あなたにもう一度毛布をかけるため 作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!
だいぶ投稿が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m
今年からは投稿頻度を上げるために6000〜8000文字で書こうと決めたハズですが……前回の13000文字といい今回の17000文字といいどうも私は10000文字以上書かないと落ち着かないようです(;゚∀゚)
こんな私ですが今後とも楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ
ONEPIECEは最初、ネームドキャラが死亡する展開は過去編でなければほとんどなかった。直径5キロの爆発をゼロ距離で受けたペルやエネルの”エルトール,,に直撃したと思われたコニスの父さん。
それ以降も危険な場面は多々あったがそれでもなんだかんだ実は生きてました展開が続き「え?これで生きてんならもう死ぬキャラいなくね?」と高を括っていた読者はそう少なくはない。
頂上戦争でエースが死亡するまでは。
エースという明確に死亡したネームドキャラを始め、新世界へ入ってからはこれまでが嘘だったかのように続出した。
因みに俺は一目推ししたモネが速攻で死亡し三日三晩泣いた。
だからだろう……。
「エエエエエエエッッッ!!?あの後エース死んじゃったのォォォ!!?」
「あーうん、そりゃ驚くよねあの時は全読者が衝撃を受けたよ」
ネームドキャラ死亡展開の先陣を切ったエースさんの死を知りバニーちゃんはめちゃくちゃショックを受けていた。
「当たりまえです!!だってあのながれは完全に勝確だったじゃん!エニエス・ロビーでたとえるならメリー号が助けにきた時と同じぐらい勝確ムーブだったじゃん!!むしろあそこからどうやって逆転負けしたのっ!!?」
「急に饒舌になるね。おじさんびっくり」
君数分前まで人見知り全開だったじゃないの。
「とりあえず続きはまた今度話すよ」
「ええー、つづきが気になるゥー……」
「話してあげたいが、それよりも先に片付ける事がある」
「片付ける事?」
「ああ、実は───」
事情を話そうとした時『ビーッ!ビーッ!』と研究層内に警報が鳴り響く。
『「
「わわっ!何!?この放送!?」
「始まったか」
「アルガさん何か知ってるの?」
うーん、バニーちゃんには話した方がいいよな?この先の展開知らないし。
突然の警報とアナウンスに慌てふためくバニーちゃん。今後の事を考えてこれからの展開について話すことにした。
「よく聞いて、これからこの研究所は戦場になる。下にいるルッチ達やセラフィムって言う子供七武海パシフィスタが襲ってくるんだ」
「えっ!?ヤバいじゃん!!」
「いや、これ自体はそうヤバくない。ルッチの騒動はある人物のお陰ですぐ収まる。問題なのはその後、エッグヘッドにいるセラフィム達が再び暴れ出してベガパンク他俺達の命を狙って来るんだ」
「うえへっ!?何でそんな事に!?」
バニーちゃんは両手で口元を押さえ訳が分からないと言った様子で驚く。彼女の疑問に答えるためにこれから起こす騒動の犯人の正体を教えた。
「これらの事態を引き起こす犯人は「
「うわあ、ド屑だァ……」
「俺もそう思う」
心身共に幼い女の子に軽蔑の目でドン引きされる「
むしろ、何故あんなクズになりたいのか理解できないんだろうな。俺もできない。滅べばいいと思う。
「だからこれから一度皆と合流する。バニーちゃんは単独行動せず家族の傍を離れるなよ?」
「わかりました!」
「よし戻ろう」
そして、一度俺達は皆のいる司令室へと戻っていった。この時、俺は見聞色を使って近くには誰もいないことを確認して油断してしまっていた。
ここは研究所。電伝虫など使わなくとも俺たちの音声を拾える機械は充実していた事に気付かなかった。
戻る道中爆発音や激しい戦闘音が聞こえてきたがやがて静まり司令室へ戻ってくるとみんなが勢ぞろいしていた。
「お、女児誘拐犯が戻ってきたぞー」
「現行犯で確保だー」
「タイホだー」
「悪ノリで割とシャレにならん事を言うんじゃない。俺も後からそう思ったわ」
戻ってきた俺を見るなりウソップ、ルフィ、チョッパーが俺を囲う。確かに血相変えた男が少女を担いでどこかへ消えるって傍から見たら完全に事案ですもんね。
それはそれとしてルフィ達は何で急に俺が走っていったのか気になっているらしく問い質してくる。
「にしてもホントにどうしたんだ?めちゃくちゃ慌ててたみてーだが」
「そうだぞ、お前がいない間大変だったんだからな。ルッチ達が襲ってきたりデケー子供が研究所攻撃してきたり」
「あ、ああ……」
何て言えばいいだろう。流石に日本の記憶を話す訳にもいかないなー。
「えーと、実は俺とバニーちゃん同じ本のファンでさ。語り合いたいなーと思ってつい。そうだよねバニーちゃん」
「あ、はい」コクコク
「いや時と場合を考えろよ呑気か!?」
ゴメンてウソップ。
それはそれとして急に陽キャオーラ全開で囲ってきたウソップ達に人見知りが発動してしまったバニーちゃんは俺の後ろに隠れて首を縦に振る。
そこへロビンもやって来た。
「へえ、あなたがそんな熱狂する作品があるなんて興味があるわね。なんて言うの?」
「えーーと、ロマン溢れる冒険バトル物かなァ〜。ミステリーとかサスペンス系が好きなロビンには趣向が違うかも」
「あら、私冒険物も好きよ?」
迂闊!圧倒的盲点!!
そうでした!ヤバい、ロビンの奴何かやたらと勘繰ってくるぞ?なにか話題を逸らさねば……!
「そ、そうだったなァ〜。それじゃまた今度紹介するよ。それにしても皆すっかりこの島に馴染んでんな。その服The未来人って感じで似合ってるぞ」
「そう?ふふっ、ありがとう♪」
おっ、予想以上に手応えあり。すごい嬉しそうだ。まあ、個人的には少し露出が多すぎる気もするが……。
そこへ今度はナミが感想を求めてきた。
「ねーねーアルガ、わたしはー?」
「似合ってるけど……すごい。普段の露出が多いせいでその格好が控えめに感じる……」
ロビンと同じぐらいなのにナミの場合はへそを隠してるだけで慎ましやかすら感じてしまう。
とそこで俺はある事に気付く。一味全員の衣装が変わっている。と言うことは───っ!!
「おじさーん、僕はー?」
「…………」
「んん?おじさん?」
鬼姫様のイメージカラーに合ったホワイトをベースにナミと似た太ももや肩出し露出の未来服。その姿を視界に入れると言葉を失い呆然と立ち尽くす。
そして、ただ一言……。
「我が生涯に一片の悔いなし!!!」
「えっ!?泣くほどっ!!?」
ウ"ウ、ウオォウ"……!鬼姫様がいつもの着物以外の服を着てらっしゃる……!!
鬼姫様の新鮮な姿に涙を禁じ得ない。幼少期の頃から似た衣装しか見たことなかった俺にとってこれは心に来るものがある!
鬼姫様と海に出てホントによかった!!
え?さっきここで会った時に見てただろって?あの時は色々考え事してていっぱいいっぱいだったんだよ。てか、出会い頭にサバ折りされて服どころじゃなかったし。
「へえー、鬼の戦漢ちゃんはこういう格好が好みなのね。なら私のはどうかしら♡」
「うおっ!?ステューシー!」
突然現れた未来服衣装のステューシーに声をかけられビックリしてしまう。
「そう警戒しないで頂戴。実は私諜報機関に潜入していたスパイなの。だから今は貴方達の味方よ」
「いやまあ、味方なのは分かるけど……距離近くありません?」
「そう?これぐらい普通よ♡」
めっちゃ至近距離まで近付いてくるんすけど。女性のパーソナルスペースは狭いと言うけどこれはあまりにもだよ。あ、ほらいい匂いとかしてくる。
バニーちゃんみたく人見知りじゃないとは言え歓楽街の女王と呼ばれる方相手にそんなまじまじ見られるとドギマギしてまう。
「私ね、貴方のファンなの」
「うへ?ファン?俺の?」
「ええ、そうよ」
唐突な告白に動揺を隠せない。
歓楽街の女王様ともあろう者が俺なんかのファンだって?何だどういう事だ?お世辞か?ワナか?ハニトラか?
「こんな美人さんがファンだなんて恐縮です」
「そう言ってくれて嬉しい♡でも、意外と多いのよ?貴方のファンって」
「え、そうなの?」
え、そうなの?
思考と言葉が同時に出てしまった。だってしょうがないじゃん。そうなってしまうぐらい疑わしいもん。
しかし、俺の疑問にステューシーは頷き肯定する。
「ええ、そうなの。知らない?2年前の戦争で非加盟国の冷遇されている人達や解放されてもなお心が死んでいる元奴隷達が貴方のお陰で希望を見出した。ある者は"市民の代弁者"。ある者は"救済の申し子"。ある者は"第二の革命家"なんて讃えられているわ」
「知らない所で囁かれんのって何だかむず痒いな」
「あら、結構有名な話よ」
マジか、俺世間でそんな評価をされていたのか。
ドラゴンさんを差し置いて革命家だなんておこがましいッスよ。恐れ多いッス。
でも、俺の行動で誰かが立ち上がれるようになれたのなら嬉しいかも。
「後は一時期やたらとラップが流行ってたわね。調べでは"海鳴り"が中心になって広めていたとか」
「アプー……」
あいつの場合は絶対面白半分で広めてただろ。笑い泣きしながら広めている姿が容易に想像できる。そりゃ作曲してくれたのは助かったけども。
「世界中の人々の
「そうでしたか。なんだかテレるなァ」
ファン、こんな美女が俺のファンか……うへへ。
「おお〜、おじさんって有名人なんだァ。フフン、僕も鼻が高いよ。……あれ?ロビン?」
「彼がそう呼ばれているのは知っていたけれど……。ハア、まさか政府の島で出会ってしまうなんてね」
鬼姫様とロビンがこっちを見て何か話してる。そういえば、ロビンはこの2年で世界の情勢とか結構調べてたっぽいし俺の事も知ってたのかも。
改めて思うが俺が第二の革命家かー。祀り上げている人達には悪いけど……。
「勝手に騒ぐ分には構わんが、俺が革命家ってのには性に合わんなァー」
「そうなの?」
「うん、どれだけ世間から言われようが俺は海賊だ。自由気ままに生きたい」
「まあ、そうよね。周りがそう囃し立てているだけだし。私は理想を押し付けたりはしないわ。でも、中には過激派もいるから気を付けて」
ああー、いるいる。推しが自分の理想と違う言動を取るとすぐ激昂するヤバいファン。日本にも暴走気味なファンは一定数いるもんなー。
「なんなら今すぐ隣にあなたの過激なファンがおねんねしてるわよ♪」
「コイツはファンじゃなくてストーカーだろ。一生寝てて欲しい」
面白半分にルッチを指差す彼女に俺は背筋をゾッとさせる。
言わないでよ。気にしないようにしてたのに……。寝ているはずなのに俺に視線が向いてる気がして恐ェんだよなコイツ。
まあ、何にせよステューシーが理解あるファンで助かった。
「あ、革命家になる気はないけど世界政府は大っっっっっっっっっっっっっ嫌いだから潰せる機会があれば遠慮なくブッ潰すよ」
「元諜報機関のトップエージェントに言うのそれ?」
「元からスパイだったでしょアナタ」
「まあね〜♡」
モネみたいに語尾に♡を着けたり自然と距離を詰めたりいちいち反応が可愛い。これが魔性の女というものか。
大人の魅力を感じさせるのはロビンと同じだが、彼女はそれにプラスして男への接し方を熟知してらっしゃる。
流石は快楽街の女王、俺が誇り
「なんとっ!もう事情を知っていたのか!?」
「ああ!だからこれ以上腹の探り合いは辞めだ!ウチらが求めている事はただ一つ。くまちーを戻せるかどうかだ」
室内にジニーさんの声が響く。聞き逃がせない内容だったのでそっちへ足を運ぶと難しい顔で静まり返っていたベガパンクは申し訳ないといった様子で渋々応える。
「スマンが……くまを戻す事はできない。私が不甲斐ないばかりに……!」
「そんなっ!せっかくくまちーを取り戻したってのに!!」
「お父さん……もう治らないの……?」
自身の力不足を悔やむベガパンクとくまさんが元に戻らないと聞かされ涙目を浮かべる母娘達。
そこへ俺が割って入った。
「なあ、聞きたい事がある」
「お前さんはくまの……そうか友達じゃったな。くまからよく話を聞かされた。それで聞きたい事とは?」
「くまさんは今記憶を消されて自我のない"
「───っ!?お前さんまさかっ!!」
「その反応は、ビンゴって捉えていいよな」
「何だよアルガ!二人して話を進めんじゃねェ!!ウチらにも分かるように言え!!」
話が見えてこず焦らされるジニーさんは我慢できないと声を荒げた。
俺の知る残り僅かの原作知識ではボニーちゃんがくまさんの真意を知るために記憶の塊に触れくまさんの過去を知った。
その後どうなったのかは分からないがダメージの塊と同じ様に形留めていた記憶の塊にボニーちゃんが触れたことで消えてしまっているかも知れない。
そして、当時の俺は……いやひょっとすると他の読者も考えていたかもしれない。もし、その記憶の塊を今のくまさんに付与することができたら元に戻せるのではないかと。
だから俺はベガパンクに聞く。その可能性にかけて。
「あるんだな?くまさんの「記憶」が」
俺の一言で周りは絶句した。そして、くまさんの家族は身を乗り出す勢いでベガパンクへと詰め寄った。
「何だってっ!?本当なのかベガパンク!!」
「…………」
ジニーさん達に重圧の視線を浴びるベガパンクは静かに俺を視界に捉える。
「ある」
「っ!やっぱりか!」
「何故、それを知っている?私はくまの記憶を全て見た。お前さんとの会話も……。じゃから、お前さんがこれを知る機会がないのも知っている」
「……っ!」
ベガパンクのもっともな疑問に俺は喉が詰まらせる。
しまった、少し強引に話を持って行き過ぎたな。ベガパンクは一度疑問を持てば納得するまで探求を辞めない男。どうしたものか……。
「…………まあ、よかろう。今はその件は置いておく」
「え?」
ベガパンクの意外な言葉に俺は声を漏らす。
「重要なのはその「記憶」でくまを戻せるかどうか……じゃったな。結論から言おう───現状況では無理じゃ」
「───っ!!」
ベガパンクの重々しい一言に俺は心を締め付けられた。世界一の科学者に結論を突き付けられてしまったが感情がそれを否定させる。
理由なく納得できなかった俺はベガパンクに問い質した。
「な、何で……」
「問題は二つじゃ。一つ、くまから消したのは「記憶」だけではなく「自我」……つまり精神じゃ。感情無いものに記憶だけ植え付けようがその記憶を整理する精神が無ければ意味は無い」
「ぐっ!」
彼の説明に納得してしまい俺は顔を歪める。そして、次に大前提として更に大きな問題を叩き付けられた。
「そして二つ、お前さんが言った「記憶」の塊は触れれば消える淡いモノ……この研究所から持ち出せない以上くま自身がここへ来ない限りその「記憶」自体戻す事ができん」
「っ!!」
非情な現実に俺は顔を俯かせ拳を強く握り締めた。
くまさんは今カマバッカ王国で安静にしているとジニーさん言っていた。つまり、ここにはくまさんはいない。聞いた限り「記憶」もここでしか保管できないならどうしようも───
「……?」
待てよ?でも、原作では確か……。
「無理じゃない」
「は?今なんと……」
「戻せるかもしれない」
『何っ!!!?』
俺の言葉にジニーさんやボニーちゃん、バニーちゃんやだけでなくベガパンクまでも驚愕する。
俺の原作知識で知る限りでは自我の無くなったハズのくまさんが一人でに動き出し"
これがもし、ピンチとなったボニーちゃんを助けに行く行動だとしたら……本当に今あの人は完全に自我を失くなっていたのだろうか?
子を想う親の心がそうさせたのならまだあの人は───っ!!
「ベガパンクッ!!今すぐくまさんの「記憶」を保管されている部屋に案内してくれ!失敗する可能性は高いが───やる価値はそれ以上にある!」
「わ、わかった!お前さんがそう言うなら案内しよう!」
「待てよ!!ウチらも着いて行く!」
「あたしも行く!」
「わ、私もっ」
皆で行くことが決まるとすぐに行動に移した。仲間達には少し事情を話し少し待ってて欲しいと伝えくまさんの「記憶」のある場所へと向かった。
研究所内の少し離れた場所、そこには肉球のマークの扉があった。その扉の前まで着いた俺達は足を止める。
「ここに、くまさんの……」
「そうじゃ、待ってろすぐ扉を───え?」
───ピピピピッ……!
ボニーちゃんが扉に吸い込まれるように近付くと、扉のすぐ横の赤色ランプが青色へと変わりベガパンクは困惑した。
「はっ!?え??なぜ突然ロックが解除され……?」
「何だっていいさ。”
扉のセキュリティは解除されたがそれとは別に開くためのレバーには鎖で固定されていたのでボニーちゃんの能力で一気に劣化させ鎖は崩れ落ちた。
これで扉のセキュリティは完全になくなりボニーちゃんがレバーを下ろすと扉が開く。いよいよ「記憶」とご対面なのだと思い皆してゴクリと喉を鳴らす。
そして、扉を潜り部屋へ入ると───
「これがくまちーの……」
「わあ、おっきなニクキュウ」
部屋の中央に設置された大きな装置。その上に半透明の大きな肉球が浮かんでいた。
「これに触れたらくまさんの記憶が見れるのか?」
「そうじゃ。けど触れるなよ?触れたら消える。そんなに見たいのなら今モニターで見れるようにするから待っとれ。ジニー、お前さん確か機械に強かったよな。操作法教えるからこっちへ来るんじゃ」
「おう、こちとらもう待ちきれねーんだ。さっさと教えろりんご頭ジジイ」
「口悪っ!?」
「待ってあたしも見たーい!」
そういいジニーさんとボニーちゃん、ベガパンクはモニターを起動させコンピューターを操作し始める。その様子を眺めているとバニーちゃんがギュッと俺のズボンを掴んできた。
「アルガさんはお父さんの過去を知ってるんですよね?」
「そうだね、途中までだけど」
「いいなァ、私そこまで見てないからお父さんについてはほとんど知らないんです。本でもお父さんがベガパンクの改造手術をしてパシフィスタになった事ぐらいしか知らないし……」
顔を俯かせズボンを握る手が更に強くなる。
「こっちに来てからもお父さんとはあまり会えてなくて……。だから、お父さんが元に戻ったらいっぱいお話したいです」
「そっか、くまさん……お父さんは好き?」
「あ、はい。実は日本にいた頃は親がいなくて施設で生活してたんです。だからここで親ができてすごく嬉しい」
バニーちゃんは自身の前世を話してくれた。でも、前世と今を比べている言い方を否定するように慌てて言い訳をする。
「あ、別に寂しかったとか言いたいわけじゃないですよ!お兄ちゃんがいたので」
「へー、兄妹がいたんだ」
「あ、はい……本当の兄妹じゃないですけど。ずっと施設で私を気にかけてくれて、いつも傍にいてくれたので私にとっては家族同然の大好きなお兄ちゃんです」
「そっか」
ひとりだった自分をずっと気にかけてくれる存在か……。
『お腹すいたでしょ。ほら、お弁当持ってきたわ。一緒に食べましょう!』
『うんうんよく似合ってるじゃない流石のセンスよ私。次はこれを着てみましょ!』
『ONEPIECEの新巻買ってきたわ。一緒に読みましょ!』
どうしようもなかった俺に弁当や服をくれたり、遊園地に連れてってくれたり、ONEPIECEを教えてくれたり……。
今思えば、俺は紬さんを第二の家族の様に思っていたのかもしれないな。
「……?あ、あの、どうかしました?急に静かになって……」
「ああ、気にしないで。家族の捉え方は人それぞれだ。いいお兄さんがいてよかったな」
「はいっ。あ、でも中学生になる前に死んじゃったから今ごろさびしい思いをさせちゃってますね……」
「こればかりは仕方ないよ。誰だっていつ亡くなるか分からないんだから」
病気や寿命で亡くなる人もいれば俺みたいに誰かに殺される場合だってあるんだ。そう考えると俺の両親はマジでクズだったな。実の子を手に掛けるとか頭イカれてんのか。
そもそも俺を殺した理由も分からん。つーか分かりたくもねェ。大地獄に堕ちればいいのに。
「後はここを調整すれば見たい時間軸へと飛ばせる。何か分からんかったところはないか?」
「いや十分だ。サンキュなベガパンク。これでくまちーの……あ、そういやこの記憶でくまちーを戻せるとか言ってたな。おーいアルガー!何かいい方法思いついたっぽいけどどうすんだー?」
ここへ来た目的を思い出したジニーさんがこっちへ首を回し俺の方を見る。
流石にここでくまさんにはまだ心が残っててエッグヘッドへ向かって来ているとは言えない。ここへ来たのだってくまさんの記憶がどこに保管されているのかを知るのが目的だったし。
なので少し話を濁しくまさんが来るまで時間を稼ぐことにした。
「それはまた後で教えるよ。それよりくまさんの記憶が気になるんでしょ?先に見てからでもいいよ」
「それもそうだな」
「なら、見ている間に私と話さんか?聞きたい事があるんじゃ」
そこへベガパンクが近付いてきた。さっきは流してくれたが逃がしてくれる気はなさそうだ。おそらく話の内容は俺の原作知識についてだろう。何かと不自然に原作知識をひけらかし過ぎたし。
状況を察したのかバニーちゃんがオドオドした感じで俺を心配する。
「あ、あの……私も行ったほうが……」
「いや、大丈夫だよ。それよりもこの後の事が心配だからバニーちゃんは家族と離れないで」
「あ、そっか。わかりました。気をつけて」
そういいバニーちゃんは家族の元へと行ってしまう。そして、入れ替わるようにベガパンクは俺と対面した。
「信頼されとるな。私が初めて会った時なんか目すら合わせてくれなんだ」
「共通の話題とかあれば案外すぐ仲良くなれるもんだよ。話はここでする?」
「いや、ちっとばかし込み行った話をするんでな。部屋を出よう」
ベガパンクの提案に乗り俺達は一度部屋を出て少し離れた通路へと移動した。
「よし、ここならええじゃろ」
「それで?聞きたい事って?」
「うむ、では単刀直入に聞こう。───お前さんはこの先の未来をどこまで知っておる?」
「……っ!」
はやり切り込んできたか。にしてもここまでド直球に聞いてくるとは思わなかった。
流石に質問をそのまま回答するわけにもいかんしもう少し相手の腹を探るか。
「話が見えないな。どういう意味で聞いてます?」
「ふむ、少し端折り過ぎた質問じゃったか。なら言葉を変えよう」
オホン、と咳払いをし改めて俺と向かい合う。次はどんな質問がとんでくるのかと身構えていた俺だったが……予想外の言葉に固まってしまう。
「お前さん───「傍観者」じゃな」
「───っ!!」
傍観者と言う言葉を聞き俺はかつて同じ様に聞かれた二人の事を思い出す。
『オメーさんひょっとして───』
『お前はひょっとして───』
───「傍観者」なのか?
「傍観者」……それはゼットやクザンが俺に聞いてきた言葉だ。まさかここでもそれを聞かれるとは思わなかった。
しかし、その傍観者がどういう意味で聞かれたものかは俺自身よくわかっていなかった。
「ちらほら俺にそう聞いてくる奴がいたな。でも、その傍観者が何を指しているのか分からない。質問を質問で返して悪いが教えてくれないか?」
「……そうか」
俺の顔を見て嘘を言っている訳ではないのを察したのかベガパンクは素直に教えてくれた。
「よかろう!ならば教えてやる。「傍観者」とは───この世界の過去未来の歴史、事象概念を次元を越えて傍観せし者じゃ」
「……っ!!?」
ベガパンクの説明に言葉を失う。
次元を越えてこの世界を見る……それはつまり、この世界の過去未来の歴史、事象概念はONEPIECEという作品。次元を越えては日本、若しくは地球そのもの。傍観せし者ってのは地球に住んでいた読者って言い回しなのでは?
「これは私が調べた「空白の100年」に残された数少ない文献の一つ。なぜ政府に消されず残されていたのかその一切が謎に包まれていたが……」
それが本当なら少なくとも800年前には俺やバニーちゃんの他にも転生者がいたという事か。にしてもONEPIECE読者=傍観者ってのは言い得て妙だな。
「それで傍観か……」
「その反応は、心当たりがあると捉えていいんじゃな?」
俺の呟きに一際視線を鋭くするベガパンク。だが、それは敵対心から出たものでなかった。むしろ逆、敵対心を出したくないような悲痛な顔……。
「お前さんがくま達の恩人なのは知っておる。じゃがそれ以上に不確定要素が多すぎるんじゃ。私とてくまの友達を必要以上に疑いたくはない。ただ確証が欲しい。くま達の味方だという確証が」
「…………」
ベガパンクの言葉に俺は無言になり考えこう思った。
何かもう…………馬鹿馬鹿しいなァ。
何でくまさんを助けたい者同士でこんなピリピリしなくちゃならないんだ。だったら隠し事は……。
「じゃから教えてくれ。知りたいんじゃ。お前さんが何者なのかを───」
もう辞めにしよう。
「実は俺にはこことは違う世界で生まれ育った記憶がある」
さらっと伝えた内容にベガパンクは頷いた。そして……。
「そうお前さんが別の世界の……………………ぺ??」
突然の告白に世界一の頭脳を持った男でさえ脳内で整理するまでに少し間ができ……次第に警戒から真顔。真顔から驚愕の表情へと変わった。
「え?は?へ?……っ!??ハアッ!!?お、お前さんい、今……!?」
「なんだよ。あんたが聞いてきたんだろ」
「い、いや……そうではあるんじゃが急過ぎる!もっとこう順序というものが……」
「悪いが俺はあんたと違って特段頭がキレる人間じゃない。世界一の科学者相手に腹の探り合いなんて無駄だろ」
俺の合理的判断に渋い顔をしつつも納得するベガパンク。反論はないようなので俺は続けて説明に入る。
「そもそもあんたと啀み合う意味がない。何でくまさんの友達同士で争う必要がある?俺を怪しく思うのは勝手だが俺はあんたを信じてる」
「信じている、か……」
「ああ、それに俺は傍観者が何なのかをもっと知る必要がある気がする。だったら一番詳しそうなあんたと話し合うのがベストだと思ったんだ」
「つまり、お前さんは「傍観者」の情報を得る為に私と和解しようと考えたわけじゃな」
「そういう打算も入っていないと言ったら嘘になる。だけど、大前提としてもうひとつ……」
俺は手を差し伸べここ島へ来た俺の目的、本心を曝け出した。
「くまさんを助けたい思いが一緒なら───お互いを信じて腹割って話すのが「筋」ってもんだろ」
「……っ!」
真っ直ぐと見る俺の目に嘘を感じなかったのかベガパンクは次第に鋭かった目を緩め安心した顔へと変わった。
「駄目じゃのう私は。くまの事となるとちと歯止めが利かなんだ。悪かった、私も少し強引過ぎた。じゃから私も通そう───「筋」というものを」
そして、差し伸べて手を取りお互いに笑顔で握手を交わすのだった。
何とか和解した俺達だったが、俺が異世界から来たと理解したベガパンクは当然そこに興味を示し始め……。
「成程のう、悪魔の実の仮説で異次元に住む者の存在は考えていたがまさか本当に存在してたとは!!これは世紀の大発見じゃ!!ぺぺぺぺ!!因みにそこでの文明は?科学力は?人口は?種族は?暮らしは?文化など聞きたい事が山程ある!!教えてクエーサー!」
めちゃくちゃガン詰めされた俺はベガパンクに怒涛の質問を投げかけられていた。
「待て待て!?そんないっぺんに聞かれても答えきれねェよ!!そうだなァ、あっちの世界で中でも俺の住んでいた国じゃ歌やダンス、アニメに漫画とかエンタメが豊富な所だったよ。それこそ、人一人の人生だけじゃ堪能しきれない程にな」
「ほほォ〜〜!」
これまでに見ない程キラキラと目を輝かせてくるベガパンク。未だかつて知らなかった未知の領域に足を踏み入れ興奮が収まらない様子だった。
まるでオモチャを買ってもらえた子供みたいだ。
「食文化も暮らしも所々似ている部分はあるが違う所は結構あるな。例えば電伝虫。この世界では電伝虫の念波を飛ばして会話をするが俺のいた所じゃ完全機械化で電話していた」
「完全機械化!!?そんな事が可能なのか!!?」
「え、うん、まあ?俺も詳しくは知らないけど国中に電波塔を設置したり宇宙に衛星を飛ばす事で遠くまで電場を送って電話したり」
「宇宙に衛星ィ〜〜!!?イカン!!次々に発明を思いついてしまう!?「
初めて知る技術に興奮が止まらないベガパンク。しかし、何かを思い出したようにピタッと動きを止め冷静さを取り戻した。
「ハッ!イカンイカン、本来の目的を忘れる所じゃった。それで、わしの疑問に答えてクエーサー。ニカについてや特定の人物の過去についてだったり、お前さんは何故こうも知り得辛い秘密を持っておる?」
「あー、そうだなァ……」
ベガパンクの質問に俺は頭を悩ませ言葉を濁す。
さて、どこまで話すべきか。隠し事はしないと言ったが分別はしっかりしなければ。まずこの世界が誰かの創作だとか物語とか言う訳には……。
ん?物語、そうか物語か……。
俺は少し考えた後に嘘はつかない程度に上手く説明する。
「うーん、何て言えばいいんだろ?俺のいた所では星の数程存在する異世界の歴史の一部を抜粋して物語という形で見ることができたんだ。その中でもこの世界はダントツで人気があって俺もこの世界のファンだったんだよ」
俺の説明にうんうんと頷いたベガパンクは瞬時に答えを導き出す。
「ムム、ようやく話が見えてきたぞ。つまりお前さんは世界の全てを知っている訳ではなくその物語として出てくる一部の歴史のみを把握している訳じゃな」
「おお、流石世界一の頭脳。理解が早くて助かる。んで、俺が知る歴史がちょうど今日までなのよ」
「ほほう。して、お前さんはどうやってこの世界へと来たんじゃ?」
だよなー。そこ気になっちゃうよなー。俺も気になる。死んだ時に持っていた雑誌で転生先が決まるってのは何となくこの前の件で分かったが結局どうやってここへ来たのかはサッパリだ。
異世界転生物の導入って前世の死=気付けば転生って解釈だけどよく考えたら意味不明だよな。親切に転生について説明してから送り出す神様転生を見習ってほしい。
「そこについてはマジで分からん。ただ、向こうで死んだ後にこの世界に産まれてある程度成長したらこの記憶が沸いて出たんだ」
「そうかァ……原因が分かればそれを利用して逆に私がお前さんのいた世界へと行けるかもと考えたのじゃが……」
さらっととんでもねえ事企んでやがったよこのジジイ。まあ、異世界に行ってみたいって気持ちは全男性の憧れと言っても過言じゃないし無理もないか。
「異世界で生まれ変わったから俺は自分を転生者呼んでいた。だけど、あんたの説明だと俺みたいな人間は傍観者って呼ばれていたんだな。それじゃ、今度は俺が聞く番だ。傍観者についてもっと教えてくれ」
俺も本題に入る。今まで言葉の意味すら知らなかったがその謎がついに判明する!
しかし、ベガパンクは少し申し訳なさそうな感じで切り出した。
「良いぞ。……と言ってもそう詳しくはわかっておらん。さっき話した内容以外じゃと残っておる伝承は後一つだけじゃ」
「それでも構わない」
「わかった。では話すぞ」
気を引き締め改めて向き合うとベガパンクもゴホン、と咳払いをし傍観者の伝承を話してくれた。
「文献にはこう記されていた。───『我、この世に舞い降りし初の「傍観者」なり。我含む7つの暴欲の感情を保ちし者達よ集え。この世の夜明けを傍観する為に』とな」
「…………」
ベガパンクの説明に俺は無言で思考を巡らせる。そして、今の伝承で気になったのは3つ。
1つは『初の「傍観者」』。さっきも思っていた事だが、やはり800年前にもこの世界に転生した人がいるって事。
2つは『7つの暴欲』。なぜ7つなのかは不明だがひょっとしてこの世界には俺やバニーちゃん、そして最初の傍観者の他にも合わせて7人の転生者が存在すると言う意味なのかも知れない。
そして3つは『この世の夜明けを傍観する為に』。「夜明け」と言うワードはONEPIECEにとってかなり重要なワードだ。これを残したのがONEPIECEファンだとすればここで言う「夜明け」は「完結」と言い換えてみる。するとこの文章の意味は完結を見ましょうって事なのか?
「難しい顔をしておるが役に立ったかの?」
「ああ、お陰様である程度把握してきたよ。ありがとう」
お互い聞きたい事を聞け無事に話し合いを終えるとご満悦な表情でルンルンとスキップする。元気だなじいさん。
「礼には及ばん。お前さんには未だ知らぬ領域、異世界というロマンの可能性を教えてくれたでな。むしろ安すぎる。他に出来ることがあれば遠慮なく言って欲しい!」
「うへ!?急にそんな事言われてもなァ……あ」
突然の申し出に困惑してしまう。だが、相手が科学者と言うのを思い出し一つだけお願いを思いついた。
ウエストポーチを開き中からある物を取り出すとそれをベガパンクに渡す。
「ならあんたの技術力を買ってお願いしたい事がある。これなんだが……」
「これは……"
この研究所も空島の雲を作り浮かんでいる。なので同じ空島産の"
「うん、その"
「"
"
「任せろ。"
直せる、その言葉を聞き内心喜んでいると続けてベガパンクはある提案をする。
「どうせならこれを使って新しい装備を作って見てもよいか?」
「新しい装備?」
「ああ、2年前の戦争でも確かその手袋と"
「ホントか!?」
「ぺぺぺぺ!ホントじゃ、エネルギーの吸収と放出を手袋で行うのは中々面白い発想じゃ。ユニークな
「ま、まあね」
スゲーぞウソップ。お前の作った"
ウソップ印の発明を称賛され自分の事のように自慢気になる。そんな俺の手に嵌めているグローブに目を向け彼は申し出る。
「ならばその手袋もちと貸してくれんか?実はもう一つ
「ああ分かった」
そういいグローブを外して"
「因みにある素材って?」
「ああ、それは───」
ベガパンクが答えようとしたその時、見聞色で殺気を感じ取った俺は瞬時にベガパンクを抱え飛び上がった。
───ピュン!!ズドォォォン!!!
すると、さっきまで立っていた場所が爆発し周囲の鉄の壁や柱がドロリと熱で溶ける。
「な、何じゃあァァ〜!!?」
「チッ!ついに来やがったか」
光線が飛んできた方へと警戒し武器を構える。コツコツと歩き通路の奥から現れたのは一人の少女だった。しかし、その少女はただの少女ではない。
「あれは……S-スネーク!?お前さんが何故私らを!!『セラフィム!!攻撃を止めるんじゃ』!!!」
「標的を捕捉、これより
「っ!!?何故じゃ!!私はベガパンクじゃぞ!?」
「ベガパンクさがってて」
いよいよ始まったかと内心気持ちを切り替えセラフィムと相対する。コイツらとの一悶着が済んだ後には、俺にとって大事な戦いが控えているんだ。
悪いが内輪揉めで無駄な体力を消費させるワケにはいかないんだよ。
「さっさとあの私利私
その後に待っているご褒美タイムに向けてな。
新世界のとある島。そこには各々の目的の為に集う者たちがいた。
「ったく、どこほっつき歩いてんだあの野郎。ヒマだからちっとばかし殺り合おうって思ってたのに」
今日もやることがなくヒマを持て余していたおれはカチンカチンと金属音の足音を鳴らし宛もなく通路を彷徨っていた。
しかし、そこへ聞き馴染みのある声が聞こえてくる。
「"あの方"は今留守中だ。他を当たれ」
「おっ!アイちゃ〜ん♪」
「アイザックだ。馴れ馴れしく呼ぶな。海賊と馴れ合う気はない」
「そう言うなってェ〜。何だったらこの際お前が相手でもいいぜェ?旧三大将の力を模倣したその科学兵器。それに一部のダイナ岩使用権限を持ってんだろ。楽しめそうだ」
「馬鹿か貴様っ!?ダイナ岩なんておいそれと使える代物ではないんだぞ!!第一どこで戦う気だこの島を消す気か!!?」
「あいつに頼めば場所なんて幾らでもどうにか出来んだろ」
「だから!どうにか出来る"あの方"は今留守だと言っているだろ!!!」
「あ、そっか」
「後、「あの野郎」だの「あいつ」だの軽いノリで呼ぶなっ!!貴様だけだぞ軽口で呼んでいるのは!!」
破壊力がすご過ぎるのも考え物だなァ。
困ったなと戦う場所に悩んでいるとまたも聞き慣れた声が聞こえてくる。
「戯れはその辺にしておけ」
「あ、ボッチ爺」
「次そう呼んだら殺す」
何だよ、ちょっとした茶目っ気じゃないか。これだからノリの悪い老人は……。
「ヌキッ!オイお前っ!親分をバカにするのはおいらが許さねェ!!」
「驚いた。肩乗りパンダかと思った」
「こんな茶色一色のパンダがいるか!?おいらはタヌキだ!」
ジジイの肩に乗るヘンテコなタヌキが飛び降りおれに向かって威嚇する。一丁前におれに楯突くたァ偉そうだな。
「ああ?生意気な動物だな。そういや、おめェこの前の任務で海軍を退けたんだっけ?やるじゃねェの。だったらおれとも殺り合うか?」
「ヒィィッ!?親分〜!」
少しすごんだだけでさっきとは態度が一変し顔が恐怖に染まる。そのままジジイの後ろへと回り足にしがみつく。
「これこれ、余りこの子を虐めるんじゃない。そもそもどうしてそんなに気が立っておるんだ?」
「んなもん決まってんだろ。退屈過ぎんだよ」
この組織には4つのチームに分かれている。その中でおれのチームは組織の最高戦力として扱われているせいで中々戦場へは駆り出せないでいた。
そうなると当然暴れる機会も減りフラストレーションが溜まる一方だ。
「だいたい何でまた留守にしてんだよ。この前マリージョアから戻ってきたばっかだったろ。今度はどこに行ったってんだ?」
「それなんだが……」
ジジイが何かを伝えようとした時に独特な足音が近付いてくる。振り返らずとも分かるこの足音はおれの部下だ。
ブッブッブッブッ♪ブッブッブッブッ♪
「相変わらずその足音はどうにかならねェのか!」
「っ!っ!!……!〜〜〜っ!!」ブッ!ブブ!ブフブッ!
「アアン?そんなジェスチャーされたって何が言いてェのか……」
「報告がありまして、"あの方"の行方が判明しました」
「喋るんかい!!?」
「「ハイッ!!」」
『…………』
おれが驚いた後部下二人で決めポーズを取る。しかし、いつものお馴染み鉄板ギャグをかますも周囲からは白けた視線だけが向けられる。
何だよノリわりーなテメーら。ぶっ殺すぞ?
「それで?居所は……?」
「ええ、何でも今日届いた新聞には今話題の麦わらの一味がエッグヘッドで立て籠もり事件を起こしている模様で」
「あー成程」
今の説明でおれだけでなく他の奴らも察した。あいつはやたらと麦わらに固執しているからな。それに……。
「お前らがこの前"鬼の戦漢"を殺り損ねたから痺れ切らして自ら殺りに行ったんじゃねェか?」
「変な憶測はやめろ。私達のピリオ島での任務はダイナ岩の奪取。問題なく完遂した。"鬼の戦漢"の確殺は含まれていない」
おれの指摘にアイちゃんは弁明するも鼻で嗤い一蹴した。
「でも、殺せたら殺せって言われていたよな?つまりテメーら「BAN◯AI」の実力不足じゃねーか。ウケる」
「黙れ貴様っ!!」
「よせ、あの時は我々も想定外だった。まさかゼファーが生きていたとは」
「あ、そうだよ。そもそも生きてんだったら連れて来いや。せっかく仲間が増えると思ったのに爆弾ぐれーで日和やがって」
確か黒腕ジジイはおれのチームに入る予定だったんだよなァ。
「やっぱあん時おれも行けばよかったぜ」
「何だよ、そんなに暴れたきゃおれと殺ろうぜ?」
今更たらればの話をしたってしょうがねェがついつい嘆息してしまう。そんな所にまたも聞き慣れた野郎の声が聞こえてきた。
そいつはおれと同じこの組織の最高戦力の一人であり数少ないおれのチームの一人。軍服に身を包む巨漢がニヤニヤと笑みを浮かべ現れた。
「やめろ、貴様ら「FILM」同士が本気で暴れられちゃこの島が保たん」
アイちゃんが何か言っているが聞こえないな〜。せっかく溜まったストレスの捌け口を見つけたってのにそれを邪魔される筋合いはねェ。
そもそもこの組織にゃあ決まったルールはない。強いて言えばあの野郎の言葉はしっかり聞く。だから、それ以外は自由にやらせてもらうぜェ。
「どうした?やらねェのか?」
「ジ……」
「っ!?マズイ!!おい全員で二人を───シキとバレットを止めろ!!!島が無くなるぞ!!!」
おれは顔を俯かせ口元が緩むとこの後の展開を察したアイちゃんが皆にそう訴える。
だけど、もう遅ェ……!
「ジハハハハハ!!!いいぜ殺ろう!!白ひげに続きカイドウもビッグ・マムもいなくなっていよいよ楽しみが減っていた所だ。
お互い同時に壁をぶち破り広い外へと出る。すると相手は全身武装色で戦闘態勢に入る。おれも空中へと飛び
「
「ああ、言い方が悪かったな。アイツってのはおれらのボスに対してじゃねェ。まあ、ボスもいずれ殺すがなァ」
「何……?」
思えばあの野郎がいなけりゃあおれァあのまま終わっていたのかもなァ。
おれは初めてあの野郎と会った時を思い出す。
『え?ちょ?は?何お前能力覚醒してんの……マジ?ッシャオラァア!!!シキガチャSSR来たコレ!!!』
『ええー……お前出身ワノ国なの?パチモンじゃねーか。どんなニワカ野郎の生み出した世界線だよ。まあ、今までの中で一番強ェからお前にするけどよ』
『まあ、とりあえずお前、俺と一緒に来いよ。そうすりゃあお前の野望の手伝いぐらいしてやるよ』
『お?何だ殺るか?いいぜその代わり俺が勝てば俺がボスな。言っとくが俺はつえーぞ〜?』
今でも初めて会った時の事は鮮明に思い出せる。クソ生意気な野郎だがその実力、知識、兵力……そのどれもがズバ抜けていた。だからおれはあの野郎と手を組んでいる。
おれの野望の為に。
そして、最近になり興味深い奴がまた一人増えた。奴とはそう遠くない内に戦える気がする。
カイドウを討ち倒したんだ。そりゃあ覚醒しねェと無理だよなァ。ああ、早くアイツと殺り合いたくて仕方がねェ!!!
おれはかつて相対した白い戦士の姿となった奴に向けて狂気地味た笑みを浮かべた。
「
【転生の法則・その二】
『7つの暴欲』は『7つの大罪』に言い換えられ、それぞれに特筆した感情を持っている。
ソール→傲慢
リベル→憤怒
バニー→暴食
アルガ→??
あの方→??
???→??
???→??
オマケ : 本来、アルガのいる世界は原作重視の世界線でありゲームキャラやアニオリキャラは存在しない。