あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
タグに救済キャラを載せるのはネタバレなんじゃないかと再び考えた結果、一部のキャラだけ載せて他は省略という形に落ち着きました。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
ドンドットット♪ドンドットット♪
緊迫した戦場でとドラムの音と陽気な笑い声が聞こえてくる。
「あひゃひゃひゃ!!」
「アヒャヒャヒャ!!」
ドクロドーム屋上にて、世界最強の生物に相対する2人の戦士が立ち並んでいた。どちらも神々しい真っ白な姿で純白の羽衣を身に纏う。
何より、強敵を前に楽しく笑うこの2人は太陽のように眩しかった。
何か急に楽しくなってきたな。思いつきで試してみたけどまさか本当にニカになれるとは思わなかったわ。さっきのトットムジ化でも俺のやりたかった事を十分できただろうが……。
ひょっとして、俺が絵空事レベルで思い描いていたアレができちゃうのでは?
「ウォロロロロ!!あんな決着じゃ納得できなかったんだ。生きててくれてありがとよ!」
「気にすんな。早く続きをやろうぜ」
「アルガ〜!」
いざ参戦!と行こうとした所でルフィがこっちに近付いてくる。その顔は笑顔ではあるがどことなく真剣味が伺えた。
「おれが倒れちまったばっかりにお前には無茶をさせちまった。わりィ、だけど……もう大丈夫だ。この戦いアイツに勝つまで───おれは絶対に倒れねェ!」
「ルフィ……。そうか、だったら早いとこやっちまおう!これ長い時間は保ちそうにねェしな」
「おう!」
「話は済んだか?」
同時に顔を向けると"人獣型"になっていたカイドウが待ち切れないと言わんばかりにウズウズしていた。てか何か姿変わってね?鱗の色が濃ゆいしどことなく更にデカくなった感じがするんだが……。
「気ィつけろよ?お前が気絶してた間にカイドウの奴更に強くなりやがった」
「マジか」
"人獣型"では見なかった黒い羽衣といい冗談ではなさそうだ。Wニカなら”猿神銃,,なしでも意外とゴリ押しで勝てるかもと思っていたがやっぱ難しそうだ。
まあ、やる事は変わらねェけどな!
「「行くぞ!!!」」
「来い!!”
カイドウの熱線が合図となり俺とルフィが同時に動く。一直線に飛んで来た熱線は途中から弾け無数の蒼炎が飛んできた。
「もう直線的な攻撃は当たらないと踏ん手数で攻める気か?いいぜ、今はかつてない程に体の調子がいいんだ。全部捌き切ってやらァ!!」
それらを掻い潜り何とかカイドウの元まで近づこうとするが、厄介なのは手数だけではなかった。
「っ!危ねェ!?」
斬り落とそうとしたが寸での所で思い留まり回避する。
近づいてくる蒼炎を斬ろうとした所でようやく気がついた。この飛んでくる火球一つ一つがとんでもない熱量を発してやがる。量だけじゃなく質もいいってか。よく考えてみりゃ火の色が青なんだから温度も上がってるわな。
しかも、さらっと技名も”熱息,,から”龍熱息,,にパワーアップしてやがるし。
俺の予想が正しければもう"
「強くなったのは、お前だけじゃないんだよ。今それを見せてやる!」
再び駆け出すと蒼炎は俺にめがけ集中砲火を始めた。
飛び散った炎の軌道が変わった!?エースの”蛍火船霊,,の応用か?器用なマネしやがる!しかし、
「オラオラどうしたァ!!"
もっとも、その拳もただの殴打じゃねェがな。
「コイツ見聞色が上がってやがる。いや、覇気そのものが上がったと見るべきか───んぶっ!?」
「おれを忘れんじゃねェ〜……よっと!!」
俺に気を取られすぎたカイドウはルフィに反応できず一発貰ってしまう。体を回転させその遠心力から強烈な拳がカイドウの顔面を捉えメリ込んだ。
周囲には星のような火花が散りルフィが振り抜くとカイドウはぶっ飛ばされてしまう。
今はまだ技名がないがエッグヘッドで黄猿に使った”白星銃,,だな。実際に見たのは初めてだがやっぱヤベー技だわ。常人が受けたら脳震盪じゃ済まないだろアレ。
負けてられないな。今度は俺の番だ!
ぶっ飛ばされてもピンピンしていたカイドウは辺り一帯吹き飛ばす規模の覇王色を放つ。黒いイナズマに当たらないよう上空へ跳躍すると片腕に覇気を纏った。
「よお、カイドウ。てめェに面白ェもん見せてやる!!」
カイドウは一度死の淵に立ち復活した事で覚醒に到った。俺は元々覚醒してるからその恩恵はないが体質以外に劇的に変わった事がひとつだけある。
それは、覇気が飛躍的に跳ね上がった事だ。
これまでにないほど極限状態だった俺は自分でも驚くぐらい覇気が上がっていたのがわかった。だが、覇気が上がれば当然それに耐えうる強靭な肉体が必要となる。
ま、それはトットムジカの魂を引き継いだ事でカバーできたが───今の状態の俺ならそれを越える出力でぶちかませる。
"魔王"と恐れられた魂との融合により人間の限界を超えた強靭的肉体に加えてニカ化し更なる「腕力」を得た俺から繰り出せる究極の武装色!!!
『確かに"覇王色"の纏いは強力だ。しかし、事戦闘において"武装色"の右に出るものはない!』
ああ、レイリーさん。あんたの言った通りだったよ。今ならわかる、覇王色にも勝るとも劣らない武装色の可能性、その極致───
「”武極色,,「硬化」!!!」
一見ただの武装色による黒腕にみえるが、その実腕から迸る覇気の密度がその秘められた威力を物語る。
「武極色?武装色を極めたとは大きく出たな。武装色を極めるっつーのは、かつての海軍大将でも成し得なかった偉業だぞ?」
その覇気を目の当たりにしたカイドウも目を見張ったが俺の大それた言葉に過大評価だと一蹴する。
「少なくとも、それを知るおれが認めねェ限り……そんなものはただの自称だァ!!」
「だったらその身で体感しな!!親切心でひとつ伝えといてやるが───これまでみたいにプロレス感覚で受けたらタダじゃ済まねェぞ?」
「───!!?」
カイドウめがけ急降下する俺と奴との距離およそ5m。コンマ数秒の刹那の瞬間、カイドウは考えるよりも速く後方へと退がろうとした。
なぜ後退するのか、自身でも分からない様子だった。迫りくる俺の拳を本能で危険と判断したのか。
だがな───手遅れだ。
迎え撃とうとどっしり構えていた体勢からの切り替えしでは多少の威力軽減は望めるだろうが、一直線に向かってくる俺の一撃は躱せない。
カイドウもそれは理解しているのだろう。太陽のように赤いオーラを纏い黒点のように黒い俺の腕を目の当たりにし額から汗を滲ませていた。
その目で見て、その身で受け止め実感しろ。これが俺の"最高地点"と断言した極限の一撃!!!
「”
俺の拳がカイドウの頬に直撃すると、ジュッと焦げる音が聞こえた瞬間───奴は鬼ヶ島の外まで殴り飛ばされていた。
「───ッ!!!?」
視力も上がったのか米粒程にしか見えないぐらい遠くまで飛んでいったカイドウがなぜ自身が鬼ヶ島から出ているのかと困惑しているのが分かる。
威力を軽減するために自ら後ろへ飛んだ事を踏まえても体格差のあるカイドウの巨体を文字通りギャグ漫画のように遠くまで殴り飛ばせたこのデタラメなパワーに俺は改めて実感した。
「すっご……」
人はホントにスゴイものを前にすると語彙力が無くなるんだな。色々と言いたいのにこんな小学生の作文みたいな感想しか出て来ないわ。
「あひゃひゃひゃ!すんげェ〜飛んだなァ〜!おっ、戻って来た」
ルフィが髪から望遠鏡を取り出しカイドウを覗いていると遠くから戻ってくるのが見えた。しかし、これまでみたいに龍の姿で呼んでくるのではなく、”焔雲,,を足場に飛んで来た。
その姿はさながら筋斗雲に乗り空を飛び回る斉天大聖の如く……。
「いや龍と鬼の妖怪みたいな奴が孫悟空のマネすんなよ!」
「ウォロロロロ!!!」
笑い声と共に戻って来たカイドウは頭上で飛び降り俺達の前に着地する。楽しげに俺を見下ろすとヒドく損傷した頬を撫でる。
「一瞬、意識が飛んじまってた。成程……”武極色,,か。強ち過大評価じゃねェかもな……ぐっ!ハァハァ……」
俺の覇気を改めて再評価するとその場に膝をつき金棒で体を支える。しかし、その目に宿る闘志は未だ消えていない。
「いいぜ認めてやるよ。少なくとも、おれの知る中で───てめェ以上に武装色を極めた奴は見たことがねェ」
「最強生物がそう言ってくれるとは素直に嬉しいな。とは言え、これは覇王色の纏いと張り合うために編み出したんだ。そうじゃないと困る」
「ウォロロロロ!言うじゃねェか。だがな、あくまで認めただけだ。それでおれに勝てるかどうかは───別の話だ……グビッ」
「あッ!?」
「ウィ〜、ヒック……」
ひょうたんの酒を飲み酔っ払うとカイドウは金棒を両手で持ち天にかざす。その見覚えのある構えに俺は思わずぎょっとした。
「こうだったかァ〜?”
「ちょっ!?」
それはアカンて!?"盗人上戸"であの技パクんなよ!いや確かに俺もお前の技結構パクってるけどさ!
内心焦りまくるがカイドウが止まらずかざした金棒を下ろし居合の構えととる。そして───
「”
「はや───がっ!は……!!?」
「アルガァ!?」
見聞色で奴の行動は把握していた。だが、俺の反応速度よりカイドウの一撃の方が圧倒的に速く避ける事は叶わなかった。
心配するルフィの声が一瞬で遠退き屋上の端までぶっ飛ばされてしまった。
「イッッッッテェ〜〜〜!!?クッソあの牛ゴリラめ!あんな巨体からなんつー速度で突っ込んできやがんだ!?一瞬頭の上に星が見えたわ!」
かなり飛ばされてしまったな。ルフィとカイドウがまた二人で戦い始めてやがる。俺もすぐに戻らねェと!
すぐに立ち上がり俺は再びカイドウの元まで駆け出すと向かっていく途中で作戦を考え始める。
さて、奴をどう攻略するべきか。原作とは違って今の奴は覚醒状態だ。生半可な攻撃じゃダメージは通らない。”猿神銃,,みたいなバカ強い威力をぶつけなければ。
だからと言って”猿神銃,,は最後の一撃まで取っておきたい。アレは最後の一撃だったからこそカイドウは真正面から受けてくれたんだ。あれ以外の技で奴の体力を消費させないと……。
”太陽の拳銃,,も効いちゃいたが決定打に欠ける。やっぱ二人で連携を取りつつ地道に削って行ってから最後に”猿神銃,,で───
「んんっ!!?」
最後の舞台となるであろう頭上を見上げると思わず足を止めてしまい立ち尽くしてしまう。そう、俺は今更になって空に浮かぶ巨大飛行物体に気が付いたのだ。
「ハアアアアア!!?何だアレ!?雲でほとんど見えないが何か禍々しさが半端ないんだが!!いや待てよ、そういえば……」
ここで俺は三途の川でトットムジカの魂が疲弊し切っていたのを思い出す。てっきりあの場所から俺を救い出すために無理をしたからだと思ったが……。
俺の斬り落とされたはずの腕を見て合点がいった。そうか、魔王と恐れられていたコイツがあそこまで消耗していたのはアレを食い止めていたからだったか。
「しっかしまさかアレがウラヌスか!?初めて見たスゲー……じゃない!!!脳味噌が頭に詰まってないのか!?ここにも古代兵器があんの知ってんだろうが!!」
コイツをここまで追い込められる存在なんて限られているし、初見だがまず間違いないだろうな。ったく冗談じゃねェよ!マジで何考えてんだあの五老害!
ひょっとしてCP0の連中が言ってた早く済まさなければ我々の身が危ないってのはこういう事か!どんだけ俺を消したいんだよ!殺意高すぎんだろ!?
「古代兵器が何だって?」
「いやだからワノ国にもプルトンって古代兵器があって……」
…………ん?俺今誰と喋ってた?
「…………」
「…………」
ギギっと油の切れた歯車みたいに首を回すと何故かカイドウがいた。ついでに後ろからルフィもやって来る。
「いつからそこに……?」
「お前がまた向かって来たかと思えば立ち止まりやがったからこっちから来てやったんだが……」
「へー、はー、ふーん。なるほどー」
「どうしたアルガ?唯一白くなかった顔色が青白くなってるぞ」
ルフィの声は無視し俺はなるべく正常な態度を振る舞おうと口を引くつかせながら一言……。
「今のナシ」
「できるかァァああああ!!!!」
「ですよねェェええええ!!!!」
畜生!モンキー家代々から伝わる処世術が通用しねェ!まあ、通用した試し見たことないけど!
「2年前の頂上戦争からそうだったが、お前の持つその情報は目を見張るモノがある。ウォロロロロ!!!この戦いが終わったら聞かせてもらおうじゃねェか───お前の持つ情報の全てをォ!!!」
おっおおおお落ち着け、別にバレても支障はない。敗けられない戦いから何が何でも絶対に敗けられない戦いになっただけだ!
勝てば問題ない。負けた時のデメリットが増えただけだ!(致命的)
しかし、これはマズイな。空にあんなのがあったんじゃルフィが”猿神銃,,を使えない。つまり、カイドウへのフィニッシュブローが決まらないのだ。
仕方がない。ここは……!
「悪いルフィ。やっぱカイドウはお前に任せていいか?」
「あん?別に構わねェけどお前は?」
「頭上のアレを退かす」
「あ〜、あのデケーのか。わかった!」
ルフィから承諾を得るとカイドウが行かせまいと襲いかかる。
「おいおい、ここまで来てお預けなんてゴメンだぜ!もっと……おれに構ってくれよォ〜ん♡」
「その図体で"甘え上戸"はキツイって!?」
しかし、そんな猫なで声とは裏腹に金棒からは可愛くない気配を感じる。いや、カイドウ自体可愛くはないが。
「”
「うおっ!?」
しまった!?声と技の威力のギャップで反応が遅れた!避けきれ───
待ってくれと言わんばかりに慌てて両手を突き出した。そんな事をしても止まるはずもなく飛んでくる打撃に直撃すると悟ったその時、突如俺の左右から魔法陣が現れ鍵盤の腕が飛び出した。
そして、突き出した両手と連動する様に鍵盤の両腕も伸び打撃を受け止めた。
「何っ!?」
「アルガスッゲ〜!」
「うえ?この腕って……!?」
無意識で出したもんだから俺自身も驚いてしまったが……マジか!今の俺こんな事も出来んのかよ!?
なんとなくトットムジカの力が使えるとは思っていたがただ頑丈になるだけじゃなさそうだな。あっ、そうだ。いい事思いついた。
「あの腕も出せんのかよ!ますます行かせたくなくなった!!もっとおれと戦おうぜェ!!”
カイドウが口から蒼炎の熱線を放つ。今まで避けていたこの熱線に対し俺は避けずに立ち止まる。そして、鍵盤の腕を操りその熱線を……
よっしゃビンゴ!アッハッハッハ〜!さっきはこの熱量にびびっちまったがこれならイケる!
トットムジカの力だけじゃ出来なかっただろうが、ニカ化し全てにギャグ補正のかかった今の俺なら掴めると思っていたぜ!!
てめェの炎、利用させてもらう!
「
魚人柔術はまだ教わってないし
「”
鍵盤の腕で掴んだカイドウの熱線は軌道を変え天に向かって飛んでいく。そして、その熱線は頭上の古代兵器に直撃した。
「アッヒャヒャヒャ〜!!的がデカすぎてどこに投げても必中!!そんじゃ後は任せた!!!」
「おう!任せとけ!!」
「行かせ───ッ!?」
「”ゴムゴムの〜
俺は”飛龍翔,,でイムビームの所まで飛んでいく。そんな俺を行かせまいとカイドウが追撃をかけようとするがルフィ巨大化しカイドウの行く手を阻む。
「ししし、アルガの邪魔はさせねェぞ!」
「デケェ!?」
巨大化したルフィは陽気に笑いカイドウを食い止める。よし、これなら上に集中できる。
俺だってカイドウと戦いたい気持ちはあるが……。
頭上の古代兵器を見ているとトットムジカの弱りきった魂を思い出す。そして沸々と怒りが込み上げてきた。
俺の"友達"を傷つけてただで返すワケねーだろ。
「到着っと、近くで見るとホントに馬鹿デカイなァ。雲でほとんど覆われて全容は見えないが……」
知ってるぜ?これは"マザーフレイム"っつーエネルギーが必要で今はもうそのエネルギーが不足してきてるのはなァ。
後はマリージョアに戻るための動力ぐらいしか残っていないんじゃないか?だったら何も恐れることはない。だたデカイだけのサンドバックじゃねェか。
戻る前に壊せるだけブッ壊してやるよ!
「桜木二刀流!!”
一点集中にした突きによる飛ぶ斬撃。それを雨のように撃ち込む。これまでの俺じゃ散弾銃ぐらいの威力だったが今なら一発一発が迫撃砲の砲弾と同等以上の威力で叩き込める。
このままスクラップにしてマリージョアに返却してやるよォ!
そう息巻く俺だったが、急に空が明るくなる。厳密に言えば、頭上にいる古代兵器の一部から眩い光が照らされる。
まさかこの光っ───
───ズドォオオオン!!!
更に光が強くなったと思った瞬間その光は俺めがけ飛んできた。咄嗟に俺は考えるよりも先の身体が動き金棒で光を
「どォッほ!?ンギギギギ!!おっんも!?」
まさかまだレーザーを撃ち込む余力が残っていやがったとは……!だが、これは愚策だったな。今の俺はルフィ同様に火や雷みたいな非物質だって掴めるんだよ。
こんな搾りカス光線なんざお返ししてやる!
「ホ〜〜〜〜ムラン!!!」
カキィン!と音は流石に鳴らなかったが、見事に打ち返すことに成功するとそのレーザーは一直線に戻って行き着弾する。
しゃあザマァみやがれ!……ってオイオイまだ来るのかそれも複数!?
内心ガッツポーズをするも再び起動し始めたのか雲の中から幾つもの光が見える。しかし、光の場所は疎らで全てのレーザーが起動しているワケではなさそうだ。
さっきのが試し打ちと考えると、これが最後の砲撃になりそうだな。避ければ下に居る鬼ヶ島の皆が危ない。全部打ち返す必要がある、と。うん……。
「いやいや無理だろ!一発打ち返すだけでも大変だったのに!何か方法を考えねェと!何かないか?クッソ俺がもっといっれば……」
むむ、俺が……?ッ!それだ!
ひとついい方法を思いつくと、頭上ではエネルギーを溜めているのかさっきよりも光が強くなっていた。その様子を見て俺は自身の髪に手を突っ込む。
真っ白だが炎の様に揺らぐ俺の髪を引き抜いた。
「せーの!フーッ」
引き抜いた髪を吹きかけて飛ばすとその髪の一本一本が肥大化し俺の姿へと変貌する。まるで西遊記に出てくる斉天大聖の技のように。
『アヒャヒャヒャヒャ!』
「マジで出来ちゃったよ」
髪の毛から作られた俺の分身体が次々と笑いながら現れる。出来るかどうか半信半疑だったが流石ニカだな。俺のやりたい事が何でも出来てしまう。
「さっきのカイドウを見て思いついたのは釈だがな」
でも、そのお陰で何とかなりそうだ!
「行っくぞ〜!!お前らァ!!!」
『オオ〜〜〜〜!!!』
俺達が金棒を振り被ると空から幾つもの光線が降り注ぐ。しかし、エネルギーが枯渇しかけて碌な出力もない弱々光線を幾ら打ってこようが……!
「少し球が速いだけのバッティングセンターと大差ない!!!」
『ホ〜〜〜ムラン!!!』
───ガッ!!!ズドドドドドドォォン!!!!
全弾撃ち返した光線がウラヌスに直撃。流石に堪えたのか所々から煙が噴き出しショートしていた。
すると、少しづつ上昇していき雲の奥へと入っていき───ウラヌスの姿は完全に見えなくなった。
「いよっっっっしゃ〜〜!!!俺の勝ちだ残念だったな政府共め!!アヒャヒャヒャヒャ!!」
ボロボロに損傷したウラヌスを見て愕然とする五老害の悔し顔が目に浮かぶぜ!あわよくばその顔を見て嘲笑いたかったなァ。マ〜ジ〜で〜ザ〜マ〜www
まあ、追い返せたのは偏にお前が頑張ってくれてたお陰だがな。エネルギー満タンの状態だったら俺ひとりじゃ敵わなかっただろう。ありがとうなトットムジカ。
ドンドットット♪ドンドットット……
「ん?何だ、心臓の鼓動が……」
ドンドット…ドントッ…ドント…ドクン…ドクン…
「ウッ!?ハアハア……ニカ状態は消耗が激しいな。もう限界か……ぐっ」
心臓の音が通常に戻るとみるみる元の姿へと戻ってしまった。そして、尋常じゃない疲労感が襲い空から一気に落下してしまう。
「ぐおっ!あっぶねェ……」
辛うじて体勢を整え無事に着地する。疲労がすごいがまだ動けるみたいなのですぐに立ち上がりルフィの所へ戻ろうとした。
だが、そこへひとりの男が立ち塞がる。
「ここは行かせない」
「うげ、ゲルニカ」
「驚いた。カイドウと戦ってまだ生きていたとは」
ここへ来るのにも一苦労したのだろう。ゲルニカは所々キズを負っており息が上がっている。ここへ来た理由は知っていたのでさっさと片付けよう。
「お前がここへ来た目的はわかってる。俺とルフィの命だろ?悪いが諦めな。今回、あんたら政府の任務は完全失敗だ」
「何だとっ!!」
「五老が……星が危惧していた"ゴムゴムの実"は覚醒した。CP0に加え古代兵器を使ってまで俺を消そうともしていたがたった今その兵器も追い返した所さ。わかるか?もう、お前らは詰んでんだよ」
「───ッ!!?バ、バカな……アレを退けたと言うのか……!!?」
バッと空を見上げ既にいなくなっていた古代兵器に気付き呆然とする。古代兵器はワノ国ごと俺を消し去るつもりで使用したというのにそれが叶わなかったゲルニカは言葉を失う。
しかし、それでも諦めまいと俺に敵意を向けてくる。
「たとえそうだとしても我々イージス0は必ず任務を遂行する。それに、これは個人的な考えだが───ここで貴様を消さねば近い未来世界政府を脅かす……そんな気がする」
それは、何の確証もない言葉だったが……不思議と確信めいた言葉にも聞こえた。近い未来に時代のうねりと共に世界を巻き込むほどの巨大な戦いが起こると言われていた。
その戦いこそ世界政府にとって最大の戦いとなるのだろう。そして、その戦いに俺がどう関わっていくのか……それはわからないがこれだけはハッキリ言える。
「ゲルニカ、お前の言う通りかもしれない」
「何……?」
「俺はこの航海でルフィを海賊王にするのが目的だが……それともうひとつ、やりたい事がある」
「やりたい事だと」
「ああ」
俺はゲルニカに……世界政府相手に宣言した。
「五老星を含むマリージョアにいる全ての天竜人を神の座から引きずり下ろしてやる」
俺が今放った言葉は、それは紛うことなき元奴隷からの宣戦布告である。
「なっ!!?」
「父さん、母さん、タイガーさん、くまさん、ジニー、ボニー。俺の大切な人達をヒドい目に遭わせたお前らを───俺は絶対に許さない」
「それは口にするのも許されない大罪だ!!やはり貴様はここで消さねばなるまい!!!」
ゲルニカは人差し指に武装色を纏わせ”剃,,で姿を消した。そして、俺の背後から硬化させた指で心臓を狙うが……。
「”
「ぐあっ!?この技はっ!!」
突然炎が襲ってきてしまい避けるために俺から距離をとったゲルニカは炎が飛んできた方向を向く。するとそこにはエースがいた。
「エース!!」
「アルガ!!コイツはおれに任せてルフィの所へ行け!!!手出しはさせねェ!!」
「おのれ海賊王の血筋め!!」
「ア゙ア゙?誰の血筋だコラ消し炭にすんぞ!!」
ゲルニカの言葉にブチギレるエース。
相変わらずロジャー嫌いだねあなた……。でもまあ、ここでの助っ人はありがたい。ニカ化してかなりバテてきてたからコイツで無駄な体力を消費させたくなかったんだ。
ここはエースの好意に甘えて先へ行こう。
「ありがとうエース!!」
「おう!!お前も早いとこカイドウをブッ倒して来いや!!!」
「待てェェェ!!!」
エースと言葉を交わした後ゲルニカの言葉を振り切りルフィの元へと駆け出した。とはいえ、二人の戦いは次元を超えており広い鬼ヶ島の屋上を縦横無尽に駆け回り戦い続けている。
ニカ化が解けた俺がどこまで着いていけるかわからないが……ここで引いてちゃダメだよな。
「ルフィィィィイイ!!!」
「アルガ!見てたぞ。あのデケーのどっか行っちまったな。スゲーなお前!!」
「ああ、これで残るは……」
「「カイドウをブッ倒すだけだ!!!」」
「威勢がいいなお前らは!!だが、そろそろ都も近い。楽しかったが決着をつけよう!!!」
そういいカイドウの体から熱気が放出される。あまりの熱に思わず後退する俺達だったが、カイドウの更なる変貌に足が止まる。
熱気が炎へと変わり全身を覆う。メラメラと燃え上がる炎は更に温度を上げグツグツと煮えたぎっていった。そして、まるでマグマの様な炎を纏ったカイドウは咆哮を上げた。
「ウォロロロロロロロ!!!」
「あっつ!?この距離からでも伝わって来やがる。何て温度だよ。こっからまともに近づく事すらできねェなんて……!」
しかも、なんか既視感があるなと思ったらアレ最後に見せた”火龍大炬,,じゃねェか!?"人獣型"でもその技使えたのかよ!
「さあ、
「来るぞ!!!気をつけ───」
見聞色で10秒先までの未来を見た。……ハズだったがそこには何も映っていなかった。暗転し10秒間ただひたすら視界がブレ続ける未来。
何故そうなっているのか?その答えは───目の前の迫りくる金棒が教えてくれた。
「ブッ!!?」
「アル───」
「ウォロロロロロロロ!!!!」
狂気じみた笑い声と共にただひたすらに熱の篭った金棒で俺を蹂躙する。そう、未来で何も映らなかったのは10秒間無慈悲に叩きつけられていたからだ。
当然、スピードもパワーもこれまでの比ではない。回避、その思考すらさせてもらえぬ内に殴られてしまった。
「グホッ!?ンギッ!!ガハッ!?ア゙ァ゙ッ!ング!ッ!?ッ!!ッ!」
「そォ〜れッ!!!」
「ガッ……は……!」
しばらく殴られ続け最後は盛大にブッ飛ばされてしまった。チカチカする視界の中、マグマカイドウは口を開き俺に照準を合わせる。
まだ……狙うか……!ダメだ……体が……動か……。
「やめろォォオオオ!!!」
トドメを刺そうとこれまで以上の高熱のブレスを放とうとした時ルフィが拳の火傷も厭わずカイドウの顔をぶん殴る。
それにより照準がズレ熱線は紙一重で当たらなかった。何とか生き延びた俺はそのまま地面に転げ落ちる。
「うぐっ!ハアハア……げふっ!」
何て威力だよ……。トットムジカの力で頑丈な肉体に成ってんのに……まるで発泡スチロールみたいに俺の体をズタボロに……。
いや、むしろ前の俺だったら即死だったと考えるべきか。改めて世界最強の生物なんだなって思い知らされる。
やっぱり、このままじゃダメだ!
「ル"フィ……!」
「アルガ!!無理すんな!!後はおれがやっから!!」
「ダ、メだ……。お前には最後にやってもらいたいことがある」
「おれに?」
「ああ、一撃だ。今残ってる力を全て一撃に込めろ。ズルズルと長引かせても先に倒れるのは俺達だ」
ルフィの息も上がってきている。当たり前だ、限界なんてとうに越えているんだ。これ以上長引かせるワケにはいかない。
原作でも覚醒前のカイドウとギリギリだったんだ。俺が今から行うべきは覚醒状態のマグマカイドウを消耗させ通常の状態に戻してルフィにバトンを渡す。
そのためには……。
「その前に頼みがある。もう一度俺を"自由の姿"にしてくれ」
「ええっ!?だけどお前はもう……」
「わかってる!だけどそれはルフィだって同じだろ。だったら俺にも無茶させろ。大丈夫、エースと約束したんだ───もう、悲しませるなって」
「ッ!!そうか……わかった!」
俺が応えるとルフィはニカッと笑い俺に向かって拳を振り被る。そして───
「”ゴムゴムの〜
俺の心臓は、再び"解放のドラム"が鳴り響く。
───ドンドットット♪ドンドットット♪
「”
「またか。だが面白ェ……!!またあのパンチを食らわせてくれんのかァ!!」
俺もとっくに限界を越えている。この状態を維持できるのも10秒とないだろう。できるのは一撃だけ……これが最後のチャンス。ここを逃せば勝機はない。必ず決めてみせる!
俺の全てを───この一撃に賭ける!!!
覚悟を決めた直後、俺の体に異変が起こる。ニカ化し全身純白の姿となった俺の背中から白い翼が生え更に背中から白い炎が燃え上がる。
『おれも』『私も』『もっと』『力を!』『あれ?』『羽が白くなっちゃった』『火も白い』『何でだろ』『でも不思議と力が湧いてくる』『これなら!』『敗けないで!』
トットムジカ……ありがとうな!最高の友達だぜ!
「”武極色,,「硬化」!!!」
「また少し姿が変わったか?まあいい、最高のド突き合いをしようぜ!!!」
「そうだな。これが最後だ───悔いのねェ一撃をぶつけよう!!!」
マグマカイドウはマグマのような炎を纏わせ巨大な金棒を振り被る。それに吊られるように俺も背中の白炎が大きく燃え上がり、その炎は俺の金棒へと纏われ巨大な白炎の金棒へと変わる。
そして、両者の振り被った金棒が今───
「”
「”
───己の全てを乗せて、激突した。
二人を中心に台風のような余波が巻き起こり、周囲に覇気が迸る。拮抗し続ける両者は決して譲らない。
「グ、ォオオオオオオオ!!!」
「ガ、ァアアアアアアア!!!」
しかし、ここへ来て地力の差ができたのか徐々に押し始める。カイドウが……。
「よくここまで戦った。だが、お前におれは倒せねェ!!!」
「クソッ!!ハアアアアア!!!」
決死に押し返そうと更に力むがそれでも押され続けてしまう。このままでは……。
「おれはこの戦いに勝ち、世界を変える!!真の「自由」と「平等」のある世界を!!!お前はいったいどんな世界を作れる!!?アルガァアア!!!」
「どんな、世界……ッ!!」
俺が世界をどうのとか考えたこともなかった。俺自身、世界を変えられるなんて大それた人間とは思えない。ただの一ワンピースファンであり、麦わらの一味で……。
───鬼姫様の従者なだけだ。
「悪いが……そういうのは、俺には重すぎる」
「何ィ〜?」
「だが、強いて言えば───」
『えと、おじさん……誰?』
『今日はどんな話をしてくれるの!』
『おじさーん!』
『ふふっ、ぼくの従者なら頑張って毛布をかけてよね』
「俺は鬼姫様の笑顔が見れる世界を作りたい!!!!」
「───ッ!!!」
俺を救ってくれた鬼姫様の笑顔を思うだけで無限に力が湧いてくる。そうだ、あの人の笑顔のためにも……。
「その!ため……にもォォオオオ!!!」
「何だっ!?急激にパワーが……!!?」
鬼姫様に毛布をかけるためにも───
「俺はお前を越えて行く!!!!」
押されていたハズの俺の金棒はいつの間にか……カイドウの金棒をぶち壊していた。
「ウ!!!ォォオオオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!!」
金棒の破壊を皮切りにマグマの装甲が消え黒い羽衣は霧散し紺色だった鱗は薄い青色へと変わり通常の姿へと戻っていった。
そして、元に戻ったカイドウは白炎を纏う金棒をくらい天高く打ち上げられたのだった。その光景を見て目的を達成した喜びに震えると緊張が解けてしまい同じ様に俺も元の姿に戻ってしまう。
「へ、へへ……やってやった、ぞ……」
もはや立つ余力も残っていなかった俺はそのまま後ろに倒れ空を仰ぐ。まだカイドウを完全に倒したワケではないがどうしようもなく安心した気持ちでいっぱいになる。
「やっぱスゲーわルフィ」
そう思わせる程に───ルフィの拳はデカく圧倒的だった。
「鬼姫様、もうじきです……」
ワノ国の夜明けも───あなたの夜明けももうじき見えます。その時は…………あれ?
夜明けは近いハズなのに、真っ暗で……何も見えないや。
「ルフィー!!すごいよ!キミ達ほんっっとにすごいっ!!!あっ!エース!!キミも無事だったんだね!」
「まあな、しっかし……本当に倒しちまうとはな。流石はおれの弟だ」
「ほんとにね!!そういやおじさんは何処だろ?途中までカイドウと戦ってたハズだけど……あっ」
「どうした?見つけたのか?アイツどこに……っ!」
「おじさん……?」
流石に自分でも呆れてしまう。
「一日に二度も三途の川に来るってどうよ?」
何回死にかければ気が済むんだよ。マズイなー、悲しませないってエースと約束したのに……。
どうすればよいのか頭を悩ませていると何もない所から火が現れる。それだけなら別に驚きはしない。俺も似たような事できるし。
だけど、どうもその火はただの火ではなさそうだ。大気を燃やして広がっていると言うより……この次元そのものが燃えているような。
次第に火は大きくなり燃えカスとなった所から真っ暗な空間が現れる。そして、その中から
その雑誌を手に取ると全てを察した。
「二次創作で死んだ主人公が異世界に転生する話はよあるが……成程、これがここの転生システムなのね」
この雑誌……少年ジャンプは見覚えがあった。そう、これは俺が死ぬ直前まで手に持っていた物だ。
物語によって転生する方法は様々だ。神様が転生させたりトラックに引かれたり過労で倒れたり……。
んで、俺の場合は死ぬ直前まで手に持っていたこのジャンプの作品に転生することができる、と。俺があの時いた真っ暗な空間はいわば「転生の間」と呼ぶべきか。
転生するために不要な感情がごっそり抜け落ちるあの感覚……今でもゾッとする。よく転生する際にすんなり自身の死を受け入れている主人公を狂気じみてるなーと思った事があるが、まさにあの時の俺も同じ思考だった。
この雑誌も何やら急かしてるように感じる。死んだのならさっさと次の世界に転生しろと言ってるような。でもな……約束したんだよ。
「もし、仮に転生させる神様がいるとしよう。んで、この雑誌があんたの問いかけだとすれば───俺の答えはコレだ」
手に持つジャンプを俺は───三途の川に投げ捨てた。
「たとえもう転生できなくても構わない。死んでワンピ世界の黄泉の国へ行くことになっても受け入れよう。だがな───ここで出来た関係を捨て去る選択は絶対にしねェ。俺はこの世界で生きていく」
ここで俺は大事な人が沢山できた。誰かが作ったニセモノの世界だったとしても、俺にとってこの世界の皆はホンモノなんだよ。
だから、次なんて要らない。大切なものはもう……ここにある。
俺の想いが伝わったのか目の前の火は小さくなり……真っ暗な空間は消えていた。そして、何もない所で一言だけポツリと呟いた。
「断っといて言うのもあれだけど……何もなかった俺に新しい人生を与えてくれて、ありがとう」
目が覚めると目の前には俺の大切な人が映っていた。
「……っ!?〜〜ッ!ッ!!」
何か言いたげだが感情が高ぶり涙を堪らえようとし上手く言葉が出ない様子なので俺の方から笑顔で今の気持ちを伝える事にした。
心配させてスミマセン。もうあなたを悲しませはしません。など伝えたい言葉は沢山あったが、まず最初に言いたかった事がある。
20年間ずっと寂しい思いをさせてしまったあなたにどうしても伝えたかった言葉……。
「ただいま鬼姫様」
どうも皆さんもしロマです!
54話をご覧くださりありがとうございます!
遂に決着!!アルガにとって最大の戦いはこれにて幕を閉じたのだった。そして───
次回、本編最終回!!!
それではまた会いましょうではでは~( ´ ▽ ` )ノシ