あなたにもう一度毛布をかけるため《物語修整完了》   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
初登場時から薄々気が付いてはいましたが、今回アニメ化で確信に変わりました……。

軍子様一目惚れでした貴女様はワンピヒロイン4人目の推しです!!!!!


10話 旅行するならどこに行きたい?★

 サニー号の出航を邪魔する馬の怪物と対峙していたおれは後からやって来たアルガと合流し話を聞いていた。

 

「分裂体だと?」

「そう!俺はアルガだがアルガじゃない。本体の右腕から生えた分裂体の一人だ!」

 

 あの怪物の言葉が気になりどういう事か説明を求めたらそう答えた。

 

「前々から違和感はあったんだ。でも、まさか俺も腕から複数に分裂できるなんて思わんかったわ。やっぱ対話って大事なんだなって考えさせられたね」

「だんだん人間離れしてきたなお前……」

「おまいう」

 

 とりあえずは理解した。要するにトカゲの尻尾的なあれだろ。ん?てェ事は、だ……。

 

「そういやさっきあの怪物が言ってたな。説明してもらおうか。腕を斬り落とされたって何だ?おれ達の見てねェ所でまた無茶したんじゃないだろうな?」

「ちょちょちょゾロ近い圧が強い顔が恐いって!?大丈夫だから!右腕は元々カイドウと戦った時から失くなってて知らん内に生えてきただけだから!!」

 

 マジでトカゲの尻尾じゃねェかコイツの腕!!てか何だよカイドウに斬られたって!初耳なんだが!?戦後に一味全員で詰め寄った時に話さなかった所を見るに隠してやがったな!!

 

「よし、この戦いが終わったらまた全員で話し合い決定な」

「アカン墓穴を掘った!?」

「ハア、まあいい今はそれより……」

 

 慌てふためくアルガを尻目におれは後ろのサニー号へと視線を向ける。コイツの腕以上に気になる要件がもう一件残っていたからだ。

 

「さっきお前が連れてきたベガパンクは、もう助からねェのか?」

「おそらく。ごめん、俺が不甲斐無いばかりに」

 

 そういいアルガは目に見えて気落ちする。ま、頼まれたのに果たせなかったから分からんでもないが……。

 

「反省なら後にしな。迷いは剣に伝わる。乱れた剣じゃ奴は倒せねェぞ」

 

 忠告し目の前の怪物に視線を向ける。さっきまで悠長に話してはいたがその間も奴から意識を逸らす事はしなかった。

 

 少しでも気を抜けば一瞬で斬り殺されるとおれの直感が大音量で警告しているからだ。

 

 そんな中、アルガはいまいち納得できない顔で眉間にシワを寄せる。

 

「わかってる。けど、な〜んか引っかかるんだよなァ」

「引っかかる?」

「ベガパンクは死んだハズ、なんだけど……声が聞こえる」

 

 声……?っ!言われてみりゃ確かにこれは……。

 

「声か、アルガ程"見聞色"が強い訳じゃないから気が付かなかったが……上にいるな」

「この声ベガパンクの気がするんだけど、船からじゃなくてあそこから聞こえるんだよねー」

 

 どういう事なのかは不明だが今言える確かな事はまだ最悪な状況じゃねェって事ぐらいか。だが、それで十分だ。

 

「つまり、あのじーさんはまだ完全に死んだわけじゃない。よかったな」

「うん」

「んじゃま、尚更やつを倒さないとな。約束を果たす為にも……ッ!!来るぞ!!!」

 

───ズッパァァアアアン!!!

 

 アルガが一瞬ホッと息をなでおろすとまるで閃光の様な太刀筋がおれ達の首を狙う。確実におれ達の命を刈り取ろうとする剥き出しの殺意。いよいよもって向こうも殺る気みたいだな。

 

 下半身が馬で上半身が人間、まるでケンタウロスみてーな姿をした怪物は斬り終え刀を鞘に収めていた。

 

 チラッと後ろを覗くとさっきまであった森がボウズになっていた。アルガも後ろを見て顔を青ざめる。

 

「なんつー斬れ味だよ!?やっぱあれが初代鬼徹で間違いなさそうだ。ヤバい気配がヒシヒシ感じる」

「刀もそうだが、アレを扱える技量……只者じゃねェな」

「あまり手間かけさせんじゃねェよ。安くないぞ?この刀の一振りはよォ」

 

 だろうな、奴の刀からは妖刀特有の禍々しさを感じる。おそらくおれの閻魔と同等、いやそれ以上の……勿体ねェな。

 

「せっかく初代鬼徹とやり合える機会だが……今回は引かせてもらう」

 

 既にサニー号ではクードバーストの準備に入っている。悠長に戦っている時間はない。つまり、おれ達が今すべき事は……!

 

「力業で、押し通る!!!」

「わかりやすい。だったら……」

 

 シンプルな答えにアルガは一つの策を提案する。

 

「一発かまそう」

 

 聞き覚えのあるセリフに一瞬脳裏によぎる。ワノ国での苦い記憶。二人の四皇が繰り出したあの技を思い出す。

 

 まさかと思うが……。

 

「見てたのか?」

「あー……うん、見聞色でわかった。見聞色持ちならあんな災害レベルの覇気ブッパなんてどこにいたって嫌でも感じ取れるよ」

「それもそうか。だが、あんな破壊力の技を出したらせっかく伸ばした足場の雲が消し飛ぶぞ?」

「そこは上手く調整しよう。四皇のアレはほぼ範囲攻撃だが本家技は一点に集約されてたろ」

 

 成程、あっちの技か。ただ破壊力を求めた波状攻撃ではなくそれをコントロールする分ヘタするとあっちの方が難易度は高いが……。

 

「面白え、ぶっつけだがやってみるか」

「よっしゃやるぞ。今から出すのはエルバフの槍じゃない───」

 

 おれは三代鬼徹を、そしてアルガは二代鬼徹を抜きサニー号の前に立ち塞がる怪物へと剣先を向けた。

 

「「鬼の槍だ」」

 

 おれ達の雰囲気が変わり何かを察した怪物は一層警戒心を上げつつ居合の構えを取った。

 

「仕掛けてくるか。しゃらくせえ、全てを両断してくれる!!」

「来るぞ構えろ!!!」

「ああ、息合わせろよ!!!」

 

 2人で鏡写しの様に同じ構えで剣を振り上げる。そして、超速で迫りくる怪物に向けて斬撃の槍を放った。

 

 

「「鬼国(きこく)!!!」」

 

 

───ボッ!! ズガガガガァァン!!!

 

 一直線に跳んで行く巨大な斬撃は集約し一本の槍へと形を変える。そして、奴が抜刀するよりも速く槍は馬の体を貫通した。

 

「なっ!?まさかこれほど……ッ!!?」

 

 体にどデカい風穴が開いたにも拘らず片膝一つ突きやしない。それどころか開いた穴がたちまち塞ぎ始める。聞いていた通り不死の体なのはマジらしい。

 

 事前に聞いていたお陰で動揺せず次の一手を打つ事ができた。

 

「アッハッハッ!!いくら不死と言っても動かす筋肉が損傷すりゃ体幹はガタつくだろ!!今なら、ブッ飛ばせる!!!」

 

 アルガの言う通り今のはあくまで下準備、本命はこっちだ!

 

「……と、言うわけで。お願いします!!」

「うん!!待ってたよ!やっと僕も一緒に戦える!!」

 

 アルガの合図と共にサニー号でスタンバっていたヤマトが飛び降りおれ達と並び立つ。今か今かと待ち侘びていたのかやる気十分な様子だ。

 

 おれも本腰を入れようと残りの二本の刀を抜き三刀流になる。アルガは刀を仕舞い金棒を握った。

 

「ゾロ!鬼姫様!追撃だァァ!!!」

「「おう!!!」」

 

 まずはヤマトとアルガが同時に駆け出し連携技を繰り出す。

 

「「”神速(しんそく)!!灰蛇駆(はいじゃく),,!!!」」

 

 ヤマトの身に纏う白い大蛇の気迫とアルガの身に纏う黒い大蛇の気迫が合わさりより大きく肥大化した灰色の大蛇が動けない馬ジジイを襲う。

 

「ぐっ!?ウ、オォォオオオッ!!?」

 

 修復しかけていた体は再び崩れより悲惨な状態へと変わる。それでも奴を倒すには至らない。

 

「だったら!!」

「場外までブッ飛ばす!!」

 

 二人で息を揃え金棒に覇気を纏わせる。しかし、その僅かな隙に馬ジジイは腕だけを集中的に修復させた。

 

 へえ、そんな器用なマネもできんのか。だが……。

 

「おれを忘れてもらっちゃあ困るぜ?」

「……ッ!!?」

 

 斬撃を飛ばし腕が直った所をまた斬り落とす。

 

「確かてめェさっきアルガの腕を斬ったんだってな。これでチャラにしてやるよ」

「〜〜ッ!!!」

 

 口と喉の修復ができておらず声は聞こえねェが怨めしく睨む奴の目から何を感じているかは理解できた。ザマァねーな。

 

 そんな形相で睨んでいる内に二人の金棒は奴の体に直撃する。

 

「「”雷鳴双八卦(らいめいそうはっけ),,!!!」」

 

 ヤマトとアルガの合体技が炸裂。あの巨体といえど踏ん張りが利かない状態での一撃だった為まるで打ち上げられた花火みたく上空へとブッ飛ばされた。

 

 さて、ここまで繋いでくれりゃ後はおれが決めるだけだな。

 

 追撃しようと構えるとアルガがやって来る。

 

「ゾロー、さっきは助かったよありがとう。アイツの腕が斬られた時胸がスカッとしたぜ。だけど、俺自身でもやり返さんと気に食わん。トドメの一撃は俺も一緒にやらせてくれ」

「お前らしいな。いいぜ、さっきのやつよりもデケーのお見舞いしてやるか」

 

 おれが了承するといい笑顔でアルガは金棒を仕舞い二本の刀を抜き取った。ここまで来ると同情すら感じる。さっきのが鬼の槍だとすれば、今度打つのは更に強烈な───鬼神の一撃なのだから。

 

「堅っ苦しい前口上は苦手だからゾロ頼んだ!」

 

 誰が堅っ苦しい前口上だぶった斬るぞ?まあ、やるけど……。

 

「三刀二刀合わせ五乗の開闢!九山八海一世界!!()乗結んで斬れるもの無し!!閻()───五刀流奥義!!!」

 

 おれの刀は緑色の炎を纏い黒い稲妻が迸る。アルガも夥しい量の覇気が放出され二人の覇気が一つに混ざり合う。 

 

 

「「桜華万象千乱詩(おうかばんしょうせんらんか)!!!!」」

 

 

───ザ ッ !! ヴァ ァ アァ ア ン!!!!

 

 混ざり合いより密度の高い覇気の斬撃。鬼の槍……いや、鬼神の槍が上空にいる怪物の体の殆どを消し飛ばした。

 

 残った肉片も散り散りとなり声も出せないどころか表情すら分からない状態。しかし、消し飛ぶ瞬間に見えた奴の目からは驚愕の一言を物語っていた。

 

「───!!?」

 

 見聞色で確かめるがやはり声は消えていない。これでも死なないのかと呆れたが全快するには時間がかかるだろう。

 

 ───頃合いだ。

 

「ゾロ!アルガ!ヤマト!準備できたぞォ!!早う乗り込め!!!」

「おじさん船飛ぶアレやるって!急ごう!!」

「ええ、急ぎましょう!ゾロ行くぞ!!」

「おう!!」

 

 サニー号からジンベイの呼ぶ声が聞こえてきた。乗り遅れないようおれ達もサニー号へ急ぐ。

 

「クード・バースト!!!」

 

 こうして、おれ達は無事この研究所を脱出───

 

「…………あり?」

 

 何故だろう。気付けばおれは研究所前に立っていた。

 

「…………ハハーン、似た場所だな」

 

 

 

「ふ〜間に合った〜……あれ?おじさんちょっと待てゾロは!?」

「エエエエ〜ッ!?何で森の方走ってんだよ!!?おい待てゾロそっちじゃねェよ〜〜!!!」

「方向音痴とは聞いとったが、目の前の船に乗れぬのは方向音痴どうの以前の問題じゃろ!!?」

「ウッソだろ!?さっきまで俺の隣いたじゃんアイツ!?もしもーし!「研究層(ラボフェーズ)」担当俺!緊急連絡〜!!!あのアホがそっちに残った!!至急救援をォオオ!!」

 

 

 

 

 

 oh……マジすか。

 

「ゾロォォォ!!何やってんだお前ェっ!!!」

「きゃっ!?ビックリした。急にどうしたの?」

 

 脳内にサニー号担当の俺から連絡が来たがその内容に思わず叫んでしまった。

 

「ごめんねステューシーさん驚かして。いやね、サニー号で皆脱出するハズだったのにゾロの野郎が迷子になって置いてかれたらしい……」

「エェ、彼既に船にいたわよね?なのに何故……?」

 

 ウチのゾロが本当にすみません。そういう奴なんです。とにかく、ゾロは一旦置いといて早いとこあの鳥野郎をどうにかしよう。

 

 そんで()()()()と合流した後でゾロを……。

 

「……驚いた。まさかナス寿郎聖を相手に逃げ果せるとは」

 

 巨大な怪鳥の姿のマーズ聖が飛びながら俺達を見下す。

 

「しかし、それは一時的な問題に過ぎん。我々を倒せん以上無駄な足掻きよ。そして、我々の前に立つ貴様らが偽物だろうが構わん。全員消し去り本体を叩くのみ」

「やれるもんならやってみろ。不死だからって胡座かいてると痛い目みるぜ?」

 

 とは言ったものの、どうするか。

 

 不死属性の敵に真っ向から戦うのは愚策だ。こういった相手は倒すのではなく封印、または宇宙への追放など物理的に戦闘続行不可能にするのがメジャーだろう。

 

 または不死のカラクリを解きその根本をどうにかするか、再生能力を上回るダメージの継続攻撃か。

 

 いや、後半の二つは無駄だろうな。第一に今の俺達には時間がない。何も分かっていない状況で相手の不死について手探りするヒマはない。継続攻撃もそうだ。さっきムジカビームを雨のように浴びせてやったのに動きを止めるだけで決定打にはならなかった。

 

 となると前半の選択肢か。なら、当初の計画通りにやるとしよう。

 

「二人まとめて消し炭にしてくれる!」

 

 くちばしを開き光線を放つマーズ聖。しかし、俺の両肩にドクロが顕現するとその二つからもビームが放たれ相殺された。

 

「チ、厄介な」

「光線の類はカイドウや黄猿で散々見飽きてんだよ。今更似た技を使っても怯ます事も叶わねーぞ」

 

 つーか、コイツさっきから同じ技ばっか出すな。これ以外の攻撃法がないのか?

 

『まだ原作でもこれ以外で特徴的な攻撃描写がないんだからしょうがないだろ。また絶望展開に落とすぞ』

 

 ごめんなさい。……いや、誰に謝ってんだ?でも、今絶対的な何かに詰められた気が。

 

 まあ、そんな事はどうでもいい。むしろ、攻撃手段があれしかないのならチャンスだ。あんな単発攻撃だったら避けるのは容易い!

 

「おのれ、ちょこまかとっ!」

「えいえい」

 

 またも攻撃を避けるとマーズ聖の顔面まで飛び軽くジャブを打つ。威力は大したことないが目や鼻など地味に痛い所を執拗に狙う。

 

「怒った?」

「このっ!いい加減に……!!」

「えいえい」

「クゥ!!」

「怒った?」

「そんなに死にたいか貴様ァァ!!!」

「www」

 

 わ〜、怒ったァw逃っげろ〜ww

 

 いくら不死でも痛覚はあるらしく痛みや鬱陶しさも相まってあっという間にキレてしまった。

 

 そうでなくても元天竜人の奴隷に殴られるという事実に屈辱を感じているのかもしれん。地位のある奴ほど脆いプライドをお持ちですからなァ〜。

 

「何というか、五体揃ったら手がつけられないが単体で戦うと案外そうでもないな」

「それは私を舐めすぎ……グハッ!?」

「光線はお前の専売特許じゃねェぞ?”撃て(ファイア),,!!!」

 

 少し距離をとった所でドクロビームを食らわせる。本当はもっと大量に撃ち込みたいのだがそれはできない。

 

 右腕から五人の俺が分裂した際にトットムジカの能力もまた五分割されているのだ。だからドクロは出せても2,3個だけだし”混合憑き「魔王の系譜」,,の変身もできない。

 

 まあ、時間稼ぎには十分だがな。

 

「話術で相手の動揺を誘い隙を突く戦術……情報通りね。ルッチの時とは違う狡猾さ、流石だわ」

「ステューシーさん?まるで俺が卑劣野郎みたいに聞こえるのですが?」

「そんな事ないわよ。戦いに卑劣も卑怯もないわ。素敵よ♡」

 

 俺の性格の悪さを全肯定してくれる彼女にむず痒しさを感じる。何だろうこのなんでも包み込んでくれそうな包容力は……。ダメ人間になりそう。

 

「もういい、ならばこの場一帯を消し飛ばしてくれる!!」

「ゲッ!?」

 

 あ、マズイちょっとやり過ぎた。

 

 イジりすぎて冷静さを欠けさせたのはいいがなりふり構わず最大火力の光線を放つっぽい。見聞色で未来を見たらこの室内が全焼している。

 

 ここにいてヤバイ!早く脱出を……!

 

 奴がぶち破ってきた壁の大穴から外へ行けば助かるが少し遠い。”飛龍翔,,で飛ぼうにも間に合わない。せめてトットムジカの力で翼を生やせればいいが分裂していて変身自体ができない。

 

 アレ?詰んでね?

 

「死ねい!!!」

「わーどうしよどうしよ!?」

「あーもう」

 

 焦りまくっているとぐいっと強い力で引っ張られものすごい勢いで上昇する。そして───

 

───カッ!!ボォオオオオ!!!メラメラァァ……

 

 いつの間にか俺は壁の穴から脱出し空中を飛んでいた。

 

「頼りになるんだかならないんだか。全く、世話が焼けるボウヤだわ♡」

「ス、ステューシーさーーん!!!」

 

 後ろを向くと黒い翼を生やしたステューシーさんが俺を抱えて飛んでいた。

 

 ヤダかっこいい惚れそう。

 

「あんな事言っておいて助けられるなんて何か情けないなァ」

「あら、私は嬉しいわよ?一緒に戦えるだなんてファン冥利に尽きるもの♡」

 

 そうやって甘やかされると身も心も委ねたくなるからやめてくれます?

 

 ……と、茶番はこれぐらいにして室内は……うわあ、あちこち焼け野原どころか床の殆どが溶けて底の見えない大穴ができてる。

 

「一芸でもここまで来ると脅威だな。でも……」

「逃れたか。次は外さん」

 

 壁の大穴から出てくるとマーズ聖はギロリと俺を睨むが、もう手遅れだ。

 

「いいや終わりだ。悪いがこの戦い、俺達の勝ちだ」

「強がりを……貴様はまだ私に有効打を一つも与えられていないのだぞ?虚勢は見苦しくなるだけだ」

「ハア〜、お前らってつくづく無能星だよなァ」

「貴様ァァ、まだ我々を侮辱するか」

 

 未だに舐めきった態度を崩さない俺に怒りの形相で睨見つける。

 

「だってそうだろ。不思議に思わなかったのか?ついさっきまで下に居たはず俺が何で「研究層(ラボフェーズ)」に居るのか?何で───俺だけがここへ来たのか?」

「……?」

 

 ここまで言ってもまだピンとも来てないか。だから無能星って言われんだよ。

 

「その年季が経ちすぎて腐敗しきった脳でよ〜く考えな!!いいか?お前らのミスはこの島で()()()()()()()()()()()()()をノーマークにしてた事だァ!!!」

「何を……っ!!?」

 

───ポ ワ ア ア ア ッ !

 

 突如、出てきた室内……いや、その通路の奥から淡い光が立ち込んだ。何事だと困惑するが数秒も経つとその光は消え特にこれと言った変化は起きなかった。

 

「何だったんだ今の光は?まあいい、それよりもまずは貴様らを……む?」

 

 すぐに俺達の方へ向き直すが予想外の光景に動きが止まってしまう。

 

「何故、泣いている?」

「えっ、アルガ……?」

 

 今まで敵対していた相手が急に涙を流しているのを見て怪訝な顔になる。ステューシーさんも同様に俺の涙に驚いた。

 

 そう、俺は今の光を見て感極まっていた。

 

 我慢しようと思ったけど、やっぱできないわ。

 

「いやさ、だってさ……泣いちゃうに決まってるじゃん。この時をどれだけ待ち焦がれたと思ってる」

 

 あの光を見て見聞色で通路の奥の存在を感じ取り俺は嬉しさで目頭が熱くなるのが分かった。

 

 あの光は研究所の光でも黄猿の光でもない。そう、あの光は───

 

『諦めないで欲しい。その受け入れた兵器の運命からいつか必ず"解放"してみせる!!』

 

 あの約束から2年。ようやく、叶える事ができた。

 

「今をもって全てのしがらみは消えた。もう縛る鎖はどこにもない。これであなたは───自由だ!!!!」

「訳のわからん独り言は済んだか?泣いたり喜んだり世話しない。貴様にはうんざりだ。これで貴様の命を───」

 

 

「旅行するならどこに行きたい?」

 

 

 突然音も無く現れたその人は一言そう尋ねる。その聞き覚えのある言葉に、その声にマーズ聖どころかステューシーさんも目を疑った。

 

「ッ!!?馬鹿なっ!?貴様は───」

 

───ぱ っ !!

 

 触れた瞬間、マーズ聖は言葉を言い終えるよりも前にこの場から姿を消した。

 

「もうこれ以上、おれの友達をキズつけさせはしない」

 

 そのまま落下するもその頑丈な肉体は自由落下では傷つかない。ズシィン!と重々しい着地音が響くと何事もなかったように仁王立ちする。

 

 俺達も地面へと降り彼の前に立つ。そして、マーズ聖を飛ばした男は、俺の親友は……くまさんはいつか見せた優しい顔で微笑んでくれた。

 

「まさか、本当にこんな日が来るなんて……いや、期待はあった。でも、実際に体感すると……込み上げてくるものがある」

「言ったでしょ。いつか必ず解放するって。友達なんだから」

「ああ、ありがとう……!」

 

 お互いに少し声を震わせながらも無事に再会を果たし喜びに浸る。その様子を見て未だ信じられなさそうにくまを見つめるステューシーさんも一歩また一歩と近づいた。

 

「今でも信じられない。本当にくまなの?」

「そうだよ、久しぶりだねステューシー。君も元気そうでよかった」

「っ!ええ……!」

 

 もう二度と会えないと思っていた彼女はまさかの再会に笑みを溢していた。そこへ研究所からくまさんのセラフィムに乗った幼い姿のボニーちゃんがやってくる。

 

「おとーさん!急に飛び出して驚いちゃったじゃん!でも……」

 

 どうやら復活してすぐに部屋を出ていってしまったくまさんを心配して追いかけてきた様だ。だけど、俺達の光景を見て足を止めると嬉しそうに笑う。

 

「計画は無事成功したみたいで戻ったみてーでよかった。やったなアルガ!!」

「ああ、くまさんを戻してくれてありがとうな」

 

 セラフィムから降りるとボニーちゃんは駆け出し俺とハイタッチするのだった。

 

 さと、とりあえず"「研究層」担当()"の役目は果たした。後は他の俺に連絡を入れてあのアホ迷子を見つけて皆でサニー号へ戻るだけだ!

 

 

 

 

 うっし!ナイスだ「研究層(ラボフェーズ)」担当の俺!くまさんがいたら最悪脱出し遅れたとしても能力でパッと合流できる!

 

 くまさんは無事復活できた。これで不死身対策の()()()()に取りかかれる。まあ、使うに越したことはないんだがな。

 

「どうする俺?ホントはくまさんの能力でコイツらもちゃちゃっと飛ばしてくれたら楽だったんだが……」

「どうしようもないだろ俺。ゾロの野郎余計な手間増やしやがって……」

「自分同士で会話すんな紛らわしいんだよ」

「同じ顔が二人……キショいなー」

「ママ口悪いよ」

 

 俺同士での会話に入ってきたのはサンジ達だった。突然俺が二人になって現れ状況が呑み込めなかったからか事情を聞きに近づいてきたようだ。

 

 なのでこの後の行動を円滑に進める為にこれまでの事情を端折って説明した。

 

「成程ねェ、詳しい事は省くが要するにあのデカブツ2体はお前らが相手をして、その間におれはジニーさんとバニーちゃんをサニー号まで届けりゃいいんだな?」

「Exactly!やっとくまさんも元に戻って一家団欒が待ってるんだ。絶対無事に送り届けてくれ」

「任せろ。今のおれはジニーすわんだけの"愛主義者(ラブフィスタ)"!おれフィムの命に代えても守り抜く!!」

 

 ちょっと何言ってるのか分からない。でも、頼りにするぞ。

 

「くまちー、戻ったんだな。よかった……」

 

 後ろでジニーさんが小さく呟く。その顔にはこれまで散り積もった想いが溢れ出たような喜びに満ちている。

 

 しかし、何かを思い出したようにハッとすると俺達に尋ねてくる。

 

「あのさ、言わねェといかない事があんだ」

「言わないといかない事?」

「ああ、お前らん所のフランキーなんだが……さっき黄猿に蹴り飛ばされてよォ。だから、助けに行ってくれねェか?」

「フランキーが!?分かった後で助けに……ん?」

 

 見聞色の範囲を広げフランキーの気配を探ると思いの外あっさり見つけられた。だが、さっきの説明を聞いてフランキーの現状に不可解を感じた。

 

 あいつ黄猿に蹴り飛ばされたんだよな?

 

 俺の態度に違和感を覚えたサンジが聞いてくる。

 

「どうしたアルガ?」

「いや、今見聞色でフランキーを探ったんだが……一応は無事っぽい。だけど……」

「んお、マジだ。まるで声も弱まってねェ。それどころか……」

 

 方角を指差すと覇気の中でも見聞色に長けたサンジもすぐにフランキーの位置と状態を把握する。そして、俺と同じ感想らしく首を傾げる。

 

 しかし、そこへ空気を読めないウォーキュリーとピーターが襲いかかってきた。

 

「うおっ!?あっぶねェな!あークソ!とりあえずフランキーは大丈夫っぽいから後回しだ。コイツらはどうにかするからサンジはジニーさんとバニーちゃんを頼む!!」

「任せろ!!」

 

 何とかデカブツ2体の突進を回避すると各々役目を果たすべく二手に別れた。よし、まずは目の前の敵に集中だ。

 

「わかってると思うが仇だからってもう無茶な特攻はすんなよ俺?」

「勿論、どっちかがヤバくなったらフォローし合おう」

「オッケー。さて、始めるか」

 

 お互いに憎しみで理性が飛ばないようにストッパーをしつつコイツらを対処しよう。もう俺はさっきまでの短気愚直で狩られるエサじゃない。

 

 今度はお前らが狩られる側だ。

 

「「怪物狩りだ」」

 

 まずは相手の実力を見定める。今持っている情報は共通で不死属性がある事。個別だとピーター聖は噛む力、ウォーキュリーは頑丈さが尋常じゃないって事だけだ。

 

 どれも侮れないが他にも隠している力があるかもしれない。出方を観察しつつサンジ達が逃げ切るまで時間を稼ぎ頃合いを見て俺も離脱する。

 

 幸いな事にアイツらの目的は俺の命よりもあの巨大ロボを止めようと躍起になっている。あのロボがなんなのかは俺にもよく分からんがアレが動いてちゃマズイみたいだし……。

 

「だったら全力で邪魔して困らせるのも一興だよねェ〜♪」

「悪い顔してんぞ俺ェ〜♪」

 

 そういう俺だってェ〜♪

 

 などと笑い合っていると再び2体が襲いかかってきた。

 

「退け!!貴様も必ず殺すがまずは奥の鉄巨人だ!!!」

「退けなば食い殺す!!!」

 

 巨大ワームのピーターが変幻自在の軌道変更で翻弄し迫ってくるが見聞色で食らいつくタイミングはわかってる。

 

「ここだ!!」

「チィ!だが、この距離ならば!!」

 

 ギリギリまで引きつけ紙一重で左右に避けるが今度は大口を開き周囲モノを吸い込み始める。

 

「ぬおおおおおっ!?なんて吸引力!?」

「吸引力の変わらないただ一つの的なヤツか!!それも本家よりも強力な!!」

「言ってる場合か!!?このままじゃ飲み込まれ……ブハッ!?」

「俺ェェエエエ!!!」

 

 その場に留まるので精一杯だった俺達の前にウォーキュリー聖の強力なぶちかましがもう一人の俺に炸裂する。

 

 ただでさえ”混合憑き「魔王の系譜」,,の変身状態だった俺に有効打を与えた攻撃だ。力が5等分にされた今の俺にそんな攻撃を諸に食らってしまえば……。

 

「ゲフッ!悪ィ……何もできず終わっちまう。後は任せた……」

 

 血……ではなく音符型の粒子が血のように吹き出す。そして、体に限界が来ると全身が音符型の粒子となって霧散した。

 

「クソ、分かってはいたがやっぱ強いな。まあ、あの頑丈な巨体で突進するんだ。そら強烈だよな」

 

 ……む?頑丈な?あ!いい事考えた!

 

「次は貴様だ!!ピーターはそのまま奴の動きを止めていろ!!」

「おう!!」

 

 ああそうだかかってこい。そして、その勢いのまま……!

 

「グゥゥッ!?……ンググググ!!」

「何っ!?受け止めて……いや、止めきれておらんぞ!!」

 

 ウォーキュリーの突進を真正面から受け止める……なんて事は出来ないので奴の牙を掴み俺にかかる負担を下げつつも勢いは殺さずに軌道を変える。

 

「ウ、オォォオオオ!!!」

「な、何を……!?マズイ!吸い込みを止めろピーター聖!!」

 

 気付いたか。しかしもう遅い!

 

 牙を掴み軌道をピーターへと向ける。そのまま背負い投げでぶん投げりゃ吸い込む勢いも合わさって……!!

 

「何でも噛み砕く力と何人も傷つけられない防御力!!矛盾勝負と行こうやァ!!!」

「「ぐあああああああああっ!!?」」

 

 アホみたいに開いたピーターの大口にウォーキュリーの巨体が衝突する。効果があったのか2体の絶叫が響いた。

 

「作戦名「矛盾」!!上手く決まったなアッハッハッ!」

 

 作戦に成功し高らかに笑う。しかし、どんなにダメージを与えた所で奴らは不死なことには変わらない。少しすればあっという間に何もなかったように2体は起き上がり俺を睨む。

 

「おのれェ……!」

「斬り刻んでくれる!!」

「おーおー、刃物もろくに持てないキャラデザの癖にそんな脅し文句が通じるワケ……ええ?」

 

 ナス寿郎聖でもあるまいしと小馬鹿にしているとウォーキュリーの大きな牙が立派なサーベルへと形を変えた。

 

 ええ、何それ!?妖怪の猪がモチーフなのは分かるが絶対元ネタにそんな能力ないだろ!!

 

「斬り刻み押し潰す!!!」

「その巨体で出していい身軽さじゃねェぞ!!?」

 

 大きく飛び上がり大回転。あの巨体からとは思えない身のこなしに一瞬戸惑ってしまい反応が遅れる。リーチが違いすぎるが金棒で打ち返しを狙うしかない。

 

 やれる。ここで俺が消えたらフランキーが孤立してしまう。もうすぐサニー号が巨兵海賊団と合流すると考えるとそれはマズイ展開だ。

 

 何が何でも俺は生き残る!

 

「さあ来いや猪野郎ブッ飛ばしt───」

「スゥゥゥゥゥゥゥウ!!!パァァアアァァアアアアッッッ!!!!」

「ブゴォォッ!!?」

 

───ガッ!!!ズガガァアアアアアン!!!!

 

「へ?は?え?」

 

 何か今とてつもない情報量が脳内に入り思考が止まる。まるで簡易無量空処にでも食らったような感覚だった。

 

 今、何が起きた?打ち返そうと金棒を握ったらどこからともなく変態チックなロボがすんごい勢いで飛んできて……あの巨体猪を殴り飛ばした!?

 

「ウォーキュリー聖!!?クソ、誰だァ!!!」

 

 突然現れた謎の人物にピーターが噛み砕こうと食らいつく。しかし、そいつは怪物の力をものともせず噛みつく歯を掴み堪える。

 

「バカなっ!?何だこのパワーは!!?」

「こんなもんか?”スーパーストロング,,〜〜♪」

 

 歯を手放し払い退けると無防備となったピーターの横面めがけ思いっきり殴り飛ばした。

 

「”(デクスター),,!!!」

「ブオオオオオッ!!?」

 

 像と蟻の比率に等しい体格差にも拘らずそいつはピーターを簡単に殴り飛ばす。その光景に目を疑い開いた口が塞がらずにいるとそいつは俺に気付き近づいてきた。

 

「ガッハッハ!!よおアルガ!復活したみてーだな。よかったぜ」

「フランキー!!?おまっ!?何した!!?」

 

 やはりあの変態チックなロボはフランキーだった。まあ、変態チックなロボなんてコイツぐらいなもんだが……にしてもだぞ!?

 

「何したって……見逃したのかァ?おれ様のスーパーなパンチをよォ」

「それはわかってんだよ!!俺が言いたいのはあの巨大ワームもそうだが巨大猪の()()()()()()()殴り飛ばした強さの理由だよ!!!」

 

 そう、フランキーは俺でも破ることができなかったウォーキュリーの防御力を越えた一撃を与えたのだ。元々パワー系ではあったがデタラメ過ぎる。

 

 防御力だけで言えば奴はビッグ・マムやカイドウを優に越えている。それを、難なくと……。

 

「それがよォ、さっき黄猿にブッ飛ばされた後……」

 

 フランキーはデタラメなパワーアップの経緯を語り始める。何でも飛ばされた先がヨークの担当エリアだったらしく、そこで大きな冷蔵庫を見つけたらしい。

 

 そして、エネルギー補給のために中にあったコーラをチャージした瞬間……。

 

「今までに感じた事がねェ程に力が漲ってくんだよ。まるでこれまでのおれ様は死んでいたのかって錯覚するぐれーになァ」

 

 あー、通りで……。

 

 さっき見聞色で感じた違和感はそれか。俺とサンジで首を傾げたんだぞ。黄猿にブッ飛ばされたハズなのに気配が一層強まっていたから。

 

「おいおい、それ大丈夫なのかよ。変な薬でも入ってんじゃないだろうな?」

「ぬ〜、力が出るって事はコーラには違いねェ筈だが……やっぱ未来のコーラは一味違うって事か。今なら黄猿の蹴りだって耐えてみせるぜ?」

 

 冗談めかしに言っているがマジだろうな。今のフランキーはフィジカルだけで言えば一味最強かもしれん。

 

「そりゃ頼もしい。だが、今は黄猿よりもアイツらだ」

 

 コーラに関しては後でリリス辺りにでも聞いてみるか。それよりも今は目の前の奴らに集中しよう。

 

「少し私もいいかしら」

「うおおっ!?ロビン!?いつの間に!?」

 

 切り替えようとした所へいないハズのロビンが急に現れ心臓が大きく跳ねた。あー、スゲー驚いた。

 

「安心して、これは遠隔で操作している私の分身よ。もしもの時の為にここに咲かせておいたの」

「成程、それで?出てきたって事はそのもしもが起きたって事か?」

「ええ、話が早くて助かるわ。手短に話すわね……私達の乗るサニー号は無事海に落ちて巨人さん達の船と合流したわ」

 

 おっ!いよいよこの島の脱出ももうすぐだな。

 

「だから貴方達も早くこちらへ来て頂戴。後は全員揃えば逃げるだけよ」

「了解。……と言いたいんだけど」

 

 本当ならフランキーもいるし二つ返事で了承し一刻も早くこの場を離脱したいんだが……。ここまで条件が揃っちゃうとねェ……。

 

「ごめん、ロビンもいるなら丁度いいし二人にはお願いがあるんだ」

「「お願い?」」

「そう、内容は───」

 

 一通り俺の話を聞くと二人は目の色を変えた。

 

「───ってな感じな事を頼みたいんだけど……ダメかな?」

「へェ、それは何ともまあ……」

「ウフフフフ♪」

 

 その顔は、オッケーって解釈でよさそうだ。

 

「私一人だけだったらそんな事できなかったでしょうね。でも、貴方達とならできそうだわ」

「仮に仕事で船に乗り遅れても今のスーパーなおれ様なら戻れる力がある。試す価値は十分だな」

 

 話した内容は俺の考えた不死身対策の()()()()についてだ。時間もかかるしリスクは大きいが……上手くすれば奴らを嵌められる。

 

「奴らにはこれまでも煮え湯を飲まされてきたんだ。一泡吹かせてやるぜ!」

「そういえば、私達三人って世界政府に人生をめちゃくちゃにされたって共通点があるのよね」

「言われてみれば確かに。じゃあさ、俺達三人組の名称はあれにしよう!」

 

 ウチの一味内では色んな組み合わせのチーム名が存在する。比較的年齢が若い集まりは「ティーンズ組」だったり、大人な年齢の集まりは「アダルト組」だったり。

 

 そんな感じで丁度いいチーム名を思いつくとそのタイミングで修復を終え立ち上がる怪物2体。そいつらを前に俺達は不敵に笑った。

 

「よっしゃ!ここより「リベンジ組」結成だ!!さあ、世界政府の人生を翻弄された者同士……力を合わせてリベンジと行こう!!!」

「ええ!!」

「おお!!」

 

 方針は固まった。もうコイツらと戦う必要はない。散々殴られて奴らは俺達に対し怒り心頭かもしれない。まあ、ウォーキュリーに対しては俺もドス黒い憎しみの感情が残ってる。今でもぶっ殺してやりたい。

 

 だが、俺の感情と皆の勝利は=じゃない。だから、てめェとの決着はまたの機会だ。

 

 それに、奴らもそろそろ悠長にしてられないみたいだしな。

 

 そう、奴らは焦っていた。それは今世界中に流れている放送に原因がある。

 

『もう止めようがない。「()()」を手に入れる者に!世界の運命は委ねられるのじゃ!"ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)"を!!!手に入れた者に!!!』

「ベガパンクゥゥ!!!」

 

 もはやなりふり構っている場合ではない。2体は血相を変えて鉄の巨人ロボへと向かって行った。

 

 俺達を素通りして。

 

「よほど政府に都合が悪い話なんだろうな。さっきまで殺り合っていたおれ達を無視するたァ……ま、こっちからすれば好都合」

「アルガ、次は船で落ち合いましょう」

「ああ、二人共気をつけて!」

 

 手筈通りフランキーはロビンを乗せて飛び立った。いや、ジャンプしているのか?とんでもない脚力だな。あれもコーラパワーか。

 

 フランキーの強化に改めて圧巻していると2体は巨人ロボに攻撃をしかけた。

 

『それが真実。ジョイボーイは、彼の───』

「いい加減にしろォォ!!!」

『ザザッ……!!』

 

 ウォーキュリーの牙が巨人ロボの体を貫通する。すると流れていた放送が途絶えた。

 

 さて、俺の役目はここまでだ。後はサターンと戦っている俺だけか。揃い次第本体も行動開始だな。

 

「全く、手間をかけよる。さあ、次は貴様らの……っ!?」

「悪いがウォーキュリー今回はここまでだ。次会った今度こそ潰す。お前との決着は必ず俺の手でつけてやるから……精々待ってやがれ」

「貴様!!いったいどこへ……逃がすk───」

「バイバ~イ♪」

 

 そういい全身が光り出すと音符型の粒子となって俺はこの場から姿を消すのだった。後は任せたぞ、俺───

 

 

 

 

 

 サターンとの戦況はかなり変化していた。

 

 最初は俺とルフィで戦っていたが途中でドリーとブロギーが助っ人として参戦し優勢だった。しかし、不死相手にいくら攻撃しようが意味はない。しつこく猛撃してくるサターンに俺達は辟易していく。

 

 そして、島を出る準備が整ったと連絡が入ったので今度は海岸まで追いかけっこが始まった。途中足止めをしつつ逃げ続けていると海岸まで到着する。

 

 そこでは船を出そうと巨兵海賊団達が動いていた。周囲の軍艦を蹴散らし空からサニー号も落ちてきて見事合流を果たす。

 

 そこへ、他の俺から連絡が届き残る分裂体はサターンを任された俺のみ。

 

 船も来たし俺も頃合いと見て自ら粒子となって姿を消す。そして───

 

「うし、腕も完全に戻った。俺もアイツらを追いかけますか」

 

 5体も相手にしたお陰で不死についてあらかた分かったことがある。不死の法則、その倒し方を。どれも仮説域を出ていないが試す価値は十分にある。後は実戦で試すとしよう。

 

 「研究層」の天辺に立っていた俺は戻った右腕の感覚を確かめつつ軽いストレッチをする。今からちょーっと体に負担がかかるから軽い柔軟体操をしないとね。

 

 これでよし、すぐに皆と合流するためにも……。

 

 見つめる物は俺の両手に身に着けている篭手。"青玉の篭手"に期待の眼差しを送っていた。

 

 太陽に一番近い位置にいたためか効率よくチャージできており既にフル充電満タンだ。

 

「お前の本領を見せてもらおうじゃねェか」

 

 覚悟しろよサターン。お前は俺がぶっ倒す。

 

 

 

 ……あ、因みにゾロはついぞ見つからなかったらしいのでくまさんにひとつお願いを頼みその後はサニー号へと合流してもらった。あいつマジでどこ行ったんだよ。さっさと見聞色で探し出して連れて行かないとな。 

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