あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
今週のジャンプを読んで……。
もしロマ「ウ"オ"ォォオ"オ"ォン!!オンオン!ロビィィィイ"イ"ン"!!!」
皆さんもこうなったんじゃないでしょうか?
それでは続きをどうぞォ!( ;∀;)つ
過去を打ち明けワノ国の侍達と本当の意味で同士となれた翌日、俺は今───犬をモフッていた。
「ガルチュ~~♪」
「わはは!ゆガラはホントに挨拶が好きなのだなァ。ガルチュ~~!」
厳密に言えば、犬のミンク族といっぱいガルチューしていた。
いや~!改めて思えばここって楽園だよなァ~。犬好きにはたまりませんわ。まさにワンダフルパラダイス!!
「コイツ昨日まで泣いてたよな?」
「何なら同盟結んだ直後にイヌアラシをモフッってたからねアイツ……。まあ、いいんじゃない?本人が嬉しそうなら」
「…………」
「ロビンこえーっ!?」
「…………」
「お姉ちゃん?」
向こうでウソップとナミが呆れた様子で見てくる。なんだよ、ナミだって羊のミンク族の腹をベッドにして寝てるじゃないか。
その隣ではロビンが真顔でずっとこっちを見てチョッパーが怯えてる。瞬きすらしないその瞳に背筋が一瞬凍った。モネさんも無言だが俺と自身の腕を交互に見ていた。
「ベポとしかガルチューしたことなかったからな~。このまま犬のミンク族ガルチュー制覇しちまうか!」
「どうでもいいチャレンジなんかするヒマはねェぞ鬼屋!さっさとアイツら集めて計画を……」
ガルチューチャレンジを阻止されトラ男さんが本格的に打倒カイドウの計画を練ろうとしたその時、アイツらはやって来た。
「うお~~んおんおん!!みんな無事だったのかーーっ!!!」
「ん?この声って……ゲッ!」
避難所の広場が騒がしい。何事だと仲間達が広場を覗くとナミとブルックとチョッパーがゲッと青ざめる。
そこにはミンク族の国民を見て号泣するペコムズとそれを遠巻きに見るベッジの姿だった。
ペコムズ。奴は四皇ビッグ・マム海賊団に所属する海賊。ドレスローザからナミ達を追ってここまで来たようだ。
「見てあれ!!ビッグ・マム海賊団の奴らよ!?」
「そうか、あいつもミンク族だったか!」
ペコムズを見て改めて奴もミンク族だと気づくサンジだったが今さら分かったところで後の祭り。逃げ出せる状況ではなかった。
そんな中、彼らを見て一番絶叫するのはシーザーだった。
「ギャーーッ!!?狙いはおれだ!!おい頼むぞ!おれを引き渡さすなよ!?」
「お前はドフラミンゴを倒す切り札だったんだ。ルフィ達があいつを倒した今お前は必要ない」
「そんな事言うなよダチだろ!?」
それに対するアンサーは……。
「いつダチになったんだよ」(否定)
「何その寝言。寝言は寝て言いなよ」(否定)
「死ねばいいのに」(論外)
「ヨホホホ!ナミさん私じゃないんですからっ。あ、さっさとコレ引き渡しません?」(否定)
「もうSMILEの副作用の構造は分かったからいなくていいぞー。お前クズだし」(否定)
「フフ、あのライオンちゃんサングラスを外すと可愛いのね。つぶらな瞳だわ」(興味なし)
「アウ、それともうひとりいやがるな。確かルフィと同じ世代の……」(興味なし)
「四皇こわい四皇こわい……ウッ、いかん四皇の海賊に会ってはいけない病気が……」(興味なし)
「グガー……zzZ」(興味なし)
「肉食いてー」(興味なし)
「~~っ!……ヒンッ!……グスッ」
クズが崩れ落ちとるw
半数が否定。もう半数はそれ以前の話だった。俺達の対応にシーザーは涙目になる。
「グォォ~……!何て冷徹な連中だ。人の心を持たねェ悪魔共めェ……!!」
「お前が言うなよ……。つーか、お前ビッグ・マムに何をした?」
特大ブーメランを突き立てサンジはシーザーに問いただす。これだけ四皇に執拗に狙われ続けるなんて余程の事だ。
「とある研究依頼を受けたんだが上手く行かずウソついて経費をさんざブン取っちまった!ドフラミンゴの後ろ盾があったんで調子に乗ってたんだよ!!」
「自業自得だろ」
「罪が積み重なって詰んでやがるww」
「ウッセーぞ鬼の戦漢!!地味に韻を踏んで煽ってんじゃねェ!!!」
まあ、シーザーを引き渡すにしろ俺達も既に魚人島でビッグ・マムにケンカ売っちまってるからヘタ近づいてもなー。
……いや、待てよ?ひょっとしてこれはチャンスなのでは?
原作では拒否権なしで強制的にサンジを連れていかれたが、幸いなことに今回は俺達が先に合流したお陰でこの場に立ち会える。
この状況を利用すれば……。
「よし、一度あいつらと話し合おう。どの道ゾウの上じゃ逃げ場はないんだ。大丈夫、もしもの時があってもこの戦力差なら負けないよ」
「それもそうか。ウシ、野郎共はロビンちゃんとナミさんの身を守れ。おれはシーザーを連れて交渉してくる」
「ええ~~っ!!?」
「待ってサンジ。俺も行く」
「ししし、面白そうだな!おれも行く~っ」
「おれは嫌だァアアアッ!!!」
こうして、俺とルフィとサンジはシーザーを連れてペコムズ達の前に現れた後、森の中へ場所を移した。人目が付きにくい所で話し合いが始まる。
「何の用だビッグ・マム海賊団。あまり騒ぎにしてくれるなよ。この国の奴らは今……身も心も傷だらけなんだ」
相手は四皇、舐められないようにサンジが強気な姿勢で話を切り出すがペコムズはそんなサンジに打って代わり好意的な姿勢でガルチューした。
「ありがとうとしか言えねェよーー!!ガオ!!」
「んん?」
突然抱きつかれ思っていた反応と違いサンジは困惑する。お構いなく顔を擦り付けた後ペコムズは頭を下げた。
「まさか故郷が……こんな事になっていようとは……!!おめェら大恩人だ!何と礼を言っていいか!」
「お、おう……」
「あっひゃっひゃっ!おもしれーライオン!」
「ママからの指令はシーザー捕獲の他に新たな案件が増えた。それはお前ら一味の崩壊にもつながり兼ねない」
「……ハッ!?なんだと!」
「だからもういい!任務は失敗!シーザーだけ寄越せ。"麦わらの一味"は取り逃がしたとおれからうまく……ママに言っとk───」
「オイ、ペコムズ!!」
上手く話が進みそうになった所でベッジがペコムズの話に割って入る。
「お前正気か!?任務に私情を挟むな!!!」
「黙ってろ新入り!!処分はおれが受ける!!!家族やダチの命を救われた。もう何も出来やしねェ……!!」
「…………!!フヌケが」
そう呟いたベッジが背を向けるペコムズに手をかざした所で……俺がその手を掴んだ。
「何のマネだ?」
「はいスト~ップ。二人とも立場があるのはわかるが無駄な血は流したくないでしょ」
「噂と違ってずいぶん温厚的なんだな。てめェの名が泣くぜ。"鬼の戦漢"……この手をどけな。ハチの巣になりたくなきゃな?」
「俺の"武装色"を貫ける銃があるんなら好きにしな。だが、撃った瞬間この腕をへし折るぞ」
「お、何だよやっぱ狂犬だな。その眼光、マジで言ってやがる」
お互いにハッタリではないのが伝わり硬直状態が続く。どちらかが先に目を離せばすぐさまやられる。そこにペコムズが仲裁に入る。
「やめろ新人!!おれの恩人だぞ!!!ガオ!!」
「じゃあ、こうしよう」
俺がペコムズとシーザーを指差し提案する。
「とりあえず、シーザー引き渡しは満場一致だからペコムズに持っていってもらう」
「ハアッ!!?ちょっと待ておれは反対──」
「その間に、俺とサンジでお前らのもうひとつの案件について聞こう。サンジもそれでいいな?」
「ああ、おれ達一味が崩壊するって案件が気になるしな」
「と言うワケだ。構わないだろ?」
「……そうだな」
「勝手に決めんじゃねェ!!!あっ!オイやめろ離せ~~っ!!!」
ベッジにも納得してもらいペコムズがシーザーを連れていった後、改めて話し合いが始める。だが、ベッジは先程よりも訝しむ目で見てきた。
「てめェ、何を企んでやがる?」
「何の事かな?」
「すっ惚けんな。おれァお前みたいな奴を腐るほど見てきた。何かを企んでる……そんな目だ」
流石ギャングの世界から成り上がってきた男。洞察眼は本物だな。
「まあ、俺の事はひとまず置いといて……俺達一味が崩壊に繋がる案件ってのを教えてもらおうか」
「そうだな。ゆっくり話してェならおれの「城」に案内しよう」
「その手には乗らねェよ。お前の能力は知ってる」
「チッ、見た目に反して情報通かよ。油断ならねェ野郎だぜ」
どっちがだよ。お前こそ嵌める気満々だったクセに……。
思惑を見透かされ悪態を吐いた後ベッジは案件について説明を始めた。
「一週間前、状況が変わってな……招待状を預かってる。ママの開く「ティーパーティー」のな。今回のメインは結婚式だ。新郎は……」
結婚式と聞きルフィとサンジは首を傾げる。何故そこで俺達に招待状が届くのか?そう考えているが次に出てくる名を聞きサンジの顔色が変わった。
「───ヴィンスモーク家の三男サンジ。新婦はシャーロット家の三十五女プリンだ!」
「!!?」
名前を聞いた瞬間、サンジはポロッと咥えていたタバコを落としてしまう。ベッジはそんなサンジに構わず招待状を渡そうとする。
「受け取れ」
「何で、今更……!」
「てめェの家庭の事情など知るか」
「エエェエ~~ッ!!?サンジ結婚すんのか~~っ!?」
ルフィが驚き叫ぶがサンジはツッコミ余裕もなく黙りこくる。そして、小さく口を開いた。
「…………誰がこんな勝手な決定を?」
「お前の親族に決まってんだろう。ヴィンスモークのせがれとは……。ずいぶん育ちが悪いようだな……へへへ」
二人で話が進む中、ルフィだけ話しに着いてこれずにいた。
「あり?お前の父ちゃんってバラティエの長帽子のオッサンじゃなかったか?つーか、その……シャーベットプリンって奴は誰なんだ?」
「シャーロットな。美味しそうなデザート名にするんじゃない。シャーロットはビッグ・マムの姓だ。つまり、サンジは四皇と結婚を迫られてるんだ。それと、結婚した海賊は全員もれなくビッグ・マムの傘下に入ってる」
「何ィ~~ッ!!?」
俺の説明でようやく理解したルフィだったが今度はその内容に驚く。だが、サンジが否定する。
「話を急ぐな……。こんな「茶会」におれが行く義理はねェ!!バカバカしい……何が結婚。見ず知らずの女と!?"麦わらの一味"がてめェらの傘下につくのも願い下げだ!ウチの船長は誰かの下につく様な男じゃねェ」
そう言いサンジはベッジに睨み付けた。
「ルフィは"海賊王"になる男だ!!!」
サンジの言葉にルフィは口元が緩む。だが、ベッジは俺達に現実を叩きつける。
「何か勘違いをしてるようだから教えといてやる。おれはお前に"招待状"を見せただけ。そこにお前らの意思は関係ねェ……拒否権なんざありゃしねェんだよ」
「なんだとォ~!誰がお前らの所になんか付くかバーカ!!ブッ飛ばしてやる!!!」
「待てルフィ。ここでコイツを倒しても無駄だ。むしろ、
「ほう、詳しいな。「茶会」について知ってたか」
最悪の結果と言う言葉に反応しベッジは感心する。ルフィとサンジはどういう事なのかわからない様子だったので説明した。
"ビッグ・マム"の「茶会」を断る。それはつまり身近の誰かが殺されその首をプレゼントとして送られる事となる。
そう、サンジが断れば……。
「お前が断れば……確実に誰かの首が飛ぶ。お前ら一味の誰か、カマバッカ王国の誰か───レストランの誰かがなァ」
「───ッ!!!お前……どうやってそれをっ!?」
「……これが、"力"って奴さ。お前らが今、誰を相手にしてるかわかっているか?「
「四皇」、その名の大きさを改めて理解するルフィとサンジ。
「だが、一つだけ安心しな。これはヴィンスモーク家との"政略結婚"だ。つまり、コイツが結婚してもお前らが傘下に入る事はない」
「そーなのか?ならよかっt──」
「ただし、結婚が成立した瞬間……"黒足"はお前らの仲間じゃなくなるがな」
「……っ!?ハアァ~~~~ッ!!?」
一瞬ホッとしたがベッジが後付けでそう言うとルフィは声を荒げる。対してサンジは顔を俯かせた。
「サンジが仲間じゃなくなるだとォ!?だったら結婚に話は無しだ無しィ!!……ん?でもそれだとサンジの知り合いが殺されちまうし……んがァ~~ッ!どうすりゃいいんだァ!?」
ルフィの悩む姿を見てサンジは顔を上げる。その顔からは何か覚悟を決めた様な目をしていた。
「ルフィ…………悪ィ……。おれは───」
「待った」
「アルガ……?」
この頃のサンジはまだ自分を蔑ろにするクセがあるからなァ。放っておくとすぐ自己犠牲に走る。もっと自分の価値を知るべきだよ全く。
昨日、錦えもんさん達が許してくれた後それまで恐くて振り向けなかった俺は仲間達の方を見ると───嬉しそうに笑ってくれたよな。
あの時、俺がどれだけ嬉しかったか、どれだけ救われたか……だから今度は、俺が仲間を守る番だ。
「情報は"力"だ。その点でも流石は四皇と褒めてやるよ。だがな、事情報に関しては何もお前らだけの専売特許じゃねェぞ?」
「……何が言いたい?」
「サンジ、お前の事だからどうせ行くんだろ?なら丁度いいじゃないか。俺達も昨日"ビッグ・マム"のナワバリに用ができたとこだろ?」
「お前っ!?まさか……!」
「ああ、そういう事だ。なあ、ベッジ……俺達と"取引"をしよう」
ベッジの問いを無視し俺はサンジの方を向いた後、再びベッジの方に視線を戻し……本題を切り出した。
「"取引"だと?てめェ誰を相手にしているか分かってんのか?」
「勿論、お前がどういう人間なのか全部分かった上での話さ。まず此方の提示する条件は2つ。ビッグ・マムの所有する"ロード
「──ッ!……ハァ、よりによって傘下のおれの前で口にするたァ大した度胸だよ。……よほど死にてェみたいだな」
ベッジが手をかざすとルフィとサンジがすぐ身構える。だが、俺が「大丈夫だ」と言い二人を宥めるとベッジに弁明する。
「まあ、落ち着けよ。言っただろ"取引"だって。お前にもしっかりメリットを用意する」
「おれは"ビッグ・マム"の傘下だぞ。てめェらの条件を呑んじまったら反逆者として消されちまうだろうが」
「なら消される前に消せばいいだろ」
「……っ!!」
俺の言葉にベッジは言葉を詰まらせた。そして、俺はベッジにとって最大のメリットを提示した。
「今言った2つの条件を呑んでくれるのなら───"ビッグ・マム"の暗殺に手を貸してやるよ」
『───ッ!!?』
突然の「四皇」暗殺と言う言葉にこの場の皆が驚愕する。ベッジはすぐに冷静な態度を取り繕おうとするが明らかにさっきまでと雰囲気が違いバレバレである。
「お前……何言って……っ!」
「何って……お前、ビッグ・マムを殺る気だろ」
「ッ!!!」
「言ったハズだ。
「エエ~~ッ!?コイツ仲間じゃねェのかよ!?」
「ちょっと待てよアルガ……。何か話が大事になってきてねェかっ?」
俺は含みのある言い回しでニヤリと笑う。するとベッジはようやく言葉の意味に気づいたのか顔色が悪くなる。
「俺は普通じゃ知りえない情報を幾つか持ってる。そん中には、お前についてもよォ~~くあるぜェ?」
「あ、たまに見る悪い顔してる。悪アルガだ」
「鬼アルガじゃねェかルフィ?」
シャラップ。二人ともうっさいわい。
「"
「……フン、妄言もそこまで行くと称賛ものだな。おれが裏切る根拠は?」
「そうだな。「マザー・カルメルの写真」、「5秒間」、「毒」……根拠はこれで充分か?」
「──ッ!?……マジかよ。てめェいったい、どこでそれを……!!」
「お前も言っただろ。これが、"力"って奴だよ。なあ、ベッジ」
「…………ッ!」
情報は"力"。今度は俺がそれを証明する。そして、俺が口を開く度に相手の顔がみるみると曇り続ける。流石にここまで自身の計画が筒抜けになっていると色々と疑い出しそうなので補足を付ける。
「あ、一応言っとくがお前の仲間がバラしたワケじゃないからそこは安心してくれ」
「…………一ついいか?」
ベッジは葉巻を吸い直すとギロッと俺を見てきた。
「仮に、暗殺計画を企てているとして……おれ達は以前として敵対関係だ。そんな中で、信頼のねェお前らはおれをどう納得させる?」
「つまり取引するなら信頼にたる保証が欲しいと」
「ああ、お前らがおれを裏切らない保証がねェからな」
想定内の問いかけに「なるほど……」と呟いた後でこう答える。
「信頼の前払いとして俺はシーザーを無償でくれてやった。それじゃダメか?何ならトラ男……ローさんの能力で取り出したシーザーの心臓も提供したっていい」
「……チッ!さっきの「毒」か。ホントどこまで知ってんだか……」
「お前の計画にはシーザーが必要不可欠……そうだろ?」
「……てめェが船長より額が高ェ理由が分かった気がするよ。成程その情報収集力……政府も恐れる筈だ。敵に回したくねェ」
ベッジは吹っ切れた様子で新しい葉巻を咥えると先程の動揺した表情が嘘のように消え悪どい顔になる。
「その感じからしておれの知らねェ"ビッグ・マム"の情報もあったりしてな」
「"取引"に応じてくれんなら他にも情報を提供してもいいぜ?例えば、総料理長の"能力"とかな」
「おれの持ってねェ情報を的確に当てやがって……
歩み寄ると向き合った俺達は同時に笑う。コイツと手を組めば面白くなりそうだと確信しながら。
「いいぜ、この"取引"……乗ってやろうじゃねェか!」
「取引成立……これから宜しく」
「ああ、お互いにな。ククク……ハーハッハッ!!」
お互いに差しのべた手を掴む。こうして俺達とベッジの間に"取引"が密かに結ばれた。
アルガ達が森の中へと消えて少し経った頃、私は少し心配になりそわそわして帰りを待っていた。
「皆、大丈夫かしら?」
「あの3人に限ってもしもの事なんでないわよロビン。大丈夫大丈夫っ」
「それもそうね」
ナミがフォローしてくれたお陰で少し落ち着きを取り戻すと今度はナミの方が怪訝な表情になる。
「それよりもわたしはアイツらが更にデカイ厄介事を持ってこないか心配だわ……」
「うふふ、確かにそっちの方が可能性ありそうね」
「笑い事じゃないわよ!もう!……って、あ!戻ってきた!!」
ナミが怒っているところへアルガ達が戻ってきた。そして、それを見た私は安堵する。ルフィもそうだがアルガも平気で無茶をする人だから。
とりあえずは無事そうでよかったのだけど、ルフィが面白そうな笑みで皆に説明すると周りが驚愕する。
『"ファイアタンク海賊団"と……手を組んだァァアアッ!!?』
「ああ!そーいうワケでよ、ちょっくら"ビッグ・マム"んとこ行ってサンジの式ブッ壊してくる!!」
私も皆ほどではないが驚いていた。私達と別れた後の経緯をアルガが補足を入れつつ説明し状況は把握した。……が、案の定皆は納得するハズがなくウソップがルフィに泣きながら責め立てる。
「シーザーを引き渡すだけだったのに何で四皇を暗殺する事になってんだゴルァ!」
「まーまー、ウソップ落ち着いて。どっちにしろサンジには拒否権がなかったんだ。ならこの状況を最大限利用するしかないだろ?」
「ウゥ……。そりゃあそうだがよォ~。……四皇かァ……震えが止まらねェ……」
アルガに諭されウソップの勢いは止まるも未だに怯えている。そこにサンジがまだ煮え切れない様子でこっちに来る。
「アルガ、これはおれの問題なんだ。別に、お前らが無理して着いてこなくても……相手は「四皇」だぞ?」
「何言ってるんだよサンジ。お前の問題は俺達の問題でもある」
「いや、でもな……」
「昨日、俺の過去を聞いてお前は笑って受け入れてくれただろ。だから俺もお前にどんな過去があったとしても笑って受け止める。一緒に背負わせてくれ」
「アルガ……」
アルガの言葉にサンジは名前を呟くと名にも言わなくなり私達から背を向けタバコを1本吸い直す。見えないが今彼がどんな顔になっているのかはこの場の皆が分かっており気さくに笑う。
アルガの言う通りだと思う。いざと言う時はいつも頼りになるけれど、その逆は全くといっていいほどない。彼にはもう少し私達を頼ることを覚えて欲しいものだわ。
そして、そう思っているのはどうやら私だけではないようだ。
「そうね、アルガの言う通りよサンジ君」
「ナミさんっ」
「わたし達は仲間なのよ?だからもっと頼りなさいよね!」
「ッ!!!熱烈なお言葉……!!惚れ直しちゃうよォ~~♡ナミすわ~~ん♡♡」
そんないつもの光景を見て私は小さく笑う。ふふ、3人が戻ってくる前まで厄介事はゴメンなんて言ってたくせに。
ナミの言葉で一瞬にして籠絡されてしまうサンジをよそにアルガは「あっ」と思い出したような声をあげる。
「それじゃ、ビッグ・マムの方へ行く人を考えてたんだけどナミも行く?実はベッジの奥さんってローラの姉らしいよ」
「えっ!?ベッジの奥さんってローラの姉妹なの!?だったらわたしも行く!!会いたい!!!」
ローラの名が出るとナミは食い気味に一緒に行くと言い出し動向するのが決まった。その後も誰が"ビッグ・マム"のところへ行くのか選別が始まった。
今の段階でカイドウ以外の「四皇」を相手にする訳にはいかない。だからこそ少数精鋭で向かうのだ。
ただ強いだけではダメ。敵に気づかれず行動できる隠密力も試される。なら、ここは私の出番でしょうね。
内心で自信満々に選ばれるだろうと思いながら発表が始まる。招待を受けたサンジを除き"ビッグ・マム"の所へ行くのはルフィとアルガは確定としそこから選ばれた人は……。
「航海士は必須だからナミ、それとトラ男さんがワノ国チームにいるので船医としてチョッパー、隠密としてブルックに来てもらおう」
「…………」
……………………?聞き間違いかしら?
「それじゃナミ、チョッパー、ブルック。俺達でサンジの式をブッ壊すぞ~!」
『おお~~っ!!!』
「…………」
………………………………フゥン。
「アルガ……聞いてもいいかしら?」
「えと、ロビン……どしたの?こわいよ??」
「私、隠密得意よ」
「うん知ってる」
「なら、何故私は選ばれなかったのかしら?」
「それは……って待って待って徐々に圧かけるのやめてくれない!?ちゃんと説明するから!!」
ジリジリとにじり寄る私を遮りながら慌てて弁明し出す。
「ロビンは"
「…………」
「嫌そう!?」
説明せずとも自身の価値は分かっている。でも、だからと言って……。
「フフ、情けないわねロビン」
「っ!……モネ」
「"仲間"なら信じて待つものではなくて?」
アルガの説明を聞いても割り切れずにいた私の前に現れたのはモネ。彼女は腕を組みつつ余裕そうな笑みを浮かべて私を見る。
「まあ、選別に選ばれなかったのには同情するけど世の中適材適所よ。運がなかったと思いなさい。貴女の分まで私がしっかりやっておくわ」
「……え?おそらくあなたも行けないと思うけど」
「何を言っているの?さっきのは仲間内の選別でしょ?私は関係ないわ」
「え、勿論モネさんも連れていく予定ないけど」
「……?…………──ッ!!?」
アルガの言葉に一瞬理解が追いつかず遅れて反応するモネ。むしろ何故自分だけは行けると思ったのだろう。
「寧ろどこから出てたのその自信……」
「え?でも私"友達"よ?」
「根拠浅っ!?」
「どうしよ、お姉ちゃんがバカになっちゃった……」
ウソップにツッコミを入れられ妹にまで言われる始末である。
「"友達"を重く捉えすぎじゃない??友達ってだけでそこまで一蓮托生できる人そうそういないぞ?」
「つまり私は"親友"と言う訳ねっ」フフ--ン
「どうしよ。このドヤ顔モネさん可愛すぎんか?」
何と言うか……これまでのモネの友好関係がどんなものだったのか想像できてしまい悲しくなる。私も人の事を言えないから。
い、いや……私にはサウロやクローバー博士達がいたからそこまで拗れていない筈……筈よね?
私が内心で葛藤している中、モネは「それに」と呟きアルガの懐に指を差した。
「そもそも私の心臓は今あなたが持ってるのよ。どの道あなたが終われば私も死ぬわ」
「……あ、マジもんで一蓮托生だったわ」
意外なところを突かれアルガが押されかけている。ひょっとして、このまま押し通されて──。
「じゃあ心臓返すよ。ぶっちゃけ、もうモネさんの心臓を預かる意味もないし。トラ男さんももういいでしょ?」
「そうだな。ドフラミンゴを倒した今じゃコイツがおれ達を襲う理由はない」
「えっ……ああ、そう……」
そう言われあっさりと心臓を返されたモネ。胸にあった穴が埋まった筈なのにシュンとなっている彼女は胸にポッカリ穴が空いたような顔をしていた。
……何て言えばいいのかしら。かける言葉が見つからない。
そこへプルルルと電伝虫の声が鳴り響く。音源はアルガの懐からだった。なのでアルガは電伝虫を取り出し受話器を取った。
「『信じさせる者』と書いて?」
『儲けと言う』
「ベッジだな。どうした?」
「いや待て何だよ今の掛け合い」
唐突に始まった声がけについついウソップのツッコミが入ってしまう。
「合言葉だよ。さっき決めといたんだ」
『オイオイ回りに誰かいんのか?それじゃ合言葉の意味ねェだろ。違う合言葉考えないといけないじゃねェか。せっかくコレ気に入ってたのによォ』
「それじゃ次は"ビッグ・マム"は
『だから回りに人がいる中で言ってんじゃねェ!とりあえず用件を話すぞ!』
少し切羽詰まった様子なのが通話越しに伝わる。いったい何事かと思い聞いてみると敵船を発見したようだ。
『海賊旗を見るに相手は"百獣海賊団"のジャックだ。野郎を見てペコムズの野郎が躍起になってやがる!!』
「あー、もう来たか……思ったより早かったな」
『アン?何か言ったか?』
「いや別に」
何か小声でアルガが呟いたように見えたけど気のせいかしら?カン十郎と目で通じ合うようにお互いに頷くとアルガは冷静にベッジに指示を出す。
「安心しろ。またアイツがここへ来るのは予想していた。だから、事前にこの島の奴らと迎え撃つ準備はできてる。お前らは一旦ゾウから離れてくれ」
『了解。……オイ聞いただろおれ達は一先ず退避だ。ここで無駄に傷を負うこたァねェ』
『ふざけるなァ!!!奴は故郷の仇だ!!絶対許さねェ!!おれがこの手で沈めてやる!!!ガオ!!!』
通話越しからでも聞こえてくるライオンちゃんの怒号の声と同時にアルガがミンク族達に指示を促す。
「イヌアラシ!ネコマムシ!至急皆に伝えてくれ!ジャックがまたやってきたから迎撃の準備を……って、えっ?」
アルガは何かを見て驚き途中で言葉を途切れてしまう。その視線の先を見るとそこには何やらルフィとモモちゃんが頭をかかえる姿があった。
「ウ"ッ……!!何だ!?誰だお前ェ……ッ!!」
「頭が……っ!ひびくでござる……っ!!」
「ハ……?何でもう"
アルガが何か困惑しているみたいだけど今はルフィとモモちゃんの方が危険な様子。はやく何とかしないと……!
周囲が二人を心配するなか、頭を押さえながらモモちゃんが絶え絶えの声で皆に話す。頭痛の原因は今"
その内容は以前この国を滅ぼした海賊のジャックがすぐそこまで迫ってきているとか。そして、"
ルフィも聞こえたらしくモモちゃんを説得する。そして、皆の言葉に背を押され……。
「ゾウ!ジャックを近づけさせてはならぬ……。ジャックを追い払ってくれェーー!!!」
すると、ルフィとモモちゃん頭痛が止んだのかハッとした様子で頭から手が離れる。次の瞬間、少し地面が揺れたがすぐに収まると小さなお猿さんのミンク族が急いでやってきた。
報告の内容はたった今"
ベッジの船はアルガの指示にしたがったお陰で何とか避けられたようだ。
何はともあれ危機が去ったところで今度はイヌアラシや錦えもん達が頭を悩ませる。
「何という事だ……。象主の意思など……考えた事もなかった……!ましてや話が通じるとは……」
「おでん様はモモの助様のこの"力"を知っておられたのか……?」
色々と考察が始まるなかでルフィは別行動のために準備を行っていた。と言っても食料を集めているだけなのだけど。
そして、準備を終えるといよいよ出発の為にゾウの正門前へと来ていた。
行くのはサンジ、ルフィ、アルガ、ナミ、チョッパー、ブルック。そしてペドロと言うミンク族が着いていくことになった。彼は昔"ビッグ・マム"のナワバリに行ったことがあるらしく案内人として選ばれたようだ。
「じゃあ、頑張って来てくれ!ペドロ!!おれ一緒に行けないけどずっと無事を祈ってるよ!」
「ああ、ありがとうなベポ」
「無茶、しないでね……?」
「すまない。それは了承しかねる」
「ッ!!ウ"ゥ~~!」
トラ男君のところのシロクマちゃんと知り合いっぽいが何やらただならぬ雰囲気を感じる。そこへアルガが割って入る。
「安心してくれベポ。俺達は誰も見捨てない。ペドロに何かあっても必ず俺が守ってやる」
「っ!ありがとォ~アルガァ~!!頼むよォ~!ガルチュ~~!!」
「アッハッハッ!任せろ~!」
シロクマちゃんといっぱいハグした後、アルガは私の方へと歩いてきた。
「それじゃ行ってくる。"ロード
「……無事に帰ってきてね」
「ああ!」
彼は笑顔でそう答えるとルフィ達の方へと戻っていく。その後ろ姿を見て私は一瞬自分の過去がフラッシュバックした。
それは、かつて私とアルガが一度別れた時に見た彼の背中だった。
「──ッ!!……?」
一瞬戸惑ってしまったが何故あの時の記憶が浮かび上がったのかはわからず首を傾げる。でも、何となく感じてしまった。あの時と似ていると……。
勿論、あの時と違いアルガは皆と一緒にワノ国で再会しようと言ってくれている。なのに、どうしてかしら……胸騒ぎがするわ。
彼が離れるごとに不安が大きくなっていく。今度の相手は「四皇」だからか心がネガティブな方へ行ってしまう。
だからか、私は咄嗟に声が出てしまった。
「アルガ」
「ん?ロビン……?」
私の声に反応し足を止めたアルガは再び振り返る。そして、不思議そうな顔でこちらを見つめた。
咄嗟に出てしまい何を言えばいいのか少し考えた後、最後にこれだけは伝えたいと思った。
「生きてアルガ」
「……おう、勿論だ。お前を残して死ぬ気はねェよ。俺の"夢"もロビンの"夢"も……まだ叶ってねェんだからな。帰ったらまた本の話でもしようぜ」
そう言い残し今度こそ彼は行ってしまう。
───生きて
実は、私は昔この言葉が嫌いだった。お母さんに言われ皆のためにも頑張って生き続けていたが、小さい頃の私にはその励ましの言葉が次第に呪いの言葉に変わっていくような気がしたから。
ある時なんか崖から海を見下ろして飛び込もうとしたことだってあった。でも、その度にこの言葉を思い出し───
『何で生きなきゃいけないの!?お母さん、博士!!サウロ!!私、死にたいよ!!死にたい!!』
でも、そんな中……私は貴方と出会って変わることができた。死にたいと思い続けていた人生を、貴方が変えてくれた。
だから、彼には悪いと思いこの言葉を送った。死なないで欲しいから。生きてて欲しいから。
ひょっとして、お母さんもあの時同じ気持ちだったのかしら。だとすれば、その気持ち今ならよく分かる気がするわ。
だから、お願い───
「必ず、生きて戻ってくるのよ。アルガ……」
皆と別れの言葉を言った後ルフィが俺達を掴みまとめて落下した。ナミ達の悲鳴と共に無事サニー号へ着地するとさっそくナミにボコられるルフィ。
そこへさりげなく着いてきたキャロットを見て周囲が驚く。あー、あったねこんなシーン。最初は皆が戻すかどうか話し合って──
「フフフ、海に出るのが初めてなのね。元気がいいわ」
「何でいるのモネさん???」
いやマジで……。え?断ったよね??
「着いてきちゃった♡」
「あら可愛い……じゃない!!騙されないぞ!?ホント何で付いてきちゃったのさ!?」
「貴方、以前私に言ったセリフ覚えてる?」
「へ?」
ドレスローザで言ったセリフ?何だっけ……?
「ドレスローザで「自分のしたい事をこれから見つけていこうよ」って言ってくれたじゃない」
「あっ、え、いや、言った……言ったけどモネさんのやりたい事って……」
「別にやりたい事はひとつじゃなくてもいいでしょ。「どんな些細なことでもいい」とも言ってくれたし」
「ウグ……」
「それに……」
思い出した俺は言葉をつまらせてしまう。そこにモネさんの畳み掛けるように言葉を重ねる。
「──「俺はモネさんに死んで欲しくない。これからも生きてて欲しい。だから、空いてしまった心の穴を埋めていくのを俺にも手伝わせてくれ」って言葉……あれは嘘だったのかしら?」
「そ、それはァー……」
反論できずにいると周囲から掩護射撃が飛んできた。
「あらら、アルガさんそんな事おっしゃってたんですか?それは責任取らないといけませんねェ~」
「ホント隙あらばタラシ込むそのクセ直したら?いつか刺されるわよ?」
「その前におれが三枚にオロしてやろうか?」
「仲間の半数以上がモネさん側に!?」
ブルックから始まりナミとサンジまでモネさん側へ付いてしまった。この中でナミが絶対的な実権を握っているためこの時点で俺にはどうすることもできなかった。
それとナミ……実はもう刺されちゃったんだよなァ……。まあ、ルッチは男だからセーフ……だよね?
三人に冷ややかな目で見られつつベッジ達の船に合流するとベッジがサニー号に飛び込みサンジを迎えに来た。
「成程、少数で行くつもりか。それがいいだろうな。というより、やっぱお前もくるのか」
「何だよ?何か不都合でもあるのか?」
「おれは別にそうじゃないが……」
ベッジは少し悩んだ後で俺に注意を入れた。
「一つ忠告しといてやる。"ビッグ・マム"は"ロード
「あ、そういやそうだったな」
あっちにはプリンがいるしな。詳しくは知らんが確か三つ目族が覚醒すれば"
そんな事を考えていると少し真剣な顔で俺に指を差した。
「それよりも欲してんのは政府すら恐れる程の何か───未知の情報を持つ、てめェだ。2年前の戦争中継で暴れすぎたな」
「っ!マジかァ……そりゃそうだよなァ~……」
あれが原因かー。やっぱ下手に原作改変するとロクな事が起きんな。次からはもう少し慎重に行動しなければ……。
「まあ、気をつけるこったな。さァ、お前はこっちだ付いてこい」
「ああ、じゃあなお前ら。一旦離れる」
そういいサンジはベッジと共に"ビッグ・マム"の船へと行ってしまう。そして、いよいよ出航しその後ろから俺達も着いていくようにサニー号を出航させた。
さて、いよいよ今度は"ビッグ・マム"の島だ。そこを終えれば次は……。
俺は両頬を叩き気合いを入れ直す。
ホントは俺も先にワノ国へ行きたいと言う気持ちがあった。1秒でもはやく鬼姫様に会いたいから。でも……。
俺はチラッとペドロの方を見た。
ペドロの運命を知ってるクセに見殺しにしてまで鬼姫様を優先したって……あの方は絶対に喜ばない。
それに、俺自身……ペドロを救えるのなら救いたい。たとえ元の寿命が短命で残り僅かな命だったとしても……。
ペドロには夜明けの瞬間を見届けて欲しいから。
どうも皆さんもしロマです。
42話をご覧くださりありがとうございます。
今後の投稿について活動報告に乗せていますのでよければご覧ください。
【投稿しなかった話のワンシーン2年後編】より『42話後 親の話』を追加しました。
ショートストーリーで話は短めですがヒマ潰しによければどうぞ。
そして、矢尾一樹さん……今までお疲れさまでした!!!m(_ _)m