あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
バニー「前回、サブタイトルも話もメインだった私ですが……最後ルッチの一言で感想欄ほとんど持ってかれたんですけどおおおお!!!」
もしロマ「どんまい」
それでは続きをどうぞ( ´ ▽ ` )つ
ドフラミンゴを倒した夜、ウチとサボは別れ際に言葉を交わしていた。
「じゃーなアルガ。次会った時はくまちーと一緒だぜ」
「ジニーさんはこれからどうするんですか?」
「まずはくまちーを安全な所へ移動させる」
一にも二にもくまちーの安全確保が最優先だ。厳密にはウチとくまちーは革命軍じゃない。それでも、ドラゴンさんやアニキ、他の気の良い皆に受け入れてもらい今回のくまちー奪還作戦に参加できた。
その上くまちーを匿ってくれるなんて頭が上がらないや。
でも、ウチにはまだやらねェといけない事がある。
「近々ウチはベガパンクの所に行く。一時は世話んなったし治療の恩もあるがくまちーをあんなにした事は許せない」
青玉鱗を治してくれたことには感謝してる。一緒に釜の飯を食って笑い合った仲だ。だけど、くまちーを
「何が何でも元に戻させてやる。もしダメだってんなら……!」
「わー!ジニーさん早まらないで!?」
恨み言を呟くと突然アルガが慌てだした。
「アン?突然なんだよ」
「んー、これは言わないつもりだったんですけど……」
「勿体ぶってんじゃねェよ」
少し言いづらそうに口ごもりつつも少し間を置くと驚く事実を聞かされた。
「実は……くまさんが
「何だとっ!?」
聞き捨てならないと距離を詰め肩に手を置き力んでしまう。サボが止めようとするもちょっとやそっとでは今のウチは止まらなかった。
「フッざけんな!!なんで黙ってたそんな大事な話!!!」
「俺だって言おうか迷いましたよ!でも、その時のくまさんがどんな顔をしていたか分かりますか?」
知らねェよ、と答えようとしたが既に顔に出ていたのかアルガは声を震わせて答えた。
「笑っていたんですよ!?ジニーさんの病気が治るならと心底安心しきった顔でよかったって!!」
「……っ!!?」
「これから自分が死ぬって時にあの人は最期まであなたの事を想い安堵していた。だから俺はその当人であるジニーさんに罪悪感を与えないように黙っていようと考えたんです……」
そこまで聞き怒りと同じ様に握力も抜け肩を掴んでいた手を離す。
そして、行き場のない感情がごっちゃになって歯を食いしばった。
「くまちー……バカヤロー……っ!」
何で言ってくれなかったんだ。いや、言える訳ねェか。くまちー優しいもんな。
でも、その優しさは嬉しくねーよ。
「悪ィな……」
「いや、こちらこそ黙っててごめん。でも、言わせてください。今言った条件を出したのはベガパンクじゃない。世界政府なんだ」
「やっぱりか」
「うん、ベガパンクはむしろこの条件に反対していたとくまさんが言ってた。けど、当のくまさんが承諾した以上強くは出れなかったんです」
だろうな、こんな反吐が出る条件を出すやつなんか決まってる。そもそもこれまでの状況こそ政府が描いていたくまちーの末路だったんだろう。
人の旦那をいいように使い潰そうとしやがって……!!!
「ゴミ政府共がァァ……」
「そうだ、これも話とかなきゃ。あの時は色々ごたついてて言いそびれてた」
「まだ何かあんのか?」
アルガは黙って頷いた。その顔はさっきみたいな申し訳なさはなく怒りを感じる。
「はい、個人的にこれが一番胸糞悪いですね。
「ジニーもそうだがアルガも大概口悪いよな」
アルガの辛辣な言葉にサボが若干引き気味になるが、アルガの話を聞き終えた頃には同じぐらい嫌悪の目で世界政府の恨み言を零していた。
「はあ?何だよそれっ!手紙を破棄してただって!?酷すぎるだろ!!!」
「くまさんは言ってました。自分の命が尽きるその日まで毎日手紙を書き続けるって。でも、ジニーさんから手紙は一通も来ていないって聞いて改めて気づきました。政府の糞っぷりに……!!」
「…………」
もう言葉が出てこない。それ程までに今ウチは腸が煮えくり返りそうだった。
ボニーは毎朝くまちーの手紙を楽しみにしていた。それでポストを空けては新聞しか届かず肩を落としていた。手紙を出すとくまちーが言っていたから。
その言葉を信じてソルベ王国を出る日までずっとずっと、ずーーっと待ち続けていたんだぞ!
「アルガ」
「はい?」
「ウチ決めたよ」
ウチは改めて決心した目標を告白した。
「───世界政府は必ずブッ潰す」
ウチの言葉にアルガ、そしてサボも一緒に頷き同意する。
「俺も同じ気持ちです」
「おれもだ」
三人の気持ちが一つになる。そこへ頭上からカラスの大群がやって来た。どうやら迎えが来たみたいだな。
「それと、サボさんにはこれを」
「これは……?」
「これからマリージョアに宣戦布告しに行くんですよね?お守りみたいな物です。もし危険な状況になったら───」
ウチは先に纏まったカラスの上に乗ると後ろで何やら二人が話していた。何かを受け取ると後を追うようにこっちへやって来てカラスの上に乗る。
「わり、少し話してた」
「そんな待ってねーから構わねェぞ」
「なあ、ジニー」
「何だ?」
ウチ達を乗せたカラス達が飛び立つ瞬間、サボは真面目な顔で向かい合った。
「準備が整い次第おれ達革命軍はマリージョアへ宣戦布告する。そこから本当の闘いが始まってこれまるだろう。ジニー、お前の事情は皆が知っている。だから、また
「サボ……へ、そうだな。前向きに検討するよ」
こうしてウチらは二人して笑い合いながらしばらく夜空の旅を楽しんだ。
そっからも色んな事が起きた。何故か黒ひげ海賊団にバルティゴの場所がバレ襲撃を受けたり、代わりとしてカマバッカ王国に移転するが娘達が置き手紙を残し一足先にエッグヘッドへ向かって行ったり。
まだ娘達にはベガパンクの誤解が解けていない。くまちーを置いていくのは忍びねェが事態は一刻を争う。だからウチは急いで単独でエッグヘッドへと向かった。
それから数日が経ち現在はエッグヘッド内で隠密を続けていた。
「くそー、何とかエッグヘッドには乗り込めたが……ボニー達はどこに……キャッ!?」
ズズゥ……ンッ!!!と大きな揺れと破壊音が響き渡る。自然災害にしてはあまりに不自然すぎるのでこれがすぐ近くで行われている戦闘音と言うのがすぐわかった。
「しっかし何で戦闘が!?ここは政府の島だぞ!?いったい誰が……っ!!」
壁際から顔を覗き出し上空を見上げる。すると、島中をかける抜ける二人の影と……その下の地上に見知った顔ぶれ達が。
「麦わら!?と他は───っ!!ボニー!!?」
麦わらと一緒にいるジンベエが抱えている少女、大切な家族のボニーを見つけたのだった。
あーチクショウ!コイツと鉢合わせしたくなかったからあの時溺れる前に助けようとしたってのに結局こうなるのかよ!
「フハハハハ!!まさかこんな所で再会するとは思わなかったぞ!ワノ国では任務から外されて不貞腐れたがやはりおれは運がいい!!!」
「そんでもって俺は運が悪い!!!てか、何当たり前のように攻撃してきやがんだ!!もう俺達は「四皇」だぞ!?自分勝手に手を出していいと思ってんのか!!」
「そうじゃぞルッチ!相手は「四皇」!許可がまだじゃ!!!」
そこへ敵サイドからナイス援護射撃。そうだそうだ!もっと言ってやれ!そして止めてくれ!!
「……カク、さっき海軍はなんて報告してきたか忘れたのか?」
「は?軍が到着するまで"麦わら"とは絶対に戦うなと……」
「そう、戦わないように言われたのは"麦わら"だけ」
そこまで言うとルッチは自信満々に……。
「つまり"鬼の戦漢"は命令対象外だ!!!」
「「んな訳あるかァアアア!!!」」
「相変わらずアルガの事好きだよなーハトのやつ」
ルッチのこじつけの言い訳に俺とカクが同時にツッコむ。
なんて自分勝手な野郎だ!ルフィかお前は!?とは言え、向こうが殺る気満々な以上戦闘は避けられない。こうなりゃやるっきゃない!
「後で始末書責任になっても知らねェからな!」
「始末書の10や100で貴様と殺り合えるなら本望!!!」
「もーやだこの人恐い!!」
恍惚な表情を浮かべるルッチに対し背筋に鳥肌が立つ。だが、腐ってもCP0……その一瞬の油断が命取りになり得る。
「”
「ウッ!?あっぶな!」
一瞬にして俺の背後に立ち振り上げた手刀が背後を襲う。しかし、見聞色で先読みしていた俺はその場でしゃがみ相手の手刀は空を斬った。
今度はこっちの番だ!”降霊「鬼火」,,で拳に蒼炎を纏わせ打撃力を強化!!
「”
「”
いや、お前もそれ使えんのかよ!?
拳が直撃したかと思えばルッチの身体がボワンと煙のように霧散した。しまった、”手銃,,はブラフ!本命は……!
「さあ、本番と行こうかァ!!”
「うおおおおっ!?」
いつの間にか覚醒フォルムに変身していたルッチが頭上から襲いかかる。不意を突かれたが大丈夫、見聞色で未来を見るんだ。冷静に対処すれば───
───ザシュザシュ!!
「ガッ!?アアッ!!」
「アルガァ!!?」
未来を先読みしたハズにも関わらず、ある程度捌いた後数発ルッチの手刀が俺の体を貫いた。
「なぜ攻撃を食らったか教えてやろうか?」
「アン?」
「単純に強化形態になったおれとなる前の貴様とでは身体能力に差が出ているのもあるが───先の貴様との戦いでおれは一段と強くなれた」
ルッチは指についた俺の血をペロリと舐め楽しそうに笑う。
その行為に気持ち悪さを感じつつ俺はルッチの言葉に冷や汗を滲ませる。今、コイツは未来視ができる俺と同じように先読みの動きで攻撃を当ててきやがった。つまり……。
「ドレスローザで死地に追いやられたから覇気が強くなってお前も見聞色が未来視レベルになったと」
「ああ、勿論───」
「ッ!?ガフッ!!」
「武装色もな」
口からおびただしい量の吐血をしてしまいここでようやく気付く。貫かれた部分から浸透するように内部も甚大なダメージを負っていることに。
グォォ……!マジかコイツ!?見聞色が未来視レベルになっただけじゃなくて武装色も内部破壊できるレベルになっていやがるとは……!
何なのコイツ、敵キャラでコイツだけ明らかに原作以上の実力をつけてる気がすんだけど!?
とにかく、一旦落ち着け。まずは呼吸を整えろ。
「ス、フゥ〜……」
「あれからおれは更に強くなったぞ?”
「…………」
確かにルッチの言う通りだ。”降霊「呼憑き」,,はドレスローザの時点で覚醒フォルムに劣っている。”「武装龍鬼」流桜武神,,も同様だ。パワーはこっちが上だが、あの時勝てたのは初見だったから。
あえてこっちの誘いに乗ってくれたから攻撃が当てられた。しかし、タネを知られている以上覚醒フォルムの機動力で避けに徹しされたらどうしようもない。
詰みだな……。
「…………」
「っ!」
───俺がワノ国を出る前までの話だったらなァ。
「この状況で笑うか。そうでなければな!」
「ルッチ、俺ひとりじゃ
俺は胸に手を当て魂の奥底に潜む大切な友達に語りかける。
力を、貸してくれ!
『いいよー』『やったれやったれ』『ひどいケガ、許せない』『ぐちゃぐちゃにしてやる』『極刑』『丸焦げ』『圧死』『撲殺』『ネコ男すり潰して猫まんまの刑だ』『アルガがァァアルガがァァ』『アア、ア"ア"ア"ア"ッ!』『よくもアルガを』『許さない許さない許さない』『変なヒゲしやがって』『ブッ潰す』『処す?処す?』『絶!許!』
思った以上に激怒でした。どうどうみんな落ち着いて。でも、俺のために怒ってくれてありがとな。
「”
そう叫ぶと囲うように竜巻が発生し俺の身を包み込む。竜巻から覇気が迸り誰も近づけなくなる。ただ息を呑んで見守るしかできなかったルッチはその場で立ち尽くし……。
「待たせたな。こっからが本番だ」
「アルガ。貴様からはいつだって予感がする」
変身を終えると周囲の竜巻は霧散しその姿を現した。黒い翼に毛髪も増え左右から魔方陣が展開され中から鍵盤の腕が出てくる。
そして、周囲にドクロが複数出現し何処からか出てきたシルクハットを被った。
その姿を見たルッチは俺と目を合わせ、今まで以上に胸の鼓動を高鳴らせた。
「貴様との血湧き肉躍る───全力の殺し合いがァアアァアア!!!!」
初っ端からトップギアとなり超速で縦横無尽に疾走するルッチ。その速度はもはや生物の限界を超えており目では追えなかった。
つっても……。
「目で追う必要なんてないけどな」
「───ッ!!?」
さっきと同じ様に背後から襲いかかろうとしたルッチだったが、背中を見せる俺の頭上にひとつのドクロが口を開き光球を溜めていた。
「”
そして、光線を放つとルッチは光に飲み込まれ遠くの建物へと突っ込んだ。
既に民間人は避難しておりこの場には俺達とCP0しかいない。だったら加減は必要ないな。
「旋回しろ」
俺の指示に従うようにドクロ達は次々とばらけ飛んでったルッチの建物を囲う様に旋回する。そして、一斉に光球を溜めると……。
「”
───ズドドドドドドドドドドォォ…………ン!!!
全方位から光線が一斉放射され建物はあっという間に半壊した。
「うっは〜!ビームかっけ〜!!」
「ウオオオオ!おれもビーム出してェ〜!!」
「何じゃいあれは……。あれがアルガなのかっ?」
「ルッチー!!」
「あの姿、まさか……」
俺の姿を見て他の皆はそれぞれ反応を見せる。カクがルッチの心配をしているが……。
バキッ!バキバキベキィ!!と半壊した建物の中から何か突き破る音が響くと屋上からルッチが飛び出して来た。
「ハァッ!ハァッ!今のは危なかった。フハハ、やはりどこまでも楽しませてくれる!!」
「やっぱ避けてたか。次は逃さん」
「ルッチー」
お互いに相手を見定めているとステューシーがルッチを呼びかける。
「何だ、今更止めるつもりか?だとすれば容赦せんぞ」
「違うわ、アドバイスよ」
「アドバイスだァ?」
「
「そうか、情報感謝する」
あー、そうだった。ステューシーはビッグ・マムの茶会にいたんだった。でも、何でわざわざルッチに伝えたんだ?あんたベガパンク側の人だよな?
そりゃあ、知ってるのに伝えないのは政府側に怪しまれるだろうけどこのタイミングで……?
「ふふっ」
「……?」
何を企んでいるのか考えているとステューシーが俺の方を見て何やら微笑んでいた。すんごい美人だからか魅力的な笑みについつい目を奪われてしまう。
「うーん、可愛い」
「あの女にうつつを抜かすヒマはないぞ?」
「ゲッ!?」
やべ、ステューシーの微笑みに気を取られてしまい懐に入り込まれてしまった。何故かちょっと不機嫌そうなルッチは怒り任せに俺の腹めがけ殴り上空へと打ち上げた。
「ゲホッ!」
「見た目以上に硬いな。土手っ腹に風穴を開けるつもりだったんだが……」
「何か今まで以上に殺気を感じるんですが!?」
そこから戦いは白熱していく。ステューシーのアドバイスにより俺の攻撃をある程度把握したルッチはドクロの光線や鍵盤の腕を掻い潜り反撃に転ずる。
俺もルッチの攻撃を避け攻撃する。しかし、見聞色による未来視で先読みするルッチを当てるのは至難の業だった。
そうしていると、下の方でも何やら動きを見せる。戦桃丸が現れ俺たちの味方となりCP0と交戦を始める。
ここまで原作通りだったからルッチに集中していたが、ここで予想外の人物が現れた。
「ボニー!!」
「っ!?ジニーさん!?」
「また他に気を取られやがって。そんなに気になるならまずはあの女からだ!!」
何でここに!?そう思っているとそれが気に食わなかったのかルッチは標的を変えた。
「おいお前ェ!!何でボニーが気を失ってんだ!?事と次第によっちゃ───えっ」
「危ない!!」
ボニーの安否に気を取られルッチの手刀に遅れて反応する。ジニーさんを守ろうとジンベエがルッチの前に立ち───
「”
「ウ"ッ!チィッ!」
ルッチの手刀が振り下ろされる前に光線が間に合い二人の間を通過する。すぐに距離を取ったルッチの前に立ち牽制する。
「ジニーさん!何でこんな所に!?」
「ウチのセリフだよ!ここは政府の島だぞ!?」
「ふむ、どこかで見た顔だ。……そうだ、昔の新聞の」
お互いに何でいるのか分からない状況。そこへルッチが思い出したようにジニーさんの顔を見て反応する。
「女ァ、思い出したぞ……。貴様マリージョアからアルガと一緒に逃げた奴だな?」
「うげ、何で知ってんのさ。キッショ、ストーカーかよ」
「いや、どちらかと言うとコイツ俺に執着してんだよね」
「ヤベー奴かと思えばもっとヤベー奴だった」
何でここにジニーさんがいるのか考えるのは後回しだ。そんな余裕はない。
今は、コイツを早くブッ倒すのみ!
「そんなに俺と戦いたきゃ見せてやるよ!
「───ッ!!」
俺が刀を携えるとその動きに連動するように鍵盤の腕がドクロを掴む。そのドクロからビームサーベルみたいな巨大な光剣が出現すると俺はルッチめがけ刀を振り降ろす。
同じ様に鍵盤の腕も振り下ろされ巨大な光剣がルッチを両断した。しかし───
「”
「ッ!?クソまたっ!!」
両断されたルッチは霧散し消える。またも残像だった事に一瞬焦ってしまう。今度は何処から奇襲を仕掛けてくる?そう身構えていた俺は忘れていた。
ルッチは戦闘狂だが任務は着実こなす人間という事を。
「”
「がはっ!!?」
「まさかり〜!!?」
「しまった!狙いはそっちか!!」
ルッチは俺を無視して戦桃丸に奇襲を仕掛けていた。クソが!何で奴の思惑を見抜けなかった!こうなる事は原作でも知ってただろうが!!
「司令塔は消すだけだ……セラフィム!!我々の指示に従───っ!?」
「言わせるかァァァ!!!」
避けられていたかもしれない事態に不覚を感じすぐさまルッチの元へ飛んでいく。翼をはためかせ加速するとあっという間にルッチとゼロ距離になる。
「俺だけに集中しろとか言ってたクセにお前も余所にうつつ抜かしてんじゃねーよ!」
「フフ、妬いたか?」
「焼いてやるよ!!」
ただし今度は斬撃に乗せてなァ!!
「桜木秘奥!!!」
「またか……ッ!?”
さっきと同じ技なのを察し肩を透かすが、明らかにさっきまでとは出力が違い顔から余裕が消える。瞬時にこれを受けた未来を見聞色で見たのかルッチの顔色は一変し急いで場を離れた。
だが残念、この技の刀身に……際限はない!
「”
「ぐああああっ!!?」
必死で走り既に100m以上の距離を取っていたが、どこまでも伸びる光剣から逃れるすべはなくルッチは背中に火傷の斬りキズを残した。
「がふっ!な、何だ……今のはっ……!?」
「次は逃さんって言ってだろ。いくら離れようが無駄だ。今の技どんぐらい延びるが教えたげるわ───13キロや」
「ッ!!?」
嘘である。完全なハッタリだがせっかくなのでノリで言ってみる事にしただけである。んー、キモチイイ〜!
「"鬼の戦漢"!!ゼェゼェ……」
「ん?戦桃丸、息上がってるが大丈夫か?」
「余計な心配すんじゃねェ、ワイのガードは世界一だ。それよりも……パンクのおっさんを頼む!!」
息が絶え絶えの状態で指を差しその先を見ると真空ロケットのゲートが見えた。奥には既に仲間達が入り込んでおりいつでも発進できる状態だ。
「既にオメェの仲間達にはここの脱出手段を伝えて移動してる。後はオメェだけだ」
「お前はここに残るのか?」
「ああ、いくら真空ロケットが速くても相手はCP0……逃げ切るにはワイが足止めせんといかん」
「わかった、恩に着る。ベガパンクは俺達に任せてくれ」
「頼んだ」
お互いに言葉を交わすと俺は変身を解き元の姿へと戻る。そして、真空ロケットのゲートへと走るのだった。
「ま、待て……まだ勝負は……」
「もうよせルッチ!今は回復に専念しろ。まだセラフィムが暴れておるんじゃ。奴との戦いは後にせい」
「くそっ……」
よかったー、ルッチももう追ってこなさそうだ。とは言え、ルッチは覚醒した"
ゲートを潜り抜けると皆がロケットの席に座って待っていた。
「おせーぞアルガ!早くロケット乗りてーのによ!」
「悪い待たせた。早いとこ
「っ!戦桃丸が一人で残るのか……」
一緒に乗っていたジニーさんの表情は少し曇る。無理もない。ジニーさん達は青玉鱗を治すためにベガパンクの研究所でお世話になってたんだ。
きっと友達だったんだろうな。
『発車します───』
「んあ〜?あれ、何であたし寝て……そうだベガパンク!!ってお母さん!?何でここに!?」
「そりゃこっちのセリフよ!!何でウチが戻ってくるまで待てなかったんだい!!バニーまで危険な目に合わせて!!!」
「うー、それについてはゴメンなさい……」
真空ロケットが発車するアナウンスが鳴るとその音でボニーちゃんが目を覚ます。頭の整理が済むと再びベガパンクに恨み言を漏らすと目の前に母がおり驚愕する。
ボニーちゃんが目を覚ました事によりさっきまでと違い明らかに明るさを取り戻していた。それはそうと親子喧嘩が始まったけど。
その後ある程度説教をした後にジニーさんはベガパンクの誤解を解きつつ
研究層に到着した俺達は皆と合流するべく通路を進んでいた。その間にジニーさんもボニーちゃんに事情を説明している。
「エエーッ!?じゃあお父さんはあたし達に毎日手紙を!?」
「ええ、だからベガパンクに会っても殺そうとしないのよ?第一に聞くべきは……くまちーを戻せるかどうか」
「くまさん戻るといいな」
「戻るといいなじゃねェ。必ず戻すんだよ!」
そう話し合っていると広い部屋へ出る。よく分からん機械がズラーっと並べており大きなモニターもあちらこちらに。
そして、はぐれていた仲間達も……。
「おじさーん!!」
「ぐえっ」
「海に落ちた時はどうなる事かと思ったよ!無事でよかった〜!」
「鬼姫様も無事で何よりです。ひとまず手をお離しに……鬼姫様?さっきの戦いで割とダメージが残っててこのままだとマズイです!背骨がミシミシなっててかなりヤバいです!」
涙ぐんだ瞳で抱き締めてくる鬼姫様。最初は微笑ましかったが腕力が微笑ましくなく徐々に内臓と背骨が圧迫されてきた。
そういや、おでんさんの航海日誌を渡した時もそうだったなァ。感極まると加減を忘れてサバ折りハグしてくる癖は健在だったか。
何とか背骨が逝かれる前に宥めて鬼姫様を落ち着かせる。イツツ……あと少し遅かったら持ってかれてたな……。
「…………」
「ロビン?どしたのそんな真顔で詰め寄ってきて」
腰をさすっていると今度はロビンがやって来るが何やら様子がおかしい。眉ひとつ動かさないのは不気味さを感じてしまう。真顔ロビン恐いッス。
「あなた、戦い中にCP0の女性に見惚れてたわよね?」
「…………」
「少し油断しすぎじゃないかしら?一応忠告しておくけれどここは敵地なのだからもっと気を付けた方がいいわね。何が起こるか分からないもの。それともモネみたく今度はあの女性も気に入ったのかしら?」
「すみませんでした」
ひえ、早口ロビンこわい。
だってしょうがなくね?超ミニスカワンピの金髪ショートウェーブおしとやか美人にまじまじと見つめられるんだぞ?ドキドキしちゃうに決まってんじゃん。
ひょっとすると俺ってハニトラに弱いのかもしれない。彼女なし=年齢(人生三回分)にはアレは刺激が強過ぎる。
とにかくこの場を収めるために謝り倒していると聞き慣れない声が聞こえてきた。
「あ、あの!あ、アル、アルガさん……」
「ん?あ、君は確かバニーちゃんだっけ。ボニーから聞いたよ。まさか姉妹がいたなんて驚いたなー。それで俺に何か用かな?」
「あの時は……助けてくれて……ありがとうございます。それと……失礼な事も……」
「あー」
失礼と言うのは助けた時に「ゲッ」て言ったことだろうか。確かにあれは少しショックだった。(シャボンメンタル)
「別に気にしなくていいよ。結局助けられなかったし。礼ならサンジに言ってくれ」
「あ、はい。サンジさんにも……お礼は言いました。それはもう色々とゴチになりましたし……うへへ」
「うへへ?」
「ハッ、そんな事より……実はそれとは別の話がありまして……よかったら二人で話せる所へ行きませんか?」
思わぬお誘いに戸惑ってしまう。話してる感じ人見知りっぽいし初対面の男と気さくに話すのは苦手そうなのに俺と二人で?
「二人でって……ここじゃダメなの?」
「あ、はい。おそらく……といいますか……ほぼ確なんですが、一応確認しますね」
そういいバニーちゃんは腕を上下に動かししゃがんで欲しいとジェスチャーするのでその場に屈むと耳傍でとんでもない質問を受けた。
「アルガさんって───こことは別の世界の、生まれ変わる前のキオクありますよね?」
バニーちゃんの一言で颯爽と人目の少ない通路まで移動した。動揺してた事もあってバニーちゃんを担いで行く俺の姿は皆からすれば不思議に感じていただろう。
場合によっては事案になりかねない。一応、少しバニーちゃんとお話してくると伝えていたが大丈夫かな?変な誤解とかされてないかな?
だけど、今はそれよりも……。
「まさかバニーちゃんも転生者だったとは」
「てんせいしゃ?車の種類かなにかですか?」
「え?転生者って言葉知らない?」
「あ、はい。すみません」
「いや、別に謝ることでもないけど」
転生者って言葉を知らないなんてあるのか?そういや、さっきもなんだかやたらと遠回しな言い方だったな。
「えーと、簡単に言うと前世の記憶を持った人って感じかな。バニーちゃんは元々日本人なんだよね?」
「あ、はい。そうです」
「つまり、前世で日本人だった頃の記憶を持ってるバニーちゃんは転生者ってことだよ」
「あ、なるほどです」
そっかー、とポンと手を叩き納得するバニーちゃん。その仕草を見て最初は転生モノの本とかを読んだことがないのかと思ったけどもしかして……。
「不躾にこんな事を聞くのも失礼だと思うんだけど……バニーちゃんって前世では何歳だったの?」
「ん〜、12才!だけど今は7才!」
おっと、ホントに事案にならないか心配になってきたゾ?だけど、これで理由がわかった。小学生ぐらいならそりゃなろう系なんて見らんわな。でも、心身共に幼い子を担いできたのか俺……。
俺がだんだん嫌な汗を流しているとバニーちゃんが申し訳ない様子でまた謝ってきた。
「あらめてあの時ゲッって言っちゃってごめんなさい」
「いいって、そんな謝らなくても。でも、何であんな反応を?」
「両親からアルガさんはいい人だって言ってたけど知らない人だからあやしんじゃって……」
「怪しむ?」
「うん、私とおなじ……えと、転生者?だからマンガの世界ですき勝手にやってる人かもって思っちゃった」
「あー、まあ原作にバリバリ関わってるしそう思われても仕方ないか。大丈夫だよ、俺は気にしてないから」
もう一押しと思い「それに……」と付け加えこれ以上ない決定的な根拠を伝えた。
「もし俺がホントに悪い人だったらルフィは仲間に入れてないって」
「あっ、それもそっかァ〜」
納得がいったのかパアアッと明るい表情になる。
なんだろう、ジニーさんやボニーちゃんの気性が荒いから同じ顔のバニーちゃんの純粋無垢な笑顔が一際天使に見えてきた。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。バニーちゃんはそのままでいてくれな」
「??」
何を言っているのか分からない様子でキョトンとし首を傾げるバニーちゃん。うん、可愛い。
この子だけは口が悪くならずに育って欲しいなァ。あ、そうだこの際だしあれも聞いてみよう。
「そういえば、バニーちゃんは原作をどこまで知ってるの?実は俺ちょうどこの島の途中までなんだよね。だからこの先とか知ってたら教えて欲しい」
バニーちゃんは俺よりも後に生まれてきた子だ。つまり、俺よりも長くONEPIECEを見ていた可能性が高い!
俺は20年ちょいぐらい前でバニーちゃんは7年前。つまり俺の知らない13年分のONEPIECE知識を持っているかも!
そう期待を寄せていたがバニーちゃんの返答に呆気なく打ち砕かれる。
「うー、ごめん。わたしも知らない。ジャンプ派だったから最新話はいつも読んでたけど……」
まあ、そんな上手くは行かないか。しゃーないしゃーない切り替えて行こう。
「そうなんだ。因みにいつの話まで知ってる?」
「えっとねー、かなり佳境なお話だったよー。世界一が決まる戦いと言っても過言じゃない!」
「ほうほう」
となるとワノ国の途中かな?天上決戦と言われる程の戦いだったし。
そんな風に考えていると帰ってきた答えは違っていた。
「ふっふっふ、私は───処刑寸前のエースを助けた所まで知ってる!!!」
「oh……」
マジすか。
【転生の法則・その一】
前世の記憶を思い出すタイミングは産まれてすぐかある程度経ってからなのかは個人差がある。リベルの様に思い出す前に死ぬケースもある。
しかし、ONEPIECEの物語を知れば知るほど原作よりも過去に転生し、反対にあまり読み進めていなければ原作間近に転生される。