楽しませてくれる……!次こそは敗けないぞ!!アルガァァ!!!」
おれは次なる再戦に胸を躍らせ盛大に笑うのだった。
「革命軍の動きについて伝え忘れていたが……ああなったアイツはマジで面倒くさいんだよなァ……また後にするか」
ドンキホーテファミリーとの決戦を終えた夜、ドレスローザ東の町カルタの丘。そこには一軒の家があった。
その家の主キュロスは俺達"麦わらの一味"とトラ男さん、ベラミー、革命軍のサボさんとジニーさんがいた。
と言っても、キュロスはこれまでの疲労が祟って今はぐっすり睡眠中だが……。
「つ~訳で、ウチらの任務だったくまちー救出と密輸の武器兵器の回収は済ませたからそろそろ行くよ。明日にでもCP0がまた動き出すかも知れねーしな」
「そっか、せっかく会えたけど……まだジニーさんにはやる事があるもんね」
「ああ、早くくまちーを元に戻してやんねーとな。……って言いたいところ何だが」
今夜にでもこの国を出る予定のジニー達だったが、呆れた様子でサボさんの方に視線を向ける。そこには……。
「ルフィ、兄ちゃんとしてスゲー嬉しいんだが……そろそろ離れてくれないか?苦しい……」
「やだ」
原作と違い余力を残していたルフィはまだ眠っておらず、兄のサボさんとの久々の再会に嬉しさの余りずっとベッタリ抱き締めていた。
まあ、2年前の頂上戦争の時に生きてるって事は知ったけどあの後バタバタしてそれ以降会えなかったもんな。
ルフィがこうなるのも仕方ないか。
「そうかいやか……ならしょうがねェな~♪」
「言動と表情が合ってねーぞブラコン」
ジニーさんがジト目でツッコミを入れる。確かにルフィで顔がほとんど隠れてるけど、その上からでもわかるぐらいサボさんの顔がニヤけてる。
お互いに嬉しそうだしもうこのままにしておきたいのは山々何だが……。
チラッとキュロスを見る。既に深い眠りについておりこれならあの話を切り出せそうだ。
「あのさルフィ、実は折り入って話があるんだけど……」
「ん?何だ?」
「モネさんの件で……」
「ああ、鳥女か」
サボさんに抱きつきながら俺の方を見るルフィ。だが、その顔は至って真剣で俺も説明を始める。
モネさんとシュガーが姉妹という事や現在身を隠している事など。
「少しの間だけ二人も一緒に連れてっていいかな?」
「アイツらをか?」
「うん、わがままになっちゃうんだけど……」
「んー、そうだな~」
「ダメだ」
「……ッ」
俺とルフィの間に割って入るように否定したのはゾロだった。酒ビンを飲み干しダンッと叩きつけるように置くと鋭い眼光で睨みつける。
「アイツは元々敵で捕虜として乗せていただけだ。しかも妹に至ってはやらかしがデカ過ぎる。敵組織が壊滅した今、もうこれ以上アイツを乗せる理由がねェ」
「そう、だけど……」
ゾロのごもっとも過ぎる正論に何も反論できなかった。力なく俯いてしまった時、ロビンが思わぬ事を口にした。
「私は構わないわ」
「何だと……?」
「ロビン?」
まさかの言葉に俺とゾロは困惑する。どういう風の吹き回しなのかロビンが俺の意見に賛同してくれたのだ。
昨日まではむしろモネさんを警戒していたハズのロビンが何で……。
「おいロビン、お前わかってて言ってんのか?」
「ええ、勿論。私も元はアナタ達の敵組織にいたけど今はこうして楽しくやっているわよ」
「ウッ、いやそうではあるがアイツを乗せる理由がねェだろ。むしろ一味を危険に晒す可能性もある」
「その時は私も容赦はしないわ。でも、チャンスをあげてもいいと思うの。彼女もあの時の私と同じで行く宛も帰る場所もないのだから」
「それにね……」と呟くとロビンは少し嬉しそうな顔でゾロを見つめた。
「私……彼女とは"読書友達"なの」
「友達って……お前なァ」
「友達かァ……」
フフっと笑うロビンに呆れたため息を吐くゾロ。ルフィは何かを考えた後俺に質問をしてきた。
「アルガ、お前友達を3人も泣かせたミンゴを3発殴るって言ってたけどひょっとしてアイツも入ってたのか?」
「え、う、うん……そうだよ」
「そっかァー」
俺が答えるとルフィは満足したのかニカッと笑った。
「ししし!んじゃあいいぞ」
「ッ!?おいルフィ本気か!!」
「ああ!だってアルガの"友達"なんだろ?なら大丈夫じゃねェか」
「ッ!!……ルフィ!」
ルフィの言葉に俺はうるっと涙を出そうになうのを堪える。ゾロは少し葛藤すると最後は諦めたようにため息をした。
「ハァー、ったくお前って奴は……
「ああ、それでいい!ありがとう!!」
「礼はいい。ただ、妹に関しては条件がある」
「わかった。それで条件は?」
「ああそれは───」
ゾロと話を付けた後、用を済ませたサボさん達は最後にルフィのビブルカードを渡して去っていった。俺も用があると伝えドレスローザの海岸へ足を運んでいた。
"見聞色"でモネさんとシュガーが隠れているのを見つけたからだ。
「──と、言うワケで2人を船に乗せる条件としてシュガーには海楼石の手錠を着けてもらいます。ゴメンね」
「謝らないで。むしろそこまでしてくれて感謝しかないわ」
ゾロの提示した条件を伝えるとモネさんは快く承諾してくれた。シュガーも自身の置かれている立場を理解しており二つ返事でオッケーをもらう。ただ……。
「あの長鼻も……いるの?」
「そりゃ仲間だしいるけど」
「……いよ」
「え……?何だって?」
「お姉ちゃん恐いよォォォオオ!!!」
ウソップにトラウマを植え付けられており一緒に船に乗ると想像しただけで全身震わせ号泣しながらモネさんに抱きついた。
ああ、うん……解ってはいたけどやっぱ恐いか。
モネさんは恐怖で踞るシュガーの頭を撫でならが癒す。シュガーが羨ましい……。
「まあ、何にしても二人が了承してくれてよかった。戻って仲間に伝えるよ。それじゃまた後日に会おう」
「あ、あの!」
「モネさん?どうしたの?」
用が済んだのでまた皆のところへ戻ろうとするとモネさんに引き留められてしまう。何だろと振り返るとモネさんは少し寂しそうな瞳で俺を見てくる。
「アナタ、あの時こう言ってたわよね?「自分のしたい事をこれから見つけていこう」って」
「言ったね」
「実は、あるの……したい事」
「えっ!」
生きる理由がないと言っていた彼女の見つけた"したい事"。それが何なのか気になってしまった。
「教えてくれるの?」
「ええ、私は───」
モネさんは少し恥ずかしそうな顔で答えた。それを聞いた俺はつい笑ってしまう。
「アッハッハッ、いいじゃんそれ。モネさんにピッタリだと思う。とてもいい"夢"だ」
「ッ!!……アナタもなのね」
「へ?アナタもとは……?」
「ロビンもアナタと全く一緒の返しだったわ。笑顔で「とてもいい"夢"」って」
「そっか、ロビンも同じことを」
だからあの時俺の意見に賛成してたのか。ロビンには戻ったら改めてお礼を言わないとな。
モネさんの瞳はあの時のような空虚なものではなく、今の夜空の星のように輝いていた。
「でも、お陰で見えてきたわ。前を向いて進む道が」
「ならよかった」
「ええ、アルガ───ありがとう」
不覚にも俺は少しの間彼女に目が外せなくなった。それ程までに今見せた彼女の顔は、素敵でとてもキレイな笑顔をしていた。
どうも皆さんもしロマです!
40話をご覧くださりありがとうございます!
今回判明したアルガの"覇気の才能"について補足。
"窮地にこそ力は開花する"という言葉通り、アルガは三度の人生の殆どが常に危険と隣り合わせでした。そんな生活を続けている内に彼に眠る覇気の潜在能力が上がったのかもしれません。
【投稿しなかった話のワンシーン2年後編】より『40話後 モネとデート』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
《ルスカイナ島でのルフィとアルガの会話》
「それでよー今日はめちゃくちゃはえー豹に追いかけられてよー」
「アッハッハッ!災難だったね~。ところで前から不思議に思ってたんだけど、ルフィって幾ら食ってもすぐ痩せるよな。クッソ太んのは能力で理解できるけど」
「んお?そうか?まあ、いっぱい食わねェと力出ねェしな!アルガもこれからまた体を鍛え直すんだろ?だったらもっと肉食え肉!!」
「にしたって体の構造おかしいだろ……ん?体の構造……豹……あ」
「もぐもぐ……
「食い終わってから言えはしたない。いや、ちょっとね。残りの半年何をするのか決めただけ」
「ゴクン、ホントか!」
「ああ、上手く行けばルフィの"ギア4"みたいな厳つい感じになるかも!……アイツを連想して思い付いたのは癪だがな」