あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
今年最後の投稿です!色々あって投稿が遅れてしまいすみません……。ですが、何とか間に合ってよかったです!
今年中に投稿できるか不安でしたが、先日頂いた皆さんの励ましのコメントのお陰で「よし!頑張ろう!」と思えました。ホントにありがとうございます。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


43話 最悪の出だし

 "現実"を生きる者にとって「選択」とは「未知」である。

 

 誰かのひとつの選択で無限に広がるどこかの可能性に導かれる。そして、それはどんな未来に繋がるのか……誰にも分からない。

 

 良い未来に繋がっているかもしれないし、悪い未来に繋がっているかもしれない。故に、選択とは「可能性」であり「未知」である。

 

 たとえ、"原作知識"を持つ転生者……"()()()()()()()"()()()()()()()()()───それは、例外ではない。

 

 展開を知っている者が良い未来にしようと対策を取る選択をしても……それが必ずそうなるとは限らない。

 

 何故ならそれが、"現実"だから。

 

遺作『選択の先は』

著作 : ツムギ・サン

 

 

 

 

 

 "新世界"にて、「万国(トットランド)」に向かう2つの船があった。ひとつはビッグ・マムの海賊船。そして、もうひとつは俺達の船サニー号だ。

 

「もうすぐだな」

 

 ゾウから出航してから数日後、ついに俺達は「万国(トットランド)」の海域へと入った。その道中"わたアメ雪"を見てルフィとチョッパーとキャロットがはしゃいでいる隣でナミとブルックは気を引き締めている。

 

 ペドロはゾウを出てからすぐタマゴに気付いて以降、船内で身を潜めている。この段階で見つかるワケにはいかないもんな。

 

 ナワバリの海域に入ってからはサンジにも色々と準備が必要と言われ食事を作りに来ることも許されなかった。癪だが、ここでモメてもいいことはないのでグッと堪える。

 

 ルフィは嫌がっていたが俺が代わりに作ることで手を打ってくれた。

 

「しっかし、分かってたけど会えねェよなー」

「あら、誰に?」

「あ、モネさん」

 

 操舵で舵を取りながら呟いていると後ろからモネさんがやって来た。

 

「いやね、サンジの家族が気になって。せっかくだし会えたらなーと思って」

「確かに、私も気になってたわ。本好きな私じゃなくても"ジェルマ66"と言えば"北の海(ノースブルー)"じゃ知らない者はいないぐらい有名だもの」

 

 あ、そっか。モネさんって"北の海(ノースブルー)"出身なんだっけ。本好きなら当然ファンだろうし推しとかいるのかな?

 

 モネさんの推しかー……妬ましいな。聞いてみるか?

 

「あなたは誰が推しとかいるの?」

「俺……?」

 

 気になったから聞こうとしたけどまさか逆に問われるとは思わんかった。にしても推しか~。ワンピ三大推しヒロインのひとりはアナタなんすけど。

 

 でも、ジェルマの中だけとなると……。

 

「そだなァ~、"ポイズンピンク"かな」

「ヘー意外、大概の男は"スパーキングレッド"を選ぶのに」

「そう?結構無難だと思うけど……」

 

 だって、レイジュ以外クズじゃん。

 

 サンジがモデルの"ステルスブラック"と迷ったけど、アイツ自分はジェルマじゃないって否定するだろうしそれならやっぱレイジュかな~。それに、めっちゃ美人だし。

 

「今何か邪なこと考えなかった?」

「そのようなことあろうはずがございません」

 

 女の勘って時折"見聞色"の一種なんじゃないのかって思うわ。恐いよモネさん。確かにさっきまで時間軸的に会えないだろうな~って少しガッカリしちゃったけども。

 

「そ、そんな事よりも……モネさんも気を入れ直した方がいいぞ。この海域に入ってから、サニー号は監視されている」

「何ですって……?」

 

 上手く話題を逸らし監視されていると伝えるとモネさんの顔色が変わる。

 

「海底から此方を観察する気配が複数ある。おそらく"監視用電伝虫"と似た類いのものだ」

「成程、さすが四皇ね。まだ本拠地の島まで先だと言うのにこんな所にまで監視の目が……」

「そこでモネさんに話があるんだけど───」

 

 俺は未だ降り積もる"わたアメ雪"を見ながらモネさんと今後について話をするのだった。

 

 

 

 

「ようこそ!ショコラタウンへ!」

 

 「万国(トットランド)」の海域に入りこのまま敵の本拠地であるホールケーキアイランドに直行するのかと思いきや、まずは婚約者同士の顔合わせのためにとカカオ島のショコラタウンへと訪れていた。

 

 原作と違い今回は新郎のサンジも一緒にいるためか島へ着くと大勢の民衆に歓迎された。そして、奥から民衆達が道を空けひとりの女性がやって来る。

 

 その女性こそ今回サンジが婚約する相手の……。

 

「あ、あの……!初めまして!私が……あなたとこ、ここ……婚約するゥ……キャー!ダメはずかしい!!」

 

 初々しい雰囲気の少女、プリンは顔を真っ赤にさせ両手で顔を覆う。その反応を見て皆はほんわかとした空気になる。サンジは言わずもがな。

 

「サンジさんあんな可愛らしい方と結婚なさるんですか!?とりあえず、あの方にパンツを……ブゲァッ!!」

「すなァ!!!……でも、同性のわたしでも可愛いと思っちゃう。それにスゴくいい娘そう」

「…………」

「わっ!?サンジ目をハートにしたまま気絶してる!!」

 

 サンジが無言になっている事に不思議に感じたチョッパーが覗いてみるとサンジの有り様にビックリしていた。

 

 そんな皆を余所に俺は彼女を見て思う事はひとつだった。

 

 ……女の猫被りコエー。

 

 昔プリンの腹黒シーンを見た時に軽く女性不信に陥ってたの思い出すわ。実際にこんな目に遭った日には立ち直れる自信ないわ俺……。

 

「おい何ボサッとしてやがる。とっとと島を出るぞ」

「エエーーッ!!今来たばっかじゃんよ!!」

「ここには婚約者同士の顔合わせで来たんだ。ここに残るのは黒足だけ。こっからおれ達は一足先にホールケーキアイランドへと向かう。行くぞ」

 

 ベッジの説明にルフィはふてくされながらも島のチョコ料理をエサに無事サニー号へと誘導される。ベッジの奴この短期間でルフィの扱いをマスターしたな。

 

 その後、俺達もサンジを残してサニー号へ戻りカカオ島を後にした。

 サンジの事は心配だが今はヘタな動きはできない。ここは大人しくベッジの指示に従おう。

 

 

 カカオ島から出航して1日が経過するとついにビッグ・マムのいるホールケーキアイランドが見えてきた。

 

「デッケー!!ケーキの島だ~!!!」

「甘そォ~♡」

「すごーい!夢みたい!まさにワンダーランド!!」

 

 ケーキの島という見たこともない島を前にルフィとチョッパーとキャロットは感動し大はしゃぎする。

 

 しかし、ここは四皇の住む島。楽しんでばっかじゃいられない。原作と違い今はビッグ・マムの船に先導されてここに来ている。

 

 俺達もここからは慎重に動かねばならない。

 

 そう思い気持ちを切り替えると先頭の船の甲板からベッジが顔を出す。

 

「これよりオメェらをおれの城へ案内する。しっかり着いて来やがれ」

 

 ベッジの言う通りにしベッジの船の後を着いていくと島の北西まで移動する。そこには崖に建てられた石の城があった。

 

 見覚えがある。確かあれはベッジ率いるファイアタンク海賊団のアジトだっけ。

 

「まずは長旅ご苦労と言ってやる。結婚式が始まるまではここがオメェらの寝床だ。招待するぜ」

「スッゲー!ケーキの崖に城が建ってる!変なのー」

「うるせーぞ。後、一応聞くがオメェら風呂はいつ入った?」

 

 ベッジの質問に各々答える。

 

「わたしは今朝入ったわ。サニー号の大浴場はスゴいんだから!」

「その途中に私とモネも入ったよー!ねえ、聞いて聞いて!モネってばすぐのぼせて私かナミが一緒じゃないと入れないんだよ~!」

「雪だからお風呂は気持ちいいけどすぐのぼせて溶けちゃうのよ。力も抜けるし」

「俺は昨日寝る前に。……ところでその話し詳しくぐぐおおおっ!?ゴメン!謝るから吹雪やめてさぶい!!」

「おれは一昨日入ったぞ。その時はアルガが頭洗ってくれたんだ!あ、凍った」

「私は3日前に。アルガさん、セクハラキャラは私の専売特許ですよ」

「おれもブルックと同じだ」

「ししし、おれァ5日前だな!」

「…………ハア」

 

 俺達の回答にベッジはため息を吐き頭を押さえる。

 

「昨晩までならギリ許せるが他は論外だ。先に風呂行きやがれ!その後は身だしなみを整えろっ。じゃねェと追い出すぞ!!」

 

 ベッジのしかりつけ一喝に一同は渋々風呂場へと向かう。俺とナミとキャロットは問題なかったがサニー号の大浴場に負けず劣らずの広さらしいのでせっかくだから堪能する事にした。

 

「ア"ア"~~。極楽極楽♪」

「しっかし珍しいよなー」

「何が?」

「アルガってよく毎日風呂なんて入れるよなー。サンジはメシのえいせい?ってのあるからとか言ってたけどお前そーゆーのないじゃん」

「何言ってんのさルフィ。風呂は1日の疲れを取ってくれるんだぞ?それでこんなに気持ちいいのに入らないなんて勿体ないだろ」

「疲れたんなら肉食って寝りゃいいだろ」

「全人類がお前基準じゃねェんだぞ」

 

 こればっかりは日本人と海賊の相容れない価値観なんだろうなー。毎日入るサンジでさえ俺より入浴時間短いし。

 

「でもそのお陰でおれはいつもアルガが頭洗ってくれるから嬉しいぞ!あの頭ワシャワシャしてくれるヤツ気持ちいいんだ!」

「フフン、元マッサージ師舐めるなよ?ヘッドスパは得意分野だ。てことで今からやってやるからこっちゃ来い来い」

「わーい!」

 

 そんな感じに皆でお風呂を楽しんだ後にベッジの用意した正装に着替え広い一室で今後の計画を話し合う事になった。

「さっきよりはマシになったなみてェだな。よし、ではこれより"ビッグ・マム暗殺計画"を伝える」

 

 ベッジの作戦は原作と同じ流れで結婚式当日、マザー・カルメルの写真を割りビッグ・マムが叫んだと同時にシーザーの用意した猛毒ガスランチャーで仕留める。その時間は僅か5秒。

 

 その5秒に全てがかかっているとベッジが念押しし周囲は息を呑み込む。そこに、ペドロが挙手をする。

 

「聞きたいのだが、結婚式が行われている時は主要メンバーは全員そこにいるのか?」

「ああ、"ビッグ・マム海賊団"の子供……特に最高幹部の三将星は参加するだろう」

「成程、やはりその時が"ロード歴史の本文"の写しを入手する最大のチャンスと言う訳だな。なら写しはおれに任せてくれ。必ず手に入れてみせる」

「おや、でしたら私もペドロさんに着いていきましょう。隠密は得意分野です」

 

 今の段階でベッジと組んでいるからか所々原作と展開が変わって来ている。まあ、行き当たりばったりな原作よりかは順調だからよしとするか。

 

 一応、保険にと俺も挙手し案を提示する。

 

「あ、そうそう。今回の計画をより確実にしたいならこの島の森にいるブリュレって奴を捕まえた方がいいかもな」

「ブリュレか。アイツの能力は確かに使える。だが森……"誘惑の森"かァ。あそこに無策で入るのは危険だぜ?」

「誘惑の森……?」

 

 俺とベッジだけで話が進んでしまい仲間達は首を傾げる。なので補足で森について説明した。あそこ一帯は不思議な磁場のせいで指針も分からなくなり、草木が生きて移動するため一度入ると出られなくなると言う恐ろしい場所だ。

 

「そんな場所が……でも、何で誘惑なんて呼ばれてるの?」

「あそこにはジュースの川やスイーツが至るところにあるからそれに釣られて森の奥まで連れていかれるんだ」

「よし!ブリューを探しに明日誘惑の森行くか!!」

「「さんせ~~い!!!」」

「絶対他の目的でつき動いてるでしょアンタらァ!!!」

 

 俺の説明を聞いた瞬間ルフィは目の色を変えて森へ行こうと言い出す。スイーツという言葉に釣られチョッパーとキャロットも賛同しナミからツッコミが入った。

 

「まあ、式まで時間はある。好きにしやがれ。ブリュレの能力は此方としても都合がいい。だが、ビッグ・マムの耳に入りゃオメェらはあっという間にあの世行きだ。気をつけろよ」

「ああ、大丈~~夫っ!!」

 

 ルフィの能天気な返事に幾分か不安に思いつつ今日の話し合いはここで終了し解散した。仲間達が部屋から出る時ベッジが俺だけ引き留めた。

 

「オメェはもう少し残って貰うぜ。聞きたいことがある」

「何さ、聞きたいことって。シフォンさんの父親が誘惑の森にいるって情報とかか?」

「いや、ビッグ・マムの情報を…………ハッ!?シフォンのお義父様があの森に!?いるのか!!マジなのか!!?」

「予想以上に食いついてアラマキ」

 

 思った以上に取り乱したベッジは少し時間を置き冷静に戻った後で気持ちを切り替えた。

 

「お義父様の件は後で聞くとして……まずはオメェが持つビッグ・マムの情報を聞かせて貰おうか。ゾウで散々チラつかせたんだ。当然聞かせてくれるんだろ?」

「そうだったな。だが、俺の持つ情報は貴重と同時に地雷でもある。一歩使い方を踏み外せばお前自身も身を滅ぼすかもしれない。それを踏まえて聞けよ?」

「ああ、そうかわかった。」

 

 ベッジは俺の言葉の意図を察し部屋にいるファミリーを退室させた。今部屋に残っているのは俺とベッジの二人だけ。

 

 そして、お互いに顔を見合わせるとニヤリと笑った。

 

「流石だな」

「これでいいか?」

「ああ、それじゃまずは総料理長についてだ。アイツの能力は───」

 

 

 

 

 翌日、俺達は計画を進めるために誘惑の森へと訪れていた。最初はブリュレを拐ったらすぐにバレてビッグ・マム達に潰されないか心配だったがベッジが補足をしてくれた。

 

「ブリュレは基本あの森の中で行動している。だから拐ったところですぐにバレる心配はねェ。だが、取り逃がした時はオメェらの命はないと思え」

 

 ……との事。なのでルフィの宣言通り翌朝から意気揚々と森へとやって来たのだ。

 

「よっしゃ~!ブルレを捕まえるぞ~!」

「ちょ!声がデカイわよルフィ!!バレたらどうすんのよ!」

「あ、チョニキ見て!あそこクリームの木だよ!」

「ホントだ!!甘そ~だな~♡」

「あ!コラ待ちなさい二人ともー!」

 

 さっそく本来の目的を忘れ欲に走って行くチョッパーとキャロット。気付けばルフィも消えており森の前にいるのは俺とモネだけ。

 

「相変わらず賑やかね」

「騒がしいの間違いだろ。俺達も探しに行こう」

「ええ」

 

 そうしてブリュレ捜索が始まってしばらく経つが一向に見つからなかった。最初は"見聞色"を使えばすぐかと思ったが見誤ってしまった。

 

 ここは草木全てが生物のせいで周囲の声の数が半端ではない。こんな雑音の中ひとりの声を探すのは一苦労だ。

 

「クソ、思ったより厄介だぞこの森……あれ?モネさん?」

 

 気がつくと一緒にいたハズのモネさんが居なくなっている……と思いきや少し離れたところにいた。この森ではぐれるのはマズイと思い駆け寄ると……。

 

「……っ!違う……」

 

 近くまで行くといつもの雰囲気と違うことに気付きその場で足を止める。目の前にいる人は……モネさんじゃない。

 

「俺達はゲストだぞ?悪趣味な冗談噛ますんじゃねェよ。枝!」

「ウィウィウィウィ!!なんだいバレちまったのかい!流石だね"鬼の戦漢"!!そうさアタシは……って誰が枝だいブリュレだよォ!!!」

 

 枝と言われついツッコミを入れてしまったブリュレはコホンと咳払いをし仕切り直す。

 

「ゲストねェ……お前は他と違って頭が切れる方かと思ったがそうでもないね。この状況でまだそんな事を言えるかい」

「だから聞いてんだろ。俺の周りを囲いやがって」

「ほほう、危機感知はあったか。大した"見聞色"だ。ま、ウチのお兄ちゃんの方がスゴいけどねェ」

 

 一々カタクリと比べんじゃねェよ。にしても……。

 

 周囲から敵意の気配がビンビン感じる。明らかに結婚式のゲストに向ける気配じゃないぞこれは……。

 

『欲してんのは政府すら恐れる程の何か───未知の情報を持つ、てめェだ』

 

 ベッジの言葉を思い出す。正直、順調すぎると思ったが……やっぱりコイツらの目的は──

 

「ホントはこっちから呼び出す予定だったが、わざわざアンタらの方からやって来るとはとんだ間抜けがいたもんだ!お前は連れてくるようママから言われててねェ。悪いが来て貰うよォ~?ウィウィウィウィ!!」

「だろうと思ったよ!!」

 

 すでに向こうはやる気満々。ならば先手必勝と瞬時にブリュレの元まで駆け出した。突然の事にブリュレは慌てるも手から鏡を作り出す。

 

 あれは原作でキャロットに使ってた技か!確か"反射"つったか、なら……!

 

 俺は鏡に当たる直前にピタリと攻撃を止めた。

 

「俺の攻撃を利用したカウンターか?なら攻撃しなけりゃいいだけのこt───ぐあッ!!?」

 

 途中で止めたハズなのにも関わらず、鏡から拳が飛び出してきた。突然の事に対応できず拳はミゾに入り表情を曇らせる。

 

 しかも、それだけじゃない。何だこの威力……!明らかに俺が今繰り出そうとした攻撃よりも威力がある!

 

 俺の顔を伺いブリュレはニターと笑みを浮かべる。

 

「中々利口だねェ。だから、アタシも手段を変えたよ。さァ、やっちまいな!!」

「……ッ!?オイオイ、俺ひとりにその戦力はビビりすぎだろ……」

 

 表では余裕そうに振る舞うが、内心かなり焦っていた。何故なら鏡から出てきたのは……。

 

「ママから確実にお前を捕らえろと言われているんでな。ここでお前を拘束する」

「カタクリ……!!」

 

 いきなりNo.2のお出ましかよ。しかもカタクリだけじゃねェ……。

 

「グッ!?しまった足が……ッ!!」

「くくく……カタクリだけでも十分だが、もしもがあっては困るんでなァ。ペロリン♪」

「よくやった。後はコイツをブッ潰して連れていくだけだな。出てこい!"魔人"!!」

 

 ペロスペローのアメで足を固められてしまい身動きが取れなくなった俺をダイフクの出す魔神が襲う。

 

「”魔人斬(マジギレン),,!!!」

「ふぎっ!?こん、のォ……!!離れろォオオ!!!」

「なに!?」

 

 刀を抜き魔人の斬撃を受け止める。そして、そのまま弾き飛ばした。

 

「どけダイフク!!おれがやる!!!……ん?」

「せーの……フッ!!」

 

 俺は刀を納め両手を地面に付ける。その様子を見て愉快そうにペロスペローが嘲笑う。

 

「何だァ?今さら土下座で降伏か?くくく……」

「んな訳ねェだろ!んぎぎぎぎ!!」

「何を企もうがもう遅い!!消し炭にしてやる!!!”ヒート,,!!!」

 

 振り上げる熱を帯びた拳が振り下ろされる直前、俺は更に両手両足に力を入れた。

 

「”デナッシー,,!!!」

「ンガァァアアアア!!!」

「ハァア!?」

 

 俺の足元のアメの周りに亀裂が入りズボッと地面ごと引っこ抜いて上手い具合にオーブンの拳をアメの拘束部分にぶつけた。

 

 すると、足を拘束していたアメは溶け自由になったので一度距離を取る。そのあまりの奇天烈な光景にペロスペローはギョッと目を疑った。

 

「なんて野郎だ!地面ごと引っこ抜くとかどんな肉体してやがる!?見た目の割りにバケモノ染みてんな……。今度は全身をコーティングして動けなくしてやる!!」

「もう二度と捕まるかよ!!だけど流石に分が悪い……ここは一先ず退却を……」

「……逃げるのは構わないが、その時はコイツらがどうなるか保証はないよ。ウィウィウィウィ!」

『アルガー!!!』

 

 一時撤退しようとした俺にブリュレが悪い顔で鏡を向ける。その鏡の中から聞き覚えのある声が聞こえ足が止まってしまった。

 

「この声……チョッパー!?それにキャロットまで……!」

『ゴメンよ、ドジって捕まっちまった!!』

『気をつけて!この枝オバサン変な技使うよ!!そのせいで捕まっちゃった!!』

「誰が枝オバサンだいこのウサギ娘が!!!……だが、これで分かっただろ?大人しくしてなァ~?」

「チィ!!……ッ!?」

 

 仲間を盾のされ何もできなくなってしまった俺は次の瞬間凄まじい衝撃と共に視界がぶれた。

 

「”(カク)モチ,,!!!」

「ゲボッ!!?」

「”魔人斬(マジギレン),,!!!」

「”ヒートデナッシー,,!!!」

「ガハッ!?グアアアッ!!?」

 

 無防備なところに三人の攻撃が見事に決まり俺はたまらず意識が飛びかける。そして、仕上げと言わんばかりにカタクリの頭上にモチのドーナツが浮上する。

 

「”無双(ムソウ)ドーナツ,,!!”力餅(チカラモチ),,ィ!!!」

「ガッ……ハッ……!!!」

 

 中に浮かぶ餅のドーナツから拳が飛んでくる。その威力はとてつもなく俺は幾つもの岩や木を貫通しぶっ飛ばされた。

 

 すでにボロボロの俺にペロスペローが近づくと……。

 

「くくく……無駄な抵抗だったなァ。さて、今度こそテメーを捕まえる。今度は足だけじゃなく全身なァ~♪」

「ぐっ、クソが……!」

「見ろ、"わたアメ雪"が降ってきやがった。そろそろ寒くなっちまうしさっさと終らせよう。それじゃおやすみ"鬼の戦漢"。ペロリン♪」

 

 視界がアメに覆われ俺の意識は徐々に遠退いてしまうのだった。

 

 

 

「にしてもペロス兄、今日は"()()()()()"の予報はなかっただろ。やけに寒ィ……」

「くくく……そうだなァ。だが、今はそれよりも早くコイツを持っていくとしよう」

 

 

 

 

 ………………んん。ここは……っ!そうだ俺は!!

 

「ようやく目覚めたかい」

「その声は……」

 

 顔を上げるとそこにはブリュレを抜いた4人と……電伝虫がいた。ただの電伝虫じゃない。さっきの声はコイツからつまり、この通話先にいる相手は……ビッグ・マムだ。

 

「ゲストにこんな対応していいと思ってンのか?」

「ママママ、威勢がいいねェ。よほど死にたいみてェだ。後、もう分かってんだろ?お前らはゲストでこの島に呼んだ訳じゃねェって事によ」

 

 周囲を見渡すとどうやらここはビッグ・マムの部屋のようだ。そして、俺が座らせれている椅子はペロスペロウのアメで作られた拘束用座席。”降霊「鬼火」,,を使えばすぐに抜け出せるが……。

 

 ジャラ……と両手に嵌められた海楼石の手錠のせいで能力が使えず力も入らない。控えめに言っても状況は最悪だ。

 

「どうやら理解したようだね。自分がどういう立場なのか」

「お陰さまでなな。それで、俺を捕まえて何を聞き出そうってんだ?」

「全部さ。お前の持っている情報全て頂く」

「強欲ババアが……」

 

 分かってはいたがいざ対面すると迫力が違うな。漫画やアニメでは伝わらなかったこの圧倒的な強者の風格……これが「四皇」か。

 

「言っとくが俺は何も話す気はねェぞ」

「いい啖呵だ。だけど相手は選びな。お前程度の命軽く捻り潰せる……と、どうやら来たみたいだね」

「来たって…………ッ!!!」 

 

 その瞬間、俺は動揺を隠せなかった。部屋のドアから入ってきたのは、この状況で一番来てはいけない人物───プリンだった。

 

「もう捕まっちゃうなんて早すぎでしょ。お陰で急いでこっちに来る羽目になったんだからね。それじゃ、あなたの記憶(メモリー)……根こそぎ頂くわ」

「…………マ……」

 

 マズイマズイマズイマズイ!!?これは非常にマズ過ぎる!!!俺の記憶を根こそぎだと!?そんな事されたらベッジと立てた作戦……つーか原作の結果が大幅に変わる可能性が!!

 

 いや、それはまだいい。最悪なのは俺の転生前の記憶までプリンに……ビッグ・マムに知られてしまうって事だ。それだけは……!!

 

「グッ!チクショウやっぱ外れねェ!!」

「おや、その反応ひょっとしてプリンの能力を知ってんのかい?改めて称賛するよ。お前の持つその未知の情報原がこれからおれのもんになるってんだからねェ……!!」

 

 ざっけんな!誰がやるかよ!!

 

 内心悪態を吐いてるとビッグ・マムは声だけで分かるぐらい気のいい声色になる。

 

「安心しな。記憶を抜いた後はおれのコレクションに加えてやるよ。死ぬまでたァ~っぷりと可愛がってやるよォ」

「コレクションだと?」

「ああ、頭に生えたその角……珍しい人種だ。アイツを思い出すよォ」

「あ、スマンこれただの飾りで俺はただの人間なんだわ」

「……コレクションにする価値もねェ。とっとと記憶を抜き取って森に放り捨ててきな」

 

 手のひらクルックルだなオイ!

 

「はァ~いママ。そういう訳だからさっさと済ませるわよ。ホラ、いい子だから大人しくててね?」

「誰がするか!今さら猫なで声で言われたってオセーんだよ!!お前姉妹兄弟間では"悪プリン"とか言われてンの知ってんだかんな!!」

「ウルセーよ!つーか何でそれをテメーがそれ知ってんだよ!?まあ、それも全て今から分かるんだがな」

 

 そういいプリンは俺の頭に手を突っ込んだ。頭の中をまさぐられる感覚に不快感を覚える。そして、一気に手を引き抜き中からフィルムのようなものが引っ張り出される。

 

「あ、ああ……!や、ヤメ……!」

「キヒヒ!」

 

 フィルムが頭から抜ける程に記憶が薄らいでいくのが分かる。ダメだ、これ以上されたら……!!

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 俺の絶叫を聞き周囲はニタニタと笑う。同じく一緒に笑うプリンだったが、ある違和感にプリンは後から気づき困惑する。

 

「アハハハハ!!いいわその絶叫!!ほ~ら、記憶(メモリー)が失くなった肉体は廃人に……ハ?エェ?ちょ!どういう事!?」

「どうしたプリン?」

「コイツ精々20代ぐらいだと思ったけど……何なのこのメモリーの量!?あなたいったい何十年生きて……いや、これは──ッ!!?」

 

───ガッシャァァアアン!!!

 

 俺の記憶が薄れていく中、窓ガラスが割れる音を皮切りにプツンと意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 私はボタボタと流れる血を押さえながら気を失っているアルガを抱えて森の中を駆け抜けていた。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!……何とか撒けたけどまだ安心はできない。もっと遠くへ……!ウグッ」

 

 少しの間アルガとはぐれてしまい見つけた時にはビッグ・マム海賊団に捕まっている状況だった。

 

 突然の出来事に慌てていたが「万国(トットランド)」へ来る前にアルガが言っていた言葉を思い出し冷静さを取り戻した。

 

『そこでモネさんに話があるんだけど───もしもの事があったらすぐに助けるんじゃなくて身を潜めて機会を伺ってほしいんだ』

『あら、何で?』

『この先無鉄砲に突っ込んでどうにかなる相手じゃない。誰かが捕まっても焦ってしまえば余計に被害がでるだけだ。幸い、今は"わたアメ雪"がよく降る時期らしいしその雪に溶け込むのとかいいんじゃない?確か雪と同化できたよね』

『確かにそうね。そもそも、あなた達を捕まえるような相手を私ひとりでどうこうできる訳ないしそっちの方が私向きかも』

『ああ、任せたよモネさん』

 

 まさかホントにこんな事態に陥ってしまうなんてね。

 

 それから雪に溶け込んだ私は助ける機会を伺い窓の外から覗いていると、先日とはまるで別人のように豹変したプリンを見て驚いた。あんなにいい娘そうだったのに……。

 

 人も増え一層手出しが難しくなってしまったが、アルガの叫び声を聞いた瞬間たまらず強行手段に出てしまった。

 

 不意を突いたこともあり何とか救出はできたが当然周りの者達が追いかけて来た。全員を”カマクラ,,で閉じ込めたのはいいがオーブンとか言う奴の能力は相性が悪すぎた。

 

 そして、あのマフラーの男……アイツは別格だ。

 

 そんな奴らから逃げ切れたのは奇跡と言っていいだろう。その代償として……少し無理をしてしまったのだけどね。

 

「ん、んう……」

「ッ!アルガ!?よかった目を覚ましたようね」

「…………」

「アルガ……?キャッ!?」

 

 うっすらと瞼を開けた彼は何を思ってか急に暴れだし私を突き放した。

「アルガ……どうしたの?」

 

「あのさ」

 

 アルガは距離を取り警戒心を剥き出しにしながら私を見つめる。その目はいつも見せる優しい目じゃない。明らかな───敵意を感じた。

 

 

 

 

「お前、誰だよ」

 

 

 




どうも皆さんもしロマです!
43話をご覧くださりありがどうございます!
さてさて、今年ももうすぐ終りますね。長かったようで早い1年でした。当初の予定では今年中に本編が完結する予定でしたが思いの外続いちゃいましたね笑

そんなワケで!折角なので年末年始企画として、『お便り質問コーナー』をやりたいと思います!アルガが普段どんな生活をしているのか?など皆さんが気になっている事をお答えしちゃいます!気軽に来てください( ´ ▽ ` )
場所は活動報告の『お便り質問コーナー』からどうぞ!!

来年も宜しくお願いします!m(_ _)m
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