あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
改めて言いますが、エース生存は展開的にロマンがあり採用しました。しかし、それはそれ……世界観はシビアにいかせていただきます。
以前、頂上戦争の終盤でルフィがギア5の匂わせをしていましたが完全には至っておりません。そして、今の段階でもギア5に成れる事は無理でしょう。
ルフィの成長の為にも
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
バトル漫画とかで強者相手に雑魚キャラが己の力量差も分からず戦いを挑む。皆はそう言った展開を見たことあるんじゃないかな。
20年前の俺はまさにそれだった。
カイドウを前にした当時の俺の感想はただめっちゃ強い。めっちゃ恐い。めっちゃヤバい。それぐらいしか分からなかった。
ある程度の実力者ならば相手の強さを見抜ける。と言うのは本当なのだろう。だって、今こうして前に立った俺は改めてカイドウの恐ろしさを理解できたのだから。
世界最強の生物とはよく言ったもんだ。
ただ前に立っているだけでビリビリと感じる。この肌を焼くような威圧感。20年前にも経験したが……以前とは比べ物にならない。
今の俺ならいざ知らず、昔の俺はよくこんなバケモノに啖呵を切ったものだ。無知無謀は愚者といういい典型例と言えよう。
だけど、何故かな……。空気が重いハズなのに、不思議と身体が軽い。理由は当然わかっている。それは後ろに守る人がいるかr───
「おじさァァァんッ!!!」
「ぐえっ!」
何故かな、不思議と身体が重いや……。
「鬼姫様!お気持はわかりますが一旦離れてください!!目の前にカイドウがいますから!!」
「ウ"ゥ゙〜!だってェ〜〜!」
「おじさん?鬼姫様?お前らホントにどういう関係?」
死んでしまったハズの俺と再会し感極まって上から抱き着きのしかかる鬼姫様とその光景を見て困惑するエース。
「アルガ、見た感じお前おれとそう歳は変わんねェよな?何でヤマトにおじさんって呼ばれてんだ?」
「あ、そうそう俺20年前にカイドウに殺されたんだけど悪魔の実食って別の体で生き返ったんだよね。だから心はおじさんなのよ」
「サラッととんでもねェこと言われたんだが!!?」
「だよねェ!僕も驚いたァ〜!」
あっけらかんと笑う鬼姫様。うん、やっぱ鬼姫様の笑顔はいつ見ても可愛らしい。元気100倍出ますわ。
まあ、茶番はこれぐらいにして……。
「驚いた。昔、ヤマトの居場所を吐かずおれに叩き潰された元部下だったか」
「ヘェ、意外だな。覚えててくれたのか」
「弱ェ奴は覚えないがヤマトの付き人はアイツだけだったからなァ」
「弱いは余計だっつの。今は違ェだろ」
あの頃より比べ物にならないぐらい強くなったつもりだぞ。睨み返すがカイドウはそれとは別に何か納得のいかない様子で見定める。
「らしいな。だが、腑に落ちねェ」
「何が?」
「貴様がさっき見せたあの剣技。赤鞘達も同じ技を使ったが……そいつらよりも強くおでんを感じた。まるで───すぐそこにいるみてェに」
「…………」
何とも言えず無言になってしまう。戦闘開幕早々”降霊「呼憑き」,,を使い俺は黄泉からひとりの魂を呼び寄せていた。その魂と言うのが……。
キッショ、何で分かるんだよ。
『え?カイドウの奴おれが見えてんのか?』
(それはない……ハズなんだけど。ほら、アイツおでんさんの事好きじゃん?)
『通じ合うような仲じゃねェぞ!?』
完全な片想いにも関わらずおでんさんの存在に気づきかけているカイドウに俺たちはドン引きする。まあ、根が真面目だからさ。
「あ、それ僕も思った!おじさんが剣を持った時の雰囲気すごくおでんぽかった!」
「…………」
あの親にしてこの子ありってか?どうなってんの?怖いよ?
『心なしか親子揃っておれを見てる気がするんだが気のせいか?』
(鬼姫様はアナタの意志を継いでますから……)
『声震えてるぞ』
エェ……、おでん好きにしか感じられないオーラとか出てます?
「まあ、貴様がおでんの何であろうとおれは止められねェ。ヤマトォオ!!味方が増えて調子に乗るんじゃねェぞ?幾ら上辺の友情を築こうがお前は運命からは逃れられねェ。鬼の血を引くカイドウの血筋からはなァ……!!!」
「ッ!!」
カイドウが愉快に笑うと鬼姫様は変えられない現実を前に下唇を噛み悔しそうにカイドウを睨む。しかし、エースが鬼姫様の肩をポンと叩き前へ出る。
「わかるぜヤマト。クソな父親の血が流れてると思うと反吐が出るよなァ。だけど気にすんな。お前はお前だ」
「エース……」
「そう悲観すんなって。奇遇にもおれにだって流れてんだ───鬼の血がよォ」
そう言いエースはカイドウに真正面から突っ走る。そして、目の前まで近づくと飛び上がり燃え盛る拳を振り下ろす。
「グッ!!ヌゥ……!」
「おいカイドウ!!!てめェにはわからねェだろうよ!!ただ親が世界中に嫌われているってだけでその子供にも同じ視線を向けられる苦しさがよォォォ!!!」
鬼姫様と同じ苦しみ……いやそれ以上に辛い目にあってきたエースは怒りに声を震わせ殴った拳から爆炎が巻き起こる。
顔面に直撃したカイドウは上半身を爆煙に包まれ数歩後ろへよろめくと、その場で立ち止まる。そして、煙の中からギロリとエースを睨む瞳が見えたかと思えば一気に煙が晴れ中から腕が伸びる。
「ぐっ!しまった!?」
「何やら恨み言を呟いていたみてェだが……オメェ、「ハナフダ」の件を忘れた訳じゃないよな?」
「ッ!!」
「アイツとは縁があってなァ。恨みがあんのは……!おれも同じだァアッ!!!」
「ゴフッ!!?オ、ア゙ァッ!!」
「エース!!?」
エースの首を掴んだカイドウは高らかに持ち上げると手を離した瞬間、金棒で殴られ力いっぱい地面に叩きつける。
追い打ちを仕掛けようとするカイドウだったがエースは今の見越していたのか既に手を打っていた。
「”
「ん?何だこの光は……」
「”
「ぐおおおッ!?」
カイドウの周囲にホタルのような光が密集しており一匹が着火すると連鎖するように一気に燃え上がりカイドウは炎に包まれる。
「ハァハァ、思いっきりぶん殴りやがって。しばらく焼かれてやがれ……ッ!?」
「花火なら他所でやれ」
炎の中からまるで効いていない様子で出てくるカイドウ。再びエースを掴もうとするが今度は反応でき咄嗟に避ける。
それでも、カイドウの頑丈さに改めて驚くエースの顔からは余裕が消える。
「バケモノめ……!」
「ああそうだ。おれは誰もが恐れおののく鬼の血だ。お前みたいな肩書だけのただの人間の血を引く奴とは……生物からして違ェんだよ!!!」
エースに突撃するカイドウ。エースはすぐに身構えるが……そこへ俺が飛び出しカイドウの頬をぶん殴る。
「魚人空手!!”
「ぐふっ!?」
「おじさん!!」
「アルガ!お前……!」
「エースさん、カイドウと戦う秘訣を教えます」
「何……?」
今の一連を見て分かったがアイツには小手先の技は通用しない。なら、小手調べなんてせずもっとシンプルに……。
「それは、出し惜しみしない事ですっ」
「何だ選手交代か?おれは構わねェぜ!!!」
振り上げた金棒が俺めがけて一気に振り下ろされる。しかし、それを紙一重で避け俺の真横に金棒が通過する。
「ほう、速ェな……ん?」
振り降ろされた金棒にスッと手を伸ばし撫でる。冷たく重い……当たればただでは済まない危険な代物。
「この金棒で、何十年も鬼姫様を叩きつけてきたのか……。その絶対的な力で、何十年も……鬼姫様を捻じ伏せてきたのか……!!」
沸々と怒りが込み上げてき俺は金棒を力いっぱい握り締める。するとカイドウは自身の持っていた金棒が動かなくなった事に驚く。
「───ッ!!?」
次の瞬間、俺は”降霊「呼憑き」,,で強化された肉体に”降霊「鬼火」,,を重ね掛けする。俺もカイドウも既に連戦で肩慣らしは済んでいるんだ。
だったら、初っ端からトップギアでぶつかってやるよ!
「”
「グッ!?まだ浅───」
「”
「ブッ!?」
「”
「ガハアアッ!!?」
顔面、顎、脳天の順に蒼炎コンボをぶちかます。急所を的確に狙い続けようやく怯んだカイドウは顔を手で押さえる。だが、そんな隙を見逃すハズもなくさらに畳み掛けた。
「”
「ガハッ!?止まらねェ……!!?」
「”
「グォアアアアアッ!!?」
カイドウの巨体を力業で殴り飛ばし大岩に激突させる。その光景を前にエースと鬼姫様は呆然と立ち尽くす。
「強い……」
「あのカイドウを一方的に……」
「いや、まだだっ」
俺の一言で空気が変わる。エースと鬼姫様も"見聞色"で気付いたのかぶっ飛ばされた方向を見る。何故ならその方向から聞こえるカイドウの声は……全然弱まっていなかったからだ。
「フゥ、効いた効いた……。痛ェじゃねェか。あちこちアザが出来ちまったよ」
「何が効いただよ。嘘こけ、「ウワアアア」だの「グアアア」だの一丁前にダメージ入りましたァみたいな演技しやがって……」
「実際ダメージは負ってるぜ?ただそれで倒せるかと言やァ別の話だがなァ」
「チッ……クソが」
血こそ流してはいるがどれも致命傷には程遠く楽しげに笑うカイドウに舌打ちをしてしまう。
余裕綽々な顔しやがって。コイツ本当は鬼の血じゃなくてバケモノの血を引いてんじゃないのか?頑丈過ぎんだろ。
「さあ、もっと!!闘いを楽しもうぜェ!!!」
カイドウは感情が高ぶりバリバリバリィ!と"覇王色"が漏れ出る。咄嗟に身構えるがカイドウは徐ろに酒樽を手に取り酒を飲み出した。
突然の飲酒にイラッと来たエースが怒鳴る。
「おいカイドウ!戦闘中に何飲んでやがる!!舐めてんのか!?」
「ウィ〜、わざわざ弱くは……ならねェよ。認めたんだ、コイツを───」
───ゾクゥ!!!
酔っ払うカイドウに見られた瞬間全身に鳥肌が立つ。離れているハズなのに、まるで首元に金棒の先端を突き付かれているように感じる異様なプレッシャー。
「この場で唯一"覇王色"すら持たねェ凡人がおれにダメージを与えている。そこまで上り詰めるのにどれだけ修羅場を潜ってきた?ただの一戦闘員だったお前が……こんなの、面白ェに決まってんじゃねェか!!!ウォロロロロロ!!!」
カイドウの咆哮と共に金棒に覇気が込められていく。そして、"見聞色"で未来を見た俺は次の一手を先読みする。
よし!来───
「───ッ!!?」
「だから特別に見せてやる!!ただの凡人のてめェに選ばれた強者の境地って奴を!!!」
かなり距離があったにも関わらず、気付けば俺の目の前にはバチバチと迸る覇気が込められた金棒が迫っていた。
「”
「ガハッ!!?」
勢いよく振り抜いた金棒は直撃し俺は頭上高く打ち上げられる。呼吸が止まり脳が揺れ意識も霞む。
未来を、見たのに……!?
早過ぎる。同じ技なのにこうも違うのかと痛感する。
「そういや、さっき同じ技を使ってたか?もう一度見せてくれよ。”
「”
「アン?"火拳"め、邪魔しやがって」
俺とカイドウの間に大きな炎の壁が隔てられ近づけなくなる。そこへ鬼姫様とエースが駆けつけた。
「おじさん!大丈夫!?」
「ガフッ、ゼェゼェ……。あの巨体から出ていいスピードじゃねェぞ。全く反応できなかった……」
「よし、意識はあるみたいでよかったぜ。にしてもあの怪物どうすりゃ倒せんだ?もっと火力を上げねェと!!」
「エース、おじさん。来てくれてありがとう。ここからは僕も闘うよ」
「何っ!?大丈夫かよ?まだ身体痛ェだろ」
「そうだね。だけど、これ以上二人にばかり頼るわけにはいかない」
「鬼姫様、お身体は大丈夫ですか?」
「うん、まだ体中痛いけどお陰様で充分回復できたよ。それに、"約束"したでしょ?」
「あっ……」
『約束して!その時はぼくだけじゃなくて……おじさんも一緒に戦うって!!!』
それは、俺が殺される1週間ほど前に交わした鬼姫様との約束。そうか、覚えててくれていたんですね。
「そうでしたね……」
少し先走ってしまったようだ。そうだよ、俺はカイドウとひとりで戦いにきたワケじゃない。
「鬼姫様、共に戦いましょう」
「うん!」
「おれも忘れんなよ?」
勿論忘れてないって。さあ、仕切り直しだ!
「あ〜〜!鬱陶しいぜ!!」
炎の向こう側からカイドウの不満の声が聞こえる。すると"人獣型"から"獣型"に変身し巨大な蒼龍となったカイドウが炎の壁を軽々と飛び越え空から俺達を見下ろす。
「一人ずつ消すとしよう。まずはこのウザってェ炎を出す"火拳"からだ!!」
「来るぞ!!!」
「”
カイドウはとぐろを巻くように体を回すと台風を発生させその台風から無数の斬撃が飛んできた。
各々避けながらカイドウへと接近する。俺も負けじと飛んでくる斬撃を対処しつつ突撃する。
「”
「金棒といい斬撃といい、おれのワザを真似てんじゃねェよ!!!」
「……ッ!!」
「おじさん避けて!!デカイのが来る!!!」
俺の技を見て不快に思ったのかエースから俺に標的を変え口から高熱の炎を集約させる。そして、大きな火球となって俺に飛んできた。
「”
「フロア攻撃の火炎放射じゃなくただの火球なら……!!」
俺はポーチの"
「何だとッ!?"
「カイドウの火を吸収した!?」
「ありゃひょっとして"
ここへは俺の持つ
俺に意識が向いている内に二人がカイドウの元へとたどり着く。宙に浮くカイドウの真下でエースは足元に巨大な炎陣を作り出す。
「出し惜しみはなしだっけな!”
エースを中心に炎のサークルから猛火が一気に吹き上げ……巨大な炎のサークルは頭上のカイドウを囲い込む。
「”
「何だッ!?この熱量は……ウアアアア!!?」
通常の”炎戒火柱,,とは比べ物にならない規模。カイドウを囲う巨大な炎は幾つもの龍へと形を変えカイドウに襲いかかった。龍となったカイドウを上回る巨大な炎の龍。その龍に呑まれたカイドウは苦痛の声を上げる。
しばらく炎の竜巻が天へと巻き上がり続け、止む頃には声を上げずに"人型"へと戻ったカイドウが地面に落ちてきた。そこを"人獣型"となった鬼姫様と俺が狙い同時に金棒を構える。
「”
「”
「ウ"ッ!?グハッ!?」
鬼姫様は金棒に冷気を、俺は金棒に蒼炎を纏い二人で剣術のような上段の構えをとると両肩めがけ振り降ろす。力いっぱい叩きつけ踏ん張るカイドウの足元の地面には亀裂が入りクレーターが出来上がる。
「ケホッ、いい線いってるが……そろそろ飽きてきたな」
「「「ッ!!?」」」
しかし、ここまでしてもカイドウに片膝すら突かす事はできなかった。エースの火も少し煙たい感じに咳をし両肩に乗ってる金棒には気にも留めていなかった。
どんだけタフなんだよ!?いい加減にしやがれ!その攻撃をくらう度に叫ぶクセは何なんだよマジで!!
「とはいえ、肩叩きにゃちと強過ぎやしねェか?なあ、お前ら……」
ッ!?マズイ!
殺気を感じた俺達はすぐに離れ距離を取る。しかし、再び"獣人型"となったカイドウが鬼姫様に向かい金棒を振り上げる。
「しまった!鬼姫様ァ!?」
「逃がさねェよ。ヤマトォオオ!!!」
「くっ!?」
駆け付けようにも距離があり間に合わない。このままではと絶望すると……鬼姫様の前にエースが立ちはだかる。
「何怖気づいてんだ!!しっかりしやがれ!!」
「エース!!」
カイドウの一撃に合わせ炎の拳で金棒にぶん殴る。すると、勢いは止まらずとも軌道はズレ鬼姫様の横を通過する。
「おいカイドウ!!お前は確かに強い!オヤジと同じ「四皇」と呼ばれるだけはある!!だがな、
「……何が言いたい?」
「おれは100回オヤジに挑んでは敗け続け「四皇」の強さを実感した!その偉大さを痛感した!だが、お前からは
エースは手をかざし幾つもの火球を撃ちまくる。
「”
「デケー口叩いた割に湿気た技を……。また花火か───ホブッ!?」
カイドウが避けた先に火球が先回りし顔に衝突する。さっきの”蛍火火達磨,,より一回り大きいだけじゃない。これは……。
「チィ!器用なマネしやがる。時間差で襲いかかる猛火。それに、"見聞色"でおれの動きに合わせて身動きを封じようってか?……甘ェんだよッ!!!」
「グッ!」
周囲の火球なんて気にも留めずエースへ突っ込んでいく。思わず退いてしまいそうな局面。しかし、エースは退くどころか前へと突っ込む。
「”
「”
足から炎を出し加速するエースに合わせカイドウはこれまで以上に覇気を込め金棒を構えた。エースも覚悟を決めたのか腕から夥しい熱量の炎が燃え盛る。
そして、両者の一撃が放たれた。
「”
「”
───カッ!!!バリバリバリィィィイイ!!!!
ものすごい衝撃と"覇王色"が飛び交う。思わず視界を遮ってしまう。そして、次に二人を視界に入れると……。
「……!……ガッ……ァ……」
「ウグッ……!無意識かは知らねェが、お前も
エースの渾身の一撃によりあのカイドウが膝を突いた!だが、その代償は高くエースは気を失いその場に倒れてしまった。
「さて、兄弟揃って見事な闘いっぷりだった……。お前に敬意を払い、今トドメを刺してやる」
「エーーースゥゥウウッ!!?」
「エースさん!!クソ、助けねェと───ッ!!」
エースが倒れた事で流れはカイドウに向く。そう直感した直後、"見聞色"に反応があった。
……遅ェよ、全く。
「鬼姫様!!」
「何おじさん!?」
「攻撃を合わせてください!!」
「え?う、うん!わかった!!」
俺の言葉を合図に鬼姫様と俺は金棒を頭上に掲げる。そして───
「「”
「ア゙〜?黙って見ることもできねェか。せっかち共が───ッ!!?」
頭上に掲げた金棒を刀の居合と同じ構えで携えると一気に駆け出す。その勢いは止まらず俺達の気迫は大蛇へと姿を変えた。
俺と鬼姫様、二匹の大蛇……それともうひとつの攻撃がカイドウに放たれた。
「”
「”
「”
「ッ!!グハアアアア!!?」
三匹の大蛇がカイドウを襲うと勢いよく何十メートルと遠くまでブッ飛ばされた。
鬼姫様は攻撃した後に気付くと大きな龍へと成長したモモの助とルフィへ顔を向ける。そこには安堵の表情が伺えた。
「あ〜!!ルフィ〜!!!よかった、戻ってくると信じてたよ!!」
「ヤマ男!!それにアルガ!!お前らがカイドウを止めてくれてたんだな!!ありが───ッ!?おい、あれって……!!」
ルフィはモモの助から飛び降りると急いで走り出す。そして、倒れていたエースを抱えた。
「おいエース!!何があった!?返事しろ!!!」
「ルフィごめん。実はルフィがやられた後俺達でカイドウと闘ったんだが……」
「そうか、ありがとなエース……。おれが来るまで闘ってくれて……無駄にしねェから!」
そう呟くとそっと地面に寝かせ遠くまでブッ飛ばされたカイドウへ向けて睨見つける。
「覚悟しろカイドウ!!まだ勝負はこっからだ!!!」
「ウォロロロロ!!生きてたか麦わらァ……。次は完全に息の根を止めてやるよォ!!」
お互いやる気充分。今にも飛び出しそうな雰囲気の中、カイドウは笑みを浮かべた。
「おい、ヤマト最後の忠告だ。おれはこれからここにいる奴らを全員ぶち殺す。おれの下に戻って来い。「新鬼ヶ島計画」を始めるに当たりお前を失うのは惜しいんだ」
「何度も言わすな。僕はおでんだ。おでんはたとえ死んでも己の信念を貫き通した。だから僕も!ワノ国の自由の為に……僕自身の自由の為に闘う!!!」
「バカ息子が……。だったら死ぬしかねェなァ。お前に自由なんて訪れねェと知れ!!!」
自分の子供に向ける言葉じゃないな。そろそろ本気で怒りそうだ。
「自分の子供の夢を否定してんじゃねェよ牛ゴリラ」
「アア?」
「悪いが鬼姫様はもうひとりじゃない。俺がいる限り鬼姫様の自由も、ワノ国の自由も、あの方が望むもの全てを叶えてみせる」
「ほざくなァ!!おれという脅威から全てを守れるもんなら守ってみやがれ!!!土台無理な話だ!!」
カイドウの断定する言葉に対し、俺は真っ向から否定した。
「いいや……全部守る!!その為の"20年"だったんだ!!!」
あれからどれ程の時間が流れただろうか?
鬼ヶ島中に千を超える絵の侍兵を遠隔で操作し始め某の体力は尽きかけていた。あれから何人もの侍の窮地を救っては敵を斬りを繰り返し続け視界がぼやけ始める。
「ハァ!ハァ!……うぶっ!?オエェ……」
能力の過剰使用により身体が拒絶反応を起こす。そろそろ幕引き……だな……。
既に錦えもんと別れてから10分以上は経過している筈。ならば上々の出来と言えるのではなかろうか?そう自己自賛しているとまたも鬼ヶ島中に放送が流れる。
内容は先ほど絵の侍兵を通して見ていた桃色の龍が麦わらを連れて屋上にいるカイドウと対峙した事。龍の正体は不明だったが、次に聞こえた麦わらの声ですぐに明かされた。
『モモ!!お前が噛みついたのは「四皇」だぞ!!この世にまだ恐ェもんがあんのか!!?』
『……!な……ない!!!』
『行け!!お前は飛べる!!』
『おう!!』
『鬼ヶ島止めて来い!!───カイドウにはおれが!!必ず勝つ!!!』
色が似ておったが、やはりあの龍はモモの助様だったか。少し見ぬまにあんなに、大きくなられて……!
「グッ……ォォ……!」
某は今にも倒れそうな身体を筆を杖代わりにして抵抗する。
モモの助様が戦っておられる。なら、某もまだやらねばならんな。もう某は家臣ではないが……大将よりも早く膝を突くなんて事あってはならん!
「キヒヒヒ!こんな所に赤鞘がいやがるぜェ!」
「マジだ!しかもスゲー疲れてそうな顔……こりゃ昇格チャンス!!」
「ぬかった……カイドウの部下に気づかれてしまうとは……ゼェゼェ」
千体を超える遠隔操作のより既に某の身体はボロボロとなりまともに動く事すらかなわない。万事休すか……。
「次の飛び六砲になるのはおれだァ!!」
「いいやおれだァ!!」
「…………」
最早これまで。誰にも気付かれず敵に殺される。裏切り者には相応しい最期だ……。
そう思い目を閉じたその時だった。
「ぐへっ!?」
「アバッ!?」
「……?ッ!?いったい何が……」
目を閉じてしまったせいで何が起きたのか一瞬分からなかったが、目の前の人物を見て更に困惑した。何故ならその者は……このワノ国で一番某を嫌っていた人物だったからだ。
「アシュラ!?お前が何故……」
「勘違いするなど。お前に借りを作っておくのは勘弁ならん。ただ、それだけだど」
「アシュラ……」
アシュラの言い方には多少のトゲがあるが……以前の会議の時より幾らかは軟らかい感じがした。すると、緊張の糸が切れたのか途端に力が抜け倒れそうになる。
「うおっと、大丈夫かカン十郎?」
「錦、えもん……」
「オヌシの活躍で鬼ヶ島中の侍達はまだ殆どやられておらん。よくぞ、拙者たちと共に戦ってくれた」
「お世辞はよせ。この戦で幾ら味方を救おうと……某、いや
おれは支えてくれた錦えもんから離れ再び絵を描き始める。
「お、おい……何をしている?」
「一瞬、気を抜いてしまいそれで幾ばくか絵の侍兵が消えてしまった。補充しなければ……」
「っ!もうよい!!フラフラではないか!これ以上は体に障るぞ!!!」
「構わん、もうおれにできることはこれしかないからな」
「……っ!!」
おれの覚悟を察したのか歯を食いしばり口を閉じる。それでよい、武士とは常に死を覚悟して生きるべきであり、それが武士の本分……。
武士とは死ぬことと見つけたり───
「あ、おーい錦えもーん!!」
「む、その声はウソップ殿!おお、ナミ殿もご一緒か!して、隣にいる女性と子供と大きなイヌは……?」
「お玉ちゃん!」
「お菊ちゃん!」
錦えもんは知らない様子だったがお菊の知り合いらしく二人して名前を呼び合う。お菊がお玉について説明していると麦わらの一味も合流する。
「何と!あのギフターズを味方につけたのはこの子であったか!?」
「はいでやんす!」
「ねえ、それはそうとあの歌舞伎は何してんの?」
「ああ、実は……」
錦えもんが先程のおれとのやり取りを説明するとナミはフゥン、と呟きおれの方へスタスタと歩み寄る。
よし、ようやく一体目が描き終えそうだ。今の状態じゃ思う様に描けぬから一苦労───
「ウラァ!!!」
「ンゴスッ!!?」
脳天めがけて思いっきりナミの拳骨が振り下ろされた。思わずその場で倒れ痛みに悶絶する。
「グォオ……!?女ァ何をするゥ〜……!」
「うっさいわね。イラッとしたからどついただけよ。アンタらの価値観にね」
「何をォ……?」
「そーだなァ。責任を感じて戦いをやめねェ気持ちもわかる。立派だよ」
ナミがまだ拳を握り締めているとそこへウソップも近付いてくる。そして、ナミに賛同する様に錦えもん達にもジト目で視線を向ける。
「だがな、だからって死ぬこたァねェだろ!!だいたい、この国は命が軽いんだよ!?何が潔しだ!何が責任とってハラキリだ!おれァお前らの文化は好きじゃねェな!!」
「ッ!」
「ケジメ取るのは大いに結構!!でも、だからって死んじまったらそれで終わりなんだよ!!!ケジメも繋がりもこれからの人生の苦しみも楽しさも!何もかんも終いだ!!だったらおれァ鼻水たらしてでも"生"にしがみつく!!!」
ウソップはおれの前まで近づき必死の形相で睨みつけた。
「お前も最後まで足掻いて足掻きまくってケジメを取りやがれ!!それが"責任"ってもんだ!!!」
「ッ!!責、任……」
足掻き続け生きてケジメを取る、か……。
「ウソップが言いたい事ほとんど言ってくれたからわたしからは一言だけ。限界が来たら誰でもいいから助けてもらいなさいよ?アンタがどう思おうがこっちはもうアンタを認めてんのよ」
「───ッ!!!」
『だからさ、もし戦いで限界が来たら誰でもいいから助けてもらえよ?お前ひとりだと心配なんだよ』
ああ、敵わんなァ……。やはりお前ら一味は本当に優しい者ばかりだ……。
ここで、おれは決して手放さなかった筆を地に落とした。
二人に絆されおれは能力を解除した。これで体力の消費は無くなるが今の状態でもまともに動くことはできず錦えもんの背中におぶさった。
「すまん」
「気にするな。では、参ろう!まだ同胞達が戦っておる!!」
気合を入れ直す錦えもんの上でふと思い出したおれは麦わらの一味に声をかける。
「時に一つ尋ねたい。アルガ殿はどこにいるか分かるか?絵の侍兵を通して一時は把握していたんだが……」
「ひょっとして屋上でカイドウと戦ってるんじゃないか?ルフィがやられたって言われてから結構経つがカイドウが降りてくる気配ねェし」
「そうか、なら一つだけ忠告しておく」
この戦いで気が付いたアルガ殿の意志を告げることにした。
「ん?何だ?」
「これまでの戦いがどうだったかは知らんが……奴らはこの戦いにおいて自身を天秤に掛けておらん。自分以外の全てを優先する為に己は後回しにしている。……さっきまでのおれみたいにな」
「「えっ」」
おれの言葉は信じられないものだったらしく一味の二人の時間が止まる。おれ自身、友と呼んでくれたあの人を死なせたくない一心で再度忠告した。
「止める者がいなければあやつは突っ走るぞ。なりふり構わずな」
ルフィが戻ってくると戦局が大きく変化した。鬼姫様は鬼ヶ島を止めるモモの助を手助けするために一時離脱し、俺はルフィと一緒にカイドウと相対していた。
「アルガ!!今回だけだぞ!ホントは
「わかってるよ!だけどアイツは俺の悲願なんだ!!鬼姫様に全部守るって言ったんだ!!!桜木一刀流奥義!!」
「ようやく本命かァ?楽しくなって来たァァ!!!」
楽しげに笑うカイドウは金棒を振り上げるがルフィの拳が先に届く。
「”
「グホォオ!!?」
”ギア3,,で巨大化させた腕に"武装色"に加え"覇王色"も纏った拳がカイドウを襲う。一瞬よろけてしまい、その隙を狙って俺はカイドウの腹に刹那の一閃を繰り出した。
「”
「ガハアアアッ!!?」
視界から消えた俺に反応できなかったカイドウは腹に突然斬り傷をつけられ困惑する。一気に畳み掛けようと左右から同時に駆け出した。
「”ゴムゴムの,,ォ〜───ッ!?」
「桜木二刀流奥義───ッ!?」
「”
手数でゴリ押そうとしたが、カイドウも負けじと全方位に金棒の突き技を放つ。ルフィと同様に一発一発に"覇王色"が込められておりどれか一発でもくらえばただでは済まない。
俺達は攻撃を中断し金棒の連打を冷静に対処する。しかし、一度立て直す為に離れると今度はカイドウが仕掛けてきた。
「今度は耐えられるかァ?麦わらァ!!!」
「速ェ!?ヤベェ!!」
カイドウは「殺戮上戸」となったのか筋肉が膨張し青い鱗が色濃くなり紫へと変色し眉はぐるりと渦巻く。
「”
「ガッ!!ウ"ォオッ!?」
「ルフィ───ッ!!?」
「”
ルフィを殴り飛ばした勢いのまま更に踏み込み声を掛ける間もなくカイドウが俺の頭上へと跳び上がった。
オイオイまだ勢い増すのかよ!?上限のねェギアかコイツ!?あんなのまともに喰らったら洒落にならん!考えろ!何か方法を───そうだ!
「こ、れ、だァァァ!!!」
「”
ポーチから"
「またか!!くだらねェ!!!そんなもんで止められるかよォ!!!」
「ウッ!!ッソだ、ろ……ッ!?」
衝撃がデカすぎる!?セットした"
俺は気合を入れ金棒を受け止め続ける。
そして……。
「止、ま、れェェェエエエエ!!!」
「……ヌゥ!?バカなッ!!?」
ヒビが入りつつも何とかカイドウの一撃を受け切った"
よしよし、カイドウの一撃を凌いだ!これは切札になるぞ。とりあえずコイツは最終手段に取って置くとして───っ!どうやら、戦いも終盤に突入したみたいだ。
カイドウも感じ取ったのか目から大粒の涙を溢れさせ激昂した。
「気づいたか!?オイ、やりやがったあいつら……!!ウィ〜〜、リンリンが……!やられたァ〜〜!!!」
「ウオッ!危ねェ!?」
その怒りは凄まじく怒りで無意識に"覇王色"を撒き散らす。その覇気に当たらぬよう後退する。しかし、その覇気に当てられルフィは逆にその闘志に火がつき立ち上がった。
そして、最後の大勝負を仕掛ける。
「”ギア4,,「スネイクマン」!!”ゴムゴムの……
「ブオォ!!?」
「これが最後の”ギア4,,だ!!おれの力が尽きるまで攻撃をやめねェ!!!」
「ゴッ!?ガッ!……どこからパンチが……!!」
ルフィの変則的な攻撃が四方八方から飛んでいきカイドウも避ける事が出来ずに困惑する。
「お前だけは絶対にィ!!ワノ国から追い出してやる!!!」
「俺も忘れてもらっちゃ困るぜ!!全力全開で行くぞ!!!」
ルフィに続き俺もとっておきを発動する。今発動中の”降霊「呼憑き」,,に加え生命帰還による肉体改造。それにより俺の覇気の最大出力をMAXにまで引き上げる。
次の瞬間、雷が落ちたような衝撃が周囲に走る。その中心にはおよそ5m程の巨漢が現れた。
「”「
「どいつもこいつも姿をポンポン変えやがって……。型態変化は"
「んな常識知った事かよ!!コイツァお前を倒すために編み出した俺のとっておきだ!!!覚悟しやがれ!!”
「”ゴムゴムのォ〜……
俺が拳に力を込めている間にルフィが速攻で仕掛ける。再び変則的な"覇王色"の拳がカイドウの全身を襲う。辛うじて耐えて入る身動きが取れずその場で立ち尽くす。
そんな大きなチャンスを見逃すワケもなく、俺は一直線に突っ込んだ。ルフィも俺の攻撃に合わせ拳を引っ込めるとカイドウと向かい合った俺は溜め込んだ覇気の殴打を奴にぶっ放す。
「”
「ガッ!?グォアアアアア!!?」
拳がぶつかる直前、周囲がチカチカと点滅する。それが莫大な覇気の衝突によるものだと理解した時にはカイドウは数十メートル先にまでブッ飛ばされた。
しかし、すぐに立ち上がりまた龍の姿に成るとその巨体のまま俺達に突っ込んできた。そして、奴のその表情はまさに高揚としていた。
「ウィ〜〜……!いい……!いいぞ最高だ!!この闘いでおれとタメを張れる程に強くなった麦わら!!そして、"武装色"のみでここまでおれと張り合える鬼の戦漢!!!おれァ今!!最っっっ高に楽しんでるぜェエエ!!!」
「お前の楽しさなんか知るかァ!!もう時間がねェんだ!!!「バウンドマン」!!!」
ルフィは「バウンドマン」に切り替え上空へと上昇する。それにより自ずとカイドウの突撃射線を離れ残るは俺ひとり。
しかし、俺は避けない。ルフィも上へ行ったのは避けワケではない。俺が攻撃を繋げると信じて飛び上がったのだ。
なら、その期待……応えるしかねェよなァ!!!
「まずはお前からだ鬼の戦漢!!!」
「来やがれ!!俺の渾身の一撃ィィィ!!!」
大口を開けて俺を食らいつこうとするカイドウに俺は今出せる最大火力の攻撃を繰り出した。
「”
「ブッ!!?グ、ググッ!!グォオオオオオ!!?」
カッと一瞬、覇気の花火がバリバリと周囲に迸る。最初こそ耐えようとしたカイドウだったが俺の拳は見事に龍の顎を捉えており上空へと撃ち上げられた。
そして、そこをルフィが仕留めにかかる。
「”ゴムゴムの,,ォ〜〜……!!!」
「来るか!!いいぜ受けてやる!貴様の全力も味わってやる!!!」
「”
ここへ来ても俺達を試そうとするカイドウの態度にルフィは更に怒りを増し渾身の一撃を繰り出した。カイドウも堪らず地面に叩きつけられ龍からみるみる"人獣型"へと変わる。
しかし、それでも依然カイドウの声は消えていない。"見聞色"に反応がある事に焦りを覚えたルフィはもう一発!と突撃する。
「それでダメなら……!おれの敗けだァ!!!」
「来てみろ、小僧ーー!!!」
「”ゴムゴムの,,ォ〜〜……!!!」
「”
闘いはいよいよ大詰め。二人のこの攻撃で全てが決まる!
…………ワケではない事を知っていた俺はその局面を見届けた。この後、CP0が割って入りルフィの攻撃を止めカイドウにトドメを刺させる。
しかし、それによりルフィは”ギア5,,へと至る。
ホントはさっきの俺の一撃で倒したかったがそれは果たせず悔しさを覚える。
もっと奴と闘いたかったが……ぐっ、もうじき”流桜武神,,が切れてしまう。これ以上は……できそうにねェな。
と、思っていた俺の予想を運命は裏切った。
最悪の形で───
「”
「”
………………は?
二人の攻撃が衝突した。してしまった。あり得ない状況に俺は一瞬思考が止まる。何で攻撃が通ったのか。ゲルニカはどうしたのか。色々考えてしまうが今は目の前の状況を……!
「「ガハァッ!!?」」
二人の攻撃が直撃し同時に殴り飛ばされる。そして、両者立ち上がる。お互いにまだ目は死んでおらず闘いを望む。しかし……。
「ゼーゼー……おれの、勝ちだ。麦わらァ……!」
「うぶっ!くそ……まだ、なのにィ……ブヒュ〜〜!」
最後の力を振り絞ったルフィは口から空気が一気に溢れ身体が萎んでいく。そして、元の姿に戻ったルフィはその場に倒れ指一本動けない状態となった。
つまり、決着がついたのだ。この闘いは───
「って、認めるワケねェだろ!!!」
受け止めきれない現実を前に声を震わせる。
「アル、ガ……」
「まだ楽しみは残っていたなァ。……と言いたい所だが……ダメだな」
「ア゙ア゙ッ!?何が……!」
「時間切れだ」
「何を……ぐっ!ア゙アァァ……」
カイドウがそう呟くと俺の身体にも異変が起きる。
”流桜武神,,の活動限界。そう理解した時には遅く俺も元の姿へと戻ってしまった。そして、超強化の反動により著しく力が抜けその場に跪く。
「くそっ……もうかよっ」
「まあ、なんだ……ここまで闘ったがおれも久々に熱くなれた。礼を言うぜ───じゃあな」
そう、お礼を述べたカイドウは金棒を振り上げルフィに目掛けて振り降ろす。俺は辛うじてまだ動く身体にムチ打って無理やり駆け出すとルフィを担いで金棒から逃れる。
「ぐへっ」
「ぐはっ」
しかし、すぐに身体がぐらつき二人とも転んでしまう。その光景にカイドウは呆れた様子でタメ息をを吐いた。
「ハア、これ以上は見苦しいだけだぞ?失望させるな。おれの中でお前らは見事だった。そう思わせたまま死んでくれ」
「誰が……あっ」
その時、俺はひとつの可能性を見出した。
これまでも原作改変は幾つもあった。しかし、主人公のルフィが勝つ。この一点だけは変わらないものだと思っていたが……違った。なら、こうなった責任を取るために一か八か……。
もう、CP0が来ても意味がない。俺が原作をめちゃくちゃにしたせいだというのなら甘んじて受け入れよう。その結果、本来死んでいた奴らは生きているんだ。
ルフィの”ギア5,,不発も俺のせいだというのなら……その責任は俺が取ろう。
「………」
チラッと遠くで倒れているエースに視線を向ける。
こんな状況になってしまったが……俺はひとつ、考えないようにしていた事がある。それは、エースが死なない事によりルフィの精神的成長を妨げていた可能性だ。
肉体面は俺との修行でむしろ原作以上に強くなっていると自負している。しかし、精神面はどうだろうか?
尾◯先生がエースの死はルフィの成長に必要不可欠だと断定していた。大事な人の死を乗り越えてルフィはより強い男へと成長すると。
なら、CP0が来ない今、ルフィが”ギア5,,へとなるためには───
「ルフィ」
「ハアハア……何、だ……?」
「俺はルフィにとって何だ?」
「んなもん……決まってんだろォ……。
「……そっか」
ありがとう。ルフィ、鬼姫様……
俺はヨロヨロと立ち上がり重量が大きい金棒"鬼嫁"を外す。そして……ポーチとグローブも置いた。
これで、もう少しは動ける。
「お、おい……何する気だ……」
「んー、色々滅茶苦茶にしたツケを払いに?」
「何いってんだっ。訳わかんねェよっ」
「ルフィ。勝てよ……」
「まてっ」
ルフィの静止の声を振り切りカイドウへと近づく。
「船長が戦えねェと踏めばすぐに特攻か。てめェのその忠誠心はあの頃と変わらねェな」
「特攻上等。船長の顔ひとつ立てれねェで己の野心もないだろ」
奴との距離までおよそ10m。そこまで近づくと歩みを止め俺はカイドウに言い切った。
「ルフィは海賊王になる男だ」
どこかで聞いたことがある気がしたカイドウは思い出すように俺を見下した。
「……いつぞやで聞いたなそのセリフ。そうかあの時言ってたのはあの小僧の事だったか。だが変だな、あの時にゃ小僧もまだ産まれてねェだろ。未来でも見えてんのか?」
「さあな、未来なんてソイツの匙加減で無限に変えられる。もし、見えてたとしても……この先どうなるかはさっぱりだ」
ホント、今生に産まれてきてから色んな奴の運命を変えてきたな。我ながら褒めてやりたい。本来、死ぬはずだった者達を救った代償が俺の命ひとつで賄えるってんなら……儲けモンかな?
とはいえ、だ……。
「だが、これだけはハッキリと見えるぜ」
「何を?」
「ルフィがお前に勝つ姿」
タダじゃ殺られねェぞ。
「ウォロロロロロ!覚悟ありか!!最後の灯火見せてみろォ!!!」
俺は最期の勝負と地を蹴った。鞘から"花州"と"二代鬼徹"を携え一直線に駆け抜ける。カイドウは"人獣型"へと変わり無数のカマイタチを飛ばす。
「おれの元まで辿り着けるかな?”
「桜木二刀流!!”
この命を懸けて進め!この命を懸けて戦え!!
迫りくる風の斬撃が嵐のように襲いかかる。俺はそれを受け流しつつ掻い潜る。しかし、身体は疲労で死ぬほど重い。
思い通りに動かず次第に鈍る腕はやがて───
───スパン
ガクンとバランスを崩す。何故か急に重かった身体が少し軽くなる。何が起きたかと思えば……右肩から先の腕が消えていた。
「まずは腕一本」
「アルガァァァ!!!」
ルフィの絶叫。ニヤけるカイドウ。そんな中、俺はただこう思った。
───よかったァ。まだ一本残ってる。
「あぐっ!」
「ッ!お前やっぱイカれてやがる」
俺は宙に飛び上がった右腕……を無視し右手から手放された"二代鬼徹"を咥えた。
止まるな!!闘い続けろ!!!たとえこの身が、終わるとしても……!!!
桜木二刀流!!「ゾロスタイル」!!!
腕一本失くなった事によりを比較的身軽になった俺はどんどん勢いを増していき……遂にカイドウの元まで辿り着く。
しかし、既に満身創痍な状態だった俺はここで握力と顎の限界が来てしまい刀を地に落とす。
「力もねェ、武器もねェ……なのにその目は何だ?何を狙っている……ッ!?」
俺はポッケに仕舞っていた"
「さっきおれが撃ち込んだ衝撃を食らわせる気か!!させるかァ!!!」
カイドウが大口を開けてゼロ距離”熱息,,を放つ。通常ならば回避は可能だったが、"貝"を当てることだけに注力していた俺は避ける事が出来なかった。
「ボッ……ォ……ォ゙ォ゙……」
それでも一歩一歩確実に歩み続ける。そう、当てる事だけでいいんだ……。他は考えるな、体力が尽き、気力が尽き、この身が……魂が燃え尽きようとも。
「ッ!!?耐えやがった……!?"武装色"……?いったい何をしやがった!!」
「こ……こん、じょ……う……」
「〜〜ッ!!」
「ウ、ガアアアアアアア!!!」
絞りカスの様な余力を捻り出し咆える。そして、俺は遂にカイドウの身体に"
最初、これ見て一撃受けただけでヒビだと……!?と驚いたな。この破損状態を見るにどうやら撃てるのは一発限りらしい。だが、一発撃てりゃ充分だ。
「まさか隠し玉が"貝"とは。だが、"
「これは"
「何ッ!?」
「てめェの全力の一撃……その10倍だァァアアア!!!」
「───ッ!!?」
10倍。その破格な数字を聞き戦慄する。そりゃそうだ。自身の全力の10倍なんてどれ程の威力なのか最早想像できん。
「喜べ!!てめェのために用意した特注品だァ!!!」
せっかく頂いた物を壊すのは気が引けるが……ワイパー使うぜお前の力!
「”
この瞬間、ドクロドーム屋上全体が激しく揺れた。
しかし、俺は……いや
暗雲の中に、更なる
「アーパッパッパッ!!CP0、コイツがいるなんてスクープだ!!!モルガンズにでも情報を売りつけよう!!」
「ったく、コイツの調子の良さがもはや尊敬するな……。立場上、争いたくないが……おれの正義のためだ!!ここはおれ達に任せて先に行け!!」
「ええ、わかったわ!ロビン、早くこの場から離れましょう」
「そうね……あら?困ったわ、どうしましょう」
「如何がなさいましたロビンさん?」
「それが───
【徒桜】
意味 : 儚く散る桜。または、儚いモノのたとえ。