あなたにもう一度毛布をかけるため《物語修整完了》 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
バニー「前回、サブタイトルも話もメインだった私ですが……最後ルッチの一言で感想欄ほとんど持ってかれたんですけどおおおお!!!」
もしロマ「どんまい」
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ
ドフラミンゴを倒した夜、ウチとサボは別れ際に言葉を交わしていた。
「じゃーなアルガ。次会った時はくまちーと一緒だぜ」
「ジニーさんはこれからどうするんですか?」
「まずはくまちーを安全な所へ移動させる」
一にも二にもくまちーの安全確保が最優先だ。厳密にはウチとくまちーは革命軍じゃない。それでも、ドラゴンさんやアニキ、他の気の良い皆に受け入れてもらい今回のくまちー奪還作戦に参加できた。
その上くまちーを匿ってくれるなんて頭が上がらないや。
でも、ウチにはまだやらねェといけない事がある。
「近々ウチはベガパンクの所に行く。一時は世話んなったし治療の恩もあるがくまちーをあんなにした事は許せない」
青玉鱗を治してくれたことには感謝してる。一緒に釜の飯を食って笑い合った仲だ。だけど、くまちーを
「何が何でも元に戻させてやる。もしダメだってんなら……!」
「わー!ジニーさん早まらないで!?」
恨み言を呟くと突然アルガが慌てだした。
「アン?突然なんだよ」
「んー、これは言わないつもりだったんですけど……」
「勿体ぶってんじゃねェよ」
少し言いづらそうに口ごもりつつも少し間を置くと驚く事実を聞かされた。
「実は……くまさんが
「何だとっ!?」
聞き捨てならないと距離を詰め肩に手を置き力んでしまう。サボが止めようとするもちょっとやそっとでは今のウチは止まらなかった。
「フッざけんな!!なんで黙ってたそんな大事な話!!!」
「俺だって言おうか迷いましたよ!でも、その時のくまさんがどんな顔をしていたか分かりますか?」
知らねェよ、と答えようとしたが既に顔に出ていたのかアルガは声を震わせて答えた。
「笑っていたんですよ!?ジニーさんの病気が治るならと心底安心しきった顔でよかったって!!」
「……っ!!?」
「これから自分が死ぬって時にあの人は最期まであなたの事を想い安堵していた。だから俺はその当人であるジニーさんに罪悪感を与えないように黙っていようと考えたんです……」
そこまで聞き怒りと同じ様に握力も抜け肩を掴んでいた手を離す。
そして、行き場のない感情がごっちゃになって歯を食いしばった。
「くまちー……バカヤロー……っ!」
何で言ってくれなかったんだ。いや、言える訳ねェか。くまちー優しいもんな。
でも、その優しさは嬉しくねーよ。
「悪ィな……」
「いや、こちらこそ黙っててごめん。でも、言わせてください。今言った条件を出したのはベガパンクじゃない。世界政府なんだ」
「やっぱりか」
「うん、ベガパンクはむしろこの条件に反対していたとくまさんが言ってた。けど、当のくまさんが承諾した以上強くは出れなかったんです」
だろうな、こんな反吐が出る条件を出すやつなんか決まってる。そもそもこれまでの状況こそ政府が描いていたくまちーの末路だったんだろう。
人の旦那をいいように使い潰そうとしやがって……!!!
「ゴミ政府共がァァ……」
「そうだ、これも話とかなきゃ。あの時は色々ごたついてて言いそびれてた」
「まだ何かあんのか?」
アルガは黙って頷いた。その顔はさっきみたいな申し訳なさはなく怒りを感じる。
「はい、個人的にこれが一番胸糞悪いですね。
「ジニーもそうだがアルガも大概口悪いよな」
アルガの辛辣な言葉にサボが若干引き気味になるが、アルガの話を聞き終えた頃には同じぐらい嫌悪の目で世界政府の恨み言を零していた。
「はあ?何だよそれっ!手紙を破棄してただって!?酷すぎるだろ!!!」
「くまさんは言ってました。自分の命が尽きるその日まで毎日手紙を書き続けるって。でも、ジニーさんから手紙は一通も来ていないって聞いて改めて気づきました。政府の糞っぷりに……!!」
「…………」
もう言葉が出てこない。それ程までに今ウチは腸が煮えくり返りそうだった。
ボニーは毎朝くまちーの手紙を楽しみにしていた。それでポストを空けては新聞しか届かず肩を落としていた。手紙を出すとくまちーが言っていたから。
その言葉を信じてソルベ王国を出る日までずっとずっと、ずーーっと待ち続けていたんだぞ!
「アルガ」
「はい?」
「ウチ決めたよ」
ウチは改めて決心した目標を告白した。
「───世界政府は必ずブッ潰す」
ウチの言葉にアルガ、そしてサボも一緒に頷き同意する。
「俺も同じ気持ちです」
「おれもだ」
三人の気持ちが一つになる。そこへ頭上からカラスの大群がやって来た。どうやら迎えが来たみたいだな。
「それと、サボさんにはこれを」
「これは……?」
「これからマリージョアに宣戦布告しに行くんですよね?お守りみたいな物です。もし危険な状況になったら───」
ウチは先に纏まったカラスの上に乗ると後ろで何やら二人が話していた。何かを受け取ると後を追うようにこっちへやって来てカラスの上に乗る。
「わり、少し話してた」
「そんな待ってねーから構わねェぞ」
「なあ、ジニー」
「何だ?」
ウチ達を乗せたカラス達が飛び立つ瞬間、サボは真面目な顔で向かい合った。
「準備が整い次第おれ達革命軍はマリージョアへ宣戦布告する。そこから本当の闘いが始まってこれまるだろう。ジニー、お前の事情は皆が知っている。だから、また
「サボ……へ、そうだな。前向きに検討するよ」
こうしてウチらは二人して笑い合いながらしばらく夜空の旅を楽しんだ。
そっからも色んな事が起きた。何故か黒ひげ海賊団にバルティゴの場所がバレ襲撃を受けたり、代わりとしてカマバッカ王国に移転するが娘達が置き手紙を残し一足先にエッグヘッドへ向かって行ったり。
まだ娘達にはベガパンクの誤解が解けていない。くまちーを置いていくのは忍びねェが事態は一刻を争う。だからウチは急いで単独でエッグヘッドへと向かった。
それから数日が経ち現在はエッグヘッド内で隠密を続けていた。
「くそー、何とかエッグヘッドには乗り込めたが……ボニー達はどこに……キャッ!?」
ズズゥ……ンッ!!!と大きな揺れと破壊音が響き渡る。自然災害にしてはあまりに不自然すぎるのでこれがすぐ近くで行われている戦闘音と言うのがすぐわかった。
「しっかし何で戦闘が!?ここは政府の島だぞ!?いったい誰が……っ!!」
壁際から顔を覗き出し上空を見上げる。すると、島中をかける抜ける二人の影と……その下の地上に見知った顔ぶれ達が。
「麦わら!?と他は───っ!!ボニーにバニー!!?」
麦わらと一緒にいるジンベエが抱えている少女、大切な家族の姉妹を見つけたのだった。
あーチクショウ!コイツと鉢合わせしたくなかったからあの時溺れる前に助けようとしたってのに結局こうなるのかよ!
「フハハハハ!!まさかこんな所で再会するとは思わなかったぞ!ワノ国では任務から外されて不貞腐れたがやはりおれは運がいい!!!」
「そんでもって俺は運が悪い!!!てか、何当たり前のように攻撃してきやがんだ!!もう俺達は「四皇」だぞ!?自分勝手に手を出していいと思ってんのか!!」
「そうじゃぞルッチ!相手は「四皇」!許可がまだじゃ!!!」
そこへ敵サイドからナイス援護射撃。そうだそうだ!もっと言ってやれ!そして止めてくれ!!
「……カク、さっき海軍はなんて報告してきたか忘れたのか?」
「は?軍が到着するまで"麦わら"とは絶対に戦うなと……」
「そう、戦わないように言われたのは"麦わら"だけ」
そこまで言うとルッチは自信満々に……。
「つまり"鬼の戦漢"は命令対象外だ!!!」
「「んな訳あるかァアアア!!!」」
「相変わらずアルガの事好きだよなーハトのやつ」
ルッチのこじつけの言い訳に俺とカクが同時にツッコむ。
なんて自分勝手な野郎だ!ルフィかお前は!?とは言え、向こうが殺る気満々な以上戦闘は避けられない。こうなりゃやるっきゃない!
「後で始末書責任になっても知らねェからな!」
「始末書の10や100で貴様と殺り合えるなら本望!!!」
「もーやだこの人恐い!!」
恍惚な表情を浮かべるルッチに対し背筋に鳥肌が立つ。だが、腐ってもCP0……その一瞬の油断が命取りになり得る。
「”
「ウッ!?あっぶな!」
一瞬にして俺の背後に立ち振り上げた手刀が背後を襲う。しかし、見聞色で先読みしていた俺はその場でしゃがみ相手の手刀は空を斬った。
今度はこっちの番だ!”降霊「鬼火」,,で拳に蒼炎を纏わせ打撃力を強化!!
「”
「”
いや、お前もそれ使えんのかよ!?
拳が直撃したかと思えばルッチの身体がボワンと煙のように霧散した。しまった、”手銃,,はブラフ!本命は……!
「さあ、本番と行こうかァ!!”
「うおおおおっ!?」
いつの間にか覚醒フォルムに変身していたルッチが頭上から襲いかかる。不意を突かれたが大丈夫、見聞色で未来を見るんだ。冷静に対処すれば───
───ザシュザシュ!!
「ガッ!?アアッ!!」
「アルガァ!!?」
未来を先読みしたハズにも関わらず、ある程度捌いた後数発ルッチの手刀が俺の体を貫いた。
「なぜ攻撃を食らったか教えてやろうか?」
「アン?」
「単純に強化形態になったおれとなる前の貴様とでは身体能力に差が出ているのもあるが───先の貴様との戦いでおれは一段と強くなれた」
ルッチは指についた俺の血をペロリと舐め楽しそうに笑う。
その行為に気持ち悪さを感じつつ俺はルッチの言葉に冷や汗を滲ませる。今、コイツは未来視ができる俺と同じように先読みの動きで攻撃を当ててきやがった。つまり……。
「ドレスローザで死地に追いやられたから覇気が強くなってお前も見聞色が未来視レベルになったと」
「ああ、勿論───」
「ッ!?ガフッ!!」
「武装色もな」
口からおびただしい量の吐血をしてしまいここでようやく気付く。貫かれた部分から浸透するように内部も甚大なダメージを負っていることに。
グォォ……!マジかコイツ!?見聞色が未来視レベルになっただけじゃなくて武装色も内部破壊できるレベルになっていやがるとは……!
何なのコイツ、敵キャラでコイツだけ明らかに原作以上の実力をつけてる気がすんだけど!?
とにかく、一旦落ち着け。まずは呼吸を整えろ。
「ス、フゥ〜……」
「あれからおれは更に強くなったぞ?”
「…………」
確かにルッチの言う通りだ。”降霊「呼憑き」,,はドレスローザの時点で覚醒フォルムに劣っている。”「武装龍鬼」流桜武神,,も同様だ。パワーはこっちが上だが、あの時勝てたのは初見だったから。
あえてこっちの誘いに乗ってくれたから攻撃が当てられた。しかし、タネを知られている以上覚醒フォルムの機動力で避けに徹しされたらどうしようもない。
詰みだな……。
「…………」
───俺がワノ国を出る前までの話だったらなァ。
「っ!この状況で笑うか。そうでなければな!」
「ルッチ、俺ひとりじゃ
俺は胸に手を当て魂の奥底に潜む大切な友達に語りかける。
力を、貸してくれ!
『いいよー』『やったれやったれ』『ひどいケガ、許せない』『ぐちゃぐちゃにしてやる』『極刑』『丸焦げ』『圧死』『撲殺』『ネコ男すり潰して猫まんまの刑だ』『アルガがァァアルガがァァ』『アア、ア"ア"ア"ア"ッ!』『よくもアルガを』『許さない許さない許さない』『変なヒゲしやがって』『ブッ潰す』『処す?処す?』『絶!許!』
思った以上に激怒でした。どうどうみんな落ち着いて。でも、俺のために怒ってくれてありがとな。
「”
そう叫ぶと囲うように竜巻が発生し俺の身を包み込む。竜巻から覇気が迸り誰も近づけなくなる。ただ息を呑んで見守るしかできなかったルッチはその場で立ち尽くし……。
「待たせたな。こっからが本番だ」
「アルガ。貴様からはいつだって予感がする」
変身を終えると周囲の竜巻は霧散しその姿を現した。黒い翼に毛髪も増え左右から魔方陣が展開され中から鍵盤の腕が出てくる。
そして、周囲にドクロが複数出現し何処からか出てきたシルクハットを被った。
その姿を見たルッチは俺と目を合わせ、今まで以上に胸の鼓動を高鳴らせた。
「貴様との血湧き肉躍る───全力の殺し合いがァアアァアア!!!!」
初っ端からトップギアとなり超速で縦横無尽に疾走するルッチ。その速度はもはや生物の限界を超えており目では追えなかった。
つっても……。
「目で追う必要なんてないけどな」
「───ッ!!?」
さっきと同じ様に背後から襲いかかろうとしたルッチだったが、背中を見せる俺の頭上にひとつのドクロが口を開き光球を溜めていた。
「”
そして、光線を放つとルッチは光に飲み込まれ遠くの建物へと突っ込んだ。
既に民間人は避難しておりこの場には俺達とCP0しかいない。だったら加減は必要ないな。
「旋回しろ」
俺の指示に従うようにドクロ達は次々とばらけ飛んでったルッチの建物を囲う様に旋回する。そして、一斉に光球を溜めると……。
「”
───ズドドドドドドドドドドォォ…………ン!!!
全方位から光線が一斉放射され建物はあっという間に半壊した。
「うっは〜!ビームかっけ〜!!」
「ウオオオオ!おれもビーム出してェ〜!!」
「何じゃいあれは……。あれがアルガなのかっ?」
「ルッチー!!」
「あの姿、まさか……」
俺の姿を見て他の皆はそれぞれ反応を見せる。カクがルッチの心配をしているが……。
バキッ!バキバキベキィ!!と半壊した建物の中から何か突き破る音が響くと屋上からルッチが飛び出して来た。
「ハァッ!ハァッ!今のは危なかった。フハハ、やはりどこまでも楽しませてくれる!!」
「やっぱ避けてたか。次は逃さん」
「ルッチー」
お互いに相手を見定めているとステューシーがルッチを呼びかける。
「何だ、今更止めるつもりか?だとすれば容赦せんぞ」
「違うわ、アドバイスよ」
「アドバイスだァ?」
「
「そうか、情報感謝する」
あー、そうだった。ステューシーはビッグ・マムの茶会にいたんだった。でも、何でわざわざルッチに伝えたんだ?あんたベガパンク側の人だよな?
そりゃあ、知ってるのに伝えないのは政府側に怪しまれるだろうけどこのタイミングで……?
「ふふっ」
「……?」
何を企んでいるのか考えているとステューシーが俺の方を見て何やら微笑んでいた。すんごい美人だからか魅力的な笑みについつい目を奪われてしまう。
「うーん、可愛い」
「あの女にうつつを抜かすヒマはないぞ?」
「ゲッ!?」
やべ、ステューシーの微笑みに気を取られてしまい懐に入り込まれてしまった。何故かちょっと不機嫌そうなルッチは怒り任せに俺の腹めがけ殴り上空へと打ち上げた。
「ゲホッ!」
「見た目以上に硬いな。土手っ腹に風穴を開けるつもりだったんだが……」
「何か今まで以上に殺気を感じるんですが!?」
そこから戦いは白熱していく。ステューシーのアドバイスにより俺の攻撃をある程度把握したルッチはドクロの光線や鍵盤の腕を掻い潜り反撃に転ずる。
俺もルッチの攻撃を避け攻撃する。しかし、見聞色による未来視で先読みするルッチを当てるのは至難の業だった。
そうしていると、下の方でも何やら動きを見せる。戦桃丸が現れ俺たちの味方となりCP0と交戦を始める。
ここまで原作通りだったからルッチに集中していたが、ここで予想外の人物が現れた。
「ボニー!!」
「っ!?ジニーさん!?」
「また他に気を取られやがって。そんなに気になるならまずはあの女からだ!!」
何でここに!?そう思っているとそれが気に食わなかったのかルッチは標的を変えた。
「おいお前ェ!!何でボニーが気を失ってんだ!?事と次第によっちゃ───えっ」
「危ない!!」
ボニーの安否に気を取られルッチの手刀に遅れて反応する。ジニーさんを守ろうとジンベエがルッチの前に立ち───
「”
「ウ"ッ!チィッ!」
ルッチの手刀が振り下ろされる前に光線が間に合い二人の間を通過する。すぐに距離を取ったルッチの前に立ち牽制する。
「ジニーさん!何でこんな所に!?」
「ウチのセリフだよ!ここは政府の島だぞ!?」
「ふむ、どこかで見た顔だ。……そうだ、昔の新聞の」
お互いに何でいるのか分からない状況。そこへルッチが思い出したようにジニーさんの顔を見て反応する。
「女ァ、思い出したぞ……。貴様マリージョアからアルガと一緒に逃げた奴だな?」
「うげ、何で知ってんのさ。キッショ、ストーカーかよ」
「いや、どちらかと言うとコイツ俺に執着してんだよね」
「ヤベー奴かと思えばもっとヤベー奴だった」
何でここにジニーさんがいるのか考えるのは後回しだ。そんな余裕はない。
今は、コイツを早くブッ倒すのみ!
「そんなに俺と戦いたきゃ見せてやるよ!
「───ッ!!」
俺が刀を携えるとその動きに連動するように鍵盤の腕がドクロを掴む。そのドクロからビームサーベルみたいな巨大な光剣が出現すると俺はルッチめがけ刀を振り降ろす。
同じ様に鍵盤の腕も振り下ろされ巨大な光剣がルッチを両断した。しかし───
「”
「ッ!?クソまたっ!!」
両断されたルッチは霧散し消える。またも残像だった事に一瞬焦ってしまう。今度は何処から奇襲を仕掛けてくる?そう身構えていた俺は忘れていた。
ルッチは戦闘狂だが任務は着実こなす人間という事を。
「”
「がはっ!!?」
「まさかり〜!!?」
「しまった!狙いはそっちか!!」
ルッチは俺を無視して戦桃丸に奇襲を仕掛けていた。クソが!何で奴の思惑を見抜けなかった!こうなる事は原作でも知ってただろうが!!
「司令塔は消すだけだ……セラフィム!!我々の指示に従───っ!?」
「言わせるかァァァ!!!」
避けられていたかもしれない事態に不覚を感じすぐさまルッチの元へ飛んでいく。翼をはためかせ加速するとあっという間にルッチとゼロ距離になる。
「俺だけに集中しろとか言ってたクセにお前も余所にうつつ抜かしてんじゃねーよ!」
「フフ、妬いたか?」
「焼いてやるよ!!」
ただし今度は斬撃に乗せてなァ!!
「桜木秘奥!!!」
「またか……ッ!?”
さっきと同じ技なのを察し肩を透かすが、明らかにさっきまでとは出力が違い顔から余裕が消える。瞬時にこれを受けた未来を見聞色で見たのかルッチの顔色は一変し急いで場を離れた。
だが残念、この技の刀身に……際限はない!
「”
「ぐああああっ!!?」
必死で走り既に100m以上の距離を取っていたが、どこまでも伸びる光剣から逃れるすべはなくルッチは背中に火傷の斬りキズを残した。
「がふっ!な、何だ……今のはっ……!?」
「次は逃さんって言っただろ」
ようやく動きが止まると戦桃丸がフラフラしながら近づいてきた。
「"鬼の戦漢"!!ゼェゼェ……」
「ん?戦桃丸、息上がってるが大丈夫か?」
「余計な心配すんじゃねェ、ワイのガードは世界一だ。それよりも……パンクのおっさんを頼む!!」
息が絶え絶えの状態で指を差しその先を見ると真空ロケットのゲートが見えた。奥には既に仲間達が入り込んでおりいつでも発進できる状態だ。
「既にオメェの仲間達にはここの脱出手段を伝えて移動してる。後はオメェだけだ」
「お前はここに残るのか?」
「ああ、いくら真空ロケットが速くても相手はCP0……逃げ切るにはワイが足止めせんといかん」
「わかった、恩に着る。ベガパンクは俺達に任せてくれ」
「頼んだ」
お互いに言葉を交わすと俺は変身を解き元の姿へと戻る。そして、真空ロケットのゲートへと走るのだった。
「ま、待て……まだ勝負は……」
「もうよせルッチ!今は回復に専念しろ。まだセラフィムが暴れておるんじゃ。奴との戦いは後にせい」
「くそっ……」
よかったー、ルッチももう追ってこなさそうだ。とは言え、ルッチは覚醒した"
ゲートを潜り抜けると皆がロケットの席に座って待っていた。
「おせーぞアルガ!早くロケット乗りてーのによ!」
「悪い待たせた。早いとこ
「っ!戦桃丸が一人で残るのか……」
一緒に乗っていたジニーさんの表情は少し曇る。無理もない。ジニーさん達は青玉鱗を治すためにベガパンクの研究所でお世話になってたんだ。
きっと友達だったんだろうな。
『発車します───』
「んあ〜?あれ、何であたし寝て……そうだベガパンク!!ってお母さん!?何でここに!?」
「そりゃこっちのセリフよ!!何でウチが戻ってくるまで待てなかったんだい!!バニーまで危険な目に合わせて!!!」
「うー、それについてはゴメンなさい……」
真空ロケットが発車するアナウンスが鳴るとその音でボニーちゃんが目を覚ます。頭の整理が済むと再びベガパンクに恨み言を漏らすと目の前に母がおり驚愕する。
ボニーちゃんが目を覚ました事によりさっきまでと違い明らかに明るさを取り戻していた。それはそうと親子喧嘩が始まったけど。
その後、バニーちゃんも目を覚まし姉妹共々説教をしたジニーさんはベガパンクの誤解を解きつつ
研究層に到着した俺達は皆と合流するべく通路を進んでいた。その間にジニーさんも姉妹に事情を説明している。
「エエーッ!?じゃあお父さんはあたし達に毎日手紙を!?」
「ああ、だからベガパンクに会っても殺そうとしなするなよ?第一に聞くべきは……くまちーを戻せるかどうか」
「くまさん戻るといいな」
「戻るといいなじゃねェ。必ず戻すんだよ!」
「うん!絶対パパをたすける!!」
そう話し合っていると広い部屋へ出る。よく分からん機械がズラーっと並べており大きなモニターもあちらこちらに。
そして、はぐれていた仲間達も……。
「おじさーん!!」
「ぐえっ」
「海に落ちた時はどうなる事かと思ったよ!無事でよかった〜!」
「鬼姫様も無事で何よりです。ひとまず手をお離しに……鬼姫様?さっきの戦いで割とダメージが残っててこのままだとマズイです!背骨がミシミシなっててかなりヤバいです!」
涙ぐんだ瞳で抱き締めてくる鬼姫様。最初は微笑ましかったが腕力が微笑ましくなく徐々に内臓と背骨が圧迫されてきた。
そういや、おでんさんの航海日誌を渡した時もそうだったなァ。感極まると加減を忘れてサバ折りハグしてくる癖は健在だったか。
何とか背骨が逝かれる前に宥めて鬼姫様を落ち着かせる。イツツ……あと少し遅かったら持ってかれてたな……。
「…………」
「ロビン?どしたのそんな真顔で詰め寄ってきて」
腰をさすっていると今度はロビンがやって来るが何やら様子がおかしい。眉ひとつ動かさないのは不気味さを感じてしまう。真顔ロビン恐いッス。
「あなた、戦い中にCP0の女性に見惚れてたわよね?」
「…………」
「少し油断しすぎじゃないかしら?あなたならあれぐらいの攻撃避けられたはずよね?分かっていると思うけど一応忠告しておくわ。ここは敵地なのだからもっと周りには気を付けた方がいい。何が起こるか分からないもの。それすら思考が回らない程あのCP0に魅了された?パンクハザードのモネみたく今度はあの女性も気に入ったのかしら?」
「すみませんでした」
ひえ、早口ロビンこわい。
だってしょうがなくね?超ミニスカワンピの金髪ショートウェーブおしとやか美人にまじまじと見つめられるんだぞ?ドキドキしちゃうに決まってんじゃん。
ひょっとすると俺ってハニトラに弱いのかもしれない。彼女なし=年齢(人生三回分)にはアレは刺激が強過ぎる。
とにかくこの場を収めないと。
「い、いや〜それにしても皆すっかりこの島に馴染んでんな。その服The未来人って感じで似合ってるぞ」
「そう?ふふっ、ありがとう♪」
おっ、予想以上に手応えあり。すごい嬉しそうだ。まあ、個人的には少し露出が多すぎる気もするが……。
そこへ今度はナミが感想を求めてきた。
「ねーねーアルガ、わたしはー?」
「似合ってるけど……すごい。普段の露出が多いせいでその格好が控えめに感じる」
露出度はロビンとそう変わらないのにナミの場合はへそを隠してるだけで慎ましやかすら感じてしまう。
と、そこで俺はある事に気付く。一味全員の衣装が変わっている。と言うことは───っ!!
「おじさーん、僕はー?」
「…………」
「んん?おじさん?」
鬼姫様のイメージカラーに合ったホワイトをベースにナミと似た太ももや肩出し露出の未来服。その姿を視界に入れると言葉を失い呆然と立ち尽くす。
ズドン!!と脳に直接衝撃が入ったように思考が停止する。同時に、言いようのない幸福感が脳を支配した。
そして、ただ一言……。
「我が生涯に一片の悔いなし!!!」
「えっ!?泣くほどっ!!?」
ウ"ウ、ウオォウ"……!鬼姫様がいつもの着物以外の服を着てらっしゃる……!!
鬼姫様の新鮮な姿に涙を禁じ得ない。幼少期の頃から似た衣装しか見たことなかった俺にとってこれは心に来るものがある!
鬼姫様と海に出てホントによかった!!
「なんとっ!もう事情を知っていたのか!?」
「ああ!だからこれ以上腹の探り合いは辞めだ!ウチらが求めている事はただ一つ。くまちーを戻せるかどうかだ」
鬼姫様の服装に目を奪われていると室内にジニーさんの声が響く。聞き逃がせない内容だったのでそっちへ足を運ぶと難しい顔で静まり返っていたベガパンクは申し訳ないといった様子で渋々応える。
「スマンが……くまを戻す事はできない。私が不甲斐ないばかりに……!」
「そんなっ!せっかくくまちーを取り戻したってのに!!」
「パパ……もう治らないの……?」
自身の力不足を悔やむベガパンクとくまさんが元に戻らないと聞かされ涙目を浮かべる母娘達。
そこへ俺が割って入った。
「なあ、聞きたい事がある」
「お前さんはくまの……そうか友達じゃったな。くまからよく話を聞かされた。それで聞きたい事とは?」
「くまさんは今記憶を消されて自我のない"
「───っ!?お前さんまさかっ!!」
「その反応は、ビンゴって捉えていいよな」
「何だよアルガ!二人して話を進めんじゃねェ!!ウチらにも分かるように言え!!」
話が見えてこず焦らされるジニーさんは我慢できないと声を荒げた。
俺の知る残り僅かの原作知識ではボニーちゃんがくまさんの真意を知るために記憶の塊に触れくまさんの過去を知った。
その後どうなったのかは分からないがダメージの塊と同じ様に形留めていた記憶の塊にボニーちゃんが触れたことで消えてしまっているかも知れない。
そして、当時の俺は……いやひょっとすると他の読者も考えていたかもしれない。もし、その記憶の塊を今のくまさんに付与することができたら元に戻せるのではないかと。
だから俺はベガパンクに聞く。その可能性にかけて。
「あるんだな?くまさんの「記憶」が」
俺の一言で周りは絶句した。そして、くまさんの家族は身を乗り出す勢いでベガパンクへと詰め寄った。
「何だってっ!?本当なのかベガパンク!!」
「…………」
ジニーさん達に重圧の視線を浴びるベガパンクは静かに俺を視界に捉える。
「ある」
「っ!やっぱりか!」
「何故、それを知っている?私はくまの記憶を全て見た。お前さんとの会話も……。じゃから、お前さんがこれを知る機会がないのも知っている」
「……っ!」
ベガパンクのもっともな疑問に俺は喉が詰まらせる。
しまった、少し強引に話を持って行き過ぎたな。ベガパンクは一度疑問を持てば納得するまで探求を辞めない男。どうしたものか……。
「…………まあ、よかろう。今はその件は置いておく」
「え?」
ベガパンクの意外な言葉に俺は声を漏らす。
「重要なのはその「記憶」でくまを戻せるかどうか……じゃったな。結論から言おう───現状況では無理じゃ」
「───っ!!」
ベガパンクの重々しい一言に俺は心を締め付けられた。世界一の科学者に結論を突き付けられてしまったが感情がそれを否定させる。
理由なく納得できなかった俺はベガパンクに問い質した。
「な、何で……」
「問題は二つじゃ。一つ、くまから消したのは「記憶」だけではなく「自我」……つまり精神じゃ。感情無いものに記憶だけ植え付けようがその記憶を整理する精神が無ければ意味は無い」
「ぐっ!」
彼の説明に納得してしまい俺は顔を歪める。そして、次に大前提として更に大きな問題を叩き付けられた。
「そして二つ、お前さんが言った「記憶」の塊は触れれば消える淡いモノ……この研究所から持ち出せない以上くま自身がここへ来ない限りその「記憶」自体戻す事ができん」
「っ!!」
非情な現実に俺は顔を俯かせ拳を強く握り締めた。
くまさんは今カマバッカ王国で安静にしているとジニーさん言っていた。つまり、ここにはくまさんはいない。聞いた限り「記憶」もここでしか保管できないならどうしようも───
「……?」
待てよ?でも、原作では確か……。
「無理じゃない」
「は?今なんと……」
「戻せるかもしれない」
『何っ!!!?』
俺の言葉にジニーさんやボニーちゃん、バニーちゃんやだけでなくベガパンクまでも驚愕する。
俺の原作知識で知る限りでは自我の無くなったハズのくまさんが一人でに動き出し"
これがもし、ピンチとなったボニーちゃんを助けに行く行動だとしたら……本当に今あの人は完全に自我を失くなっていたのだろうか?
子を想う親の心がそうさせたのならまだあの人は───っ!!
「ベガパンクッ!!今すぐくまさんの「記憶」を保管されている部屋に案内してくれ!失敗する可能性は高いが───やる価値はそれ以上にある!」
「わ、わかった!お前さんがそう言うなら案内しよう!」
「待てよ!!ウチらも着いて行く!」
「あたしも行く!」
「わ、私もっ」
皆で行くことが決まるとすぐに行動に移した。仲間達には少し事情を話し少し待ってて欲しいと伝えくまさんの「記憶」のある場所へと向かった。
「…………」
部屋を出ていく俺達を見つめるロビンの視線に気付かないまま。
研究所内の少し離れた場所、そこには肉球のマークの扉があった。その扉の前まで着いた俺達は足を止める。
「ここに、くまさんの……」
「そうじゃ、待ってろすぐ扉を───え?」
───ピピピピッ……!
ボニーちゃんが扉に吸い込まれるように近付くと、扉のすぐ横の赤色ランプが青色へと変わりベガパンクは困惑した。
「はっ!?え??なぜ突然ロックが解除され……?」
「何だっていいさ。”
扉のセキュリティは解除されたがそれとは別に開くためのレバーには鎖で固定されていたのでボニーちゃんの能力で一気に劣化させ鎖は崩れ落ちた。
これで扉のセキュリティは完全になくなりボニーちゃんがレバーを下ろすと扉が開く。いよいよ「記憶」とご対面なのだと思い皆してゴクリと喉を鳴らす。
そして、扉を潜り部屋へ入ると───
「これがくまちーの……」
「わあ、おっきなニクキュー」
部屋の中央に設置された大きな装置。その上に半透明の大きな肉球が浮かんでいた。
「これに触れたらくまさんの記憶が見れるのか?」
「そうじゃ。けど触れるなよ?触れたら消える。そんなに見たいのなら今モニターで見れるようにするから待っとれ。ジニー、お前さん機械に強かったよな。操作法教えるからこっちへ来るんじゃ」
「おう、こちとらもう待ちきれねーんだ。さっさと教えろりんご頭ジジイ」
「口悪っ!?」
「待ってあたしも見たーい!」
そういいジニーさんとボニーちゃん、ベガパンクはモニターを起動させコンピューターを操作し説明を始める。
元々スキルが高かったジニーさんはすぐに操作を覚えあっという間に操作を出来るようになった。
「後はここを調整すれば見たい時間軸へと飛ばせる。何か分からんかったところはないか?」
「いや十分だ。サンキュなベガパンク。これでくまちーの……あ、そういやこの記憶でくまちーを戻せるとか言ってたな。おーいアルガー!何かいい方法思いついたっぽいけどどうすんだー?」
ここへ来た目的を思い出したジニーさんがこっちへ首を回し俺の方を見る。
流石にここでくまさんにはまだ心が残っててエッグヘッドへ向かって来ているとは言えない。ここへ来たのだってくまさんの記憶がどこに保管されているのかを知るのが目的だったし。
なので少し話を濁しくまさんが来るまで時間を稼ぐことにした。
「それはまた後で教えるよ。それよりくまさんの記憶が気になるんでしょ?先に見てからでもいいよ」
「それもそうだな」
「なら、見ている間に私と話さんか?聞きたい事があるんじゃ」
そこへベガパンクが近付いてきた。さっきは流してくれたが逃がしてくれる気はなさそうだ。おそらく話の内容は俺の原作知識についてだろう。何かと不自然に原作知識をひけらかし過ぎたし。
「話はここでするのか?」
「いや、ちっとばかし込み行った話をするんでな。部屋を出よう」
ベガパンクの提案に乗り俺達は一度部屋を出て少し離れた通路へと移動した。
「よし、ここならええじゃろ」
「それで?聞きたい事って?」
「うむ、では単刀直入に聞こう。───お前さんはこの先の未来をどこまで知っておる?」
「……っ!」
やはり切り込んできたか。にしてもここまでド直球に聞いてくるとは思わなかった。
流石に質問をそのまま回答するわけにもいかんしもう少し相手の腹を探るか。
「話が見えないな。どういう意味で聞いてます?」
「ふむ、少し端折り過ぎた質問じゃったか。なら言葉を変えよう」
オホン、と咳払いをし改めて俺と向かい合う。次はどんな質問がとんでくるのかと身構えていた俺だったが……。
「私はまだ───お前さんを味方とは思えない」