あなたにもう一度毛布をかけるため《物語修整完了》 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
今年もいよいよ終わりですね。
そんな訳で今年最後は2話続けて投稿致します!
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
先生を守る様に海軍の前へと出る私とビンズ。
相手の戦力は計り知れない。見渡す限り海兵が至る所にいる。しかも中には中将などの強敵もおり大将黄猿まで……。
こんな軍勢を相手に先生はたった一人で……。
「アイン!?ビンズ!?何故戻って来た!!?お前らの敵う相手じゃない!!逃げろォ!!!」
「「嫌です!!!」」
「なっ!!?」
これまで先生の指示に忠実に従ってきた私達が拒否した事に驚愕する先生。こんな状況だと言うのに普段見せない新鮮な反応に思わず笑みを零す。
そこに先ほど「一般戦闘員R」と名乗った男、鬼の戦漢は先生の前に座り懐を弄る。そして……。
「あまり怒らないでやってくれ。あいつらを焚き付けたのは俺なんだ。まあ、ここにいるのはアンタが不甲斐ないからってのもあるがな」
「お前まで!何であのまま逃げなかったんだおれはケジメをつけるために」
「死ぬことがケジメってか?ただ楽になりたいだけだろ」
「っ!!」
先生は鬼の戦漢の言葉に肩を震わせる。すると肩を掴まれ真剣な眼差しで見つめた。
「男なら最期ぐらいかっこよく逝こうと考えるのは分からんでもない。だがな、ケジメを理由にかっこよく最期を飾る暇があんなら最期まで足掻き続けやがれ。そんで泥臭くてめェの人生を歩み続けろ。それがホントのかっこよさってもんだろ」
手を離すと奴の手には一本の酒瓶が握られていた。それを見て先生は目を丸くする。
「あ、お前それは!」
「一番かっこいい酒だっけ?今のお前には勿体なさ過ぎる代物だな。つー訳で……俺が貰うぜコレ」
先生の好きなお酒である「シェリー」をくすねた鬼の戦漢は私達と見合わせる。
「後は任せたぞ」と言っているように。
「気をつけろ!何か来るぞ!!」
鬼の戦漢は海兵を一望すると周囲は警戒心を上げる。次の行動次第で乱戦が始まりそうな雰囲気に一同息を呑むと……。
キュポン。
「ゴキュ……zzZ」
『エェエエエッ!!?寝たァ〜〜〜〜ッ!!!?』
酒瓶を開け一口含んだ瞬間その場にバタリと倒れ寝てしまった。まさかの行動に海兵達は驚いてしまう。
と言うよりビンズも驚いてる。私は彼がお酒に弱いのを知っていたからある程度予想はできていたけれど……でも一口で潰れるとは思わなかった。
あの時も思ったけれど弱過ぎでしょ……。
熟睡している彼に呆れながらも私は周囲を警戒する。困惑はあるがすぐに気持ちを切り替え輪帯態勢に入っている。
私達は眠ってしまった彼を見つつ少し前の話を思い出す。
『相手は万全の状態で待ち構えていた海軍だ。中将は何人もいるし大将もいる。ぶっちゃけ今のままじゃ確実に殺されてジエンド───だから"1分"だ。1分間お前らには2人だけで俺とゼットを守って貰う』
……と言ってたけれど。
「いざ前にすると物凄い重圧感ね。足が竦みそう」
「モサ?ならば拙者一人で任務を遂行いたすか?」
「冗談、これぐらい……先生を失う恐さに比べたら」
屁でもない。必ず守り通す!
「やるわよビンズ。───死なない覚悟で」
「モサ!!」
鬼の戦漢が起きるまで後50秒。
「この状況で寝るだと……我々を舐めているのか!?ならお望み通りその寝首掻っ切ってくれる!!かかれェ!!!」
『ウォアアアア!!!』
中将の一人、ドーベルマン中将がこの場の海兵達に指示を送ると一斉に襲いかかってきた。
物凄い数だが……。
「モサモサモサァ〜!!!」
「うわっ!?何だこれは……植物!!?」
「クソッ!ツタが絡みついて動けないィ!!」
「何とか切り外さないと───ウワア!?」
身動きが取れなくなった海兵を狙い次々と体に触れていく。すると姿はみるみる幼くなり隊服がブカブカになる程に幼くなった。
1回タッチで若返るのは12歳前までだけど、連続で触れれば年齢は一気に下がる!
後40秒……。
「気をつけろ!!あの女に触れると子供に変えられるぞ!!」
「アイツ……!!だったら距離を取りつつ銃で撃ち殺せェ!!!」
接近するのは危険と判断しすぐに遠距離からの射撃に移り変わる。だけどね、その戦術はファウス島とセカン島でも経験している。
守る範囲が狭ければ……!
「撃てーーッ!!!」
「ビンズ!!」
「モサモサモサ〜〜ッ!!!」
次々と撃ち込まれる銃弾と砲弾の雨。しかし、ビンズの能力で太い植物を次々と生やし強固な盾となる。
「な、何と言う強度だ!?ただのツルじゃない!」
銃弾どころか砲弾すら届かないビンズの植物に驚く海兵たち。そうよ、戸惑いなさい。私たちの目的はあくまで時間稼ぎ。
後30秒……!
「ダメです!銃が効きません!!」
「かまわん!!撃ち続け……あっつ!!?」
「”モドモド,,!!!」
ビンズの植物でガードしつつ私の能力で海兵達の足元を溶岩に戻す。手で触れる時ほど時間を遡ることは出来ないけど、ここら一帯の地面や岩を溶岩に戻す程度ならモドモドのエネルギーを飛ばすだけでも十分!
怯んだ今がチャンスだ。もっと追撃をかけて時間を稼ぐ!
後20びょ───
「アイン危ない!!伏せろォ!!!」
「えっ!ビン……キャッ!?」
突然背後からビンズから突き飛ばされ倒れ込む。いったいどうしたのか上体を上げると……。
「「”
いよいよ中将達が出張って来てビンズの植物をいとも簡単に斬り倒される。ビンズと共に……。
「ゲボッ!!?」
「ビンズ!!?」
「お前達の過去は知っている。同情もしよう。だが、正義に背いた者は例外なく粛清する!」
植物の盾がなくなりモモンガ中将が刀を構えビンズを捉える。すぐに助けに向かおうとした時手首にカチャリと金属音が聞こえた。
と、同時に言いようのない脱力感に襲われ膝を着く。自身の手を見ると……手錠をかけるオニグモ中将がいた。
「これ以上我々の手を煩わせるな。もはや貴様らに未来などない」
「これは……海楼石っ!!?」
マズイ!これではもう能力が使えない……!いやそれよりも今はビンズが危な───
「モ"ザッ!!?」
「ビンズーッ!!!」
ザシュッ!と肉が斬られる音と共に鮮血が飛び散り頬に彼の血が垂れる。どうしよう早く助けないと!
アイツが起きるまで後何秒だっけ?ああもう頭の整理が追いつかない!このままじゃ皆殺されてしまう。何とかしないと!でも、どうすれば……!
「能力は封じた。忍者のNEO海兵も斬り伏せた。なのに何故まだ抗おうとする?貴様の何が希望へすがりつく?───あの男か?」
「ッ!!」
オニグモ中将の言葉に肩を震わせる。その態度に確信したのかオニグモ中将は眠っている彼の方へと向かって行く。
「何者かは知らんがこの戦場の中、眠り惚けるなど巫山戯た奴だ。だが、奴に何かしらの期待を寄せているのなら……その根ごと葬り去るまで!!」
眠っている彼に飛びかかったオニグモ中将の背中から6本の腕が生え合計8本の刀が彼に突き立てられる。
「くっ!!」
その時、私は考えるよりも先に体が動いた。
「ッ!小賢しいぞ小娘が!!」
砲弾を撃てる特注銃を乱射し意識を向けさせる。そして、鉛のように重たい体を動かしナイフでアイツの前へと走りこれ以上オニグモ中将を行かせないように立ち塞がる。
「何の、つもりだ……?」
「ハァッハァッ!ここから先へは……絶対に行かせない!!!」
「阿呆が、どちらから殺すのも大差ないと言うのに。そんなに死にたければ望み通りにしてやろう!!!」
オニグモ中将の8本の剣が一気に私へと振り降ろされる。避ける力も残っておらず、ただ受け入れるしかない私は目を瞑った。
先生っ!
───ガキィィイイイン!!!
「よくやった。若いNEO海兵」
「えっ?」
覚悟していた痛みが襲ってこない事に違和感を憶え目を開くと……私の前にオニグモ中将の斬撃をアイ受け止めるアイツの背中があった。
「お前が命を懸けて生み出した"勇気ある数秒"は、良くか悪くか……たった今、世界の運命を大きく変えた!!」
アッハッハッハ!!一度は言ってみたいセリフシリーズのひとつをいってみたが……ん〜〜!気持ちいい〜〜!
悦に浸っていると向かい合っているオニグモ中将が声を荒げる。
「貴様、眠っていた筈じゃ……!?」
「うん寝てたよ。俺ってば酒弱くてさァ〜。そんでもって敵意に敏感な体質でもあるからどんなに寝ててもす〜ぐ起きれちゃうんだよなァこれが」
まあ、睡眠中に敵意で起こされるから寝起きは最悪だがな。
「それにしても、よく1分間守りきったな。流石だよお前ら。後は俺に任せとけ」
「アル……R。本当に戦えるの?」
「今名前呼び間違えそうにならなかった?」
ここまで正体隠したのにあっさりバラたら恥ずかしいぞ?頼むからボロは出すなよ?それと……。
「問題なし。しっかり1分寝れたからな。全快とは言わんが体力は回復したぜ」
「いや、たった1分じゃない」
「お前1分の睡眠をナメてるな?」
ルフィも原作で二度のクロコダイル戦後に血流しすぎて倒れたけど1分寝たら回復してたし問題ないだろ。それに、こう見えて俺は超ショートスリーパーだしな。
さて、と……!
「オラァア!!」
「グッ!?」
両手の刀に力を込め8本の斬撃を振り払う。今ので俺をただのザコではないと認識したオニグモ中将は一度距離を取った。
「”
「ウオッ!?」
その隙にビンズを取っちめていたモモンガ中将に攻撃し二人を離らかせた。ビンズを取り返しアインの元へ戻り手に嵌められた手錠を"武装色"で握り壊す。
「えっ!外れた!?」
「アイン!!ビンズとゼット……総帥を連れてここから離脱しろ!お前の能力なら後の氷の壁に穴開けられんだろ!」
「え、う、うん!でも、貴方は……!?」
「時間を稼いだ後頃合い見つけて勝手に逃げる!」
「そんな!!あの軍勢を1人任せるなんて!!」
俺ひとり残して行くのは後味が悪いのか躊躇しているがそんな余裕はない。
手っ取り早くアインを説得する。
「お前らは俺との約束を守った。だから今度は俺の番なんだよ。わかったら行け……ッ!!?」
俺の身を心配するアインを説得していると空から光線が飛んで来た。
───ピュン!!……ヒュイン。シュ〜…
「あっぶねェェ……」
「バカな!?大将黄猿の攻撃が吸収された!!?」
「おォ〜、その手袋見覚えがあるねェ〜」
事前に"
「黄猿大将!!」
「退いてなェ〜!」
「黄猿が来る!!お前ら急げ!!!」
「〜クッ!わかった!!死なないでね!!!」
少し強めに言うとようやく決心がついたらしくアインは頷きモドモドの能力で氷の壁に穴を開ける。そして、何とか立ち上がったビンズと共にゼットを連れてこの場を離脱した。
「”
「”
天から光の雨が降り注ぐ。それを回避するために自身を強化させ一気に駆け出した。向かうは海兵が密集している所。
「ウワア!?こっちに来るぞ!っておいおい!?」
「ちょっ!?黄猿大将!!我々がここにギャアアア!!?」
「ウオッとと〜。小癪だねェ〜」
光線が味方に当たってしまい攻撃を中断する黄猿。範囲攻撃が広すぎるのも考えものだよなァ。
と、そこへ今度は中将の猛追が襲う。
「次は斬り刻んでやる!!!」
「そういやアンタには2年前世話になったな」
オニグモ中将の斬撃を見切り"
「ぐおっ!?今の、はァァ……ァ!?」
ビームで集中力を削がれ背後を取られたオニグモ中将は手首にガチャリと何かを嵌められまたたく間に力を抜かしてしまう。
「これは私の……いつの間に!?」
「アッハッハ〜♪ゴメンねェ〜、俺ってば手癖悪いからさァ〜」
「まさか、あの時か……ぐっ!」
さっきアンタの剣を受け止めて薙ぎ払った時に懐に入ってたのを頂いちゃいました。これのせいで2年前の戦場ではマジで追い詰められたからな。
つってもコイツの手錠だから鍵も持ってるだろうしすぐ外されるだろう。なのでその前に!
「恨み辛みの……”
「ぐはああっ!!?」
『オニグモ中将っ!!?』
無防備な状態から重い一撃を食らいオニグモ中将は遠くまでぶっ飛ばされる。その光景を見ていた海兵達は愕然としたいた。
よっしゃリベンジ成功!やられたら必ずやり返す!それが俺よ!
「ハアッ!!」
「おっと!今度はモモンガ中将か!」
「おのれ!よくもオニグモを……!!」
何だかんだでコイツとは結構戦ってるよなァ。いや、それだけじゃないか。
流石にオニグモ中将がやられ焦ってきたのかモモンガ中将を始めドーベルマン中将やダルメシアン中将にヤマカジ中将まで……まるで中将のバーゲンセールだな。
「寄ってたかって皆で袋叩きとか正義が聞いて呆れんぞ。人の心とかないんか?」
「うるさい!!”
「”
ダルメシアン中将の”指銃,,が飛んで来るが掌底で受け流す。そして、一瞬呆気に取られるダルメシアン中将の顔面に蒼炎の拳を繰り出した。
「何っ!?」
「”
「ゴハァアアッ!!?」
殴られた腹部からジュッと焦げる音が聞こえた瞬間地面に何度もバウンドしながら向かいの岩盤に衝突しメリ込んだ。
「ダルメシアン中将まで……!!」
「クソッ!!一斉にかかるぞ!!」
「ああ───ぐっ!?眩しっ!!」
今度は全方位から同時に仕掛けてきたため俺は目眩まし程度に微調整した"光貝"で周囲は照らす。思わず目を瞑り一瞬怯む中将達だが、それは彼らにとって支障はあまりない。
「子供騙しだな!」
「中将以上の将校は皆"見聞色"を持っている!!」
「時間稼ぎにもならんぞ!!」
「わかってるよ。だけどさァ……」
それって、お前らの"見聞色"が俺のより上回ってたらの話だよなァ?
「桜木二刀流!!”
俺の首を狙う3人の中将の斬撃を全て受け流し捌き切る。2年前の戦場で味わった将校クラスのエンドレス連携に比べりゃベリーイージーだっての。
まあ、万全じゃないんで流石に所々掠り傷は負ってしまうが、致命傷さえしなければ問題ない。
「オラオラどうしたァ!!中将3人がかりでこの体たらくかァ!?また一からゼット総帥にご指導受けてもらった方がいいんじゃねェの〜っ!!!」
「ぐっ!?このォ……!!」
「NEO海軍にこんな隠し玉がいたとは!!何者なんだコイツ!?」
たった一人に三人がかりで倒せない事に驚きを隠せない中将達。うし、いい感じに時間稼ぎできてるな。ある程度アイツらの逃げる時間を稼いだら俺も頃合いを───ッ!!?
───ゾクゥゥゥッ!!!
「選手交代、こっからはあっしがやろう」
「黄猿!!?」
見聞色でヤバい気配を感じると目の前に光の剣を構えた黄猿が襲いかかる。
「”
「うおっ!?」
二本の刀を重ね黄猿の光の剣を受け止めるが凄まじいパワーに押し負けそうになる。コイツ見た目の割に力あんな……!
「おい」
「ん?」
鍔迫り合いをしていると黄猿から声をかけられる。
「何でオメーさんがゼファー先生を?さっきまで殺し合ってたんじゃァないのかい?」
アチャー、その反応は完全に俺の正体に気付いてますね。それを公言しないのは何か思惑があるからなのか?
何を考えているかはわからんが黄猿の問いには答えることにした。
「俺さ、あのオジサン気に入ったんだよねー。だから助ける。それに、お前らもホントは殺したくないんだろォ?だったら見逃してくれよ〜。「どっちつかずの正義」の名が泣くぜ?」
「殺したくない?何を根拠に言ってんだい?適当言うんじゃ……」
「そういう割に随分とまあ濃ゆいのかけてるなァ。サングラス」
「っ!!」
今、心が揺れたな?
「桜木一刀流奥義!!!”
神速の居合抜刀。刀を鞘へ納める頃には黄猿の首は真っ二つに斬られていた。しかし、奴にダメージはない。
流動回避、未来予知レベルの"見聞色"と変幻自在に体を変化させる事ができる"自然系"の能力を使い相手の攻撃をすり抜ける回避技法。
だが焦ったな?以前クロコダイルと戦ってその流動回避にはひとつだけ致命的な弱点があるのを知ってんだよ!
未来予知レベルの"見聞色"と攻撃をすり抜ける様に能力を微調整する繊細さが求められる流動回避は、その間体を動かせない!
───パァン!
「ウッ!こりゃ……やられたねェ」
黄猿の肩に指先程の小さな鮮血が飛ぶ。だが、黄猿の顔がその深刻さを物語る。
眉を寄せる黄猿の視線の先には俺が握っていたピストルの銃口から煙が上がっていた。
そう、すぐに首は戻ったがその僅かにできた硬直状態を狙い俺はゼットから酒と一緒にくすねていた海楼石製の銃弾が入ったピストルを発砲したのだ。
本来のお前だったらこんな粗末な手には絶対に引っかからなかっただろうが……如何に今回の任務が嫌だったのかが窺える。
これでもう、能力は使えないよなァ?
「能力に頼りすぎるなと、ゼット総帥から忠告されてたよなァ!歯ァ食いしばれっ!!」
「こりゃ、イカン───」
武器を金棒に切り替え"武装色"を纏うとおびただしい量の覇気が迸る。海楼石の銃弾が撃ち込まれ上手く体を動かせない黄猿は冷や汗を流した。
「”
重い一撃が決まると黄猿のサングラスにヒビが割れただでさえ見えづらかった表情が更に分からなくなった。
そして、勢いよく飛ばされた黄猿は岩盤に衝突した。
「黄猿大将ォォッ!!?」
「バカな!?大将がやられるなんて!!?」
「何なんだアイツはァッ!?」
どよめく海兵達の声を余所に俺は冷静に状況を整理する。
確かに手応えはあったが今の単発じゃ黄猿は倒せせていない。攻撃する直前に"武装色"でガードしてやがった。さすが大将だ。
だが、恩師を殺さないといけない精神的疲労に加えて海楼石の銃弾で能力を封じられ身体機能も著しく低下している。
そんな状態での”雷鳴八卦,,はさぞかし堪えただろう。少なくともしばらくは起き上がれないハズだ。
いや、起き上がりたくないの間違いかな。
何にしても最大の障害は乗り越えた。後は消化試合……。
「ウ"ッ!やっば……」
身体から溢れる光が霧散し言いようのない脱力感に襲われる。まだ行けるかと思ったが活動限界が来てしまったようだ。
やっぱ”流桜武神,,を使った後で”降霊「呼憑き」,,2回は無茶だったか。もう立ってるだけでやっとだ。
「何だっ!?急に動かなくなったぞ!」
「たたみかけるか!?」
「っ……!」
マズイ!ここで悟られてしまえばたちまち袋叩きにあってしまう。幸い今は黄猿が倒れて士気がダダ下がってきている。毅然とした態度を崩すな。
優位は俺にあると思わせろ!
「まだやるか?」
「ヒッ!?」
あえて煽るが、やらないで欲しい。
「グッ!この……!!」
「待て、早まるな!!ゼット以外にここまで戦力を持っていかれるとは我々も想定外だ。一度態勢を立て直す必要も出てきた」
海兵の一人が前へ出ようとしたがそれをモモンガ中将が阻止する。そして、何かいい感じに事が進みそうな雰囲気に内心安堵する。
「へえ、大将に頼りっきりの烏合の衆かと思ったが聡明な奴もいたんだ。知将だな」
ここでヨイショしとこ。下手に煽りすぎて逆上されたら溜まらない。
このまま上手く行ってくれれば───
───ピキッ…ピシリ…
「ピシリ?」
今何か割れ物にヒビが入った音が聞こえた……ような……。
「…………」
この場でそんな音が聞こえるものといえばと内心嫌な予感がし恐る恐る視線を下げると……。
地面に突き刺さっていたダイナ岩のカプセルの一つにヒビが入っていた。
「くあせdrftgyふじこlp!!?」
「何だ!?急に発狂しだしたぞ!?」
ぎゃああああああああああああ!!?!?ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!?これは非っっっっっ常に不味すぎる!!!
でもあれだけ派手に暴れりゃヒビの一つもできますよねー!アッハッハッー……って笑ってる場合じゃあねェ!!どーしよどーしよ!?
「分からんが気を取り乱している今が好機と見た!一斉にかかるぞ!!」
「わーー!!!バカバカバカ!!!ドタバタと振動起こすなそこのダイナ岩カプセルにヒビが入ってんだよ!!」
「なっ!!?」
俺の決死の叫びが届き海軍は一斉に足を止めた。そして、指をさす所に刺さっているダイナ岩を見て顔を青ざめる。
時は一刻を争う。さっきまで戦っていた相手だがなりふり構っていられず俺は助けを求めた。
「ちょちょちょ海軍の皆さーん!!!ヘルプ!!爆破処理班とかいんだろ!?そこのダイナ岩を何とかしてくれお願いします!!!」
「貴様に言われるまでもない!!が……」
が?何だよ不穏なフレーズを言わないでくれよ。
「ここにはゼットを討ち取る編成で来ているから……ダイナ岩への対処を行える者がいない」
「なんつー脳筋編成で来てくれとるんじゃああ!!!」
「元凶のお前らが偉そうに言うな!!だが安心しろこの後すぐ第二陣が来る!そっちにはちゃんとダイナ岩処理班も加わっている」
「おー!流石海軍!」
ごめんよ脳筋編成なんて言って。
「モモンガ中将、それなのですが……」
しかし、そこへ電伝虫をもった海兵がやってくると空気が変わった。
「現在、第二陣から連絡が入り……海賊狩りと交戦してダイナ岩処理班が重傷を……」
「何だとっ!!?」
「ゾロオオオオ!!何やってんだお前ええ!!!」
今回マジでいいところ無しどころか余計なことしかやらねェなあのマリモ!!!
こうなりゃ自力でどうにかするかしない!考えろ!まずはダイナ岩について整理だ!まず、ダイナ岩はそもそも空気に触れることで大爆発を引き起こす。つまり、逆に言えば空気に触れていない間はただの岩だ。
空気に触れることなく跡形もなく消滅させられれば。それができるのは……光線だ!
「さっき黄猿から吸収した光のエネルギーを使って消し去れば……!!」
早速俺は手をかざし"貝手袋"からビームを撃とうとする。そして……プスッ。
「あああああ!!エネルギー切れえええ!!!」
そういやさっきオニグモ中将に調整せず光線をそのままブッパしたからもうエネルギーが残ってなかったあああ!!
それなら黄猿に頼んで……って海楼石製の銃弾で今能力使えねーじゃん!!他に手はないか!?
このままじゃ新世界が滅ぶ!!そうなっちまったらこの島にいる皆が……!それに新世界が滅ぶって事はつまり───
『おじさ〜ん!』
あの人の笑顔が消える想像が脳裏を過ぎった。
ふざけんな、そんな運命は絶対に認めない!
「ク、ソオオオおお!!!」
「貴様!?いったい何を……!!」
気付けば俺は走っていた。動ける状態じゃなかったハズの体が……何かに突き動かされているように俺は全力で走った。
「誰も近づくな!!!テメーらのためじゃねェがコイツは責任持って俺が処理してやる!!だから誘爆されないように他のダイナ岩を回収しやがれ!!!」
「ぐっ……!そうする他ないが……!」
そして突き刺さったダイナ岩を抱きかかえる。モモンガ中将は突然の奇行に驚くが状況が状況なだけに俺の指示に従うしかできなかった。
「一つ聞かせろ。貴様はNEO海軍なのだろ。ならばここでの爆破はむしろ好都合の筈。何故そこまでして阻止しようとする?」
「んなもん決まってんだろ」
俺の行動はNEO海軍の意に反している。だから組織として矛盾している俺にそんな質問を投げつけてきた。
だから俺は自分の気持ちを素直に伝える。
「ゼットや仲間たち……そしてこの海にいる大切な人の命をこんな爆弾ひとつで消されてたまるか!!!」
鬼姫様のいるこの海を守るためにも、絶対エンドポイントは破壊させねェ!!!
「”飛、龍……翔,,ッ!!!」
おぼつかない足を無理やり動かし上空へと飛び上がる。足取りが重い、息が苦しい、体が痛い。だが止まるな。
このまま上がれ!ダイナ岩の爆破範囲外まで!!
俺は何も無策で上に飛んでいるわけではない。確証ではないがそれに近い傍証を持っていた。
これは俺の仮説だが、ダイナ岩ひとつだけなら破壊力はそれ程大したことはないと推測している。理由その一、それはダメージ量。映画の序盤でダイナ岩の爆発を諸の喰らったはずのゼットが生きていたのがおかしい。
理由その二、エンドポイントを破壊するに辺りダイナ岩ひとつでは威力が欠けるかもしれない点。これはほぼ間違いないだろう。ひとつで十分なら複数セットする意味がない。後これも映画で見た記憶だが、エンドポイントを破壊した大爆発はひとつの爆発から連鎖的に起きたように見えた。
理由その三、そもそも古代兵器に匹敵する代物がんな大量にあってたまるか。あれは同時に幾つものダイナ岩を使用することで大規模な爆発が起きると考えられる。
以上の理由でダイナ岩ひとつだけなら死ぬ気で上空まで昇れば最悪の状況回避できる!
「今は100mって所か?せめて後2、300mは島から離れねェと……うぎっ!?」
ここで片足の筋肉がビキッと悲鳴を上げる。すでに限界の足を無理やり動かしてんだそりゃ筋繊維もぶち切れるわな。
「クソッ!まだ昇らねェとダメなのに失速する……!このままじゃ……」
「あれだけ啖呵を切っておいてそのざまか。全く見ておれん、手を貸そう」
「っ!!?」
上手く飛べなくなり諦めかけたその時、正義のマントをはためかせ俺と一緒にダイナ岩を持つ上げる男が現れた。
「モモンガ中将!?何でここに!?」
「勘違いするなよ?貴様の為ではない。このダイナ岩には新世界の運命がかかっている。それを敵にだけ任せるのはおれの正義が許さない。それだけだ」
やだ、カッコイイ。
「既に下のダイナ岩はあらかた回収した。後はこれを処理するだけだ。案の定、
「モモンガ中将……ん?」
モモンガ中将の正義感に感動するが聞き流せない単語が聞こえ目を見開く。
あれ?今俺の事鬼の戦漢って……。
「あ、先に言っておくが今更誤魔化しても無駄だぞ」
「……いつからお気付きで?」
「貴様と戦っていた最中だ。あまり舐めるなよ?これでも以前に二度戦っているのだ。エニエス・ロビーで斬り伏せられたあの剣術を忘れるものか」
そういやおもくそ剣術名言ってましたね。何度も戦ってたらそりゃバレるか。
「鬼の戦漢、お前との決着はいずれつける。だが、今この瞬間だけは目的が同じ。これをより遠くへ持っていくぞ!!」
「ああ!ありがとう!」
利害が一致すると俺とモモンガで更に上へと登っていく。一人じゃキツかったが二人なら行ける。この調子で……。
───ピシ…ピシシシ…!ミシミシ…!!
「うおおっ!?やべー!ヒビが広がってきたァ!!」
せっかく持ち直したってのに!ああどんどんヒビ割れてく!?もって後数秒と言った所か。もうこれ以上は……!
「ぐっ、だがここまでくれば……!!」
「何か考えが?」
「如何にも、元より我々がこうして上がっているのも被害を最小限に留めるため。しかし、これはあくまで保険に過ぎない!」
「保険?」
俺と同じく動揺するが何かを狙っているのかモモンガ中将にはどこか余裕を感じられた。
「そう!我ら二人も助かるにはあの人の復活が不可欠!こればかりは賭けだったが……どうやら上手く行ったみたいだ」
「復活って誰が……」
他に助っ人がいるのかと聞こうとした時、背後からマイペースな声が聞こえた。
「よくここまで運んだねェ〜。後はあっしに任せなァ〜」
この場面で一番頼りになる男の声が聞こえバッと振り返る。そこにいたのは───
「黄猿!!?」
「体に埋まった弾丸を取るのにちっと手こずっちまった。誰かさんのせいでねェ〜」
何かすごい根に持ってそうな言い回しだな。ごめんって。でも、あの時はあれが最適解だったんだよ。
「悪かったよ!今はそれより時間がないんだ!!早くこれを───」
「時間がないィ?……1秒も要らないねェ〜」
───ピュン!
黄猿が消えたと思えばいつの間にかダイナ岩も無くなっており辛うじて見聞色で場所を把握した時には既に何百mも先に飛んでいた。
もう見えねェ……、光速なんだから当たり前か。だけど、気のせいか俺と戦っていた時より動きがいいような……。
「はっや……」
「これで何とか済みそうだ。さて、鬼の戦漢……」
あまりの速さに唖然としていると隣にいたモモンガ中将が声をかけてくる。何とか爆破の危機は去ったが敵な事には変わりない。すぐに警戒。
すぐに警戒に入る俺だったが、モモンガ中将は意外な一言を口にした。
「今回は身を引く」
「は……?」
身を引く?海軍が?いったい何故?
「勘違いするなよ。おれの正義に従ったまでだ。これで新世界を……ゼファー先生を救ってくれた件はチャラだ」
「…………」
何というか、この人って不器用だなァ。恩情とか関係なく弱っている今の俺を討ち取るほうがよっぽど都合いいだろうに。
モモンガ中将の態度に思わず笑ってしまった。
「アッハッハッ!やっぱ俺もモモンガ中将嫌いじゃねェな〜」
「なっ!?敵だぞ私は!!」
顔を真っ赤にし怒鳴るがちっとも怖くない。ホントに優しいよ、この人は。
「フン、お前はONLY DEAD。生捕りはできん。ならばせめて私の手で葬り去りたいと思っただけだ。だから……」
遥か上空からカッと紫色の光が俺達を照らす。
「それまで誰にも殺られるんじゃないぞ」
激励とも呼べるモモンガ中将の言葉に返そうとしたがその瞬間、爆発したダイナ岩の余波が俺達を襲う。
「「うおおおっ!!?」」
俺達は散り散りに飛ばされる。モモンガ中将でさえ体幹を崩す衝撃だ。既に限界を超えていた俺は踏ん張る余力もなく抵抗虚しく吹き飛ばされた。
「グヌォォォ!体が全く動かねェ!?」
エンドポイントの破壊を防げた安堵で緊張感が解けてしまいドッとこれまで蓄積され続けた疲労が全身を蝕んでいく。力が一切入らず全身脱力状態のせいで紙吹雪みたく飛ばされ続けると……視界に広がるは海一色。
「アアアアアッ!?待て待て待て待て!!荒野一面の大地に叩きつけられるのもマズイが海はもっとアカンって!!!!」
指一本すら動かせない状態だが意識だけははっきりとある。そのせいで余計に海という絶望が鮮明に認識してしまう。
みるみる海面が迫り必死に足掻くが何もできずそのまま海へとダイブした。
「ガボボボガボッッ!!?」
苦しい!息できねェ!体が重い!意識が霞む!
苦しみに耐えながら海底へどんどん沈む。せっかくダイナ岩を阻止できたってのにこんな結末納得できるかと海面を見あげるも結局は何もできず残りの肺から酸素を吐き出す。
あ、ダメだこれ……もう、意識、が……。
───ぐいっ
薄れる意識の中、俺の体を引っ張るのを感じたが誰か確認できないまま俺の意識は暗転した。
…………んん、ここは?
「知らない天井だ」
ネタではなくホントに知らない天井。え?というか生きてる?誰かが助けてくれたのか?
「目ェ覚めたか」
「うおっ!?
「おい今おれの名前に悪意を感じたが気のせいか?」
「はて、何の事でしょう?」
いや待て、遊んでいる場合じゃない。今は現状を把握しないと。
「ところで、ここは?」
「ああ、ここは……」
「おれの船だ」
聞き覚えのある渋い声が聞こえると部屋に男が入って来た。その男の顔を見て俺は冷や汗をかく。
「ゼット!?は!?お前の船って事はここは!」
「そうだ、ここはNEO海軍の艦隊の一隻だ。ピリオ島から出航する直前海面からお前らが浮上してきて驚いたがあのまま放っておくこともできんかったからな。二人共回収した」
「一緒に浮上って……あ、じゃあ溺れた俺を助けたのって……」
「おれだな。海軍と戦っていたら連中の動きが変わってよ。頃合いを見て逃げてきたんだ。その先でお前が海に落ちるのを見て急いで助けたんだよ」
ゾロの経緯を聞き思わず両手で口を覆う。何だかんだでゾロもちゃんと動いてくれてたんだ!
「ゾロオオオオ!!ありがとォォ!さっきは役立たずと書いてゾロなんて呼んでごめんなァ!!」
「やっぱアレ悪意込めてたんじゃねェか斬るぞテメー!!?」
ごめんね!
「つーか、色々聞きてェのはおれの方だ。何で敵だったテメーがおれらを助けた?」
「そいつにはデカい借りができた。とでも言っておこう」
「借りねェ……」
ゼットの言葉にまだ半信半疑のゾロ。無理もない、何度も戦いその度に苦い思いをさせられたもんな。
ゼットもゾロの気持ちに気づいており自分なりの根拠を述べる。
「そう疑うな。おれは奴に助けられた。だからおれもお前らを助けた。海賊に借りをつくりっ放しは御免だからな。これで貸し借りはチャラだ」
「わかった。そう言うことにしておこう」
ここまで言うとゾロも納得し警戒心を減らす。にしてもホント海賊嫌いだなこの人。いや、義理堅いのか?
そうこうしているとドタドタとドアの向こう側から慌ただしい足音が聞こえ勢いよくNEO海兵が入って来た。
「総帥!ご報告があります!!こちら艦隊に向かって麦わらの一味の船が接近中です!!」
「そうか、恐らく連中の目的はコイツらだろう。危害を加えるつもりはない。早急に引き渡すと伝えろ」
「はっ!!」
ゼットがそう指示を出すとゾロは意外と言わんばかりのゼットを見つめる。
「本当にもうおれ達とは戦わねェんだな」
「それはちとばかし語弊があるな。「今は」戦わないだけだ。NEO海軍のモットーは「全ての悪を根絶やしに」だからな。お前らを殺すのは最後にしてやる」
「へっ、そうかよ」
なんだろう、渋いゴリマッチョなゼットが言うとフラグに聞こえる。後から「お前は最後に殺すと約束したな……あれは嘘だ」とか言わないよな?
あり得そうな想像をしていると今度はゼットが俺に話かけてくる。
「もうじき迎えが来る。アルガ、お前のお陰でおれ達は新たに方針を変えることにした」
「へェ、方針ね」
「ああ、おれは改めてNEO海軍の在り方を見つめ直そうと思う。政府の犬である海軍では救える命は限られる。だから海軍では救えぬ命を我々NEO海軍が救っていこうと考えている」
まるで付き物が落ちたように考え方が180度変わり俺は内心驚いた。だが、ゼットの正義感ならその考えに至るのも当然かと納得してしまう。
そして、ここへきてようやく実感できた。ゼットの運命を変えられた事に。そう思い思わず笑みを溢してしまった。
「ヘェ、そりゃ大層な正義だな。とても数時間前まで新世界を滅ぼそうとしていたテロリストの言葉とは思えん」
「言ってくれるな」
ゼットの苦笑した顔を見てこれが最後の会話だと思い、俺は気持ちを切り替えて向き合った。
「そういや、アナタは大海賊時代を終わらせたいんだよな?」
「ああ、それで一番手っ取り早いのがこの方法だった」
「だったらさ───」
「俺達が"
「…………」
俺の言葉にゼットは真顔で数秒程沈黙をしてしまい……。
「ブワッハッハッハ!!」
盛大に笑われてしまった。
「お前たちが……見つける、か……。クク、そうだな。理には適っている。ならば勝負といこうじゃないか。おれとお前らどちらが先にこの時代を終わらせられるか」
「俺達が"
いったい俺の言葉にどこまで信じてくれているのかは分からないがその時の奴の目はこれまでに見たことがないぐらい優しさを感じた。まるで、期待されているような……。
「だが、これだけは覚えておけ。お前達がこれからの航海で民衆の命を脅かす事があれば……その時はおれが真っ先にお前を葬る」
「ああ、わかった。俺もまた貴方が暴走した時は真っ先にブッ潰してやるからな」
この言葉を最後に俺達は小さく笑い俺達は部屋を出るのだった。
約束通りゼットは俺達をすんなりとサニー号へ返してくれた。船に戻るなり仲間たちは囲って俺達の心配していた。
「あー!アルガが戻ってきたぞ!!」
「もう!あまり心配させないでよね!ロビンなんてさっきまでアンタを助けようとあの艦隊に突っ込もうとしてたんだから!」
「悪かったよ。でも、皆そろってて良かった。しっかしよく俺達がここにいるって分かったな」
「チョッパーの鼻」
「成程」
チョッパーの鼻すげーや。
「ていうか何で二人共ゼットの船にいたんだよ。クソマリモは乗る船を間違えたで済むけどお前は流石に間違わねェだろ」
「誰が乗り間違うかエロコック!!サニー号と見間違うわけねェだろ!!!」
「いや前科あるだろ。シャボンディで間違って他の海賊船に乗ってただろが」
「アレはサニー号じゃなくて釣り船屋の漁船と間違えたんだよ!!」
「どっちにしろ漁船と海賊船は普通間違わねえだろ!!」
それはそう。
サンジのもっともな指摘に周りもウンウン頷く。そんな俺達をよそにみるみるヒートアップしていきいつもの喧嘩をおっ始める。
いつもの光景に呆れ二人は放置することにした。でも、肝心の答えを聞いていなかったからウソップが俺に疑問を求めてきた。
「で、結局のところどうして敵の船にいたんだよ?」
「んー、助けたお礼とは言ってたな」
「お礼ィ〜?」
ウソップが聞き返すと、上からルフィを呼ぶ声が聞こえてきた。
「麦わらのルフィ!」
「っ!ゼット!」
「この喧嘩はお前達の勝ちだ。だが、まだ勝負は着いちゃいねェ。お前が本気で海賊王を目指すのならいずれおれが再びお前の壁となり立ち塞がりだろう!!それまでくたばるんじゃあないぞ?」
「当たり前だ!!何が来たって全部ぶっ飛ばしてやる。おれは、海賊王になる男だ!!!」
「フ、その威勢はよし。流石ガープの孫……面白い」
ゼットは小さく笑うと腕をかざし同じように名乗りを上げた。
「おれはNEO海軍総帥ゼット!!ゼットは全ての海賊を滅亡させる。せいぜい生き延びろよ。海賊王!!!」
初めて会った時にも言われた言葉。しかし、あの時とは違い今の言葉には激励にも感じられまるで応援するように聞こえた。
ルフィも満更じゃなさそうにしししと笑い別れを交わす。そして、それぞれ進路が変わり艦隊はどこかへ行ってしまった。
完全に見えなくなるの確認するとウソップは長い時間息を留めていたように大きく呼吸をする。
「行ったな……ぶは〜っ!よかったァ〜、また砲撃なんてされちゃ溜まったもんじゃなかったぜ」
「そん時はまたぶっ飛ばすだけだ」
ウソップの心配にルフィは笑い飛ばし一蹴する。そして、これからの方針を決めた。
「んじゃ、野郎共!船を出したとはいえここはまだ島から近い。まだ海軍もいるしとっととここを離れよう。んでもって、次の島へ向かうぞ!!」
大きく空気を吸い込むと、気持ちを切り替え号令をかけた。
「急ぐぞ、出航だ〜〜っ!!!!」
『オオォオ〜〜〜〜ッ!!!!』
ルフィの掛け声に合わせて声を上げる仲間達。まだ見ぬ先の冒険を見据えながら。
《今後のNEO海軍》
劇場版と違いアルガの助力もあり無事生還したゼットは改めてNEO海軍の方針を固める。海軍の息が届かない非加盟国の民衆達を守るなどを続け非加盟国からは徐々に支持を得るようになる。
後にクロスギルドが建ちあがり海兵殺しの被害が出るもNEO海軍の斡旋により貧しい民衆を雇う事で一部の海兵殺しの被害を抑える事に成功。Tボーン中将は今日も一日百善をモットーに正義を行う。
余談だが、新たな四皇が誕生してから数日後にワケあって流浪のカブキが入隊した。