あなたにもう一度毛布をかけるため   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
この話を書きたいと考えてから約1年半……ホントに長かったです。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


51話 お待たせしました

 忍者海賊ミンク侍同盟VS四皇同盟との戦いは白熱しどこもかしこも激戦の真っ只中となっている。

 

 そして、例に漏れず俺も戦いに興じていた。

 

「”鬼鏑(おにかぶら),,!!!」

「”(ソル),,!!!」

 

 現在、ライブフロアを見下ろせる客間の一室で俺は3人のCP0と交戦している。その3人の強さは決して侮れるものではない。

 

「ちょこまかと動くんじゃねェよ!!ッ!そこだ”朧突(おぼろづ)き,,ィ!!!」

「”鉄塊(テッカイ),,!!!」

 

 3人の攻撃を捌いていると、CP0のひとりゲルニカが背後に回ったので振り返る勢いに乗せて"武装色"の拳を叩き込んだ。

 

───ガチィィン!!!

   

 しかし、ゲルニカが全身を硬化させ真正面から俺の殴打を耐え切った。それどころか殴ったハズの俺の方が拳に痛みを感じる。

 

「アイタタタ!?マジか、覇気込みのパンチだぞ!」

「この程度造作も無い」

「んの野郎っ!!舐めやがっ───ッ!?」

 

 少しカチンと来た俺だったが常時発動中の"見聞色"から殺意を感じ取る。場所は頭上からで上を見上げるとマハが足を振り上げていた。

 

「”嵐脚(ランキャク),,!!!」

「あっぶ───アガッ!!?」

「”指銃(シガン),,!!!」 

 

 避けた先にヨセフが先回りし俺の肩を的確に射貫く。

 

 クソが、体力温存のために”降霊「呼憑き」,,は使わないようにしてるとは言えやっぱコイツら強ェ……!

 

 しかし、これきしの事で怯む俺じゃないぞ!

 

「フン!」

「なっ!?ぬ、抜けん!!」

「つ〜かま〜えた!オラァ!!!」

「グハッ!!?」

 

 肩に力を入れ筋肉で指を拘束するとその隙に金棒で一撃ぶちかます。その拍子に指は抜けたので風穴が空いたキズを筋肉で止血する。

 

 向こうもダメージが浅いのかすぐに立ち上がるのを見て嫌気が差しタメ息を吐く。

 

「ハア、今ので一発づつだが……キリがないな」

 

 コイツら予想以上に連携が出来てやがる。しかも、その全員が超手練。ルッチと同格の奴らが3人と考えたら気が重くなってきた。

 

 作中でただの「六式」しか使っていなかったから正直舐めていたが、コイツらの使う「六式」はヘタするとルッチ以上に練度が高いぞ。

 

 チラッと肩のキズ跡を見る。

 

 さっきの”指銃,,だってそうだ。あの時、俺は確かに”武装色,,で防御していた。だが、そのうえで貫かれてしまった。

 

 同じ「六式」でも変に応用技を覚えるより基礎を極限まで突き詰めるとこうも違うものなのか……。

 

「諦めがついたのなら大人しく殺られてくれないか?我々の目的はニコ・ロビンの身柄確保及び"鬼の戦漢アルガ"の抹殺。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「どっちも遂行させるワケにはいかねェよ。つーかなんだよ、妙な言い回ししやがって。その任務に制限時間でもあんのか?」

「ある意味ではそうかもな」

「あん?」

 

 変な言い回しに引っかかりを覚えるが今はそんな考察をしている程余裕はない。

 

「しかし、ルッチからの報告によれば貴様まだ力を隠しているな?何故使わん」

「そりゃ報告済みか。生憎とこちとらカイドウと戦うために来てんだ。お前らに力を消耗してる場合じゃないんだよ」

「成程、つまり……」

 

 ゲルニカは手を顎に添え少し考える素振りをしたかと思えば一瞬にしてその姿は消え視界が掌に覆われていた。するとほぼ同時に後頭部に衝撃が走る。

 

「ンブッ!!?」

「我々を前に出し惜しみしていると。それならそれで結構。此方としても余計な体力を使わず好都合だ」

 

 顔面を掴まれたと気付いた時には俺の後頭部は床に叩きつけられていた。尋常ではないその握力に頭蓋骨がミシミシと悲鳴を上げる。

 

「アッ!!ガァァァッ!!?」

「このまま貴様の頭を握り崩してやっても……ッ!?」

「ぎょ、魚人、空手……!!」

 

 俺は大気中の水を掌に溜めそれをゲルニカに向けて投げつける。

 

「”撃水(うちみず),,!!!」

「くっ!”(ソル),,!!!」

 

 それがただの水ではない事を瞬時に理解したゲルニカは顔から手を離し一瞬でその場から消える。通り過ぎた”撃水,,は天井を突き破りその威力を物語る。

 

 だが、これでは終わらない。俺は"見聞色"で避けた先を見通しそこへ向けて魚人空手の構えを取る。

 

「魚人空手!!”朧瓦正拳(おぼろがわらせいけん),,!!!」

「ッ!?”(テッ)カ───ゴフッ!!?」

「っし!もう一発!!」

 

 避けた先を狙われすぐ身を硬めようとしたが間に合わず俺の拳がゲルニカの腹部に直撃する。堪らず吐血し体が動けなくなった奴に追撃しようと畳み掛けるも2人のCP0に止められてしまう。

 

「「”嵐脚(ランキャク),,!!!」」

「うおっと!?あークソ、もうちょいだったのに……!!」

 

 ひとりを追い詰めようとしても他の2人が邪魔をして中々思う様に攻撃が決まらない。焦れったいなァもう!

 

 いつまでもコイツらに付き合ってる場合じゃねェ。さっさと終わらせて上に……。

 

『助けて!!!ロビンちゃーーーーーーん!!!』

 

 この状況をどうにかしようと画策しているとどこからかサンジの声が鬼ヶ島中に響き渡る。

 

『ここは3階!!「大宴会場」!!!人質になっちまった!!ごめん!!!ロビンちゃんが来てくれなかったらおれは殺される〜!!!助けて〜〜!!!』

 

 今の放送で戦況がどの段階なのかを把握する。ここはホールケーキアイランド編で人に頼る事を覚えたサンジの成長を感じれる名場面ではあるが……。

 

 放送を聞いたCP0の空気が変わる。

 

「成程、「大宴会場」か。私が行こう」

「ああ、ソッチは任せる。"鬼の戦漢"は我々で対処しよう」

「そうだな。ドレスローザでロブ・ルッチを打ち破って以降、奴を相手するには最低でもCP02人以上でと言われている」

「ッ!!」

 

 逃げて行方が分からなくなったロビンの行き先を知るや否やゲルニカが即座に最善の判断を下す。

 

 そうだよな、ロビンの居場所が分かればそうするよな判断が早いわこんちきしょうめ!

 

 俺はすぐに通路側の襖の前に立ち塞がるように移動する。

 

「黙って行かせるワケねェだろ!!!桜木二刀流!!”紅枝垂(べにしだれ)双極輪(そうぎょくりん)」,,!!!」

「「”嵐脚(ランキャク),,!!!」」

 

 俺の斬撃を2人の斬撃により相殺される。その隙にゲルニカが真正面から突っ込むとバッと俺にめがけ両拳を突き立てる。

 

 その構えから繰り出される技を知っていた俺は頭の血の気が下がり青ざめる。

 

「退かねばタダじゃ済まんぞ。六式奥義」

「ちょ!!?待っ───」

 

 その技はマズイ!?

 

「”六王銃(ロクオウガン),,!!!」

「”飛龍翔(ひりゅうしょう),,!!!」

 

 慌てて上に飛び攻撃を逃れる。だが、攻撃を避けるということは奴をこの部屋から取り逃してしまうのと同義。案の定ゲルニカはそのまま通過しこの部屋を後にした。

 

 取り逃がした悔しさもあったがそれ以上に思うことがある。

 

 いや、それお前も使えんのかよ!!

 

 内心悪態を吐くがよく考えてみれば当然だ。コイツらの使う「六式」の練度はルッチ以上だ。それだけ極めている()()がこの技を使えない理由はない。

 

 …………ん?()()?? 

 

「「六式奥義!!」」

「〜〜ッ!!?」

 

 慌てて飛び上がった俺を意表を突く形で襲いかかる2人組。その両者とも両拳を突き立てる構えを取り再び悪寒を感じた。

 

 ダメだ、2人同時はマズイ!片方を避けてももう片方から狙い撃ちされてしまう!体力温存と考えていたが今ここでその技を食らうのはあまりに痛過ぎる!

 

 もう”降霊「呼憑き」,,を使うしか───

 

───シュッ……パン!ガサガサガザアアア!!!

 

 出し惜しみはできないと覚悟を決めたその時、マハの背中から突如として巨大な海藻が吹き出し体勢を崩す。

 

「ウオッ!?何だコレは!!何故急に植物が……!!?」

「マハどうした!?……ッ!?」

「”煉獄(れんごく)朧突(おぼろづ)き,,ィ!!!」

「しまっ───ガハァッ!!?」

 

 突然の事態にヨセフはマハに冷静さを欠けてしまう。その隙を逃さなかった俺はすぐ"武装色"と”降霊「鬼火」,,を纏った拳を振り抜いた。

 

 苦悶の表情を浮かべ壁までブッ飛ばされたヨセフ。そして、今度は海藻に絡みつかれ身動きを封じられたマハに攻撃を仕掛けようとするが既に脱出しており周囲を警戒しつつ俺から距離を取っていた。

 

「クソ、なんたる失態。いったいどこから……。ヨセフ無事か?」

「ハァハァ、何とか……」

 

 壁に激突したヨセフは立ち上がり”剃,,でマハの隣に移動する。

 

 流石はCP0だな。かなり本気で殴ったのにまだ余力を残してやがる。やっぱ単発じゃなくてどんどん攻めなきゃ倒せそうにない。

 

 にしても、今のはマジで助かった。危うく洒落にならんダメージを負う所だったわ。サンキューな、お礼にこの戦いが終わったらワノ国の旬の魚でもご馳走してやるよ。

 

 引き千切られた植物に視線を向け心の中でアイツに感謝した後、俺は笑みを浮かべ金棒を構える。

 

「さァ、仕切り直しと行こうか!」

 

 

 

 

 

「人知れず味方を援護する事それが狙撃手の務め」

「何よアンタ急に黄昏ちゃって」

「いや何、ち〜っとばかし援護してやっただけさ。狙撃手は援護が花道ってな!カッカッカッ!」

「お二人とも!それよりもまだきょうりゅうさんがきてるでやんす!」

「待てェエエ!!ガキ共ーーッ!!!」

「「「ギャァアアアア!!?」」」

 

 

 

 

 

 以前にも訪れた鬼ヶ島。既に戦いは始まっており少し遅れた形での参戦となってしまったがそこで久しい友人と再会した。

 

 アイツは前会った時と何ら変わりなく自分をおでんと自称していた。それが懐かしく感じつい笑ってしまう。

 

 まあ、イスカ()の前で急に抱き着いてきたせいでえらい目に遭ったが……。

 

「しかしエース。本当に任せてよかったのか?あのヤマトという人に子供を任せて」

「ああ、心配するな。ああ見えてスゲー強いんだ。きっと守ってくれるさ。それにアイツもやたらと乗り気だったしなァ」

 

 聞けばあのガキんちょ、おでんの息子と言うじゃねェか。そのせいかヤマトの奴まるで自分の子供みてェに「僕が君を守るよ!なんたって僕はおでんだからね!」とか言いやがって。

 

 ガキんちょと忍びも訳がわからずといった感じで怖がってて笑えたな〜。まあ、その後でおでんの航海日誌を渡してお互い意気投合してたが。

 

「……信頼しているんだな。そのヤマトって人を」プクー

「なァ〜に妬いてんだよ。アイツとはただの友達だって。それに、アイツだけじゃなくてお前にだって信用してるんだぜ?」

「ホントか……?」

「じゃなかったらこんな危ねェ場所に連れてきたりなんかしねーよ」

「そ、そうか?ふふ、そうだな……うん!」

「…………」

 

 イスカの不安な顔から安堵の笑みに変わっていく仕草を見てつい無言になってしまうと、気になったのか首を傾げておれの心配をする。

 

「どうした?そんな呆けた顔をして」

「いや、別に……」

 

 …………ん〜。

 

 おれの嫁可愛すぎないか?

 

 2年前の戦争の後、小さい頃から思い悩んでいた「生まれてきてよかったのか?」その答えがわかった。それ以来、人の好意を素直に受け入れられる様になったおれは度々見せるイスカの愛情が嬉しくなって仕方がない。

 

 最初は何だコレ?妙に心臓の音がうるさい。不整脈?心不全?とか考えていたなー懐かしい。

 

 そんな浮ついた事を考えていると放送が流れる。

 

『鬼ヶ島全土へ報告〜〜!!決着が〜〜ついたよォ!!』

 

 そして、浮ついている場合ではないことを改めて思い知る。それ程までに次に聞く放送の内容におれは足を止めて耳を疑ってしまった。

 

『敵の最高賞金首"麦わらのルフィ"は〜〜〜〜!!敗けたよ〜〜〜〜!!!』

 

「…………は?」

 

 誰が?ルフィが……?

 

『カイドウ様に息の根を止められて"麦わらのルフィ"は暗い夜の海の底へ沈んでいった!!』

 

 それ以降の内容はあまり頭に入ってこなかった。おれはただただその場に立ち尽くし呆然としていた。

 

 嘘だろ!ルフィが……?

 

「お……エー……!しっ……わ……を……ろ!」

 

 お玉との約束を果たす為に、ヤマトを自由にしてやる為に、弟と一緒に戦う為にここまで来たってのに……。カイドウを討つどころはおれは……ルフィを───

 

───パシィン!!!

 

「ッ!!?」

「おいエース!しっかりしろ!私の目を見ろ!!!」

 

 突然、両頬に衝撃が走る。気が付くと目の前にはイスカの顔があり両手で頬を押さえられていた。

 

「ムグゥ……。イ、イシュハ(イスカ)……?」

「まだ終わっていない!少なくともお前の弟の仲間達はまだ……諦めちゃいない!!!」

「───ッ!!!」

 

 頬から手を離すとイスカが通路の先を見据える。その先には拓けたフロアとなっておりそこで"麦わらの一味"の黒足が巨大な恐竜を蹴り飛ばしていた。

 

「見ろ!一番辛い筈の仲間は心を折られず必死に戦っている!!兄のお前が信じないでどうする!!」

「イスカ……」

 

 そこへまた放送が流れる。しかし、今度はさっき放送した奴とは違う声だった。

 

『光月モモの助にござる!!!ルフィの声を……ひっく!伝える!!』

 

 その声はさっき出会ったガキんちょの声だった。

 

『ルフィは生きておる!!!必ず戻ると拙者にかたりかけてくる!!!だから戦い続けてくれ!!痛くとも!辛くとも!すまぬが命のかぎり戦ってくれェ!!!───ルフィは必ず勝つ!!!!』

 

「ッ!!あいつ、モモつったか……」

 

 イスカだけじゃなくあんなガキにまで発破かけられちまうたァ……。

 

「兄貴として、情けねェなァ……」

「ホントだよ全く。世話の焼ける夫だ」

 

 言葉とは裏腹にどことなく楽しげに微笑むイスカを見ておれは改めて気持ちを切り替えた。

 

「んじゃまあ、暴れるとすっか。行くぜイスカ!」

「ああ!」

 

 広いフロアへ突入すると、またも放送が流れた。そして、その声もまた聞き覚えのある声だった。

 

『お、お玉でやんす!!』

 

 フロアの上階ステージから放送主が現れる。その姿を見て周囲の奴らはまだ幼い少女だと気付き呆気に取られる。

 

 何故こんな戦場のど真ん中にあんな子供がと疑問に感じているのだろう。そんな中、お玉は勇気を振り絞って鬼ヶ島全土に声を轟かせた。

 

『お願いでやんす!!!ルフィのアニキとモモの助くん達の!!味方をしてけろ〜〜!!!一緒にカイドウをやっつけてけろォーーーー!!!』

 

 その叫びが号令となったみたいに周囲の能力者達が一斉に味方のはずのカイドウの部下を攻撃しだす。

 

「ご主人様の仰せの通りに〜!!!」

「ギャーーー!!?"ギフターズ"がおかしいぞ!!」

「どうしたお前ら急に寝返りやが……ブハッ!?」

「何だコイツら。仲間割れし出したぞ?」

「アーッパッパッパ!!ヒュー♪ブラザーの言う通りの展開になったなァ♫チェケラ!」

 

 途端に反旗を翻すカイドウんとこの能力者達により鬼ヶ島中が大パニックになり始める。しかし、異変にいち早く気付いたサングラスをかけた恐竜がお玉を狙う。

 

「あのガキの仕業かァ〜!?"ギフターズ"を戻しやがれ!!」

 

 口を開き光のエネルギーを溜める。それを見たおれはすぐにイスカに指示を出す。

 

「お玉がマズイ!!助けるぞイスカついて来い!!”火脚(ひきゃく),,!!!」

「了解!!”月歩(ゲッポウ),,!!!」

 

 足から勢いよく炎を吹き出し一気に距離を詰める。そして、奴が光線を放つと同時にお玉の前へと到着した。その際、後ろからお玉の驚く声が聞こえた。

 

「え!?」

「消し炭になりやがれ!!”ブラック光火(コーヒー),,!!!」

「”火拳(ひけん),,!!!」

 

 奴から放たれた光線とおれの炎の拳が衝突すると周囲に熱風を巻き起こし相殺された。そして、その光景を見ていたフロアの全員が驚愕する。

 

「ヌオッ!?おれの”ブラック光火(コーヒー),,が……!!!」

「ハアアアアア!!?"火拳"だとォ!!?」

「マルコに続いてまた元白ひげ海賊団が……!!?」

「クイーンの攻撃を止めやがった!?何者だアイツ!!」

「ルフィ太郎さんの知り合いか?それにしてもスゲーぜあの野郎!!!」

 

 フロア内が騒がしくなる中、後ろからおどおどした様子でお玉が声をかける。

 

「エースのアニキ……でやんすか?」

 

 お玉の問いかけにおれは振り返り笑顔で答えた。久々の再会の気持ちを込めて。

 

「よォ、約束を果たしに来たぜ。お玉!!!」

「ウゥ……ひっく!うえ〜〜ん!エースのアニキィ〜!!」

「お玉ちゃんヨシヨシ。それはそうとエースじゃない。久しぶりね!」

「ルフィの兄ちゃんも来てくれてたのか!」

 

 久しぶりの再会に涙を流すお玉。一緒に居たルフィの仲間達が慰めているとそこへイスカが追いついた。

 

「やっと追いついた。お、その子がお玉か。む、よく見たら顔にキズがあるじゃないか。見せてくれ」

「あなたは?」

「私の名はイスカ。エースのその……つ、妻だ……///」

「「妻ァ〜〜〜〜ッ!!?」」

 

 ルフィの仲間2人は驚きのあまり開いた口が塞がらない様子だった。というよりイスカもいい加減恥ずかしがるなよ。

 

 とりあえずは無事そうでよかった。お玉の様子も分かったことだしこれで心置きなく戦いに行ける。このフロアにはルフィんとこのコックとマルコが居るみたいだしな。

 

「イスカ、そいつらと一緒にお玉を頼めるか?」

「任せろ、エースは……行くんだな?」

「ああ」

 

 おれは天井を見上げ屋上に居るであろう男を見据える。弟も世話になったみてェだしそのお礼をしないとなァ。

 

「あ、ちょちょっと待ってくれエース!」

「どうした長鼻?」

 

 早速上へ向かおうとするとルフィんとこの長鼻が慌てておれにお願いを頼み込んだ。

 

「上に行く前に頼みてェ事があってよ。実は……って何じゃありゃあ!!?」

 

 内容を話そうとした時、またもこの鬼ヶ島で異変が起きた。宴で羽目を外した奴がイタズラで描いたのかと思ってた侍の絵が突如壁や柱から飛び出してきた。

 

 少なくともその実態を持った絵の侍はおれの"見聞色"で分かる範囲だけでも200、いや下手すりゃ300を超える数だった。

 

 

 

 

 

 某は裏切り者、故に錦えもん達と共には戦わなかった。

 

 某は裏切り者、故に誰よりもこの戦に貢献せねばならない。

 

 某は裏切り者、故に……この命尽きようとも戦い抜くと決めた。

 

「戦況が動き出したな。此方も準備が今し方済んだ所よ」

 

 ならば某の出番。そう呟き最後の絵を描き終える。床に描かれたその絵は侍。それがこの鬼ヶ島中の至る所に描かれている。

 

 その数はおよそ1000体。これでも戦力差を縮めるには微々たる物。しかし、カイドウの能力者達が寝返ったことにより形勢は傾きかけて来た。

 

「この絵達は特段強い訳がではござらんが、この数の遠隔となると某もそう長くは保たんだろうな」

 

 それでも、やるしかなかろう。質は既に揃っておる。今必要なのは質より量、頭数よ。

 

 ほんの少しでも罪滅ぼしができるのならこの命、惜しくはない。モモの助様、錦えもん、アルガ殿……皆の役に立てるなら。

 

「…………」

 

 ふと、アルガ殿とゾウでの会話を思い出す。2人で水平線の海を眺めていたあの時の会話を……。

 

『お前さ、ひょっとして戦いで死んでもいい……なんて考えてないか?』

『……何故、そう思うた?』

『何かさー、似てんだよな。俺とお前』

『何?某とお主が?』

『そそ、何がーとか具体的には言い表せづらいんだけどこう……思想?価値観?みたいなのがさ』

『…………』

『だからさ、もし戦いで限界が来たら誰でもいいから助けてもらえよ?お前ひとりだと心配なんだよ』

『覚えておこう』

 

 ああ言ってはいたが……よく言う。お主だって、()()()()()()()()()()()()()()()()。そう眼で語っていた癖に。

 

「……ああ、そうか。だからか」

 

 某はここでようやく理解する。某とアルガ殿が似ていると言っていたモノの答えを……。

 

「己の命を軽んじる考え方。元より自身の事など天秤にすらかけておらん、か……」

 

 そういう考えを持つものの末路は概ね筋書きが決まっておる。少なくとも某がこれから通るやもしれん道。

 

 だが、某を友と呼んでくれた数少ない大切な人。某を舞台の上から引きずり出し人生のチャンスを与えてくれた人。そんな人を───みすみす死なせやせん。

 

 改めてそう決心した某は巨大な筆で床にトンと叩くと能力を発動させた。

 

 

「”浮世絵黄泉戦鬼(うきよえよみいくさき),,!!!!」

 

 

 次の瞬間、鬼ヶ島中に描いた1000体の侍達が実態を持ち一斉に暴れ始める。

 

『ウオオオオオオオッ!!!!』

「ウワアアア!?何だこの侍どっから現れた!?」

「おれ見てたが壁の落書きから飛び出してきたぞ!!」

「ハア〜〜!?んなわけねェだろ!!絵が飛び出てくるかよ!!」

「でも確かに見たん───ギャッ!?」

 

 突然現れた敵勢に困惑する百獣海賊団。この機を乗じて侍陣営は先程のモモの助様の演説もあって更に活気付く。

 

 某はその場で眼を閉じる。島中に蔓延る絵の侍達を通して視界を共有できるからだ。そして、少ししたら敵に囲まれている錦えもん達を見つけた。

 

 すぐに囲っていた敵を斬り伏せると錦えもんに声をかける。

 

「何処の者かは存じぬが助かった!感謝致す!!」

「錦えもん!おれだカン十郎だ!!今目の前にいる侍達は某が描いた絵の兵だ!!」

「何と!?驚いた!!」

 

 驚く錦えもん達をよそに時間がないので用件だけを伝える。

 

「いいか、手短に話すからよく聞け。今この絵の侍達が鬼ヶ島中におり遠隔で操っている。しかし、長くは保たん!!良くて10分だ!!」

「10分……それでも助かる!!ありがたい!!」

「おいカン十郎」

 

 錦えもんが心強いと安堵すると隣にいたアシュラが割って入る。

 

「おいどんはまだお前を許しちゃいないど」

「アシュラこんな時まで!」

「よい錦えもん。……わかっている。それだけの事をしたと自負しておる。故に、某はこの戦で少しでも皆に報いる為にもやれる事は全てやる所存。許してくれとは言わん。ただ、見ててくれ」

「…………」

 

 そこまで言うとアシュラは何も言わなくなり背を向けた。今はそれでいい。それだけで十分思いは伝わった。

 

「では、某は行く。この兵は島中にいる故危険になればすぐに助太刀する」

「ああ、また逢おうぞカン十郎!!」

 

 お互いに言葉を交わし別れる。そこで、頭にズキンと激痛が走る。思わず頭を抱えるとポタポタと鼻や口から血が流れているのに気付く。

 

「ウッ!ゴフッ!?ハァハァ……!ああ、見ててくれ。必ず皆を……死なせやせん!!」

 

 

 

 

 

 カッコつけて仕切り直しとか言ったがCP02人でも連携はしっかりしており戦いは普通にキツかった。

 

「あーもう焦れったい!攻撃が中々決まらねェ!!」

「それはお互い様だ」

「いい加減殺られろ」

 

 殺られてたまるか!特に政府の奴には絶対倒されたくねェし!それはそうと……。

 

 俺はひとつ疑問があり、つい聞いてみることにした。

 

「てか、思ったんだがルッチは来てねーの?正直、あのストーカーなら来るんじゃないかって思ったんだが」

 

 俺の質問に2人は無言になる。そして、少し間を置くと明らかに面倒くさそうな様子で答える。

 

「めちゃくちゃ来たがっていた」

「あ、やっぱそうなんだ」

「しかし、貴様の事になると私情を挟みかねんから今回の任には配属されていない」

 

 ルッチ……お前味方にもそう思われてんのかよ……。

 

「マハもドレスローザで"海賊狩り"にやられたが仕事はキッチリこなすからコイツは認められたがな」

 

 あ、ゾロが倒したって言ってたCP0ってコイツの事だったのか。

 

 そこまで話すと2人は再び構える。そして、一斉に飛びかかろうとした時───

 

「”弾斬銃(ダンギリガン),,!!!」

「「ッ!!?」」

 

 銃弾の嵐が2人を襲い慌てて回避する。俺は銃弾が飛んできた方を見ると、そこにはイゾウさんがいた。

 

「無事か"麦わらの一味"!!」

「イゾウさん!!」

「お前の戦場は此処じゃないだろ。ここはおれに任せてくれ!」

「助かりますが相手はCP0が2人です。いくらイゾウさんでも……」

 

 作中でもCP0を2人足止めにして命を落としたのを知ってるから素直に応じ辛い。だけど、さっきお玉の号令が流れたって事は既に鬼姫様カイドウと戦っているハズ。どうすれば……。

 

「安心しろ。おれ一人じゃない。()()()()()()がいる」

「え、それって……」

「魚人空手!!」

 

 廊下側からもうひとりの声が聞こえた。そこには現状で最も頼りになる漢が立っておりCP0に向けて拳を放った。

 

「”唐草瓦正拳(からくさがわらせいけん),,!!!」

 

 大気中の水を浸透し衝撃が飛ぶ。その範囲から”剃,,で逃れたCP0は苦い顔でその漢を見る。

 

「クッ!"海峡のジンベエ"か!!」

「それに加え元白ひげ海賊団の隊長イゾウ……!!」

「ジンベエ!!!」

「ワッハッハッハ!!そういう事じゃアルガ。お前さんははよ向かうべき場所へと行け!!ここは、わしらが受け持とう!!!」

 

 親分〜〜〜〜ッ!!!

 

 頼もし過ぎるぜ畜生!ジンベエもいるなら安心して任せられる!

 

「分かったありがとう!!でも、油断はするなよ!」

「待て!!そう安々逃げられると───ッ!?」

 

 俺を逃すまいと向かって来るが、ジンベエが立ち塞がり向こうは苛立ちを隠せずにいた。

 

「そう急かすなCP0。アルガを始末したい気持ちもあるじゃろうがそれにはまずわしを倒した後にせい」

「ジンベエェ……!そこを退け!!この魚人風情がァ!!!」

「呆れたな。今時流行らんぞ、魚人差別など」

「ジンベエありがとう!!」

 

 ジンベエに感謝した俺はこうして無事に部屋を出る事ができたのだった。

 

 

 

 

 大部屋を後にした俺はこのまま屋上へ向かおうとしたが"見聞色"で聞き覚えのある声が2つ、戦っているのに気付く。

 

 今すぐにでも屋上へ行きたいけど……。

 

「鬼姫様スミマセン。もう少しお待ちください」

 

 呟くように謝罪をした俺はすぐに駆け出した。しばらく走り続けると目的の2人を発見する。

 

「いた〜〜〜〜っ!!!」

「「ッ!?」」

 

 その場にいたのはキラーとホーキンス。2人の戦いを割って入るように中断した。

 

「はいストーップ!悪いけどそこまでだお二人さん」

「貴様は……"鬼の戦漢"!!」

「アルガ!そこを退け!コレはおれ達の問題だ!!」

「ああ、言いたいことはわかってる。その上で止めたんだ」

 

 退く気がないのを理解したのかキラーはその仮面の奥から覗くギラついた瞳で俺を睨む。

 

「ほう、いくら同盟を結んだとは言え邪魔するようならそこの裏切り者と一緒に斬り刻んでもいいんだぞ」

「ッ!」

 

 キラーの裏切りという言葉に反応したホーキンスは顔をしかめる。それを見て改めてキラーやキッドに対し悔やんでいることを理解した。

 

 仕方がないなー不器用な奴めと内心吐息をもらす。

 

「まあ、一旦落ち着けって。まずは俺の話を聞いてくれ」

「……いいだろう。お前には借りがある」

「ありがとよ」

 

 少し思い悩んだ末にキラーから渋々といった感じで了承を得ると俺はホーキンスへと向き合った。

 

「ホーキンス、お前はどうしたい?」

「ッ!?何を……」

「正直、お前に関しては酌量の余地ありだと思ってるんだよねー」

「貴様には関係のないこと」

「いやいや、そうは言うけど仕方がないと思うぞ俺は」

「アルガ、言葉を挟むようで悪いがコイツはおれとキッドを裏切ったんだぞ?」

 

 裏切られた当事者としてはとても看過できるものじゃないと言いたげなキラーに俺は説明する。

 

「だって考えても見ろよ。まだ信頼関係を築く前の段階で負け確の勝負を強制させられるとか流石に同情の余地ありだろ」

「む、確かにお前の言う通りではあるが……」

「それに、ホーキンス自身も後悔してるっぽいしここいらで手打ちにしないか?」

「お前……」

 

 ホーキンスから視線を向けられる。自分からではもはや言い訳にしかならないと思い口にできなかったことを代わりに代弁してくれたことが嬉しい様子だ。

 

 うん、根はいい奴なんだよなァ。ただわからない事は何でもかんでも占いで判断してただけで……。

 

「お互い許せない気持ちもあるだろうがここは大人になれ。今は少しでも戦力が欲しい状況なんだ」

「し、しかし……」

 

 よし後もう一押しかな。それじゃ……。

 

 ここで俺は矛先を変えようとひとつの火種をぶっ込んでみた。

 

「後、言い辛いんだが……同盟を台無しにした元凶のアプーは今こっちに寝返ってるぞ」

「「…………は?」」

 

 二人の時間が止まる。

 

「いやまあ、俺が交渉を持ちかけたんだが"ギフターズ"と"真打ち"を味方にするって聞いてかなり乗り気だったな。多分今頃は"ナンバーズ"を引き連れて百獣海賊団の雑兵を蹴散らしてるんじゃないか?」

 

 俺が説明すると2人はしばらく硬直してしまいようやく動いたと思えば揃って小さく口が開く。

 

「「……あ」」

「あ?」

 

「「あんのクズ野郎ォォォオオオオオオ!!!!」」

 

 ぶっ込んだ火種は見事に点火し爆発した。

 

 2人の絶叫が響くと今度は静かにそれでいて大きなため息を吐く。

 

「ファファ……おれ達で啀み合ってるのがバカらしく思えてきた……」

「だな……」

 

 緊張が剥がれたようにどっと疲れた様子で2人は向かい合うとホーキンスの方から改めて頼み込む。

 

「虫のいい話なのは承知だが、今一度……おれと……同盟を組んで……いいか?」

「お前は一度おれ達を裏切った。その事実は変わらない」

「ああ……」

「次はないぞ」

「ッ!!!」

 

 キラーの出した判断にホーキンスは膝から崩れその場で涙を流す。

 

「すまない……!ありがとう……!」

「気にするな、は……違うな。一生気にしろ。次はケジメとしてその命を刈り取るからな」

「いや、次なんて要らない。ケジメは取る。これを……」

 

 そう言いホーキンスは腕から2体のワラ人形を出しキラーに渡す。ひとつはキッドのワラ人形なのはわかるがもうひとつが誰のワラ人形なのかわからず首を傾げるキラー。

 

「これは?」

「おれのだ」

「ッ!?」

 

 ホーキンス自身のワラ人形と聞きキラーは驚く。

 

「この戦いが終わった後おれの処分はお前たちが決めてくれ。甘んじて受けよう」

「……お前はあの時、死にたくなくてカイドウに付いたんだよな?なら何故これを渡す?おれ達が殺そうとするかも知れんぞ?」

 

 キラーの疑問にホーキンスはそれに答えるようにこれまでの自分の行いを語り始める。

 

「おれはどんな事も占いに選択を任せてきた。それが一番利己的だったからだ。しかし、感情の赴くままに行動するお前達を見て思った。───羨ましいと」

「…………」

「占いに全て判断を委ねてきたおれには感情に身を委ねる勇気がなかった。だが、おれだって本当はおれの思うがままにやりたい事をやりたかった!!」

 

 少しづつ漏れ出すホーキンスの本音。キラーはそれを静かに聞き続ける。

 

「故に、今ここで示そう。おれの覚悟を」

「そうか」

 

 キラーは納得したのか短く返事をするとワラ人形を仕舞った。何はともあれこれでこの島にいる「最悪の世代」全員が味方についた。

 

 これで、心置きなく屋上へ行ける。

 

「あーーーー!!!アルガやっと見つけた!!」

「ん?誰だろ……ウエ゙ッ!!!?」

 

 遠くから俺の名を呼ぶ声が聞こえ振り返ると思わぬ人物との再会に驚いた。

 

「長鼻に頼まれてCP0んとこ行ったがすれ違いだったらしくて探したぞこの野郎。まあ、あの絵の侍が教えてくれたお陰で見つけられたがな!」

「エースさん!!?」

 

 びっくりしたァ。いつの間にワノ国に来てたのこの人。でもそうだよな、生きてたらそりゃ来るか。友達の国だし。

 

「無事も確認できたしおれはカイドウのところへ行くわ。弟の仕返しもしなきゃならねェからな」

「わ、奇遇ですね!俺もちょうど行こうとしてたんですよ」

「お、なんだよなら一緒行くか」

「はい!」

 

 心強い味方が戦力に加わりテンションが上がっているとホーキンスが会話に入る。

 

「ならここから屋上への近道を教えてやろうか?」

「気持ちはありがたいが大丈夫。敵地で行儀よく行く必要ないし。でしょエースさん」

「だなっ」

「ん?」

 

 言葉の意図が掴めなかったホーキンスは首を傾げる。そんな様子も気にせず俺とエースは天井を見上げニヤリと笑うのだった。

 

 

 

 

 

 ドクロドーム屋上では現在、ルフィが戻って来るまで僕がカイドウと戦い足止めしていた。勝てない事はわかっている。だけど、僕は戦わなくちゃいけない。

 

「「”雷鳴八卦(らいめいはっけ),,!!!」」

 

 両者の金棒が激突する。同じ技だがその威力はまるで別物だった。”鏡山,,で自身に氷の膜を張っていたおかげでダメージは抑えられたけどそれでも受け切れず額から血が流れる。

 

「ウッ!?ハァハァ……」

「守ったか……だが限界だろ。いい加減大人になれヤマト!!お前はおれの血筋からは逃れられねェんだぜ!!おでんと名乗るのをやめない限り一生一人のままだ!!!」

「黙れ!!!僕はひとりじゃない!!友達もいる!!」

 

 僕が叫ぶとカイドウはその主張ごと潰すかのように金棒を振り降ろす。

 

「うわああ!?」

「だから何だってんだ!!だったらそいつも全員殺してやる!!!友情は上っ面!みんながお前を恐れる!人は力で支配しろ!お前は鬼の子だ!!人間とは仲良くなれねェ!!!」

「ッ!ウッ!がッ!アア゙ッ!!」

「それがお前の運命だヤマト!!!」

 

 ガッ!ガス!ゴン!と何度も何度も金棒を振り降ろすカイドウの顔はまさに鬼の形相だった。反撃する間もなくただひたすらに振り降ろされる金棒を耐える。

 

 痛い、だけどここで諦める訳にはいかない。たとえ本当にひとりになったとしても僕は……。

 

 そう思い僕は()()()()()をギュッと握り締め攻撃を耐え続ける。しかし、止まない金棒の雨に僕は少しづつ視界が揺らぐ。

 

 エース……ルフィ……おじさん……僕……また……。

 

───ズガァァアアアアアアン!!!!

 

「何だ!?火柱……?」

 

 突如、巨大な火柱が屋上の地面を突き抜けた。カイドウは何事かと攻撃をやめ火柱を見上げる。何秒か経過した後その火柱は止み焼け焦げた巨大な穴だけが残る。

 

 今のは何だったのかと思ったその時、その穴から小さな影が現れた。その影は上空に飛び上がりこちらへ向かって落ちてくる。

 

「おまっ!跳び過ぎだろ!!屋上めっちゃ下じゃねェか!!!おっ……」

「いやー、いよいよ大勝負だって思ったら張り切りすぎちゃったスマン。あっ……」

 

「「いたァアアッ!!!」」

 

 上空にいる2つの影が徐々に近づき肉眼でわかるぐらいまで近付いてようやく気づく。僕の数少ない友達に……。

 

「エース!!!」

「ヤマトォォォ!!!待たせたなァ!!それとカイドウ!!弟が世話になったな!!これは挨拶代わりだ!!!」

 

 エースは片腕が一気に燃え上がる。そして、エースは上空から巨大な炎の拳をカイドウに放った。

 

「”火拳(ひけん),,!!!」

「ッ!!ヌォオオオオオッ!!?」

 

 炎の拳はカイドウを呑み込み僕の横を通過する。しばらくして炎は消えたがカイドウの勢いは止まらずかなり遠くまでブッ飛ばされた。

 

 カイドウがブッ飛ばされた光景を見て呆然としていると僕の横に着地したエースはニカッと微笑む。

 

「何とか間に合ったな。無事かヤマト?」

「うん!来てくれたんだね!!それと一緒にいたのって……」

「あ、そうそう……おれも気にはなってたんだよなァ。アイツってお前の知り合いか?2年前に会った時からお前のこと鬼姫様とか呼んでてよ」

「え……」

 

 鬼姫様、それは僕がまだおでんと名乗る前に呼ばれていた名称だ。今はもう全員僕のことはヤマト坊っちゃんと呼ぶから鬼姫様なんて言う人は誰も……。

 

「ウォロロロロ!!熱ィじゃねェか!"火拳"だなァ?ロジャーの実子が来るなんてとんだサプライズじゃねェの!!」

「ア゙?おれの前でその名を口にすんじゃねェ!消し炭にするぞてめェ!!」

 

 あ、それ前に新聞で見た。あの時は驚いたなー。まさかエースがロジャーの息子だったなんて。

 

『親は選べねェぞ!!ヤマト!!!』

 

 あの時の言葉を思い出す。君も同じだったんだね。

 

「そういや後一人いたなァ?どこに落ちた?」

「”降霊(こうれい)呼憑(よびつ)き」,,!!!」

「んん?後ろかァ?まあ、今更誰が来ても……」

「おでん二刀流!!!」

「───ッ!!?」

 

 さっきの攻撃を物ともせず余裕そうなカイドウは周囲を見渡す。そこに背後から声が聞こえるとカイドウは慌てて振り返った。

 

 その剣術は自身の身体に一生の傷を付けた技だったから。

 

「お前ッ!!?その技は───!!?」

 

「”桃源十拳(とうげんとつか),,!!!!」

 

 二本の刀を構えた男は一気にカイドウの間合いを詰め十字の斬り傷を刻み込んだ。あの硬いカイドウの体を意図も簡単に……!?

 

「グォアアアアアアアアッ!!?」

 

 十字の斬り傷から鮮血が飛び散る。斬り伏せた男は僕の前に立ち、座り込んでいた僕はその背中を見上げた。

 

 彼の事は知っていた。手配書で見たから。確か、名前はアルガだっけ。でも、不思議だ……こうして初めて逢う筈なのに……何故かその背中に懐かしさを感じる。

 

 そういや、ルフィも言ってたっけ。

 

『カイドウと戦った時も思ったんだがお前もあの技使えんだな』

『え、さっきの”雷鳴八卦(らいめいはっけ),,かい?』

『ああ!おれの仲間にも同じ技使う奴がいてよォ!アルガっつーんだ!』

『アルガ……確か僕と同じ角がある男だよね』

『髪飾りだけどな』

 

 僕と、同じ角の髪飾り……。

 

『これで私もあなたと同じです』

 

 偶然、なのかな……?

 

「"覇王色"でもねェのにおれに傷を……!?貴様は、誰だ……!?」

 

 カイドウの問いかけに男、アルガは淡々と答える。

 

「俺の名はアウローラ・D・アルガ。"元"百獣海賊団所属。鬼姫様のお目付役……」

「てめェもD……それも"元"ウチだと?」

「えっ」

 

 ドキン、と胸が高鳴る。僕の近くにいた人はこれまでにひとりしかいない。あり得ない、そう思いつつも何故か目が離せなくなっていた僕は彼を見つめる。

 

「"現"!!!」

 

 今度は淡々とした名乗りから徐々に気持ちの籠もった強い口調へと変わる。

 

「麦わらの一味所属!!鬼姫様のお目付役!!!」

 

 そこまで言うと彼はチラッと顔だけ振り向き僕を見つめる。その時に見せた笑み、その眼はとても優しく安心感があった。

 

 そして、その瞳を僕は知っていた。あり得ないと頭で否定しつつも心の何処かで確信したのかポロッと漏らすようにその名を口にした。

 

「おじ、さん……?」

 

 一瞬、目を見開くと次の瞬間ニカッ笑みを浮かべ一筋の涙を流し微笑んだ。

 

「20年……長い間お待たせしました。鬼姫様、あなたの従者ですっ」

 

 あァ……。変わらないなァ、あの頃と……。

 

『私は、あなたを一人にさせない様に仰せつかった者……あなたの従者ですっ』

 

 初めて会った時と変わらない。あの頃のおじさんだ。

 




どうも皆さんもしロマです!
51話をご覧くださりありがとうございます!

言いたい事は一つだけ……。
やっとアルガとヤマトの再会を書けたぁああああ!!!!
この瞬間を書きたくて書きたくて堪りませんでしたがようやく書けてよかったです!!ホントに長かった〜!!
再会を待ち望んでいた皆さまお待たせしました。次回からはいよいよヤマトとの共闘が始まります。

それではまた会いましょうではでは~( ´ ▽ ` )ノシ
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